JP2008138590A - 内燃機関の排気浄化システム - Google Patents

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久 大木
Masahiro Nagae
正浩 長江
Kiyoshi Fujiwara
清 藤原
Tomohiro Kaneko
智洋 金子
Takafumi Yamada
貴文 山田
Takashi Koyama
崇 小山
Yasushi Ogura
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Abstract

【課題】高圧EGR装置と低圧EGR装置とを備えた内燃機関の排気浄化システムにおいて、内燃機関の機関負荷が増加するとともに、低圧EGRガス量を増量するときの過渡時においてNOxの生成量が過度に増加することを抑制する。
【解決手段】低圧EGR装置によって再循環させる低圧EGRガス量Gを増量する指令が出される時に、低圧EGR過渡期間ΔtDLと高圧EGR過渡期間ΔtDHとの差に相当する期間(Δt)に亘り燃料噴射弁から燃料を副噴射させる。そして、低圧EGRガス量Gが不足してしまう低圧EGR過渡期間ΔtDLが経過するまでは、酸素濃度を低下させた排気を高圧EGRガスとして再循環させることにより、吸気の酸素濃度Rが目標値R1よりも過度に高くなってしまうことを抑制する。
【選択図】図2

Description

本発明は、排気再循環装置を備えた内燃機関の排気浄化システムに関する。
内燃機関から大気中に排出される窒素酸化物(以下、「NOx」という。)の量を低減する技術として、排気再循環装置(以下、「EGR装置」という。)や、NOx触媒或いはNOx触媒を担持したパティキュレートフィルタ(以下、「フィルタ」という。)などの排気浄化装置を備えた排気浄化システムが知られている。
NOx触媒は、内燃機関から排出されたNOxを排気中からNOx触媒に吸蔵することによって排気を浄化するものである。
EGR装置は、排気の一部を内燃機関の吸気系に戻し、燃焼室における混合気の燃焼温度を下げることによって、内燃機関におけるNOxの生成量を低減するものである。
近年では、過給機としてターボチャージャを備えた内燃機関において、ターボチャージャのタービンよりも上流側の排気通路内の排気の一部をターボチャージャのコンプレッサよりも下流側の吸気通路に再循環させる通常のEGR装置(以下、「高圧EGR装置」という。)に加えて、上記タービンよりも下流側に設けられた排気浄化装置(例えば、NOx触媒等)から排出される排気の一部を上記コンプレッサよりも上流側の吸気通路に再循環させる低圧EGR装置を備えた排気浄化システムの開発も行われている(例えば、特許文献1を参照。)。
ところで、内燃機関の機関負荷の増加時には内燃機関から排出されるNOx量が増加し易くなるため、高圧EGR装置と低圧EGR装置によって再循環する排気の流量(以下、これらを「高圧EGRガス量」、「低圧EGRガス量」ともいう。)を増量する場合がある。これは、内燃機関における吸気の酸素濃度を低く(吸気におけるEGRガス(不活性ガス)の濃度を高く)することで燃焼室における燃焼温度を低下させてNOxの排出量が増加することの抑制を図るためである。
ところが、一般に、内燃機関から排出された排気が再循環して再び吸入されるまでに流通する経路(以下、「EGR経路」ともいう。)において、高圧EGR装置によって再循環する排気(以下、「高圧EGRガス」ともいう。)のEGR経路(以下、この経路を「高圧EGR経路」ともいう。)に比べて低圧EGR装置によって再循環する排気(以下、「低圧EGRガス」ともいう。)のEGR経路(以下、この経路を「低圧EGR経路」ともいう。)の方が長いため、低圧EGRガス量が目標値まで増加するまでの遅れが生じる場合がある。その結果、低圧EGRガス内のCO量(例えば、不活性ガス量)が要求される目標量よりも不足することによって吸気の酸素濃度が目標濃度まで低下するまでに時間を要し、内燃機関におけるNOxの生成量が増加してエミッションが悪化する虞があった。
特開2004−150319号公報 特開2006−29171号公報
本発明は、上記従来技術に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、高圧EGR装置と低圧EGR装置とを備えた内燃機関の排気浄化システムにおいて、内燃機関
の機関負荷が増加するとともに、低圧EGRガス量を増量するときの過渡時においてNOxの生成量が過度に増加することを抑制できる技術を提供することである。
上記目的を達成するための本発明は、高圧EGR装置と低圧EGR装置とを備えた内燃機関の排気浄化システムにおいて、低圧EGR装置によって再循環する排気の流量を増量するときに、燃料噴射弁からの主噴射よりも後の所定時期において燃料を副噴射させることにより内燃機関から排出される排気の酸素濃度を低下させることを最大の特徴とする。
より詳しくは、一端が内燃機関に接続されて該内燃機関からの排気が通過する排気通路と、
前記排気通路に設けられるとともに前記内燃機関から排出される排気を浄化する排気浄化装置と、
前記内燃機関の気筒内に燃料を主噴射する燃料噴射弁と、
前記排気通路における前記排気浄化装置よりも上流側に設けられたタービンおよび前記内燃機関の吸気通路に設けられたコンプレッサを有するターボチャージャと、
前記タービンよりも下流側の排気通路と前記コンプレッサよりも上流側の吸気通路とを接続する低圧EGR通路を有し、該低圧EGR通路を介して排気の一部を前記内燃機関に再循環させる低圧EGR装置と、
前記タービンよりも上流側の排気通路と前記コンプレッサよりも下流側の吸気通路とを接続する高圧EGR通路を有し、該高圧EGR通路を介して排気の一部を前記内燃機関に再循環させる高圧EGR装置と、
を備え、前記高圧EGR装置と前記低圧EGR装置とを切り替えて、或いは併用して排気の再循環を行う内燃機関の排気浄化システムにおいて、
前記低圧EGR装置によって再循環される排気の流量である低圧EGRガス量を変更可能な低圧EGRガス量変更手段と、
前記低圧EGRガス量変更手段に前記低圧EGRガス量を変更させる指令を出す低圧EGR指令手段と、
