JP5353362B2 - 内燃機関のegr制御システム - Google Patents

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Description

本発明は、内燃機関のEGR制御システムに関する。
内燃機関から排出される排気の一部を吸気通路に流入させるEGR装置を備えた内燃機関が知られている。また、排気通路にPMフィルタやNOx触媒等の排気浄化装置を備えた内燃機関において、排気浄化装置の上流側の排気に燃料を添加してPMフィルタの再生処理やNOx触媒の還元処理を行うことが知られている。
排気に燃料が添加されると、添加された燃料が排気中や排気浄化装置において化学反応することによって、排気中の酸素が消費され、排気の酸素濃度が低下する。EGR装置を備えた内燃機関において、燃料の添加に伴って酸素濃度の低下した排気がEGR装置によって吸気通路に流入すると、内燃機関の吸気の酸素濃度が変動し、内燃機関において燃焼変動が生じたり排気性能が悪化したりする可能性がある。
この問題に対して、EGR装置を備えた内燃機関において排気に燃料添加を行う場合に、添加する燃料量に応じてEGRガス量を減少させることによって、吸気の酸素濃度の変動を抑制することを図った技術が提案されている(特許文献1を参照)。
特開2008−208723号公報 特開平11−159404号公報
この問題に対して、燃料添加に伴う排気の酸素濃度の変動を排気通路に備えた空燃比センサによって測定し、その測定値に基づいてEGR制御を行うことによって吸気の変動を抑制するようにすることも考えられる。
このように排気通路に備えた空燃比センサによる測定値に基づいてEGR制御を行う場合、空燃比センサ及びEGR弁の搭載位置の関係によっては、空燃比センサによる測定値が得られてからその空燃比の排気がEGR弁を通過するまでの時間が短過ぎて、当該測定値に基づいてEGR制御を行うために必要な時間を確保できない可能性がある。
特に、内燃機関の回転数が高くなるほど排気がEGR弁に到達するタイミングが早くなるので、内燃機関の高速回転領域では空燃比センサによる測定値に基づいたEGR制御を好適に実行できないという問題があった。
本発明はこのような問題点に鑑みてなされたものであり、EGR装置を備えた内燃機関において、排気通路に備えたセンサの測定値に基づいて行われるEGR制御を、内燃機関のより広い運転領域において実行可能にする技術を提供することを目的とする。また、本発明は、EGR装置を備えた内燃機関において、EGR装置による排気の再循環が行われる条件下で排気へ燃料が供給される場合に、燃料供給に伴って吸気の空燃比が変動しないように排気通路に備えた空燃比センサの測定値に基づいて行われるEGR制御を、内燃機関のより広い運転領域において実行可能にする技術を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するために、本発明に係る内燃機関のEGR制御システムは、
内燃機関の排気通路に備えられた排気浄化手段と、
前記排気浄化手段より下流側の排気通路と前記内燃機関の吸気通路とを接続するEGR通路と、
前記EGR通路を介して前記吸気通路に流入する排気の流量を調節するEGR弁と、
排気が前記EGR弁に到達するタイミングを調節する調節手段と、
排気の所定の特性を測定する測定手段と、
前記測定手段による測定値に基づいて前記EGR弁を制御するとともに前記内燃機関の回転数に基づいて前記調節手段を制御する制御手段と、
を備え、
前記制御手段は、前記内燃機関の回転数が所定の閾値より速い場合、排気が前記EGR弁に到達するタイミングが遅くなるように前記調節手段を制御することを特徴とする。
測定手段による測定値が得られてから、当該測定された特性を有する排気がEGR弁に到達するまでには、遅れがある(以下、「還流遅れ」という)。また、EGRガス量が所定の目標値となるようにEGR弁の制御を開始してから、実際のEGRガス量が当該目標値に一致するまでにも、遅れがある(以下、「応答遅れ」という)。
測定手段による測定値に基づいてEGRガス量制御を行うためには、測定手段による測定値が得られてから、当該測定された特性を有する排気がEGR弁に到達するまでの間に、当該測定値に基づいて求められる目標EGRガス量に実際のEGRガス量を一致させるために必要な時間を確保できなければならない。つまり、還流遅れが応答遅れより短い場合、測定手段による測定値に基づくEGRガス量制御は成立しなくなる。
ここで、還流遅れは内燃機関の回転数が高くなるほど短くなる傾向がある。従って、内燃機関が高回転数の運転条件において、測定手段による測定値に基づくEGRガス量制御が成立しなくなる虞がある。
この点本発明のEGR制御システムでは、内燃機関の回転数が所定の閾値より高回転数の運転条件において、排気がEGR弁に到達するタイミングを遅くする制御が行われる。従って、還流遅れが拡大する。これにより、内燃機関が高回転数の運転条件においても、還流遅れが応答遅れより短くならないようにすることができる。つまり、内燃機関のより広い運転領域において、測定手段による測定値に基づくEGRガス量制御が好適に成立するようにすることが可能となる。
ここで内燃機関の回転数に関する「所定の閾値」とは、還流遅れが応答遅れ以上となるか否かを判定するための内燃機関の回転数の基準値である。例えば、還流遅れが応答遅れより短くならない回転数の上限値に基づいて定めることができる。また、「排気の所定の特性」とは、例えば排気の空燃比、酸素濃度、温度、NOx量等であり、これらの特性を測定する測定手段は、空燃比センサ、酸素濃度センサ、温度センサ、NOxセンサ等である。
本発明において、
前記調節手段は、排気が前記EGR弁に到達するまでに流通する経路の通路容積を変更する手段を有し、
前記制御手段は、前記内燃機関の回転数が前記閾値より速い場合、前記通路容積を拡大
させるように前記調節手段を制御するようにしても良い。
排気がEGR弁に到達するまでに流通する経路の通路容積が拡大することにより、排気がEGR弁に到達するタイミングを遅らせることができる。
本発明において、
前記調節手段は、前記内燃機関の排気量を調節する手段を有し、
前記制御手段は、前記内燃機関の回転数が前記閾値より速い場合、前記内燃機関の排気量を減少させるように前記調節手段を制御するようにしても良い。
内燃機関の排気量が減少することにより、排気がEGR弁に到達するまでの経路を流通する際の流量が減少するので、排気がEGR弁に到達するタイミングを遅らせることができる。
本発明において、
前記調節手段は、前記内燃機関の吸気通路に流入する空気量を調節する手段を有し、
前記制御手段は、前記内燃機関の回転数が前記閾値より速い場合、前記内燃機関の吸気通路に流入する空気量を減少させるように前記調節手段を制御するようにしても良い。
内燃機関の吸気通路に流入する空気量が減少することにより、排気がEGR弁に到達するまでの経路を流通する際の流量が減少するので、排気がEGR弁に到達するタイミングを遅らせることができる。
本発明において、
前記排気浄化手段よりも上流側の排気通路に設けられたタービンと前記EGR通路の接続箇所より下流側の吸気通路に設けられたコンプレッサとを有する過給機と、
前記タービンより上流側の排気通路と前記コンプレッサより下流側の吸気通路とを接続する高圧EGR通路と、
を更に備え、
前記調節手段は、前記EGR通路を介して吸気通路に流入する排気及び前記高圧EGR通路を介して吸気通路に流入する排気の総量に対する前記高圧EGR通路を介して吸気通路に流入する排気の量の比率を調節する手段を有し、
前記制御手段は、前記内燃機関の回転数が前記閾値より速い場合、前記比率を高くするように前記調節手段を制御するようにしても良い。
EGR通路を介して吸気通路に流入する排気及び高圧EGR通路を介して吸気通路に流入する排気の総量が等しい条件下で高圧EGRガス量の比率が高くなるとこにより、EGR通路を介して吸気通路に流入する排気の流量が減少する。よって、排気がEGR弁に到達するまでの経路を流通する際の流量が減少するので、排気がEGR弁に到達するタイミングを遅らせることができる。
本発明においては、排気がEGR弁に到達するタイミングを遅らせるための手段として、上記のような種々の手段を用いることができるが、これらの手段を内燃機関の負荷に応じて選択するようにしても良い。
例えば、本発明において、
前記調節手段は、
前記内燃機関の排気量を調節する手段と、
前記内燃機関の吸気通路に流入する空気量を調節する手段と、
前記排気浄化手段よりも上流側の排気通路に設けられたタービンと前記EGR通路の
接続箇所より下流側の吸気通路に設けられたコンプレッサとを有する過給機と、前記タービンより上流側の排気通路と前記コンプレッサより下流側の吸気通路とを接続する高圧EGR通路と、を更に備えた構成において、前記EGR通路を介して吸気通路に流入する排気及び前記高圧EGR通路を介して吸気通路に流入する排気の総量に対する前記高圧EGR通路を介して吸気通路に流入する排気の量の比率を調節する手段と、
の少なくともいずれかを有し、更に、
前記調節手段は、排気が前記EGR弁に到達するまでに流通する経路の通路容積を変更する手段を有し、
前記制御手段は、
前記内燃機関の回転数が前記閾値より速く且つ負荷が所定負荷より高い場合、前記通路容積を拡大させるように前記調節手段を制御し、
