JP5356120B2 - ゴム組成物及び空気入りタイヤ - Google Patents

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本発明は、ゴム組成物に関し、より詳細には、例としてスタッドレスタイヤやスノータイヤなどの冬用タイヤのトレッドに好適に用いることのできるゴム組成物、及び、同ゴム組成物を用いてなる空気入りタイヤに関するものである。
氷雪路面では一般路面に比べて著しく摩擦係数が低下し滑りやすくなる。そのため、スタッドレスタイヤ等の冬用タイヤのトレッドに用いられるゴム組成物においては、氷上路面での接地性を高めるために、ガラス転移点の低いブタジエンゴム等の使用や軟化剤の配合により、低温でのゴム硬度を低く維持することがなされている。また、氷上摩擦力を高めるために、トレッドに発泡ゴムを使用したり、中空粒状体や、ガラス繊維、植物性粒状体等の硬質材料を配合することがなされている。
例えば、下記特許文献1には、種子の殻又は果実の核を粉砕してなる植物性粒状体などの引っ掻き効果のある粒子をゴム成分に添加して、引っ掻き効果により氷上摩擦性能を向上させることが開示されている。同文献では特に、レゾルシン・ホルマリン樹脂初期縮合物とラテックスの混合物を主成分とするゴム接着性改良剤で植物性粒状体を表面処理し、これによりトレッドゴムと化学的に結合させて、引っ掻き効果を向上する点が提案されている。なお、ここで実施例として具体的に用いた植物性粒状体の平均粒径は、125μm以上である。
下記特許文献2には、氷上の水膜を更に効果的に除去するために、平均粒径が10〜500μmである竹炭等の粉砕物をゴム成分に配合することが提案されている。また、下記特許文献3には、Y型などの特定のゼオライトを上記の植物性粒状体とともに添加することにより、氷上制動性を向上させることが記載されている。
これらの従来技術は氷上性能の改良効果を示すものの、最近益々厳しくなる市場の要求に対し、必ずしも十分なレベルに達しているとは言えない。
一方、下記特許文献4には、天然骨由来の天然ヒドロキシアパタイト多孔体を骨充填材等に用いることが記載されている。また、下記特許文献5には、天然ヒドロキシアパタイトを牛骨等の家畜骨から効率的に生産するための方法が記載されており、食品の腐敗防止や鮮度保持、廃水や空気等の浄化などに使用可能であるとされている。
天然ヒドロキシアパタイトは、ヒドロキシアパタイト(hydroxyapatite;「ハイドロキシアパタイト」ともいう)を母体とするリン酸カルシウム化合物の一種であり、略して天然アパタイトととも呼ばれる。天然ヒドロキシアパタイトは、イオン交換性、吸着性、触媒機能性などを有する多機能性バイオセラミックスである。また、抗菌性を有することから、食品保存料や抗菌性材料として、食品分野及び医療分野に用いられている。また、リン酸成分やカルシウム成分の補填剤、または酸性成分を中和する中和剤(「アルカリ材」)として、栄養強化剤(「サプリメント」)、食品添加剤、飼料添加剤、土壌改良剤等に用いられている。近年は、化粧品素材としては、ファンデーションなど粉末状製品のベースに使われる。さらに、優れた生体適合性、骨親和性があることから、人工歯根等にも利用されている。しかし、樹脂やゴムに配合することは一般に行われていない。
特開平10−007841号公報 特開2005−162865号公報 特開2003−041058号公報 特開平5−208044号公報 特許2534499公報
本発明は、上記従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、一層優れた氷上性能を発揮することができるゴム組成物、及び空気入りタイヤを提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題に鑑み、様々な物質をゴム組成物中に配合し、鋭意検討していく中で、多孔性のヒドロキシアパタイト粉末を配合することによって氷上性能が著しく向上することを見い出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明に係るゴム組成物は、ジエン系ゴム100重量部に対し、多孔性のヒドロキシアパタイト粉末を0.3〜30重量部配合してなるものである。また、本発明に係る空気入りタイヤは、かかるゴム組成物からなるトレッドを備えるものである。