前記内燃機関の機関負荷が増加するとともに前記低圧EGR指令手段が前記低圧EGRガス量変更手段に前記低圧EGRガス量を増量させるときであって且つその後における前記排気の再循環が前記高圧EGR装置と前記低圧EGR装置とを併用して行われるときに、前記燃料噴射弁に主噴射よりも後の所定時期において燃料を副噴射させることにより前記排気の酸素濃度を低下させる酸素濃度低下手段と、
を備えることを特徴とする。
上記構成の排気浄化システムによれば、内燃機関の運転状態に応じて前記高圧EGR装置と前記低圧EGR装置とを切り替えて、或いは併用して排気の再循環が行われる。例えば、内燃機関の運転状態が低負荷・低回転の領域にある場合には主に高圧EGR装置による排気の再循環(以下、「高圧EGR」ともいう。)、高負荷・高回転の領域にある場合には主に低圧EGR装置による排気の再循環(以下、「低圧EGR」ともいう。)、中負荷中回転の領域にある場合には高圧EGRと低圧EGRとを併用した排気の再循環を行う制御が例示できる。
また、本発明では、内燃機関に再循環される高圧EGRガス量と低圧EGRガス量とが運転状態に適した割合となるように制御される。
ところで、通常、内燃機関の機関負荷が増加するときには内燃機関から排出されるNOx量が急激に増加する虞があるため、EGR率(EGRガス量/(EGRガス量+新気量))を増加させる制御がなされる。EGR率を増加させると燃焼室における混合気の燃焼温度が低下するためNOx生成量の増加を抑えることができるからである。
しかしながら、低圧EGR指令手段が前記低圧EGRガス量変更手段に低圧EGRガス量を増量させても、低圧EGRガス量が実際にその目標値まで増量するまでに時間を要する場合がある。低圧EGR経路は高圧EGR経路に比べて長いため、低圧EGRガス増量時の応答性が悪化する場合があるからである。
そのような場合には、内燃機関に吸入されるEGRガス量(高圧EGRガス量+低圧EGRガス量)が不足し、EGRガス内のCO量が不足することになる。その結果、内燃機関の吸気(新気+EGRガス)の酸素濃度が迅速に低下(不活性ガス濃度が上昇)せず、内燃機関におけるNOxの生成量が増大する場合がある。
これに対し本発明では、低圧EGRガス量の増量後に高圧EGR装置と低圧EGR装置とを併用して排気の再循環が行われるときに、酸素濃度低下手段が燃料噴射弁に、主噴射よりも後の所定時期において燃料を副噴射させる。ここで、燃料の副噴射が行われる所定時期とは、内燃機関の燃焼サイクルにおいて主噴射より後であって副噴射によって噴射された燃料が内燃機関の機関出力に寄与しない時期をいい、例えば燃焼サイクルにおける膨張行程から排気行程までの期間におけるいずれかの時期を例示できる。
上記のような主噴射の後の所定時期に副噴射された燃料は燃焼室内において燃焼し、内燃機関から排出される排気の酸素濃度が低下する。そして、この酸素濃度の低い排気はEGR経路が短い高圧EGR装置によって再循環させることができる。
つまり、本発明においては、低圧EGR指令手段が前記低圧EGRガス量変更手段に低圧EGRガス量を増量させるときの過渡時において、低圧EGRガスの応答遅れが生じ、EGRガス内のCO量が不足しても、酸素濃度をより低下させた高圧EGRガスを再循環させることによってEGRガス内のCO量が不足することを抑制することができる。つまり、吸気のCO濃度(不活性ガス濃度)を迅速に増加させることにより、内燃機関におけるNOxの生成量が過度に増加することを抑制することが可能となる。
また、上述のように本発明では、低圧EGRガスを増量させる過渡時において吸気の酸素濃度を迅速に低下させることが困難となるという課題に対し、高圧EGRガスに含まれる酸素濃度、或いは不活性ガスの濃度を制御して上記課題を解決することに注目している。これは、例えば慣性が作用するEGRガス量の流速等を増加させて低圧EGRガス量が不足する期間を短縮させる方法と比較して、吸気の酸素濃度が低下するときの応答性を向上させる点で非常に優れている。
また、本発明においては、前記高圧EGR装置によって再循環される排気の流量である高圧EGRガス量を変更可能な高圧EGRガス量変更手段と、
前記高圧EGRガス量変更手段に前記高圧EGRガス量を変更させる指令を出す高圧EGR指令手段と、を更に備えていても良い。
そして、前記低圧EGR指令手段から前記低圧EGRガス量を目標低圧EGRガス量に、前記高圧EGR指令手段から高圧EGRガス量を目標高圧EGRガス量に増量する指令が出された時に、前記低圧EGR指令手段から前記低圧EGRガス量変更手段に指令が出された時から前記低圧EGRガス量が前記目標低圧EGRガス量になるまでに要する期間である低圧EGR過渡期間と、前記高圧EGR指令手段から前記高圧EGRガス量変更手段に指令が出された時から前記高圧EGRガス量が前記目標高圧EGRガス量になるまでに要する期間である高圧EGR過渡期間とは異なると考えられる。これは、低圧EGR経路と高圧EGR経路とが異なるからである。また、目標低圧EGRガス量、目標高圧EGRガス量とは、運転状態に応じて定められる低圧EGRガス量と高圧EGRガス量の目標
値を意味する。
ところで、低圧EGRガス内のCO量が不足することによりEGRガス内のCO量が不足するのは、厳密には低圧EGR指令手段から指令が出されてから低圧EGR過渡期間が経過するまでの期間と考えられるが、副噴射によって酸素濃度が低下した排気が高圧EGRガスとして充分に再循環されるのは、高圧EGR過渡期間が経過してからであると考えられる。
そこで、本発明における前記酸素濃度低下手段は、前記低圧EGR過渡期間と前記高圧EGR過渡期間との差に相当する期間に亘り前記燃料噴射弁に燃料を副噴射させるようにしても良い。これにより、副噴射によって酸素濃度が低下した排気が高圧EGRガスとして再循環するようになった後は低圧EGRガス量の不足分を補うべく、つまり、低圧EGRガス内におけるCO量の不足分を補うべく好適な期間だけ燃料噴射弁に燃料を副噴射させつつ、吸気の酸素濃度を低下させることが可能となる。
