JP5633672B2 - スチレンオキシド化合物の製造方法 - Google Patents
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Description
過酸化水素を用いたスチレンオキシド化合物の製造方法として、例えば、過酸化水素とともに1当量以上の無水フタル酸又はモリブデン酸−ポリアクリル酸塩樹脂を添加剤として作用させることで、スチレン化合物をエポキシ化する方法が提案されている(特許文献3及び4)。しかしながら、これらの方法では、反応後に量論量以上の添加剤に由来する廃棄物が生成するため、環境に与える負荷が大きく工業的に優れた方法とは言い難い。また、酸化剤として過酸化水素を、触媒としてヒ素酸化物を用いる方法も提案されているが(特許文献5)、ヒ素化合物の毒性及び有機溶媒を大量に使用する点から工業化に適した方法とは言い難い。さらに、オレフィン化合物をエポキシ化してオレフィンエポキシドを得る方法として、酸化剤として過酸化水素を用いるとともに、タングステン化合物、リン酸化合物及び相間移動触媒を用いる方法が開示されている(特許文献6及び7)。しかし、これらの方法では、酸や熱に対して不安定なスチレンオキシド化合物は分解されてしまうため、高い収率を達成することは困難である。
(1)スチレン化合物と過酸化水素とを反応させてスチレンオキシド化合物を製造するに当り、反応を、該スチレン化合物以外にハロゲン化合物を用いることなく、触媒として鉄(II)塩及び複素環カルボン酸化合物を使用し、該スチレン化合物及び過酸化水素を溶解しうる有機溶媒中で行うことを特徴とするスチレンオキシド化合物の製造方法。
(2)前記スチレン化合物が、下記一般式(1)で表されることを特徴とする(1)に記載のスチレンオキシド化合物の製造方法。
(3)前記R 1 〜R 5 が水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基、炭素数3〜7のシクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、アシル基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、カルボキシル基、ニトロ基又はアシロキシ基であり、R 6 〜R 8 が、水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基である(2)に記載のスチレンオキシド化合物の製造方法。
(4)前記反応を、塩基として、アルカリ金属塩または有機アミン化合物を使用することなく行うことを特徴とする(1)〜(3)のいずれか1項に記載のスチレンオキシド化合物の製造方法。
(5)前記複素環カルボン酸化合物として、ピリジンカルボン酸化合物及び/又はイミダゾールカルボン酸化合物を用いることを特徴とする(1)〜(4)のいずれか1項に記載のスチレンオキシド化合物の製造方法。
(6)前記複素環カルボン酸化合物を2種以上混合使用することを特徴とする(1)〜(5)のいずれか1項に記載のスチレンオキシド化合物の製造方法。
(7)前記複素環カルボン酸化合物が、2−ピコリン酸、6−メチル−2−ピコリン酸および3−メチル−2−ピコリン酸から選択される化合物であることを特徴とする(1)〜(6)のいずれか1項に記載のスチレンオキシド化合物の製造方法。
スチレンオキシド化合物は、ポリマー・医薬品・香料・甘味料等の原料として幅広い利用が期待されており、本発明の製造方法はスチレンオキシド化合物の工業的生産に有用である。
以下、本発明の製造方法について詳細に説明する。
具体的なスチレン化合物としては、スチレン、4−メチルスチレン、4−フルオロスチレン、4−クロロスチレン、4−ブロモスチレン、4−ニトロスチレン、4−ビニル安息香酸、α−メチルスチレン、β−メチルスチレン、1−フェニル−1−シクロヘキセン、インデン、ジヒドロナフタレン等が挙げられ好ましい。
過酸化水素水溶液の使用量についても特に制限はなく、スチレン化合物に対してモル比で一般的には0.5〜5.0倍モルである。スチレンオキシド化合物の生産性の観点からは、0.9〜3.0倍モルであることが好ましく、1.0〜2.0倍モルであることがより好ましい。
鉄化合物としては、水又は有機溶媒中で溶解して鉄(II)カチオン又は鉄(III)カチオンを生成する鉄(II)塩又は鉄(III)塩が好ましく、本発明では鉄(II)塩を使用する。具体的な鉄化合物としては、例えば、無水酢酸鉄(II)、酢酸鉄(II)四水和物、塩基性酢酸鉄(III)、硝酸鉄(III)九水和物、硫酸鉄(III)水和物等が挙げられ、無水酢酸鉄(II)、酢酸鉄(II)四水和物、硝酸鉄(III)九水和物等が好ましい。これらは単独で使用しても、2種以上を混合使用してもよい。また、必要に応じて少量の水に溶かし、その後溶媒に加えることもできる。
鉄化合物の使用量は、基質のスチレン化合物に対して0.0001〜20モル%であることが好ましく、0.01〜10モル%であることがより好ましい。
鉄(II)塩としては、上記鉄化合物において挙げられた鉄(II)塩を使用することができ、好ましい。アルカリ金属塩、有機アミン化合物は、上記鉄化合物として鉄(III)塩を使用する場合に好ましく用いられる。アルカリ金属塩としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸リチウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素リチウム、炭酸水素カリウム、酢酸ナトリウム、酢酸リチウム、酢酸カリウム、等が挙げられる。有機アミン化合物としては、例えば、メチルアミン、エチルアミン、ブチルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジブチルアミン、トリエチルアミン、トリヘキシルアミン、メチルジオクチルアミン、トリオクチルアミン、エチレンジアミン、ジアザビシクロ[2,2,0]ノナン等が挙げられる。これらの塩基は単独で使用しても、2種以上を混合使用してもよい。
