JP5356867B2 - 一軸偏心ねじポンプ - Google Patents

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本発明は、例えば食料原料や、化学原料、下水汚泥などの粘性の高い流体等の圧送に用いられる一軸偏心ねじポンプに関する。
この種の一軸偏心ねじポンプとしては、雌ねじ状の内面をもつ固定されたステータに雄ねじ状のロータを内装し、そのロータを、ユニバーサルジョイントを介して駆動軸に連結したものがある(例えば特許文献1の第1図参照)。この一軸偏心ねじポンプによれば、その駆動軸を回転させることにより、ロータが回転しつつステータの軸心に対して偏心運動を行うことによって流体を吸入側から吐出側へ圧送することができる。
しかし、上記ユニバーサルジョイントを用いた一軸偏心ねじポンプでは、ステータが固定され、ロータが大きな反力を受けながら回転することになるので、ステータ内面に摩耗が生じ易い。また、ユニバーサルジョイント部分には圧送流体が付着しやすく、さらに、ユニバーサルジョイントのデッドスペースを洗浄するためには、ユニバーサルジョイントを分解しなければその洗浄が困難である。
そこで、ユニバーサルジョイントを介さずに、駆動軸に直結された雄ねじ状のロータと、軸受を介して回転可能に支承されるとともにその回転軸線がロータの回転軸線に対して偏心して配置される雌ねじ状の内面を有するステータとを備える一軸偏心ねじポンプが開発されてきた(例えば特許文献1の第3図、ないし特許文献2の第1図参照)。
特開昭59−153992号公報 特開昭50−49707号公報
しかしながら、この種の一軸偏心ねじポンプでは、吸込側に比べて吐出側が高圧となるため、低圧となる吸込側において吐出側からの逆流が生じ、この逆流からの液漏れにより圧送性能の低下が生じる懸念がある。この点に対し、例えば特許文献1(第3図)に開示される一軸偏心ねじポンプは、ステータの両端を比較的に小面積で支持する軸受構造を有するだけであり、また、例えば特許文献2(第1図)に開示される一軸偏心ねじポンプについても、ステータを支持する軸受として通常の玉軸受を用いてステータの両端を支持するだけなので、高圧側から低圧側への液漏れによる圧送性能の低下を抑制する上で未だ検討の余地が残されている。
そこで、本発明は、このような問題点に着目してなされたものであって、高圧側から低圧側への液漏れによる圧送性能の低下を抑制し得る一軸偏心ねじポンプを提供することを目的としている。
上記課題を解決するために、本発明は、食料原料、化学原料、下水汚泥などの流体の圧送に用いられ、駆動軸に直結された雄ねじ状のロータと、すべり軸受として自己潤滑軸受または水中軸受を介して回転可能に支承されるとともにその回転軸線が前記ロータの回転軸線に対して偏心して配置される雌ねじ状の内面を有するステータとを備え、前記ロータが回転しつつ前記ステータの軸心に対して偏心運動を行うことによって流体を吸入側から吐出側へ圧送する一軸偏心ねじポンプであって、前記すべり軸受とステータとの吐出側の摺動部端を密封するように配設されたシール部材を有し、前記すべり軸受とステータとの間の摺動部に軸方向に沿って設けられた連通路と、前記シール部材の吐出側に且つ前記圧送される流体の吐出口に連通して設けられた汲取口と、前記シール部材の吸入側に且つ前記連通路に連通して設けられた注入口とを更に備え、前記汲取口と注入口とは、汲取口から汲み取られて注入口から連通路に供給される潤滑のための流体の流量を調整する流量制御部を介して相互に連通されており、前記すべり軸受として前記水中軸受を用いる場合には、水または圧送流体自体を潤滑のための流体として用い、前記圧送流体の液質により影響を受けるときは前記水中軸受の軸受部に異物の混入を防ぐ手立てを講じて潤滑のための流体が供給されるようになっていることを特徴としている。
