JP7194360B2 - パティキュレートフィルタの異常判定方法および異常判定装置 - Google Patents

パティキュレートフィルタの異常判定方法および異常判定装置 Download PDF

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Description

本発明は、パティキュレートフィルタの異常判定方法および異常判定装置に関するものである。
エンジンにおいては、排気ガス中の煤(微粒状物質=パティキュレート)を除去するために、排気通路にパティキュレートフィルタを配設して、排気ガス中の煤を捕集することが行われている。そして、パティキュレートフィルタで捕集した煤量が所定値以上になると、パティキュレートフィルタの再生(例えば燃料のポスト噴射やリタード噴射)が行われる。
パティキュレートフィルタは、その再生を繰り返すことにより徐々に劣化するものである。この劣化は、再生時に高熱を受けて部分的に熱損傷することにより生じ、劣化が進行すると、煤を十分に捕集できなくなる異常状態(故障状態)となる。
特許文献1には、パティキュレートフィルタの上流側と下流側との差圧に基づいてパティキュレートフィルタの異常(故障)判定を行うものが開示されている。特許文献2には、パティキュレートフィルタ(DPF)の異常判定を、パティキュレートフィルタ下流の排気ガス圧力に対して所定の重み付けを行った値を用いて行うことが開示されている。
特開2011-220233号公報 特開2004-308454号公報
ところで、エンジンにおいては、減速時に燃料カットが行われるのが通常である。燃料カットが行われると、排気ガス中の酸素濃度が高まることから、パティキュレートフィルタが少なからず自然再生されることになる。燃料カットに伴うパティキュレートフィルタの自然再生は、その上流側と下流側との差圧を小さくすることになる。
特に、ガソリンを燃料とするエンジンにあっては、パティキュレートフィルタが極めて高温になりやすいこともあって、燃料カットに伴う自然再生が極端に行われて、パティキュレートフィルタの上流側と下流側との差圧が一気に小さくなる、という現象を生じやすいものである。このため、燃料カットが実行されると、上記差圧が異常判定を行うための判定しきい値を超えてしまい、パティキュレートフィルタが正常であるにもかかわらず異常であると誤判定してしまう事態を生じやすくなる。
本発明は以上のような事情を勘案してなされたもので、その目的は、燃料カットに伴ってパティキュレートフィルタが異常であると誤判定されてしまう事態を防止できるようにしたパティキュレートフィルタの異常判定方法および異常判定装置を提供することにある。
前記目的を達成するため、本発明における異常判定方法にあっては次のような解決手法を採択してある。すなわち、請求項1に記載のように、
エンジンの排気通路に配設されたパティキュレートフィルタの上流と下流との差圧を検出する第1ステップと、
前記第1ステップで検出された差圧について、排気ガス流量が大きいほど重み値が大きい値となるように設定された重み特性から重み値を決定する第2ステップと、
前記第1ステップで検出された差圧について、前記第2ステップで決定された重み値でもって重み付けした重み付け差圧を算出する第3ステップと、
前記第2ステップで決定された重み値を積算して重み値の積算値を算出する第4ステップと、
前記第3ステップで算出された重み付け差圧を積算して重み付け差圧の積算値を算出する第5ステップと、
前記重み付け差圧の積算値の移動平均値を算出する第6ステップと、
前記第4ステップで算出された重み値の積算値があらかじめ設定された所定値以上になったとき、前記第6ステップで算出された移動平均値をあらかじめ設定された判定しきい値と比較して、前記パティキュレートフィルタの異常の有無を判定する第7ステップと、
燃料カットが実行されたときに、前記第4ステップでの重み値の積算値と前記第5ステップでの重み付け差圧の積算値とをそれぞれ低下させる第8ステップと、
を備えているようにしてある。
上記解決手法によれば、基本的に、重み付けされた差圧の移動平均値と異常判定用のしきい値との比較が、重み値の積算値が所定値以上となったときというように移動平均値が十分に信頼できる状態になった状態で行うので、異常の有無を精度良く判定することができる。また、自然再生による差圧低下の問題を生じさせる燃料カットが行われたときは、積算値を低下させることにより異常判定を行う機会を遅らせて、パティキュレートフィルタが正常であるにもかかわらず異常であると誤判定してしまう事態が防止される。特に、パティキュレートフィルタが極めて高温になるガソリンを燃料とするエンジン用として好適である。
上記解決手法を前提とした好ましい態様は、次のとおりである。
前記第8ステップでは、重み値の積算値と重み付け差圧の積算値とをそれぞれリセットする、ようにしてある(請求項2対応)。この場合、燃料カットに伴う差圧低下の問題を完全に除外して、異常判定を精度よく行うことができる。
前記第8ステップでは、前記パティキュレートフィルタの温度があらかじめ設定された所定温度以上であることを条件として前記リセットが実行され、該パティキュレートフィルタの温度が該所定温度未満のときは該リセットが制限される、ようにしてある(請求項3対応)。この場合、燃料カットに伴う差圧低下の度合いが高くなるパティキュレートフィルタの温度が高いときの誤判定を確実に防止することができる。また、燃料カットに伴う差圧低下の度合いが相対的に低くなるパティキュレートフィルタの温度が低いときは、リセットを制限することにより、誤判定を防止しつつ極力すみやかに異常判定を行えるようする上で好ましいものとなる。
前記第8ステップにおける前記リセットの制限が、重み値の積算値と重み付け差圧の積算値とをそれぞれホールドすることにより行われる、ようにしてある(請求項4対応)。この場合、誤判定を防止しつつすみやかに異常判定を行えるようする上で好ましいものとなる。また、燃料カットに伴う差圧低下の影響が相対的に小さくなるパティキュレートフィルタの温度が低いときを条件として積算値のホールドを行うので、パティキュレートフィルタの温度が低いときの誤判定も防止される。
前記エンジンが、ガソリンを燃料とするガソリンエンジンとされ、
前記第8ステップにおける重み値の積算値の低下と重み付け差圧の積算値の低下とが、前記エンジンが空気過剰率λ=1以下のリッチ条件でかつ少なくとも燃焼の後行程で圧縮自己着火が行われる運転状態であることを条件に実行される、
ようにしてある(請求項5対応)。この場合、パティキュレートフィルタへ煤が堆積がしやすく、かつパティキュレートフィルタが高温になりやすい運転状態であることから、燃料カットに伴う差圧低下の影響が大きくなるが、このような運転状態での誤判定を防止することができる。
前記エンジンが、空気過剰率λ=1以下とされるリッチ運転とλ=1よりも大きいリーン運転との間で切替え可能とされ、
前記エンジンが前記リッチ運転から前記リーン運転に切替えられたときは、燃料カットの有無にかかわらず、重み値の積算値と重み付け差圧の積算値とがリセットされる、
ようにしてある(請求項6対応)。この場合、リッチ運転からリーン運転へと切替えられたときは、急激に排気ガス中の酸素濃度が高まって自然再生が促進されて差圧低下の影響が大きくなるが、このようなときの誤判定を防止することができる。
前記判定しきい値が、前記パティキュレートフィルタの温度が高いほど、異常と判定されにくい方向の値に変更される、ようにしてある(請求項7対応)。この場合、パティキュレートフィルタの温度が高いほど自然再生が促進されて誤判定されやすくなるが、判定しきい値を誤判定されにくい方向の値に変更することにより、誤判定を防止することができる。
前記判定しきい値が、前記パティキュレートフィルタへの煤の堆積量が多いほど、異常と判定されにくい方向の値に変更される、ようにしてある(請求項8対応)。この場合、パティキュレートフィルタへの煤の堆積量が多いほど自然再生が促進されて誤判定されやすくなるが、判定しきい値を誤判定されにくい方向の値に変更することにより、誤判定を防止することができる。
前記目的を達成するため、本発明における異常判定装置にあっては次のような解決手法を採択してある。すなわち、請求項9に記載のように、
