JP2009036025A - 内燃機関の排気浄化装置及び粒子状物質排出量推定方法 - Google Patents

内燃機関の排気浄化装置及び粒子状物質排出量推定方法 Download PDF

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Abstract

【課題】可変容量ターボチャージャの駆動を通じての過給圧の制御が行われる内燃機関において、同機関のPM排出量を正確に推定する。
【解決手段】内燃機関10から排出されるPMの量の推定値であるPM排出量PMeとしては、機関定常運転時のPM排出量である基準排出量PMebaseに対し、過給圧偏差比Pr/Pb及び吸入空気量偏差比Ar/Abに基づき求められる第1補正係数K1等による補正を加えた値が採用される。機関過渡運転時には、過給圧Pr及び吸入空気量Arがそれらの応答遅れに起因してそのときの機関運転状態で定常運転を行った場合の値(ベース過給圧Pb及びベース吸入空気量Ab)に対しずれた値になる。そして、そのずれ分だけ基準排出量PMebaseが内燃機関10のPM排出量に対応する値として不適切な値になる。しかし、こうしたことは第1補正係数K1に基づく基準排出量PMebaseの補正によって抑制される。
【選択図】図1

Description

本発明は、内燃機関の排気浄化装置、及び粒子状物質排出量推定方法に関する。
従来より、車載用ディーゼルエンジン等の内燃機関に適用される排気浄化装置として、排気系に煤を主成分とする粒子状物質(PM:Particulate Matter)を捕集するフィルタを設けたものが知られている。こうした排気浄化装置では、フィルタにPMの堆積による目詰まりが生じ、それに起因してフィルタにおけるPMの捕集能力が低下したり機関出力が低下したりするおそれがある。このため、内燃機関からのPM排出量を推定し、そのPM排出量等に基づき求められるフィルタでのPM堆積量が許容上限値まで上昇すると、同フィルタに堆積したPMを燃焼させて同フィルタの目詰まりを解消するフィルタ再生制御が実施される。
フィルタ再生制御を適切に実施するためには、フィルタでのPM堆積量に影響を及ぼす内燃機関からのPM排出量を正確に推定することが重要である。PM排出量の推定方法としては、例えば特許文献1に示される方法を採用することが考えられる。すなわち、機関運転状態に基づき定常運転時のPM排出量である基準排出量を算出し、その基準排出量に対し同機関の吸入空気量における機関定常運転時の値に対する偏差に基づく補正を加え、その補正後の値をPM排出量の推定値とする。このようにPM排出量の推定を行うことで、機関過渡運転時など実際の吸入空気量がそのときの機関運転状態で定常運転を行った場合の値からずれるようなときでも、推定されたPM排出量を正確な値とすることが可能になる。
特開2005−256725公報(段落[0009]、[0010]、[0097]、[0099]〜[0101]、[0113]、[0114]、図5)
上述したPM排出量の推定により、機関過渡運転時等において、推定されたPM排出量を正確な値とすることが図られるようにはなる。
しかし、可変容量ターボチャージャの設けられた内燃機関においては、可変容量ターボチャージャの駆動を通じて過給圧が制御されることに関係して、推定されるPM堆積量が不正確になるおそれのあることが確認された。これは、内燃機関のPM排出量に関しては、吸入空気量の多少から影響を受けるだけでなく、過給圧の大小に応じて内燃機関の吸入空気の酸素密度が変化することからも影響を受けるためと推測される。
推定されるPM排出量が上記のように不正確になると、それに基づき求められるフィルタでのPM堆積量も不正確になり、同PM堆積量に基づき実施されるフィルタ再生制御を適切なタイミングで実施することができないという不具合に繋がることともなる。
本発明はこのような実情に鑑みてなされたものであって、その目的は、可変容量ターボチャージャの駆動を通じての過給圧の制御が行われる内燃機関において、同機関のPM排出量を正確に推定することのできる内燃機関の排気浄化装置、及び粒子状物質排出量推定方法を提供することにある。
以下、上記目的を達成するための手段及びその作用効果について記載する。
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明では、可変容量ターボチャージャの設けられた内燃機関の排気浄化装置であって、同機関の排気系に設けられて排気中の粒子状物質を捕集するフィルタと、機関定常運転時の粒子状物質の排出量である基準排出量を同機関の吸入空気量における機関定常時の値に対する偏差に基づき補正して内燃機関からの粒子状物質の排出量とするPM排出量推定手段とを備え、その排出量を用いて求められる前記フィルタでの粒子状物質の堆積量に基づき同フィルタに堆積した前記粒子状物質を除去するためのフィルタ再生制御を実施する内燃機関の排気浄化装置において、前記PM排出量推定手段は、前記基準排出量を内燃機関の過給圧が高いほど減量側に大きく補正し、同過給圧が低いほど増量側に大きく補正するものとした。
上記構成によれば、可変容量ターボチャージャの駆動に基づき内燃機関の過給圧が変化する。ここで、内燃機関からの粒子状物質の排出量(PM排出量)に関しては、過給圧が高くなって内燃機関の吸入空気における酸素密度が大となるほどそれに起因して減量してゆき、逆に過給圧が低くなって上記吸入空気の酸素密度が小となるほどそれに起因して増加してゆく。こうした過給圧の変化に基づくPM排出量の変化に対応して、基準排出量が過給圧に基づき増減補正されるため、推定されるPM排出量が過給圧の大小から影響を受けて不正確な値となることを抑制できる。
請求項2発明では、請求項1記載の発明において、前記可変容量ターボチャージャは、機関運転状態に基づき定められる目標過給圧に向けて内燃機関の過給圧を変化させるよう駆動制御されるものであり、前記PM排出量推定手段は、内燃機関の過給圧における機関定常時の値に対する比率を表す過給圧偏差比を求め、その過給圧偏差比が大となるほど前記基準排出量を減量側に大きく補正し、前記過給圧偏差比が小となるほど前記基準排出量を増量側に大きく補正するものであることを要旨とした。
内燃機関の過渡運転時には、機関運転状態の変化に伴い目標過給圧が変化し、その目標過給圧に追従して同機関の過給圧を変化させるべく可変容量ターボチャージャの駆動制御が行われる。ここで、機関過渡運転時において、内燃機関の過給圧がそのときの機関運転状態で定常運転を行った場合の値と同じであれば、機関定常運転時のPM排出量として算出される基準排出量が過渡運転時の上記過給圧からの影響により不適切な値になることはない。しかし、機関過渡運転時には、目標過給圧の変化に対する過給圧の応答遅れ等に起因して、同過給圧がそのときの機関運転状態で定常運転を行った場合の値に対しずれた値となることから、そのずれ分だけ上記基準排出量が不適切な値となることは避けられない。
上記構成によれば、過給圧偏差比に基づく基準排出量の補正により、上述したように基準排出量が不適切な値となることが抑制される。
具体的には、機関過渡運転時における過給圧がそのときの機関運転状態で定常運転を行った場合の値よりも高いときには、過給圧が高くなって上記過給圧偏差比が大となるほど、機関定常運転時のPM排出量として算出される基準排出量が減量側に大きく補正される。過給圧が上述したように高くなるということは、内燃機関の吸入空気における酸素密度が大となって同機関のPM排出量が少なくなることを意味する。従って、上述した基準排出量の減量補正を通じて、機関過渡運転時の過給圧の影響を受けて基準排出量が不適切な値となることは的確に抑制される。
また、機関過渡運転時における過給圧がそのときの機関運転状態で定常運転を行った場合の値よりも低いときには、過給圧が低くなって上記過給圧偏差比が小となるほど、機関定常運転時のPM排出量として算出される基準排出量が増量側に大きく補正される。過給圧が上述したように低くなるということは、内燃機関の吸入空気における酸素密度が小となって同機関のPM排出量が多くなることを意味する。従って、上述した基準排出量の増量補正を通じて、機関過渡運転時の過給圧の影響を受けて基準排出量が不適切な値となることは的確に抑制される。
