JP4765866B2 - 内燃機関の制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、内燃機関の制御装置に関する。
内燃機関の三元触媒は、流入する排気ガスの空燃比が理論空燃比近傍にある場合には、排気ガス中のHCやCOによってNOxを還元することにより、これらの三成分を同時に効率良く浄化することができる。しかしながら、流入する排気ガスの空燃比が理論空燃比よりリーンである場合には、HCやCOが排気ガス中の酸素と反応してしまうため、NOxを十分に浄化することができない。このため、リーンバーンエンジンの排気通路には、リーンバーン運転中に排出されるNOxを吸蔵可能なNOx触媒を設けることが行われている。
NOx触媒は、その温度が所定の温度域(例えば300〜450℃程度)にないと、吸蔵能力を十分に発揮できないという特性がある。高速走行時などの高負荷運転時には、排気温度が高くなるため、触媒温度が上記の最適温度域の上限を超えてしまい易い。
特開2005−36770号公報には、排気ガスを冷却する冷却装置を備えた内燃機関の排気浄化装置が開示されている。この装置によれば、排気温度が高くなる高負荷運転時であっても、排気ガスを冷却することにより、NOx触媒の温度を最適温度域内に保つことができるので、NOxエミッションの低減が図れる。
特開2005−36770号公報 特開2004−124737号公報
環境保全の観点から、排気浄化装置の劣化を車両上で自動的に診断するOBDシステム(On-Board Diagnostic System)の搭載を義務付けるOBD規制が行われている。NOx触媒も、劣化に伴い、吸蔵能力が徐々に低下していく。このため、OBD規制の下では、NOx触媒に対しても、OBDを行うことが必要とされる。
しかしながら、上記特開2005−36770号公報には、排気ガス冷却装置を備えたシステムにおけるNOx触媒の劣化診断については、何ら記載されていない。
また、排気ガスの冷却装置には、排気ガスの流路を切り換えるための制御弁(流量調整弁)が含まれることが多い。OBD規制の下では、この制御弁の故障についても、自動的な診断を可能とすることが望まれる。
このようなことから、上記従来の装置は、未だ改良の余地を残すものであった。
この発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、排気ガスの冷却量を可変とする装置を備えたシステムにおいて、NOx触媒の劣化を精度良く診断することができるとともに、診断の機会を多く確保することのできる内燃機関の制御装置を提供することを目的とする。また、この発明の他の目的は、排気ガスの冷却量を可変とする装置が備える制御弁の故障を、簡単な構成で精度良く診断することにある。
第1の発明は、上記の目的を達成するため、内燃機関の制御装置であって、
内燃機関の排気通路に配置された吸蔵還元型のNOx触媒と、
前記内燃機関のリーン空燃比運転中に排気ガスの空燃比をリッチまたは理論空燃比に一時的に切り替えるリッチスパイクを行うリッチスパイク手段と、
前記NOx触媒の下流側に配置された触媒出口排気ガスセンサと、
リッチスパイク実行時の前記触媒出口排気ガスセンサの出力に基づいて、前記NOx触媒の劣化を診断する触媒診断手段と、
前記内燃機関と前記NOx触媒との間に設けられ、排気ガスが受ける冷却量を可変とする排気ガス冷却量可変手段と、
前記NOx触媒の温度が所定の温度域に入るように、前記排気ガス冷却量可変手段を制御する触媒温度制御手段と、
を備え、
前記触媒診断手段は、前記NOx触媒の温度が前記所定の温度域に入っている状態で、前記NOx触媒の劣化を診断することを特徴とする。
また、第2の発明は、第1の発明において、
前記触媒診断手段は、前記NOx触媒の温度が、少なくとも前回のリッチスパイク終了後から今回のリッチスパイク終了時までの間、前記所定の温度域に維持されていることを条件に、前記NOx触媒の劣化を診断することを特徴とする。
また、第3の発明は、第1または第2の発明において、
前記排気ガス冷却量可変手段は、
第1排気ガス通路と、
前記第1排気ガス通路より経路長の長い第2排気ガス通路と、
前記第1排気ガス通路に流れる排気ガス量と、前記第2排気ガス通路に流れる排気ガス量との比率を可変とする制御弁と、
を含むことを特徴とする。
また、第4の発明は、第3の発明において、
前記内燃機関と前記排気ガス冷却量可変手段との間における排気空燃比を取得する機関出口空燃比取得手段と、
前記内燃機関と前記排気ガス冷却量可変手段との間における排気空燃比の変化が、前記NOx触媒の入口における排気空燃比の変化に現れるまでの遅れ時間を、前記制御弁の開度に基づいて推定する遅れ時間推定手段と、
を更に備え、
前記触媒診断手段は、前記機関出口空燃比取得手段により取得される排気空燃比と、前記遅れ時間と、前記触媒出口排気ガスセンサの出力とに基づいて、前記NOx触媒の劣化を診断することを特徴とする。
また、第5の発明は、第1乃至第3の発明の何れかにおいて、
前記排気ガス冷却量可変手段と前記NOx触媒との間に配置された触媒入口排気ガスセンサを更に備え、
前記触媒診断手段は、前記触媒入口排気ガスセンサの出力と、前記触媒出口排気ガスセンサの出力とに基づいて、前記NOx触媒の劣化を診断することを特徴とする。
また、第6の発明は、内燃機関の制御装置であって、
内燃機関の排気通路に配置された触媒と、
第1排気ガス通路と、前記第1排気ガス通路より経路長の長い第2排気ガス通路と、前記第1排気ガス通路に流れる排気ガス量と、前記第2排気ガス通路に流れる排気ガス量との比率を可変とする制御弁とを含み、排気ガスが受ける冷却量を可変とする排気ガス冷却量可変手段と、
前記排気ガス冷却量可変手段の下流側に配置された下流側排気ガスセンサと、
前記排気ガス冷却量可変手段の上流側における排気空燃比の変化が前記下流側排気ガスセンサの出力に現れるまでの遅れ時間を計時する遅れ時間計時手段と、
前記計時された遅れ時間と、前記制御弁への開度要求値とに基づいて、前記制御弁の故障を診断する制御弁診断手段と、
