JP5356126B2 - ゴム組成物及び空気入りタイヤ - Google Patents

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Description

本発明は、ゴム組成物に関し、より詳細には、例としてスタッドレスタイヤやスノータイヤなどの冬用タイヤ(ウインタータイヤ)のトレッドに好適に用いることのできるゴム組成物、及び、同ゴム組成物を用いてなる空気入りタイヤに関するものである。
氷雪路面では一般路面に比べて著しく摩擦係数が低下し滑りやすくなる。そのため、スタッドレスタイヤ等の冬用タイヤのトレッドに用いられるゴム組成物においては、氷上路面での接地性を高めるために、ガラス転移点の低いブタジエンゴム等の使用や軟化剤の配合により、低温でのゴム硬度を低く維持することがなされている。また、氷上摩擦力を高めるために、トレッドに発泡ゴムを使用したり、中空粒状体や、ガラス繊維、植物性粒状体等の硬質材料を配合することがなされている。
例えば、下記特許文献1には、種子の殻又は果実の核を粉砕してなる植物性粒状体などの引っ掻き効果のある粒子をゴム成分に添加して、引っ掻き効果により氷上摩擦性能を向上させることが開示されている。同文献では特に、レゾルシン・ホルマリン樹脂初期縮合物とラテックスの混合物を主成分とするゴム接着性改良剤で植物性粒状体を表面処理し、これによりトレッドゴムと化学的に結合させて、引っ掻き効果を向上する点が提案されている。なお、氷上摩擦性能を向上させる機構として、「粒状体が接地したときトレッド表面から突出して」(圧雪由来のアイスバーンにおける)「肉厚の薄くなった部分を破壊」することが記載されている。
下記特許文献2〜3には、氷上の水膜を更に効果的に除去するために、平均粒径が10〜500μmである竹炭等の粉砕物をゴム成分に配合することが提案されている。特許文献2の実施例には、平均粒径がいずれも300μmである竹炭粉末とクルミ殻粉砕物とを配合することが記載されている。このようにして、竹炭粉末の吸水効果と、クルミ殻粉砕物による引っ掻き効果とを同時に発揮させようとするものである。
これらの従来技術は氷上性能の改良効果を示すものの、最近益々厳しくなる市場の要求に対し、必ずしも十分なレベルに達しているとは言えない。
一方、下記特許文献4には、板材またはパイプの外面に断熱・防音層を形成すべく、炭化物粉末を含む樹脂層を形成することが開示されている。詳しくは、ノコギリ屑などを炭化させて得られる炭化物粉末を水性樹脂エマルションに分散させ、板材などへ塗布した後、この上に不織布を貼り付けてから、熱風乾燥を行うことで、断熱・防音層を得ることが記載されている。また、炭化物粉末として、部分炭化物を使用することもでき、部分炭化のためには、250℃前後で5分〜60分といった処理を施すこと(0026段落)が記載されている。さらには、ノコギリ屑などを炭化する場合、炭化が不均一になり、撹拌型の炉を用いても、「微細屑は完全炭化物、中粒屑は褐色の部分炭化物、粗大屑は黄土色の部分炭化物となり、炭化度合が異なる」(0026段落の中段)と記載されている。すなわち、植物粒状体を部分炭化させた場合に、高品質の充填材を製造することが困難であることを示唆している。
他方、下記特許文献5には、「部分炭化木製品」が開示されている。これは、建築内装用の木材製品について、孔や溝を設け、その表面のみ、高温の金属棒をあてて炭化することで、アンモニア等に対する吸着性を付与したものである。なお、日本の伝統的な外壁材に、「焼杉」と呼ばれるものがある。これは、杉(スギ)板の表面を焼いて炭化させておくことで、初期着火性を低くするとともに、風雨に対する耐久性を向上させたものである。
特開平10−007841号公報 特開2005−162865号公報 特開2007−126524号公報 特開2000−265612号公報 特許第3535486号公報