請求項3記載の発明では、請求項2記載の発明において、前記PM排出量推定手段は、内燃機関の過給圧における標準大気状態のもとでの機関定常時の値に対する比率を前記過給圧偏差比として求めるものであり、前記目標過給圧は、標準大気状態のもとでの機関定常運転時に適した過給圧として算出されるベース過給圧に対し大気状態に基づく環境補正を加えた値であり、前記基準排出量は、標準大気状態のもとでの機関定常運転時における粒子状物質の排出量であることを要旨とした。
内燃機関のPM排出量は、内燃機関の吸入空気の酸素密度に影響を及ぼす大気状態によっても変わってくる。上記構成によれば、内燃機関の過給圧は、標準大気状態に対する実際の大気状態の違いを加味して設定される目標過給圧に向けて調整されるため、その目標過給圧に向けて調整される過給圧も標準大気状態に対する実際の大気状態の違いを加味した値となる。従って、過給圧偏差比が標準大気状態に対する実際の大気状態の違いを加味した値となり、その過給圧偏差比に基づき基準排出量を補正することで、その基準排出量が大気状態の影響を受けて不適切な値となることは抑制される。
請求項4記載の発明では、請求項1〜3のいずれか一項に記載の発明において、前記内燃機関は、その排気の一部を同機関の吸気通路に流して再循環させるEGR機構を備えるものであり、前記PM排出量推定手段は、前記吸気通路内における前記EGR機構を通じて排気の流入される部分よりも下流側のガス温度に基づき、そのガス温度が高いほど前記基準排出量を増量側に大きく補正し、同ガス温度が低いほど前記基準排出量を減量側に大きく補正することを要旨とした。
上記構成によれば、EGR機構を通じて吸気通路に流される排気の温度に基づき、吸気通路におけるEGR機構を通じて排気の流入される部分よりも下流側のガス温度が変化し、それに合わせて内燃機関の吸入空気の温度も変化する。ここで、内燃機関のPM排出量に関しては、上記ガス温度の上昇に伴い内燃機関の吸入空気の温度が上昇して同吸入空気の酸素密度が低くなるほどそれに起因して増量してゆき、上記ガス温度の低下に伴い内燃機関の吸入温度が低下して同吸入空気の酸素密度が高くなるほどそれに起因して減量してゆく。こうした上記ガス温度の変化に基づくPM排出量の変化に対応して、基準排出量が上記ガス温度に基づき増減補正されるため、推定されるPM排出量が上記ガス温度(EGR機構を通じて吸気通路に流される排気の温度等)から影響を受けて不正確な値になることを抑制できる。
請求項5記載の発明では、請求項1〜4のいずれか一項に記載の発明において、前記PM排出量推定手段は、内燃機関の吸入空気量における標準大気状態のもとでの機関定常時の値に対する比率を表す吸入空気量偏差比を求め、その吸入空気量偏差比が大となるほど前記基準排出量を減量側に大きく補正し、前記吸入空気量偏差比が小となるほど前記基準排出量を増量側に大きく補正するものであり、前記内燃機関の吸入空気量は、目標吸入空気量に向けて変化するよう調整されるものであり、前記目標吸入空気量は、標準大気状態のもとでの機関定常運転時に適した吸入空気量として算出されるベース吸入空気量に対し大気状態に基づく環境補正を加えた値であり、前記基準排出量は、標準大気状態のもとでの機関定常運転時における粒子状物質の排出量であることを要旨とした。
内燃機関のPM排出量は、内燃機関の吸入空気の酸素密度に影響を及ぼす大気状態によっても変わってくる。上記構成によれば、内燃機関の吸入空気量は、標準大気状態に対する実際の大気状態の違いを加味して設定される目標吸入空気量に向けて調整されるため、その目標吸入空気量に向けて調整される吸入空気量も標準待機状態に対する実際の大気状態の違いを加味した値となる。従って、吸入空気量偏差比が標準大気状態に対する実際の吸入空気量の違いを加味した値となり、その吸入空気量偏差比に基づき基準排出量を補正することで、その基準排出量が大気状態の影響を受けて不適切な値となることは抑制される。
請求項6記載の発明では、可変容量ターボチャージャの設けられた内燃機関からの粒子状物質の排出量を推定する粒子状物質排出量推定方法であって、機関定常運転時の粒子状物質の排出量である基準排出量を算出する処理と、同機関の吸入空気量における機関定常時の値に対する比率を表す吸入空気量偏差比を算出する処理と、同機関の過給圧における機関定常時の値に対する比率を表す過給圧偏差比を算出処理と、前記吸入空気量偏差比が大となるほど前記基準排出量を減量側に大きく補正し、同吸入空気量偏差比が小となるほど前記基準排出量を増量側に大きく補正するとともに、前記過給圧偏差比が大となるほど前記基準排出量を増量側に大きく補正し、同過給圧偏差比が小となるほど前記基準排出量を減少側に大きく補正する処理と、を実施し、前記基準排出量を前記吸入空気量偏差比及び前記過給圧偏差比に基づき補正した後の値を内燃機関の粒子状物質排出量の推定値とした。
内燃機関の過渡運転時において、可変容量ターボチャージャの駆動を通じて可変とされる内燃機関の過給圧がそのときの機関運転状態で定常運転を行った場合の値と同じであれば、更に内燃機関の吸入空気量がそのときの機関運転状態で定常運転を行った場合の値と同じであれば、機関定常運転時の粒子状物質の排出量(PM排出量)として算出される基準排出量が、過渡運転時の上記過給圧及び上記吸入空気量からの影響により不適切な値になることはない。しかし、機関過渡運転時には、過給圧及び吸入空気量の応答遅れ等に起因して、過給圧及び吸入空気量がそのときの機関運転状態で定常運転を行った場合の各々の値に対しずれた値となることから、それらのずれ分だけ上記基準排出量が不適切な値となることは避けられない。
上記方法によれば、吸入空気量偏差比及び過給圧偏差比に基づく基準排出量の補正により、上述したように基準排出量が不適切な値となることが抑制される。
具体的には、機関過渡運転時における吸入空気量がそのときの機関運転状態で定常運転を行った場合の値よりも多いときには、吸入空気量が多くなって上記吸入空気偏差比が大となるほど、機関定常運転時のPM排出量として算出される基準排出量が減量側に大きく補正される。吸入空気量が上述したように多くなるということは、内燃機関の吸入空気に含まれる酸素の量が多くなって同機関のPM排出量が少なくなることを意味する。従って、上述した基準排出量の減量補正を通じて、機関過渡運転時の吸入空気量の影響を受けて基準排出量が不適切な値となることは的確に抑制される。
また、機関過渡運転時における吸入空気量がそのときの機関運転状態で定常運転を行った場合の値よりも少ないときには、吸入空気量が少なくなって上記吸入空気量偏差比が小となるほど、機関定常運転時のPM排出量として算出される基準排出量が増量側に大きく補正される。吸入空気量が上述したように少なくなるということは、内燃機関の吸入空気に含まれる酸素の量が少なくなって同機関のPM排出量が多くなることを意味する。従って、上述した基準排出量の増量補正を通じて、機関過渡運転時の吸入空気量の影響を受けて基準排出量が不適切な値となることは的確に抑制される。
一方、機関過渡運転時における過給圧がそのときの機関運転状態で定常運転を行った場合の値よりも高いときには、過給圧が高くなって上記過給圧偏差比が大となるほど、機関定常運転時のPM排出量として算出される基準排出量が減量側に大きく補正される。過給圧が上述したように高くなるということは、内燃機関の吸入空気における酸素密度が大となって同機関のPM排出量が少なくなることを意味する。従って、上述した基準排出量の減量補正を通じて、機関過渡運転時の過給圧の影響を受けて基準排出量が不適切な値となることは的確に抑制される。
また、機関過渡運転時における過給圧がそのときの機関運転状態で定常運転を行った場合の値よりも低いときには、過給圧が低くなって上記過給圧偏差比が小となるほど、機関定常運転時のPM排出量として算出される基準排出量が増量側に大きく補正される。過給圧が上述したように低くなるということは、内燃機関の吸入空気における酸素密度が小となって同機関のPM排出量が多くなることを意味する。従って、上述した基準排出量の増量補正を通じて、機関過渡運転時の過給圧の影響を受けて基準排出量が不適切な値となることは的確に抑制される。