エンジンの排気通路に配設されたパティキュレートフィルタの異常判定装置であって、
前記パティキュレートフィルタの上流と下流との差圧を検出する差圧検出手段と、
前記差圧検出手段で検出された差圧について、排気ガス流量が大きいほど重み値が大きい値となるように設定された重み特性から重み値を決定する重み値決定手段と、
前記差圧検出手段で検出された差圧について、前記重み値決定手段で決定された重み値でもって重み付けした重み付け差圧を算出する重み付け差圧算出手段と、
前記重み値決定手段で決定された重み値を積算して、重み値の積算値を算出する重み値積算手段と、
前記重み付け差圧算出手段で算出された重み付け差圧を積算して、重み付け差圧の積算値を算出する重み付け差圧積算手段と、
前記重み付け差圧の積算値の移動平均値を算出する移動平均値算出手段と、
前記重み値の積算値があらかじめ設定された所定値以上になったとき、前記移動平均値をあらかじめ設定された判定しきい値と比較して、前記パティキュレートフィルタの異常の有無を判定する判定手段と、
燃料カットが実行されたときに、前記重み値積算手段による重み値の積算値と前記重み付け差圧積算手段による重み付け差圧の積算値とを低下させる積算制限手段と、
を備えているようにしてある。上記解決手法によれば、請求項1に記載の異常判定方法を実行するための装置を提供することができる。
本発明によれば、燃料カットに伴ってパティキュレートフィルタが異常であると誤判定されてしまう事態を防止できる。
本発明が適用されたエンジンの全体系統例を示す図。 本発明の制御系等例をブロック図的に示す図。 煤の堆積量に応じた再生制御の一例を簡略的に示す図。 煤の堆積量に応じた再生制御の一例を示すフローチャート。 SPCCI燃焼を行ったときの燃焼状況を示す図。 冷却水温度の相違に応じた運転領域の区分け例を示す図。 暖機時において区分けされた各運転領域においてスワール弁および過給機の作動状態を示す図。 図7の黒丸で示す複数の運転状態に対応した燃料噴射態様と点火時期と燃焼形態とを示す図。 冷却水温度に応じた排気絞り弁の開度変更例を示す特性図。 排気ガス流量に応じてGPFの上流側と下流側との差圧が変化する様子を示す図。 GPFの故障診断を行っている状況を示すタイムチャート。 GPFの故障診断を行うための制御例を示すフローチャート。
(全体の概要)
図1において、Eはエンジン(エンジン本体)であり、図1はある1つの気筒に着目した断面図となっている。そして、エンジンEは、ガソリン等を燃料とする直列4気筒の4サイクルエンジンとされている。
図1中、1はシリンダ、2はシリンダヘッド、3はシリンダ1内に摺動自在に嵌合されたピストンである。ピストン3は、図示を略すコンロッドを介して、クランクシャフト4と連動されている。
シリンダ1とシリンダヘッド2とピストン3とにより、ピストン3の上方空間に燃焼室5が構成されている。この燃焼室5には、吸気ポート6および排気ポート7が開口されている。そして、吸気ポート6は吸気弁8により開閉され、排気ポート7は排気弁9により開閉される。
シリンダヘッド2には、燃焼室5の略中央部において、点火プラグ10、燃料噴射弁11および筒内の圧力を検出する圧力センサ12が配設されている。実施形態では、エンジンEは、1つの気筒について、2個の吸気ポート6(吸気弁8)と2個の排気ポート7(排気弁9)とを有する4弁式とされている。2個の吸気弁8同士はクランクシャフト4の軸線方向に間隔をあけて配設され、同様に2個の排気弁9もクランクシャフト4の軸線方向に間隔をあけて配設されている。
クランクシャフト4に対して、ベルト13を介して、ISG14が連動されている。ISG14は、スタータモータと発電機(オルタネータまたはジェネレータ)とを兼用した機器である。すなわち、イグニッションスイッチがオンされた際に、ISG14を駆動することによりエンジンEを始動させる。また、走行中において、例えば減速時にはISG14により発電を行って回生を行う(回生エネルギは、バッテリやキャパシタ等の充電に用いたり、各種の電気機器類への供給用とされる)。
吸気ポート6には、吸気通路20が接続されている。吸気通路20には、その上流側から下流側へ順次、エアクリーナ21、スロットル弁22、機械式の過給機(スーパチャージャ)23、インタークーラ24が配設されている。なお、25は、過給機23を駆動するモータである。吸気通路20に対して、バイパス通路26が接続されている。バイパス通路26の上流側端は、スロットル弁22と過給機23との間において吸気通路20に開口されている。また、バイパス通路26の下流側端は、インタークーラ24の下流側において吸気通路20に開口されている。そして、バイパス通路26には、バイパス弁27が配設されている。
吸気ポート6は、タンブルポートされている。そして、吸気通路20には、吸気ポート6の直上流側において、スワール弁56が配設されている。このスロットル弁56を制御することにより、燃焼室5内でのスワールの強さが調整(変更)可能とされている。
排気ポート7には、排気通路30が接続されている。排気通路30の上流側端部は、各気筒共通の排気マニホールド31によって構成されている。排気通路30には、排気マニホールド31よりも下流側において、上流側から下流側は向けて順次、排気絞り弁36、排気ガス流量センサ37、小容量の第1三元触媒32、温度センサ38、GPF(パティキュレートフィルタ)33、大容量の第2三元触媒34が配設されている。GPF33は、排気ガス中の微粒子を捕集するものである。そして、それぞれ後述するように、GPF33の直上流側と直下流側との圧力差を検出する圧力センサ35での検出差圧に基づいて、GPF33に堆積した煤量を検出するようになっている。また、圧力センサ35での検出差圧に基づいて、GPFの故障判定を行うようになっている。また、温度センサ38によって、GPF33の入り口側の温度が検出される。
吸気通路20と排気通路30とは、EGR通路40を介して接続されている。EGR通路40の上流側端は、GPF33と第2三元触媒34との間の排気通路30に開口されている。EGR通路40の下流側端は、バイパス通路26のうちバイパス弁27の上流側に開口されている。そして、EGR通路40には、その上流側から下流側へ順次、EGRクーラ41、EGR弁42が配設されている。
上記のようなエンジンEは、ガソリンを燃料として、所定の運転領域(例えばアクセル開度が所定開度以下でかつエンジン回転数が所定回転数以下の領域)において極めてリーンな空燃比(例えば空燃比が30程度)でもって圧縮自己着火されるようになっている(実施形態では、点火プラグ10の着火により生じる火種を利用して自己着火を促進させる火花点火制御式自己着火)。そして、上記所定の運転領域以外では、通常のガソリンエンジンと同様に、点火プラグ10の着火による火花点火式でもって燃焼を行うようになっている(空燃比は主として理論空燃比付近)。このため、エンジンEの幾何学的圧縮比が通常のガソリンエンジンに比して相当に高く設定されている(例えば幾何学的圧縮比が18以上で、有効圧縮比が16以上)。なお、圧縮自己着火の燃焼形態については後に詳述する。
過給機23は、上述した圧縮自己着火を行う際に要求される多量の空気量を確保するために作動されるようになっており、このときはバイパス弁27が閉じられる。一方、火花点火による着火を行う運転領域では、過給機23の作動が停止されると共にバイパス弁27が開かれる。
図2は、本発明の制御系等例を示すものである。図中、Uは、マイクロコンピュータを利用して構成されたコントローラ(制御ユニット)である。このコントローラUは、各種演算を行うCPUの他、メモリM1、燃料噴射学習量参照モジュールM2を有している。
コントローラUは、後述する制御のために各種のセンサは機器類が接続される。図2に示されるセンサや機器類は、主としてGPFの再生制御と故障診断制御とを行うために必要なものに限定して示される。
