JP2009030453A - 内燃機関の制御装置 - Google Patents

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Hisafumi Magata
尚史 曲田
Isao Matsumoto
功 松本
Hiroki Murata
宏樹 村田
Akira Yamashita
晃 山下
Hiroyuki Haga
宏行 芳賀
Takenori Saoda
武則 竿田
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Abstract

【課題】排気系を通過する排気の一部を吸気系に再循環させるEGRを行う内燃機関において、内燃機関に吸入される吸気の酸素濃度を精度良く推定することのできる技術を提供する。
【解決手段】EGRガスの体積速度Veに基づいて拡散度合い係数Dcを推定する(S102,S103)。そして、Oセンサの出力信号により検出されたEGRガスの流入時酸素濃度及び拡散度合い係数Dcに基づいて吸気の酸素濃度を演算する(S105)。また、流入時酸素濃度検出タイミングからEGRガスがEGR管を経由して再び気筒に吸入されるまでの再循環期間をEGRガスの体積速度Veに基づいて導出し、流入時酸素濃度検出タイミングから再循環期間が経過したときのタイミングとして酸素濃度対応タイミングを算出する(S106)。
【選択図】図4

Description

本発明は内燃機関の制御装置であって、特に、排気系における排気の一部を吸気系に再循環させる内燃機関の排気再循環装置を備えた内燃機関の制御装置に関する。
内燃機関の排気に含まれる窒素酸化物(以下、「NOx」ともいう)の量を低減する技術として、排気の一部を吸気系に再循環させる排気再循環装置が知られている。
この排気再循環装置を備えた内燃機関においては、排気の一部が再度内燃機関の燃焼室に導入されるため、内燃機関から排出される排気の酸素濃度が変化した場合に、この酸素濃度が、内燃機関の燃焼室における燃焼状態に影響を及ぼす場合があった。
また、上記の排気再循環装置が、過給機のタービン下流の排気をコンプレッサ上流の吸気通路に再循環させる場合がある(例えば、特許文献1参照。)。このような場合においては、例えば排気浄化装置の浄化能力の再生のために排気に供給された還元剤の一部が排気再循環装置によって内燃機関の燃焼室に導入される場合があった。そうすると、還元剤の排気への供給の後に、内燃機関における燃焼状態が不安定になってしまう場合があった。
これに関連し、燃焼室への排気の再循環割合(EGR率)に応じて、パイロット噴射の噴射量や、パイロット噴射と主噴射との間の噴射停止間隔を補正する技術が提案されている(特許文献2参照。)。
また、再循環排気ガス質量流量を予測排気ガス成分濃度に基づいて補正し、補正後の再循環排気ガス質量流量を用いてシリンダ内の全吸入空気量中の酸素濃度や、酸素量と燃料噴射量との比を演算して、EGR制御を行う技術が提案されている(特許文献3参照。)。この技術では、EGR通路内に設けられる酸素濃度センサにより内燃機関に再循環する排気の酸素濃度を検出し、予測排気ガス成分濃度の誤差学習を行っている。
さらに、排気再循環装置とNOx触媒とを備えた内燃機関で、主噴射及び副噴射の実行によりNOx触媒に燃料を供給する際に、そのタイミングにタイムラグを考慮した上でEGR弁の閉じ量を制御して、不活性ガスの燃焼室への流入を抑制する技術であって、再循環排ガス量の低減度合いに応じて、主噴射又は副噴射の噴射量又は噴射時期を制御する技術が提案されている(特許文献4参照。)。
特開2005−76456号公報 特開2001−342877号公報 特開2006−97597号公報 特開2001−234772号公報
ここで、内燃機関に再循環する排気(EGRガス)の影響により内燃機関の燃焼室における燃焼状態が不安定になり、あるいは機関出力が変化することを抑制するためには、内燃機関に吸入される、EGRガスと新気とを含む吸気の酸素濃度を精度良く推定することが必要となる。
しかしながら、EGRガスがEGR通路を介して内燃機関に再循環するまでの過程にお
いてはEGRガスの酸素濃度が一定に維持されない場合がある。すなわち、EGRガスの酸素濃度は、EGRガス間における酸素の濃度勾配に伴って再循環中に変化することになる。
しかしながら、上記の従来技術においては、内燃機関に再循環するEGRガスの成分(例えば、酸素濃度、不活性ガス濃度、未燃HC濃度等)が、再循環されるまでの間になまされ、変化することが充分には考慮されていなかった。従って、内燃機関に吸入される吸気の酸素濃度の推定精度が悪化する虞があった。
本発明は上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、排気系を通過する排気の一部を吸気系に再循環させるEGRを行う内燃機関において、内燃機関に吸入される吸気の酸素濃度を精度良く推定することのできる技術を提供することである。
上記目的を達成するための本発明は、排気系における排気の一部をEGR手段により吸気系に再循環させる内燃機関の制御装置において、再循環するEGRガスの酸素濃度及びEGRガス中における酸素の拡散の度合いに基づいて、内燃機関が吸入する吸気の酸素濃度を推定することを最大の特徴とする。
より詳しくは、内燃機関の排気通路と吸気通路とを接続するEGR通路を有し前記内燃機関からの排気の一部を前記内燃機関に再循環させるEGR手段と、
前記EGR手段により再循環するEGRガスの酸素濃度を取得する酸素濃度取得手段と、
前記酸素濃度取得手段により取得された酸素濃度のEGRガスが前記EGR通路を通過する際の、該EGRガス中における酸素の拡散の度合いを推定する拡散度合い推定手段と、
前記酸素濃度取得手段が取得したEGRガスの酸素濃度及び前記拡散度合い推定手段が推定した前記酸素の拡散の度合いに基づいて前記内燃機関が吸入する吸気の酸素濃度を推定する吸気酸素濃度推定手段と、
を備えることを特徴とする。
内燃機関から排出される排気の酸素濃度は、例えば機関負荷など、運転状態に応じて変化するため、これに伴いEGRガスの酸素濃度も変化する。つまり、EGR通路に流入するEGRガスの酸素濃度は刻々と変化するため、EGR通路内におけるEGRガスの酸素の濃度分布は一様とはならない。この場合、EGRガス間の酸素の濃度勾配に起因してEGRガス中における酸素が拡散するため、EGRガスの酸素濃度が変化してしまう。そこで、本発明においては、EGRガス中における酸素の拡散の度合い(以下、「EGRガスの酸素拡散度合い」ともいう。)を推定することとした。