請求項7記載の発明では、請求項6記載の粒子状物質排出量推定方法において、内燃機関の吸気通路内におけるEGR機構を通じて排気の流入される部分よりも下流側のガス温度に基づき、そのガス温度が高いほど前記基準排出量を増量側に大きく補正し、同ガス温度が低いほど前記基準排出量を減量側に大きく補正する処理を実施することを要旨とした。
吸気通路におけるEGR機構を通じて排気の流入される部分よりも下流側のガス温度は上記排気の温度に基づき変化し、それに合わせて内燃機関の吸入空気の温度も変化する。ここで、内燃機関のPM排出量に関しては、上記ガス温度の上昇に伴い内燃機関の吸入空気の温度が上昇して同吸入空気の酸素密度が低くなるほどそれに起因して増量してゆき、上記ガス温度の低下に伴い内燃機関の吸入空気の温度が低下して同吸入空気の酸素密度が高くなるほどそれに起因して減量してゆく。上記方法によれば、こうしたガス温度の変化に基づくPM排出量の変化に対応して、基準排出量が上記ガス温度に基づき増減補正されるため、推定されるPM排出量が上記ガス温度(EGR機構を通じて吸気通路に流される排気の温度等)から影響を受けて不正確な値になることを抑制できる。
以下、本発明を自動車用の内燃機関に適用した一実施形態を図1〜図6に従って説明する。
図1は、本実施形態の制御装置が適用される内燃機関10の構成を示している。この内燃機関10は、コモンレール方式の燃料噴射装置、及び可変容量ターボチャージャ11を備えるディーゼル機関となっており、大きくは吸気通路12、燃焼室13、及び排気通路14を備えて構成されている。
内燃機関10の吸気系を構成する吸気通路12には、その最上流部に配設されたエアクリーナ15から下流側に向けて順に、エアフローメータ16、上記可変容量ターボチャージャ11のコンプレッサ17、インタークーラ18、及び吸気絞り弁19が配設されている。吸気通路12における吸気絞り弁19の下流側には、同通路12内の圧力を検出する圧力センサ57、及び同通路12内のガス温度を検出する温度センサ58が設けられている。また吸気通路12は、吸気絞り弁19の下流側に設けられた吸気マニホールド20において分岐され、吸気ポート21を介して内燃機関10の各気筒の燃焼室13に接続されている。
一方、内燃機関10の排気系を構成する排気通路14では、各気筒の燃焼室13にそれぞれ接続された排気ポート22が排気マニホールド23を介して上記可変容量ターボチャージャ11の排気タービン24に接続されている。この可変容量ターボチャージャ11は、排気タービン24に吹き付けられる排気の流速を可変ノズル24aの動作により変化させて同ターボチャージャ11の回転速度を調整することで、吸気通路12内の圧力(過給圧)を可変とするものである。また排気通路14の排気タービン24下流には、上流側から順に、NOx触媒コンバータ25、PMフィルタ26、酸化触媒コンバータ27が配設されている。
NOx触媒コンバータ25には、吸蔵還元型のNOx触媒が担持されている。このNOx触媒は、排気の酸素濃度が高いときに排気中のNOxを吸蔵し、排気の酸素濃度が低いときにその吸蔵したNOxを放出する。またNOx触媒は、上記NOx放出時に、還元剤となる未燃燃料成分がその周囲に十分存在していれば、その放出されたNOxを還元して浄化する。
PMフィルタ26は、多孔質材料によって形成されており、排気中の煤を主成分とする粒子状物質(PM:Particulate Matter)が捕集されるようになっている。このPMフィルタ26にも、上記NOx触媒コンバータ25と同様に、吸蔵還元型のNOx触媒が担持されており、排気中のNOxの浄化が行われるようになっている。またこのNOx触媒によって触発される反応により、上記捕集されたPMが燃焼(酸化)されて除去されるようにもなっている。
酸化触媒コンバータ27には、酸化触媒が担持されている。この酸化触媒は、排気中の炭化水素(HC)や一酸化炭素(CO)を酸化して浄化する。
なお排気通路14の上記PMフィルタ26の上流側及び下流側には、PMフィルタ26に流入する排気の温度である入ガス温度を検出する入ガス温度センサ28、及びPMフィルタ26通過後の排気の温度である出ガス温度を検出する出ガス温度センサ29がそれぞれ配設されている。また排気通路14には、上記PMフィルタ26の排気上流側とその排気下流側との差圧を検出する差圧センサ30が配設されている。更に排気通路14の上記NOx触媒コンバータ25の排気上流側、及び上記PMフィルタ26と上記酸化触媒コンバータ27との間には、排気中の酸素濃度を検出する2つの酸素センサ31、32がそれぞれ配設されている。
更にこの内燃機関10には、排気の一部を吸気通路12内の空気に再循環させる排気再循環(以下、EGRと記載する)機構が設けられている。EGR機構は、排気通路14と吸気通路12とを連通するEGR通路33を備えて構成されている。EGR通路33の最上流部は、排気通路14の上記排気タービン24の排気上流側に接続されている。EGR通路33には、その上流側から、再循環される排気を改質するEGR触媒34、その排気を冷却するEGRクーラ35、その排気の流量を調整するEGR弁36が配設されている。そしてEGR通路33の最下流部は、吸気通路12の上記吸気絞り弁19の下流側に接続されている。
一方、内燃機関10の各気筒の燃焼室13には、同燃焼室13内での燃焼に供される燃料を噴射するインジェクタ40がそれぞれ配設されている。各気筒のインジェクタ40は、高圧燃料供給管41を介してコモンレール42に接続されている。コモンレール42には、燃料ポンプ43を通じて高圧燃料が供給される。コモンレール42内の高圧燃料の圧力は、同コモンレール42に取り付けられたレール圧センサ44によって検出されるようになっている。更に燃料ポンプ43からは、低圧燃料供給管45を通じて、低圧燃料が添加弁46に供給されるようになっている。
こうした内燃機関10の各種制御は、電子制御装置50により実施されている。電子制御装置50は、機関制御に係る各種演算処理を実行するCPU、その制御に必要なプログラムやデータの記憶されたROM、CPUの演算結果等が一時記憶されるRAM、外部との間で信号を入・出力するための入・出力ポート等を備えて構成されている。
電子制御装置50の入力ポートには、上述した各センサに加え、次の各種センサが接続されている。すなわち、機関回転速度を検出するNEセンサ51、アクセル操作量を検出するアクセルセンサ52、吸気絞り弁19の開度を検出する絞り弁センサ53、同機関10の冷却水温を検出する水温センサ54、及びEGR弁36の開度を検出するリフトセンサ56等が上記入力ポートに接続されている。また電子制御装置50の出力ポートには、上記可変容量ターボチャージャ11の可変ノズル24a、吸気絞り弁19やEGR弁36、インジェクタ40、燃料ポンプ43、添加弁46等の駆動回路が接続されている。
電子制御装置50は、上記各センサから入力される検出信号より把握される機関運転状態に応じて、上記出力ポートに接続された各機器類の駆動回路に指令信号を出力する。こうして上記可変容量ターボチャージャ11による過給圧制御、上記吸気絞り弁19及び上記EGR弁36の開度制御に基づく吸入空気量制御及びEGR制御、上記インジェクタ40からの燃料噴射量、燃料噴射時期、及び燃料噴射圧の制御、並びに上記添加弁46からの燃料添加の制御等の各種制御が電子制御装置50により実施されている。
以下、上記燃料噴射量制御、過給圧制御、及び吸入空気量制御について、個別に詳しく説明する。
[燃料噴射量制御]
内燃機関10の燃料噴射量制御に関しては、アクセル踏込量及び機関回転速度などの機関運転状態に基づき噴射量指令値を設定し、その噴射量指令値に対応した量の燃料が噴射されるようインジェクタ40を駆動することによって実現される。従って、例えば加速のための機関過渡運転時などには、その加速要求を満たすために上記噴射量指令値が増量側の値へと変更される。このように噴射量指令値が増量側の値に変更されると、それに伴い燃料噴射量が増量して機関出力が高められ、上記加速要求が満たされるようになる。