すなわち、コントローラUには、前述した圧力センサ35、流量センサ37、温度センサ38からの信号が入力される他、各種センサ類S1~S4からの信号が入力される。S1は、エンジン回転数を検出する回転数センサである。S2は、アクセル開度を検出するアクセル開度センサである。S3は、エンジンの冷却水温度を検出する水温センサである。S4は、後述する制御に用いられるパラメータを検出するセンサ類(例えば、大気圧センサ、外気温センサ等)をまとめて示したものである。また、コントローラUは、前記点火プラグ10、燃料噴射弁11、排気絞り弁36、EGR弁56を制御する他、ワーニングランプS11、各種機器類S12を制御する。各種機器類S12は、例えばS-VT23、S-VT24等をまとめて示したものである。
(SPCCI燃焼)
次に、エンジンEが行うSPCCI燃焼の詳細について説明する。SPCCI燃焼は、点火プラグ10が、燃焼室5の中の混合気に強制的に点火をすることによって、混合気が火炎伝播によりSI燃焼をすると共に、SI燃焼の発熱により燃焼室5の中の温度が高くなりかつ、火炎伝播により燃焼室5の中の圧力が上昇することによって、未燃混合気が自己着火によるCI燃焼をする形態である。
SI燃焼の発熱量を調節することによって、圧縮開始前の燃焼室5の中の温度のばらつきを吸収することができる。点火タイミングを調節することによって、混合気を目標のタイミングで自己着火させることができる。
SPCCI燃焼において、SI燃焼時の熱発生は、CI燃焼時の熱発生よりも穏やかである。SPCCI燃焼における熱発生率の波形は、図5に例示するように、立ち上がりの傾きが、CI燃焼の波形における立ち上がりの傾きよりも小さくなる。また、燃焼室17の中における圧力変動(dp/dθで、単位クランク角変化に対する圧力変化)も、SI燃焼時は、CI燃焼時よりも穏やかになる。
SI燃焼の開始後、未燃混合気が自己着火すると、自己着火のタイミングで、熱発生率の波形の傾きが、小から大へと変化する場合がある。熱発生率の波形は、CI燃焼が開始するタイミングで、変曲点Xを有する場合がある。
CI燃焼の開始後は、SI燃焼とCI燃焼とが並行して行われる。CI燃焼は、SI燃焼よりも熱発生が大きいため、熱発生率は相対的に大きくなる。しかし、CI燃焼は、圧縮上死点後に行われるため、熱発生率の波形の傾きが大きくなりすぎることが回避される。CI燃焼時の圧力変動(dp/dθ)も、比較的穏やかになる。
圧力変動(dp/dθ)は、燃焼騒音を表す指標として用いることができる。前述の通りSPCCI燃焼は、圧力変動(dp/dθ)を小さくすることができるため、燃焼騒音が大きくなりすぎることを回避することが可能になる。エンジンの燃焼騒音は、許容レベル以下に抑えられる。
CI燃焼が終了することによって、SPCCI燃焼が終了する。CI燃焼は、SI燃焼に比べて、燃焼期間が短い。SPCCI燃焼は、SI燃焼よりも、燃焼終了時期が早まる。
SPCCI燃焼の熱発生率波形は、SI燃焼によって形成された第1熱発生率部QSI
と、CI燃焼によって形成された第2熱発生部QCIと、が、この順番に連続するように
形成されている。
ここで、SPCCI燃焼の特性を示すパラメータとして、SI率を定義する。SI率は、SPCCI燃焼により発生した全熱量に対し、SI燃焼により発生した熱量の割合に関係する指標と定義する。SI率は、燃焼形態の相違する二つの燃焼によって発生する熱量比率である。SI率が高いと、SI燃焼の割合が高く、SI率が低いと、CI燃焼の割合が高い。SI率は、CI燃焼により発生した熱量に対するSI燃焼により発生した熱量の比率と定義してもよい。つまり、図5に示す波形801においてSI率=(SI燃焼の面積:QSI)/(CI燃焼の面積:QCI)である。
エンジンは、SPCCI燃焼を行うときに、燃焼室5内に強いスワール流を発生させる。強いスワール流とは、例えば4以上のスワール比を有する流れと定義してもよい。スワール比は、吸気流横方向角速度をバルブリフト毎に測定して積分した値を、エンジン角速度で除した値と定義することができる。吸気流横方向角速度は、図示を省略するが、公知のリグ試験装置を用いた測定に基づいて、求めることができる。
燃焼室5内に強いスワール流を発生させると、燃焼室5の外周部は強いスワール流れとなる一方、中央部のスワール流は相対的に弱くなる。中央部と外周部との境界における速度勾配に起因する渦流によって、中央部は、乱流エネルギが高くなる。点火プラグ10が中央部の混合気に点火をすると、SI燃焼は高い乱流エネルギによって、燃焼速度が高くなる。
SI燃焼の火炎は、燃焼室5内の強いスワール流れに乗って、周方向に伝播する。CI燃焼は、燃焼室17における外周部から中央部においてCI燃焼が行われる。
燃焼室17の中に強いスワール流を発生させると、CI燃焼の開始までにSI燃焼を十分に行うことができる。燃焼騒音の発生を抑制することができると共に、サイクル間におけるトルクのばらつきを抑制することができる。
(エンジンの運転領域)
図6及び図7は、エンジン1の制御に係るマップを例示している。マップは、コントローラU0のメモリ102に記憶されている。マップは、三種類のマップ501、マップ502、マップ503を含んでいる。コントローラUは、燃焼室5の壁温及び吸気の温度それぞれの高低に応じて、三種類のマップ501、502、503の中から選択したマップを、エンジンの制御に用いる。尚、三種類のマップ501、502、503の選択についての詳細は、後述する。
第一マップ501は、エンジンの温間時のマップである。第二マップ502は、エンジンの半暖機時のマップである。第三マップ503は、エンジンの冷間時のマップである。
各マップ501、502、503は、エンジンの負荷及び回転数によって規定されている。第一マップ501は、負荷の高低及び回転数の高低に対し、大別して三つの領域に分かれる。具体的に、三つの領域は、アイドル運転を含みかつ、低回転及び中回転の領域に広がる低負荷領域A1、低負荷領域A1よりも負荷が高い中高負荷領域A2、A3、A4、及び、低負荷領域A1、中高負荷領域A2、A3、A4よりも回転数の高い高回転領域A5である。中高負荷領域A2、A3、A4はまた、中負荷領域A2と、中負荷領域A2よりも負荷が高い高負荷中回転領域A3と、高負荷中回転領域A3よりも回転数の低い高負荷低回転領域A4とに分かれる。
第二マップ502は、大別して二つの領域に分かれる。具体的に、二つの領域は、低中回転領域B1、B2、B3、及び、低中回転領域B1、B2、B3よりも回転数の高い高回転領域B4である。低中回転領域B1、B2、B3はまた、前記低負荷領域A1及び中負荷領域A2に相当する低中負荷領域B1と、高負荷中回転領域B2と、高負荷低回転領域B3とに分かれる。
第三マップ503は、複数の領域に分かれておらず、一つの領域C1のみを有している。
ここで、低回転領域、中回転領域、及び、高回転領域はそれぞれ、エンジンの全運転領域を回転数方向に、低回転領域、中回転領域及び高回転領域の略三等分にしたときの、低回転領域、中回転領域、及び、高回転領域としてもよい。図6及び図7の例では、回転数N1未満を低回転、回転数N2以上を高回転、回転数N1以上N2未満を中回転としている。回転数N1は、例えば1200rpm程度、回転数N2は、例えば4000rpm程度としてもよい。
また、低負荷領域は、軽負荷の運転状態を含む領域、高負荷領域は、全開負荷の運転状態を含む領域、中負荷は、低負荷領域と高負荷領域との間の領域としてもよい。また、低負荷領域、中負荷領域、及び、高負荷領域はそれぞれ、エンジン1の全運転領域を負荷方向に、低負荷領域、中負荷領域及び高負荷領域の略三等分にしたときの、低負荷領域、中負荷領域、及び、高負荷領域としてもよい。
図6のマップ501、502、503はそれぞれ、各領域における混合気の状態及び燃焼形態を示している。図7のマップ504は、第一マップ501に相当し、当該マップにおける、各領域における混合気の状態及び燃焼形態と、各領域におけるスワール弁56の開度と、過給機23の駆動領域及び非駆動領域と、を示している。エンジンは、低負荷領域A1、中負荷領域A2、高負荷中回転領域A3、及び、高負荷低回転領域A4、並びに、低中負荷領域B1、高負荷中回転領域B2、及び、高負荷低回転領域B3において、SPCCI燃焼を行う。エンジンはまた、それ以外の領域、具体的には、高回転領域A5、高回転領域B4、及び、領域C1においては、SI燃焼を行う。
(各領域におけるエンジンの運転)