また、本発明においては、低圧EGRガスのCO量及び高圧EGRガス内のCO量がそれぞれの目標値まで増加するまでに要する期間に基づいて、燃料噴射弁に燃料を噴射させる期間を決定するようにしても良い。つまり、低圧EGR指令手段及び高圧EGR指令手段から低圧EGRガス量変更手段及び高圧EGRガス量変更手段に指令が出された時から前記低圧EGRガス内のCO量が目標低圧側CO量になるまでに要する期間の低圧側CO過渡期間と前記高圧EGRガス内のCO量が目標高圧側CO量になるまでに要する期間の高圧側CO過渡期間とに基づいて燃料噴射弁に燃料を噴射させる期間を決定するようにしても良い。例えば、本発明においては、本発明における酸素濃度低下手段は、低圧側CO過渡期間と高圧側CO過渡期間との差に相当する期間に亘り燃料噴射弁に燃料を副噴射させるようにしても良い。
ここで、上記の目標低圧側CO量及び目標高圧側CO量とは、内燃機関の運転状態に応じて要求される低圧EGRガス及び高圧EGRガス内におけるCO量の目標値を意味する。このように、低圧側CO過渡期間と高圧側CO過渡期間との差に基づいて燃料噴射弁に燃料を副噴射させる期間を決定することにより、低圧EGRガス内のCO濃度、高圧EGRガス内のCO濃度が運転状態によって変化する場合においても、より好適な期間だけ酸素濃度低下手段が燃料噴射弁に燃料を副噴射させ、吸気の酸素濃度を低下させることが可能となる。
ここで、上記の低圧EGRガス、高圧EGRガス、或いはこれらEGRガスと新気との和である吸気に含まれるCO量と酸素量は相関すると考えられる。つまり、上記ガス内のCO量が多くなるほど酸素量は少なくなると考えられる。従って、本発明においては、低圧EGRガスの酸素量及び高圧EGRガス内の酸素量がそれぞれの目標値まで低下するまでに要する期間に基づいて、燃料噴射弁に燃料を噴射させる期間を決定するようにしても良い。
つまり、低圧EGR指令手段及び高圧EGR指令手段から低圧EGRガス量変更手段及び高圧EGRガス量変更手段に指令が出された時から低圧EGRガス内の酸素量が目標低圧側酸素量に低下するのに要する期間の低圧側酸素過渡期間と高圧EGRガス内の酸素量が目標高圧側酸素量に低下するのに要する期間の高圧側酸素過渡期間との差に相当する期間に亘り燃料噴射弁に燃料を副噴射させるようにしても良い。その場合に、目標低圧側酸素量及び目標高圧側酸素量とは、内燃機関の運転状態に応じて要求される低圧EGRガス及び高圧EGRガス内における酸素量の目標値を意味する。
また、本発明においては、酸素濃度低下手段が燃料噴射弁に燃料を副噴射させる期間の
始期は低圧EGR指令手段および高圧EGR指令手段が低圧EGRガス量変更手段および高圧EGRガス量変更手段に指令を出す時であっても良い。そうすれば、低圧EGRガス量が不足してNOxの生成量が急激に増加し得る期間に、確実に酸素濃度の低下した排気を高圧EGR装置によって再循環させることができる。
また、高圧EGR過渡期間および低圧EGR過渡期間は内燃機関が吸入する吸気量と相関関係があると考えられる。また、吸気量は機関回転数と内燃機関の過給圧とに相関関係があり、更に過給圧は機関回転数と燃料噴射量とに相関関係があると考えられる。そこで、本発明において、低圧EGR過渡期間と高圧EGR過渡期間との差は、内燃機関の運転状態に基づいて取得されても良い。
例えば、低圧EGR過渡期間と高圧EGR過渡期間との差は、内燃機関の機関回転数と燃料噴射量、或いは機関回転数と過給圧とに基づいて取得されても良い。また、高圧EGR過渡期間と低圧EGR過渡期間との差は、上記パラメータとの関係を予め実験等により求めておき、これらの関係を格納したマップから読み出すことにより取得しても良いし、上記パラメータの関数から算出するようにしても良い。
これにより、内燃機関の運転状態が変動しても低圧EGR過渡期間と高圧EGR過渡期間との差を精度良く取得することができる。そして、低圧EGR過渡期間と高圧EGR過渡期間との差を精度良く取得することにより、酸素濃度低下手段は燃料噴射弁に燃料を運転状態に応じた最適な期間だけ副噴射させることが可能となる。
また、低圧EGR過渡期間と高圧EGR過渡期間との差は、低圧EGR経路と高圧EGR経路の容積(例えば、長さ、断面積等)にも依存する。EGR経路が長く、また該経路の断面積が大きいほど、内燃機関から排出された排気がEGRガスとして内燃機関に再び吸入されるまでの期間が長期に及ぶからである。
そこで、本発明において、前記低圧EGR過渡期間と高圧EGR過渡期間との差は、前記低圧EGR装置によって再循環される排気が流通する経路の容積と高圧EGR装置によって再循環される排気が流通する経路の容積との差に基づいて取得されるようにしても良い。
例えば、本発明における低圧EGR装置が、低圧EGR通路を流通する排気を冷却するEGRクーラと、該EGRクーラよりも上流側の部分とEGRクーラよりも下流側の部分とを連通するとともに低圧EGR通路を流れる排気の一部にEGRクーラを迂回させるEGRバイパス通路と、を備える場合には、低圧EGRガスにEGRクーラを迂回させるか否かによって低圧EGR過渡期間が変化する。これにより、低圧EGR過渡期間と高圧EGR過渡期間との差が変化する場合がある。
また、本発明における排気浄化システムが、過給された吸気を冷却するためのインタークーラと、吸気の一部にインタークーラを迂回させるインタークーラバイパス通路と、を備える場合に、再循環する低圧EGRガスにインタークーラを迂回させるか否かによって低圧EGR過渡期間が変化し、低圧EGR過渡期間と高圧EGR過渡期間との差が変化する場合がある。
従って、本発明においては、再循環する低圧EGRガスにEGRバイパス通路やインタークーラバイパス通路を流通させるか否かの条件に応じ、低圧EGR過渡期間と高圧EGR過渡期間との差を取得することが望ましい。例えば、上述したような機関回転数と過給圧と過渡期間の差との関係が格納されたマップや、関係式を上記の条件毎に予め実験的に求めておき、これらのマップや関係式を各条件に応じて使い分けるようにしても良い。
これにより、高圧EGR経路と低圧EGR経路の長さが相対的に変化しても精度良く低圧EGR過渡期間と高圧EGR過渡期間との差を取得することができる。その結果、酸素濃度低下手段が燃料噴射弁に燃料を副噴射させる期間をより好適に決定することができる。つまり、燃料を副噴射させる期間が長すぎて吸気の酸素濃度が過度に低下することを抑制できる。従って、これに起因する内燃機関の失火や、排出される未燃HCが過度に増加することを抑制できる。逆に、燃料を副噴射させる期間が短すぎることに起因して内燃機関から排出されるNOxが過度に増加することも抑制できる。
