JP2010155805A - エポキシ化合物の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】温和な条件下、有機溶媒を使用せず、二重結合を有する有機化合物(オレフィン)類と過酸化水素水溶液との反応により、触媒活性が高く、過酸化水素効率の良い多官能性エポキシモノマーの製造触媒の提供。
【解決手段】過酸化水素を酸化剤として用いて二重結合を有する有機化合物の該二重結合をエポキシ化するエポキシ化合物の製造方法において、タングステン化合物、並びに、下記式(1)で表される炭素数1〜22の飽和又は不飽和炭化水素、炭素数6〜10のアリール基を有する3級アミン、及び/又は、炭素数1〜22の飽和又は不飽和炭化水素、炭素数6〜10のアリール基を有する4級アンモニウム塩を、触媒として用いる。
【選択図】なし
【解決手段】過酸化水素を酸化剤として用いて二重結合を有する有機化合物の該二重結合をエポキシ化するエポキシ化合物の製造方法において、タングステン化合物、並びに、下記式(1)で表される炭素数1〜22の飽和又は不飽和炭化水素、炭素数6〜10のアリール基を有する3級アミン、及び/又は、炭素数1〜22の飽和又は不飽和炭化水素、炭素数6〜10のアリール基を有する4級アンモニウム塩を、触媒として用いる。
【選択図】なし
Description
本発明は、エポキシ化合物の製造方法に関する。さらに詳しくは、過酸化水素を酸化剤として用いて二重結合を有する有機化合物(オレフィン)の二重結合を高効率でエポキシ化することができる活性の高い触媒系でのエポキシ化合物の製造方法に関する。
過酸化水素水は、安価で腐食性がなく、反応後の副生物は水であるため、環境負荷が小さく、工業的に利用するには優れた酸化剤である。
この過酸化水素水をエポキシ化剤(酸化剤)としてオレフィン類からエポキシ化合物を製造する方法としては、従来、(1)塩化第4級アンモニウム、リン酸類、タングステン金属塩の存在下、過酸化水素によりエポキシ化する方法(以下、特許文献1、2を参照のこと)、(2)有機溶媒中、第4級アンモニウム塩のような相間移動触媒とタングステン酸類とα−アミノメチルホスホン酸を触媒に用いてエポキシ化する方法(以下、特許文献3を参照のこと)、(3)トルエン溶媒中、タングステン化合物と過酸化水素とを反応せしめてなるタングステン酸化物、第4級アンモニウム硫酸水素塩およびリン酸類の存在下にエポキシ化する方法(以下、特許文献4を参照のこと)、(4)トルエンのような有機溶媒の存在下に、タングステン化合物、第四級アンモニウム塩、リン酸類及び/又はホウ酸類、及び硫酸水素塩を含んでなる多成分系酸化触媒を用いてエポキシ化する方法(以下、特許文献5を参照のこと)、(5)ヘテロポリ酸のセチルピリジニウム塩のような相間移動能とエポキシ化能との両者を具備する触媒を用いてクロロホルム溶媒中でエポキシ化する方法(以下、非特許文献1を参照のこと)が知られているが、これらの触媒系は有機溶媒の使用が必須である上に、触媒活性も十分とはいえず、高価なタングステン酸触媒を多く使用する必要がある。また、有機溶媒を使用せずに反応を実行する反応系も報告されている(以下、特許文献6を参照のこと)が、有機溶媒は使用しなくて済むものの触媒活性は十分とはいえない。
タングステン以外の触媒を用いる方法として、(6)無機酸化物担体にメチルトリオキソレニウム(CH3ReO3)と有機強塩基化合物を担持した触媒を用いて、過酸化水素によりエポキシ化する方法(以下、特許文献7を参照のこと)、(7)チタン含有ゼオライト触媒、及び3級アミン、3級アミンオキサイド又はそれらの混合物を含む添加剤の存在下、過酸化水素によりエポキシ化する方法(以下、特許文献8を参照のこと)、(8)フルオロアルキルケトン触媒下、過酸化水素によりエポキシ化する方法 (以下、非特許文献2を参照のこと)などが知られているが、これらの方法は触媒効率が悪く過剰の過酸化水素が必要であり、また小さな基質にしか適用できないなどの制約が多い方法である。
従って、温和な条件下、有機溶媒を使用せずに簡便な操作で安全にジオレフィン類から選択的に2官能性エポキシモノマーを収率良く、かつ、低コストで製造する方法の開発が強く要望されている。