[過給圧制御]
上記内燃機関10の過給圧制御では、可変容量ターボチャージャ11の可変ノズル24aを、機関運転状態に応じて設定された目標過給圧Ptに基づくフィードバック制御もしくはオープン制御を通じて動作させ、それによって内燃機関の過給圧を上記目標過給圧Ptに向けて調整することが行われる。上記目標過給圧Ptは、機関運転状態に基づき算出されるベース過給圧Pbに対し、大気圧補正項Ph1及び大気温度補正項Ph2等の大気状態に基づく環境補正項を加えた値である。すなわち、目標過給圧Ptは、次の式「Pt=Pb+Ph1+Ph2 …(1)」を用いて算出される。
ベース過給圧Pbは、標準大気状態(この実施形態では大気温度25度、大気圧1バスカル)での機関定常運転時であるとの想定のもと機関負荷及び機関回転速度に基づき、その機関運転状態での最適な過給圧に対応する値として算出される。なお、ここでの機関負荷としては例えば上記噴射量指令値が用いられ、機関回転速度としてはNEセンサ51からの検出値に基づき求められた値が用いられる。
大気圧補正項Ph1は、標準大気圧のときに「0」とされ、標準大気圧に対する大気圧の上昇に伴い「0」から徐々に小さい値へと変化してゆくとともに、標準大気圧に対する大気圧の低下に伴い「0」から徐々に大きい値へと変化してゆくよう算出される。これは、大気圧が標準大気圧よりも高くなるほど内燃機関10における吸入空気の酸素密度が大になることに対応して同機関10の過給圧を低下させるとともに、大気圧が標準大気圧よりも低くなるほど吸入空気の酸素密度が小となることに対応して同機関10の過給圧を上昇させるためである。このように大気圧に応じて内燃機関10の過給圧を増減させることで、同機関10での燃料の燃焼を大気圧からの影響を受けることなく良好に保つことができるようになる。なお、大気圧補正項Ph1の算出で用いられる大気圧としては、例えば機関始動開始直前に圧力センサ57に基づき検出される吸気通路12内の圧力を利用することが考えられる。
大気温度補正項Ph2は、標準大気温度のときに「0」とされ、標準大気温度に対する大気温度の上昇に伴い「0」から徐々に大きい値へと変化してゆくとともに、標準大気温度に対する大気温度の低下に伴い「0」から徐々に小さい値へと変化してゆくよう算出される。これは、大気温度が標準大気温度よりも高くなるほど内燃機関10における吸入空気の酸素密度が小になることに対応して同機関10の過給圧を上昇させるとともに、大気温度が標準大気温度よりも低くなるほど吸入空気の酸素密度が大となることに対応して同機関10の過給圧を低下させるためである。このように大気温度に応じて内燃機関10の過給圧を増減させることで、同機関10での燃料の燃焼を大気温度からの影響を受けることなく良好に保つことができるようになる。なお、大気温度補正項Ph2の算出で用いられる大気温度としては、例えば機関始動開始直前に温度センサ58に基づき検出される吸気通路12内の空気温度を利用することが考えられる。
[吸入空気量制御]
上記内燃機関10の吸入空気量制御では、EGR弁36及び吸気絞り弁19を機関運転状態に応じて設定された目標吸入空気量Atに基づくフィードバック制御を通じて動作させ、それによって内燃機関の吸入空気量Arを目標吸入空気量Atに近づけることが行われる。上記目標吸入空気量Atは、機関運転状態に基づき算出されるベース吸入空気量Abに対し、大気圧補正項Ah1及び大気温度補正項Ah2等に基づく補正を加えた値である。すなわち、目標吸入空気量Atは、次の式「At=Ab+Ah1+Ah2 …(2)」を用いて算出される。
ベース吸入空気量Abは、標準大気状態での機関定常運転時であるとの想定のもと機関負荷(噴射量指令値)及び機関回転速度に基づき、その機関運転状態での最適な吸入空気量に対応する値として算出される。
大気圧補正項Ah1は、標準大気圧のときに「0」とされ、標準大気圧に対する大気圧の上昇に伴い「0」から徐々に小さい値へと変化してゆくとともに、標準大気圧に対する大気圧の低下に伴い「0」から徐々に大きい値へと変化してゆくよう算出される。これは、大気圧が標準大気圧よりも高くなるほど内燃機関10における吸入空気の酸素密度が大になることに対応して同機関10の吸入空気量を減少させるとともに、大気圧が標準大気圧よりも低くなるほど吸入空気の酸素密度が小となることに対応して同機関10の吸入空気量を上昇させるためである。このように大気圧に応じて内燃機関10の吸入空気量を増減させることで、同機関10での燃料の燃焼を大気圧からの影響を受けることなく良好に保つことができるようになる。
大気温度補正項Ph2は、標準大気温度のときに「0」とされ、標準大気温度に対する大気温度の上昇に伴い「0」から徐々に大きい値へと変化してゆくとともに、標準大気温度に対する大気温度の低下に伴い「0」から徐々に小さい値へと変化してゆくよう算出される。これは、大気温度が標準大気温度よりも高くなるほど内燃機関10における吸入空気の酸素密度が小になることに対応して同機関10の吸入空気量を上昇させるとともに、大気温度が標準大気温度よりも低くなるほど吸入空気の酸素密度が大となることに対応して同機関10の吸入空気量を低下させるためである。このように大気温度に応じて内燃機関10の吸入空気量を増減させることで、同機関10での燃料の燃焼を大気温度からの影響を受けることなく良好に保つことができるようになる。
次に、PMフィルタ26でのPMによる目詰まりを防止すべく、同PMフィルタ26に堆積したPMを燃焼(酸化)させて浄化するフィルタ再生制御について説明する。
フィルタ再生制御に関しては、PMフィルタ26でのPM堆積量PMsが許容値以上になって同PMフィルタ26等での目詰まりの発生が確認されたことなど、各種条件の成立をもって開始される。フィルタ再生制御が開始されると、内燃機関の排気温度を上昇させつつ、添加弁46から排気通路14への燃料添加等によりNOx触媒コンバータ25やPMフィルタ26のNOx触媒に未燃燃料成分を供給することで、触媒床温を上記PMの燃焼に必要な値(例えば600〜700℃)まで上昇される。これにより、PMフィルタ26に堆積したPMが燃焼して除去される。そして、上記フィルタ再生制御の実行を通じて、PMフィルタ26でのPM堆積量PMsが(例えば「0」)まで減少すると、PMフィルタ26に堆積したPMの除去が完了した旨判断され、同フィルタ再生制御が終了される。
フィルタ再生制御の開始の判断基準となる上記PM堆積量PMsは、所定の計算周期をもって、次の式「(今回のPMs)←(前回のPMs)+PM排出量PMe−PM酸化量PMc …(3)」を用いた計算を実行することによって求められる。
なお、式(3)において、PM排出量PMeは前回のPM堆積量PMsの計算から今回のPM堆積量PMsの計算までの間に内燃機関10から排出されるPMの量の推定値であって、PM酸化量PMcは前回のPM堆積量PMsの計算から今回のPM堆積量PMsの計算までの間にPMフィルタ26から取り除かれるPMの量である。ちなみに、PM酸化量PMcは、実験等を通じて予め設定されたマップを参照して、PMフィルタ26のフィルタ温度、及び内燃機関10の吸入空気量に基づき求められる。
式(3)から分かるようにフィルタ再生制御の開始の判断基準となるPM堆積量PMsはPM排出量PMeから影響を受けるため、フィルタ再生制御を適切に実施するためには上記PM排出量PMeを正確に推定することが重要である。ここで、本実施形態におけるPM排出量PMeの推定方法について、PM排出量推定ルーチンを示す図2のフローチャートを参照して説明する。なお、PM排出量推定ルーチンは、電子制御装置50を通じて、例えば所定時間毎の時間割り込みにて周期的に実行される。
