JP5633672B2 - スチレンオキシド化合物の製造方法 - Google Patents

スチレンオキシド化合物の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、各種有機化学製品の原料や中間体等として広範囲な利用が期待されうるスチレンオキシド化合物の製造方法に関する。より詳細には、本発明は、触媒の存在下にスチレン化合物と過酸化水素との酸化反応を行うことによりスチレンオキシド化合物を効率よく製造する方法に関する。
スチレンオキシド化合物は、電子材料や高分子材料の原料、各種有機化学製品の原料又は中間体として広範囲な利用が期待される化合物である。スチレンオキシド化合物の製造方法としては、有機過酸化物をエポキシ化剤として用いる方法が一般的である。例えば、特許文献1にはエポキシ化剤として有機過酸を、特許文献2にはエポキシ化剤として有機ヒドロペルオキシドを用いた方法が提案されている。しかしながら、有機過酸化物は爆発性等の取り扱いに注意を要する化合物であること、反応後に等モル量の廃棄物が副生することなど安全面や環境面での問題が大きい。
これに対し、より安全性の高い過酸化水素を用いてスチレンオキシド化合物を製造する方法が提案されている。過酸化水素は、安価で入手でき、腐食性がなく、反応後の副生成物が無害な水であるため環境負荷が小さい等の利点を有し、工業的利用に適した酸化剤であるといえる。
過酸化水素を用いたスチレンオキシド化合物の製造方法として、例えば、過酸化水素とともに1当量以上の無水フタル酸又はモリブデン酸−ポリアクリル酸塩樹脂を添加剤として作用させることで、スチレン化合物をエポキシ化する方法が提案されている(特許文献3及び4)。しかしながら、これらの方法では、反応後に量論量以上の添加剤に由来する廃棄物が生成するため、環境に与える負荷が大きく工業的に優れた方法とは言い難い。また、酸化剤として過酸化水素を、触媒としてヒ素酸化物を用いる方法も提案されているが(特許文献5)、ヒ素化合物の毒性及び有機溶媒を大量に使用する点から工業化に適した方法とは言い難い。さらに、オレフィン化合物をエポキシ化してオレフィンエポキシドを得る方法として、酸化剤として過酸化水素を用いるとともに、タングステン化合物、リン酸化合物及び相間移動触媒を用いる方法が開示されている(特許文献6及び7)。しかし、これらの方法では、酸や熱に対して不安定なスチレンオキシド化合物は分解されてしまうため、高い収率を達成することは困難である。
このような事情により、安全で環境負担が小さく、高い効率でスチレンオキシド化合物を製造しうる方法の開発が望まれている。
特開昭62−132877号公報。 特開昭63−239278号公報。 特開平9−77756号公報。 特開平8−295681号公報。 特開昭55−129276号公報。 特開2003−231680号公報。 特開2004−59573号公報。
本発明は、副生成物等による環境負担が低減され安全性が高いスチレンオキシド化合物の製造方法であって、酸や熱に対して不安定で分解しやすいスチレンオキシド化合物が高い収率で得られうる製造方法を提供することを課題とする。
本発明者等は上記課題を解決するため、安全性を担保し環境負担を低減しうる過酸化水素を酸化剤として用いて、スチレン化合物の酸化反応によりスチレンオキシド化合物を製造する方法について鋭意検討を行った。その結果、触媒として鉄化合物、塩基及び複素環カルボン酸化合物の存在下において、前記酸化反応が温和な条件下で効率よく進行し、高い収率で目的のスチレンオキシド化合物が得られることを見いだした。本発明はこれらの知見に基づいて完成するに至ったものである。
すなわち、上記課題は以下の手段により達成された。
(1)スチレン化合物と過酸化水素とを反応させてスチレンオキシド化合物を製造するに当り、反応を、該スチレン化合物以外にハロゲン化合物を用いることなく、触媒として鉄(II)塩及び複素環カルボン酸化合物を使用し、該スチレン化合物及び過酸化水素を溶解しうる有機溶媒中で行うことを特徴とするスチレンオキシド化合物の製造方法
)前記スチレン化合物が、下記一般式(1)で表されることを特徴とする(1)に記載のスチレンオキシド化合物の製造方法。
Figure 0005633672
(式中、R〜Rは、それぞれ独立に水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基、炭素数3〜7のシクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、アシル基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、カルボキシル基、ニトロ基又はアシロキシ基を表す。R〜Rの内のいずれか2つの基は、互いに結合して環を形成していてもよい。