また、本発明においては、前記内燃機関の吸気の目標酸素濃度を決定する目標酸素濃度決定手段を更に備えていても良い。ここで、目標酸素濃度とは吸気の酸素濃度の目標値の意味であり、内燃機関の運転状態(例えば、機関負荷)に応じて定められても良い。
そして、低圧EGRガス量の増量後における目標酸素濃度が低いほど、過渡時における低圧EGRガス量の不足(つまり、低圧EGRガス内のCO量の不足)に起因して吸気の酸素濃度が目標酸素濃度よりも過度に高くなってしまう虞がある。
そこで、本発明における前記酸素濃度低下手段は、前記低圧EGR指令手段が前記低圧EGRガス量変更手段に前記低圧EGRガス量を増量させる指令を出した後における前記目標酸素濃度の、該指令を出す前における前記目標酸素濃度に対する低下度合いが大きいほど、前記燃料噴射弁に副噴射させる燃料の噴射量を多くするようにしても良い。
これにより、内燃機関における吸気の酸素濃度を目標酸素濃度まで確実かつ迅速に低下させるとともに、内燃機関におけるNOx生成量の増加をより効率よく少なくさせることができる。
また、前記目標酸素濃度決定手段は、少なくとも前記内燃機関に要求される機関負荷に基づいて前記目標酸素濃度を決定するようにしても良い。例えば、機関負荷と目標酸素濃度との関係を予め実験的に求めておいても良い。そして、該関係を格納したマップに低圧EGRガス量が増量される前後において要求される機関負荷をパラメータとしてアクセスすることで目標酸素濃度を導出するようにしても良い。
そうすれば、内燃機関の要求負荷に応じた好適な目標酸素濃度を取得することができる。つまり、吸気の酸素濃度を運転状態に最適な目標酸素濃度まで精度良く変更させることができる。
また、本発明によれば、酸素濃度低下手段が燃料噴射弁に燃料を副噴射させることによって酸素濃度が低下した排気は、高圧EGRガスに遅れて、低圧EGRガスとしても再循環される。そして、実際に再循環される低圧EGRガス量が増加し始め、特に低圧EGRガス量が目標低圧EGRガス量まで増量した後は、吸気の不活性ガス濃度が過剰となり、吸気の酸素濃度が必要以上に低下してしまう虞がある。
そこで、吸気の酸素濃度をより精度良く目標酸素濃度に維持するための本発明は、前記高圧EGR指令手段は、前記酸素濃度低下手段が前記燃料噴射弁に前記燃料の副噴射を終了させた後の所定期間に亘り前記高圧EGRガス量変更手段に前記高圧EGRガス量を減量させるようにしても良い。
これにより、燃料噴射弁から燃料が副噴射されることにより酸素濃度の低下した低圧EGRガスが再循環するときに、吸気中の酸素濃度が過度に低下することを抑制することが可能となる。つまり、内燃機関の失火が生じ、あるいは内燃機関から排出される未燃HC
が急増することを抑制できる。
所定期間の始期は燃料の副噴射が終了する時としても良く、その終期は予め実験的に求めておいても良い。
また、本発明における前記所定期間の始期は前記酸素濃度低下手段が前記燃料噴射弁に前記燃料の副噴射を終了させた時であって、且つ該所定期間は該酸素濃度低下手段が該燃料噴射弁に燃料を副噴射させる期間と略等しい期間であっても良い。これは、燃料噴射弁からの副噴射により酸素濃度が低下した排気が低圧EGRガスとして再循環する期間は、燃料噴射弁によって燃料が副噴射された期間と略等しいからである。
本発明によれば、上記のように酸素濃度が低下した排気が低圧EGRガスとして再循環する期間において、高圧EGRガス量を減量することによって、吸気の酸素濃度が過度に低くなることを抑制できる。そして、精度良く吸気の酸素濃度をできる。そして、目標酸素濃度決定手段を備えている場合には、吸気の酸素濃度を目標酸素濃度に精度良く維持することが可能となる。
また、本発明において、低圧EGR指令手段が低圧EGRガス量変更手段に低圧EGRガス量を増量させ、高圧EGR指令手段が高圧EGRガス量変更手段に高圧EGRガス量を増量させるときには、所定期間を「低圧EGR過渡期間と高圧EGR過渡期間との差に相当する期間」と略等しくさせるようにしても良い。
また、本発明においては、酸素濃度低下手段が燃料噴射弁に副噴射させる燃料噴射量が多いほど、より酸素濃度の低い排気が低圧EGRガスとして再循環される。従って、低圧EGRガスの酸素濃度が低いほど高圧EGRガス量をより少ない量まで減量する必要があると考えられる。
そこで、本発明における前記高圧EGR指令手段は、前記酸素濃度低下手段が前記燃料噴射弁に燃料を副噴射させるときの燃料の噴射量が多いほど前記高圧EGRガス量変更手段に前記高圧EGRガス量を少ない量まで減量させるようにしても良い。
これにより、燃料噴射弁から副噴射される燃料の噴射量に応じて、吸気の酸素濃度が過度に低くなることを確実に抑制できる。つまり、確実に未燃HCの排出量が急増することや内燃機関が失火することを抑制できる。
ところで、本発明では、低圧EGR指令手段が低圧EGRガス量変更手段に低圧EGRガス量を増量させるときに、酸素濃度低下手段が燃料噴射弁に燃料を副噴射させ、内燃機関から排出される排気の酸素濃度を低下させる。しかしながら、後述する所定の条件下において燃料噴射弁に燃料を副噴射させると吸気の酸素濃度が過度に低下してしまい望ましくない場合がある。
そこで、本発明においては、所定の条件が成立するときに前記酸素濃度低下手段が前記燃料噴射弁に燃料を副噴射させることを禁止する燃料副噴射禁止手段を、更に備えるようにしても良い。
本発明における前記所定の条件は、前記低圧EGR指令手段が前記低圧EGRガス量変更手段に前記低圧EGRガス量を増量させる指令を出す前に比べて該指令を出した後における前記内燃機関の吸気の目標酸素濃度が高いときに成立するようにしても良い。
例えば、内燃機関の吸気の目標酸素濃度は機関負荷(または、燃料噴射量)に関連付け
て決定される場合がある。そして、仮に吸気の酸素濃度が一定として考えると、機関負荷が高くなるほど燃焼室内における混合気の燃焼温度が上昇するためNOxの生成量が増加する傾向がある。従って、NOx生成量の増加を抑制する観点に因れば機関負荷が高いほど目標酸素濃度を低下させることが好ましい。