本発明においてEGRガスの酸素拡散度合いは、EGRガス中の酸素が拡散することによってEGRガスの酸素濃度がいかに変化し易いか否かの程度を表す概念である。すなわち、EGRガスの酸素拡散度合いが高い場合の方が低い場合に比べて、EGR通路におけるEGRガスの酸素濃度の変化が大きくなる。本発明では、酸素濃度取得手段が取得したEGRガスの酸素濃度とEGRガスの酸素拡散度合いに基づいて内燃機関への吸気の酸素濃度を推定する。
例えば、EGRガスの酸素拡散度合いに応じて酸素濃度取得手段が取得したEGRガスの酸素濃度を補正するための補正係数である拡散度合い補正係数を求め、酸素濃度取得手段が取得したEGRガスの酸素濃度を拡散度合い補正係数に応じて補正しても良い。そして、補正後のEGRガスの酸素濃度に基づいて吸気の酸素濃度を推定しても良い。これに
より、EGRガスが内燃機関に再循環するまでに生じる酸素濃度の変化を考慮して吸気の酸素濃度を推定できるので、該吸気の酸素濃度を精度良く推定することができる。
また、EGRガスの酸素拡散度合いは、EGR通路を通過するEGRガスの体積速度に相関がある。従って、本発明においては、拡散度合い推定手段はEGRガス中における酸素の拡散の度合い(つまり、EGRガスの酸素拡散度合い)を、少なくともEGR通路を通過するEGRガスの体積速度に基づいて推定しても良い。すなわち、EGRガスの体積速度が速い場合には、遅い場合に比べてEGRガスの酸素拡散度合いが高いと判断される。また、EGRガスの体積速度は、EGR通路を通過するEGRガスの質量流量、EGRガスの温度、EGRガスの圧力等に基づいて推定しても良い。これにより、EGRガスの酸素拡散度合いを精度良く推定できるので、吸気の酸素濃度を好適に推定できる。
ここで、EGR通路を通過するEGRガスの体積速度が相違すると、EGRガスが内燃機関に再循環されるタイミングが異なる。そこで、本発明においては、吸気の酸素濃度が吸気酸素濃度推定手段により推定された濃度となるタイミングを、少なくともEGR通路を通過するEGRガスの体積速度に基づいて推定するタイミング推定手段を、更に備えても良い。本発明では、吸気の酸素濃度が吸気酸素濃度推定手段により推定された濃度となるタイミングは、EGRガスの体積速度が速いほど早期になるように推定される。これにより、上記タイミングを精度良く推定できる。
また、本発明においては、排気通路における、該排気通路とEGR通路との接続部よりも上流側に設けられ、排気通路を通過する排気を浄化する排気浄化装置と、排気浄化装置の上流側から該排気浄化装置に還元剤を供給する還元剤供給手段と、還元剤供給手段に還元剤を供給させることにより排気浄化装置の浄化能力を再生する再生処理を行う再生手段と、を更に備えていても良い。
上記のように再生手段により排気浄化装置の再生処理が実施されると、排気浄化装置をすり抜けた還元剤や、排気浄化装置において生成されたCOなどの不活性ガスがEGR通路を介して内燃機関に再循環することとなる。その結果、内燃機関に吸入される吸気の酸素濃度が低下して内燃機関における燃焼状態が悪化することにより、機関出力の減少や失火を招来する場合があった。
これに対し、本発明においては、酸素濃度取得手段は、再生手段によって再生処理が行われた際に、排気浄化装置よりも下流側における排気の酸素濃度を検出するようにしても良い。そうすれば、再生処理の実施によって低下するEGRガスの酸素濃度をリアルタイムで精度良く検出できる。従って、排気浄化装置の浄化能力の再生処理が行われ、EGRガスの酸素濃度が急激に変化する際においても、吸気の酸素濃度を精度良く推定できる。
また、本発明が適用される内燃機関は、吸気通路に設けられるコンプレッサ及び内燃機関の排気通路における排気浄化装置よりも上流側に設けられるタービン、を有する過給機を更に備え、EGR通路は、排気浄化装置よりも下流側の排気通路とコンプレッサよりも上流側の吸気通路とを連通し、EGR手段は、排気浄化装置から流出した排気の一部をコンプレッサよりも上流側の吸気通路に再循環しても良い。
上記のように、排気浄化装置から流出した排気をコンプレッサより上流側の吸気通路に再循環させる場合には、EGRガスの循環経路が長くなるため、EGRガスの拡散時間がより長くなることによって、EGRガスの酸素拡散度合いが高くなる。そうすると、酸素濃度取得手段が取得したEGRガスの酸素濃度と、EGRガスがEGR通路から流出する際の該EGRガスの酸素濃度との差がより大きくなる。従って、このような状況においては、EGRガス中における酸素の拡散を考慮する場合としない場合とにおける吸気の酸素
濃度の推定精度に、より大きな差が生じると考えられる。また、再生処理の実施において排気浄化装置に還元剤が供給される際には、EGRガスの酸素濃度は排気浄化装置における酸化還元反応や触媒反応の影響を受けるため、より変動し易い。従って、上記過給機を備え、排気浄化装置から流出した後の排気をコンプレッサより上流側の吸気通路に再循環させるEGR手段を備える内燃機関に対して本発明を適用することで、本発明の効果をより顕著に奏することができる。
また、本発明においては、内燃機関における機関出力を得るための主噴射の実行前に副噴射を行う副噴射手段と、吸気酸素濃度推定手段が推定した吸気の酸素濃度に応じて副噴射の噴射量又は噴射時期の少なくとも何れか一方を制御する副噴射制御手段と、を更に備えていても良い。
すなわち、内燃機関の燃焼室における燃焼状態が悪化し、あるいは機関出力が要求値から外れてしまうことを抑制すべく、推定された吸気の酸素濃度に応じて副噴射の噴射量や噴射時期を制御することとした。本発明では、再生処理の実施によって変化する吸気の酸素濃度を精度良く推定できるので、副噴射の噴射量や噴射時期を好適に制御することができる。これにより、ドライバビリティを良好に維持することができる。
また、本発明においては、副噴射制御手段は、再生手段によって再生処理が行われた際において、吸気の酸素濃度がより低いときにおける副噴射の噴射量は、該吸気の酸素濃度がより高いときにおける副噴射の噴射量以上となるように、副噴射の噴射量を制御しても良い。