(3)前記R 〜R が水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基、炭素数3〜7のシクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、アシル基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、カルボキシル基、ニトロ基又はアシロキシ基であり、R 〜R が、水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基である(2)に記載のスチレンオキシド化合物の製造方法。
(4)前記反応を、塩基として、アルカリ金属塩または有機アミン化合物を使用することなく行うことを特徴とする(1)〜(3)のいずれか1項に記載のスチレンオキシド化合物の製造方法。
(5)前記複素環カルボン酸化合物として、ピリジンカルボン酸化合物及び/又はイミダゾールカルボン酸化合物を用いることを特徴とする(1)〜(4)のいずれか1項に記載のスチレンオキシド化合物の製造方法。
(6)前記複素環カルボン酸化合物を2種以上混合使用することを特徴とする(1)〜(5)のいずれか1項に記載のスチレンオキシド化合物の製造方法。
(7)前記複素環カルボン酸化合物が、2−ピコリン酸、6−メチル−2−ピコリン酸および3−メチル−2−ピコリン酸から選択される化合物であることを特徴とする(1)〜(6)のいずれか1項に記載のスチレンオキシド化合物の製造方法。
本発明の製造方法は、安価で環境や生体への影響の少ない安全な酸化剤及び触媒を用いることで、副生成物等による環境負荷を著しく低減でき、反応操作も簡便で、工業的生産に好適に用いることができる。さらに、本発明の製造方法では、温和な条件下で且つ迅速にスチレン化合物の酸化反応が行われるため、生成物であるスチレンオキシド化合物が分解することなく高収率で得られる。
スチレンオキシド化合物は、ポリマー・医薬品・香料・甘味料等の原料として幅広い利用が期待されており、本発明の製造方法はスチレンオキシド化合物の工業的生産に有用である。
本発明のスチレンオキシド化合物の製造方法は、酸化剤として過酸化水素を用いて、スチレン化合物の酸化反応(エポキシ化)によりスチレンオキシド化合物を製造する方法であって、当該酸化反応を触媒として鉄化合物、塩基及び複素環カルボン酸化合物の存在下で行うものである。一般に、スチレンオキシド化合物は酸や熱に対して不安定で分解しやすいが、本発明の製造方法では酸化反応が穏やかな条件下で行われるため、生成したスチレンオキシド化合物が分解することなく、高い収率で得られる。
以下、本発明の製造方法について詳細に説明する。
本発明の製造方法は、原料としてスチレン化合物を用いる。スチレン化合物としては、下記一般式(1)で表されるものが好ましい。
Figure 0005633672
一般式(1)、R〜Rは、それぞれ独立に水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基、炭素数3〜7のシクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、アシル基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、カルボキシル基又はアシロキシ基を表す。R〜Rの内のいずれか2つの基は、互いに結合して環を形成していてもよい。
〜Rとしては、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基及びハロゲン原子が好ましい。
具体的なスチレン化合物としては、スチレン、4−メチルスチレン、4−フルオロスチレン、4−クロロスチレン、4−ブロモスチレン、4−ニトロスチレン、4−ビニル安息香酸、α−メチルスチレン、β−メチルスチレン、1−フェニル−1−シクロヘキセン、インデン、ジヒドロナフタレン等が挙げられ好ましい。
本発明の製造方法によって、スチレン化合物から得られるスチレンオキシド化合物としては、例えば、スチレンオキシド、4−メチルスチレンオキシド、4−フルオロスチレンオキシド、4−クロロスチレンオキシド、4−ブロモスチレンオキシド、4−ニトロスチレンオキシド、4−オキシラニル安息香酸、α−メチルスチレンオキシド、β−メチルスチレンオキシド、1−フェニル−1−シクロヘキセンオキシド、1,2−エポキシインダン、1,2−エポキシテトラヒドロナフタレンなどが例示される。
本発明の製造方法では、上記スチレン化合物を酸化(エポキシ化)するための酸化剤として過酸化水素を用いる。具体的には過酸化水素水溶液を用いることができる。用いる過酸化水素水溶液の濃度は特に制限されず、1〜80質量%のものを使用することができる。スチレンオキシド化合物の生産性の点からは、濃度が20〜60質量%であることが好ましい。