本発明が解決しようとする課題は、温和な条件下、有機溶媒を使用せず、二重結合を有する有機化合物(オレフィン)類と過酸化水素水溶液の反応により、触媒活性が高く、過酸化水素効率の良い多官能性エポキシモノマーの新規製造触媒を提供することである。
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意研究の結果、有機溶媒を使用せず、第4級アンモニウム塩又は3級アミンの少なくとも1つの置換基にベンジル基が導入された化合物を、タングステン触媒の助触媒に用いることにより、触媒活性が飛躍的に向上し、エポキシ化合物が高効率で選択的に生成することを見出し、本発明を完成するに至った。
具体的には、本発明は、以下の[1]〜[9]である。
[1]過酸化水素を酸化剤として用いて二重結合を有する有機化合物の該二重結合をエポキシ化するエポキシ化合物の製造方法において、タングステン化合物、並びに以下の式(1):
{式中、R1とR2は、独立に、炭素数1〜22の飽和又は不飽和炭化水素であり、そしてArは、炭素数6〜10のアリール基である。}で表される3級アミン、及び/又は以下の式(2):
{式中、R3〜R5は、独立に、炭素数1〜22の飽和又は不飽和炭化水素であり、Arは、炭素数6〜10のアリール基であり、そしてXは、ハロゲン、硫酸又は硫酸水素アニオンである。}で表される4級アンモニウム塩を、触媒として用いることを特徴とするエポキシ化合物の製造方法。
[1]過酸化水素を酸化剤として用いて二重結合を有する有機化合物の該二重結合をエポキシ化するエポキシ化合物の製造方法において、タングステン化合物、並びに以下の式(1):
[2]鉱酸、及び/又はその部分中和塩を助触媒として使用する、前記[1]に記載のエポキシ化合物の製造方法。
[3]リン酸、リン酸エステル、アルキルホスホン酸、及びアルキルホスホン酸エステルから成る群から選ばれる少なくとも一種を助触媒として使用する、前記[1]又は[2]に記載のエポキシ化合物の製造方法。
[4]前記二重結合を有する有機化合物が、以下の式(3):
{式中、R6、R7、R8、R9、及びR10は、独立に、水素原子又はメチル基であり、R11は、水素原子、メチル基、フェニル基又は以下の式(4):
(式中、R15は、炭素数2〜8のアルキレン又はシクロアルキレン基であり、R16は、炭素数1〜10のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルケニル基又はシクロアルケニル基であり、そしてmは、0〜5の整数である。)で表されるR14であり、R12は、炭素数2〜8のアルキレン又はシクロアルキレン基であり、R13は、炭素数1〜10のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルケニル基又はシクロアルケニル基であり、そしてnは、0〜5の整数である。}及び/又は以下の式(5):
{式中、R17、R18、R19、R20、R21、及びR25は、独立に、水素原子又はメチル基であり、R23は、水素原子、メチル基又はフェニル基であり、R24は、炭素数2〜8のアルキレン又はシクロアルキレン基であり、そしてlは、0〜5の整数である。}で表される、前記[1]〜[3]のいずれかに記載のエポキシ化合物の製造方法。
[5]前記タングステン化合物を、タングステン化合物に対して0.5〜2モル当量の過酸化水素水溶液に予め溶解して用いる、前記[1]〜[4]のいずれかに記載のエポキシ化合物の製造方法。
[6]前記鉱酸が、リン酸及び/又は硫酸である、前記[2]〜[5]のいずれかに記載のエポキシ化合物の製造方法。
[7]前記タングステン化合物が、タングステン酸ナトリウムである、前記[1]〜[6]のいずれかに記載のエポキシ化合物の製造方法。
[8]前記タングステン酸化合物としてタングステン酸ナトリウムを用い、かつ、該タングステン酸ナトリウムに対して0.25〜3モル当量のリン酸及び/又は硫酸を前記過酸化水素水溶液に添加する、前記[5]に記載のエポキシ化合物の製造方法。
[9]前記二重結合を有する有機化合物が、3-シクロヘキセニルメチル(メタ)アクリレート及び/又は3-シクロヘキセン-1-カルボン酸アリルである、前記[1]〜[8]のいずれかに記載のエポキシ化合物の製造方法。