上記PM排出量PMeは、基準排出量PMebase、第1補正係数K1、及び第2補正係数K2に基づき、次の式「PMe=PMebase・K1・K2 …(4)」を用いて推定される。そして、PM排出量推定ルーチンにおいては、まず式(4)で用いられる各項の算出処理、すなわち基準排出量PMebaseの算出処理(S101)、第1補正係数K1の算出処理(S102〜S104)、及び第2補正係数K2の算出処理(S105)が順に実行される。以下、上記各算出処理について個別に詳しく述べる。
[基準排出量PMebaseの算出処理(S101)]
この処理では、機関負荷(噴射量指令値)及び機関回転速度に基づき基準排出量PMebaseが算出される。この基準排出量PMebaseは、標準大気状態のもとでの機関定常運転時における内燃機関10からのPMの排出量を表す値であって、機関負荷及び機関回転速度の変化に対し図3に矢印で示されるような変化傾向を有する。
[第1補正係数K1の算出処理(S102〜S104)]
この一連の処理では、まず、過給圧偏差比Pr/Pbの算出が行われる(S102)。同過給圧偏差比Pr/Pbは、内燃機関10における吸入空気の酸素密度に関係するパラメータである同機関10の実際の過給圧Prと、そのときの機関運転状態で標準大気状態のもと定常運転を行った場合の過給圧であるベース過給圧Pbとに基づき、過給圧Prのベース過給圧Pbに対する比率として算出される値である。そして、大気状態が基準大気状態と異なったり機関過渡運転が行われたりして過給圧Prがベース過給圧Pbからずれた状態では、過給圧Prがベース過給圧Pbよりも大きくなるほど過給圧偏差比Pr/Pbが大きくなってゆき、過給圧Prがベース過給圧Pbよりも小さくなるほど過給圧偏差比Pr/Pbが小さくなってゆく。
続いて、吸入空気量偏差比Ar/Abの算出が行われる(S103)。同過給圧偏差比Pr/Pbは、内燃機関10における吸入空気の酸素密度に関係するパラメータである同機関10の実際の吸入空気量Arと、そのときの機関運転状態で標準大気状態のもと定常運転を行った場合の吸入空気量であるベース吸入空気量Abとに基づき、吸入空気量Arのベース吸入空気量Abに対する比率として算出される値である。そして、大気状態が基準大気状態と異なったり機関過渡運転が行われたりして吸入空気量Arがベース吸入空気量Abからずれた状態では、吸入空気量Arがベース吸入空気量Abよりも大きくなるほど上記偏差比Ar/Abが大きくなってゆき、吸入空気量Arがベース吸入空気量Abよりも小さくなるほど同偏差比Ar/Abが小さくなってゆく。
過給圧偏差比Pr/Pb及び吸入空気量偏差比Ar/Abの算出後、それらに基づき第1補正係数K1の算出が行われる(S105)。こうして算出された第1補正係数K1は、過給圧偏差比Pr/Pb及び吸入空気量偏差比Ar/Abの変化に対し図4に矢印で示されるような変化傾向を有する。
すなわち、第1補正係数K1に関しては、過給圧偏差比Pr/Pbが大となるほど小となってゆき、過給圧偏差比Pr/Pbが小となるほど大となってゆく。これは、過給圧Prがベース過給圧Pbよりも高くなって内燃機関10の吸入空気の酸素密度が大となるほど同機関10から排出されるPMの量が少なくなることに対応して、PM排出量PMe(基準排出量PMebase)を減量補正するためである。更に、過給圧Prがベース過給圧Pbよりも低くなって内燃機関10の吸入空気の酸素密度が小となるほど同機関10から排出されるPMの量が多くなることに対応して、PM排出量PMe(基準排出量PMebase)を増量補正するためでもある。
また、第1補正係数K1に関しては、吸入空気量偏差比Ar/Abが大となるほど小となってゆき、逆に吸入空気量偏差比Ar/Abが小となるほど大となってゆく。これは、吸入空気量Arがベース吸入空気量Abよりも多くなって内燃機関10に吸入される酸素の量が多くなるほど同機関10から排出されるPMの量が少なくなることに対応して、PM排出量PMe(基準排出量PMebase)を増量補正するためである。更に、過給圧Prがベース過給圧Pbよりも低くなって内燃機関10の吸入される酸素の量が小となるほど同機関10から排出されるPMの量が多くなることに対応して、PM排出量PMe(基準排出量PMebase)を増量補正するためでもある。
[第2補正係数K2の算出処理(S105)]
この処理では、吸気通路12における吸気絞り弁19の下流側の部分を通過するガスの温度(以下、インマニ内ガス温度という)に基づき、第2補正係数K2が算出される。このように算出された第2補正係数K2は、インマニ内ガス温度の変化に対して図5に矢印で示されるような変化傾向を有する。
すなわち、第2補正係数K2に関しては、インマニ内ガス温度が高くなるほど大となってゆき、インマニ内ガス温度が低くなるほど小となってゆく。これは、インマニ内ガス温度が高いほど内燃機関10の吸入空気の温度が高くなり、その吸入空気の温度上昇に伴い同空気の酸素密度が小となるほど同機関10から排出されるPMの量が多くなることに対応して、PM排出量PMe(基準排出量PMebase)を増量補正するためである。また、インマニ内ガス温度が高いほど内燃機関10の吸入空気の温度が低くなり、その吸入空気の温度低下に伴い同空気の酸素密度が大となるほど同機関10から排出されるPMの量が少なくなることに対応して、PM排出量PMe(基準排出量PMebase)を減量補正するためである。
以上のように、基準排出量PMebaseの算出処理(S101)、第1補正係数K1の算出処理(S102〜S104)、及び第2補正係数K2の算出処理(S105)を実行した後、それら基準排出量PMebase、第1補正係数K1、及び第2補正係数K2に基づき、上記式(4)を用いてPM排出量PMeの算出が行われる(S106)。
次に、内燃機関10の過渡運転時におけるPM排出量PMeの算出態様について、図6のタイムチャートを参照して説明する。同図における(a)〜(e)は、内燃機関10の過渡運転時におけるアクセル踏込量、PM排出量、燃料噴射量、過給圧、及び吸入空気量の推移を示している。
アクセル踏込量の急変させたことに伴う機関過渡運転時(タイミングT1以降)には、そのアクセル踏込量に応じて燃料噴射量も急変する。例えば、加速のためにアクセル踏込量を図6(a)に示されるように増加させた場合には、機関負荷を表す燃料噴射量が図6(b)に示されるように増量され、それに伴い過給圧が増加するとともに吸入空気量も増量される。
ここで、PM排出量に関しては、図6(c)に示されるように、上記加速のための機関過渡運転時(実線)にはそのときの機関運転状態で定常運転を行った場合(破線)に比べて増加する傾向がある。なお、図中の破線で示される機関定常運転時のPM排出量は、標準大気状態のもとでは、図2のPM排出量推定ルーチンにおけるステップS101で算出される基準排出量PMebaseと等しい値となる。そして、上述したようにPM排出量が機関過渡運転時に機関定常運転時と比較して増加するのは、次の理由による。
燃料噴射量は、機関過渡運転時の噴射量指令値の変化に対しほぼ遅れなく変化する。一方、過給圧Prは、図6(d)に破線で示される機関過渡運転時の目標過給圧Ptの変化に対し、同図に実線あるいは二点鎖線で示されるようにある程度の応答遅れを有して変化する。なお、図中において、実線はフィードバック制御時の過給圧Prの推移を示し、二点鎖線はオープン制御時における過給圧Prの推移を示している。また、吸入空気量Arも、図6(e)に破線で示される機関過渡運転時の目標吸入空気量Atの変化に対し、同図に実線で示されるようにある程度の応答遅れを有して変化する。これら過給圧Pr及び吸入空気量Arの応答遅れの分だけ、燃料噴射量に対する内燃機関10の吸入空気の酸素量(質量や体積)の比率が変化し、それによってPM排出量が機関定常運転時とは異なるものとなる。従って、上記加速のための機関過渡運転時には、過給圧Pr及び吸入空気量Arの減少側への応答遅れに起因して、燃料噴射量に対する吸入空気の酸素量(質量や体積)の比率が減少側に変化し、機関定常運転時に比べてPM排出量の増量傾向が強くなる。
以上の理由により、上記加速のための機関過渡運転時のPM排出量は、図6(c)に実線で示されるように推移し、その時々の機関運転状態で定常運転を行ったと仮定した場合の推移(破線)に比べて増加することとなる。