本発明は、上記従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、一層優れた氷上性能を発揮することができるゴム組成物、及び空気入りタイヤを提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題に鑑み、様々な物質をゴム組成物中に配合し、鋭意検討していく中で、スタッドレスタイヤのトレッドゴムに配合する植物性粒状体、特にはクルミ殻粉砕物について、種々の程度の炭化処理を施して見た。クルミ殻粉砕物を竹炭と同様のものに変換するという、コスト的に全く無駄であるような試みを行った。その結果、全く意外なことに、適度の炭化処理を施したクルミ殻粉砕物を用いることで、上記の引っ掻き効果及び吸水効果をいずれも実現することができ、氷上制動性能を顕著に向上させることができた。
すなわち、本発明に係るゴム組成物は、一の好ましい態様において、ジエン系ゴム100重量部に対し、炭化処理時の重量減少率が20〜70%で、平均粒径が30〜300μmの植物性粒状体を0.5〜10重量部配合してなるものである。また、本発明に係る空気入りタイヤは、かかるゴム組成物からなるトレッドを備えるものである。
本発明によれば、耐摩耗性の低下を抑えながら、氷上性能を著しく向上することができる。
部分炭化(「半炭化」)処理後のクルミ殻粉砕物を示す電子顕微鏡写真である。 倍率を100倍から250倍に上げて観察した場合の、図1と同様の顕微鏡写真である。 部分炭化前のクルミ殻粉砕物を示す、図1と同様の電子顕微鏡写真である。 図3中の最も特徴的な部分を拡大した、図2と同様の電子顕微鏡写真である。
以下、本発明の実施に関連する事項について詳細に説明する。
本発明のゴム組成物において、ゴム成分として用いられるジエン系ゴムとしては、例えば、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、スチレン−イソプレン共重合体ゴム、ブタジエン−イソプレン共重合体ゴム、スチレン−イソプレン−ブタジエン共重合体ゴムなど、タイヤトレッド用ゴム組成物において通常使用される各種ジエン系ゴムが挙げられる。これらジエン系ゴムは、いずれか1種単独で、又は2種以上ブレンドして用いることができる。
上記ゴム成分として、好ましくは、天然ゴムと他のジエン系ゴムとのブレンドを用いる。特に好ましくは、天然ゴム(NR)とブタジエンゴム(BR)とのブレンドゴムを用いる。ブタジエンゴム(BR)の比率が少なすぎるとゴム組成物の低温特性が得難くなり、逆に多くなりすぎると加工性の悪化や耐引き裂き抵抗性が低下する傾向になるので、NR/BRの比率は重量比で30/70〜80/20、更には40/60〜70/30程度であることが好ましい。
本発明のゴム組成物には、ジエン系ゴム100重量部に対し、部分炭化処理を施した植物性粒状体、すなわち、各粒子の表面を部分的または完全に炭化させつつ、各粒子内部の木質構造をほぼ維持した植物性粒状体が配合される。このように、本発明における部分炭化植物性粒状体は、粒子表面に炭化層を形成するとともに、粒子全体としては靭性等の強度特性について、その大部分を保持する。そのため、竹炭粉砕物などの多孔質体粒子が担っていた吸水効果と、クルミ殻粉砕物などの植物性粒状体によって実現していた引っ掻き効果とについて、一種類の粒状体を配合するだけで実現できる。ここで、植物性粒状体を得るための原料植物体としては、種子の殻又は果実の核などといった、モース硬度が2〜5程度の植ものが用いられる。例えば、胡桃(クルミ)、杏(あんず)、椿、桃、梅などの果実の核、またはトウモロコシの穂芯などを用いることができる。なお、これらの植物性粒状体は、部分炭化後も、表面のモース硬度が2〜5程度である。
適度に部分炭化させた植物性粒状体、すなわち靭性を維持しつつ表面を炭化させた植物性粒状体(「半炭化」植物性粒状体と呼ぶことにする)を得るためには、一般的な方法により粉砕した粉末、または市販の粉末製品について、酸素濃度10%以下、好ましくは5%以下の閉鎖条件で焼成することにより行う。この際、必要に応じて、酸素濃度を低下させたエアー、または不活性ガスを供給することができる。また、焼成は、200〜600℃にて、例えば2〜60分間の加熱により行うことができる。一の好ましい例によると、450〜550℃にて2〜10分間の焼成を行う。なお、焼成は、加熱炉のチャンバーまたはるつぼ(坩堝)内での静置、または、ロータリーキルン型などの撹拌型の炉を用いた処理などにより行うことができる。