しかしながら、機関負荷がある程度高い領域においては、目標酸素濃度を過度に低くすると内燃機関から排出されるスモークが急激に増加したり、要求される出力が得られない等の不都合が発生する虞がある。従って、例えば中負荷から高負荷の領域では燃料噴射量が多くなるほど吸気の目標酸素濃度を高くせざるを得ない場合がある。そのような場合に、酸素濃度低下手段が燃料噴射弁に燃料を副噴射させると、吸気の酸素濃度が運転状態に適した目標酸素濃度よりも過度に低くなる虞がある。
これに対し、本発明では、低圧EGR指令手段が低圧EGRガス量変更手段に指令を出した後に要求される吸気の目標酸素濃度が高くなるときに、酸素濃度低下手段が燃料噴射弁に燃料を副噴射させることを禁止することができる。これにより、吸気の酸素濃度が目標酸素濃度よりも過度に低くなることを抑制できる。つまり、内燃機関から排出される未燃HCが急増することや内燃機関が失火することを抑制できる。
また、本発明における低圧EGRガス増量時の過渡時において、運転状態が変更されて機関負荷が増加した場合に、低圧EGR過渡期間中に低圧EGR指令手段が低圧EGRガス量変更手段に低圧EGRガス量を更に増量させる指令を出す場合がある。これは、低圧EGRガス量変更手段が低圧EGRガスを立て続けに増量させる場合であり、内燃機関に運転者から加速要求がなされた直後に、再度の加速要求がなされる場合等が例示できる。
ここで、先に行われた低圧EGRガス量の増量を「先の増量」、後に行われた低圧EGRガス量の増量を「後の増量」と称すと、後の増量がなされる時は、先の増量に対して燃料噴射弁から燃料が副噴射され、或いは副噴射により酸素濃度が低下した排気が高圧EGRガスまたは低圧EGRガスとして再循環されている最中である場合がある。そのようなときに、後の増量に対して酸素濃度低下手段が燃料噴射弁に副噴射をさせると、吸気の酸素濃度が必要以上に低下する虞がある。
そこで、本発明における前記所定の条件は、前記低圧EGR指令手段が前記低圧EGRガス量変更手段に前記低圧EGRガス量を目標低圧EGRガス量に増量させる指令を出した後であって該低圧EGRガス量が該目標低圧EGRガス量になる前に、該低圧EGR指令手段が該低圧EGRガス量変更手段に該低圧EGRガス量を増量する指令を出すときに成立するようにしても良い。
これにより、低圧EGRガス量が目標低圧EGRガス量まで増量し、低圧EGR過渡期間が経過するまでは、燃料副噴射手段からの更なる副噴射を禁止させることができる。これにより、確実に内燃機関から排出される未燃HCが急増することや内燃機関が失火することを抑制できる。
また、本発明における内燃機関の排気浄化システムは、前記低圧EGR通路は前記排気浄化装置よりも下流側の排気通路と前記コンプレッサよりも上流側の吸気通路とを接続しており、前記排気浄化装置よりも上流側の部分に設けられるとともに前記排気浄化装置に流入する排気中に還元剤を添加する還元剤添加弁を更に備えていても良い。
例えば、本発明の排気浄化装置が排気中のNOxを浄化するNOx触媒を担持している場合や、PMを捕集可能なパティキュレートフィルタ(以下、「フィルタ」という。)を備えている場合には、上記の還元剤添加弁から還元剤(例えば、燃料等)を排気中に添加
させる還元剤添加制御が行われる場合がある。これにより、排気に含まれる有害物質(NOx、PM等)の浄化処理(例えば、NOx還元処理、PM再生処理等)が実施され、或いは排気浄化装置の性能の再生処理(例えば、SOx被毒回復処理)が実施される。
ここで、上記の還元剤添加制御によって還元剤添加弁から還元剤が添加されると排気中の空燃比が低下する。そして、この酸素濃度の低下した排気は排気浄化装置を通過した後、低圧EGR装置によって再循環されることになる。そして、元々酸素濃度の低い排気が低圧EGRガスとして再循環されるときに、酸素濃度低下手段が燃料噴射弁に燃料を副噴射させると吸気の酸素濃度が過度に低下する虞がある。
そこで、本発明における前記所定の条件は、前記燃料添加弁が燃料を排気中に添加しているときに成立するようにしても良い。そうすれば、吸気の酸素濃度が過度に低下する虞があるときに燃料噴射弁が燃料を副噴射することを禁止することができる。従って、本発明によれば内燃機関から排出される未燃HCが急増することや内燃機関が失火することを確実に抑制することが可能となる。
本発明にあっては、高圧EGR装置と低圧EGR装置とを備えた内燃機関の排気浄化システムにおいて、内燃機関の機関負荷が増加するとともに、低圧EGRガス量を増量するときの過渡時においてNOxの生成量が過度に増加することを抑制できる。
以下に図面を参照して、この発明を実施するための最良の形態を例示的に詳しく説明する。尚、本実施の形態に記載されている構成要素の寸法、材質、形状、その相対配置等は、特に特定的な記載がない限りは、発明の技術的範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
図1は本実施例における内燃機関1と、その吸排気系及び制御系の概略構成を示す図である。図1に示す内燃機関1は、4つの気筒2を有するディーゼルエンジンである。内燃機関1には、気筒2の燃焼室に直接燃料を噴射する燃料噴射弁3を各気筒に備えている。
内燃機関1には、吸気マニホールド8が接続されており、吸気マニホールド8の各枝管は吸気ポートを介して各気筒2の燃焼室と連通されている。吸気マニホールド8と吸気通路9との接続部近傍には、吸気通路9内を流通する吸気の流量を調節可能な吸気絞り弁12が設けられている。また、吸気通路9における吸気絞り弁12よりも上流側には、吸気通路9を流れるガスを冷却するインタークーラ13が設けられている。
さらに、吸気通路9におけるインタークーラ13よりも上流側には、排気のエネルギーを駆動源として作動するターボチャージャ10のコンプレッサハウジング6が設けられている。また、コンプレッサハウジング6よりも上流側には吸気通路9内を流通する吸気量に対応した電気信号を出力するエアフローメータ14が配置されており、該エアフローメータ14よりも上流側にはエアクリーナ4が設けられている。吸気絞り弁12は電気配線を介して後述するECU22に接続されており、ECU22からの制御信号に基づいてその弁開度が制御されることで、吸気通路9を流れる吸気の流量を調節できる。