本発明に係る一軸偏心ねじポンプによれば、すべり軸受とステータとの吐出側の摺動部端を密封するように配設されたシール部材を有するので、高圧側から低圧側への液漏れによる圧送性能の低下を抑制することができる
また、本発明に係る一軸偏心ねじポンプによれば、前記すべり軸受とステータとの間の摺動部に軸方向に沿って設けられた連通路と、前記シール部材の吐出側に且つ前記圧送される流体の吐出口に連通して設けられた汲取口と、前記シール部材の吸入側に且つ前記連通路に連通して設けられた注入口とを更に備え、前記汲取口と注入口とは、汲取口から汲み取られて注入口から連通路に供給される潤滑のための流体の流量を調整する流量制御部を介して相互に連通されており、前記すべり軸受として前記水中軸受を用いる場合には、水または圧送流体自体を潤滑のための流体として用い、前記圧送流体の液質により影響を受けるときは前記水中軸受の軸受部に異物の混入を防ぐ手立てを講じて潤滑のための流体が供給されるようになっているので、圧送流体の液質により、すべり軸受とステータとの摺動部の潤滑状態を改善する対策として、圧送流体自体を用いて潤滑を行う場合に、高圧側の圧送流体を汲取口から導いて、これを流量制御部によって適宜調整して注入口から供給可能とする構成として好適である。
上述したように、本発明に係る一軸偏心ねじポンプは、すべり軸受とステータとの吐出側の摺動部端を密封するように配設されたシール部材を有するので、高圧側から低圧側への液漏れによる圧送性能の低下を抑制することができる。
本発明に係る一軸偏心ねじポンプの一実施形態の側面図であり、同図では要部を軸線に沿った断面図にて図示している。 図1に示す一軸偏心ねじポンプの変形例(第一変形例)である。 図1に示す一軸偏心ねじポンプの変形例(第二変形例)である。 図1に示す一軸偏心ねじポンプの変形例(第三変形例)である。
以下、本発明の一実施形態について、図面を適宜参照しつつ説明する。図1は、本発明に係る一軸偏心ねじポンプの一実施形態の側面図であり、同図では要部を軸線に沿った断面図にて図示している。
図1に示すように、この一軸偏心ねじポンプ1は、不図示のモータが収容されるブラケット11を有しており、このブラケット11には、モータの駆動軸3側の面にハウジング7が装着されている。そして、このハウジング7内に、雄ねじ状のロータ2と、雌ねじ状の内面をもつステータ4とを備えて構成されている。
ロータ2は、先端側の螺旋部2aと、直線状の基端部2bとから構成されている。基端部2bは、ユニバーサルジョイントを用いることなくモータ10の駆動軸3に直結されている。一方、螺旋部2aは、自身の回転軸線L2に対して偏心した長円形断面を有しており、この螺旋部2aが、雌ねじ状の内面を形成したステータ4に内装されている。そして、このステータ4の回転軸線L1に対して、上記ロータ2の回転軸線L2は、所定の偏心量Eだけ偏心するように配置されている。なお、ステータ4の雌ねじ状のピッチは螺旋部2aの2倍である。
そして、この一軸偏心ねじポンプ1は、モータの駆動軸3によってロータ2を回転させると、ロータ2はその回転軸線L2を中心として回転し、ロータ2の螺旋部2aの動きに伴ってステータ1もその回転軸線L1を中心としてロータ2の回転と同期して従動回転することにより、圧送流体を吸込口8から吐出口9へ圧送可能になっている。
ここで、上記ステータ4は、その両端が、すべり軸受としての、円環状の自己潤滑軸受5および自己潤滑軸受6を介して、ハウジング7内に回転自在に支承されている。このハウジング7は、吸込側(同図右側)から順に、吸込部7a、本体部7bおよび吐出部7cを備えて構成されている。そして、このハウジング7の吸込部7aには圧送流体の吸込口8が形成されており、また、吐出部7cには圧送流体の吐出口9が形成されている。なお、ハウジング7を構成する吸込部7aおよび本体部7bの内周面には、凹の段部7tがそれぞれ形成されている。また、上記各ステータ4の外周面にも、両端部に凹の段部4tがそれぞれ形成されており、これら凹の段部7tおよび4tによって、上記の自己潤滑軸受5、6の軸方向への移動が拘束されるようになっている。