本発明に係るエポキシ化合物の製造方法によれば、ベンジル基を有する3級アミン又は4級アンモニウム塩を用いることにより、触媒の活性選択性が向上し目的とするエポキシ化合物を効率的に得ることができ、レジスト材料(特にソルダ−レジスト材料)の原料として、また農薬・医薬の中間体や可塑剤、接着剤、塗料樹脂といった各種ポリマーの原料として化学工業をはじめ、各種の産業分野で幅広く用いられる有用な物質である多官能性エポキシモノマーを、対応するポリオレフィン類と過酸化水素水の反応から簡便な操作で安全に、収率良く、かつ、低コストで製造できる。従って、本発明は工業的に多大な効果をもたらす。また、本製造法は有機溶媒を使用しないため、環境に対する負荷を軽減する効果も有する。
以下本発明を詳細に説明する。
本発明に係るエポキシ化合物の製造方法において用いられる過酸化水素水溶液の濃度には特に制限はないが、一般的には1〜80%、好ましくは15〜65%の範囲から選ばれる。無論、工業的な生産性の観点からは過酸化水素水溶液は高濃度のほうが好ましいが、無用に過剰の過酸化水素水溶液を用いないほうがよいことは言うまでもない。
本発明に係るエポキシ化合物の製造方法において用いられる過酸化水素水溶液の濃度には特に制限はないが、一般的には1〜80%、好ましくは15〜65%の範囲から選ばれる。無論、工業的な生産性の観点からは過酸化水素水溶液は高濃度のほうが好ましいが、無用に過剰の過酸化水素水溶液を用いないほうがよいことは言うまでもない。
また、過酸化水素水溶液の使用量についても、特に制限はないが、エポキシ化合物の転化率を上げるには過剰の過酸化水素を用い反応時間を長くする必要があるので、反応系が酸性のためにエポキシ基の加水分解が進行しやすくなる。また、過酸化水素の使用量をあまりに過剰に用いると、反応後の過酸化水素の処理も問題になるので、エポキシ化しようとするオレフィン類に対して、二重結合数を基準として0.5〜5モル当量の範囲とすることが好ましく、より好ましくは0.7〜1.5モル当量の範囲である。
触媒として用いるタングステン化合物としては、水中でタングステン酸アニオンを生成する化合物、例えばタングステン酸、三酸化タングステン、三硫化タングステン、六塩化タングステン、ケイタングステン酸、リンタングステン酸、タングステン酸アンモニウム、タングステン酸カリウム(水和物を含む)、タングステン酸ナトリウム(水和物を含む)等が挙げられるが、タングステン酸、リンタングステン酸、タングステン酸ナトリウム二水和物等が好ましい。これらタングステン化合物類は単独で使用しても、2種以上を混合使用してもよい。その使用量は基質のオレフィン類に対して二重結合数を基準として0.0001〜20モル%、好ましくは0.01〜20モル%の範囲である。
ベンジル基の導入された3級アミンとしては、以下の式(1):
{式中、R1とR2は、独立に、炭素数1〜22の飽和又は不飽和炭化水素であり、そしてArは、炭素数6〜10のアリール基である。}で表される化合物を用いることが好ましい。
具体的には、ベンジル基の導入された3級アミンとして、N,N-ジメチルベンジルアミン、N,N-ジベンジルアニリン、トリベンジルアミン、N-ベンジルジエチルアミン、N,N-ジベンジル-2-アミノエタノール、6-ベンジルアミノ-1-ヘキサノール、N-ベンジル-3-ピペラジノールが挙げられる。
また、ベンジル基の導入された第4級アンモニウム塩としては、以下の式(2):
{式中、R3〜R5は、独立に、炭素数1〜22の飽和又は不飽和炭化水素であり、Arは、炭素数6〜10のアリール基であり、そしてXは、ハロゲン、硫酸又は硫酸水素アニオンである。}で表される化合物を用いることが好ましい。
ベンジル基の導入された第4級アンモニウム塩として、具体的には、ベンジルセチルジメチルアンモニウムクロリド、ベンジルジメチルフェニルアンモニウムクロリド、ベンジルジメチルテトラデシルアンモニウムクロリド水和物、ベンジルトリブチルアンモニウムクロリド、ベンジルトリエチルアンモニウムクロリド、ベンジルトリメチルアンモニウムクロリド、ベンゼトニウムクロリド、塩化ココベンジルジメチルアンモニウム(ライオンアクゾ(株)製アーカードCB-50)等が挙げられる。