以下、図7のマップ504の各領域におけるエンジンの運転について、図8に示す燃料噴射時期及び点火時期を参照しながら詳細に説明をする。図8の横軸は、クランク角である。尚、図8における符号601、602、603、604、605及び606はそれぞれ、図7のマップ504における符号601、602、603、604、605及び606によって示すエンジンの運転状態に対応する。なお、図6に示すマップは、コントローラUのメモリM1に記憶されている。また、コントローラUの燃料噴射学習量算出モジュールM2による学習制御によって、運転状態に応じた燃料噴射の学習量が算出されて、算出結果がメモリM1に記憶される(運転を継続することによる燃料噴射量等の最適化)。
(低負荷領域)
エンジンが低負荷領域A1において運転しているときに、エンジン1は、SPCCI燃焼を行う。
図8の符号601は、エンジン1が低負荷領域A1における運転状態601にて運転しているときの燃料噴射時期(符号6011、6012)及び点火時期(符号6013)、並びに、燃焼波形(つまり、クランク角に対する熱発生率の変化を示す波形、符号6014)を示している。符号602は、エンジン1が低負荷領域A1における運転状態602にて運転しているときの燃料噴射時期(符号6021、6022)及び点火時期(符号6023)、並びに、燃焼波形(符号6024)を示し、符号603は、エンジンが低負荷領域A1における運転状態603にて運転しているときの燃料噴射時期(符号6031、6032)及び点火時期(符号6033)、並びに、燃焼波形(符号6034)を示している。運転状態601、602、603は、エンジンの回転数が同じでかつ、負荷が相違する。運転状態601が、最も負荷が低く(つまり、軽負荷)、運転状態602が、次に負荷が低く(つまり、低負荷)、運転状態603が、この中では負荷が最も高い。
エンジンの燃費性能を向上させるために、EGR弁42が開かれて、燃焼室5の中にEGRガスを導入する。具体的に、吸気電動S-VT23及び排気電動S-VT24は、排気上死点付近において、吸気弁21及び排気弁22の両方を開弁するポジティブオーバーラップ期間を設ける。燃焼室5から吸気ポート6及び排気ポート7に排出した排気ガスの一部は、燃焼室5の中に再導入される。燃焼室5の中に熱い排気ガスを導入するため、燃焼室5の中の温度が高くなる。SPCCI燃焼の安定化に有利になる。尚、吸気電動S-VT23及び排気電動S-VT24は、吸気弁8及び排気弁9の両方を閉弁するネガティブオーバーラップ期間を設けてもよい。
また、スワール弁56を制御して、燃焼室5の中に、強いスワール流を形成する。スワール比は、例えば4以上である。スワール弁56は、全閉又は閉じ側の所定の開度である。前述したように、吸気ポート6はタンブルポートであるため、燃焼室5の中には、タンブル成分とスワール成分とを有する斜めスワール流が形成される。
燃料噴射弁11は、吸気行程中に、燃料を複数回、燃焼室5の中に噴射する(符号6011、6012、6021、6022、6031、6032)。複数回の燃料噴射と、燃焼室5の中のスワール流とによって、混合気は成層化する。
燃焼室5の中央部における混合気の燃料濃度は、外周部の燃料濃度よりも濃い。具体的に、中央部の混合気のA/Fは、20以上30以下であり、外周部の混合気のA/Fは、35以上である。尚、空燃比の値は、点火時における空燃比の値であり、以下の説明においても同じである。点火プラグ10に近い混合気のA/Fを20以上30以下にすることにより、SI燃焼時のRawNOxの発生を抑制することができる。また、外周部の混合気のA/Fを35以上にすることで、CI燃焼が安定化する。
混合気の空燃比(A/F)は、燃焼室5の全体において理論空燃比よりもリーンである(つまり、空気過剰率λ>1)。より詳細に、燃焼室5の全体において混合気のA/Fは30以上である。こうすることで、RawNOxの発生を抑制することができ、排出ガス性能を向上させることができる。
エンジンの負荷が低いとき(つまり、運転状態601のとき)に、燃料噴射弁11は、吸気行程の前半に、第一噴射6011を行い、吸気行程の後半に、第二噴射6012を行う。吸気行程の前半は、吸気行程を前半と後半とに二等分したときの前半、吸気行程の後半は、吸気行程を二等分したときの後半としてもよい。また、第一噴射6011と第二噴射6012との噴射量比は、例えば9:1としてもよい。
エンジンの負荷が高い運転状態602のときに、インジェクタ6は、吸気行程の後半に行う第二噴射6022を、運転状態601の第二噴射6012よりも進角したタイミングで開始する。第二噴射6022を進角することによって、燃焼室5内の混合気は均質に近づく。第一噴射6021と第二噴射6022との噴射量比は、例えば7:3~8:2としてもよい。
エンジンの負荷がさらに高い運転状態603のときに、燃料噴射弁11は、吸気行程の後半に行う第二噴射6032を、運転状態602の第二噴射6022よりもさらに進角したタイミングで開始する。第二噴射6032をさらに進角することによって、燃焼室5内の混合気は、均質にさらに近づく。第一噴射6031と第二噴射6032との噴射量比は、例えば6:4としてもよい。
燃料噴射の終了後、圧縮上死点前の所定のタイミングで、点火プラグ10は、燃焼室5の中央部の混合気に点火をする(符号6013、6023、6033)。点火タイミングは、圧縮行程の終期としてもよい。圧縮行程の終期は、圧縮行程を、初期、中期、及び終期に三等分したときの終期としてもよい。
前述したように、中央部の混合気は燃料濃度が相対的に高いため、着火性が向上すると共に、火炎伝播によるSI燃焼が安定化する。SI燃焼が安定化することによって、適切なタイミングで、CI燃焼が開始する。SPCCI燃焼において、CI燃焼のコントロール性が向上する。燃焼騒音の発生が抑制される。また、混合気のA/Fを理論空燃比よりもリーンにしてSPCCI燃焼を行うことによって、エンジン1の燃費性能を、大幅に向上させることができる。
(中高負荷領域)
エンジンが中高負荷領域において運転しているときも、エンジンは、低負荷領域と同様に、SPCCI燃焼を行う。
図8の符号604は、エンジンが中高負荷領域の中でも、中負荷領域A2における運転状態604にて運転しているときの燃料噴射時期(符号6041、6042)及び点火時期(符号6043)、並びに、燃焼波形(符号6044)を示している。符号605は、エンジン1が高負荷低回転領域A4における運転状態605にて運転しているときの燃料噴射時期(符号6051)及び点火時期(符号6052)、並びに、燃焼波形(符号6053)を示している。
EGR弁42を制御して、燃焼室5の中にEGRガスを導入する。具体的に、吸気電動S-VT23及び排気電動S-VT24は、排気上死点付近において、吸気弁8及び排気弁9の両方を開弁するポジティブオーバーラップ期間を設ける。内部EGRガスが、燃焼室5の中に導入される。また、EGR通路40を通じて、EGRクーラー41によって冷却した排気ガスを、燃焼室5の中に導入する。つまり、内部EGRガスに比べて温度が低い外部EGRガスを、燃焼室5の中に導入する。外部EGRガスは、燃焼室5の中の温度を、適切な温度に調節する。EGR弁42を制御して、エンジンの負荷が高まるに従いEGRガスの量を減らす。全開負荷において、内部EGRガス及び外部EGRガスを含むEGRガスを、ゼロにしてもよい。
また、中高負荷領域A2及び高負荷中回転領域A3において、スワール弁56は、全閉又は閉じ側の所定の開度である。燃焼室5の中には、スワール比が4以上の、強いスワール流が形成される。一方、高負荷低回転領域A4において、スワール弁56は開である。
混合気の空燃比(A/F)は、燃焼室5の全体において理論空燃比(A/F≒14.7)である。三元触媒32、34が、燃焼室5から排出された排出ガスを浄化することによって、エンジンの排出ガス性能は良好になる。混合気のA/Fは、三元触媒の浄化ウインドウの中に収まるようにすればよい。混合気の空気過剰率λは、1.0±0.2としてもよい。尚、エンジンが、全開負荷(つまり、最高負荷)を含む高負荷中回転領域A3において運転しているときには、混合気のA/Fは、燃焼室5の全体において理論空燃比又は理論空燃比よりもリッチにしてもよい(つまり、混合気の空気過剰率λは、λ≦1)。
燃焼室5内にEGRガスを導入しているため、燃焼室5の中の全ガスと燃料との重量比であるG/Fは理論空燃比よりもリーンになる。混合気のG/Fは18以上にしてもよい。こうすることで、いわゆるノッキングの発生を回避することができる。G/Fは18以上30以下において設定してもよい。また、G/Fは18以上50以下において設定してもよい。