を備えることを特徴とする。
第1の発明によれば、NOx触媒の温度が、高い吸蔵能力を発揮できる所定の温度域に入っている状態で、リッチスパイク実行時の触媒出口排気ガスセンサの出力に基づいて、NOx触媒の劣化を診断することができる。このため、触媒温度による吸蔵能力の変化が診断結果に影響することを防止することができるので、NOx触媒の劣化を精度良く診断することができる。また、第1の発明によれば、排気ガスが内燃機関からNOx触媒に達するまでの間に受ける冷却量を可変とする排気ガス冷却量可変手段を制御することにより、NOx触媒の温度が上記所定の温度域に入るように制御することができる。このため、触媒温度が上記所定の温度域内に入っている状況を多くすることができる。よって、NOx触媒の劣化診断を実行することのできる機会を増やすことができる。
第2の発明によれば、NOx触媒の温度が、少なくとも前回のリッチスパイク終了後から今回のリッチスパイク終了時までの間、上記所定の温度域に維持されていることを条件として、NOx触媒の劣化を診断することができる。これにより、NOx触媒の吸蔵能力がより安定した状況の下で劣化診断を行うことができるので、診断精度をより高くすることができる。
第3の発明によれば、排気ガス冷却量可変手段が、第1排気ガス通路と、第1排気ガス通路より経路長の長い第2排気ガス通路と、第1排気ガス通路に流れる排気ガス量と第2排気ガス通路に流れる排気ガス量との比率を可変とする制御弁とを備えているので、制御弁開度を制御することにより、排気ガス冷却量を精度良く調整することができる。このため、NOx触媒の温度を精度良く制御することができる。
第4の発明によれば、内燃機関と排気ガス冷却量可変手段との間における排気空燃比、すなわち機関出口排気空燃比の変化が、NOx触媒の入口における排気空燃比の変化に現れるまでの遅れ時間を、制御弁の開度に基づいて推定することができる。このため、機関出口排気空燃比を上記遅れ時間で補正することにより、NOx触媒の入口における排気空燃比を求めることができる。よって、NOx触媒の入口の排気空燃比を検出するセンサを設けることなしに、NOx触媒の劣化診断が可能となるので、システムのコストを低減することができる。
第5の発明によれば、排気ガス冷却量可変手段とNOx触媒との間に触媒入口排気ガスセンサを設けたことにより、NOx触媒の入口における排気空燃比を高い精度で求めることができる。このため、NOx触媒の劣化をより高い精度で診断することができる。
第6の発明によれば、第1排気ガス通路と、第1排気ガス通路より経路長の長い第2排気ガス通路と、第1排気ガス通路に流れる排気ガス量と第2排気ガス通路に流れる排気ガス量との比率を可変とする制御弁とを含む排気ガス冷却量可変手段を備えたシステムにおいて、排気ガス冷却量可変手段の上流側における排気空燃比の変化が排気ガス冷却量可変手段の下流側に配置された下流側排気ガスセンサの出力に現れるまでの遅れ時間を計時することができる。この遅れ時間は、制御弁の実開度と相関を有している。そこで、第6の発明では、その計時された遅れ時間と、制御弁への開度要求値とに基づいて、制御弁の故障を診断することができる。これにより、新たなセンサ等を追加することなしに、制御弁の故障を精度良く診断することができる。
実施の形態1.
[システム構成の説明]
図1は、本発明の実施の形態1のシステム構成を説明するための図である。図1に示すシステムは、内燃機関10を備えている。図示の内燃機関10は、#1〜#4の4つの気筒を備えた直列4気筒型のものであるが、本発明では、気筒数および気筒配置はこれに限定されるものではない。
内燃機関10は、理論空燃比より希薄な空燃比(以下「リーン空燃比」という)で燃料を燃焼させて運転することが可能なものである。内燃機関10は、燃料を吸気ポート内に噴射するポート噴射式のもの、燃料を筒内に直接噴射する筒内直接噴射式のもの、ポート噴射と筒内直接噴射とを併用するもの、の何れでもよい。
また、本実施形態では、内燃機関10は火花点火式であるものとするが、本発明は、圧縮着火式内燃機関の制御装置にも適用可能である。
内燃機関10の各気筒からの排気ガスが流れる排気通路12は、途中から第1通路14と、第2通路16とに分岐している。この分岐部には、制御弁18が設置されている。この制御弁18の開度を調整することにより、内燃機関10からの排気ガスを、第1通路14と第2通路16とに任意の比率で分配して流すことができる。以下の説明では、便宜上、内燃機関10からの排気ガスの全部が第1通路14に流れる場合の制御弁18の開度を「全閉」とし、内燃機関10からの排気ガスの全部が第2通路16に流れる場合の制御弁18の開度を「全開」とする。
第2通路16の途中には、排気ガスの温度を低下させる冷却装置20が設置されている。冷却装置20の下流側において、第2通路16は、第1通路14と合流する。この合流部より下流側の排気通路12には、NOx触媒(NSR)22が配置されている。
このような構成によれば、制御弁18の開度を大きくするほど、第2通路16に流れる排気ガスの比率が多くなる。そして、第2通路16に流れる排気ガスの比率を多くするほど、冷却装置20で冷却される排気ガスの割合が多くなるので、NOx触媒22に流入する排気ガスの温度を低くすることができる。
なお、冷却装置20の具体的構成は、特に限定されるものでなく、例えば、表面積を拡大することによって放熱を促す蛇腹管その他のラジエーターや、エンジン冷却水によって排気ガスを冷却する装置などで構成することができる。また、冷却装置20を特に設けずに、第2通路16を第1通路14よりも遠回りさせるだけでもよい。通路が長くなるほど、そこを通る間の放熱量が増加するので、排気ガスの温度をより低下させることができる。
NOx触媒22は、流入する排気ガスの空燃比がリーンであるときにはNOxを吸蔵し、流入する排気ガスの空燃比がリッチまたは理論空燃比であるときには吸蔵したNOxをNに還元浄化して放出する機能、すなわちNOx吸蔵還元型触媒としての機能を有している。また、このNOx触媒22は、流入する排気ガスの空燃比が理論空燃比近傍にあるときには、三元触媒として機能するものであってもよい。