適度の部分炭化(「半炭化」)後の植物性粒状体の平均粒子径は、30〜300μmであることが好ましく、より好ましくは50〜250μm、更に好ましくは80〜200μmである。平均粒子径がこの範囲よりも大きいと、トレッドから過度に脱落しやすくなるために耐摩耗性が低下する傾向にある。平均粒子径がこの範囲よりも小さいと、氷上制動性能の低下を招く。これは、平均粒子径が過度に小さくなった場合、引っ掻き効果が低下する傾向にあるためと考えられる。なお、本発明において、平均粒子径は、レーザ回折・散乱法により測定される値であり、下記実施例では、光源として赤色半導体レーザ(波長680nm)を用いる島津製作所製のレーザ回折式粒度分布測定装置「SALD−2200」を用いて乾式により測定した。
部分炭化の際、木質構造をなす多糖類化合物などにおいて脱水反応が進行するとともに、生成した揮発成分が蒸発することから、重量が減少する。また、この際、寸法も多少変化する。「半炭化」植物性粒状体を得るための部分炭化の処理は、重量減少率が20〜70%、好ましくは30〜60%、より好ましくは40〜55%となるまで行う。なお、ここでの重量減少率は、植物性粒状体の水分を除外した正味の重量(絶乾重量)をベースとする。例えば、典型的なクルミ殻粉砕物の市販品には約9%の水分が含まれる。そのため、例えば105℃4時間の乾燥により含水率を求めておき、含水率に基づき算出された絶乾重量をベースとして、重量減少率を求める。重量減少率が上記範囲を下回る場合、処理を行わないままの植物性粒状体を配合する場合との差が、全く見られないか、または不充分である。すなわち、吸水効果がないか、または不充分なために、氷上制動性能が不充分であると考えられる。また、重量減少率が上記範囲を超える場合には、竹炭粉砕物などの植物性粒状体炭化物を、未炭化の植物性粒状体炭化物に代えて配合する場合との差が、全く見られないか、または不充分である。すなわち、粒子の中心部分などにおける木質構造の残存割合が低すぎ、このために、引っ掻き効果を発揮させるための、粒子の靭性や強度が不充分になると考えられる。
本発明により氷上性能を大幅に向上できる理由について、現在のところ、以下のように考えている。引っ掻き効果を発揮させるためのクルミ殻粉砕物などの植物性粒状体と、吸水効果を発揮させるための竹炭粉砕物などの多孔性粒状体とを配合する場合、氷上制動性能をある程度以上とするためには、粒状体の合計の配合量を大きくとる必要がある。そして、粒状体の合計の配合量を大きくしすぎると、耐摩耗性が過度に低下してしまう。結果的に、氷上制動性能と、耐摩耗性とのバランスを取った配合量とする必要があり、いずれの性能も、ある程度以上に向上させるのは難しい。ところが、本発明のように部分炭化植物性粒状体を用いるならば、同一の粒子が引っ掻き効果と吸水効果との両方の役割を担うと考えられる。もちろん、部分炭化植物性粒状体は、同一配合量で比較した場合、引っ掻き効果のみで見たならば、未炭化のクルミ殻粉砕物などより劣るであろうし、吸水効果のみで見たならば、竹炭粉砕物よりも劣るであろう。しかし、トータルの配合量が同じであるなら、部分炭化植物性粒状体を用いることで、総合的に優れた性能を発揮することができる。例えば、ジエン系ゴム100重量部に対し5重量部の部分炭化植物性粒状体を配合下場合、未炭化のクルミ殻粉砕物などと、竹炭粉砕物などとをトータルで5重量部添加する場合に比べて、すぐれた性能を発揮することが可能であると考えられる。なお、部分炭化により、植物性粒状体の粒子表面にあった、ひげ状突起などが消滅するか少なくなるために、トレッド面から抜け落ちやすくなることが期待される。すなわち、抜け落ちた後の凹部により吸水効果を向上させるという作用も加わっていると考えられる。
適度の部分炭化(「半炭化」)を行った植物性粒状体は、ジエン系ゴム100重量部に対して、0.5〜20重量部、好ましくは0.5〜10重量部、より好ましくは1〜10重量部、更に好ましくは2〜8重量部が配合される。該配合量が0.5重量部未満では、添加効果が不十分であり、逆に20重量部を超えると、耐摩耗性が悪化する。