エンジンが運転状態604で運転するときに、燃料噴射弁11は、吸気行程中に、複数回の燃料噴射(符号6041、6042)を行う。燃料噴射弁11は、第一噴射6041を吸気行程の前半に行い、第二噴射6042を吸気行程の後半に行ってもよい。
また、エンジンが運転状態605で運転するときに、燃料噴射弁11は、吸気行程において燃料を噴射する(符号6051)。
点火プラグ10は、燃料の噴射後、圧縮上死点付近の所定のタイミングで混合気に点火をする(符号6043、6052)。エンジンを運転状態604で運転しているときに、点火プラグ10は、圧縮上死点前に点火を行ってもよい(符号6043)。エンジンを運転状態605で運転しているときに、点火プラグ10は、圧縮上死点後に点火を行ってもよい(符号6052)。
混合気のA/Fを理論空燃比にしてSPCCI燃焼を行うことによって、三元触媒32、34を利用して、燃焼室5から排出された排出ガスを浄化することができる。また、EGRガスを燃焼室5に導入して混合気を希釈化することによって、エンジン1の燃費性能が向上する。
(過給機の動作)
ここで、図7のマップ504に示すように、低負荷領域A1の一部、及び、中高負荷領域A2の一部においては、過給機23はオフである(S/C OFF参照)。詳細には、低負荷領域A1における低回転側の領域において、過給機23はオフである。低負荷領域A1における高回転側の領域においては、エンジンの回転数が高くなることに対応して必要な吸気充填量を確保するために、過給機23はオンである。また、中高負荷領域A2における低負荷低回転側の一部の領域において、過給機23はオフである。中高負荷領域A2における高負荷側の領域においては、燃料噴射量が増えることに対応して必要な吸気充填量を確保するために、過給機23はオンである。また、中高負荷領域A2における高回転側の領域においても過給機23はオンである。
尚、高負荷中回転領域A3、高負荷低回転領域A4、及び、高回転領域A5の各領域においては、その全域において過給機23がオンである(S/C ON参照)。
(高回転領域)
エンジンの回転数が高いと、クランク角が1°変化するのに要する時間が短くなる。燃焼室5内において混合気を成層化することが困難になる。エンジンの回転数が高くなると、SPCCI燃焼を行うことが困難になる。
そこで、エンジンが高回転領域A5において運転しているときに、エンジンは、SPCCI燃焼ではなく、SI燃焼を行う。尚、高回転領域A5は、低負荷から高負荷まで負荷方向の全域に広がっている。
図8の符号606は、エンジン1が高回転領域A5における負荷の高い運転状態606にて運転しているときの燃料噴射時期(符号6061)及び点火時期(符号6062)、並びに、燃焼波形(符号6063)を示している。
EGR弁42を制御して、燃焼室5の中にEGRガスを導入する。EGR弁42は、負荷が高まるに従いEGRガスの量を減らす。EGR弁42は、全開負荷では、EGRガスをゼロにしてもよい。
スワール弁56は、全開である。燃焼室5内にはスワール流が発生せず、タンブル流のみが発生する。スワール弁56を全開にすることによって、充填効率を高めることができると共に、ポンプ損失を低減することが可能になる。
混合気の空燃比(A/F)は、基本的には、燃焼室5の全体において理論空燃比(A/F≒14.7)である。混合気の空気過剰率λは、1.0±0.2とすればよい。尚、エンジンが全開負荷の付近において運転しているときには、混合気の空気過剰率λは1未満であってもよい。
燃料噴射弁11は、吸気行程中に燃料噴射を開始する。燃料噴射弁11は、燃料を一括で噴射する(符号6061)。吸気行程中に燃料噴射を開始することによって、燃焼室5の中に、均質又は略均質な混合気が形成される。また、燃料の気化時間を長く確保することができるため、未燃損失の低減を図ることもできる。
点火プラグ10は、燃料の噴射終了後、圧縮上死点前の適宜のタイミングで、混合気に点火を行う(符号6062)。
(GPFの再生制御)
GPF33は、運転を継続することにより、煤の捕集量が増大することから、適宜のタイミングでもってその再生を行う必要がある。GPF33の再生は、燃料のポスト噴射や燃料噴射タイミングのリタードによって、GPF33で煤を燃焼させることにより行われる。このGPF33の再生は、エンジンが所定運転領域にあるときに実行される(例えば、加減速時を除く定常走行時であること、アクセル開度が所定開度以上であること、エンジン回転数が所定回転数以上であること、GPF33の入り口温度がして温度以上であること、という条件を全て満たしたとき)。
次に、図3を参照しつつ、GPF33における煤の捕集量(堆積量)に応じた制御内容の概要について説明する。まず、GPF33への煤の捕集量として、小さい方から大きい順に、SLM1、SLM2、SLM3の3つのしきい値が設定される(SLM1<SLM2<SLM3)。
煤の捕集量がSLM1以下のときは、捕集量が小さいとして、GPF33の再生は行われない(走行に応じてGPF33での煤の捕集量が増大していく状態)。
GPF33での煤の捕集量が、SLM1よりも大きくてSLM2以下のときは、GPF33の再生が行われる(通常の再生で、ポスト噴射あるいはリタード噴射の実行)。
GPF33での煤の捕集量が、SLM2よりも大きくてSLM3以下のときは、GPF33の熱損傷を防止する保護制御を実行しつつ、GPF33の再生が行われる。この保護制御は、大別して、次のような第1と第2の2つの手法を適宜採択できる。なお、このときは、運転者に対して、GPF33での煤の捕集量が多すぎる状況になっている、ということで、ワーニングランプS11が点灯される。ワーニングランプS11の点灯により、運転者は、GPF33の再生実行領域となるような運転を行うように促されると共に、早い時期に車両販売点(ディーラ)に出向いてGPF33の保守、点検を受けることが促される。
GPF33の保護制御は、第1に、GPF33に流入する排気ガス流量を増大させることである(GPF33の温度を排気ガス中へ逃がす)。排気ガス流量の増大は、例えば、燃料カット時の復帰回転数を高めることやアイドル回転数を高めることによって行うことができる。
GPF33の保護制御は、第2に、エンジンの出力制御によって、GPF33の温度上昇を抑制する制御を行うことである。上記エンジンの出力制御としては、例えば、エンジントルクを目標トルクよりも低下させることや空燃比をリッチ化することによって行うことができる。
GPF33での煤の捕集量が、SLM3よりも大きいときは、GPF33の再生が禁止されると共に、減速時に行われる燃料カットが禁止される(GPF33が熱損傷されてしまう事態を確実に防止)。また、EGRが実行されて、排気ガス中の酸素量が低減されるようにされる。なお、減速時に燃料カットが禁止された際には、ISG14を発電機として機能させることによる回生を行って、必要な減速度を確保することもできる。さらに、ワーニングランプS11は点灯されているが、GPF33の再生制御が禁止されていて煤の捕集量が増大する一方なので、より早い時期に車両販売点(ディーラ)に出向いてGPF33の保守、点検を受けることを強く促すように、ワーニングランプS11を点滅させる状態での点灯とすることもできる。また合わせて、音声や文字表示によって、例えば「早い時期に車両販売点に出向いてGPFの保守、点検を受けて下さい」という案内を行うこともできる。
次に、図4を参照しつつ、コントローラUの制御内容について説明する。なお、以下の説明でQはステップを示す。まず、Q1において、各種センサ等からの信号が読みこまれた後、Q2において、目標トルクが演算される。目標トルクは、基本的に、エンジン回転数とアクセル開度とをパラメータとして設定され、さらに、吸気温度やエンジン冷却水温度等によって補正される。なお、目標トルクを演算(設定)する手法そのものは、従来から種々提案されているので、これ以上の説明は省略する。
Q3では、圧力センサ35からの信号(差圧)に基づいて、GPF33での煤の捕集量(堆積量)が推定される。なお、煤の捕集量の推定は、従来既知の適宜の手法で行うことができるが、後述するように、GPF33の上流側と下流側との差圧に対して重み付けされた重み付け差圧の移動平均値を用いることもできる。