過酸化水素水溶液の使用量についても特に制限はなく、スチレン化合物に対してモル比で一般的には0.5〜5.0倍モルである。スチレンオキシド化合物の生産性の観点からは、0.9〜3.0倍モルであることが好ましく、1.0〜2.0倍モルであることがより好ましい。
スチレンオキシド化合物の製造方法では、触媒として鉄化合物、塩基及び複素環カルボン酸を用いる。
鉄化合物としては、水又は有機溶媒中で溶解して鉄(II)カチオン又は鉄(III)カチオンを生成する鉄(II)塩又は鉄(III)塩が好ましく、本発明では鉄(II)塩を使用する。具体的な鉄化合物としては、例えば、無水酢酸鉄(II)、酢酸鉄(II)四水和物、塩基性酢酸鉄(III)、硝酸鉄(III)九水和物、硫酸鉄(III)水和物等が挙げられ、無水酢酸鉄(II)、酢酸鉄(II)四水和物、硝酸鉄(III)九水和物等が好ましい。これらは単独で使用しても、2種以上を混合使用してもよい。また、必要に応じて少量の水に溶かし、その後溶媒に加えることもできる。
鉄化合物の使用量は、基質のスチレン化合物に対して0.0001〜20モル%であることが好ましく、0.01〜10モル%であることがより好ましい。
基としては、過酸化水素を分解しないものであれば特に制限はないが、鉄(II)塩、アルカリ金属塩及び有機アミン化合物から選ばれる少なくとも1種を用いることが好ましい。
鉄(II)塩としては、上記鉄化合物において挙げられた鉄(II)塩を使用することができ、好ましい。アルカリ金属塩、有機アミン化合物は、上記鉄化合物として鉄(III)塩を使用する場合に好ましく用いられる。アルカリ金属塩としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸リチウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素リチウム、炭酸水素カリウム、酢酸ナトリウム、酢酸リチウム、酢酸カリウム、等が挙げられる。有機アミン化合物としては、例えば、メチルアミン、エチルアミン、ブチルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジブチルアミン、トリエチルアミン、トリヘキシルアミン、メチルジオクチルアミン、トリオクチルアミン、エチレンジアミン、ジアザビシクロ[2,2,0]ノナン等が挙げられる。これらの塩基は単独で使用しても、2種以上を混合使用してもよい。
塩基の使用量は、基質のスチレン化合物に対して0.0001〜20モル%であることが好ましく、0.01〜10モル%であることがより好ましい。
なお、触媒として鉄化合物に鉄(II)塩を使用する本発明では、該鉄(II)塩が塩基を兼ねることになる。
複素環カルボン酸化合物としては、ピリジンカルボン酸化合物及び/又はイミダゾールカルボン酸化合物が好ましい。ピリジンカルボン酸化合物としては、例えば、2-ピコリン酸、6-メチル-2-ピコリン酸、3-メチル-2-ピコリン酸、2-ピリジル酢酸、2,6-ピリジンジカルボン酸、キナルジン酸などが挙げられる。イミダゾールカルボン酸化合物としては、具体例として、1-メチルイミダゾール-2-カルボン酸、1-メチルイミダゾール-4-カルボン酸、1,4,5-トリメチルイミダゾール-2-カルボン酸、4,5-ジフェニル-1-メチルイミダゾール-2-カルボン酸などが挙げられる。これらのうち、2-ピコリン酸、6-メチル-2-ピコリン酸、1-メチルイミダゾール-2-カルボン酸が好ましい。これらは単独で使用しても、2種以上を混合使用してもよい。
複素環カルボン酸化合物の使用量は、基質のスチレン化合物に対して0.0001〜20モル%であることが好ましく、0.01〜10モル%であることがより好ましい。
本発明においては、反応溶媒として過酸化水素とスチレン化合物を均一に可溶な溶媒を用いることが好ましい。このような溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、t−ブチルアルコール、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、ベンゾニトリル、アセトン等が挙げられ、メタノール、アセトニトリル等が好ましい。これらは単独で使用しても、2種以上を混合使用してもよい。
溶媒の使用量は、基質のスチレン化合物に対して重量比で0.1〜1000倍であることが好ましく、1〜100倍であることがより好ましい。