すなわち、副噴射制御手段は、吸気の酸素濃度がより低いときには、副噴射の噴射量がより多くなるように、副噴射における噴射量を変更する。こうすれば、吸気中の酸素が少なく(還元剤の還元成分や不活性ガスなどの成分が多く)、機関出力がより低下したり失火したりする危険性が高いときには、より噴射量を増加させ、機関出力の低下や失火を抑制することができる。
なお、この場合、再生処理における還元剤の供給に起因して、推定された吸気の酸素濃度がより低くなるにつれて副噴射の噴射量が連続的に多くなるように制御しても良いし、吸気の酸素濃度が所定の閾値より低い場合と、所定の閾値以上の場合とで、副噴射の噴射量を2段階あるいはそれ以上の段階に変化させるように制御しても良い。
同様に、本発明においては、副噴射制御手段は、再生手段によって再生処理が行われた際において、吸気の酸素濃度がより低いときにおける副噴射の噴射時期は、該吸気の酸素濃度がより高いときにおける副噴射の噴射時期より早期又は同時期となるように、副噴射の噴射時期を制御しても良い。
すなわち、副噴射制御手段は、吸気の酸素濃度がより低いときには、副噴射の噴射時期がより早くなるように、副噴射における噴射時期を変更する。こうすれば、吸気中の酸素が少なく、機関出力がより低下したり失火したりする危険性が高いときには、より噴射時期を進角させ、主噴射における霧化をより促進することで、機関出力の低下や失火を抑制することができる。
なお、この場合、推定された吸気の酸素濃度がより低くなるにつれて、副噴射の噴射時期が連続的に早くなるように制御しても良いし、吸気の酸素濃度が所定の閾値より低い場合と、所定の閾値以上の場合とで、副噴射の噴射時期を2段階あるいはそれ以上の段階に変化させるように制御しても良い。
また、本発明においては、副噴射制御手段は、再生手段によって再生処理が行われた際に、還元剤供給手段による還元剤の供給により低下した吸気の酸素濃度の低下量に応じて副噴射の噴射量の増加又は噴射時期の進角の少なくとも何れか一方を実施し、還元剤の供給の終了後における吸気の酸素濃度の上昇に伴い、副噴射の噴射量の減少又は噴射時期の遅角の少なくとも何れか一方を実施するようにしても良い。
ここで、排気浄化装置の浄化能力の再生処理を行なった場合には、排気浄化装置を通過した還元成分や、還元剤が排気浄化装置で反応したことによって発生したCOなどの不活性ガスにより、EGRガスの酸素濃度が低下することによって、吸気の酸素濃度は一旦大幅に低下する。そして、その後、排気浄化装置に対する還元剤の供給が終了することによって、吸気の酸素濃度は徐々に上昇する。
これに対して、本発明においては、初期段階における吸気の酸素濃度の大幅な低下が発生した状態では、副噴射の噴射量の増加又は噴射時期の進角の少なくとも何れか一方を実施する。これにより、機関出力の低下や混合気の燃焼状態が不安定になることを抑制する。
次に、EGRガス中の還元成分や不活性ガスが減少し、吸気の酸素濃度が徐々に上昇する際においても、副噴射の噴射量を増加させたまま、あるいは、噴射時期を進角させたままにすると、逆に機関出力が過剰に増加したり、燃料騒音やNOxの発生量が増大する虞がある。
従って、本発明においては、吸気の酸素濃度が再び上昇する段階においては、副噴射の噴射量の減少又は噴射時期の遅角の少なくとも何れか一方を実施するようにした。そうすれば、排気浄化装置の浄化能力の再生処理に伴い、吸気の酸素濃度が減少し、更に再び上昇する何れの状況においても、燃焼室における燃焼状態の安定性を確保しつつ機関出力を円滑に制御することができる。
尚、ここでいう副噴射の噴射量の減少、噴射時期の遅角とは、一旦増加した副噴射の噴射量や一旦進角した副噴射の噴射時期を、元に戻す方向で減少あるいは遅角させることを意味している。そして、再生手段による再生処理が行われる前の副噴射の噴射量から更に噴射量を減少させ、あるいは再生処理が行われる前の噴射時期から更に噴射時期を遅角させる制御を意味するものではない。
また、本発明においては、副噴射制御手段は、タイミング推定手段が推定したタイミングに応じて副噴射の噴射量又は噴射時期の少なくとも何れか一方を制御するようにしても良い。これによれば、吸気の酸素濃度に応じて副噴射の噴射量や噴射時期を、吸気の酸素濃度が前記吸気酸素濃度推定手段により推定された濃度となる最適なタイミングで変更することができる。
なお、本発明における課題を解決するための手段は、可能な限り組み合わせて使用することができる。
排気系を通過する排気の一部を吸気系に再循環するEGRを行う内燃機関において、内燃機関に吸入される吸気の酸素濃度を精度良く推定することができる。
以下に図面を参照して、この発明を実施するための最良の形態を例示的に詳しく説明する。尚、本実施の形態に記載されている構成要素の寸法、材質、形状、その相対配置等は
、特に特定的な記載がない限りは、発明の技術的範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
図1は本発明を適用する内燃機関及び吸排気系、制御系の概略構成を示す図である。図1に示す内燃機関1は、4つの気筒2を有するディーゼル機関である。各気筒2には燃焼室に燃料を直接噴射する燃料噴射弁3が設けられている。気筒2に分配された吸気は燃料噴射弁3から噴射された燃料を着火源として燃焼される。
内燃機関1には、吸気マニホールド8が接続されており、吸気マニホールド8の各枝管は吸気ポートを介して各気筒2の燃焼室と連通されている。吸気マニホールド8と吸気管9との接続部近傍には、吸気管9の流路断面積を変更可能なスロットル弁12が設けられている。スロットル弁12は電気配線を介して後述するECU22に接続されており、ECU22からの制御信号に基づいてその弁開度が制御される。これによって、吸気管9を流れる吸気の流量を調節する事ができる。吸気管9におけるスロットル弁12よりも上流側には、吸気管9を流れるガスを冷却するインタークーラ14が設けられている。
吸気管9におけるインタークーラ14より上流側には、排気のエネルギを駆動源として作動する、遠心過給機10のコンプレッサが格納されたコンプレッサハウジング6が設けられている。そして、コンプレッサハウジング6の更に上流側には吸気管9の流路断面積を変更可能な第2スロットル弁13が設けられている。第2スロットル弁13もECU22に接続されており、ECU22からの制御信号に基づいて吸気管9を流れる吸気の流量を調節する。吸気管9における第2スロットル弁13の更に上流側には、吸気管9を通過する吸気の量を検出するエアフローメータ15と、新気中に浮遊するゴミを除去するエアクリーナ16が備えられている。ここで、吸気管9及び吸気マニホールド8は、本発明における吸気通路を構成する。