これらの3級有機アミン又は4級アンモニウム塩としては、ベンジル基を含めたアルキル基の炭素数の総和が10以上、より好ましくは16以上のものを助触媒として用いたほうが、エポキシ化反応の活性が高くて好ましい。これらは単独で使用しても、2種以上を混合使用してもよい。その使用量は基質のオレフィン類に対して二重結合数を基準として0.0001〜10モル%、好ましくは0.01〜10モル%の範囲である。前記4級アンモニウム塩又は3級有機アミンに、他の4級アンモニウム塩や3級アミンを併用してもよい。
助触媒としてさらに鉱酸を併用したほうがよい。このような鉱酸としては、硫酸、リン酸、硝酸、ホウ酸等を用いることができるが、特に硫酸、リン酸がより好ましい。これらの使用量としては基質のオレフィン類に対して、二重結合数を基準として0.001〜20モル%、好ましくは0.1〜20モル%の範囲である。
また、鉱酸は、アルカリ金属、アルカリ土類金属、有機アミン等の塩基性化合物によって、一部部分的に中和されていてもよい。
助触媒としてリン酸、リン酸エステル、アルキルホスホン酸又はアルキルホスホン酸エステルをさらに用いることは、触媒活性を向上させるために効果的である。
リン酸エステルとしては、メチルリン酸、エチルリン酸、ブチル燐酸、ヘキシルリン酸、オクチルリン酸、デシルリン酸、ウンデシルリン酸、ドデシルリン酸、テトラデシルリン酸、ヘキサデシルリン酸、ジメチルリン酸、ジエチルリン酸、ジブチル燐酸、ジヘキシルリン酸、ジオクチルリン酸、ジデシルリン酸、ジウンデシルリン酸、ジドデシルリン酸、ジテトラデシルリン酸、ジヘキサデシルリン酸などが挙げられる。
アルキルホスホン酸としては、α−アミノメチルホスホン酸、α−アミノエチルホスホン酸、α−アミノプロピルホスホン酸、α−アミノブチルホスホン酸、α−アミノペンチルホスホン酸、α−アミノへプチルホスホン酸、α−アミノヘキシルホスホン酸、α−アミノヘプチルホスホン酸、α−アミノオクチルホスホン酸、α−アミノノニルホスホン酸、α−アミノ−α−フェニルメチルホスホン酸、N−アセチル−α−アミノメチルホスホン酸、N−プロピオニル−α−アミノメチルホスホン酸、N−ベンゾイル−α−アミノメチルホスホン酸、N−(4−メトキシベンゾイル)−α−アミノメチルホスホン酸などが挙げられる。
これらのリン酸、リン酸エステル、アルキルホスホン酸は単独で使用しても2種以上を混合使用してもよい。使用する場合にはその使用量は、基質のオレフィン類に対して二重結合数を基準として0.0001〜5モル%、好ましくは0.01〜5モル%の範囲である。
また、タングステン化合物は予め溶解しておいたほうが、固体のタングステン化合物を原料として仕込み、過酸化水素の滴下が始まってから溶解させるよりも、活性の再現性をもたらす点で有利である。ただし、タングステン酸はほとんど水に溶解しないし、タングステン酸ナトリウムも水への溶解度は良いものの、鉱酸を加えると溶解しづらくなる。
そこで、タングステン化合物の溶解不良を避けるために、予めタングステン化合物に対して0.5〜2モル当量の過酸化水素水溶液を用いて溶解しておくことが望ましい。0.5モル当量よりも少ないと溶解度を向上させる効果が低く、2モル当量よりも多く用いても効果はほぼ同様であり、逆に過酸化水素の異常分解等により酸素発生の危険性が高くなるので好ましくない。
また、過酸化水素濃度は、あまりに低いと効果が少なく、あまりに高いと使用時の危険性が増大するので、15〜65%の範囲で選ぶことが望ましい。
特に、タングステン酸ナトリウムを用いる場合には、鉱酸を加えると析出しやすくなるので、過酸化水素水溶液に溶解したタングステン酸ナトリウムに対して、0.25モル当量〜3モル当量の燐酸及び/又は硫酸を加えておいたほうがよい。0.25モル当量より低いと触媒活性が低く、3モル当量より多いとタングステン化合物が析出するおそれがある。
本発明に係るエポキシ化合物の製造方法においては、反応は通常、30〜100℃の範囲で、好ましくは40〜80℃の範囲で行われる。
エポキシ化を行う基質として、以下の式(3):
{式中、R6、R7、R8、R9、及びR10は、独立に、水素原子又はメチル基であり、R11は、水素原子、メチル基、フェニル基又は以下の式(4):