この実施形態では、内燃機関10から排出されるPMの量の推定値であるPM排出量PMeとして、上記式(4)に示されるように基準排出量PMebaseに対し第1補正係数K1等による補正を加えた値を採用している。このようにPM排出量PMeの算出(推定)を行うことで、機関過渡運転時にも同PM排出量PMeを内燃機関10からのPMの排出量に対応した値とすることができ、同排出量の推定値として不適切な値となることが抑制される。
次に、PM排出量PMeが機関過渡運転時に不適切な値となることを抑制できる理由について説明する。
基準大気状態のもとでの機関過渡運転時において、過給圧Pr及び吸入空気量Arがそのときの機関運転状態で定常運転を行った場合の値と同じであれば、基準大気状態のもとでの機関定常運転時のPM排出量として算出される基準排出量PMebaseが内燃機関10からのPMの排出量として不適切な値になることはない。なお、基準大気状態のもとで機関定常運転を行った場合の過給圧及び吸入空気量の値とは、それぞれベース過給圧Pb及びベース吸入空気量Abと等しい値のことを意味する。
しかし、機関過渡運転時には、その際の目標過給圧Pt及び目標吸入空気量Atの変化に対する過給圧Pr及び吸入空気量Arの応答遅れに起因して、同過給圧Pr及び吸入空気量Arがそのときの機関運転状態で定常運転を行った場合の値に対しずれた値となることから、そのずれ分だけ基準排出量PMebaseが不適切な値となることは避けられない。なお、上記目標過給圧Pt及び目標吸入空気量Atは、基準大気状態のもとでは、上記式(1)の大気圧補正項Ph1及び大気温度補正項Ph2、並びに上記式(2)の大気圧補正項Ah1及び大気温度補正項Ah2の関係から、それぞれベース過給圧Pb及びベース吸入空気量Abと等しい値になる。
式(4)の第1補正係数K1は、上述した機関過渡運転時における基準排出量PMebaseの不適切な値への移行を抑制するためのもの、言い換えれば機関過渡運転時に基準排出量PMebaseをPM排出量として適切な値に向けて変化させるべく補正を行うためのものである。この第1補正係数K1は、過給圧偏差比Pr/Pb及び吸入空気量偏差比Ar/Abに基づき、図4に示されるように求められる。
従って、標準大気状態のもとでの機関過渡運転時、過給圧Prがベース過給圧Pbよりも高くなって過給圧偏差比Pr/Pbが大となるほど、第1補正係数K1が小さくなって基準排出量PMebaseが同第1補正係数K1により減量側に大きく補正され、推定されるPM排出量PMeがより減量側の値になる。上記機関過渡運転時の過給圧Prが上述したようにベース過給圧Pbよりも高くなるということは、内燃機関10の吸入空気における酸素密度が大となって燃料噴射量に対する吸入空気の酸素量(質量)の比率が大となり、PM排出量が少なくなることを意味する。従って、上記第1補正係数K1による基準排出量PMebaseの減量補正を通じて、推定されるPM排出量PMeが機関過渡運転時の上記過給圧Prの影響を受けて内燃機関10から排出されるPMの量として不適切な値になることは的確に抑制される。
また、標準大気状態のもとでの機関過渡運転時、過給圧Prがベース過給圧Pbよりも低くなって過給圧偏差比Pr/Pbが小となるほど、第1補正係数K1が大きくなって基準排出量PMebaseが同第1補正係数K1により増量側に大きく補正され、推定されるPM排出量PMeがより増量側の値になる。上記機関過渡運転時の過給圧Prが上述したようにベース過給圧Pbよりも低くなるということは、内燃機関10の吸入空気における酸素密度が小となって燃料噴射量に対する吸入空気の酸素量(質量)の比率が小となり、PM排出量が多くなることを意味する。従って、上記第1補正係数K1による基準排出量PMebaseの増量補正を通じて、推定されるPM排出量PMeが機関過渡運転時の上記過給圧Prの影響を受けて内燃機関10から排出されるPMの量として不適切な値になることは的確に抑制される。
一方、標準大気状態のもとでの機関過渡運転時、吸入空気量Arがベース吸入空気量Abよりも多くなって吸入空気量偏差比Ar/Abが大となるほど、第1補正係数K1が小さくなって基準排出量PMebaseが同第1補正係数K1により減量側に大きく補正され、推定されるPM排出量PMeがより減量側の値になる。上記機関過渡運転時の吸入空気量Arが上述したようにベース吸入空気量Abよりも多くなるということは、内燃機関10の吸入空気における酸素量が多くなって燃料噴射量に対する吸入空気の酸素量(体積)の比率が大となり、PM排出量が少なくなることを意味する。従って、上記第1補正係数K1による基準排出量PMebaseの減量補正を通じて、推定されるPM排出量PMeが機関過渡運転時の上記吸入空気量Arの影響を受けて内燃機関10から排出されるPMの量として不適切な値になることは的確に抑制される。
また、標準大気状態のもとでの機関過渡運転時、吸入空気量Arがベース吸入空気量Abよりも少なくなって吸入空気量偏差比Ar/Abが小となるほど、第1補正係数K1が大きくなって基準排出量PMebaseが同第1補正係数K1により増量側に大きく補正され、推定されるPM排出量PMeがより増量側の値になる。上記機関過渡運転時の吸入空気量Arが上述したようにベース吸入空気量Abよりも少なくなるということは、内燃機関10の吸入空気における酸素量が少なくなって燃料噴射量に対する吸入空気の酸素量(体積)の比率が小となり、PM排出量が多くなることを意味する。従って、上記第1補正係数K1による基準排出量PMebaseの増量補正を通じて、推定されるPM排出量PMeが機関過渡運転時の上記吸入空気量Arの影響を受けて内燃機関10から排出されるPMの量として不適切な値になることは的確に抑制される。
ところで、推定したPM排出量PMeが不適切な値となる要因としては、上述した機関過渡運転の実行の他、次の[1]〜[3]に示されるものもあげられる。[1]可変容量ターボチャージャ11の製造及び組み付け誤差。[2]EGR機構を通じての吸気通路12への排気の流入に伴うインマニ内ガス温度の変動。[3]大気圧や大気温度といった大気状態の標準大気状態に対する変化。以下、[1]〜[3]に示される各要因によってPM排出量PMeが不適切な値となることの対処について、それら各要因毎に個別に説明する。
[1]可変容量ターボチャージャ11の製造及び組み付け誤差
可変容量ターボチャージャ11の製造及び組み付け誤差により、内燃機関の過給圧が適正値からずれると、その分だけ内燃機関10の吸入空気の酸素密度も適正値からずれるため、燃料噴射量に対する上記吸入空気の酸素量(質量)の比率が変わり、PM排出量PMeが内燃機関10から排出されるPMの量として不適切な値となる。しかし、圧力センサ57によって検出される過給圧Prに、可変容量ターボチャージャ11の製造及び組み付け誤差に起因する過給圧の適正値からのずれが反映されると、そのずれの分だけ過給圧偏差比Pr/Pbが増減し、更には第1補正係数K1も上記ずれの分だけ増減することとなる。そして、この第1補正係数K1の分のPM排出量PMe(基準排出量PMebase)の補正を通じて、同PM排出量PMeが上記誤差による影響を受けPM排出量として不適切な値となることは抑制される。
[2]EGRに伴うインマニ内ガス温度の変動
EGR機構を通じて吸気通路12に流入する排気は、吸気通路12に流れ込む空気(新気)に比べて高温であり、機関運転状態やEGRクーラ35での冷却度合いによって温度変化の生じるものである。従って、EGRの実行に基づき、EGR通路33から吸気通路12に排気が流入すると、インマニ内ガス温度が変動することとなり、それに合わせて内燃機関10の吸入空気の温度も変化する。このように吸入空気の温度が変化して同吸入空気の酸素密度が変化すると、燃料噴射量に対する上記吸入空気の酸素量(質量)の比率が変わり、内燃機関10から排出されるPMの量も変化する。その結果、式(4)を用いて推定されるPM排出量PMeが内燃機関10から排出されるPMの量として不適切な値となるおそれがある。