本発明によれば、耐摩耗性の低下を抑えながら、氷上性能を著しく向上することができる。
以下、本発明の実施に関連する事項について詳細に説明する。
本発明のゴム組成物において、ゴム成分として用いられるジエン系ゴムとしては、例えば、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、スチレン−イソプレン共重合体ゴム、ブタジエン−イソプレン共重合体ゴム、スチレン−イソプレン−ブタジエン共重合体ゴムなど、タイヤトレッド用ゴム組成物において通常使用される各種ジエン系ゴムが挙げられる。これらジエン系ゴムは、いずれか1種単独で、又は2種以上ブレンドして用いることができる。
上記ゴム成分として、好ましくは、天然ゴムと他のジエン系ゴムとのブレンドを用いることであり、特に好ましくは、天然ゴム(NR)とブタジエンゴム(BR)とのブレンドゴムを用いることである。その場合、BRの比率が少なすぎるとゴム組成物の低温特性が得難くなり、逆に多くなりすぎると加工性の悪化や耐引き裂き抵抗性が低下する傾向になるので、NR/BRの比率は重量比で30/70〜80/20、更には40/60〜70/30程度であることが好ましい。
本発明のゴム組成物には、多孔性のヒドロキシアパタイト粉末が配合される。ヒドロキシアパタイトは、一般にCa10(PO46(OH)2の組成式(各結晶ユニットの原子数)で示され、モース硬度が5であり、純粋なものであると白色の結晶である。多孔性のヒドロキシアパタイトは、好ましくは、家畜骨または魚骨から、他の成分を除去する各種の処理を経て得られる天然ヒドロキシアパタイトである。天然ヒドロキシアパタイトの開気孔率(見かけ気孔率)は、例えば30%前後である。天然ヒドロキシアパタイト粉末は、例えば、上記特許文献4に記載の方法により得ることができる。詳しくは、牛、馬、羊等の硬骨が主体の家畜の骨を、圧力釜中で、200〜400℃で煮沸することにより、ゼラチン、脂肪、蛋白質、にかわ等を除去した後、焼成炉にて、900〜1100℃で焼成し粉砕することにより得ることができる。天然ヒドロキシアパタイト粉末は、家畜骨または魚骨を、蒸し焼きにして一旦、骨炭(bone char)とした後、粉砕し、酸を加えて溶解・抽出した成分に、水酸化ナトリウム等のアルカリを添加して沈殿させることによっても得ることができる(例えば特開平09-054456)。すなわち、窯業原料として用いられる骨灰などを用いることができる。なお、多孔性のヒドロキシアパタイトは、リン酸あるいは、リン酸塩とカルシウム塩等を原料として化学的合成法により得ることもでき、このようなヒドロキシアパタイトであっても、同等の開気孔率に基づく、吸着作用を有するならば、同等に用いることができる。また、多孔性のヒドロキシアパタイトは、無機の不純物成分や、未除去の炭素成分を少量含むものであっても良く、場合によっては、ヒドロキシアパタイト以外の、リン酸カルシウム材料からなる多孔性の微細な粉末であっても、適当な吸着性及び硬度を有していれば用いることも可能である。
多孔性ヒドロキシアパタイト粉末の平均粒子径は、0.1〜500μmであることが、耐摩耗性、耐カット性の点から好ましく、より好ましくは0.5〜50μm、更に好ましくは0.5〜15μm、一層好ましくは0.5〜5μm、特に好ましくは0.5〜2μmである。すなわち、平均粒子径が特に小さいものが、最も好ましく、平均粒子径が、この範囲よりも大きいと氷上性能を向上する効果が充分でない。また、平均粒子径がこの範囲よりも小さいと、粉砕による製造が困難な他、練り込みの際のハンドリング性に劣るなどの問題が生じうる。なお、本発明において、平均粒子径は、レーザ回折・散乱法により測定される値であり、下記実施例では、光源として赤色半導体レーザ(波長680nm)を用いる島津製作所製のレーザ回折式粒度分布測定装置「SALD−2200」を用いて乾式により測定した。