塩基の使用量は、基質のスチレン化合物に対して0.0001〜20モル%であることが好ましく、0.01〜10モル%であることがより好ましい。
なお、触媒として鉄化合物に鉄(II)塩を使用する本発明では、該鉄(II)塩が塩基を兼ねることになる。
複素環カルボン酸化合物の使用量は、基質のスチレン化合物に対して0.0001〜20モル%であることが好ましく、0.01〜10モル%であることがより好ましい。
溶媒の使用量は、基質のスチレン化合物に対して重量比で0.1〜1000倍であることが好ましく、1〜100倍であることがより好ましい。
本発明の製造方法を用いれば、上記スチレン化合物の酸化反応を常温・常圧下で行うことができる。これは、特に工業的生産において大きな利点である。
300mLのフラスコに、硝酸鉄(III)九水和物(和光純薬工業株式会社製)0.808g(2.00mmol)、トリエチルアミン(和光純薬工業株式会社製)0.607g(6.00mmol)、2-ピコリン酸(東京化成工業株式会社製)0.249g(2.00mmol)、6-メチル-2-ピコリン酸(東京化成工業株式会社製)0.280g(2.00mmol)、アセトニトリル(和光純薬工業株式会社製)を入れ、室温にてマグネチックスターラーで撹拌した。10分後、ろ過して、ろ液を滴下ロートを備えた500mLのフラスコに移した。この混合物にスチレン10.4g(100.00mmol)を加え、室温でマグネチックスターラーで撹拌しながら、30%過酸化水素水溶液13.5g(120.00mol)を滴下した。滴下終了後、5分間、攪拌を継続した。この後、酢酸エチルおよび飽和亜硫酸ナトリウム水溶液を追加したのち有機層を分離した。
収率(%)=(蒸留にて得られた生成物のモル数/使用した原料のモル数)×100
ピリジンカルボン酸化合物を加えなかった以外は参考例1と同様の条件で反応を行なった。その結果、スチレンの転化率は0%であり、ガスクロマトグラフィーでスチレンオキシドは検出されなかった。
アセトニトリルを加えなかった以外は参考例1と同様の条件で反応を行なった。その結果、スチレンの転化率は0%であり、ガスクロマトグラフィーでスチレンオキシドは検出されなかった。
試験管に無水酢酸鉄(II)(ALDRICHI製)0.00347g(0.020mmol)、2-ピコリン酸(東京化成工業株式会社製)0.00249g(0.02mmol)、6-メチル-2-ピコリン酸(東京化成工業株式会社製)0.00280g(0.020mmol)、アセトニトリル(和光純薬工業株式会社製)を入れ、マグネチックスターラーで撹拌しながら50℃に加温した。30分撹拌を継続し、反応液を室温まで冷却した後、ろ過して、ろ液を試験管に移した。この混合物に4-メチルスチレン(0.118g、1.00mmol)を加え、温度を25℃とした後、30%過酸化水素水溶液0.135g (1.20mol)を滴下した。滴下終了後、5分間攪拌を継続した。
転化率(%)=(1−残存した原料のモル数/使用した原料のモル数)×100
選択率(%)={(目的化合物のモル数/使用した原料のモル数)×10000}/転化率(%)
実施例1において4-メチルスチレンを表1に示す化合物に変更し、無水酢酸鉄(II)(Fe(OAc)2)、2-ピコリン酸(picH)、6-メチル-2-ピコリン酸(Me-picH)、過酸化水素水溶液(H2O2)の量を表1のように変更した以外は、実施例1と同様にしてエポキシ化反応を行い、得られたスチレンオキシド化合物の収率(エポキシ収率)、転化率及び選択率を算出した。実施例1と併せて結果を表1に示す。
Claims (7)
- スチレン化合物と過酸化水素とを反応させてスチレンオキシド化合物を製造するに当り、反応を、該スチレン化合物以外にハロゲン化合物を用いることなく、触媒として鉄(II)塩及び複素環カルボン酸化合物を使用し、該スチレン化合物及び過酸化水素を溶解しうる有機溶媒中で行うことを特徴とするスチレンオキシド化合物の製造方法。
- 前記R 1 〜R 5 が水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基、炭素数3〜7のシクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、アシル基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、カルボキシル基、ニトロ基又はアシロキシ基であり、R 6 〜R 8 が、水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基である請求項2に記載のスチレンオキシド化合物の製造方法。
- 前記反応を、塩基として、アルカリ金属塩または有機アミン化合物を使用することなく行うことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のスチレンオキシド化合物の製造方法。
- 前記複素環カルボン酸化合物として、ピリジンカルボン酸化合物及び/又はイミダゾールカルボン酸化合物を用いることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のスチレンオキシド化合物の製造方法。
- 前記複素環カルボン酸化合物を2種以上混合使用することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のスチレンオキシド化合物の製造方法。
- 前記複素環カルボン酸化合物が、2−ピコリン酸、6−メチル−2−ピコリン酸および3−メチル−2−ピコリン酸から選択される化合物であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のスチレンオキシド化合物の製造方法。
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