前記内燃機関の回転数が前記閾値より速く且つ負荷が前記所定負荷以下の場合、前記調節手段が前記各手段のうちいずれを有しているかに応じて、前記内燃機関の排気量を減少させるか、前記内燃機関の吸気通路に流入する空気量を減少させるか、又は、前記比率を高くするか、のうち少なくともいずれかとなるように前記調節手段を制御するようにしても良い。
内燃機関の排気量を減少させたり、空気量を減少させたり、高圧EGR通路を介して吸気通路に流入する排気の比率を高くしたりするように調節手段を制御すると、吸気温度や吸入空気量に影響があるため、特に高負荷運転状態では出力不足や排気悪化等の問題が生じる可能性がある。一方、通路容積を拡大させるように調節手段を制御する場合には、吸気温度や吸入空気量への影響が小さいので、高負荷運転状態においてもそのような問題が生じる虞はない。
上記構成において、内燃機関の負荷に関する「所定負荷」とは、排気がEGR弁に到達するタイミングが遅くなるようにする制御を、内燃機関の排気量を減少させる制御や、空気量を減少させる制御や、或いは高圧EGR通路を介して吸気通路に流入する排気の比率を高くする制御により実施した場合に、出力不足や排気悪化等の問題が生じるか否かを判定するための、内燃機関の負荷の基準値である。
上記構成によれば、所定負荷より負荷が高い高負荷の運転状態においては、通路容積を拡大させるように調節手段の制御が行われるので、内燃機関の出力不足や排気悪化といった問題が生じることを抑制しつつ、排気がEGR弁に到達するタイミングを遅らせることが可能となる。
測定手段による測定値に基づくEGRガス量制御は、測定手段による測定値に基づいてEGRガス量の目標値を算出し、当該測定された特性を有する排気がEGR弁に到達するタイミングを還流遅れに基づいて推定し、当該タイミングにおいて実際のEGRガス量が算出した目標値に一致するように応答遅れを考慮してEGR弁を制御することによって行うことができる。
従って、測定手段による測定値に基づくEGRガス量制御を精度良く行うためには、還流遅れを精度良く推定する必要がある。ところが、排気の流通環境の経時的な変化や製品毎のばらつき等によって、推定精度が十分でなくなる場合がある。
そこで、本発明において、
前記排気の特性を変化させる変化手段を更に備え、
前記制御手段は、前記変化手段により前記排気の特性を変化させ、当該特性の変化が前記測定手段により測定されるタイミングを推定し、当該推定したタイミングと、当該特性の変化が実際に前記測定手段により測定されるタイミングと、の誤差に基づいて、前記E
GR通路を介して前記吸気通路に流入する排気の流量の制御を補正するようにしても良い。
このように、変化手段によって意図的に排気の特性を変化させ、当該特性の変化が測定手段によって測定されるタイミングの推定値と実測値との誤差を求めることにより、排気の流通環境の現状と推定の前提とのずれを把握することができる。このずれは還流遅れの推定値にも同様に影響していると考えられるので、この誤差に基づいて還流遅れの推定値を補正することができる。これにより、測定手段による測定値に基づくEGRガス量制御を、排気の流通環境の経時的な変化や製品毎のばらつき等に応じて補正することが可能となる。よって、測定手段による測定値に基づくEGRガス量制御を精度良く実行することが可能となる。
このような補正処理のために排気の特性を意図的に変化させた場合に、当該特性の変化した排気がEGR通路を介して吸気通路に流入すると、吸気の特性が変化してしまう場合がある。そうすると燃焼変動や排気悪化が生じる虞がある。
そこで、本発明において、
前記制御手段は、前記EGR通路を介して前記吸気通路に流入する排気の流量を所定流量以下に制御した状態で、前記変化手段により前記排気の特性を変化させるようにしても良い。
ここで、「所定流量」とは、変化手段により特性が変化させられた排気がその流量で吸気通路に流入したとしても燃焼変動や排気悪化の程度が許容範囲内に収まるようなEGRガス量である。EGRガス量を所定流量以下にすることは、EGRガス量をゼロにすることを含む。
このように、排気の特性を変化させても吸気の特性への影響が無視できるような条件下でEGRガス量制御の補正処理を行うことによって、燃焼変動や排気悪化を招くことなく補正処理を行うことが可能となる。
以上説明した本発明のEGR制御システムは、内燃機関の回転数が閾値より早い高回転数の運転条件において還流遅れが応答遅れより短くなるので、そのような高回転数の運転条件において還流遅れを拡大させる制御を行うことによって、還流遅れが応答遅れより短くならないようにすることを旨とする。これにより、高回転数の運転条件を含む内燃機関の広い運転領域において測定手段による測定値に基づいたEGRガス量制御が成立するようにすることができる。
これに対して、内燃機関の回転数に依らず常に還流遅れが応答遅れ以上となるように、測定手段及びEGR弁を配置することにより、高回転数の運転条件を含む内燃機関の広い運転領域において測定手段による測定値に基づいたEGRガス量制御が成立するようにしても良い。
すなわち、本発明の内燃機関のEGR制御システムは、
内燃機関の排気通路に備えられた排気浄化手段と、
前記排気浄化手段より下流側の排気通路と前記内燃機関の吸気通路とを接続するEGR通路と、
前記EGR通路を介して前記吸気通路に流入する排気の流量を調節するEGR弁と、
排気の所定の特性を測定する測定手段と、
前記EGR通路を介して前記吸気通路に流入する排気の流量が、前記測定手段による測
定値に基づいて設定される目標値となるように、前記EGR弁を制御する制御手段と、
前記測定手段による測定値が得られてから、当該測定された特性を有する排気が前記EGR弁に到達するまでの時間差が、前記EGR通路を介して前記吸気通路に流入する排気の流量が前記目標値となるように前記EGR弁の制御を開始してから、実際に前記吸気通路に流入する排気の量が当該目標値に一致するまでの時間差よりも、前記内燃機関の回転数に依らず長くなるように、前記EGR弁及び前記測定手段を配置するようにしても良い。
EGR弁及び測定手段をこのように配置すれば、測定手段による測定値が得られてから、当該測定された特性を有する排気がEGR弁に到達するまでの間に、当該測定値に基づいて求められる目標EGRガス量に実際のEGRガス量を一致させるために必要な時間を、
内燃機関の回転数に依らず常に確保することができる。従って、内燃機関の回転数に依らず常に測定手段による測定値に基づいたEGRガス量の制御が成立するようにできる。
このような測定手段及びEGR弁の配置としては、例えば、
前記排気通路における前記EGR通路の分岐部から前記測定手段による測定が行われる位置までの経路の、排気の流れの向きに沿って測った通路容積に対して、
前記排気通路における前記EGR通路の分岐部から前記EGR弁までの経路の、排気の流れの向きに沿って測った通路容積が、
一定以上大きくなるように、前記測定手段及び前記EGR弁を配置することができる。
「排気の流れの向きに沿って測った通路容積」とは、以下の意味で正負を定義した容積である。すなわち、EGR通路の分岐部より排気の流れに沿って下流側に測定手段が配置される場合には、当該分岐部から測定手段までの経路の、排気の流れの向きに沿って測った通路容積は正であるとする。一方、EGR通路の分岐部より排気の流れに沿って上流側に測定手段が配置される場合には、当該分岐部から測定手段までの経路の、排気の流れの向きに沿って測った通路容積は負とする。
ここで「一定以上大きくする」とは、例えば、排気がEGR弁に到達するタイミングが最も早くなる内燃機関の運転条件において、EGR通路の分岐部から測定手段までの経路を排気が流通するのに要する時間と、EGR通路の分岐部からEGR弁までの経路を排気が流通するのに要する時間と、の差が、EGRガス量制御の応答遅れ以上となるように、両経路の容積に差を設けることである。「排気がEGR弁に到達するタイミングが最も早くなる内燃機関の運転条件」は、内燃機関が最高回転数としても良いし、内燃機関の最も頻繁に使用される運転領域における最高回転数としても良い。
排気に燃料を添加する燃料添加弁を備えた構成において、EGR通路を介して吸気通路に排気が流入する条件下で燃料添加弁から排気に燃料が添加されると、当該燃料添加に伴って空燃比の変動した排気がEGR通路を介して吸気通路に流入し、それによって吸気の空燃比が変動し、燃焼変動や排気悪化をもたらす場合がある。
これに対して、燃料添加に伴って変動した空燃比を測定手段によって測定し、その測定結果に基づいて、当該変動した空燃比の排気がEGR通路を介して吸気通路に流入しても吸気の空燃比が変動しないように、EGRガス量を制御することにより、燃料添加時に燃焼変動や排気悪化が生じることを抑制できる。
このように、燃料添加時の吸気の空燃比の変動を抑制するように、排気の空燃比の測定値に基づいて行われるEGRガス量の制御を、ここではリッチスパイク対応制御と称する。リッチスパイク対応制御を行うことにより、EGR通路を介して吸気通路に排気が流入する運転条件下においても、燃焼変動や排気悪化を招くことなく燃料添加を行うことが可能となるので、内燃機関のより広い運転領域において、PM再生処理やNOx還元処理等の排気燃料添加を伴う排気浄化処理等を行うことが可能となる。
リッチスパイク対応制御は、測定手段による測定値に基づいてEGRガス量を制御することにより行われるので、上述したように内燃機関の回転数が高い運転条件下で好適に実行できない場合があった。そのため、高回転数の運転条件下では排気への燃料添加を行うことができず、従って排気燃料添加を伴う排気浄化処理を実施可能な運転条件が限られるという問題があった。