第1通路14および第2通路16の合流部と、NOx触媒22との間には、触媒入口A/Fセンサ24と、温度センサ28とが配置されている。触媒入口A/Fセンサ24は、排気ガスの空燃比に応じたリニアな出力を発する空燃比センサである。温度センサ28は、NOx触媒22に流入する排気ガスの温度を検出する。
NOx触媒22の下流側には、触媒出口Oセンサ26が配置されている。この触媒出口Oセンサ26は、排気ガスの空燃比が理論空燃比よりリッチであるかリーンであるかに応じて急変する出力を発する酸素センサである。
また、内燃機関10には、空気を吸入し、各気筒に分配する吸気系(図示せず)が接続されている。
実施の形態1のシステムは、ECU(Electronic Control Unit)30を備えている。ECU30には、上述した各センサのほか、機関回転数NE、吸気圧PM、吸入空気量GA、スロットル開度THなどを検出する各種のセンサや、燃料インジェクタ、点火プラグ、スロットル弁などの各種のアクチュエータが電気的に接続されている。
[実施の形態1の動作の概要]
本システムの内燃機関10は、所定の運転領域において、リーン空燃比燃焼による運転(以下「リーンバーン運転」という)を行う。リーンバーン運転時は、排気ガス中のNOxはNOx触媒22に一時吸蔵される。そして、NOx触媒22にNOxが貯まると、ECU30は、NOx触媒22に流入する排気ガスの空燃比を一時的にリーンからリッチまたは理論空燃比に切り換えるリッチスパイクを実施する。これにより、NOx触媒22に吸蔵されたNOxを離脱させ、還元浄化して放出することができる。
NOx触媒22に流入する排気ガスの空燃比を一時的にリッチまたは理論空燃比にする方法としては、内燃機関10の燃焼空燃比をリッチまたは理論空燃比にする方法や、膨張行程後半または排気行程において筒内インジェクタから追加の燃料を噴射する方法など、いかなる何れの方法でもよい。本実施形態では、内燃機関10の燃焼空燃比をリッチまたは理論空燃比にする方法により、リッチスパイクを実施するものとする。
図2は、実施の形態1の動作を説明するためのタイミングチャートである。以下、図2を参照して、実施の形態1の動作の概要について説明する。
図2(a)に示すNOxINは、NOx触媒22に流入したNOxの量(以下「流入NOx量」という)を表す。本実施形態では、内燃機関10の負荷および回転数と、時間当たりのNOx発生量との関係が実験により予め調査されており、その関係がECU30に予め記憶されている。そして、ECU30は、その関係に基づいて、内燃機関10の現在の負荷および回転数における時間当たりのNOx発生量を算出し、その時間当たりのNOx発生量を積算することにより、NOxINを算出するものとする。
ECU30は、内燃機関10が理論空燃比よりも濃いリッチ空燃比、あるいは理論空燃比で運転された場合には、その後、流入NOx量NOxINをリセットする。つまり、NOxINは、前回のリッチスパイクの終了後から現在までにNOx触媒22に流入したNOxの総量(の推定値)を表している。
なお、本発明では、流入NOx量NOxINを算出する方法は、内燃機関10の運転状態から推定する方法に限定されるものではない。すなわち、NOx触媒22の上流に、NOxセンサを配置し、そのNOxセンサで実測されるNOx濃度に基づいてNOxINを算出するようにしてもよい。
図2(b)は、リッチスパイク実行フラグFRを表す。リッチスパイク実行フラグFRは、内燃機関10の燃焼空燃比がリーンとされている間はFR=0とされ、内燃機関10の燃焼空燃比がリッチまたは理論空燃比とされている間はFR=1とされる。図2中には、3回のリッチスパイクを含む動作が示されている。
図2中で1回目のリッチスパイクが終了され、内燃機関10の燃焼空燃比がリッチからリーンへ戻された時刻をt0とする。リッチスパイクが終了されると、流入NOx量NOxINはリセットされ、積算が再開される。これにより、図2(a)に示すように、流入NOx量NOxINは、単調に増加していく。そして、NOxINが所定値Aに達すると、リッチスパイクが開始される(時刻t1)。
図2(d)は、触媒入口A/Fセンサ24の出力AFSを表す。時刻t1においてリッチスパイクが開始されると、内燃機関10からは、HC,CO等を多く含んだリッチ空燃比の排気ガスが排出され始める。このリッチ空燃比の排気ガスが触媒入口A/Fセンサ24に到達するまでには多少の時間がかかる。このため、触媒入口A/Fセンサ24の出力AFSは、時刻t1よりやや遅れてリーンからリッチへと変化する(時刻t2)。
時刻t2以降は、リッチ空燃比の排気ガスがNOx触媒22に流入し始める。すると、NOx触媒22に吸蔵されていたNOxは、排気ガス中のHC、CO等の還元剤と反応し、Nへと還元浄化される。
図2(c)は、触媒出口Oセンサ26の出力O2Sを表す。NOx触媒22に吸蔵されていたNOxと、還元剤との反応が継続している限りは、触媒出口Oセンサ26から流出する排気ガスの空燃比はリーンに維持される。このため、触媒出口Oセンサ26の出力O2Sは、時刻t2以降も、しばらくの間はリーン出力に維持される。
そして、NOx触媒22に吸蔵されていたNOxが全部消費されると、還元剤を含んだリッチな排気ガスがNOx触媒22の下流に吹き抜け始める。これにより、触媒出口Oセンサ26の出力O2Sがリーン出力からリッチ出力へ切り換わる(時刻t3)。なお、本実施形態では、この時点でリッチスパイクが終了され、内燃機関10の燃焼空燃比がリッチからリーンへ戻されるものとするが、リッチスパイクを終了するタイミングはこれに限定されるものではない。
上述の説明から分かるように、触媒出口Oセンサ26の出力O2Sがリーン出力からリッチ出力に切り換わるまでの間にNOx触媒22に流入した還元剤の量は、NOx触媒22に吸蔵されていたNOxと反応した還元剤の量(以下「反応還元剤量」という)に相当するので、NOx触媒22のNOx吸蔵量と相関している。よって、上記反応還元剤量は、NOx触媒22のNOx吸蔵量の代用値として扱うことができる。