一方、内燃機関1には、排気マニホールド18が接続されており、排気マニホールド18の各枝管は排気ポートを介して各気筒2の燃焼室と連通されている。排気マニホールド18には集合管4を介して遠心過給機10のタービンが格納されたタービンハウジング7が接続されている。タービンハウジング7の排気が流出する開口部には排気管19が接続されている。排気管19には排気中のNOxを浄化する排気浄化装置としての吸蔵還元型NOx触媒(以下、「NOx触媒」という。)20が設けられている。
排気マニホールド18には、内燃機関1から排出された排気に還元剤としての燃料添加する燃料添加弁21が備えられている。この燃料添加弁21は電気配線を介してECU22に接続されており、ECU22からの指令によって燃料を添加する。本実施例においては燃料添加弁21が本発明における還元剤供給手段に相当する。排気管19は下流側において図示しないマフラーに接続されている。ここで、排気マニホールド18、集合管4及び排気管19は、本発明における排気通路を構成する。
排気管19におけるNOx触媒20より下流側の部分と、吸気管9のコンプレッサハウジング6より上流側の部分とは、EGR通路としてのEGR管23によって連通されている。EGR管23には、該EGR管23の流路断面積を変更可能なEGR弁24が設けられている。EGR弁24は電気配線を介してECU22に接続されており、ECU22からの制御信号に基づいてその弁開度が制御される。これにより、EGR管23を流れる排気の量を調節する事ができる(以下、EGR管23を流れる排気を「EGRガス」といい、その量を「EGRガス量」という。)。
また、排気管19におけるNOx触媒20よりも下流側であってEGR管23との接続
部近傍には、NOx触媒20から流出した排気であって、EGR管23に流入する排気(EGRガス)の酸素濃度を検出するOセンサ25が備えられている。本実施例においては、Oセンサ25が本発明における酸素濃度取得手段に相当する。また、EGR管23におけるEGR弁24よりも上流側にはEGRガスの温度を検出する温度センサ26と、圧力を検出する圧力センサ27とが備えられている。Oセンサ25、温度センサ26、圧力センサ27は電気配線を介してECU22に接続されており、これらのセンサによる検出信号がECU22に入力される。
また、内燃機関1には、内燃機関1を制御する電子制御コンピュータであるECU22が併設されている。ECU22は図示しないROM、RAM、CPU、入力ポート、出力ポート等を備え、前記各種センサによって検出される内燃機関1の運転状態や運転者による要求に応じて、EGR弁24、スロットル弁12、第2スロットル弁13に対して開度指令信号を出力する。また、燃料噴射弁3に対して指令信号を出力し、主噴射、副噴射の燃料噴射量及び燃料噴射時期についての制御を行う。
上記の構成において、吸気管9に導入された空気は、エアクリーナ16でゴミが除去されたあとエアフローメータ15を通過し、コンプレッサハウジング6内のコンプレッサによって過給されるとともに、インタークーラ14、吸気マニホールド8を経由して内燃機関1の各気筒2に導入される。
各気筒2から排出された排気は排気マニホールド18、集合管4を経由し、タービンハウジング7に流入してタービンを駆動する。そのあと排気管19を通過し、NOx触媒20を通過した後、最終的に大気中に放出される。
ここで、EGR弁24が開弁されると、EGR管23が導通状態となり、排気管19を通過する排気の一部がEGR管23を経由して吸気管9に流入する。吸気管9に流入したEGRガスはコンプレッサハウジング6内のコンプレッサによって過給され、吸気マニホールド8を経由して内燃機関1の気筒2に導入される(このように、EGR管24を介した排気の再循環を、以下、「EGR」という。)。
このように、EGRを行うことによって排気の一部を内燃機関1の気筒2に再循環させることによって、燃焼室内における混合気の燃焼温度が低下し、燃焼過程で発生するNOxの量を低下させることができる。本実施例においては、EGR管23とEGR弁24とを含んで本発明におけるEGR手段が構成される。
ここで、内燃機関1の排気系において、NOx触媒20に対するNOx還元処理を実施する場合について考える。この場合は、燃料添加弁21から還元剤としての燃料(添加燃料)を排気中に添加し、この燃料をNOx触媒20に供給することによって、該NOx触媒20に吸蔵されているNOxを還元放出する。NOx還元処理に係る制御はECU22からの指令信号に基づいて実施される。従って、本実施例においてはECU22が本発明における再生手段に相当する。また、NOx還元処理は再生処理の一例である。
図2は、本実施例におけるNOx触媒20に対するNOx還元処理において、燃料添加弁21からの燃料添加が実施された場合の、Oセンサ25の出力信号の変化を示す図である。NOx触媒20に対するNOx還元処理を実行した場合には、NOx触媒20における触媒反応の結果としてCOなどの不活性ガスが生じる。また、燃料添加弁21から添加された添加燃料の一部がNOx触媒20をすり抜ける場合がある。
従って、燃料添加弁21からの燃料添加が実施されると、NOx触媒20から流出する排気には添加燃料や不活性ガスの占める割合が多くなるため、当該排気の酸素濃度が一旦
急激に低下する。そして、燃料添加が終了すると、その後は徐々に排気の酸素濃度が上昇して燃料添加前の状態に戻る。ここで、燃料添加弁21による燃料添加により、Oセンサ25によって検出された排気の酸素濃度が低下する時期を「酸素濃度下降期」と称し、燃料添加の終了後、排気の酸素濃度が上昇する時期を「酸素濃度上昇期」と称す。
上記のようにNOx触媒20から流出した、酸素濃度が低下した排気の一部はEGRガスとしてEGR管23を経由する。そして、EGRガスは吸気管9において新気と合流した後、内燃機関1に再び吸入される。このように、内燃機関1に再循環するEGRガスの酸素濃度の低下に伴って、内燃機関1の吸気の酸素濃度が燃料添加前と比べて低下する。その結果、気筒2における燃焼状態が不安定となり、機関出力が低下する場合や、失火が生じる場合があった。