本発明により氷上性能を大幅に向上できる理由は必ずしも明らかではない。特には、平均粒子径の特に小さいものが最も好ましいことについて、合理的な理由を見つけることは困難である。おそらくは、天然ヒドロキシアパタイト等の多孔性ヒドロキシアパタイトが有する特有の多孔質構造及び吸着性により、氷上路面の水膜を効果的に吸水及び除水し、更にそのイオン交換作用等に基づき、トレッドと路面との間で何らかの相互作用を発揮しているためと推測される。また、多孔性ヒドロキシアパタイト粉末であると、硬度が高いことから、氷上路面に対する引っ掻き効果を発揮し、このことも氷上性能の向上に寄与しているものと推測される。なお、平均粒子径が特に小さいものを用いた場合、仮に路面を損傷する作用があるとしても、実際上は、かなり少ないと考えられる。
多孔性ヒドロキシアパタイト粉末は、ジエン系ゴム100重量部に対して、0.3〜20重量部の範囲内で配合することができる。該配合量が0.3重量部未満では、添加効果が不十分であり、逆に20重量部を超えると、耐摩耗性が悪化する。該配合量は、より好ましくは1〜15重量部である。
本発明のゴム組成物には、多孔性ヒドロキシアパタイト粉末とともに、種子の殻又は果実の核を粉砕してなる植物性粒状体、及び/又は、植物の多孔質性炭化物の粉砕物を更に配合してもよい。これらの植物性粒状体や多孔質性炭化物の粉砕物を併用することにより、氷上性能を更に向上することができる。
上記植物性粒状体としては、胡桃(クルミ)、椿などの種子の殻、あるいは桃、梅などの果実の核を公知の方法で粉砕してなる粉砕品を用いることができる。これらはモース硬度が2〜5程度であり、氷よりも硬いので、氷上路面に対して引っ掻き効果を発揮することができる。
植物性粒状体は、ゴムとのなじみを良くして脱落を防ぐために、ゴム接着性改良剤の樹脂液で表面処理されたものを用いることが好ましい。ゴム接着性改良剤としては、例えば、レゾルシン・ホルマリン樹脂初期縮合物とラテックスの混合物を主成分とするもの(RFL液)が挙げられる。
植物性粒状体の平均粒子径は、特に限定されないが、引っ掻き効果を発揮するとともにトレッドからの脱落を防止するため、100〜600μmであることが好ましい。なお、平均粒子径は、上記と同様、レーザ回折・散乱法により測定される値である。
本発明のゴム組成物は、上記した各成分に加え、通常のゴム工業で使用されているカーボンブラックやシリカなどの補強剤や充填剤、プロセスオイル、亜鉛華、ステアリン酸、軟化剤、可塑剤、老化防止剤(アミン−ケトン系、芳香族第2アミン系、フェノール系、イミダゾール系等)、加硫剤、加硫促進剤(グアニジン系、チアゾール系、スルフェンアミド系、チウラム系等)などの配合薬品類を通常の範囲内で適宜配合することができる。
ここで、カーボンブラックとしては、スタッドレスタイヤのトレッド部に用いる場合は、ゴム組成物の低温性能、耐摩耗性やゴムの補強性などの観点から、窒素吸着比表面積(N2SA)(JIS K6217−2)が70〜150m2/gであり、かつDBP吸油量(JIS K6217−4)が100〜150ml/100gであるものが好ましく用いられる。具体的にはSAF,ISAF,HAF級のカーボンブラックが例示され、配合量としてはジエン系ゴム100重量部に対して10〜80重量部程度の範囲で使用されることが好ましい。
また、シリカを用いる場合は、湿式シリカ、乾式シリカ或いは表面処理シリカなどが使用され、配合量はゴムのtanδのバランスや補強性、電気伝導度の観点からジエン系ゴム100重量部に対して50重量部未満が好ましく、カーボンブラックとの合計量では30〜80重量部程度が好ましい。また、シリカを配合する場合、シランカップリング剤を併用することが好ましい。