これに対して、リッチスパイク対応制御を行うEGR制御システムについて本発明を適用することにより、高回転数の運転条件下においてもリッチスパイク対応制御を行うことが可能となる。従って、内燃機関のより広い運転領域において、PM再生処理やNOx還元処理等の排気燃料添加を伴う排気浄化処理を実施することが可能となる。
EGR通路を介して吸気通路に流入する排気の流量を絞った上で排気に燃料を添加することによって、排気がEGR弁に到達するタイミングの推定を補正することができる。上記リッチスパイク対応制御を実施する直前にこの補正処理を行うようにしても良い。これにより、リッチスパイク対応制御をより好適に実施することが可能となる。
本発明によれば、EGR装置を備えた内燃機関において、排気通路に備えたセンサの測定値に基づいて行われるEGR制御を、内燃機関のより広い運転領域において実行することが可能になる。また、EGR装置を備えた内燃機関において、EGR装置による排気の再循環が行われる条件下で排気へ燃料が添加される場合に、燃料添加に伴う吸気の空燃比の変動を抑制するように排気通路に備えた空燃比センサの測定値に基づいて行われるEGR制御を、内燃機関のより広い運転領域において実行することが可能になる。
実施例1及び2に係るEGR制御システムを適用する内燃機関とその吸気系及び排気系の概略構成を模式的に示す図である。 実施例1〜3に係るEGR制御システムにおけるEGR制御マップを示す図である。 実施例1〜3に係るEGR制御システムにおける低圧EGR通路流通サイクル数と低圧EGRガス量との関係を示す図である。 実施例1及び2に係るEGR制御システムにおいて還流遅れが低圧EGRガス量制御の応答遅れ以上である場合に、燃料添加弁から排気に燃料添加を行ったときの燃料添加指令値(図(A))、燃料添加弁付近の排気の空燃比(図(B))、空燃比センサ付近の排気の空燃比(図(C))、低圧EGR弁付近の排気の空燃比(図(D))、当該燃料添加に伴う排気の空燃比の変動に起因して吸気の空燃比が変動しないための目標空気量(図(E))及び目標低圧EGRガス量(図(F))、低圧EGR弁への開度指令値(図(G))、実際の低圧EGRガス量(図(H))、の時間変化の一例を示すタイムチャートである。 実施例1及び2に係るEGR制御システムにおいて還流遅れが低圧EGRガス量制御の応答遅れより短い場合に燃料添加弁から排気に燃料添加を行ったときの燃料添加指令値(図(A))、燃料添加弁付近の排気の空燃比(図(B))、空燃比センサ付近の排気の空燃比(図(C))、低圧EGR弁付近の排気の空燃比(図(D))、当該燃料添加に伴う排気の空燃比の変動に起因して吸気の空燃比が変動しないための目標空気量(図(E))及び目標低圧EGRガス量(図(F))、低圧EGR弁への開度指令値(図(G))、実際の低圧EGRガス量(図(H))、の時間変化の一例を示すタイムチャートである。 実施例1に係るEGR制御システムにおけるリッチスパイク対応制御を表すフローチャートである。 実施例2に係るEGR制御システムにおける還流遅れの推定値の補正処理を説明するためのタイムチャートである。図(A)は燃料添加指令値、図(B)は燃料添加弁付近の排気の空燃比、図(C)は空燃比センサ付近の排気の空燃比、図(D)は低圧EGR弁付近の排気の空燃比の時間変化、実測値、推定値又は補正値の一例を示す。 実施例2に係るEGR制御システムにおける還流遅れの推定値の補正処理を表すフローチャートである。 実施例3に係るEGR制御システムを適用する内燃機関とその吸気系及び排気系の概略構成を模式的に示す図である。
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。本実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置等は、特に記載がない限りは、発明の技術的範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
実施例1に係る内燃機関のEGR制御システムを説明する。図1は、本実施例に係る内燃機関のEGR制御システムを適用する内燃機関とその吸気系及び排気系の概略構成を模式的に示す図である。図1においてエンジン1は4つの気筒2を備え、各気筒2には気筒内に直接燃料を噴射する燃料噴射弁29が備えられている。エンジン1には、エンジン1のクランクシャフトの回転角度を測定するクランク角度センサ22と、図示しないアクセルペダルの踏み込み量を測定するアクセル開度センサ27と、が備えられている。各気筒2は吸気マニホールド5及び排気マニホールド6に連通している。
吸気マニホールド5には吸気通路3が接続されている。吸気通路3には、排気マニホールド6内の排気の一部を高温高圧で吸気通路3に導く高圧EGR通路9が接続されている。本実施例においては、高圧EGR通路9が、本発明における高圧EGR通路に相当する。高圧EGR通路9の接続部より上流側の吸気通路3には、吸気通路3の流路面積を変更可能な第1スロットル弁23が備えられている。第1スロットル弁23より上流側の吸気通路3には、吸気を冷却するインタークーラ11が備えられている。インタークーラ11より上流側の吸気通路3には、過給機のコンプレッサ7が備えられている。コンプレッサ7より上流側の吸気通路3には、排気通路4内の排気の一部を低温低圧で吸気通路3に導く低圧EGR通路12が接続されている。本実施例においては、低圧EGR通路12が、本発明におけるEGR通路に相当する。低圧EGR通路12の接続部より上流側の吸気通路3には、吸気通路3の流路面積を変更可能な第2スロットル弁24が備えられている。第2スロットル弁24より上流側の吸気通路3には、吸気通路3に流入する空気量を測定するエアフローメータ25が備えられている。エアフローメータ25より上流側の吸気通路3には、空気中の異物を取り除くエアクリーナ26が備えられている。
排気マニホールド6には上述した高圧EGR通路9が接続されており、排気マニホールド6と吸気通路3とを連通している。また、排気マニホールド6には、排気中に燃料を添加する燃料添加弁21が備えられている。また、排気マニホールド6には排気通路4が接続されている。排気通路4には、過給機のタービン8が備えられている。タービン8より下流側の排気通路4には、排気浄化装置17が備えられている。排気浄化装置17は、排気中の微粒子物質(PM)を捕集するフィルタ18及び吸蔵還元型NOx触媒19を有す
る。本実施例においては、排気浄化装置17が、本発明における排気浄化手段に相当する。排気浄化装置17より下流側の排気通路4における分岐部30において、上述した低圧EGR通路12が排気通路4から分岐している。分岐部30より下流側の排気通路4には、排気の空燃比を測定する空燃比センサ20が備えられている。本実施例においては、排気の空燃比が、本発明における排気の特性に相当し、空燃比センサ20が、本発明における測定手段に相当する。
高圧EGR通路9には、高圧EGR通路9の流路面積を変更する高圧EGR弁10が備えられている。高圧EGR弁10の開度を変更することによって、高圧EGR通路9を介して吸気通路3に再循環する排気(以下、高圧EGRガスという)の流量を調節することができる。また、低圧EGR通路12には、低圧EGR通路12の流路面積を変更する低圧EGR弁14が備えられている。低圧EGR弁14の開度を変更することによって、低圧EGR通路12を介して吸気通路3に再循環する排気(以下、低圧EGRガスという)の流量を調節することができる。本実施例においては、低圧EGR弁14が、本発明におけるEGRガス量調節手段に相当する。
低圧EGR弁より上流側(すなわち、排気通路4側)の低圧EGR通路12には、低圧EGRガスを冷却する低圧EGRクーラ13が備えられている。低圧EGRクーラ13の上流側と下流側とは、バイパス通路15によって連通している。バイパス通路15には、低圧EGR通路12を流通する低圧EGRガスのうちの低圧EGRクーラ13を通過するガス量とバイパス通路15を通過するガス量とを調節するバイパス弁16が備えられている。バイパス弁16の開度を調節することにより、低圧EGRガスの流通経路として、低圧EGRクーラ13のみを通過する経路、バイパス通路15のみを通過する経路、及び、低圧EGRクーラ13及びバイパス通路15の両方を通過する経路を設定可能である。本実施例においては、バイパス通路15及びバイパス弁16が、本発明における調節手段の有する「通路容積を変更する手段」に相当する。
エンジン1にはエンジン1の運転を制御するコンピュータであるECU28が併設されている。ECU28には、上述したクランク角度センサ22、エアフローメータ25、空燃比センサ20、アクセル開度センサ27が接続されており、これら各センサによる測定データがECU28に入力される。また、ECU28には、上述した燃料噴射弁29、高圧EGR弁10、第1スロットル弁23、低圧EGR弁14、バイパス弁16、第2スロットル弁24、燃料添加弁21が接続されており、これら各機器の動作がECU28からの指令により制御される。ECU28はCPU、メモリ、入出力インターフェース等を備えた既知の構成を有し、接続された上記各センサから入力される測定データからエンジン1の運転状態や運転者の要求を取得し、それに基づいて上記各機器の制御目標値を算出し、各機器の動作を制御する。
本実施例のEGR制御システムでは、高圧EGR通路9及び低圧EGR通路12の2系統のEGR通路を介した排気の再循環を行うことができる。高圧EGR通路9を介した排気の再循環と、低圧EGR通路12を介した排気の再循環とは、エンジン1の運転条件に応じて切り替えられる。図2はエンジン1の運転条件(ここでは機関回転数及び機関負荷)に応じて定められる、高圧EGR通路9を介した排気の再循環及び低圧EGR通路12を介した排気の再循環の切り替え制御マップの概念図である。