ここで、内燃機関10から排出されるPMの量に関しては、インマニ内ガス温度の上昇に伴い内燃機関10の吸入空気の温度が上昇して同吸入空気の酸素密度が低くなるほどそれに起因して増量してゆき、インマニ内ガス温度の低下に伴い内燃機関10の吸入空気の温度が低下して同吸入空気の酸素密度が高くなるほどそれに起因して減量してゆく。こうしたインマニ内ガス温度の変化に対するPM排出量の変化に対応すべく、式(4)を用いて推定されるPM排出量PMeでは、インマニ内ガス温度に基づき算出された第2補正係数K2に基づく補正が行われる。すなわち、インマニ内ガス温度に基づき図5に示されるように変化する第2補正係数K2を用いて基準排出量PMebaseを補正した値がPM排出量PMeとして求められる。このように、インマニ内ガス温度の変化に基づくPM排出量の変化に対応してPM排出量PMeが求められるため、そのPM排出量PMeがEGRの実行に伴い吸気通路12に流入する排気の温度から影響を受け、内燃機関10から排出されるPMの量として不適切な値になることは抑制される。
[3]大気圧や大気温度といった大気状態の標準大気状態に対する変化
大気圧が標準大気圧と異なっていたり、大気温度が標準大気温度と異なっていたりするなど、大気状態が標準大気状態と異なっている場合には、内燃機関10の吸入空気の酸素密度も標準大気状態のときの値とは異なるものとなる。このように大気状態によって吸入空気の酸素密度が変わると、燃料噴射量に対する上記吸入空気の酸素量(質量)の比率が変わり、内燃機関10から排出されるPMの量も変化する。その結果、式(4)を用いて推定されるPM排出量PMeが内燃機関10から排出されるPMの量として不適切な値となるおそれがある。これは、式(4)から分かるように、PM排出量PMeは、標準大気状態での機関定常運転時のPM排出量として求められる基準排出量PMebaseを用いて算出されるものであり、その基準排出量PMebaseが大気状態の標準大気状態に対する変化によって内燃機関10から排出されるPMの量として不適切な値になるためである。
PM排出量PMeが大気状態の標準大気状態に対する変化に起因して不適切な値となることは、基準排出量PMebaseを第1補正係数K1で補正した値をPM排出量PMeとすることによって抑制される。
ここで、上記第1補正係数K1を算出するための過給圧偏差比Pr/Pb及び吸入空気量偏差比Ar/Abはそれぞれ、大気状態の標準大気状態に対する変化を反映した値となる。すなわち、過給圧偏差比Pr/Pbに関しては、過給圧Prが大気状態に対応した値となり、ベース過給圧Pbが標準大気状態に対応した値であることから、それらの比である過給圧偏差比Pr/Pbには大気状態の標準大気状態からの変化が反映される。なお、過給圧Prが大気状態に対応した値となるのは、その過給圧Prを目標過給圧Ptに向けて変化させる過給圧制御を行う際、同目標過給圧Ptが式(1)から分かるように上記ベース過給圧Pbに対し大気状態を加味した値として設定されるためである。また、吸入空気量偏差比Ar/Abに関しては、吸入空気量Arが大気状態に対応した値となり、ベース吸入空気量Abが標準大気圧に対応した値であることから、それらの比である吸入空気量偏差比Ar/Abには大気状態の標準大気状態からの変化が反映される。なお、吸入空気量Arが大気状態に対応した値となるのは、その吸入空気量Arを目標吸入空気量Atに向けて変化させる吸入空気量制御を行う際、同目標吸入空気量Atが式(2)から分かるように上記ベース吸入空気量Abに対し大気状態を加味した値として設定されるためである。
このように大気状態の標準大気状態に対する変化を反映した値である過給圧偏差比Pr/Pb及び吸入空気量偏差比Ar/Abに基づき第1補正係数K1が算出され、標準大気状態に対応する値として算出される基準排出量PMebaseを上記第1補正係数K1に基づき補正した値がPM排出量PMeとされる。上記のように基準排出量PMebaseを上記第1補正係数K1に基づき補正してPM排出量PMeとすることで、そのPM排出量PMe(補正後の基準排出量PMebase)が大気状態の標準大気状態からの変化の影響を受けて内燃機関10から排出されるPMの量として不適切な値となることは抑制される。
以上詳述した本実施形態によれば、以下に示す効果が得られるようになる。
(1)内燃機関10から排出されるPMの量の推定値であるPM排出量PMeとして、式(4)に示されるように基準排出量PMebaseに対し第1補正係数K1等による補正を加えた値を採用している。機関過渡運転時には、過給圧Pr及び吸入空気量Arがそれらの応答遅れに起因してそのときの機関運転状態で定常運転を行った場合の値(基準大気状態にあってはベース過給圧Pb及びベース吸入空気量Ab)に対しずれた値になる。そして、そのずれ分だけ機関定常運転時のPM排出量である式(4)の基準排出量PMebaseが、内燃機関10のPM排出量に対応する値として不適切な値になる。しかし、式(4)の第1補正係数K1は、上述した機関過渡運転時における基準排出量PMebaseの不適切な値へ移行を抑制するためのものとして、過給圧偏差比Pr/Pb及び吸入空気量偏差比Ar/Abに基づき図4に示されるように求められる。このため、式(4)に基づき推定されるPM排出量PMeは、機関過渡運転時であっても内燃機関10から排出されるPMの量に対応した値となる。従って、機関過渡運転時、PM排出量PMeが同機関過渡運転時の上記過給圧Pr及び吸入空気量Arから影響を受け、同機関10からのPM排出量の推定値として不適切な値となることを抑制できる。
(2)可変容量ターボチャージャ11の製造及び組み付け誤差等により、内燃機関の過給圧が適正値からずれると、その分だけ内燃機関10の吸入空気の酸素密度も適正値からずれ、PM排出量PMeが内燃機関10から排出されるPMの量として不適切な値となるおそれがある。しかし、上記誤差等に起因する過給圧の適正値からのずれは、圧力センサ57によって検出される過給圧Prに反映される。その結果、過給圧の適正値からのずれの分だけ過給圧偏差比Pr/Pbが増減し、更には第1補正係数K1も上記ずれの分だけ増減することとなる。そして、この第1補正係数K1の分の補正をPM排出量PMe(基準排出量PMebase)に加えることにより、同PM排出量PMeが上記誤差等による影響を受けPM排出量として不適切な値となることは抑制されるようになる。
(3)EGRの実行に伴い吸気通路12に排気が流入すると、その排気の温度の変動に基づくインマニ内ガス温度の変動に起因して、内燃機関10の吸入空気の温度、言い換えれば同吸入空気の酸素密度が変化し、同機関10から排出されるPMの量も変化する。これにより、式(4)を用いて推定されるPM排出量PMeが同機関10から排出されるPMの量として不適切な値となるおそれがある。しかし、PM排出量PMeは、式(4)から分かるように、インマニ内ガス温度に基づき図5に示されるように変化する第2補正係数K2に基づき基準排出量PMebaseを補正した値である。この補正により、上記PM排出量PMeがEGRの実行に伴い吸気通路12に流入する排気の温度から影響を受け、内燃機関10から排出されるPMの量として不適切な値になることを抑制できる。
(4)内燃機関10から排出されるPMの量は、同機関10の吸入空気の酸素密度に影響を及ぼす大気状態によって変わる。このため、式(4)を用いて推定されるPM排出量PMeは、大気状態の標準大気状態からの変化に起因して、内燃機関10から排出されるPMの量として不適切な値となるおそれがある。しかし、こうしたことは上記PM排出量PMeを求める際、第1補正係数K1に基づき基準排出量PMebaseを補正することによって抑制される。ここで、第1補正係数K1を算出するための過給圧偏差比Pr/Pb及び吸入空気量偏差比Ar/Abはそれぞれ、大気状態の標準大気状態に対する変化を反映した値となる。従って、上記のように第1補正係数K1に基づき基準排出量PMebaseを補正してPM排出量PMeとすることで、そのPM排出量PMe(補正後の基準排出量PMebase)は大気状態の標準大気状態からの変化を加味した値となる。このため、上記PM排出量PMeが大気状態の標準大気状態からの変化の影響を受け、内燃機関10から排出されるPMの量として不適切な値となることは抑制されるようになる。