本発明のゴム組成物は、通常に用いられるバンバリーミキサーやニーダなどの混合機を用いて混練し作製することができる。該ゴム組成物は、スタッドレスタイヤ、スノータイヤなどの冬用タイヤのトレッド部のためのゴム組成物として好適に用いられる。
本発明の空気入りタイヤは、上記ゴム組成物を用いてゴム用押し出し機などによりタイヤのトレッド部を作製し未加硫タイヤを成型した後、常法に従い加硫工程を経ることで製造することができる。キャップベース構造のスタッドレスタイヤに適用される場合は、接地面側のキャップトレッドにのみに本発明のゴム組成物を適用すればよい。
このようにして得られた本発明の空気入りタイヤは、トレッドゴムに配合した多孔性ヒドロキシアパタイト粉末がトレッド表面に露出することで、その特有の多孔質構造等により氷上路面の水膜を効果的に除去することができ、トレッドゴムと路面との摩擦係数を高めて氷上性能を向上することができる。また、耐摩耗性を低下を抑えることができる。また、クルミ殻の粉砕物等の植物性粒状体や、竹炭粉砕物等の多孔性炭化物の粉砕物を併用することで、更なる氷上性能の向上を実現することができる。しかも、道路の損傷やアスファルトの粉塵を発生させることなく、天然素材を使用することにより、多孔性ヒドロキシアパタイト粉末の飛散によっても健康や環境に悪影響を及ぼすことがない。
以下、本発明の実施例を示すが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
バンバリーミキサーを使用し、下記表1に示す配合に従い、スタッドレスタイヤ用トレッドゴム組成物を調製した。表1中の各成分は以下の通りである。
・天然ゴム:RSS#3、
・ブタジエンゴム:JSR株式会社製ハイシスブタジエンゴム「BR01」、
・カーボンブラック:東海カーボン株式会社製「シーストKH」(N339、HAF)、
・シリカ:東ソー・シリカ株式会社製「ニップシールAQ」、
・シランカップリング剤:デグサ社製「Si75」、
・パラフィンオイル:株式会社ジャパンエナジー製「JOMOプロセスP200」。
・天然ヒドロキシアパタイト粉末:株式会社エクセラの「天然アパタイト 1ミクロン」及び「天然アパタイト 325メッシュ」(平均粒径 約3ミクロン)、
・竹炭粉砕物:孟宗竹の竹炭(宮崎土晃株式会社製「1号炭」)をハンマーミルで粉砕し、得られた粉砕物をふるいにより分級した竹炭粉末(平均粒子径100μm)、
・表面処理植物性粒状体:クルミ殻粉砕物(株式会社日本ウォルナット製「ソフトグリット#46」)に対し、特開平10−7841号公報に記載に方法に準じてRFL処理液で表面処理を施したもの(処理後の植物性粒状体の平均粒子径は300μm)。
各ゴム組成物には、共通配合として、ジエン系ゴム100重量部に対し、ステアリン酸(花王株式会社製「ルナックS−20」)2重量部、亜鉛華(三井金属鉱業株式会社製「亜鉛華1種」)2重量部、老化防止剤(住友化学株式会社製「アンチゲン6C」)2重量部、ワックス(日本精鑞株式会社製「OZOACE0355」)2重量部、加硫促進剤(住友化学株式会社製「ソクシノールCZ」)1.5重量部、及び、硫黄(鶴見化学工業株式会社製「粉末硫黄」)2.1重量部を配合した。
得られた各ゴム組成物について、硬度(23℃)を測定した。また、各ゴム組成物を用いてスタッドレスタイヤを作製し、耐摩耗性と、氷上路面における制動性能(氷上制動性能)を評価した。タイヤサイズは195/65R15として、そのトレッドに各ゴム組成物を適用し、常法に従い加硫成形することにより製造した。各使用リムは15×5.5JJとした。各測定・評価方法は次の通りである。
・硬度:JIS K6253に準拠して、160℃×20分で加硫したサンプル(厚みが12mm以上のもの)について、23℃での硬度を、タイプAデュロメータを用いて測定した。