反応還元剤量を算出する方法は、特に限定されないが、例えば次のようにして算出することができる。NOxを還元する還元剤として作用するのは、NOx触媒22に流入した燃料のうち、理論空燃比(ここでは14.6とする)とするのに必要な量を超える分の燃料、すなわち余剰燃料である。よって、単位時間当たりの還元剤量は次式に基づいて算出することができる。
還元剤量=(NOx触媒22への流入燃料量
−NOx触媒22への流入空気量/14.6)
=(1/AFS−1/14.6)×NOx触媒22への流入空気量
・・・(1)
上記(1)式中、「AFS」は、触媒入口A/Fセンサ24の出力、すなわちNOx触媒22に流入する排気ガスの空燃比である。また、NOx触媒22への流入空気量は、例えば、エアフロメータにより検出される吸入空気量GA、燃料噴射量、触媒入口A/Fセンサ24の出力などに基づいて算出することができる。
ECU30は、上記(1)に従って算出される単位時間当たりの還元剤量を、触媒入口A/Fセンサ24の出力AFSがリッチになった時点から、触媒出口Oセンサ26の出力O2Sがリッチ出力に切り換わった時点まで積算することにより、反応還元剤量を算出することができる。
このようにして算出された反応還元剤量が多いほど、NOx触媒22のNOx吸蔵量が多いこととなる。よって、反応還元剤量が多いほど、NOx触媒22が排気ガス中のNOxを高効率で捕捉している、つまり吸蔵能力が高いと判断することができる。そこで、NOx触媒22の劣化を診断する方法として、反応還元剤量を所定の判定値と比較する方法が考えられる。
しかしながら、NOx触媒22の吸蔵能力は、劣化度合いだけでなく、NOx触媒22の温度(床温)TCATによっても変化する。図3は、NOx触媒22の吸蔵能力と、触媒温度TCATとの関係を示す図である。この図に示すように、NOx触媒22の劣化度合いが小さい場合であっても、触媒温度TCATがある温度域よりも低かったり高かったりすると、その吸蔵能力は大幅に低下する。このため、NOx触媒22の劣化を精度良く診断するためには、吸蔵能力が十分に高くなるような所定の温度域(例えば300〜450℃程度)に触媒温度TCATが入っていることが重要となる。
ところが、例えば高速走行などの高負荷運転が継続され、排気温度の高い状態が続くと、通常は、NOx触媒22の温度TCATが上記温度域(以下「好適温度域」という)より高くなり易い。このため、NOx触媒22の劣化診断を行うに際し、触媒温度TCATが自然に好適温度域に入るのを待っていると、診断の機会が限られてしまう。
そこで、本実施形態では、触媒温度TCATが好適温度域に入っていない場合には、制御弁18の開度を調整して排気ガスの冷却量を制御することにより、NOx触媒22の温度TCATが好適温度域に入るように制御することとした。
図4は、NOx触媒22の温度TCATを制御するためにECU30が実行するルーチンのフローチャートである。なお、本ルーチンは、所定時間毎に繰り返し実行されるものとする。
図4に示すルーチンによれば、まず、触媒温度TCATが読み込まれる(ステップ200)。本実施形態において、ECU30は、温度センサ28によって検出されるNOx触媒22入口の排気温度に基づいて、触媒温度TCATを推定しているものとする。なお、触媒温度TCATを求める方法はこれに限定されるものではなく、他にも、内燃機関10の運転状態から推定する方法や、NOx触媒22に温度センサを設けて直接に検出する方法、NOx触媒22出口に設けた排気温センサの出力から推定する方法、あるいは、これらを組み合わせた方法などによって触媒温度TCATを求めるようにしてもよい。
触媒温度TCATが読み込まれたら、次に、その触媒温度TCATが好適温度域の上限Cを超えているか否かが判別される(ステップ202)。そして、TCAT>Cであると認められた場合には、NOx触媒22に流入する排気ガスの温度が下がるように、制御弁18の開度VOAが制御される(ステップ204)。すなわち、制御弁18の開度VOAを大きくすることにより、第2通路16を流れて冷却装置20を経由する排気ガスの割合が多くなるように制御される。これにより、触媒温度TCATを低下させて、好適温度域に近づけることができる。
一方、上記ステップ202でTCAT>Cでないと判別された場合には、次に、触媒温度TCATが好適温度域の下限Bを下回っているか否かが判別される(ステップ206)。そして、TCAT<Bであると判別された場合には、次に、制御弁18が全閉(開度VOA=0)であるか否かが判別される(ステップ208)。制御弁18が全閉でない場合には、制御弁18の開度を小さくすることで、NOx触媒22に流入する排気ガスの温度を上げることができる。そこで、この場合には、制御弁18の開度を小さくすることにより、第2通路16を流れて冷却装置20を経由する排気ガスの割合が少なくなるように制御される(ステップ204)。これにより、触媒温度TCATを上昇させて、好適温度域に近づけることができる。
上述した図4に示すルーチンの処理によれば、内燃機関10の運転中、触媒温度TCATが好適温度域内に入っている状況を多くすることができる。このため、NOx触媒22を精度良く劣化診断することのできる機会を増やすことができる。
図2(e)および(f)は、触媒温度TCATが好適温度域を超えている場合に、制御弁18の開度をVOAを大きくすることで、触媒温度TCATが好適温度域内まで低下するように制御された場合の例を示している。なお、図2(e)では、制御弁18を全閉から全開へと変化させているが、これは一例であり、制御弁18の開度VOAは、触媒温度TCATと好適温度域との偏差に応じて、連続的または多段的に制御することができる。
図5は、上述した手法によってリッチスパイクおよびNOx触媒22の劣化診断を行うために本実施形態においてECU30が実行するルーチンのフローチャートである。なお、本ルーチンは、所定時間毎に繰り返し実行されるものとする。