Q3の後、Q4において、Q3で推定された煤の捕集量が、所定値SLM3よりも大きいか否かが判別される。このQ4の判別でNOのときは、Q5において、煤の捕集量がSML1よりも大きいか否かが判別される。このQ5の判別でNOのときは、Q6において、目標トルクに応じた燃料噴射制御が行われる。Q5からQ6へ至るときの目標トルクは、Q2で設定された目標トルクであり、目標トルクの低下は行われないものとなる。
前記Q5の判別でYESのときは、Q7において、GPF33の再生が実行される(ポスト噴射あるいはリタード噴射の実行)。この後、Q8において、煤の捕集量がSML2よりも大か大きいか否かが判別される。このQ8の判別でNOのときは、Q6に移行される。
上記Q8の判別でYESのときは、Q9において、ワーニングランプS11が点灯される。この後、Q10において、加速時であるか否かが判別される。このQ10の判別でYESのときは、Q11において、Q2で設定された目標トルクが、所定分だけ低下するように補正される。この後は、Q6に移行される。Q11での目標トルクの低下により、GPF33(の入り口温度)の上昇が抑制されて、GPF33の保護が図られる。
前記Q10の判別でNOのときは、Q12において、減速時での燃料カット時であるか否かが判別される。このQ12の判別でNOのときは、Q6に移行される(Q2で設定された目標トルクがQ6で実行される)。
上記Q12の判別でYESのときは、Q13において、燃料カットが行われる。この後、Q14において、燃料カットからの復帰回転数が、通常時よりも所定分高い大きな回転数に補正される。この後、Q15において、エンジン回転数がQ14で上昇補正された復帰回転数にまで低下したか否かが判別される。このQ15の判別でNOのときは、Q13に戻る。
上記Q15の判別でYESのときは、Q16において、燃料噴射が再開される。この後、Q17において、アイドル回転数が上昇補正される。
前記Q4の判別で判別でYESのときは、Q18において、ワーニングランプS11が点灯されると共に、GPF33の再生が禁止される。Q18でのワーニングランプS11の点灯は、Q9での点灯による警告に比してより強い警告となるように、点滅による点灯とするのが好ましい。Q18の後、Q19において、減速時での燃料カットが禁止される。また、Q20において、EGRが実行される(排気ガス中の酸素濃度低減)。
(排気絞り弁)
ここで、排気絞り弁36を閉弁方向に作動させることにより、排気ポート7やその付近の排気通路30の圧力が高められる。これにより、高温の排気ガスが燃焼室5に環流される内部EGR量が増大して、エンジンが早期に暖機される。このことは、エミッションの改善や、安定した燃焼を確保して燃費向上の上で好ましいものとなる。
図9には、排気絞り弁36の開弁特性が示される。この開弁特性は、次のように設定されている。まず、エンジンが暖機状態であるとき(図5のマップ501対応で、例えば冷却水温度が95℃以上)は、排気絞り弁36は全開とされる。エンジンが暖機状態でないときは、冷却水温度が低いほど排気絞り弁36の開度が小さくされる。ただし、排気絞り弁36を絞り過ぎないように、冷却水温度が所定温度(例えば80℃よりも若干低い温度)以下のときは、排気絞り弁36は所定の最低開度とされる。
図9に示す特性では、排気絞り弁36は、最低開度から全開までの間は、冷却水温度の上昇に比例して増大されるように線形特性とされているが、非線形特性として設定することもできる。また、排気絞り弁36は、冷却水温度が同じでも、エンジン回転数が低いほどより開弁方向へと作動される。ただし、エンジン回転数が所定回転数以上の回転数領域では、排気絞り弁36は全開のままとされる。
(GPFの故障判定)
まず、図10を参照しつつ、故障判定(故障診断)に用いる差圧と重み値とについて説明する。図10は、排気ガス流量と圧力センサ35で検出された差圧とをパラメータとして設定されており、コントローラUのメモリM1に記憶されている。図中α線は、GPF33が正常品(新品の状態に相当)の場合の特性を示す。また、β線は、GPF33(のフィルタ素子)が存在しない欠落品の特性を示す。
圧力センサ35で検出される差圧は、排気ガス流量が同じであれば、GPF正常品の方がGPF欠落品よりも大きくなる。なお、排気ガス流量が所定値g1以下の範囲では、差圧が小さく、かつα線とβ線との大小関係が逆転することもあることから、故障判定には用いない領域とされている。
車両の走行(エンジンの運転)によってGPF33の劣化が進行すると(部分的に熱損傷受けた部位が拡大するのに伴って)、GPF33の流路抵抗が小さくなっていき、検出される差圧が小さくなる方向へと変化される(α線の状態からβ線の特性に近づく方向へと変化する)。劣化が所定分進行した現状のGPF33の特性が、γ線で示される。
α線とβ線との間の範囲で、γ線のβ線に対する離間度合いが所定値以下になると、GPFが故障していると判定される。また、γ線が、β線の下方に位置した状態では、GPFが欠落したと判定することができる。
図10から理解されるように、排気ガス流量が所定値g1よりも大きい範囲において、排気ガス流量が大きいほどα線とβ線との差圧が大きくなり、GPF33の劣化を判定するのに用いる差圧として好ましい値となる。換言すれば、排気ガス流量の大きいときに検出された差圧は、排気ガス流量が小さいときに検出された差圧よりも、GPF33の劣化度合いをより精度よく示しているものとなる(S/N比が大)。このような理由から、検出された差圧について、所定の重み付けが行われる。この重み付けに用いる重み値は、0から1の範囲で設定される(0<重み値<1)。
上記重み値は、排気ガス流量が大きいほど大きな値とされる。また、重み値は、α線とβ線との間の理論上の差圧に比例した大きさとされる。このような重み値は、あらかじめ、排気ガス流量と圧力センサ35での検出差圧とをパラメータとして、テーブル値としてメモリM1に記憶されている。つまり、圧力センサ35で検出された実際の差圧を、上記テーブルに照合することにより重み値が取得される。圧力センサ35で差圧が検出される毎に重み値が決定されて、決定された重み値が積算される。
また、本実施形態では、故障判定のしきい値を無次元化するために、圧力センサ35で検出された個々の差圧(個々の瞬時値)はそれぞれ、β線上の理論値で除される。そして、て、算出された除算値に対して上記重み値を乗算することにより「重み付け差圧」(重み付け差圧比)の形態で算出するようにしてある。そして、「重み付け差圧」を積算した積算値を、重み値の積算値で除することにより、差圧の移動平均値が算出される。この差圧移動平均値は、現状のGPF33が、β線で示されるGPF欠落品との離間度合い(換言すれば接近度合い)を無次元の数値で示すことになる。具体的には、故障判定のために差圧移動平均値が比較される判定しきい値を、無次元の値である「1」としたときは、現状のGPF33がβ線で示されるGPF欠落品と同程度に劣化したことを示すものとなる。
なお、故障判定のしきい値を圧力値として用いるときは、圧力センサ35で検出された個々の差圧(個々の瞬時値)に対して、直接重み値を乗算した値を重み付け差圧として用いればよい。上述のように本発明では、重み付け差圧は、圧力センサ35で検出された個々の差圧値をβ線上の理論値で除することにより無次元化した場合と、β線上の理論値で除することのない圧力値との両方の場合を含むものである。
重み値の積算値があらかじめて所定値に達したときに、故障判定が行われる。故障判定の際には、上記差圧の移動平均値が、あらかじめ設定された所定のしきい値と比較される。そして、差圧の移動平均値が所定のしきい値(>1)未満であれば、GPF33が故障していると判定される(第1の故障判定)。また、差圧の移動平均値が1以下であれば、GPF33の欠落(故障)であると判定される(第2の故障判定)。差圧の移動平均値が上記所定のしきい値以上であれば、GPF33が正常であると判定される。重み値の積算値は、所定値に達した後に、次の故障判定に備えてリセットされる。