このような不都合に対し、本実施例では燃料添加弁21からの燃料添加により吸気の酸素濃度が低下する場合、内燃機関1の機関出力となるべき燃料噴射弁3からの主噴射の前に、副噴射としてのパイロット噴射を実施することとした。パイロット噴射を行うことによって、主噴射が行なわれる前に、気筒2内に燃料が拡散した雰囲気が形成される。これにより、主噴射が行なわれた際の着火性及び燃焼の安定性が確保される。本実施例においてはECU22及び燃料噴射弁3が本発明における副噴射手段を構成する。
本実施例では、NOx触媒20に対するNOx還元処理において、燃料添加弁21による燃料添加によって変化する吸気の酸素濃度を推定し、推定された吸気の酸素濃度に応じてパイロット噴射に係る噴射量及び噴射時期を変更する。ここで、パイロット噴射に係る噴射量及び噴射時期を好適に制御するためには、刻々と変化する吸気の酸素濃度を精度良く推定する必要がある。一般に、新気の酸素濃度はほぼ一定であることに鑑みれば、吸気の酸素濃度は、EGRガス量、新気量、及びEGRガスの酸素濃度に概ね依存する。従って、吸気の酸素濃度を決定付ける上記パラメータを精度良く推定、算出することが重要となる。
ここで、Oセンサ25の出力信号について考える。本実施例においては、Oセンサ25が排気管19におけるEGR管23との接続部近傍に設けられているため、Oセンサ25は、EGR管23に流入するEGRガスの酸素濃度を出力している。図2に示したように、Oセンサ25の出力信号は経時と共に変化する。従って、燃料添加の開始後において、EGR管23内のEGRガスにおける酸素の濃度分布は一様ではなく、酸素濃度に勾配が生じることになる。
より詳しく説明すると、「酸素濃度下降期」では、EGR管23に新たに流入するEGRガスの方が既に流入したEGRガスよりも酸素濃度が低くなる。従って、EGR管23のEGRガスの流れ方向において、下流側ほどEGRガスの酸素濃度が高く、上流側ほどEGRガスの酸素濃度が低くなる。
逆に「酸素濃度上昇期」では、EGR管23に新たに流入するEGRガスの方が既に流入したEGRガスよりも酸素濃度が高くなる。従って、EGR管23のEGRガスの流れ方向において、下流側ほどEGRガスの酸素濃度が低く、上流側ほどEGRガスの酸素濃度が高くなる。
以上のことから、EGR管23におけるEGRガスの酸素濃度に濃度勾配が生じるため、この濃度勾配に起因してEGRガス中の酸素が拡散する。その結果、EGRガスの酸素濃度は、内燃機関1に再循環するまでの間に、酸素濃度の相違する周囲のEGRガスの影響を受けて変化する。
ここで、EGR管23に流入するときのEGRガスの酸素濃度を「流入時酸素濃度」と称し、EGR管23から流出するときのEGRガスの酸素濃度を「流出時酸素濃度」と称すと、流入時酸素濃度と流出時酸素濃度とは異なることになる。従って、本実施例では、Oセンサ25の出力信号から求められる流入時酸素濃度に対し、EGR中における酸素の拡散に起因するEGRガスの酸素濃度の変化を考慮して流出時酸素濃度を求め、最終的に吸気の酸素濃度を推定することとした。
図3は、本実施例におけるNOx触媒20に対するNOx還元処理において、燃料添加弁21からの燃料添加が実施された場合の、EGR管23におけるEGRガスの体積速度Veと拡散度合い係数Dcとの関係を例示した図である。ここで、拡散度合い係数Dcとは、EGRガス中の酸素が拡散することによってEGRガスの酸素濃度がいかに変化し易いか否かの程度を示す係数である。すなわち、拡散度合い係数Dcが大きいほど、EGR管23内を通過する際に変化するEGRガスの酸素濃度の変化量がより大きくなることを意味し、本発明におけるEGRガス中における酸素の拡散の度合いが高いことを表す。また、EGRガスの体積速度Veとは単位時間当たりにEGR管23内を流通するEGRガスの体積を意味する。
ところで、EGRガスが拡散するときの速さはEGRガスの体積速度Veに相関があり、EGRガスの体積速度Veが大きい場合には、小さい場合と比べて、EGRガス中の酸素がより速く拡散すると考えられる。そこで、本実施例では、図3に示した関係のように、EGRガスの体積速度Veが大きい場合には、小さい場合に比べて拡散度合い係数Dcが大きくなるように拡散度合い係数Dcが求められる。
本実施例においては、EGRガスの体積速度Veはエアフローメータ15の出力信号、EGR弁24への開度指令信号、温度センサ26の出力信号、圧力センサ27の出力信号に基づいて算出される。すなわち、EGRガスの体積速度VeをEGRガス量とEGRガスの温度とEGRガスの圧力とに基づいて算出することとした。また、EGRガスの体積速度Veは公知の従来技術を用いて算出しても良い。
そして、ECU22は、図3に示すようなEGRガスの体積速度Veと拡散度合い係数Dcとの関係が格納された拡散度合いマップを参照し、拡散度合い係数Dcを推定する。本実施例においてはECU22が本発明における酸素拡散度合い推定手段に相当する。
また、本実施例では、Oセンサ25により検出された流入時酸素濃度を、拡散度合い係数Dcに基づいて補正し、流出時酸素濃度を算出する。そして、EGR弁24への開度指令信号、第2スロットル弁13への開度指令信号、エアフローメータ15の出力信号等から求められる新気量、EGRガス量及び流出時酸素濃度に基づいて吸気の酸素濃度を推定する。
具体的には、EGR弁24への開度指令信号、第2スロットル弁13への開度指令信号、エアフローメータ15の出力信号、流出時酸素濃度および吸気の酸素濃度の関係を予め実験等により求めておき、これらの関係が格納された吸気酸素濃度導出マップを構築しておく。そして、EGR弁24への開度指令信号、第2スロットル弁13への開度指令信号、エアフローメータ15の出力信号、流出時酸素濃度をパラメータとして吸気酸素濃度導出マップにアクセスすることで吸気の酸素濃度を導出する。本実施例においてはECU22が本発明における吸気酸素濃度推定手段に相当する。
また、燃料添加弁21からの燃料添加時には、Oセンサ25の出力信号は刻々と変化するため、本実施例ではOセンサ25の出力信号を継続的にモニターする。そして、それぞれの出力信号に対応した吸気の酸素濃度を推定することとした。これにより、刻々と
変化する吸気の酸素濃度を精度良く把握することができる。
ところで、パイロット噴射に係る噴射量及び噴射時期を吸気の酸素濃度に応じて精度良く制御するには、吸気の酸素濃度が、ECU22により推定された推定値となるタイミング(このタイミングを、以下、「酸素濃度対応タイミング」という。)を精度良く把握することが必要となる。