図5に示すルーチンによれば、まず、NOx触媒22への流入NOx量NOxINの値が読み込まれる(ステップ100)。次いで、流入NOx量NOxINが所定値Aに達したか否かが判別される(ステップ102)。流入NOx量NOxINが所定値Aに未だ達していない場合には、内燃機関10の運転状態に基づいて推定される時間当たりのNOx発生量を流入NOx量NOxINに積算することにより、流入NOx量NOxINの値が更新され(ステップ104)、今回の処理サイクルが終了される。
一方、上記ステップ102で、流入NOx量NOxINが所定値Aに達していると判別された場合には、今回の流入NOx量NOxINの積算が終了され(ステップ106)、リッチスパイクが開始される(ステップ108)。
リッチスパイクが開始されると、触媒出口Oセンサ26の出力O2Sがリッチ出力になったか否かが判別される(ステップ110)。触媒出口Oセンサ26の出力O2Sが未だリッチ出力になっていない場合には、次に、NOx触媒22に流入した還元剤量が積算される(ステップ118)。すなわち、上記(1)式で算出される単位時間当たりの還元剤量が積算される。
上記ステップ118の処理に続いて、NOx触媒22の劣化診断を実行可能な条件が成立しているか否かが判別される(ステップ120)。この診断実行条件としては、具体的には以下の各条件の成否が判断される。
〈1〉リッチスパイクが終了していること。
〈2〉リッチスパイク実行時のNOx触媒22の温度TCATが好適温度域内にあること。
〈3〉リッチスパイク実行時の運転条件(機関回転数NE、スロットル開度TH、吸入空気量GA等)が所定の範囲内にあること。
上記〈2〉のように、本実施形態では、リッチスパイク実行時のNOx触媒22の温度TCATが好適温度域内にあることを条件として、NOx触媒22の劣化診断を行うこととしている。これにより、触媒温度TCATによる吸蔵能力の変化が診断結果に影響することを防止することができるので、精度良く劣化診断を行うことができる。
診断精度を更に高める観点から、上記〈2〉は、具体的には、少なくとも前回のリッチスパイク終了後から今回のリッチスパイク終了時までの間、触媒温度TCATが好適温度域に維持されていることを条件とするのが好ましい。この条件を採用する場合には、図2中の3回目のリッチスパイクは、時刻t3から時刻t5に渡って触媒温度TCATが好適温度域内に維持されているので、上記〈2〉を満たすこととなる。
また、上記〈3〉の条件は、診断精度をより高くするため、急加減速等のない所定の運転条件下でリッチスパイクが実施された場合のデータのみを触媒劣化診断の基礎とするために設けられた条件である。
上記ステップ120において、触媒出口Oセンサ26の出力O2Sが未だリッチ出力になっていない場合には、今回のリッチスパイクが未だ継続されていることになる。よって、この場合には、上記〈1〉の条件が不成立であるので、上記ステップ120の判断が否定される。ステップ120の判断が否定されると、今回の処理サイクルがそのまま終了される。
リッチスパイクが継続していくと、いずれ、触媒出口Oセンサ26の出力O2Sがリッチ出力へ変化するので、上記ステップ110の判断が肯定される。そうすると、今回のリッチスパイクが終了される(ステップ112)。リッチスパイクが終了すると、流入NOx量NOxINはリセットされ、次回のリッチスパイク開始時期を判定するための次回の流入NOx量NOxINの積算が開始される(ステップ116)。
上記ステップ116の処理に続いて、NOx触媒22に流入した還元剤量が積算される(ステップ118)。前述したとおり、この時点での還元剤量積算値、すなわち触媒出口Oセンサ26の出力O2Sがリッチ出力へ変化した時点での還元剤量積算値が、NOx触媒22に吸蔵されたNOxと反応した反応還元剤量に相当する。
続いて、上述した診断実行条件の成否が判別される(ステップ120)。診断実行条件の成立が認められた場合には、NOx触媒22の劣化診断が実行される。すなわち、上記反応還元剤量と、所定の判定値Dとが比較される(ステップ122)。そして、反応還元剤量が判定値D未満である場合には、NOx触媒22が劣化していると判定され(ステップ124)、反応還元剤量が所定値D以上である場合には、NOx触媒22は正常であると判定される(ステップ126)。
以上説明したように、本実施形態によれば、触媒温度TCATが好適温度域に入っている状態で、NOx触媒22の劣化を診断することとしている。よって、触媒温度TCATによる吸蔵能力の変化が診断結果に影響することを防止することができるので、NOx触媒22の劣化を精度良く診断することができる。
また、本実施形態によれば、NOx触媒22に流入する排気ガスに対する冷却量を制御することにより、触媒温度TCATが好適温度域内に入っている状況を多くすることができる。よって、NOx触媒22の劣化診断を実行することのできる機会を増やすことができる。
また、本実施形態では、触媒入口A/Fセンサ24を設けたことにより、NOx触媒22に流入する排気ガスの空燃比を遅れ時間なしに精度良く検出することができる。このため、反応還元剤量を精度良く算出することができるので、より高い劣化診断精度が得られる。
なお、NOx触媒22の劣化診断手法は、上記の手法に限定されるものではない。例えば、酸素吸蔵能を併せ持ったNOx触媒22の場合には、反応還元剤量を、公知の手法によってNOx吸蔵量相当分と酸素吸蔵量相当分とに分離することにより、NOx吸蔵能と酸素吸蔵能とを別々に診断するようにしても良い。
上述した実施の形態1においては、触媒出口Oセンサ26が前記第1の発明における「触媒出口排気ガスセンサ」に、第1通路14、第2通路16、制御弁18および冷却装置20が前記第1の発明における「排気ガス冷却量可変手段」に、触媒入口A/Fセンサ24が前記第5の発明における「触媒入口排気ガスセンサ」に、それぞれ相当している。また、ECU30が、図4に示すルーチンの処理を実行することにより前記第1の発明における「触媒温度制御手段」が、図5に示すルーチンの処理を実行することにより前記第1の発明における「リッチスパイク手段」が、図5に示すルーチンの処理を実行することにより前記第1および第5の発明における「触媒診断手段」が、それぞれ実現されている。
実施の形態2.