「半炭化」植物性粒状体とともに、部分炭化を行っていない植物性粒状体を配合するのが好ましい。また、この際、部分炭化を行っていない植物性粒状体は、ゴムとのなじみを良くして脱落を防ぐために、ゴム接着性改良剤の樹脂液で表面処理されたものを用いることが好ましい。ゴム接着性改良剤としては、例えば、レゾルシン・ホルマリン樹脂初期縮合物とラテックスの混合物を主成分とするもの(RFL液)が挙げられる。なお、このように部分炭化を行っていない植物性粒状体、特には、接着剤樹脂により表面処理した植物性粒状体と、「半炭化」植物性粒状体とを、例えば3:7〜6:4の重量比で併用するならば、氷上制動性能を向上させる上で、さらに好ましい。これは、トレッドゴムに堅固に接続して引っ掻き効果を発揮し続ける部分と、適宜に脱落して微細凹陥部を形成して吸水効果を発揮する部分とが適当な比率で混ざっているのが好ましいからであると考えられる。
本発明のゴム組成物には、必要に応じて、植物の多孔質性炭化物の粉末を少量配合するのが好ましい。部分炭化植物性粒状体における、部分炭化の度合いが比較的低い場合に適宜配合することができる。植物の多孔質性炭化物としては、木材、竹材、やし殻、クルミ殻などの植物質材料を炭化して得られるものであり、この中でも、竹炭の粉砕物を好ましいものとして挙げることができる。竹炭はその特有の多孔質性により優れた吸着性を発揮することから、氷上路面に発生する水膜を効果的に吸水、除去し路面との摩擦力を高め、ゴム組成物の氷上性能を著しく向上させることができる。上記の部分炭化植物性粒状体と、多孔質炭化物とを併用するならば、微細凹陥部による吸水効果をさらに向上させることができるため、氷上制動性能を向上させる上で特に好ましい。特には、上記の部分炭化植物性粒状体と、接着剤樹脂液で処理した植物性粒状体と、多孔質炭化物との三者を併用するならば更に好ましい。植物の多孔質性炭化物の粒径は、植物性粒状体の場合と同様に、30〜300μmであるのが好ましい。また、植物の多孔質性炭化物の配合量は、ジエン系ゴム100重量部に対し、好ましくは0.5〜5重量部、より好ましくは1〜4重量部配合される。
本発明のゴム組成物は、上記した各成分に加え、通常のゴム工業で使用されているカーボンブラックやシリカなどの補強剤や充填剤、プロセスオイル、亜鉛華、ステアリン酸、軟化剤、可塑剤、老化防止剤(アミン−ケトン系、芳香族第2アミン系、フェノール系、イミダゾール系等)、加硫剤、加硫促進剤(グアニジン系、チアゾール系、スルフェンアミド系、チウラム系等)などの配合薬品類を通常の範囲内で適宜配合することができる。
ここで、カーボンブラックとしては、スタッドレスタイヤのトレッド部に用いる場合は、ゴム組成物の低温性能、耐摩耗性やゴムの補強性などの観点から、窒素吸着比表面積(N2SA)(JIS K6217−2)が70〜150m2/gであり、かつDBP吸油量(JIS K6217−4)が100〜150ml/100gであるものが好ましく用いられる。具体的にはSAF,ISAF,HAF級のカーボンブラックが例示され、配合量としてはジエン系ゴム100重量部に対して10〜80重量部程度の範囲で使用されることが好ましい。
また、シリカを用いる場合は、湿式シリカ、乾式シリカ或いは表面処理シリカなどが使用され、配合量はゴムのtanδのバランスや補強性、電気伝導度の観点からジエン系ゴム100重量部に対して50重量部未満が好ましく、カーボンブラックとの合計量では10〜120重量部程度が好ましい。また、シリカを配合する場合、シランカップリング剤を併用することが好ましい。
本発明のゴム組成物は、通常に用いられるバンバリーミキサーやニーダなどの混合機を用いて混練し作製することができる。該ゴム組成物は、スタッドレスタイヤ、スノータイヤなどの冬用タイヤ(ウインタータイヤ)のトレッド部のためのゴム組成物として好適に用いられる。
本発明の空気入りタイヤは、上記ゴム組成物を用いてゴム用押し出し機などによりタイヤのトレッド部を作製し未加硫タイヤを成型した後、常法に従い加硫工程を経ることで製造することができる。キャップベース構造のスタッドレスタイヤに適用される場合は、接地面側のキャップトレッドにのみに本発明のゴム組成物を適用すればよい。