図2に示すように、低負荷低回転の運転領域(図2で「HPL」と表された領域)では、高圧EGR通路9を介した排気の再循環が行われ、それより負荷及び/又は回転数の高い運転領域(図2で「HPL+LPL」と表された領域)では高圧EGR通路9及び低圧EGR通路12を併用して排気の再循環が行われ、それよりさらに負荷及び/又は回転数の高い運転領域(図2で「LPL」と表された領域)では低圧EGR通路12を介した排
気の再循環が行われる。
各領域において高圧EGRガス量及び低圧EGRガス量の目標値が設定され、高圧EGRガス量及び低圧EGRガス量が当該目標値となるように、高圧EGR弁10及び低圧EGR弁14の開度制御が行われる。
本実施例では、排気浄化装置17について、公知の排気浄化処理が行われる。例えば、フィルタ18に捕集されたPMの量がフィルタ再生処理の実施要否を判定するために定められた基準量に達したと判定されたときに、燃料添加弁21から排気中に燃料が添加され、フィルタ18に捕集されたPMを酸化させてフィルタ18から除去する処理を行う。また、NOx触媒19に吸蔵されたNOxの量がNOx還元処理の実施要否を判定するために定められた基準量に達したと判定されたときに、燃料添加弁21から排気中に燃料が添加され、NOx触媒19に吸蔵されたNOxをNOx触媒19から放出させて還元浄化する処理を行う。また、NOx触媒19に吸蔵された硫黄の量が硫黄被毒回復処理の実施要否を判定するために定められた基準量に達したと判定されたときに、燃料添加弁21から排気中に燃料が添加され、NOx触媒19に吸蔵された硫黄をNOx触媒19から除去する処理が行われる。その他、触媒活性化等の各種触媒処理の実施のために、燃料添加弁21から排気中に燃料を添加する。
燃料添加弁21から排気中に燃料が添加されると、添加された燃料と排気中の酸素との化学反応が進行し、排気中の酸素が消費されるため、排気の空燃比が変動する。低圧EGR通路12を介して排気の再循環が行われる運転条件下で燃料添加弁21による排気への燃料添加が行われると、空燃比の変動した排気が低圧EGR通路12を介して吸気通路3に再循環することになるので、エンジン1の吸気の空燃比が変動し、燃焼変動や排気悪化を招く虞がある。
そこで、本実施例のシステムでは、低圧EGR通路12を介した排気の再循環が行われる運転条件下で燃料添加弁21による排気への燃料添加を行う場合には、燃料添加に伴って変動した空燃比を空燃比センサ20によって測定し、その測定結果に基づいて、当該変動した空燃比の排気が低圧EGR通路12を介して吸気通路3に流入しても吸気の空燃比が変動しないように低圧EGRガス量を制御する。
このように、低圧EGR通路12を介した排気の再循環が行われる運転条件下で排気への燃料添加を行う場合に、当該燃料添加に起因して吸気の空燃比が変動しないように低圧EGRガス量を制御することを、本実施例では「リッチスパイク対応制御」と称する。
低圧EGR通路12を介した排気の再循環が行われる運転条件下においても、リッチスパイク対応制御を実施することにより、燃焼変動や排気悪化を招くことなく排気への燃料添加を行うことが可能になる。従って、エンジン1のより広い運転領域において、排気への燃料添加を行うことが可能となる。これにより、エンジン1のより広い運転領域において、排気への燃料添加を伴う排気浄化処理を行うことができる。
本実施例のシステムでは、排気浄化装置17より下流側の排気通路4に備えられた空燃比センサ20による測定結果に基づいてリッチスパイク対応制御が行われるので、低圧EGR通路12を介して吸気通路3に流入する排気の空燃比を精度良くリッチスパイク対応制御における低圧EGRガス量の制御に反映させることができる。よって、排気燃料添加に起因して吸気の空燃比が変動することを好適に抑制することが可能である。
ここで、低圧EGRガス量の目標値に応じた低圧EGR弁14の開度制御が開始されてから、実際の低圧EGRガス量(低圧EGR弁14を通過する低圧EGRガス量)が当該
目標値に一致するまでには、低圧EGR弁14やその駆動装置(例えば低圧EGR弁14を駆動するモータなど)の応答特性等に基づく遅れがある。この遅れを本実施例では「応答遅れ」と称する。低圧EGRガス量制御に係る応答遅れは、低圧EGR弁14やその駆動装置の構成等に依って決まる略一定の時間である。
一方、同時にエンジン1から排出された排気が、空燃比センサ20によってその空燃比が測定されるタイミングと、低圧EGR弁14に到達するタイミングと、の間には、時間差がある。この時間差を本実施例では「還流遅れ」と称する。この還流遅れは、排気が空燃比センサ20に到達するまでに流通する経路と、低圧EGR弁14に到達するまでに流通する経路との相違や、それら各経路を流通する際の排気の流量の相違等に基づく。
本実施例のEGR制御システムの構成においては、同時にエンジン1から排出された排気は、排気通路4における低圧EGR通路12の分岐部30までは同一の経路を流通するが、空燃比センサ20によってその空燃比が測定される排気は、低圧EGR通路12の分岐部30を通過後、排気通路4における図1で網模様を施した部分の経路(容積VA)を流通して、空燃比センサ20に到る。
一方、排気通路4における低圧EGR通路12の分岐部30から低圧EGR通路12に流入した低圧EGRガスは、低圧EGR通路12における図1で斜線を施した部分の経路を流通して、低圧EGR弁14に到達する。この経路の容積はバイパス弁16による上記の経路選択に応じて異なる。例えば、バイパス弁16により、低圧EGRクーラ13のみを通過する経路が選択されている場合には、低圧EGRガスの流通経路の容積はVBである。バイパス弁16により、低圧EGRクーラ13及びバイパス通路15(容積VC)を通過する経路が選択されている場合には、低圧EGRガスの流通経路の容積はVB+VCである。
本実施例のEGR制御システムの構成では、還流遅れは、分岐部30から低圧EGR通路12に流入しなかった排気が容積VAの経路を流通するのに要する時間と、分岐部30から低圧EGR通路12に流入した排気が容積VB(或いはVB+VC等)の経路を流通するのに要する時間と、の差に基づく。
低圧EGR通路12に流入した排気が容積VBの経路を流通するのに要する時間(以下、低圧EGR通路流通時間という)をサイクル数で表すと、数1のようになる。
Figure 0005353362
これを以下「低圧EGR通路流通サイクル数」と称する。数1において、VBは上述したように排気通路4における低圧EGR通路12の分岐部30から低圧EGR弁14までの低圧EGR通路12の容積(バイパス通路15を通過しない経路が選択されている場合)、βは低圧EGR通路12及び高圧EGR通路9を介して吸気通路3に再循環する排気の総量(以下「全EGRガス量」という)Gegrに対する、低圧EGRガス量Glplの比率Glpl/Gegrの逆数(Gegr/Glpl)、Vはエンジン1の排気量、ηは体積効率、αは温度圧力補正係数であり、低圧EGRガスの温度Ta、圧力Pa、吸気マニホールド5における吸気の温度Tb、圧力Pbとした場合、
Figure 0005353362
である。
図3は、種々の低圧EGRガス量における低圧EGR通路流通サイクル数を、数1の式による計算及び実測により求めてそれぞれプロットした図である。図3の横軸は低圧EGRガス量であり、縦軸は低圧EGR通路流通サイクル数である。図3に示すように、数1による計算値は実測値をよく説明しており、低圧EGRガス量が多くなるほど低圧EGR通路流通サイクル数は少なくなる傾向がある。
そして、この低圧EGRガス量と低圧EGR通路流通サイクル数との関係を、エンジン1の回転数を変化させて(1200〜2400rpm)調べると、この関係はエンジン1の回転数に依らないことが見出された。すなわち、低圧EGR通路流通サイクル数は、エンジン1の回転数に依らず、低圧EGRガス量で略決まると考えられる。
従って、等低圧EGRガス量条件では低圧EGR通路流通サイクル数は一定だが、サイクル数を時間に換算すると、エンジン1の回転数が高くなるほど短くなるので、等低圧EGRガス量条件では、低圧EGR通路流通時間はエンジン1の回転数が高くなるほど短くなる。上述した還流遅れは、低圧EGR通路流通時間と、分岐部30から空燃比センサ20までの排気通路4の経路を排気が流通するのに要する時間と、の差であるから、エンジン1の回転数に対する関係は、上記低圧EGR通路流通時間とエンジン1の回転数との関係と同様であると考えられる。
すなわち、還流遅れは、低圧EGR通路12や排気通路4の構成や空燃比センサ20や低圧EGR弁14の搭載位置に依るとともに、エンジン1の回転数にも大きく依存し、エンジン1の回転数が早くなるほど還流遅れは短くなる傾向がある。この点、低圧EGR弁14や排気系の構成等によって略一定であるの低圧EGRガス量制御の応答遅れと異なる。
本実施例のリッチスパイク対応制御では、空燃比センサ20による排気の空燃比の測定値に基づいて低圧EGRガス量を制御するので、上記の還流遅れと低圧EGRガス量制御の応答遅れを考慮する必要がある。還流遅れと応答遅れとを考慮したリッチスパイク対応制御について、図4に基づいて説明する。