次に、図6乃至図8を参照して、本発明の実施の形態2について説明するが、上述した実施の形態1との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
図6は、本発明の実施の形態2のシステム構成を説明するための図である。なお、図6において、図1に示す構成要素と同様の構成要素には、同一の符号を付してその説明を省略する。図6に示すように、実施の形態2のシステムでは、内燃機関10と制御弁18との間の排気通路12に、機関出口A/Fセンサ32が配置されている。機関出口A/Fセンサ32は、内燃機関10から排出された直後の排気ガスの空燃比に応じたリニアな出力を発する空燃比センサである。
前述した実施の形態1では、触媒入口A/Fセンサ26の出力を利用してNOx触媒22に流入する還元剤量を算出するが、本実施形態では、機関出口A/Fセンサ32の出力を利用して還元剤量を算出する。
図7は、実施の形態2の動作を説明するためのタイミングチャートである。図7(d)は、機関出口A/Fセンサ32の出力AFS_1を表し、図7(e)は、触媒入口A/Fセンサ26の出力AFS_2を表す。本実施形態のシステムは、触媒入口A/Fセンサ26を備えていないが、図7(e)は、触媒入口A/Fセンサ26があると仮定した場合の出力である。
触媒入口A/Fセンサ26が無くても、触媒入口A/Fセンサ26の出力AFS_2と同等の情報が得られれば、還元剤量を算出することができる。図7(d)および(e)に示すように、触媒入口A/Fセンサ26の出力AFS_2は、排気ガスの輸送遅れに起因する遅れを持って、機関出口A/Fセンサ32の出力AFS_1と同様に変化する。一般に、排気ガス輸送遅れ時間は、排気ガス流量から求めることができ、排気ガス流量は内燃機関10の運転状態から求めることができる。よって、機関出口A/Fセンサ32の出力AFS_1を排気ガス輸送遅れ時間で補正することにより、その補正後の出力を、触媒入口A/Fセンサ26の出力AFS_2として代用することができる。
しかしながら、本実施形態のシステムの場合には、排気ガス輸送遅れ時間は、制御弁18の開度によっても異なる。例えば、図7(d)および(e)に示すように、制御弁18が全閉のときには、排気ガスは比較的短い第1通路14を通過するので、排気ガス輸送遅れ時間は短い。これに対し、制御弁18が全開のときには、排気ガスは第1通路14より長い第2通路16を通過するので、排気ガス輸送遅れ時間が長くなる。
そこで、本実施形態では、制御弁18の開度VOAに基づいて排気ガス輸送遅れ時間を推定し、その排気ガス輸送遅れ時間によって機関出口A/Fセンサ32の出力AFS_1を補正し、その補正後の出力を用いて、還元剤量を算出することとした。
図8は、補正前および補正後の機関出口A/Fセンサ32の出力を示す図である。排気ガス輸送遅れ時間を推定する際には、まず、内燃機関10の運転状態に基づいて、基準遅れ時間が算出される。次いで、この基準遅れ時間と、制御弁18の開度VOAとに基づいて、排気ガス輸送遅れ時間が算出される。すなわち、上記基準遅れ時間を基礎とした上で、制御弁18の開度VOAが大きいほど、排気ガス輸送遅れ時間が長い値として算出される。そして、機関出口A/Fセンサ32の出力AFS_1を、この排気ガス輸送遅れ時間だけ遅らせることにより、機関出口A/Fセンサ32の補正後出力AFS_1-1が算出される。
上記補正後出力AFS_1-1は、触媒入口A/Fセンサ26の出力AFS_2として代用することができる。よって、本実施形態では、この補正後出力AFS_1-1を用いて、次式により単位時間当たりの還元剤量を算出することができる。
還元剤量=(NOx触媒22への流入燃料量
−NOx触媒22への流入空気量/14.6)
=(1/AFS_1-1−1/14.6)×NOx触媒22への流入空気量
・・・(2)
以上説明したように、本実施形態によれば、制御弁18の開度VOAの変化によって排気ガス輸送遅れ時間が変化した場合であっても、その変化を見込んだ上で、機関出口A/Fセンサ32の出力からNOx触媒22の入口の空燃比を求めることができる。このため、触媒入口A/Fセンサ26がなくても、還元剤量を精度良く算出することができるので、NOx触媒22の劣化を精度良く診断することができる。よって、触媒入口A/Fセンサ26を省略することができるので、コストの低減が図れる。
なお、機関出口A/Fセンサ32は、通常はシステムに元々備えられているものであるので、本実施形態ではその機関出口A/Fセンサ32の出力を用いればよく、機関出口A/Fセンサ32がコストの上昇につながることはない。
また、本実施形態では、内燃機関10の出口の排気空燃比を機関出口A/Fセンサ32によって検出しているが、内燃機関10の出口の排気空燃比は、燃料噴射量、吸入空気量GA等に基づいて推定するようにしてもよい。この推定された内燃機関10の出口の排気空燃比を、上記と同様に排気ガス輸送遅れ時間で補正した値を用いても、NOx触媒22に流入する還元剤量を算出することができるので、同様の効果が得られる。
本実施形態は、上述した点以外は、実施の形態1と同様であるので、これ以上の説明は省略する。
上述した実施の形態2においては、機関出口A/Fセンサ32が前記第4の発明における「機関出口空燃比取得手段」に相当している。また、ECU30が、図8を参照して説明した手法によって排気ガス輸送遅れ時間を推定することにより前記第4の発明における「遅れ時間推定手段」が、上記(2)式を用いて算出される還元剤量に基づいて図5に示すルーチンに従いNOx触媒22の劣化診断を行うことにより前記第4の発明における「触媒診断手段」が、それぞれ実現されている。
実施の形態3.