このようにして得られた本発明の空気入りタイヤは、適度に部分炭化(「半炭化」)させた植物性粒状体を用いることにより、植物性粒状体の各粒子が、靭性・強度を保つことで引っ掻き効果を発揮するとともに、表面に形成された炭化層により吸水効果をも発揮する。そのため、比較的少量の配合により充分な程度の引っ掻き効果及び吸水効果を発揮できる。しかも、部分炭化の際に、植物性粒状体の各粒子の表面に存在していたひげ状やこぶ状の突起が消滅するため、適当な程度の抜け落ちを生じさせることができ、これにより、さらに吸水効果を発揮することができる。特には、樹脂処理により抜け落ちが生じ難い植物性粒状体を併用することにより、引っ掻き効果を高めることで、更なる氷上性能の向上を実現することができる。しかも、道路の損傷やアスファルトの粉塵を発生させることなく、天然素材を使用することにより、粉砕物の飛散によっても健康や環境に悪影響を及ぼすことがない。
以下、本発明の実施例を示すが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
バンバリーミキサーを使用し、下記表1に示す配合に従い、スタッドレスタイヤ用トレッドゴム組成物を調製した。表1中の各成分は以下の通りである。
・天然ゴム:RSS#3、
・ブタジエンゴム:宇部興産(株)製の「UBEPOL BR150B」、
・カーボンブラック:東海カーボン株式会社製「シーストKH」(N339、HAF)、
・シリカ:東ソー・シリカ株式会社製湿式シリカ「ニップシールAQ」、
・シランカップリング剤:デグサ社製「Si75」、
・パラフィンオイル:株式会社ジャパンエナジー製「JOMOプロセスP200」。
・半炭化植物性粒状体1(100μm):100メッシュパス150メッシュオン(粒径105〜149μm)の市販クルミ殻粉砕物(株式会社日本ウォルナット製「ソフトグリット(SOFT GRIT)#100」)約50gを秤量後、50mL容の密閉式のるつぼ(坩堝)に入れ、蓋をして密閉した。次いで、予め500℃に昇温し、温度を安定させておいた電気マッフル炉(東洋アドバンテック(株)製:KM-280)にセットし、5分間焼成を行った。このようにして表面が茶褐色に変色した「半炭化植物性粒状体」を得た。この「半炭化植物性粒状体」の平均粒径を上記のレーザ回折・散乱法により測定したところ約100μmであった。すなわち、クルミ殻粉砕物の平均粒子径は、半炭化の処理によっても、あまり減少しなかった。
・半炭化植物性粒状体2(50μm):120メッシュパス(粒径125μm以下)の市販クルミ殻粉砕物(株式会社日本ウォルナット製「ソフトグリットF180」)を用いた他は、全く、上記と同様にして半炭化を行った。すなわち、密閉したるつぼにて、500℃、5分間の焼成を行った。このようにして得られた茶褐色の「半炭化植物性粒状体」について平均粒径を測定したところ約50μmであった。;
・半炭化植物性粒状体3(500μm):26メッシュパス36メッシュオン(粒径420〜590μm)の市販クルミ殻粉砕物(株式会社日本ウォルナット製「ソフトグリット#36」)を用いた他は、全く、上記と同様にして半炭化を行った。すなわち、密閉したるつぼにて、500℃、5分間の焼成を行った。このようにして得られた茶褐色の「半炭化植物性粒状体」について平均粒径を測定したところ約500μmであった。
・炭化初期植物性粒状体:市販クルミ殻粉砕物(株式会社日本ウォルナット製「ソフトグリット#100」)を用い、上記と同様の操作により、密閉したるつぼにて、200℃、5分間の焼成を行った。この部分炭化処理により、クルミ殻粉砕物は、黄土色ないし薄茶色だったものが、少し濃い茶色に変色した。平均粒径を上記のレーザ回折・散乱法により測定したところ、やはり約100μmであった。;