本発明の製造方法において、反応条件としては特に制限はないが、反応は−40〜80℃の範囲で行われることが好ましく、0〜40℃の範囲で行われることがより好ましい。反応圧力は、常圧、加圧、減圧のいずれでもよいが、常圧で行うことが好ましい。反応時間は、用いる触媒の量や反応温度等により左右され、一義的に定めることはできないが、0.5〜180分であることが好ましく、2〜60分であることがより好ましい。
本発明の製造方法を用いれば、上記スチレン化合物の酸化反応を常温・常圧下で行うことができる。これは、特に工業的生産において大きな利点である。
また、本発明の製造方法では、原料であるスチレン化合物以外にハロゲン化合物を用いることなく上記酸化反応を行うことができる。このため、本発明では、原料であるスチレン化合物以外にハロゲン化合物を使用しない。酸化剤や触媒等にハロゲン化合物を用いずにスチレンオキシド化合物を製造しうるため、安全面や環境面において優れた方法である。
具体的な実施態様としては、反応器に上述した鉄化合物、塩基、複素環カルボン酸化合物、溶媒、及び過酸化水素水を入れて混合し、さらにスチレン化合物を加えて所定の温度で反応を行うことが好ましい。反応終了後、溶媒を溜去し、蒸留、クロマト分離、再結晶や昇華等の通常の方法によって、得られたスチレンオキシド化合物を取り出すことができる。必要に応じ、反応終了後に有機溶媒を追添し、有機層と水層に分離した後、有機層のみを分離して濃縮してもよい。また、必要に応じ、チオ硫酸ナトリウム水溶液等で残留する過酸化水素を分解してもよい。
工業的に安定したエポキシ化反応及びエポキシ化合物の生産という観点からは、前記触媒と基質であるスチレン化合物とを最初に反応器に仕込み、反応温度を極力一定に保ちつつ、過酸化水素を反応で消費されているのを確認しながら徐々に加えていくことが好ましい。このような方法であれば、反応器内で過酸化水素が異常分解して酸素ガスが発生したとしても、過酸化水素の蓄積量が少なく圧力上昇を最小限に留めることができる。
本発明の製造方法は、上記触媒の存在下で反応を行うことによって、スチレン化合物を効率よくエポキシ化でき、スチレンオキシド化合物を高収率で製造することができる。また、本発明の製造方法によれば、反応操作が簡便で、環境や人体への影響・毒性が小さく、環境に対する負荷を軽減することができ、安全かつ迅速に目的のスチレンオキシド化合物を得ることができる。
以下に、本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明はこれにより限定して解釈されるものではない。
参考例1
300mLのフラスコに、硝酸鉄(III)九水和物(和光純薬工業株式会社製)0.808g(2.00mmol)、トリエチルアミン(和光純薬工業株式会社製)0.607g(6.00mmol)、2-ピコリン酸(東京化成工業株式会社製)0.249g(2.00mmol)、6-メチル-2-ピコリン酸(東京化成工業株式会社製)0.280g(2.00mmol)、アセトニトリル(和光純薬工業株式会社製)を入れ、室温にてマグネチックスターラーで撹拌した。10分後、ろ過して、ろ液を滴下ロートを備えた500mLのフラスコに移した。この混合物にスチレン10.4g(100.00mmol)を加え、室温でマグネチックスターラーで撹拌しながら、30%過酸化水素水溶液13.5g(120.00mol)を滴下した。滴下終了後、5分間、攪拌を継続した。この後、酢酸エチルおよび飽和亜硫酸ナトリウム水溶液を追加したのち有機層を分離した。
この有機層を濃縮した後、減圧蒸留にて生成物を単離したところ、スチレンオキシドが9.793g(81.61mmol)得られ、収率は82%であった。
なお、収率は生成物の重量を元に、以下の計算式により算出した。
収率(%)=(蒸留にて得られた生成物のモル数/使用した原料のモル数)×100
比較例1
ピリジンカルボン酸化合物を加えなかった以外は参考例1と同様の条件で反応を行なった。その結果、スチレンの転化率は0%であり、ガスクロマトグラフィーでスチレンオキシドは検出されなかった。
参考例
アセトニトリルを加えなかった以外は参考例1と同様の条件で反応を行なった。その結果、スチレンの転化率は0%であり、ガスクロマトグラフィーでスチレンオキシドは検出されなかった。
実施例
試験管に無水酢酸鉄(II)(ALDRICHI製)0.00347g(0.020mmol)、2-ピコリン酸(東京化成工業株式会社製)0.00249g(0.02mmol)、6-メチル-2-ピコリン酸(東京化成工業株式会社製)0.00280g(0.020mmol)、アセトニトリル(和光純薬工業株式会社製)を入れ、マグネチックスターラーで撹拌しながら50℃に加温した。30分撹拌を継続し、反応液を室温まで冷却した後、ろ過して、ろ液を試験管に移した。この混合物に4-メチルスチレン(0.118g、1.00mmol)を加え、温度を25℃とした後、30%過酸化水素水溶液0.135g (1.20mol)を滴下した。滴下終了後、5分間攪拌を継続した。