次に、図9を参照して、本発明の実施の形態3について説明するが、上述した実施の形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。本実施形態のハードウェア構成は、実施の形態1と同様に、図1に示す構成であるものとする。
実施の形態2で述べたように、本システムでは、制御弁18の開度VOAに応じて、排気ガス輸送遅れ時間が変化する。本実施形態では、このことを利用して、制御弁18の故障の有無を診断することとした。
図2(d)中のT1は、リッチスパイクが開始されてから触媒入口A/Fセンサ24の出力がリーンからリッチへ切り替わるまでの遅れ時間である。より具体的には、T1αは制御弁18が全閉である場合の遅れ時間、T1βは制御弁18が全開である場合の遅れ時間である。図2(d)に示すように、T1βは、T1αよりも長い。この理由は、前述したように、制御弁18の開度VOAが大きいほど、排気ガス輸送遅れ時間が長くなるからである。このように、制御弁18の開度VOAと遅れ時間T1とは相関があり、制御弁18の開度VOAが大きいほど、遅れ時間T1は長くなる。
そこで、本実施形態では、次のようにして、制御弁18の故障を診断することとした。まず、リッチスパイクが開始されてから、触媒入口A/Fセンサ24の出力がリーンからリッチへ切り替わるまでの遅れ時間T1を計時する。また、制御弁18に対する開度要求値に基づいて、遅れ時間T1の正常範囲が、図9に示す関係に従って算出される。図9は、制御弁18に対する開度要求値と、遅れ時間T1の正常範囲との関係を示す図である。計時された遅れ時間T1が図9中の破線で示す正常範囲内にある場合には、制御弁18の実開度が開度要求値通りになっていると判断することができる。よって、制御弁18が正常であると診断することができる。
これに対し、計時された遅れ時間T1が図9中の破線で示す正常範囲外にある場合には、制御弁18の実開度が開度要求値通りになっていないと判断できる。例えば、図9中の異常Aで示すように、計時された遅れ時間T1が正常範囲を超えている場合には、制御弁18が閉じなくなっていて、開度要求値より大きい開度で固着していると判断することができる。また、図9中の異常Bで示すように、計時された遅れ時間T1が正常範囲を下回っている場合には、制御弁18が開かなくなっていて、開度要求値より小さい開度で固着していると判断することができる。つまり、これらのような場合には、制御弁18が故障していると診断することができる。
以上説明したように、本実施形態によれば、制御弁18の故障を、新たなセンサ等を追加することなしに、精度良く診断することができる。
なお、制御弁18の故障診断の基礎とする遅れ時間は、上記遅れ時間T1に限定されるものではない。例えば、図2(c)に示すように、リッチスパイクが開始されてから、触媒出口Oセンサ26の出力O2Sがリッチ出力へ切り替わるまでの遅れ時間T2によっても、制御弁18の故障診断を行うことが可能である。ただし、遅れ時間T2は、排気ガス輸送遅れ時間の影響を受けるだけでなく、NOx触媒22の劣化度合いにも影響される。つまり、NOx触媒22の劣化度合いが大きいほど、NOx吸蔵量が少ないので、還元時間が短くなり、よって遅れ時間T2も短くなる。このため、上記遅れ時間T1に基づいて制御弁18の故障診断を行うことがより好ましい。あるいは、遅れ時間T2に基づいて故障診断を行う場合であっても、NOx触媒22にNOxがほとんど吸蔵されていない状況で遅れ時間T2を計測すれば、高い精度で制御弁18の故障診断を行うことができる。
更に、リッチスパイクが終了されてから、触媒入口A/Fセンサ24の出力がリッチからリーンへ切り替わるまでの遅れ時間に基づいて、制御弁18の故障診断を行うようにしてもよい。
上述した実施の形態3においては、触媒入口A/Fセンサ24または触媒出口Oセンサ26が前記第6の発明における「下流側排気ガスセンサ」に、遅れ時間T1またはT2が前記第6の発明における「遅れ時間」に、第1通路14、第2通路16、制御弁18および冷却装置20が前記第6の発明における「排気ガス冷却量可変手段」に、それぞれ相当している。また、ECU30が、遅れ時間T1またはT2を計時することにより前記第6の発明における「遅れ時間計時手段」が、図9を参照して説明した手法によって制御弁18の故障診断を行うことにより第6の発明における「制御弁診断手段」が、それぞれ実現されている。
以上、本発明の各実施の形態について説明したが、各実施の形態は次のように変形してもよい。
・実施の形態1〜3においては、内燃機関10と制御弁18との間には、排気浄化触媒(特に三元触媒作用を有するもの)が設置されていても良い。これにより、本発明の効果を奏しつつ、エミッションを更に低減することができる。
・実施の形態1においては、排気ガス冷却量可変手段の構成は、冷却量を可変とするものであればいかなるものでもよく、例えば、第1通路14と第2通路16との経路長が等しいものや、通路が第1通路14と第2通路16とに分岐せずに1本のものなどでもよい。