・超炭化植物性粒状体:市販クルミ殻粉砕物(株式会社日本ウォルナット製「ソフトグリット#100」)を用い、上記と同様の操作により、密閉したるつぼにて、500℃、20分間の焼成を行った。この焼成により、クルミ殻粉砕物は、炭化を通り越して、熱分解を生じ、灰分と、いくらかの、黒色の炭化物粒子のみとなった。平均粒径を上記のレーザ回折・散乱法により測定したところ、やはり約100μmであった。これは、焼成の際に、灰分が凝集し、偶然に、元のクルミ殻粉砕物と同様の平均粒径になったためと考えられる。
・竹炭粉砕物:孟宗竹の竹炭(宮崎土晃株式会社製「1号炭」)をハンマーミルで粉砕し、得られた粉砕物をふるいにより分級した竹炭粉末(平均粒子径100μm)。;
・樹脂処理植物性粒状体:市販クルミ殻粉砕物(株式会社日本ウォルナット製「ソフトグリットF180」)に対し、特開平10−7841号公報に記載の方法に準じてRFL処理液で表面処理を施したもの(処理後の植物性粒状体の平均粒子径は300μm)。
各ゴム組成物には、共通配合として、ジエン系ゴム100重量部に対し、ステアリン酸(花王株式会社製「ルナックS−20」)2重量部、亜鉛華(三井金属鉱業株式会社製「亜鉛華1種」)2重量部、老化防止剤(住友化学株式会社製「アンチゲン6C」)2重量部、ワックス(日本精鑞株式会社製「OZOACE0355」)2重量部、加硫促進剤(住友化学株式会社製「ソクシノールCZ」)1.5重量部、及び、硫黄(鶴見化学工業株式会社製「粉末硫黄」)2.1重量部を配合した。
各ゴム組成物を用いてスタッドレスタイヤを作製し、耐摩耗性と、氷上路面における制動性能(氷上制動性能)を評価した。タイヤサイズは195/65R15として、そのトレッドに各ゴム組成物を適用し、常法に従い加硫成形することにより製造した。各使用リムは15×5.5JJとした。各測定・評価方法は次の通りである。
・低温硬度:JIS K 7215に準拠して、160℃×20分で加硫したサンプル(厚みが12mm以上のもの)について、−5℃での硬度を、タイプAデュロメータを用いて測定した。
・耐摩耗性:上記タイヤを2000ccのFF車に装着し、2500km毎に左右ローテーションして、10000km走行後の残溝(4本のタイヤの残溝の平均値)を測定し、比較例1の値を100とした指数で表示した。指数が大きいほど耐摩耗性が良好であることを示す。
・氷上制動性能:上記タイヤを2000ccのFF車に装着し、−3±3℃の氷盤路上で40km/h走行からABS作動させて制動距離を測定し(n=10の平均値)、比較例1の値を100とした指数で表示した。指数が大きいほど制動距離が短く、制動性能に優れることを示す。
・粉末形状の観察:走査電子顕微鏡(日立製 SEM S-3500N)により、上記の「半炭化植物性粒状体1(平均粒径100μm)」、及び部分炭化処理前のクルミ殻粉砕物(日本ウォルナット製「ソフトグリット#100」)について、それぞれ、100倍及び250倍の倍率にて撮影した。得られた写真を、図1〜4に示す。
・部分炭化の際の重量減少率の評価:部分炭化の程度を評価すべく、焼成前後の粒状体の重量変化を測定した。すなわち、焼成前と焼成後の粒状体の重量を秤量した。そして、得られた重量変化を、焼成前の植物性粒状体の重量で割り、100をかけた値を重量減少率とした。評価の結果を表2に示す。
まず、図1〜4を参照して、部分炭化について説明する。図1〜2に示すように、部分炭化により、表面に多孔質の層が形成されている。但し、炭化は不均一であり、表面のみを完全に炭化させるわけではない。部分炭化前の図3〜4と比較した場合、ひげ状突起などが減少しているが、粒径には、大差がない。
特には図2の中央や左上部分などから知られるように、適度に部分炭化されることで、各粒子の表面には、比較的大きな丸い孔もあいている。しかし、これらの孔は、完全炭化物で見られるような貫通孔でなく、比較的浅いものであるらしいことが知られる。一方、図2の右下部分を見た場合には、あまり大きな孔が見られず、表面部分でも炭化度が、あまり高くないと推測される。なお、図1の左上部分を、他の部分と比較した場合、左上部分にある細かい粒にて、より多孔性となっており、炭化の程度が粒子径によってもばらつくのであろうことが知られる。しかし、全体としては、吸水効果を発揮させるような多数の孔があいており、かつ、大部分の粒は、引っ掻き性能を実現するための靭性を保持していると考えられる。すなわち、実施例の半炭化植物性粒状体は、炭化度にばらつきを有しつつも、全体として、適度に、炭化層部分と、未炭化ないし軽度の炭化のみの部分とが適当の比率で組み合わさっているものと思われる。