(式中、R15は、炭素数2〜8のアルキレン又はシクロアルキレン基であり、R16は、炭素数1〜10のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルケニル基又はシクロアルケニル基であり、そしてmは、0〜5の整数である。)で表されるR14であり、R12は、炭素数2〜8のアルキレン又はシクロアルキレン基であり、R13は、炭素数1〜10のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルケニル基又はシクロアルケニル基であり、そしてnは、0〜5の整数である。}又は以下の式(5):
{式中、R17、R18、R19、R20、R21、及びR25は、独立に、水素原子又はメチル基であり、R23は、水素原子、メチル基又はフェニル基であり、R24は、炭素数2〜8のアルキレン又はシクロアルキレン基であり、そしてnは、0〜5の整数である。}で表される化合物を用いて、無溶媒で反応を行うことが好ましい。
式(3)で表される化合物としては、より具体的には、例えば、3-シクロヘキセン-1-カルボン酸メチル、3-シクロヘキセン-1-カルボン酸エチル、3-シクロヘキセン-1-カルボン酸フェニル、3-シクロヘキセン-1-カルボン酸ベンジル、3-シクロヘキセン-1-カルボン酸シクロヘキシル、3-シクロヘキセン-1-カルボン酸アリル、3-シクロヘキセン-1-カルボン酸-2’-アリロキシエチル、3-シクロヘキセン-1-カルボン酸-2’-メチル-2’-プロペニル、3-シクロヘキセン-1-カルボン酸-1’-メチル-2’-プロペニル、3-シクロヘキセン-1-カルボン酸-1’-エチル-2’-プロペニル、3-シクロヘキセン-1-カルボン酸-1’-フェニル-2’-プロペニル、1-メチル-3-シクロヘキセン-1-カルボン酸メチル、1-メチル-3-シクロヘキセン-1-カルボン酸エチル、1-メチル-3-シクロヘキセン-1-カルボン酸フェニル、1-メチル-3-シクロヘキセン-1-カルボン酸ベンジル、1-メチル-3-シクロヘキセン-1-カルボン酸シクロヘキシル、1-メチル-3-シクロヘキセン-1-カルボン酸アリル、1-メチル-3-シクロヘキセン-1-カルボン酸-2’-アリロシキエチル、3-シクロヘキセン-6-フェニル-1-カルボン酸メチル、3-シクロヘキセン-6-フェニル-1-カルボン酸エチル、3-シクロヘキセン-6-フェニル-1-カルボン酸フェニル、3-シクロヘキセン-6-フェニル-1-カルボン酸ベンジル、3-シクロヘキセン-6-フェニル-1-カルボン酸アリル、3-シクロヘキセン-3-メチル-1-カルボン酸メチル、3-シクロヘキセン-3-メチル-1-カルボン酸エチル、3-シクロヘキセン-3-メチル-1-カルボン酸フェニル、3-シクロヘキセン-3-メチル-1-カルボン酸ベンジル、3-シクロヘキセン-3-メチル-1-カルボン酸アリル、3-シクロヘキセン-4-メチル-1-カルボン酸メチル、3-シクロヘキセン-4-メチル-1-カルボン酸エチル、3-シクロヘキセン-4-メチル-1-カルボン酸フェニル、3-シクロヘキセン-4-メチル-1-カルボン酸ベンジル、3-シクロヘキセン-4-メチル-1-カルボン酸アリル、3-シクロヘキセン-1,6-ジカルボン酸ジメチル、3-シクロヘキセン-1,6-ジカルボン酸ジエチル、3-シクロヘキセン-1,6-ジカルボン酸ジフェニル、3-シクロヘキセン-1,6-ジカルボン酸ジベンジル、3-シクロヘキセン-1,6-ジカルボン酸ジアリル、3-シクロヘキセニルメチル-3-シクロヘキセニル-1-カルボキシレートなどが挙げられる。
また、式(5)で表される化合物としては、例えば3-シクロヘキセニルメチル(メタ)アクリレート、2-(3-シクロヘキセニルメトキシ)エチル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
これらの中でも特に、3-シクロヘキセニルメチル(メタ)アクリレート及び/又は3-シクロヘキセン-1-カルボン酸アリルが、エポキシ化を行った後も、変性に利用できる二重結合を残すことができる点で、特に好ましい。
これらの化合物は通常溶媒を用いずに、過酸化水素水溶液と触媒を混合するだけでエポキシ化反応を行うことができるが、溶媒を用いることもできる。