また、この一軸偏心ねじポンプ1は、各自己潤滑軸受5、6とステータ4との間の摺動部に連通路20が軸方向に沿って設けられている。ここで、この連通路20は、ステータ4および自己潤滑軸受5、6の少なくとも一方に溝等を設けて構成することができるが、本実施形態の例では、自己潤滑軸受5、6の内周面およびステータ4側の互いに対向する端面に略L字状の溝を形成することによって連通路20としている。また、本実施形態の例では、ハウジング7の本体部7bの内周面に拡径部21を形成している。この拡径部21は、上記二つの連通路20相互を連通させるように形成されており、これにより、各自己潤滑軸受5、6の連通路20相互間の連通状態をより安定させている。
さらに、この一軸偏心ねじポンプ1は、自己潤滑軸受5、6とステータ4との吐出側の摺動部端を密封するように配設されたシール部材16を有して構成されている。
詳しくは、ステータ4の吐出側の端部は、吐出側に向けて軸方向に延設された円環状の小径部4pを有している。そして、この小径部4pは、その外径がステータ4の外径よりも小さい径になっており、ハウジング7を構成する吐出部7cの内周面に対向する位置まで軸方向に張り出して形成されている。また、ハウジング7の本体部7bの吐出側の端部には、円環状の鍔部7hが径方向内側に向けて突設されている。この鍔部7hは、ステータ4の小径部4pの外周面に対して僅かな隙間を隔てて対向する位置まで内周方向に張り出して形成されている。
そして、ハウジング7の本体部7bおよび吐出部7c同士の当接する面には、一対の装着溝7n、7mが互いに対向して形成されている。これら装着溝7n、7mは、上記小径部4pの外周面よりも径方向外側の位置に、シール部材16を嵌め込み可能な略L字状の横断面をもって形成されており、この装着溝7n、7m同士の間に、上記シール部材16が装着されている。なお、このシール部材16としては、本実施形態の例では、上記小径部4pの側に、径方向内側に向けて突設された複数のひだを有するラビリンスシールを用いている。
次に、この一軸偏心ねじポンプの作用・効果について説明する。
上述したように、この一軸偏心ねじポンプ1は、駆動軸3に直結された雄ねじ状のロータ2と、自己潤滑軸受5、6を介して回転可能に支承されるとともに回転軸線L1がロータ2の回転軸線L2に対して偏心して配置される雌ねじ状の内面を有するステータ4とを備え、自己潤滑軸受5、6によってステータ4を支持しているので、ステータ4の両端を比較的に広い面積で支持することができる。そのため、この一軸偏心ねじポンプ1の構造であれば、例えば上述したユニバーサルジョイントを用いた一軸偏心ねじポンプに比べて、圧送流体の液質に対する制限が少ないため、様々な液を圧送可能である。
そして、この一軸偏心ねじポンプ1によれば、自己潤滑軸受5、6とステータ4との吐出側の摺動部端を密封するように配設されたシール部材16を有するので、これにより、ステータ4の支承部分での逆流防止構造が構成され、高圧となる吐出側から吐出側よりも低圧となる吸込側への液漏れによる圧送性能の低下を抑制することができる。
なお、本発明に係る一軸偏心ねじポンプは、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しなければ種々の変形が可能なことは勿論である。
例えば、上記実施形態の例では、すべり軸受の例として自己潤滑軸受5、6を用いた例で説明したが、これに限らず、例えばすべり軸受として、軸受部に異物の混入を防ぐ手立てを講じて潤滑液を供給すれば、セラミックス軸受やゴム軸受等の水中軸受も使用できる。