内燃機関1には、排気マニホールド18が接続されており、排気マニホールド18の各枝管は排気ポートを介して各気筒2の燃焼室と連通されている。排気マニホールド18にはターボチャージャ10のタービンハウジング7が接続されている。タービンハウジング7には排気通路19が接続されている。排気通路19には排気中のPMを捕集するパティ
キュレートフィルタ(以下、単に「フィルタ」という。)20が設けられている。排気通路19におけるフィルタ20よりも下流側には排気通路19を流通する排気の流量を調節する排気絞り弁11が設けられている。そして、この排気通路19は排気絞り弁11よりも下流側にて図示しないマフラーに接続されている。排気絞り弁11は電気配線を介してECU22に接続されており、ECU22からの制御信号に基づいてその弁開度が制御される事で、排気通路19を流れる排気の流量を調節する事ができる。
なお、排気通路19には、フィルタ20に限らず、吸蔵還元型NOx触媒や尿素選択還元型NOx触媒、酸化触媒等の排気浄化装置が備えられていても良い。また、本実施例においてはフィルタ20が本発明における排気浄化装置に相当する。
また、内燃機関1には、排気通路19におけるフィルタ20よりも下流側を通過する排気の一部を吸気通路9におけるコンプレッサハウジング6よりも上流側に再循環させる低圧EGR装置30が設けられている。この低圧EGR装置30は、排気通路19におけるフィルタ20よりも下流側であって且つ排気絞り弁11よりも上流側の部分と吸気通路9におけるコンプレッサハウジング6よりも上流側であって且つエアクリーナ4よりも下流側の部分とを連通する低圧EGR通路31と、低圧EGR通路31内を流れる排気(以下、「低圧EGRガス」という。)の流量を調節可能な低圧EGR弁32と、低圧EGR通路31における低圧EGR弁32よりも上流側を流れる低圧EGRガスを冷却する低圧EGRクーラ33とを備えている。
そして、低圧EGR弁32は電気配線を介してECU22に接続されており、ECU22からの制御信号に基づいてその弁開度が制御されることで、低圧EGRガスの流量(以下、「低圧EGRガス量」という。)を調節する事ができる。
さらに、内燃機関1には、排気マニホールド18を通過する排気の一部を吸気マニホールド8に再循環させる高圧EGR装置40が設けられている。この高圧EGR装置40は、排気マニホールド18と吸気マニホールド8とを連通する高圧EGR通路41と、高圧EGR通路41内を流れる排気(以下、「高圧EGRガス」という。)の流量を調節可能な高圧EGR弁42とを備えている。そして、高圧EGR弁42は電気配線を介してECU22に接続されており、ECU22からの制御信号に基づいてその弁開度が制御されることで、高圧EGRガスの流量(以下、「高圧EGRガス量」という。)を調節する事ができる。
以上述べたように構成された内燃機関1には、該内燃機関1及び吸排気系を制御するための電子制御ユニット(ECU:Electronic Control Unit)22が併設されている。こ
のECU22は、内燃機関1の運転条件や運転者の要求に応じて内燃機関1の運転状態等を制御するほか、低圧EGR弁32の開度(以下、「低圧EGR開度」という。D、高圧EGR弁42の開度(以下、「高圧EGR開度」という。D等を制御する。
ECU22には、エアフローメータ14や、機関回転数を検出するクランクポジションセンサ15、アクセル開度を検出するアクセルポジションセンサ16などの内燃機関1の運転状態の制御に係るセンサ類が電気配線を介して接続され、それらの出力信号がECU22に入力されるようになっている。一方、ECU22には、燃料噴射弁3、吸気絞り弁12、排気絞り弁11、低圧EGR弁32、高圧EGR弁42等が電気配線を介して接続されており、ECU22によって制御されるようになっている。
また、ECU22には、CPU、ROM、RAM等が備えられており、ROMには、内燃機関1の種々の制御を行うためのプログラムや、データを格納したマップが記憶されている。また、後述する各種ルーチンはECU22のROMに記憶されているプログラムの
一つである。
上記の構成において、エアクリーナ4から吸気通路9に導かれた空気は、コンプレッサハウジング6、インタークーラ13、吸気マニホールド8を経由して内燃機関1の燃焼室に過給される。
一方、各気筒2の燃焼室から排出された排気は排気マニホールド18を経由し、タービンハウジング7に流入してタービンを駆動する。そして、フィルタ20において排気中のPMが捕集され、PMが除去された排気が排気通路19を流れて大気中に排出される。
また、低圧EGR弁5が開弁されると、低圧EGR通路31が導通状態となり、フィルタ20から流出した排気の一部が低圧EGR通路31を経由して吸気通路9に流入する。吸気通路9に流入した低圧EGRガスはコンプレッサハウジング6、吸気マニホールド8を経由して内燃機関1の燃焼室に過給される。ここで、低圧EGR装置30によって行われるEGRを、以下、「低圧EGR」と称す。また、内燃機関1から排出された排気が低圧EGRガスとして再循環して内燃機関1に吸入されるまでに流通する経路を、「低圧EGR経路」と称す。
ここで、低圧EGRガス量は、排気絞り弁11の開度を調節して排気通路19における低圧EGR通路31との分岐部の排気の圧力を増減することによって調節することができる。例えば、排気絞り弁11の開度を閉弁側に調節すると、該分岐部における排気の圧力が上昇するため、低圧EGR通路31の上流側と下流側の差圧が増大し、低圧EGRガス量が増大する。
一方、高圧EGR弁42が開弁されると、高圧EGR通路41が導通状態となり、排気マニホールド18を流れる排気の一部が高圧EGR通路41を経由して吸気マニホールド8に流入し、内燃機関1の燃焼室に再循環される。ここで、高圧EGR装置40によって行われるEGRを、以下、高圧EGRと称す。また、内燃機関1から排出された排気が高圧EGRガスとして再循環して内燃機関1に吸入されるまでに流通する経路を、「高圧EGR経路」と称す。