図4は、燃料添加弁21から燃料添加が行われた場合の、燃料添加弁21付近の排気空燃比、空燃比センサ20付近の排気空燃比、低圧EGR弁14付近の排気空燃比、リッチスパイク対応制御において吸気の空燃比を変動させないように求められる目標空気量及び目標低圧EGRガス量、当該目標低圧EGRガス量に対応する低圧EGR弁14への開度指令値、及び、実際の低圧EGRガス量、の時間変化の一例を示した図である。
図4(A)に示すように、時刻t1において燃料添加弁21から排気に燃料添加が行われると、図4(B)に示すように燃料添加弁21付近の排気の空燃比がリッチに変化する。このリッチ空燃比の排気は、排気通路4を流れ、排気浄化装置17及び分岐部30を通過して、図4(C)に示すように時刻t2において空燃比センサ20に到達する。そして、この排気の空燃比が空燃比センサ20によって測定され、その測定結果に基づいて、図4(E)・図4(F)に示すように、当該空燃比の排気が低圧EGR通路12を介して吸気通路3に流入しても吸気の空燃比に変動をもたらさないような空気量や低圧EGRガス量の目標値が算出される。燃料添加に伴って空燃比の変動した排気が吸気通路3に流入す
る場合であっても、空気量を図4(E)に示す目標値に制御すれば、或いは、吸気通路3に流入する低圧EGRガス量を図4(F)に示す目標値に制御すれば、吸気の空燃比が変動することを抑制できる。
ここで、実際に低圧EGR弁14を通過する排気の空燃比が図4(C)のような変動を見せるのは、図4(D)に示すように、空燃比センサ20において当該変動が観測される時刻t2から還流遅れΔt1経過後のタイミングである時刻t4である。燃料添加に起因する吸気の空燃比の変動を抑制するためには、燃料添加に伴って空燃比の変動した排気が低圧EGR弁14を通過するタイミングt4において、実際の低圧EGRガス量が図4(F)に示す目標値に一致しなければならない。
そこで、本実施例のリッチスパイク対応制御では、空燃比センサ20によって図4(C)のような空燃比の変動が測定されると、当該測定値に基づいて低圧EGRガス量の目標値を算出するとともに、還流遅れΔt1に基づいて当該空燃比の排気が低圧EGR弁14に到達するタイミングt4を推定し、当該タイミングにおいて実際の低圧EGRガス量が目標値に一致するように、低圧EGRガス量の制御を行う。
すなわち、図4(G)に示すように、応答遅れΔt2を考慮して、空燃比の変動した排気が低圧EGR弁14を通過するタイミングt4より応答遅れΔt2だけ早いタイミングt3において、図4(F)に示す低圧EGRガス量の目標値に応じた低圧EGR弁14の開度制御を開始する。これにより、図4(H)に示すように、空燃比の変動した排気が低圧EGR弁14に到達するタイミングt4において、実際の低圧EGRガス量が図4(F)に示す目標値に一致するようにすることができる。
このように、空燃比センサ20による排気の空燃比の測定値が得られた後、還流遅れΔt1及び応答遅れΔt2を考慮して低圧EGR弁14の開度制御を行うことにより、当該測定された空燃比の排気が低圧EGR弁14に到達するタイミングと、当該測定値に基づいて算出された目標値に実際の低圧EGRガス量が一致するタイミングと、を合わせることができる。従って、吸気の空燃比の変動をリッチスパイク対応制御によって好適に抑制することが可能になる。
還流遅れΔt1は、上記の低圧EGR通路流通時間と同様の考え方に基づいて、エンジン1の運転条件、EGR制御の条件、体積効率、分岐部30から空燃比センサ20までの経路容積と分岐部30から低圧EGR弁14までの経路容積との差、温度圧力補正係数、体積効率等に基づいて推定する。
なお、ここでは、低圧EGRガス量が図4(F)のように算出された目標値となるように低圧EGR弁14の開度を制御する場合について説明したが、低圧EGRガス量が当該目標値となるように第2スロットル弁24の開度を制御しても良いし、空気量が図4(E)のように算出された目標値となるように低圧EGR弁14や第2スロットル弁24の開度を制御しても良い。いずれの場合でも、低圧EGRガス量制御や空気量制御には、低圧EGR弁14や第2スロットル弁24の構成等に基づく応答遅れが存在するので、上記の説明と同様にして還流遅れ及び応答遅れを考慮したリッチスパイク対応制御を行うことができる。
図4に示した例のように、還流遅れΔt1が制御応答遅れΔt2以上である場合には、空燃比センサ20による排気の空燃比の測定結果に基づいて低圧EGRガス量の目標値が算出されてから(時刻t2)、低圧EGRガス量を当該目標値に変化させるための低圧EGR弁14の開度制御を開始するまでに(時刻t3)、還流遅れΔt1と応答遅れΔt2との差に相当する遅延を設けることにより、当該目標値の算出の基礎となった空燃比の排
気が低圧EGR弁14に到達するタイミングで、実際の低圧EGRガス量を当該目標値に一致させるようにすることができる。
しかしながら、還流遅れΔt1が応答遅れΔt2より短い場合には、図5に示すように、空燃比センサ20による排気の空燃比の測定結果に基づいて低圧EGRガス量の目標値が算出された時点(時刻t2)において、即座に、低圧EGRガス量を当該目標値に変化させるための低圧EGR弁14の開度制御を開始したとしても、当該目標値の算出の基礎となった空燃比の排気が低圧EGR弁14に到達するタイミング(時刻t4)に対して、実際の低圧EGRガス量が当該目標値に一致するタイミング(時刻t5)が間に合わない。
そのため、空燃比センサ20による測定値に基づいた低圧EGRガス量制御を行うために必要な時間を確保することができず、リッチスパイク対応制御が成立しない。
上述したように、応答遅れΔt2は低圧EGR弁14等の構成によって略一定であるが、還流遅れΔt1はエンジン1の運転条件に依存し、エンジン1の回転数が高くなるほど還流遅れΔt2は短くなる傾向がある。従って、エンジン1の回転数がある程度以上早い高速回転の運転条件においては、還流遅れΔt1が応答遅れΔt2より短くなる可能性があり、リッチスパイク対応制御が成立しなくなることが考えられる。その場合、リッチスパイク対応制御が成立しない高回転数の運転条件下では、吸気の空燃比を変動させることなく排気に燃料添加を行うことが困難となるため、燃料添加を伴う排気浄化処理を実施可能な運転領域が低回転数の運転領域に限られることになる。
そこで、本実施例のEGR制御システムでは、エンジン1の回転数が所定の閾値Ne0より速い高回転数の運転条件において排気への燃料添加を行う場合には、還流遅れを拡大する制御を行うことにより、リッチスパイク対応制御が成立可能になるようにした。ここで、閾値Ne0は、還流遅れが低圧EGRガス量制御の応答遅れより短くなるか否かを判定するためのエンジン1の回転数の基準値であり、還流遅れが低圧EGRガス量制御の応答遅れより短くならない回転数の上限値に基づいて定める。
本実施例では、「還流遅れを拡大する制御」として、次の3種類の制御を使い分ける。
還流遅れを拡大する第1の制御として、低圧EGRガスが低圧EGR弁14に到達するまでに流通する経路の容積を拡大する制御を行う。具体的には、エンジン1の回転数が閾値Ne0以下の場合には、低圧EGRガスが低圧EGRクーラ13のみを通過するようにバイパス弁16を切り替え、エンジン1の回転数が閾値Ne0より速い場合には、低圧EGRガスが低圧EGRクーラ13及びバイパス通路15の両方を通過するようにバイパス弁16を切り替える。本実施例においては、バイパス弁16及びバイパス通路15が、本発明における調節手段に相当する。また、機関回転数に応じてバイパス弁16を切り替える制御を行うECU28が、本発明における制御手段に相当する。
低圧EGRガスの流通経路の容積を拡大することは、数1においてVBを大きくすることに相当する(数1の分母がVBからVB+VCに変わる)。従って、低圧EGR通路流通サイクル数が増加するので、還流遅れを拡大することができる。
還流遅れを拡大する第2の制御として、全EGRガス量に対する高圧EGRガス量の割合を高くする制御を行う。具体的には、図2のEGR制御マップにおける「HPL+LPL」領域において、通常時よりも高圧EGRガス量を増加させるとともに低圧EGRガス量を減少させる。また、図2の「LPL」領域においては、高圧EGR通路9を介した排気の再循環を行うとともに、通常時よりも低圧EGRガス量を減少させる。本実施例にお
いては、低圧EGRガス量及び高圧EGRガス量を変更する低圧EGR弁14、高圧EGR弁10、第1スロットル弁23、第2スロットル弁24が、本発明における調節手段に相当する。また、機関回転数に応じて高圧EGRガスの割合を高くするようにこれらの弁開度を変更する制御を行うECU28が、本発明における制御手段に相当する。
全EGRガス量に対する高圧EGRガス量の割合を高くすることは、数1においてβを大きくすることに相当する。従って、低圧EGR通路流通サイクル数が増加するので、還流遅れを拡大することができる。
還流遅れを拡大する第3の制御として、吸気通路3に流入する空気量を減らす制御を行う。具体的に、第1スロットル弁23や第2スロットル弁24の開度を通常時よりも閉じ側の開度にする。本実施例においては、第1スロットル弁23や第2スロットル弁24が、本発明における調節手段に相当する。また、機関回転数に応じて空気量を減量するようにこれらの弁開度を変更する制御を行うECU28が、本発明における制御手段に相当する。
空気量を減らすことは、数1においてηを小さくすることに相当する。従って、低圧EGR通路流通サイクル数が増加するので、還流遅れを長くすることができる。
ここで、還流遅れを拡大する第2及び第3の制御において、高圧EGRガスの比率を高くしたり、空気量を減少させたりする場合、吸気温度や吸入空気量が影響を受けるため、特にエンジン1が高負荷の運転条件では、出力不足や排気悪化の原因となる可能性がある。