なお、上記実施形態は、例えば以下のように変更することもできる。
・PM排出量PMeを算出するに当たり、基準排出量PMebaseに対するインマニ内ガス温度に基づく補正を省略してもよい。この場合、上記式(4)の第2補正係数K2が省略されることとなる。
・PM排出量PMeを算出する際、必ずしも大気状態の標準大気状態に対する変化を加味する必要はない。この場合、第1補正係数K1を求めるための過給圧偏差比を、過給圧Prの目標過給圧Ptに対する比率(Pr/Pt)として算出する。更に、第1補正係数K1を求めるための吸入空気量偏差比を、吸入空気量Arの目標吸入空気量Atに対する比率(Ar/At)として算出する。これにより、PM排出量PMeを大気状態の標準大気状態に対する変化を加味せず算出することが可能になる。
・第1補正係数K1を求めるために過給圧偏差比Pr/Pbを用いる代わりに、過給圧Prを用いてもよい。この場合、過給圧Prが上昇するほど第1補正係数K1が小さい値となるよう算出され、逆に過給圧Prが上昇するほど第1補正係数K1が大きい値となるよう算出される。このように第1補正係数K1を算出しても、上記(2)に準じた効果は得られるようになる。
・式(4)における基準排出量PMebaseの第1補正係数K1及び第2補正係数K2の乗算による補正を、第1補正係数K1及び第2補正係数K2にそれぞれ対応する第1補正量及び第2補正量の基準排出量PMebaseへの加算による補正に代えてもよい。
本実施形態の排気浄化装置が適用される内燃機関の全体構成を示す略図。 PM排出量の算出手順を示すフローチャート。 機関負荷及び機関回転速度の変化に対するPM排出量の変化傾向を示す説明図。 過給圧偏差比及び吸入空気量偏差比の変化に対する第1補正係数の変化傾向を示す説明図。 インマニ内ガス温度の変化に対する第2補正係数の変化を示すグラフ。 (a)〜(e)は、機関過渡運転時におけるアクセル踏込量、燃料噴射量、PM排出量、過給圧、及び吸入空気量の変化を示すタイムチャート。
符号の説明
10…内燃機関、11…可変容量ターボチャージャ、12…吸気通路、13…燃焼室、14…排気通路、15…エアクリーナ、16…エアフローメータ、17…コンプレッサ、18…インタークーラ、19…吸気絞り弁、20…吸気マニホールド、21…吸気ポート、22…排気ポート、23…排気マニホールド、24…排気タービン、24a…可変ノズル、25…NOx触媒コンバータ、26…PMフィルタ、27…酸化触媒コンバータ、28…入ガス温度センサ、29…出ガス温度センサ、30…差圧センサ、31…酸素センサ、32…酸素センサ、33…EGR通路、34…EGR触媒、35…EGRクーラ、36…EGR弁、40…インジェクタ、41…高圧燃料供給管、42…コモンレール、43…燃料ポンプ、44…レール圧センサ、45…低圧燃料供給管、46…添加弁、50…電子制御装置(PM排出量推定手段)、51…NEセンサ、52…アクセルセンサ、53…絞り弁センサ、54…水温センサ、56…リフトセンサ、57…圧力センサ、58…温度センサ。

Claims (7)

  1. 可変容量ターボチャージャの設けられた内燃機関の排気浄化装置であって、同機関の排気系に設けられて排気中の粒子状物質を捕集するフィルタと、機関定常運転時の粒子状物質の排出量である基準排出量を同機関の吸入空気量における機関定常時の値に対する偏差に基づき補正して内燃機関からの粒子状物質の排出量とするPM排出量推定手段とを備え、その排出量を用いて求められる前記フィルタでの粒子状物質の堆積量に基づき同フィルタに堆積した前記粒子状物質を除去するためのフィルタ再生制御を実施する内燃機関の排気浄化装置において、
    前記PM排出量推定手段は、前記基準排出量を内燃機関の過給圧が高いほど減量側に大きく補正し、同過給圧が低いほど増量側に大きく補正するものである
    ことを特徴とする内燃機関の排気浄化装置。
  2. 前記可変容量ターボチャージャは、機関運転状態に基づき定められる目標過給圧に向けて内燃機関の過給圧を変化させるよう駆動制御されるものであり、
    前記PM排出量推定手段は、内燃機関の過給圧における機関定常時の値に対する比率を表す過給圧偏差比を求め、その過給圧偏差比が大となるほど前記基準排出量を減量側に大きく補正し、前記過給圧偏差比が小となるほど前記基準排出量を増量側に大きく補正するものである
    請求項1記載の内燃機関の排気浄化装置。
  3. 前記PM排出量推定手段は、内燃機関の過給圧における標準大気状態のもとでの機関定常時の値に対する比率を前記過給圧偏差比として求めるものであり、
    前記目標過給圧は、標準大気状態のもとでの機関定常運転時に適した過給圧として算出されるベース過給圧に対し大気状態に基づく環境補正を加えた値であり、
    前記基準排出量は、標準大気状態のもとでの機関定常運転時における粒子状物質の排出量である
    請求項2記載の内燃機関の排気浄化装置。
  4. 前記内燃機関は、その排気の一部を同機関の吸気通路に流して再循環させるEGR機構を備えるものであり、
    前記PM排出量推定手段は、前記吸気通路内における前記EGR機構を通じて排気の流入される部分よりも下流側のガス温度に基づき、そのガス温度が高いほど前記基準排出量を増量側に大きく補正し、同ガス温度が低いほど前記基準排出量を減量側に大きく補正する
    請求項1〜3のいずれか一項に記載の内燃機関の排気浄化装置。
  5. 前記PM排出量推定手段は、内燃機関の吸入空気量における標準大気状態のもとでの機関定常時の値に対する比率を表す吸入空気量偏差比を求め、その吸入空気量偏差比が大となるほど前記基準排出量を減量側に大きく補正し、前記吸入空気量偏差比が小となるほど前記基準排出量を増量側に大きく補正するものであり、
    前記内燃機関の吸入空気量は、目標吸入空気量に向けて変化するよう調整されるものであり、
    前記目標吸入空気量は、標準大気状態のもとでの機関定常運転時に適した吸入空気量として算出されるベース吸入空気量に対し大気状態に基づく環境補正を加えた値であり、
    前記基準排出量は、標準大気状態のもとでの機関定常運転時における粒子状物質の排出量である
    請求項1〜4のいずれか一項に記載の内燃機関の排気浄化装置。
  6. 可変容量ターボチャージャの設けられた内燃機関からの粒子状物質の排出量を推定する粒子状物質排出量推定方法であって、
    機関定常運転時の粒子状物質の排出量である基準排出量を算出する処理と、
    同機関の吸入空気量における機関定常時の値に対する比率を表す吸入空気量偏差比を算出する処理と、
    同機関の過給圧における機関定常時の値に対する比率を表す過給圧偏差比を算出処理と、
    前記吸入空気量偏差比が大となるほど前記基準排出量を減量側に大きく補正し、同吸入空気量偏差比が小となるほど前記基準排出量を増量側に大きく補正するとともに、前記過給圧偏差比が大となるほど前記基準排出量を増量側に大きく補正し、同過給圧偏差比が小となるほど前記基準排出量を減少側に大きく補正する処理と、
    を実施し、
    前記基準排出量を前記吸入空気量偏差比及び前記過給圧偏差比に基づき補正した後の値を内燃機関の粒子状物質排出量の推定値とする
    ことを特徴とする粒子状物質排出量推定方法。
  7. 請求項6記載の粒子状物質排出量推定方法において、
    内燃機関の吸気通路内におけるEGR機構を通じて排気の流入される部分よりも下流側のガス温度に基づき、そのガス温度が高いほど前記基準排出量を増量側に大きく補正し、同ガス温度が低いほど前記基準排出量を減量側に大きく補正する処理を実施する
    ことを特徴とする粒子状物質排出量推定方法。
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