高圧EGRガス量は、吸気絞り弁12の開度を調節して吸気マニホールド8における吸気の圧力を増減することによって調節することができる。例えば、吸気絞り弁12の開度を閉弁側に調節すると、吸気マニホールド8に流入する吸気の量が減るため、気筒2の吸気行程において吸気マニホールド8内のガスが気筒2に吸入されると、吸気マニホールド8における吸気の圧力が低下する。そのため、高圧EGR通路41の上流側と下流側の差圧が増大し、高圧EGRガス量が増大する。
<EGR制御>
本実施例における排気浄化システムでは、上記のように低圧EGRおよび/または高圧EGRによって排気の一部を内燃機関1の燃焼室に再循環させることによって、燃焼室内における燃焼温度が低下し、燃焼過程で発生するNOxの量を低下させることができる。
ここで、低圧EGR及び高圧EGRを好適に実施可能な内燃機関1の運転状態の条件はそれぞれ異なっている。これに対し、内燃機関1の運転状態に応じて低圧EGRと高圧EGRを切り替えて、或いは併用してEGRを行うことにより、内燃機関1に再循環される低圧EGRガス量と高圧EGRガス量とが運転状態に適した割合となるように制御される。
ここで、先ず、従来における内燃機関1の機関負荷Tqが増加するときのEGR制御に
ついて、図7に基づいて説明する。図7は、従来の機関負荷増加時のEGR制御において、吸気マニホールド内の高圧EGRガス量Gおよび低圧EGRガス量G、吸気の酸素濃度R、内燃機関におけるNOx生成量QNOXの推移を例示したタイムチャートである。(a)は、吸気マニホールド内の高圧EGRガス量Gの推移を例示したタイムチャートである。(b)は、吸気マニホールド内の低圧EGRガス量Gの推移を例示したタイムチャートである。(c)は、吸気マニホールド内における吸気の酸素濃度(以下、「吸気酸素濃度」という。)Rの推移を例示したタイムチャートである。(d)は、内燃機関におけるNOx生成量QNOXの推移を例示したタイムチャートである。
ここで、図7(a)に示すG0、G1は高圧EGRガス量Gの目標値である。また、図7(b)に示すG0、G1は低圧EGRガス量Gの目標値である。更に、図7(c)に示すR0、R1は吸気酸素濃度Rの目標値である。また、吸気酸素濃度Rは高圧EGRガスと低圧EGRガスと新気とから構成される吸気の酸素濃度を意味している。
図示の時点t0では内燃機関1の運転状態が変更され、機関負荷Tqが増加する。そうすると内燃機関1から排出されるNOx量が急激に増加する虞があるため吸気酸素濃度Rの目標値が低く変更される(図7(c)中R0→R1)。ここで、吸気酸素濃度Rが低くなれば燃焼室における混合気の燃焼温度が低下するためNOx生成量の増加を抑えることができるからである。また、吸気酸素濃度の目標値R1は要求負荷Tqに基づいて内燃機関1の運転状態に適するようにECU22によって決定される。
ここで、上述のように吸気酸素濃度の目標値R1が決定されると、このR1を得るために必要なEGR率(EGRガス量/(EGRガス量+新気量))の目標値が決定され、EGR率がこの目標値になるように高圧EGRガス量Gの目標値および低圧EGRガス量Gの目標値が時点t0において増量される(図7(a)中G0→G1、図7(b)中G0→G1)。本実施例においては高圧EGRガス量の目標値G1と低圧EGRガス量の目標値G1とが、それぞれ本発明における目標高圧EGRガス量と目標低圧EGRガス量とに相当する。
しかしながら、低圧EGR経路は高圧EGR経路に比べて長いため、高圧EGRガス量Gに比べて低圧EGRガス量Gの方が増量時の応答性が悪い。つまり、実際に高圧EGRガス量Gが目標値G1に増量するまでに要する期間(以下、「高圧EGR過渡期間」という。)ΔtDH(時点t0〜t1)に比べて、低圧EGRガス量Gが目標値G1に増量するまでに要する期間(以下、「低圧EGR過渡期間」という。)ΔtDL(時点t0〜t2)の方が長くなる。
このとき低圧EGR過渡期間ΔtDLが長くなるほど低圧EGRガス量Gが不足するため、低圧EGRガス量G内のCO量が不足する。従って、EGRガス全体におけるCO量の応答性が悪くなる。つまり、低圧EGR過渡期間ΔtDLと高圧EGR過渡期間ΔtDHとの差(以下、「応答遅れ期間」という。)tが長くなるほど吸気酸素濃度Rが目標値R1まで低下するのに時間を要することになる。その結果、吸気酸素濃度Rが目標値R1よりも過度に高い期間が長くなり、NOx生成量QNOXが急増する場合があった。
そこで、次に本実施例における内燃機関1の機関負荷Tqが増加するときのEGR制御について、図2に基づいて、詳しく説明する。図2は、本実施例の機関負荷増加時のEGR制御において、燃料噴射弁に出される指令信号、吸気マニホールドにおける高圧EGRガス内のCO量QCHおよび低圧EGRガス内のCO量QCL、吸気の酸素濃度R、内燃機関におけるNOx生成量QNOXの推移を例示したタイムチャートである。(a
)は、燃料噴射弁に出される指令信号の推移を例示したタイムチャートである。(b)高圧EGRガス内のCO量QCHの推移を例示したタイムチャートである。(c)は、低圧EGRガス内のCO量QCLの推移を例示したタイムチャートである。(d)は、吸気酸素濃度Rの推移を例示したタイムチャートである。(e)は、内燃機関におけるNOx生成量QNOXの推移を例示したタイムチャートである。
ここで、図2(a)中に示す指令信号が「ON」のときは燃料噴射弁3が開弁して燃料が副噴射され、指令信号が「OFF」のときは燃料噴射弁3が閉弁して燃料の副噴射が停止される。この副噴射は内燃機関1の燃焼サイクルにおける膨張行程から排気行程までの期間に行われる。従って、副噴射された燃料によって内燃機関1の出力に寄与することなく、排気の酸素濃度を低下させることができる。また、各図中に示す破線は、図7で示した従来のEGR制御を実施した場合の各タイムチャートを併せて図示したものである。また、図中の時点t0、t1、t2に関しては図7と同様であり詳しい説明を省略する。
ここで、時点t0では内燃機関1の機関負荷Tqが増加するとともに、吸気酸素濃度Rの目標値がR1に変更され、高圧EGRガス量Gの目標値および低圧EGRガス量Gの目標値がG1、G1に変更される。すなわち、本実施例においても、高圧EGRガス量Gおよび低圧EGRガス量Gの時間推移自体は、両者の応答性の違いから高圧EGR過渡期間ΔtDHよりも低圧EGR過渡期間ΔtDLが長くなる。