そこで本実施例では、還流遅れを拡大すべき条件が成立する場合に、エンジン1の負荷が所定負荷L0より高い場合には、還流遅れを拡大する制御として上記第1の制御、すなわち低圧EGRガスの流通経路の容積を拡大する制御を選択し、エンジン1の負荷が当該所定負荷L0以下の場合には、還流遅れを拡大する制御として上記第2の制御又は第3の制御、すなわち高圧EGRガスの比率を高くする制御又は空気量を減少させる制御を選択するようにした。
ここで、「所定負荷」は、還流遅れを拡大する制御として高圧EGRガスの比率を高くしたり空気量を減少させたりする制御を行った場合に、出力不足や排気悪化等の問題が生じるか否かを判定するための機関負荷の基準値である。本実施例では、出力不足や排気悪化を招くことなく高圧EGRガスの比率を高くしたり空気量を減少させたりする還流遅れ拡大制御を実行可能な機関負荷の上限値に基づいて定める。
このように、還流遅れを拡大すべき条件が成立する場合におけるエンジン1の負荷に応じて、還流遅れを拡大させる制御を上記3種類の制御から選択するようにすることにより、エンジン1の高負荷運転領域においても、出力不足や排気悪化を招くことなく、還流遅れを拡大する制御を行うことが可能となる。
なお、エンジン1が排気量可変の構成を有する場合には、当該構成に対して排気量を減らす制御を行うことによって還流遅れを長くすることもできる。排気量を減らすことは、数1においてVを小さくすることに相当する。従って、この場合も低圧EGR通路流通サイクル数が増加するので、還流遅れを長くすることができる。排気量を減らすとエンジン1の燃焼に影響する可能性があるので、還流遅れを拡大する制御の選択肢として排気量を減らす制御を含む場合には、上記所定負荷以下の軽負荷運転領域でのみ選択されるようにすることが好ましい。
また、本実施例では還流遅れを拡大する制御として上記のように3つの制御から選択可能な構成としたが、本発明を実施するためには還流遅れを拡大する制御を少なくとも一つ実行可能な構成を備えていればよい。その場合、より広い負荷条件で還流遅れ拡大制御を実行することが可能となるように、還流遅れを拡大する制御として低圧EGRガスの流通経路を拡大する制御を実行可能な構成を備えるようにすることが好ましい。そうすれば高負荷の運転領域においても好適に還流遅れを拡大する制御を実行することができる。
ここで、以上説明した本実施例に係るリッチスパイク対応制御の実行手順について、図6に基づいて説明する。図6は、本実施例のリッチスパイク対応制御のフローチャートである。本実施例のシステムでは、エンジン1の運転中このフローチャートに従った処理が所定の間隔で繰り返しECU28により実行される
ステップS101において、ECU28は、エンジン1の運転状態を取得する。ここでは、ECU28はクランク角度センサ22によるクランク角度の測定値とアクセル開度センサ27によるアクセルペダルの踏み込み量とに基づいて、エンジン1の回転数及び負荷を算出する。
ステップS102において、ECU28は、排気に燃料添加を行う条件が成立しているか否かを判定する。上述したように、フィルタ18に捕集されたPMの量が上述した基準量に達したか否か、NOx触媒19に吸蔵されたNOxの量が上述した基準量に達したか否か、NOx触媒19に吸蔵された硫黄の量が上述した基準量に達したか否か、フィルタ18に担持される触媒やNOx触媒19を活性化させるべき条件が成立しているか否か等を判定する。ステップS102において排気燃料添加の実行条件が成立していると判定された場合(Yes)、ECU28はステップS103の処理に進む。ステップS102において排気燃料添加の実行条件が成立していないと判定された場合(No)、ECU28はこのフローチャートのルーチンを一旦抜ける。
ステップS103において、ECU28は、低圧EGR通路12を介した排気の再循環が行われる条件が成立しているかを判定する。低圧EGR通路12を介した排気の再循環が行われる条件については、ステップS101で取得したエンジン1の運転状態と、図2に示したEGR制御マップとを参照して判定する。ステップS103において、低圧EGR通路12を介した排気の再循環の実行条件が成立していると判定された場合(Yes)、ECU28はステップS104の処理に進む。ステップS103において、低圧EGR通路12を介した排気の再循環の実行条件が成立していないと判定された場合(No)、燃料添加に伴ってリッチ化した排気が低圧EGR通路12を介して吸気通路3に流入しないため、リッチスパイク対応制御を行う必要はない。よってこの場合ECU28はステップS109の処理に進み、リッチスパイク対応制御を行うことなく、排気燃料添加を実行する。
ステップS104において、ECU28は、還流遅れを拡大する制御を行うべき条件が成立しているか否かを判定する。ここでは、ステップS101において取得した機関回転数が上述した閾値Ne0より速いか否かを判定する。ステップS104において機関回転数が閾値Ne0より速いと判定された場合(Yes)、ECU28はステップS105の処理に進む。ステップS104において機関回転数が閾値Ne0以下であると判定された場合(No)、還流遅れは低圧EGRガス量制御の応答遅れ以上であるため、還流遅れを拡大する制御を行うことなくリッチスパイク対応制御を実行可能である。よってこの場合ECU28はステップS108の処理に進み、還流遅れを拡大する制御を行うことなく、排気燃料添加及びリッチスパイク対応制御を実行する。
ステップS105において、ECU28は、還流遅れを拡大する制御として上述した3
種類の制御のいずれを選択するかを決定する。ここでは、ステップS101において取得した機関負荷が所定負荷L0以下であるか否かを判定する。ステップS105において機関負荷が所定負荷L0以下であると判定された場合(Yes)、エンジン1の出力不足や排気悪化を招くことなく高圧EGRガスの比率を高める制御や空気量を減量する制御によって還流遅れを拡大する制御を実行することが可能である。よってこの場合ECU28はステップS106の処理に進み、高圧EGRガスの割合を高くする制御又は空気量を減少させる制御を実行する。
一方、ステップS105において機関負荷が所定負荷L0より高いと判定された場合(No)、高圧EGRガスの比率を高める制御や空気量を減少させる制御は出力不足や排気悪化を招く可能性があるので、低圧EGRガスの流通経路の容積を拡大する制御によって還流遅れを拡大する制御を実行する。よってこの場合ECU28はステップS107の処理に進み、低圧EGRガスの流通経路の容積を拡大する制御を実行する。具体的には、上述したように、低圧EGRガスの流通経路が低圧EGRクーラ13及びバイパス通路15の両方を通過する経路となるようにバイパス弁16を切り替える。
ステップS105の判定結果に応じてステップS106又はステップS107の処理を実行したECU28は、ステップS108の処理に進み、排気燃料添加及びリッチスパイク対応制御を実行する。ステップS106又はステップS107の処理を実行することにより還流遅れが拡大しているので、閾値Ne0より高回転数の運転条件下においても、還流遅れが低圧EGRガス量制御の応答遅れより短くなることはない。従って、好適にリッチスパイク対応制御を行うことができ、排気燃料添加に起因して吸気の空燃比が変動することを好適に抑制することが可能となる。
次に本発明の実施例2を説明する。実施例1のリッチスパイク対応制御においては、エンジン1の運転条件やEGR制御条件等に基づいて還流遅れΔt1を推定し、当該還流遅れに基づいて、燃料添加に伴うリッチ空燃比の排気が低圧EGR弁14に到達するタイミングを推定し、当該タイミングから低圧EGRガス量制御の応答遅Δt2れだけ早いタイミングで低圧EGR弁14の開度制御を開始する。従って、リッチスパイク対応制御の精度は、還流遅れΔt1の推定精度に依っている。ところが、排気通路4や排気浄化装置17等の排気の流通環境の経時的な変化や製品毎のばらつきによって、還流遅れの推定精度が十分でなくなる可能性がある。
そこで、本実施例では、リッチスパイク対応制御の実施前に、還流遅れの推定値を補正する処理を行うようにした。
具体的には、まず低圧EGR弁14を全閉まで絞った状態とし、燃料添加弁21から燃料添加を行う。そして、当該燃料添加に伴う排気の空燃比の変動が空燃比センサ20によって測定されるタイミングを推定し、当該推定したタイミングと、この燃料添加に伴う排気の空燃比の変動が実際に空燃比センサ20によって測定されるタイミングと、の誤差に基づいて、還流遅れの推定値を補正する。
この補正処理について、図7に基づいて説明する。
図7は、燃料添加弁21から補正処理のための燃料添加が行われた場合の、燃料添加弁21付近の排気空燃比、空燃比センサ20付近の排気空燃比、低圧EGR弁14付近の排気空燃比、の時間変化の一例を示した図である。
図7(A)に示すように、時刻t1において、低圧EGR弁14を全閉にするとともに
燃料添加弁21から補正処理のための燃料添加が行われる。この燃料添加に伴い、図7(B)に示すように燃料添加弁21付近の排気の空燃比がリッチに変化する。このリッチ化した空燃比の排気が空燃比センサ20に到達するタイミングの現在の推定値が、図7(C)の破線で示すように時刻t2eであるとする。