また、エポキシ化を行う方法としては工業的に安定に生産を行うことを考えると、触媒と基質を最初に反応器に仕込み、反応温度を極力一定に保ちつつ、過酸化水素については反応で消費されているのを確認しながら、徐々に加えていったほうがよい。このような方法をとれば、反応器内で過酸化水素が異常分解して酸素ガスが発生したとしても、過酸化水素の蓄積量が少なく圧力上昇を最小限に抑えることができる。
エポキシ化反応後には、必要により酢酸エチル、トルエン、シクロヘキサンやヘキサンのような有機溶媒を用いて抽出し、有機層をチオ硫酸ナトリウムのような還元剤により処理して、過酸化水素を分解した後、更に溶媒を留去、濃縮後、再結晶や蒸留、昇華等の通常の方法によって目的物を取り出すことができる。
以下実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明は以下の実施例にのみ制限されるものではない。
タングステン触媒溶液の調製例-1
100mlのコニカルビーカー中で、タングステン酸ナトリウム20.0g(60.6mmmol)、50%硫酸水溶液5.95g(30.3mmol)、純水34g、35%過酸化水素水溶液5.90g(60.7mmol)を、マグネチックスターラーにより、室温で攪拌し、溶解した。
100mlのコニカルビーカー中で、タングステン酸ナトリウム20.0g(60.6mmmol)、50%硫酸水溶液5.95g(30.3mmol)、純水34g、35%過酸化水素水溶液5.90g(60.7mmol)を、マグネチックスターラーにより、室温で攪拌し、溶解した。
実施例1
滴下ロート、ジムロート冷却管を備えた300mLの三ツ口フラスコに、調製例-1のタングステン酸溶液2.61g(Wとして、2.41mmol、硫酸として1.20mmol)、アーカードCB-50(ライオンアクゾ(株)製塩化ココベンジルジメチルアンモニウムの51.7%水溶液)0.817g(1.20mmol)、アミノメチルホスホン酸0.134g(1.20mmol)、3-シクロヘキセンカルボン酸アリル40g(0.241mol)を入れ、反応液を70℃に調節し、撹拌しながら35%過酸化水素水溶液21.0g(0.217mol)を反応温度が75℃を越えないように注意しながら、0.5時間かけて滴下した。滴下終了後、1時間、攪拌を継続し、反応液を室温まで冷却した。反応液に酢酸エチル40gを添加すると、上層に有機層、下層に水層に分かれた。上層の有機層を分析すると3-シクロヘキセンカルボン酸アリルの転化率は87%、3,4-エポキシシクロヘキサンカルボン酸アリルへの選択率は95%であった。なお、転化率、選択率はガスフロにより分析した結果を元に、以下の計算式により計算した。
転化率(%)=(1−残存した原料のモル数/使用した原料のモル数)×100
選択率(%)={(目的化合物のモル数/使用した原料のモル数)×10000}/転化率(%)
滴下ロート、ジムロート冷却管を備えた300mLの三ツ口フラスコに、調製例-1のタングステン酸溶液2.61g(Wとして、2.41mmol、硫酸として1.20mmol)、アーカードCB-50(ライオンアクゾ(株)製塩化ココベンジルジメチルアンモニウムの51.7%水溶液)0.817g(1.20mmol)、アミノメチルホスホン酸0.134g(1.20mmol)、3-シクロヘキセンカルボン酸アリル40g(0.241mol)を入れ、反応液を70℃に調節し、撹拌しながら35%過酸化水素水溶液21.0g(0.217mol)を反応温度が75℃を越えないように注意しながら、0.5時間かけて滴下した。滴下終了後、1時間、攪拌を継続し、反応液を室温まで冷却した。反応液に酢酸エチル40gを添加すると、上層に有機層、下層に水層に分かれた。上層の有機層を分析すると3-シクロヘキセンカルボン酸アリルの転化率は87%、3,4-エポキシシクロヘキサンカルボン酸アリルへの選択率は95%であった。なお、転化率、選択率はガスフロにより分析した結果を元に、以下の計算式により計算した。
転化率(%)=(1−残存した原料のモル数/使用した原料のモル数)×100
選択率(%)={(目的化合物のモル数/使用した原料のモル数)×10000}/転化率(%)
MTOAHS:トリオクチルメチルアンモニウム硫酸水素
MTOAC:トリオクチルメチルアンモニウムクロライド