本実施例では、Oセンサ25の出力信号により流入時酸素濃度が検出されたタイミング(以下、「流入時酸素濃度検出タイミング」という。)を基準とし、流入時酸素濃度検出タイミングと酸素濃度対応タイミングとのタイムラグを考える。そして、このタイムラグは、検出された流入時酸素濃度のEGRガスがEGR管23を経由して内燃機関1の気筒2に吸入されるまでに要する期間(この期間を、以下、「再循環期間」という。)に略一致すると考えられる。
ここで、EGRガスの再循環期間はEGRガスの体積速度Veに相関があるので、ECU22は、再循環期間をEGRガスの体積速度Veに基づいて推定する。本実施例では、EGRガスの体積速度Veが大きいほど再循環期間が短くなるように再循環期間が推定される。具体的には、EGRガスの体積速度Veと再循環期間との関係を予め実験等により求めておき、これらの関係が格納された再循環期間導出マップを構築しておく。そして、EGRガスの体積速度Veをパラメータとして再循環期間導出マップにアクセスし、吸気の酸素濃度を導出することとした。そして、本実施例では、酸素濃度対応タイミングが、流入時酸素濃度検出タイミングから再循環期間が経過したときのタイミングとして推定される。本実施例においては酸素濃度対応タイミングを推定するECU22が、本発明におけるタイミング推定手段に相当する。
ここで、吸気管9におけるEGR管23との接続部においてEGRガスは新気と合流する。そこで、流入時酸素濃度検出タイミングからEGRガスがEGR管23から流出するまでの期間である流出前再循環期間と、EGRガスがEGR管23から流出してから、該EGRガスが新気と合流したのちに気筒2に吸入されるまでの期間である流出後再循環期間を別々に求めても良い。そして、流出前再循環期間と流出後再循環期間とを合算することにより再循環期間を算出しても良い。その場合、流出前再循環期間はEGRガスの体積速度Veに基づいて算出するとともに、流出後再循環期間はEGRガスと新気とが合流した後の吸気の体積速度に基づいて算出しても良い。
図4は、本実施例における吸気の酸素濃度の推定制御ルーチンを示したフローチャートである。本ルーチンは、ECU22のROMに記憶されたプログラムであり、燃料添加弁21による燃料添加が開始されてから燃料添加が終了して一定期間が経過するまでに亘って所定期間毎に実行されるルーチンである。この一定期間とは、燃料添加の実行によって低下した吸気の酸素濃度が、燃料添加の終了に伴って燃料添加前の酸素濃度まで回復するのに充分であると判断できる期間であり、予め実験的に求めておく。
本ルーチンが実行されるとまず、ステップS101において、EGRガスの流入時酸素濃度を検出する。具体的には、Oセンサ25の出力信号をECU22が読み込むことによって検出する。ステップS102では、EGRガスの体積速度Veを算出する。続くステップS103では、図2に示した拡散度合いマップにEGRガスの体積速度Veをパラメータとしてアクセスし、拡散度合い係数Dcを推定する。
続くステップS104では、EGRガスの流入時酸素濃度と拡散度合い係数Dcとに基づいてEGRガスの流出時酸素濃度を推定する。そして、ステップS105では、EGR弁24への開度指令信号、第2スロットル弁13への開度指令信号、エアフローメータ1
5の出力信号、流出時酸素濃度をパラメータとして吸気酸素濃度導出マップにアクセスし、吸気の酸素濃度を演算する。
ステップS106では、ステップS102で算出したEGRガスの体積速度Veをパラメータに上述した再循環期間導出マップにアクセスし、再循環期間を演算する。そして、ステップS101の処理が実行されたタイミングである流入時酸素濃度検出タイミングから再循環期間が経過したときのタイミングとして酸素濃度対応タイミングを算出する。そして、ステップS106の処理が終了すると本ルーチンを一旦終了する。
本ルーチンによれば、燃料添加弁21からの燃料添加によって刻々と変化する吸気の酸素濃度、とそれに応じたタイミングを精度良く推定することができる。つまり、燃料添加弁21からの燃料添加によって一旦低下し、低下のピークを迎えた後は徐々に上昇していく吸気の酸素濃度を好適に推定することができる。
次に、ECU22によって行われるパイロット噴射に係る制御について説明する。本実施例では、上記制御ルーチンによって求められた酸素濃度対応タイミングにおいて、吸気の酸素濃度の推定値に応じて、パイロット噴射の噴射量及び噴射時期を変更する。本実施例においてはパイロット噴射の噴射量及び噴射時期を制御するECU22が本発明における副噴射制御手段に相当する。
本実施例において、吸気の酸素濃度の推定値がより低いときにおけるパイロット噴射の噴射量は、該推定値がより高いときにおける噴射量以上となるように、パイロット噴射の噴射量を制御する。本実施例では、吸気の酸素濃度の推定値が低いほど、パイロット噴射の噴射量がより多くなるようにパイロット噴射の噴射量を増加させることとした。
また、吸気の酸素濃度の推定値がより低いときにおけるパイロット噴射の噴射時期は、該推定値がより高いときにおけるパイロット噴射の噴射時期より早期又は同時期となるように、パイロット噴射の噴射時期を制御する。本実施例では、吸気の酸素濃度の推定値が低いほど、パイロット噴射の噴射時期を進角させることとした。
これによれば、気筒2における主噴射が行われる前の段階で、パイロット噴射によって拡散している燃料量を増加させると共に、燃料の微粒化・霧化を促進することができる。その結果、主噴射が行われた際に気筒2内の燃焼状態が不安定になることで発生する機関出力の減少や失火を抑制できる。
本実施例では、機関出力の減少や失火を抑制すべく、パイロット噴射に係る噴射量及び噴射時期を、適切なタイミングで必要なだけ変更できる。これにより、NOx触媒20に対するNOx還元処理が行なわれた際に、燃焼状態の安定性を確保しつつ、内燃機関1の機関出力を円滑に制御できる。
次に、本発明の実施例2について説明する。本実施例においては、吸気の酸素濃度の推定値に応じた、パイロット噴射に係る制御のバリエーションについて説明する。なお、本実施例における内燃機関1及び、その吸排気系、制御系は図1に示したものと同等である。
実施例1では吸気の酸素濃度の推定値に応じてパイロット噴射に係る噴射量と噴射時期との双方を変更する実施形態について説明した。本実施例では、吸気の酸素濃度の低下量が比較的小さいときにはパイロット噴射の噴射量のみを変更し、吸気の酸素濃度の低下量が大きくなった場合に、パイロット噴射の噴射量に加えて噴射時期も変更することとした