この燃料添加に伴う排気の空燃比の変動が実際に空燃比センサ20によって測定された時刻は、図7(C)の実線で示すように時刻t2mであったとする。この場合、空燃比センサ20において空燃比の変動が測定されるタイミングとして、実際のタイミングよりも遅いタイミングが推定されていることになる。この推定誤差δ(=t2e−t2m)は、燃料添加弁21から空燃比センサ20までの経路における排気の流通の現状と推定演算の前提との間のずれに起因するものと考えられる。
ここで、還流遅れは、排気が分岐部30から空燃比センサ20までの経路を流通する時間と、低圧EGRガスが分岐部30から低圧EGR弁14までの経路を流通する時間と、の差に基づく時間差である。これら還流遅れに関係する経路における排気の流通の現状と推定演算の前提との間にも、上記の燃料添加弁21から空燃比センサ20までの経路におけるずれと同様のずれが生じ、還流遅れの推定値に誤差δ’を生じさせると考えられる。従って本実施例では、この還流遅れの誤差δ’を、上記の排気が空燃比センサ20に到達するタイミングの推定誤差δに基づいて算出する(δ’=f(δ))。
そして、図7(D)に示すように、還流遅れの推定値Δt1eを誤差δ’だけ短い値Δt1cに補正する。これにより、低圧EGRガスが低圧EGR弁14に到達する時刻の推定値t4eも誤差δ’だけ早い時刻t4cに補正される。
本実施例では、補正処理のために排気に燃料を添加することによって排気の空燃比を変化させる燃料添加弁21が、本発明における変化手段に相当する。
図7の例では、補正処理のための燃料添加に伴う排気空燃比の変動が空燃比センサ20において観測されるタイミングの実測値が推定値より早い場合について説明したが、逆に実測値が推定値より遅い場合には、当該実測値と推定値とのずれに基づいて、還流遅れの推定値を長い値に補正する。
このような補正を行うことにより、排気の流通環境の経時的な変化や製品毎のばらつきによらず、リッチスパイク対応制御における低圧EGRガスの低圧EGR弁14への到達タイミングを精度良く推定することが可能となる。
また、この補正処理のための燃料添加は、低圧EGR弁14を全閉にした状態で行われるので、当該燃料添加に伴って吸気の空燃比が変動することはない。なお、低圧EGR弁14を全閉まで絞らず、低圧EGRガス量が所定流量以下となるような開度に低圧EGR弁14を開弁した状態で、補正処理のための燃料添加を行うようにしても良い。ここで「所定流量」とは、補正のための燃料添加に伴ってリッチ化した排気がその流量で吸気通路3に流入したとしても、それに起因する吸気の空燃比の変動が許容範囲内に収まるような低圧EGRガス量の上限値に基づいて定める。「吸気の空燃比の変動が許容範囲内」とは、当該吸気の空燃比の変動に起因する燃焼変動や排気悪化の程度が許容範囲内であることを意味する。
実施例1で説明したリッチスパイク対応制御を実行する前に、本実施例で説明した上記の補正処理を行うようにすれば、燃料添加に伴う吸気の空燃比の変動をリッチスパイク対応制御によってより確実に抑制することが可能となる。
図8は、本実施例に係る還流遅れの推定値の補正処理を説明するためのフローチャートである。このフローチャートで示される処理は、実施例1で説明したリッチスパイク対応制御の実行条件が成立した場合に、ECU28によって実行される。すなわち、図6において、ステップS102において排気燃料添加実行条件が成立していると判定され、且つ、ステップS103において低圧EGR実行条件が成立していると判定された場合に、ステップS104の処理に進む前に、本フローチャートの処理が実行される。或いは、ステップS108の排気燃料添加及びリッチスパイク対応制御の実行前に本フローチャートの処理を実行しても良い。
本実施例の補正処理が開始されると、まずステップS201において、ECU28は、エンジン1の運転状態を取得する。ステップS201の処理内容は図6のステップS101の処理内容と同等であるので説明を省略する。
ステップS202において、ECU28は、低圧EGR弁14を全閉にする。これにより、吸気の空燃比への影響を無視することが可能な条件が成立する。
ステップS203において、ECU28は、補正処理のための燃料添加を実行する。
ステップS204において、ECU28は、この燃料添加に伴う排気の空燃比の変動が空燃比センサ20によって測定されるタイミングの推定値t2eを算出する。
ステップS205において、ECU28は、この燃料添加に伴う排気の空燃比の変動が実際に空燃比センサ20によって測定されたタイミングt2mを取得する。
ステップS206において、ECU28は、ステップS204において算出した推定値t2eと、ステップS205において取得した実測値t2mとの間の誤差δを算出し、この誤差δに基づいて、還流遅れの推定値の誤差δ’を算出する。
ステップS207において、ECU28は、ステップS206において算出した還流遅れの推定誤差δ’に基づいて、還流遅れの推定値を補正する。
なお、本実施例では、還流遅れの推定値Δt1eを補正する場合について説明したが、低圧EGRガスが低圧EGR弁14に到達するタイミングの推定値t4eを補正するようにしても良い。本実施例の補正処理は、リッチスパイク対応制御において、還流遅れΔt1の推定値に基づいて低圧EGRガスが低圧EGR弁14に到達するタイミングを推定する場合に適用して好適である。一方、低圧EGRガスが低圧EGR弁14に到達するタイミングの推定値t4eを補正するようにする場合は、リッチスパイク対応制御において、低圧EGRガスが低圧EGR弁14に到達するタイミングを直接推定する場合に適用して好適である。
また、本実施例では、意図的に空燃比の変動を作り出し、その変動が空燃比センサ20に到達するタイミングを推定及び測定することによって、排気の流通環境の現状を把握するようにしたが、排気の到達を推定及び測定できれば、意図的に変動させる排気の特性やその測定手段はどのようなものであっても良い。例えば、何らかの燃焼制御によって意図的に排気温度を変化させ、排気通路4に設けた温度センサによって当該排気温度の変化を測定されるタイミングを推定及び実測し、両者の比較に基づいて排気の流通環境の現状把握及び還流遅れの推定値の補正を行うこともできる。その他、酸素濃度やNOx量等の排気の特性の変化を酸素濃度センサやNOxセンサ等によって測定することによって、排気が到達するタイミングの推定値及び実測値を比較しても良い。
以上説明した実施例1及び2では、エンジンの高回転数の運転条件において還流遅れが低圧EGRガス量制御の応答遅れより短くなるので、そのような高回転数の運転条件において還流遅れを拡大させる制御を行うことによって、還流遅れが応答遅れより短くならないようにすることを旨とする。
これに対し本実施例では、エンジンの回転数によらず常に還流遅れが低圧EGRガス量制御の応答遅れ以上となるように、空燃比センサ及び低圧EGR弁の搭載位置を定めることを旨とする。
図9は本実施例のEGR制御システムの概略構成を示す図である。実施例1及び2と同等の構成要素については同一の名称及び符号を用いて詳細な説明を省略する。本実施例では、還流遅れが、エンジン1の回転数に依らず常に低圧EGRガス量制御の応答遅れ以上となるように、空燃比センサ200及び低圧EGR弁140の搭載位置を定める。具体的には、分岐部30から低圧EGR弁140までの低圧EGR通路12の経路の容積VB2が、分岐部30から空燃比センサ200までの排気通路4の経路の容積VA2よりも、一定以上大きくなるように、空燃比センサ200の搭載位置、低圧EGR弁140の搭載位置、低圧EGR通路12及び排気通路4の配管長や配管径等の構成を定める。
ここで「一定以上大きくなる」とは、エンジン1の所定の最高回転数の運転条件において、排気が分岐部30から低圧EGR弁140までの低圧EGR通路12の経路を流通する時間と、分岐部30から空燃比センサ200までの排気通路4の経路を流通する時間と、の差Δt1’が、低圧EGRガス量が所定の目標値となるように低圧EGR弁140の開度制御を開始してから、実際の低圧EGRガス量が当該目標値に一致するまでの時間Δt2’以上となることである。
本実施例のように空燃比センサ200及び低圧EGR弁140の配置や、低圧EGR通路12及び排気通路4の構成を決定することにより、実施例1及び2で説明したような還流遅れを拡大する制御を実行しなくても、空燃比センサ200の測定値に基づいた低圧EGRガス量制御がエンジン1の回転数によらず常に成立するようにすることができる。
なお、上記「所定の最高回転数」を、エンジンの出力可能な最高回転数ではなく、エンジン1が最も頻繁に使用される運転領域の最高回転数に設定しても良い。例えば、市街地走行が主な用途として想定される車両に搭載するエンジンでは、エンジンの出力可能な最高回転数で運転される頻度は低い。従って、市街地走行で想定される運転領域の最高回転数までの運転領域で常に還流遅れが応答遅れ以上となるように低圧EGR弁140や空燃比センサ200の搭載位置を決定し、当該最高回転数を超える回転数の運転条件において還流遅れが応答遅れより短くなった場合に、実施例1及び2で説明した還流遅れを拡大する制御を実行するようにしても良い。
なお、以上述べた実施例は本発明を説明するための一例であって、本発明の本旨を逸脱しない範囲内において上記の実施例には種々の変更を加え得る。例えば、上記実施例は、燃料添加弁21によって排気中に燃料添加を行う場合に、吸気の空燃比の変動を抑制すべく実行されるリッチスパイク対応制御に本発明を適用した例であるが、副噴射によって排気に燃料を供給する場合に、吸気の空燃比の変動を抑制すべく実行されるリッチスパイク対応制御に本発明を適用することもできる。