MTOAC:トリオクチルメチルアンモニウムクロライド
表1より、アミノメチルホスホン酸存在下で、CB−50を用いると触媒活性が高いことが分かる。
TON:トリオクチルアミン
表2より、アミノメチルホスホン酸に代えてリン酸を用いても同様にCB−50を用いると触媒活性が高いことが分かる。
表3はリン化合物を用いずにエポキシ化反応を行った結果を示す。リン化合物を用いた場合に比べると劣るものの、リン化合物を用いず種々のベンジル基が導入されたアンモニウム塩を使用した場合でも触媒活性が高いことが分かる。特にCB−50を用いると触媒活性が高いことが分かる。
実施例1〜7はシクロヘキセン骨格の二重結合と脂肪族の二重結合を有する基質を用いたのに対して、実施例8と9ではシクロヘキセン骨格の二重結合を1つのみ有する基質を用いており、実施例10ではシクロヘキセン骨格の二重結合を複数(この実施例では二重結合は2つ)有する基質を用いている。いずれの場合もエポキシ化反応は進行するが、後者の場合触媒活性はやや低かった。なお、実施例10における転化率は、2つの二重結合の少なくとも一方がエポキシ化された(いずれか一方がエポキシ化されたものと両方がエポキシ化されたものの総和)割合を意味している。
以上の結果より、本発明に係るエポキシ化合物の製造方法は、シクロヘキセン骨格の二重結合のエポキシ化に有効であり、特にシクロヘキセン骨格の二重結合と脂肪族の二重結合を有する基質を用いてシクロヘキセン骨格の二重結合を選択的にエポキシ化させるのに有効であることが分かる。本発明に係るエポキシ化合物の製造方法によりレジスト材料(特にソルダ−レジスト材料)の原料として、また農薬・医薬の中間体や可塑剤、接着剤、塗料樹脂といった各種ポリマーの原料として有用な多官能性エポキシモノマーを簡便な操作で安全に、収率良く、かつ、低コストで製造できる。
Claims (9)
- 過酸化水素を酸化剤として用いて二重結合を有する有機化合物の該二重結合をエポキシ化するエポキシ化合物の製造方法において、タングステン化合物、並びに以下の式(1):
- 鉱酸、及び/又はその部分中和塩を助触媒として使用する、請求項1に記載のエポキシ化合物の製造方法。
- リン酸、リン酸エステル、アルキルホスホン酸、及びアルキルホスホン酸エステルから成る群から選ばれる少なくとも一種を助触媒として使用する、請求項1又は2に記載のエポキシ化合物の製造方法。
- 前記二重結合を有する有機化合物が、以下の式(3):
- 前記タングステン化合物を、タングステン化合物に対して0.5〜2モル当量の過酸化水素水溶液に予め溶解して用いる、請求項1〜4のいずれか1項に記載のエポキシ化合物の製造方法。
- 前記鉱酸が、リン酸及び/又は硫酸である、請求項2〜5のいずれか1項に記載のエポキシ化合物の製造方法。
- 前記タングステン化合物が、タングステン酸ナトリウムである、請求項1〜6のいずれか1項に記載のエポキシ化合物の製造方法。
- 前記タングステン酸化合物としてタングステン酸ナトリウムを用い、かつ、該タングステン酸ナトリウムに対して0.25〜3モル当量のリン酸及び/又は硫酸を前記過酸化水素水溶液に添加する、請求項5に記載のエポキシ化合物の製造方法。
- 前記二重結合を有する有機化合物が、3-シクロヘキセニルメチル(メタ)アクリレート及び/又は3-シクロヘキセン-1-カルボン酸アリルである、請求項1〜8のいずれか1項に記載のエポキシ化合物の製造方法。
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JP2011225711A (ja) * | 2010-04-19 | 2011-11-10 | Nippon Kayaku Co Ltd | エポキシ樹脂の製造法、エポキシ樹脂、および硬化性樹脂組成物 |
CN109046452A (zh) * | 2018-05-29 | 2018-12-21 | 南京大学 | 一种固载型杂多酸催化剂及其制备方法和应用 |
-
2008
- 2008-12-26 JP JP2008335202A patent/JP2010155805A/ja active Pending
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