具体的には、ECU22により推定された吸気の酸素濃度が、予め実験的に求められる基準濃度以上であるか否かを判定する。基準濃度は、吸気の酸素濃度がこの値以上であれば、パイロット噴射の噴射量のみを変更して内燃機関1の燃焼状態を安定状態に維持できると判断できる吸気の酸素濃度である。そして、吸気の酸素濃度がこの値よりも低い場合には、パイロット噴射の噴射量に加えて噴射時期を変更しないと内燃機関1の燃焼状態を安定状態に維持するのが困難と判断できる吸気の酸素濃度である。本実施例では、吸気の酸素濃度の推定値が基準濃度以上であると判定された場合には、パイロット噴射の噴射量を該推定値の大きさに応じて変更する。そして、吸気の酸素濃度の推定値が基準濃度よりも低いと判定された場合には、パイロット噴射の噴射量及び噴射時期を該推定値の大きさに応じて変更する。
ここで、図5は、本実施例における燃料添加弁21からの燃料添加が実施された場合の、吸気の酸素濃度の推定値の変化に応じて変更するパイロット噴射の噴射量及び噴射時期の制御領域を説明するための説明図である。図示したように、吸気の酸素濃度の推定値は、燃料添加弁21からの燃料添加によって一旦急激に低下し、低下のピークを迎えた後は徐々に上昇(回復)していく。
そこで、本実施例では、まず、吸気の酸素濃度の推定値がより低濃度側に変化する過程であって、該推定値が基準濃度より低くなるまでのA領域においては、吸気の酸素濃度の推定値がより低くなるほどパイロット噴射の噴射量の増加量を増大させる。そして、A領域から吸気の酸素濃度の推定値が基準濃度より低くなったB領域に移行した際に、パイロット噴射の噴射時期の変更が開始される。すなわち、B領域においては、吸気の酸素濃度の推定値がより低くなるほどパイロット噴射の噴射量の増加量を増大させるとともに、噴射時期の進角量を増大させる。
その後、吸気の酸素濃度推定値の低下がピークを迎え、より高濃度側に変化する過程であって、該推定値が基準濃度以上に回復するまでのC領域では、吸気の酸素濃度の推定値がより高くなるほど、パイロット噴射の噴射量の増量と、噴射時期の遅角とを解除していく。そして、吸気の酸素濃度の推定値が基準濃度以上になった時点で噴射時期の進角量を零とする。そして、吸気の酸素濃度の推定値が基準濃度以上に回復したD領域においては、該推定値がより高くなるほど、パイロット噴射の噴射量の増量を解除していく。つまり噴射量の増加量を減少させていく。
このように、パイロット噴射の噴射量と噴射時期とを、吸気の酸素濃度の推定値に応じて連続的に変更することによって、パイロット噴射に係る制御をより細やかに行うことができる。これにより、内燃機関1の機関出力の低下や失火を好適に抑制できる。また、吸気の酸素濃度の推定値がより高濃度側に回復する過程においては、機関出力の過剰な増加や、燃焼騒音、あるいはNOx発生量の増加などを抑制できる。
また本実施例において、吸気の酸素濃度の推定値に応じて噴射量や噴射時期を段階的に変更させても良いのは勿論である。例えば、A領域〜D領域の各領域を、適宜、吸気の酸素濃度の推定値の大きさに応じた領域に細分化しても良い。その場合には、吸気の酸素濃度の推定値の属する領域ごとの、パイロット噴射の噴射量及び噴射時期の最適値を予め実験的に求めておく。そして、吸気の酸素濃度推定値の属する領域が他の領域に移行するごとに、パイロット噴射の噴射量及び噴射時期が最適値になるように段階的に変更しても良い。これによれば、より簡単な制御で、内燃機関1の機関出力の安定性を確保できる。
ここで、パイロット噴射の噴射量や噴射時期の変更例については、本発明を説明するた
めの一例であって、本発明の本旨を逸脱しない限り、様々な変更を加えて良いのはもちろんである。例えば、吸気の酸素濃度の推定値が基準濃度以上に維持されている場合はパイロット噴射の噴射時期のみを変更しても良い。そして、該推定値が基準濃度よりも低くなった場合に、パイロット噴射の噴射時期に加えて噴射量も変更する制御を行っても良い。また、上記の制御例では、吸気の酸素濃度の推定値自体に着目してパイロット噴射に係る制御を行う例を説明したが、燃料添加前に比べた吸気の酸素濃度の低下量の大きさに応じてパイロット噴射に係る制御を行っても良いのは勿論である。例えば、燃料添加前に対する吸気の酸素濃度の低下量がより大きいほど、パイロット噴射の噴射量をより増量し、あるいは噴射時期をより進角側に変更しても良い。
また、本実施例においては、排気管19におけるNOx触媒20より下流側の部分と、吸気管9のコンプレッサハウジング6より上流側の部分とを連通するEGR管23を介して排気を再循環させている。このような場合は、EGRガスの循環経路が長くなるため、EGRガスが再循環するまでのEGRガス中の酸素がより拡散し易くなる。その結果、EGR管23を通過する際のEGRガス中の酸素の拡散による該EGRガスの酸素濃度の変化を考慮する場合と、考慮しない場合とでは、吸気の酸素濃度の推定精度により大きな差が生じ易くなる。また、NOx還元処理の実施において燃料添加が行われる際には、EGRガスの酸素濃度はNOx触媒20における酸化還元反応や触媒反応の影響を受けるため、より変動し易い。従って、本実施例のように、遠心過給機10を備え、NOx触媒20から流出した後の排気をコンプレッサハウジング6より上流の吸気管9に再循環させる場合に本発明を適用することで、本発明の効果をより顕著に奏することができる。
また、本実施例におけるEGR管23とEGR弁24とは本発明におけるEGR手段の例示であって、異なる形態としても良いのは勿論である。例えば、EGR管は、排気マニホールド18と吸気マニホールド8とを連通していても良い。この場合には、内燃機関1から排出され、NOx触媒20を通過する前の排気の一部が吸気系に再循環する。かかる場合においても、内燃機関1から排出される排気の酸素濃度は機関負荷などの運転状態に応じて変化する。つまりEGRガスの酸素濃度が内燃機関1の運転状態により変化するので、その影響により吸気の酸素濃度が変化する場合がある。従って、上記構成においても、本発明を適用することにより、EGRガス中における酸素の拡散による該EGRガスの酸素濃度の変化を考慮して精度良く吸気の酸素濃度を推定できるのでより好適である。
また、上記の実施例においては、Oセンサ25は排気管19におけるEGR管23との接続部近傍に設けているが、これに限定される趣旨ではない。例えば、EGR管23に設けられても良い。その場合においても、EGRガスの酸素濃度の検出位置、検出タイミングが特定できれば、吸気の酸素濃度及び、吸気の酸素濃度が推定値となるタイミングを精度良く推定できる。