故障判定のタイミング、つまり差圧移動平均値が所定のしきい値と比較されるタイミングは、前述した重み値の積算値が所定値以上になった時点(実施形態では重み値が「1」以上になった時点)とされる。つまり、十分に信頼性の高くなった(S/N比の高い)差圧の移動平均値が取得された時点で、故障判定が行われる。
ここで、圧力センサ35で検出される差圧は、燃料カットによって大きな影響を受けることになる。すなわち、燃料カットに伴う排気ガス中の酸素濃度増大によって、GPF33が自然再生されて、圧力センサ35で検出される差圧が小さくなり、GPF33が故障であると誤判定されてしまう事態を生じやすいものとなる。このため、本発明では、燃料カットが行われたときは、重み値の積算値および重み付け差圧の積算値をそれぞれ低下させるようにしてある。
上記積算値の低下は、基本的に、積算値をリセット(0にする)ことにより行うようにしてある。一方、燃料カットに伴って圧力センサ35で検出される差圧の低下(つまり自然再生の度合い)は、温度センサ38で検出されるGPF33の温度が高いほど大きくなる。このため、積算値の低下に際しては、積算値のリセットは、GPF33の温度が所定温度(例えば700℃)以上の高温時であるときに行う一方、GPF33の温度が上記所定温度未満のときは、積算値の低下を制限する(実施形態では積算値をホールドする)ようにしてある。
図11は、上述した燃料カットに伴う積算値の低下を行う制御例を示すタイムチャートであり、以下このタイムチャートについて説明する。なお、図11中、異常判定フラグは、立ち上がった状態が故障であると判定されたことを示す。
まず、t1時点よりも前の時点では、GPF33が正常であると判定されている状態であり、GPF33の温度が所定温度以上の高温状態である。重み値が徐々に増大されていき、また差圧の移動平均値が判定しきい値(実施形態では「1」)よりも大きい値とされている。
t1時点で燃料カットが開始されて、t3時点で燃料カットが終了される。燃料カットに伴って、差圧の移動平均値が判定しきい値を下回る状態となる。従来は、重み値の積算値がそのまま更新(上昇)されるため、燃料カットが行われている最中となるt2時点で重み値が所定値(実施形態では「1」)に到達する。これにより、従来は、t2時点でGPF33が故障であると誤判定することになっていた。
本発明では、燃料カットが開始されたt1時点で、重み値の積算値がリセットされる(これに伴って差圧の移動平均値値もリセットされる)ことから、t2時点ではGPFが故障していると誤判定することはない。
t3時点で再び積算値の更新(上昇)が開始される。t4時点で再度の燃料カットが行われるが、その前の時点でGPF33の温度が所定温度未満に低下されている状態となっている。このため、燃料カットに伴う重み値の積算値の低下が制限されて、重み値の積算値が現状の値にホールドされる。
再度の燃料カットが終了したt5時点から、重み値の積算値が更新(上昇)されて、t6時点で、重み値の積算値が所定値に到達し、このときに差圧の移動平均値値が判定しきい値よりも小さくなっている。これにより、t6時点でGPF33が故障であると正常に判定される。なお、故障判定の結果は、次の故障判定で異なる判定結果とならない限り、前回の判定結果がそのまま保持されるようになっている。
故障判定のしきい値を、差圧の移動平均値に対して1よりも大きい所定のしきい値とすることにより、GPF33が欠落していないが損傷がひどくなった故障状態であると判定することができる。なお、無次元化された差圧の移動平均値=1のときが、圧力値で示した場合の差圧差=0であるときと置換して捉えることができる。
図12は、コントローラUによって行われる故障判定の制御例を示すフローチャートである。以下、このフローチャートについて説明する。なお、図12の例では、差圧の積算値と差圧移動平均値とは、無次元化することなく、圧力センサ35で検出された差圧をそのまま用いる場合を示してある。
まず、Q31において、故障判定の実行条件が成立しているか否かが判別される。この実行条件としては、例えば次の条件を全て満足しているときとされる。大気圧が所定の範囲内であること。エンジン冷却水温度が所定の温度範囲であること(特に低温時でないこと)。外気温度が所定範囲内にあること。エンジン回転数に大きな変動がないこと。エンジンが完爆しているいこと。停車時でないこと。排気絞り弁36の開度が所定開度以下でないこと(所定開度よりも大きい開度であること)。圧力センサ35等の各種センサに異常がないこと。なお、実施形態では、上述の故障判定の実行条件の成立有無は別ルーチンで実行されて、Q31では別ルーチンでの処理結果を入力しているものである。
Q32では、Q31での判定の結果が、実行条件成立であるか否かが判別される。このQ32の判別でNOのときは、Q31に戻る(故障判定なし)。
Q32の判別でYESのときは、Q33において、圧力センサ35で検出された今回の差圧△P(瞬時値である)に基づいて、重み値mが決定される。この後、Q34において、決定された重み値mが前回の重み値に加算されて、積算値INT・mが算出される(積算値は一時的にメモリM1に記憶される)。
Q35では、圧力センサ35での今回の検出値△Pに対してその重み値mを乗算してなる重み付け差圧m×△P算出して、算出された値を前回値に加算してその積算値INT・m△Pが算出される(積算値は一時的にメモリM1に記憶される)。この後、Q36において、積算値INT・m△Pを重み値の積算値INT・mで除することにより、差圧の移動平均値AV△Pが算出される。
Q36の後、Q37において、燃料カット時であるか否かが判別される。このQ37の判別でNOのときは、Q38において、重み値の積算値INT・mが所定値よりも大きいか否かが判別される。当初は、Q38の判別でNOとなり、このときはQ31に戻る(Q33~Q36での処理が継続)。
上記Q38の判別でYESとなると、Q39において、差圧の移動平均値AV△Pが判定しきい値よりも小さいか否かが判別される。このQ39の判別でYESのときは、Q40において、GPF33が故障であると判定される。Q40では、合わせて、所定のフェイルセールの制御が実行される。このフェイルセーフの制御は、例えば、EGR弁42を閉弁して、外部EGRの禁止とされる(故障したGPF33を通り抜けた煤が吸気通路20へ環流される事態を確実に防止)。また、フェイルセーフの制御では、ワーニングランプS11を点灯(あるいは点滅)させる。フェイルセーフの制御では、この他、GPF33が故障しているので(故障している可能性があるので)、早期の保守点検を促す旨の報知がディスプレイでの表示や音声によって行うのが好ましい。
上記Q39の判別でNOのときは、Q41において、正常判定が行われる。このとき、前回の判定が故障判定である場合は、フェイルセーフの制御が解除される。
前記Q37の判別でYESのときは、Q32において、温度センサ38で検出されるGPF33の温度が所定温度以上の高温時であるか否かが判別される。このQ32の判別でYESのときは、Q33において、重み値の積算値と重み付け差圧の積算値とがそれぞれリセットされる(図11のt1時点対応)。また、Q32の判別でNOのときは、Q34において、重み値の積算値が現状の値の一定値としてホールドされる(図11のt4~t5の間の状態に対応)。
Q33を経たときは、Q37の判別でNOとなっても、Q38の判別でNOとなって、重み値の積算値および重み付け差圧の積算値がそれぞれ0から更新されていくことになる。また、Q34を経たときは、Q37の判別でNOとなっても、Q38の判別でNOとなって、当初にホールドされた一定値から重み値の積算値が更新されていくので、Q33を経た場合に比して早期にQ38の判別でYESとなる状態へと移行されることになる。
ここで、Q36の差圧の移動平均値の算出は、Q38の判別でYESとなった直後に行うこともできる(算出回数の低減)。また、Q40に移行して故障であると判定された回数が、連続して所定回数以上であるとき(例えば5回以上)は、その後の故障診断を行うことなく、故障であると判定されたままとすることもできる。
なお、図12において、Q33が重み値決定手段に対応し、Q34が重み値積算手段に対応し、Q35が重み付け差圧の算出手段とその積算手段に対応し、Q36が差圧の移動平均値算出手段に対応する。また、Q33が積算値の低下を行う積算制限手段に対応し、Q34が、Q33での低下を制限する低下制限手段に対応する。