本発明の実施の形態1のシステム構成を説明するための図である。 本発明の実施の形態1の動作を説明するためのタイミングチャートである。 NOx触媒の吸蔵能力と、触媒温度との関係を示す図である。 本発明の実施の形態1において実行されるルーチンのフローチャートである。 本発明の実施の形態1において実行されるルーチンのフローチャートである。 本発明の実施の形態2のシステム構成を説明するための図である。 本発明の実施の形態2の動作を説明するためのタイミングチャートである。 補正前および補正後の機関出口A/Fセンサの出力を示す図である。 制御弁に対する開度要求値と、遅れ時間T1の正常範囲との関係を示す図である。
符号の説明
10 内燃機関
12 排気通路
14 第1通路
16 第2通路
18 制御弁
20 冷却装置
22 NOx触媒
24 触媒入口A/Fセンサ
26 触媒出口Oセンサ
28 排気温センサ
30 ECU(Electronic Control Unit)
32 機関出口A/Fセンサ

Claims (3)

  1. 内燃機関の排気通路に配置された吸蔵還元型のNOx触媒と、
    前記内燃機関のリーン空燃比運転中に排気ガスの空燃比をリッチまたは理論空燃比に一時的に切り替えるリッチスパイクを行うリッチスパイク手段と、
    前記NOx触媒の下流側に配置された触媒出口排気ガスセンサと、
    リッチスパイク実行時の前記触媒出口排気ガスセンサの出力に基づいて、前記NOx触媒の劣化を診断する触媒診断手段と、
    前記内燃機関と前記NOx触媒との間に設けられ、排気ガスが受ける冷却量を可変とする排気ガス冷却量可変手段と、
    前記NOx触媒の温度が所定の温度域に入るように、前記排気ガス冷却量可変手段を制御する触媒温度制御手段と、
    を備え、
    前記触媒診断手段は、前記NOx触媒の温度が前記所定の温度域に入っている状態で、前記NOx触媒の劣化を診断するものであり、
    前記触媒診断手段は、前記NOx触媒の温度が、少なくとも前回のリッチスパイク終了後から今回のリッチスパイク終了時までの間、前記所定の温度域に維持されていることを条件に、前記NOx触媒の劣化を診断することを特徴とする内燃機関の制御装置。
  2. 内燃機関の排気通路に配置された吸蔵還元型のNOx触媒と、
    前記内燃機関のリーン空燃比運転中に排気ガスの空燃比をリッチまたは理論空燃比に一時的に切り替えるリッチスパイクを行うリッチスパイク手段と、
    前記NOx触媒の下流側に配置された触媒出口排気ガスセンサと、
    リッチスパイク実行時の前記触媒出口排気ガスセンサの出力に基づいて、前記NOx触媒の劣化を診断する触媒診断手段と、
    前記内燃機関と前記NOx触媒との間に設けられ、排気ガスが受ける冷却量を可変とする排気ガス冷却量可変手段と、
    前記NOx触媒の温度が所定の温度域に入るように、前記排気ガス冷却量可変手段を制御する触媒温度制御手段と、
    を備え、
    前記触媒診断手段は、前記NOx触媒の温度が前記所定の温度域に入っている状態で、前記NOx触媒の劣化を診断するものであり、
    前記排気ガス冷却量可変手段は、
    第1排気ガス通路と、
    前記第1排気ガス通路より経路長の長い第2排気ガス通路と、
    前記第1排気ガス通路に流れる排気ガス量と、前記第2排気ガス通路に流れる排気ガス量との比率を可変とする制御弁と、
    を含み、
    前記内燃機関と前記排気ガス冷却量可変手段との間における排気空燃比を取得する機関出口空燃比取得手段と、
    前記内燃機関と前記排気ガス冷却量可変手段との間における排気空燃比の変化が、前記NOx触媒の入口における排気空燃比の変化に現れるまでの遅れ時間を、前記制御弁の開度に基づいて推定する遅れ時間推定手段と、
    を更に備え、
    前記触媒診断手段は、前記機関出口空燃比取得手段により取得される排気空燃比と、前記遅れ時間と、前記触媒出口排気ガスセンサの出力とに基づいて、前記NOx触媒の劣化を診断することを特徴とする内燃機関の制御装置。
  3. 第1排気ガス通路と、前記第1排気ガス通路より経路長の長い第2排気ガス通路と、前記第1排気ガス通路に流れる排気ガス量と、前記第2排気ガス通路に流れる排気ガス量との比率を可変とする制御弁とを含み、排気ガスが受ける冷却量を可変とする排気ガス冷却量可変手段と、
    前記排気ガス冷却量可変手段の下流側に配置された下流側排気ガスセンサと、
    前記排気ガス冷却量可変手段の上流側における排気空燃比の変化が前記下流側排気ガスセンサの出力に現れるまでの遅れ時間を計時する遅れ時間計時手段と、
    前記計時された遅れ時間と、前記制御弁への開度要求値とに基づいて、前記制御弁の故障を診断する制御弁診断手段と、
    を備えることを特徴とする内燃機関の制御装置。
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