この反応液を下記に従い分析したところ、4-メチルスチレンの転化率は96%、4-メチルスチレンオキシドへの選択率は86%であった。また、参考例1と同様に収率を算出したところ、収率(エポキシ収率)は83%であった。
転化率、選択率はガスクロマトグラフィーにより分析した結果を元に、以下の計算式により算出した。
転化率(%)=(1−残存した原料のモル数/使用した原料のモル数)×100
選択率(%)={(目的化合物のモル数/使用した原料のモル数)×10000}/転化率(%)
実施例
実施例において4-メチルスチレンを表1に示す化合物に変更し、無水酢酸鉄(II)(Fe(OAc)2)、2-ピコリン酸(picH)、6-メチル-2-ピコリン酸(Me-picH)、過酸化水素水溶液(H2O2)の量を表1のように変更した以外は、実施例と同様にしてエポキシ化反応を行い、得られたスチレンオキシド化合物の収率(エポキシ収率)、転化率及び選択率を算出した。実施例と併せて結果を表1に示す。
Figure 0005633672
表1から明らかなように、実施例の製造方法を用いることでスチレンオキシド化合物を高い収率で得ることができた。また、スチレン化合物の転化率及びスチレンオキシド化合物の選択率も非常に高かった。すなわち、本発明の製造方法を用いれば、生成したスチレンオキシド化合物が分解することなく高い収率で得られ、原料であるスチレン化合物を高い効率で利用でき、しかも副反応による副生成物の発生を低く抑えることができることがわかった。

Claims (7)

  1. スチレン化合物と過酸化水素とを反応させてスチレンオキシド化合物を製造するに当り、反応を、該スチレン化合物以外にハロゲン化合物を用いることなく、触媒として鉄(II)塩及び複素環カルボン酸化合物を使用し、該スチレン化合物及び過酸化水素を溶解しうる有機溶媒中で行うことを特徴とするスチレンオキシド化合物の製造方法。
  2. 前記スチレン化合物が、下記一般式(1)で表されることを特徴とする請求項1記載のスチレンオキシド化合物の製造方法。
    Figure 0005633672
    (式中、R〜Rは、それぞれ独立に水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基、炭素数3〜7のシクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、アシル基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、カルボキシル基、ニトロ基又はアシロキシ基を表す。R〜Rの内のいずれか2つの基は、互いに結合して環を形成していてもよい。)
  3. 前記R 〜R が水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基、炭素数3〜7のシクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、アシル基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、カルボキシル基、ニトロ基又はアシロキシ基であり、R 〜R が、水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基である請求項2に記載のスチレンオキシド化合物の製造方法。
  4. 前記反応を、塩基として、アルカリ金属塩または有機アミン化合物を使用することなく行うことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のスチレンオキシド化合物の製造方法。
  5. 前記複素環カルボン酸化合物として、ピリジンカルボン酸化合物及び/又はイミダゾールカルボン酸化合物を用いることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のスチレンオキシド化合物の製造方法。
  6. 前記複素環カルボン酸化合物を2種以上混合使用することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のスチレンオキシド化合物の製造方法。
  7. 前記複素環カルボン酸化合物が、2−ピコリン酸、6−メチル−2−ピコリン酸および3−メチル−2−ピコリン酸から選択される化合物であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のスチレンオキシド化合物の製造方法。
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