他方、部分炭化処理を行わなかった場合、図3〜4に示すように、各粒子の表面には、炭化層に特徴的な丸い孔が見られない。また、粒子によっては、粉砕の際に繊維が引きちぎられた際に生じたと考えられる裂け目状の凹陥部が表面に表れているが、吸水効果を期待できるほどのものでない。
なお、一般的な炭焼き釜で木材を完全に炭化する場合の収率(絶乾重量ベース)は、一般に30%弱である。すなわち、炭素含量が90%以上となる完全炭化の場合の重量減少率は、70%程度であると考えられる。そのため、40〜50%程度の重量減少率の場合、各粒子の芯の部分が木質構造保持していると考えられ、まさに「半炭化」した状態と言える。これに対し、炭化初期植物性粒状体では、重量減少率が約12%であり、炭化(脱水反応)が一部で開始した段階といえる。そのため、吸水効果を発揮するような多孔質炭化層は、未だ形成されていないと考えられる。
次に、表1のタイヤ評価結果について説明する。平均粒径100μmの半炭化植物粒状体1を0.5〜10重量部添加した実施例1〜4では、比較例3の場合に比べて、添加量の増大につれて、氷上制動性能が向上した。特に、1重量部以上添加した場合に顕著な効果が見られた。また、10重量部の添加で多少の耐磨耗性の低下が見られたが、それほどには問題のない範囲と考えられた。
ここで、比較例3は、平均粒径100μmの竹炭を5重量部添加し、植物性粒状体(クルミ殻粉砕物)を加えなかった場合であり、竹炭をも添加しなかった比較例1に比べると、氷上制動性能は、顕著に大きい。竹炭に代えて植物性粒状体を添加した比較例2は、比較例3との間で有意な差が見られなかった。
平均粒径50μmの部分炭化植物粒状体2を10重量部添加した実施例5では、同一添加量の実施例4に比べて、氷上制動性能の向上効果が劣っていた。また、耐摩耗性においても多少劣っていると考えられた。このことから、平均粒径100μmのものが平均粒径50μmよりも優れていることが知られた。
一方、平均粒径500μmの部分炭化植物粒状体3を5重量部添加した比較例5では、氷上制動性能の向上が実施例3と同様に顕著であったが、耐磨耗性に劣る結果となった。また、比較例6では、平均粒径100μmの部分炭化植物粒状体1を添加したものの、添加量が過小であるために、有意な効果が見られなかった。また、添加量が過大である比較例7では、耐磨耗性が顕著に低下してしまった。
実施例6では、平均粒径100μmの部分炭化植物粒状体1と、竹炭と、樹脂処理植物粒状体とをいずれも3部添加することにより、最も良好な結果が得られた。実施例6の結果は、次の(1)〜(2)を示すと考えられる。(1)吸水効果に優れた竹炭との併用が好ましい。(2)引っ掻き効果を発揮する植物粒状体は、タイヤトレッドのゴム材料に堅固に接続する樹脂処理植物粒状体と、適宜に脱落して吸水用の凹陥部を形成する部分炭化植物粒状体とを適宜併用するのが好ましい。
本発明に係るゴム組成物は、スタッドレスタイヤ、スノータイヤなどの冬用タイヤ、産業車両用タイヤなどの各種空気入りタイヤを始めとして、靴底、マット類、床材等の防滑性が要求されるゴム製品に広く利用することができる。

Claims (3)

  1. ジエン系ゴム100重量部に対し、平均粒径が30〜300μmの部分炭化植物性粒状体を0.5〜10重量部配合してなり、
    該部分炭化植物性粒状体は、植物性粒状体について、200〜600℃にて2〜60分間の焼成を行うことにより得られたものであって、このような部分炭化処理の際の重量減少率が20〜70%であることを特徴とするゴム組成物。
  2. 植物性粒状体の表面をゴム接着性改良剤の樹脂液により処理したもの、及び/または、植物の多孔質性炭化物を、更に配合してなる請求項1に記載のゴム組成物。
  3. 請求項1または2に記載のゴム組成物からなるトレッドを備えた空気入りタイヤ。
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