・耐摩耗性:上記タイヤを2000ccの4WD車に装着し、2500km毎に左右ローテーションして、10000km走行後の残溝(4本のタイヤの残溝の平均値)を測定し、比較例2の値を100とした指数で表示した。指数が大きいほど耐摩耗性が良好であることを示す。
・氷上制動性能:上記タイヤを2000ccの4WD車に装着し、−3±3℃の氷盤路上で40km/h走行からABS作動させて制動距離を測定し(n=10の平均値)、比較例2の値を100とした指数で表示した。指数が大きいほど制動距離が短く、制動性能に優れることを示す。
Figure 0005356120
結果は表1に示す通りであり、天然ヒドロキシアパタイト粉末を配合した実施例1〜4であると、従来の材料(竹炭粉砕物、植物性粒状体)を配合した比較例2〜4に対して、耐摩耗性を実質的に悪化させることなく、氷上制動性能が大幅に向上していた。特に、同様に多孔性であって、より吸着性が大きいと考えられる竹炭を用いた比較例2に比べて、氷上制動性能を大きく向上させることができた。また、植物性粒状体(クルミ粉)を同一重量部だけ配合した比較例3に比べても、同様に、氷上制動性能を大きく向上させることができた。
実施例1と、実施例2とでは、天然ヒドロキシアパタイト粉末の平均粒径のみが異なるが、平均粒径が1μmである実施例1の場合に、平均粒径が3μmである実施例2に比べて、耐磨耗性及び氷上制動性能のいずれにおいても、有意に優れていた。これに対し、実施例2では、比較例2との間で効果の相違はあまり明瞭でなかった。氷上制動性能の向上のためには、通常添加しないような、微細な粒径のもので特に優れた性能が得られたことは、全く予想外の結果であった。この理由は、不明であるが、活性な表面がゴム材料により多く接触することにより、ミクロな構造やゴムの特性に影響を与えたのかも知れない。
一方、実施例2と実施例4との比較から知られるように、天然ヒドロキシアパタイト粉末のみを氷上制動性能付与のために添加した場合に比べ、植物性粒状体をも配合した場合に、氷上制動性能が顕著に向上した。植物性粒状体を併用した実施例4では、氷上制動性能のみを見た場合、実施例1よりも高く、耐磨耗性もそれほど低下しなかった。このことは、天然ヒドロキシアパタイト粉末の引っ掻き効果が、植物性粒状体の引っ掻き効果に比べて小さいことを示唆していると推測される。
なお、天然ヒドロキシアパタイト粉末の配合量が、かなり多い実施例3では、同一平均粒子径で典型的な配合量となっている実施例1に比べて、氷上制動性能がさらに向上したものの、耐磨耗性が、やや劣っていた。
一方、天然ヒドロキシアパタイト粉末と植物性粒状体とを添加した実施例4に比べて、さらに竹炭を併用した実施例5では、氷上制動性能が若干向上したものの、耐磨耗性の低下が比較的大きかった。これは、天然ヒドロキシアパタイト粉末が、竹炭と同様に、主として吸水により氷上制動性能に寄与しているという推測を裏付ける結果である。
本発明に係るゴム組成物は、スタッドレスタイヤ、スノータイヤなどの冬用タイヤ、産業車両用タイヤなどの各種空気入りタイヤを始めとして、靴底、マット類、床材等の防滑性が要求されるゴム製品に広く利用することができる。

Claims (3)

  1. ジエン系ゴム100重量部に対し、多孔性のヒドロキシアパタイト粉末を0.3〜30重量部配合するとともに、種子の殻又は果実の核を粉砕してなる植物性粒状体、または、この表面をゴム接着性改良剤の樹脂液により処理したものを、更に配合してなるゴム組成物。
  2. 前記の多孔性のヒドロキシアパタイト粉末は、家畜骨または魚骨から他の成分を除去する処理を経て得られる天然ヒドロキシアパタイトであって、平均粒子径が0.5〜5μmであり、前記植物性粒状体の平均粒子径が100〜600μmである請求項1記載のゴム組成物。
  3. 請求項1又は2に記載のゴム組成物からなるトレッドを備えた空気入りタイヤ。
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