また、排気への燃料添加や燃料供給を行う場合のリッチスパイク対応制御に限らず、排気通路に備えた空燃比センサによる測定値に基づいて低圧EGRガス量の制御を行うシステム全般に対して本発明を適用することができる。また、空燃比センサに限らず、排気の
酸素濃度を取得するセンサであればどのようなものであっても良い。また、本実施例では、排気通路4における分岐部30より下流側に空燃比センサ20が取り付けられる場合について説明したが、空燃比センサ20の取り付け位置は分岐部30より上流側であっても良い。そのような場合、還流遅れΔt1は上記実施例の場合よりも長くなるので、還流遅れを拡大する制御を実行すべきか否かを判断するための回転数の閾値Ne0を上記実施例の場合よりも高回転側にしても良い。
また、低圧EGRガスの流通経路の容積を拡大する手段として、上記実施例のように低圧EGRクーラ13のバイパス通路15を利用するのではなく、低圧EGRガスの流通経路の容積を拡大するための副通路を別途低圧EGR通路12に備え、低圧EGRガスの流通経路の容積を拡大すべきときに当該副通路を通過する経路が選択されるように制御しても良い。
空燃比センサ20に限らず排気系に備えられた何らかの測定手段による測定値に基づいて低圧EGRガス量の制御を行うシステムであれば、エンジンの高回転数の運転領域において低圧EGRガス量制御が間に合わなくなるという本発明の課題が同様に発生する可能性があるので、そのようなシステム全般に本発明を適用することによって、エンジンの高回転数の運転領域を含む広い運転領域で低圧EGRガス量制御が成立するようにすることができるという効果が得られる。
1 エンジン
2 気筒
3 吸気通路
4 排気通路
5 吸気マニホールド
6 排気マニホールド
7 コンプレッサ
8 タービン
9 高圧EGR通路
10 高圧EGR弁
11 インタークーラ
12 低圧EGR通路
13 低圧EGRクーラ
14 低圧EGR弁
15 バイパス通路
16 バイパス弁
17 排気浄化装置
18 フィルタ
19 吸蔵還元型NOx触媒
20 空燃比センサ
21 燃料添加弁
22 クランク角度センサ
23 第1スロットル弁
24 第2スロットル弁
25 エアフローメータ
26 エアクリーナ
27 アクセル開度センサ
28 ECU
29 燃料噴射弁
30 分岐部

Claims (11)

  1. 内燃機関の排気通路に備えられた排気浄化手段と、
    前記排気浄化手段より下流側の排気通路と前記内燃機関の吸気通路とを接続するEGR通路と、
    前記EGR通路を介して前記吸気通路に流入する排気の流量を調節するEGR弁と、
    排気が前記EGR弁に到達するタイミングを調節する調節手段と、
    排気の所定の特性を測定する測定手段と、
    前記測定手段による測定値に基づいて前記EGR弁を制御するとともに前記内燃機関の回転数に基づいて前記調節手段を制御する制御手段と、
    を備え、
    前記制御手段は、前記内燃機関の回転数が所定の閾値より速い場合、排気が前記EGR弁に到達するタイミングが遅くなるように前記調節手段を制御することを特徴とする内燃機関のEGR制御システム。
  2. 請求項1において、
    前記調節手段は、排気が前記EGR弁に到達するまでに流通する経路の通路容積を変更する手段を有し、
    前記制御手段は、前記内燃機関の回転数が前記閾値より速い場合、前記通路容積を拡大させるように前記調節手段を制御することを特徴とする内燃機関のEGR制御システム。
  3. 請求項1において、
    前記調節手段は、前記内燃機関の排気量を調節する手段を有し、
    前記制御手段は、前記内燃機関の回転数が前記閾値より速い場合、前記内燃機関の排気量を減少させるように前記調節手段を制御することを特徴とする内燃機関のEGR制御システム。
  4. 請求項1において、
    前記調節手段は、前記内燃機関の吸気通路に流入する空気量を調節する手段を有し、
    前記制御手段は、前記内燃機関の回転数が前記閾値より速い場合、前記内燃機関の吸気通路に流入する空気量を減少させるように前記調節手段を制御することを特徴とする内燃機関のEGR制御システム。
  5. 請求項1において、
    前記排気浄化手段よりも上流側の排気通路に設けられたタービンと前記EGR通路の接続箇所より下流側の吸気通路に設けられたコンプレッサとを有する過給機と、
    前記タービンより上流側の排気通路と前記コンプレッサより下流側の吸気通路とを接続する高圧EGR通路と、
    を更に備え、
    前記調節手段は、前記EGR通路を介して吸気通路に流入する排気及び前記高圧EGR通路を介して吸気通路に流入する排気の総量に対する前記高圧EGR通路を介して吸気通路に流入する排気の量の比率を調節する手段を有し、
    前記制御手段は、前記内燃機関の回転数が前記閾値より速い場合、前記比率を高くするように前記調節手段を制御することを特徴とする内燃機関のEGR制御システム。
  6. 請求項1において、
    前記調節手段は、
    前記内燃機関の排気量を調節する手段と、
    前記内燃機関の吸気通路に流入する空気量を調節する手段と、
    前記排気浄化手段よりも上流側の排気通路に設けられたタービンと前記EGR通路の接続箇所より下流側の吸気通路に設けられたコンプレッサとを有する過給機と、前記タービンより上流側の排気通路と前記コンプレッサより下流側の吸気通路とを接続する高圧EGR通路と、を更に備えた構成において、前記EGR通路を介して吸気通路に流入する排気及び前記高圧EGR通路を介して吸気通路に流入する排気の総量に対する前記高圧EGR通路を介して吸気通路に流入する排気の量の比率を調節する手段と、
    の少なくともいずれかを有し、更に、
    前記調節手段は、排気が前記EGR弁に到達するまでに流通する経路の通路容積を変更する手段を有し、
    前記制御手段は、
    前記内燃機関の回転数が前記閾値より速く且つ負荷が所定負荷より高い場合、前記通路容積を拡大させるように前記調節手段を制御し、
    前記内燃機関の回転数が前記閾値より速く且つ負荷が前記所定負荷以下の場合、前記調節手段が前記各手段のうちいずれを有しているかに応じて、前記内燃機関の排気量を減少させるか、前記内燃機関の吸気通路に流入する空気量を減少させるか、又は、前記比率を高くするか、のうち少なくともいずれかとなるように前記調節手段を制御することを特徴とする内燃機関のEGR制御システム。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項において、
    前記排気の特性を変化させる変化手段を更に備え、
    前記制御手段は、前記変化手段により前記排気の特性を変化させ、当該特性の変化が前記測定手段により測定されるタイミングを推定し、当該推定したタイミングと、前記変化手段による排気の特性の変化が実際に前記測定手段により測定されるタイミングと、の誤差に基づいて、前記EGR通路を介して前記吸気通路に流入する排気の流量の制御を補正することを特徴とする内燃機関のEGR制御システム。
  8. 請求項7において、
    前記制御手段は、前記EGR通路を介して前記吸気通路に流入する排気の流量を所定流量以下に制御した状態で、前記変化手段により前記排気の特性を変化させることを特徴とする内燃機関のEGR制御システム。
  9. 内燃機関の排気通路に備えられた排気浄化手段と、
    前記排気浄化手段より下流側の排気通路と前記内燃機関の吸気通路とを接続するEGR
    通路と、
    前記EGR通路を介して前記吸気通路に流入する排気の流量を調節するEGR弁と、
    排気の所定の特性を測定する測定手段と、
    前記EGR通路を介して前記吸気通路に流入する排気の流量が、前記測定手段による測定値に基づいて設定される目標値となるように、前記EGR弁を制御する制御手段と、
    前記測定手段による測定値が得られてから、当該測定された特性を有する排気が前記EGR弁に到達するまでの時間差が、前記EGR通路を介して前記吸気通路に流入する排気の流量が前記目標値となるように前記EGR弁の制御を開始してから、実際に前記吸気通路に流入する排気の量が当該目標値に一致するまでの時間差よりも、前記内燃機関の回転数に依らず長くなるように、前記EGR弁及び前記測定手段を配置することを特徴とする内燃機関のEGR制御システム。
  10. 請求項9において、
    前記排気通路における前記EGR通路の分岐部から前記測定手段による測定が行われる位置までの経路の、排気の流れの向きに沿って測った通路容積に対して、
    前記排気通路における前記EGR通路の分岐部から前記EGR弁までの経路の、排気の流れの向きに沿って測った通路容積が、
    一定以上大きくなるように、前記測定手段及び前記EGR弁を配置することを特徴とする内燃機関のEGR制御システム。
  11. 請求項1〜10のいずれか1項において、
    前記排気浄化手段より上流側の排気に燃料を添加する燃料添加手段を更に備え、
    前記測定手段は、排気の空燃比を測定する手段であり、
    前記制御手段は、前記EGR通路を介して前記吸気通路に排気が流入する条件下で前記燃料添加手段によって排気に燃料が添加される場合に、当該燃料の添加に伴う排気の空燃比の変動に起因して前記内燃機関の吸気の空燃比が変動しないように、前記測定手段による測定値に基づいて前記EGR弁を制御する手段であることを特徴とする内燃機関のEGR制御システム。
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