また、上記の実施例においては、再生処理の例としてNOx触媒20のNOx還元処理を挙げて説明したが、本発明における再生処理はNOx還元処理に限られない。NOx触媒20に対するSOx被毒回復処理や、また、NOx触媒20の他に微粒子物質を捕集するフィルタを備えている場合にはPM再生処理を行う場合に、本発明を実施しても構わないことは勿論である。
本発明を適用する内燃機関及び吸排気系、制御系の概略構成を示す図である。 実施例1におけるNOx触媒に対するNOx還元処理において、燃料添加弁からの燃料添加が実施された場合の、Oセンサの出力信号の変化を示す図である。 実施例1におけるNOx触媒に対するNOx還元処理において、燃料添加弁からの燃料添加が実施された場合の、EGR管におけるEGRガスの体積速度Veと拡散度合い係数Dcとの関係を例示した図である。 実施例1における吸気の酸素濃度の推定制御ルーチンを示したフローチャートである。 実施例2における燃料添加弁からの燃料添加が実施された場合の、吸気の酸素濃度の推定値の変化に応じて変更するパイロット噴射の噴射量及び噴射時期の制御領域を説明するための説明図である。
符号の説明
1・・・内燃機関
2・・・気筒
3・・・燃料噴射弁
6・・・コンプレッサハウジング
7・・・タービンハウジング
8・・・吸気マニホールド
9・・・吸気管
10・・遠心過給機
15・・エアフローメータ
18・・排気マニホールド
19・・排気管
20・・NOx触媒
21・・燃料添加弁
22・・ECU
23・・EGR管
24・・EGR弁
25・・Oセンサ
26・・温度センサ
27・・圧力センサ

Claims (10)

  1. 内燃機関の排気通路と吸気通路とを接続するEGR通路を有し前記内燃機関からの排気の一部を前記内燃機関に再循環させるEGR手段と、
    前記EGR手段により再循環するEGRガスの酸素濃度を取得する酸素濃度取得手段と、
    前記酸素濃度取得手段により取得された酸素濃度のEGRガスが前記EGR通路を通過する際の、該EGRガス中における酸素の拡散の度合いを推定する拡散度合い推定手段と、
    前記酸素濃度取得手段が取得したEGRガスの酸素濃度及び前記拡散度合い推定手段が推定した前記酸素の拡散の度合いに基づいて前記内燃機関が吸入する吸気の酸素濃度を推定する吸気酸素濃度推定手段と、
    を備えることを特徴とする内燃機関の制御装置。
  2. 前記拡散度合い推定手段は前記EGRガス中における酸素の拡散の度合いを、少なくとも前記EGR通路を通過するEGRガスの体積速度に基づいて推定することを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の制御装置。
  3. 前記吸気の酸素濃度が前記吸気酸素濃度推定手段により推定された濃度となるタイミングを、少なくとも前記EGR通路を通過するEGRガスの体積速度に基づいて推定するタイミング推定手段を、更に備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の内燃機関の制御装置。
  4. 前記排気通路における、該排気通路と前記EGR通路との接続部よりも上流側に設けられ、該排気通路を通過する排気を浄化する排気浄化装置と、
    前記排気浄化装置の上流側から該排気浄化装置に還元剤を供給する還元剤供給手段と、
    前記還元剤供給手段に還元剤を供給させることにより前記排気浄化装置の浄化能力を再生する再生処理を行う再生手段と、
    を更に備え、
    前記酸素濃度取得手段は、前記再生手段によって前記再生処理が行われた際に、前記排気浄化装置よりも下流側における排気の酸素濃度を検出することを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の内燃機関の制御装置。
  5. 前記内燃機関の吸気通路に設けられるコンプレッサ及び前記内燃機関の排気通路における前記排気浄化装置よりも上流側に設けられるタービン、を有する過給機を更に備え、
    前記EGR通路は、前記排気浄化装置よりも下流側の前記排気通路と前記コンプレッサよりも上流側の前記吸気通路とを連通し、前記EGR手段は、前記排気浄化装置から流出した排気の一部を前記コンプレッサよりも上流側の前記吸気通路に再循環することを特徴とする請求項4に記載の内燃機関の制御装置。
  6. 前記内燃機関における機関出力を得るための主噴射の実行前に副噴射を行う副噴射手段と、
    前記吸気酸素濃度推定手段が推定した前記吸気の酸素濃度に応じて前記副噴射の噴射量又は噴射時期の少なくとも何れか一方を制御する副噴射制御手段と、
    を更に備えることを特徴とする請求項4又は5に記載の内燃機関の制御装置。
  7. 前記副噴射制御手段は、前記再生手段によって前記再生処理が行われた際において、前記吸気の酸素濃度がより低いときにおける前記副噴射の噴射量は、該吸気の酸素濃度がより高いときにおける前記副噴射の噴射量以上となるように、前記副噴射の噴射量を制御することを特徴とする請求項6に記載の内燃機関の制御装置。
  8. 前記副噴射制御手段は、前記再生手段によって前記再生処理が行われた際において、前記吸気の酸素濃度がより低いときにおける前記副噴射の噴射時期は、該吸気の酸素濃度がより高いときにおける前記副噴射の噴射時期より早期又は同時期となるように、前記副噴射の噴射時期を制御することを特徴とする請求項6に記載の内燃機関の制御装置。
  9. 前記副噴射制御手段は、前記再生手段によって再生処理が行われた際に、前記還元剤供給手段による還元剤の供給により低下した前記吸気の酸素濃度の低下量に応じて前記副噴射の噴射量の増加又は噴射時期の進角の少なくとも何れか一方を実施し、前記還元剤の供給の終了後における前記吸気の酸素濃度の上昇に伴い、前記副噴射の噴射量の減少又は噴射時期の遅角の少なくとも何れか一方を実施することを特徴とする請求項6に記載の内燃機関の制御装置。
  10. 前記副噴射制御手段は、前記タイミング推定手段が推定した前記タイミングに応じて前記副噴射の噴射量又は噴射時期の少なくとも何れか一方を制御することを特徴とする請求項6から9の何れか1項に記載の内燃機関の制御装置。
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