以上実施形態について説明したが、本発明は、実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載された範囲において適宜の変更が可能である。
(1)重み値の積算値の低下や重み付け差圧の積算値の低下は、ガソリンエンジンが所定の運転状態であることを条件として行うこともできる。この所定の運転状態としては、例えば、空気過剰率λ=1以下のリッチ条件で、かつ少なくとも燃焼の後行程で圧縮自己着火が行われる運転状態であるとき、とすることができる。
(2)エンジンが、空気過剰率λ=1以下とされるリッチ運転とλ=1よりも大きいリーン運転との間で切替え可能とされる場合に、リッチ運転からリーン運転に切替えられたときは、燃料カットの有無にかかわらず、重み値の積算値と重み付け差圧の積算値とをリセットするようにしてもよい。
(3)判定しきい値を、GPF33の温度が高いほど、異常と判定されにくい方向の値に変更するようにしてもよい。また、判定しきい値を、GPF33への煤の堆積量が多いほど、異常と判定されにくい方向の値に変更するようにしてもよい。
(4)異常判定は、GPF33への煤の堆積量が多くなり過ぎた場合とすることもでき、この場合の判定しきい値は、穴あき故障を判定する判定しきい値よりも大きい値とされる。
(5)エンジンは、圧縮自己着火を行わないで、火花点火による着火のみを行うものであってもよい。エンジンはディーゼルエンジンであってもよい(パティキュレートフィルタがDPFとされる)。
(6)GPF33の再生は、GPF33の温度(入り口温度)が、所定温度(例えば600℃)以上の高温状態で行うことになる。このとき、GPF再生時における減速時の燃料カットを禁止する領域を、例えば、煤の堆積量が多くなるほど、GPF33の温度(入り口温度)が低くなる方向へと拡大するように設定することもできる。
(7)排気絞り弁36の開度は、図9に示すようにエンジン回転数に応じて変更する場合に限らず、エンジン負荷に応じて変更するようにしてもよい。この場合、排気絞り弁が閉弁方向へ作動される際に、エンジン低負荷時よりもエンジン高負荷時の方が開度大とされるようにするのが好ましい。また、排気絞り弁36の開度を、エンジン回転数とエンジン負荷の両方をパラメータとして決定することもできる。
(8)フローチャートに示す各ステップあるいはステップ群は、その機能を示す名称に手段の文字を付して、コントローラUの有する機能手段として表現することができる。本発明の目的は、明記されたものに限らず、実質的に好ましいあるいは利点として表現されたものを提供することをも暗黙的に含むものである。
本発明は、パティキュレートフィルタを有する車両に適用して好適である。
E:エンジン
U:コントローラ
S1:センサ(エンジン回転数)
S2:センサ(アクセル開度)
S3:センサ(冷却水温度)
S11:ワーニングランプ
33:GPF(パティキュレートフィルタ)
5:燃焼室
10:点火プラグ
11:燃料噴射弁
30:排気通路
35:圧力センサ(差圧検出用)
36:排気絞り弁
37:流量センサ
38:温度センサ

Claims (9)

  1. エンジンの排気通路に配設されたパティキュレートフィルタの上流と下流との差圧を検出する第1ステップと、
    前記第1ステップで検出された差圧について、排気ガス流量が大きいほど重み値が大きい値となるように設定された重み特性から重み値を決定する第2ステップと、
    前記第1ステップで検出された差圧について、前記第2ステップで決定された重み値でもって重み付けした重み付け差圧を算出する第3ステップと、
    前記第2ステップで決定された重み値を積算して重み値の積算値を算出する第4ステップと、
    前記第3ステップで算出された重み付け差圧を積算して重み付け差圧の積算値を算出する第5ステップと、
    前記重み付け差圧の積算値の移動平均値を算出する第6ステップと、
    前記第4ステップで算出された重み値の積算値があらかじめ設定された所定値以上になったとき、前記第6ステップで算出された移動平均値をあらかじめ設定された判定しきい値と比較して、前記パティキュレートフィルタの異常の有無を判定する第7ステップと、
    燃料カットが実行されたときに、前記第4ステップでの重み値の積算値と前記第5ステップでの重み付け差圧の積算値とをそれぞれ低下させる第8ステップと、
    を備えていることを特徴とするパティキュレートフィルタの異常判定方法。
  2. 請求項1において、
    前記第8ステップでは、重み値の積算値と重み付け差圧の積算値とをそれぞれリセットする、ことを特徴とするパティキュレートフィルタの異常判定方法。
  3. 請求項2において、
    前記第8ステップでは、前記パティキュレートフィルタの温度があらかじめ設定された所定温度以上であることを条件として前記リセットが実行され、該パティキュレートフィルタの温度が該所定温度未満のときは該リセットが制限される、ことを特徴とするパティキュレートフィルタの異常判定方法。
  4. 請求項3において、
    前記第8ステップにおける前記リセットの制限が、重み値の積算値と重み付け差圧の積算値とをそれぞれホールドすることにより行われる、ことを特徴とするパティキュレートフィルタの異常判定方法。
  5. 請求項1ないし請求項4のいずれか1項において、
    前記エンジンが、ガソリンを燃料とするガソリンエンジンとされ、
    前記第8ステップにおける重み値の積算値の低下と重み付け差圧の積算値の低下とが、前記エンジンが空気過剰率λ=1以下のリッチ条件でかつ少なくとも燃焼の後行程で圧縮自己着火が行われる運転状態であることを条件に実行される、ことを特徴とするパティキュレートフィルタの異常判定方法。
  6. 請求項5において
    前記エンジンが、空気過剰率λ=1以下とされるリッチ運転とλ=1よりも大きいリーン運転との間で切替え可能とされ、
    前記エンジンが前記リッチ運転から前記リーン運転に切替えられたときは、燃料カットの有無にかかわらず、重み値の積算値と重み付け差圧の積算値とがリセットされる、
    ことを特徴とするパティキュレートフィルタの異常判定方法。
  7. 請求項1ないし請求項6のいずれか1項において、
    前記判定しきい値が、前記パティキュレートフィルタの温度が高いほど、異常と判定されにくい方向の値に変更される、ことを特徴とするパティキュレートフィルタの異常判定方法。
  8. 請求項1ないし請求項7のいずれか1項において、
    前記判定しきい値が、前記パティキュレートフィルタへの煤の堆積量が多いほど、異常と判定されにくい方向の値に変更される、ことを特徴とするパティキュレートフィルタの異常判定方法。
  9. エンジンの排気通路に配設されたパティキュレートフィルタの異常判定装置であって、
    前記パティキュレートフィルタの上流と下流との差圧を検出する差圧検出手段と、
    前記差圧検出手段で検出された差圧について、排気ガス流量が大きいほど重み値が大きい値となるように設定された重み特性から重み値を決定する重み値決定手段と、
    前記差圧検出手段で検出された差圧について、前記重み値決定手段で決定された重み値でもって重み付けした重み付け差圧を算出する重み付け差圧算出手段と、
    前記重み値決定手段で決定された重み値を積算して、重み値の積算値を算出する重み値積算手段と、
    前記重み付け差圧算出手段で算出された重み付け差圧を積算して、重み付け差圧の積算値を算出する重み付け差圧積算手段と、
    前記重み付け差圧の積算値の移動平均値を算出する移動平均値算出手段と、
    前記重み値の積算値があらかじめ設定された所定値以上になったとき、前記移動平均値をあらかじめ設定された判定しきい値と比較して、前記パティキュレートフィルタの異常の有無を判定する判定手段と、
    燃料カットが実行されたときに、前記重み値積算手段による重み値の積算値と前記重み付け差圧積算手段による重み付け差圧の積算値とを低下させる積算制限手段と、
    を備えていることを特徴とするパティキュレートフィルタの異常判定装置。
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