また、上記実施形態の例では、シール部材16として、ラビリンスシールを用いているが、これに限らず、リップシールや、種々のメカニカルシールを採用することができる。
例えば図2は、図1に示す一軸偏心ねじポンプの変形例(第一変形例)である。
同図に示すように、この例は、上記ラビリンスシールを用いたシール部材16と自己潤滑軸受5との間に設けられた連通路20に対し、外部から注水が可能な注入口12を設けた例である。このような構成であれば、例えば自己潤滑軸受5、6とステータ4との摺動部の潤滑状態が、圧送流体の液質により影響を受けるような場合に、その潤滑状態を改善する対策として好適である。
また、例えば図3に示す第二変形例は、上記第一変形例に対し、シール部材16を、ラビリンスシールに替えてリップシールを用いた点が異なっている。このような構成であっても、ステータ4の支承部分での逆流防止構造を構成可能であり、上記実施形態同様、高圧となる吐出側から吐出側よりも低圧となる吸込側への液漏れによる圧送性能の低下を抑制することができる。
また、例えば図4に示す第三変形例は、上記第二変形例に対し、シール部材16よりも吐出側に、圧送される流体の吐出口9に連通する汲取口14を更に設け、さらに、この汲取口14と上記吸入側の注入口12とを、汲取口14から汲み取られて注入口12から連通路20に供給される潤滑のための流体の流量を制御可能な流量制御部である流量制御弁15を介して相互に連通した点が異なっている。このような構成であれば、圧送流体の液質により、例えば自己潤滑軸受5、6とステータ4との摺動部の潤滑状態を改善する対策として、圧送流体自体を用いて潤滑を行う場合に、高圧側の圧送流体を汲取口14から導いて、これを流量制御弁15によって適宜調整して注入口12から供給することができる。
1 一軸偏心ねじポンプ
2 ロータ
3 駆動軸
4 ステータ
5 自己潤滑軸受(すべり軸受)
6 自己潤滑軸受(すべり軸受)
7 ハウジング
8 吸込口
9 吐出口
11 ブラケット
12 注入口
14 汲取口
15 流量制御弁(流量制御部)
16 シール部材
20 連通路
21 拡径部(連通路)

Claims (1)

  1. 食料原料、化学原料、下水汚泥などの流体の圧送に用いられ、駆動軸に直結された雄ねじ状のロータと、すべり軸受として自己潤滑軸受または水中軸受を介して回転可能に支承されるとともにその回転軸線が前記ロータの回転軸線に対して偏心して配置される雌ねじ状の内面を有するステータとを備え、前記ロータが回転しつつ前記ステータの軸心に対して偏心運動を行うことによって流体を吸入側から吐出側へ圧送する一軸偏心ねじポンプであって、
    前記すべり軸受とステータとの吐出側の摺動部端を密封するように配設されたシール部材を有し、
    前記すべり軸受とステータとの間の摺動部に軸方向に沿って設けられた連通路と、前記シール部材の吐出側に且つ前記圧送される流体の吐出口に連通して設けられた汲取口と、前記シール部材の吸入側に且つ前記連通路に連通して設けられた注入口とを更に備え、
    前記汲取口と注入口とは、汲取口から汲み取られて注入口から連通路に供給される潤滑のための流体の流量を調整する流量制御部を介して相互に連通されており、
    前記すべり軸受として前記水中軸受を用いる場合には、水または圧送流体自体を潤滑のための流体として用い、前記圧送流体の液質により影響を受けるときは前記水中軸受の軸受部に異物の混入を防ぐ手立てを講じて潤滑のための流体が供給されるようになっていることを特徴とする一軸偏心ねじポンプ。
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