そこで、本実施例では、低圧EGRガス量G(言い換えると、低圧EGRガス内のCO量)が低圧EGR過渡期間ΔtDLに不足する場合においても吸気酸素濃度Rを目標値R1まで迅速に低下させるべく、EGRガスの酸素濃度自体を低下させることに着目した。つまり、吸気酸素濃度Rを下げるにはEGRガス内のCO量を増加させることが有効であり、本実施例では、このEGRガス内のCO量を増加させるために該EGRガスの酸素濃度自体を低下させることにした。
つまり、図2(a)に示すように、内燃機関1の機関負荷Tqが増加する時点0において、ECU22が燃料噴射弁3に燃料を副噴射させる。そして、副噴射により酸素濃度が低下した排気は、高圧EGRおよび低圧EGRによって再循環されることになる。
上述したように、高圧EGRおよび低圧EGRの応答性の違いから、酸素濃度が低下した排気は、先ず高圧EGRによって再循環される。これにより、図2(b)の実線に示すように、高圧EGRガスの酸素濃度をより低くすることにより、高圧EGRガス内のCO量QCHを従来(破線)に比べて増加させることができる。つまり、本実施例(実線)と従来例(破線)とにおいて、同時点における高圧EGRガス量Gは等しくなるが、本実施例では高圧EGRガスの酸素濃度が低いため、言い換えるとCO濃度が高いため、高圧EGRガス内のCO量QCHを増加することができる。
その結果、図2(d)に示すように、高圧EGR過渡期間ΔtDHが終了する時点t1までに吸気酸素濃度Rを目標値R1に近づけることができる。つまり、吸気酸素濃度Rが目標値R1よりも過度に高い期間が長くなることが抑制される。従って、本実施例においては図2(e)に示すように、内燃機関1の機関負荷Tqが増加する過渡時においてもNOx生成量QNOXの増加分をより少なくすることができる。
ここで、燃料噴射弁3から燃料を副噴射させる期間(以下、「副噴射期間」という。)Δtsと該副噴射期間Δtsに噴射される燃料噴射量(以下、「副燃料噴射量という。」)Qsについて詳しく説明する。図2(a)に示すように、副噴射期間Δtsの始期は時点t0であり、副噴射期間Δtsは応答遅れ期間Δtと等しくするものとした。
これは、吸気酸素濃度Rの目標値R1に対する応答遅れが生じるのは低圧EGR過渡期間ΔtDLが経過するまで(時点t0〜t2)であるが、副噴射によって酸素濃度が低下した排気が実際に高圧EGRガスとして再循環されるのもタイムラグが生じるため、これを考慮して低圧EGR過渡期間ΔtDLと高圧EGR過渡期間ΔtDHとの差だけ燃料噴射弁3から燃料を副噴射させることとした。これにより、特にNOx生成量QNOXが急激に増加し得る時点t1からt2に亘り高圧EGRガスの酸素濃度が低くなり、低圧EGRガス内のCO量QCLの不足分を補うことができる。
次に、副噴射期間Δtsに噴射される燃料噴射量(以下、「副燃料噴射量という。」)Qsについて説明する。本実施例における副燃料噴射量Qsは時点0において変更される目標吸気酸素濃度Rの差が大きいほど副燃料噴射量Qsを多くするものとした。R0に比べてR1が低いほど高圧EGRガスの酸素濃度を低下させて、迅速に目標吸気酸素濃度Rを低下させる必要があるからである。
<EGR過渡時制御ルーチン>
以下、ECU22によって行われるEGR制御について、図3のフローチャートを参照しながら説明する。図2は本実施例におけるEGR過渡時制御ルーチンを示すフローチャートである。本ルーチンはECU22内のROMに記憶されたプログラムであり、所定期間毎に実行される。
まず、ステップS101では、ECU22によって、内燃機関1の運転状態が検出される。具体的には、クランクポジションセンサ15によるクランク角度の検出値から内燃機関1の機関回転数NEが取得されるとともに、アクセルポジションセンサ16によるアクセル開度の検出値から内燃機関1の要求負荷Tqが取得される。
ステップS102では、ECU22によって、ステップS101において取得した要求負荷Tqに基づいて吸気酸素濃度Rの目標値R1が演算されるとともに、現在の吸気酸素濃度R0が取得される。具体的には、吸気酸素濃度Rの目標値R1は、例えば要求負荷Tqと吸気酸素濃度Rとの関係が格納されたマップから読み出すことによって吸気酸素濃度Rの目標値R1を導出しても良い。また、現在の吸気酸素濃度R0は、前回本ルーチンが実行されたときに演算された吸気酸素濃度Rの目標値を読み込むことにより取得しても良い。また、吸気マニホールド8に酸素濃度を検出する酸素濃度センサを設け、該酸素濃度センサの検出値に基づいて取得するようにしても良い。ここで、本実施例においては吸気酸素濃度Rの目標値を演算するECU22が、本発明における目標酸素濃度決定手段に相当する。そして、ステップS102の処理が終わるとステップS103に進む。
ステップS103では、ECU22によって、現在ECU22から出されている指令値を読み込むことにより、現在の低圧EGR開度D0と現在の高圧EGR開度D0とが取得される。そして、ステップS103の処理が終わるとステップS104に進む。
ステップS104では、機関回転数NEと要求負荷Tqとに基づいて低圧EGR開度Dの目標値(以下、「低圧EGR目標開度」という。)D1と高圧EGR開度Dの目標値(以下、「高圧EGR目標開度」という。)D1が演算される。この低圧EGR目標開度D1、高圧EGR目標開度D1は予め実験等により求められ、内燃機関1の運転状態の関数又はマップとしてECU22のROMに記憶されている。
具体的には、例えば機関回転数NEと要求負荷Tqとに応じたEGR率の目標値を求め、EGR率を目標値にするために最適な高圧EGRガス量Gの目標値G1、低圧EGRガス量Gの目標値G1を求めても良い。そして、高圧EGRガス量Gと低圧EG
Rガス量Gとが、それぞれ目標値G1、目標値G1となるような高圧EGR目標開度D1、低圧EGR目標開度D1を求めるようにしても良い。そして、ステップS104の処理が終わるとステップS105に進む。
ステップS105では、低圧EGR目標開度D1が現在の低圧EGR開度D0よりも開き側の開度であるか否かが判定される。つまり、本ステップでは、低圧EGR開度Dが増大される過渡時に、低圧EGRガス量Gが不足してNOx生成量QNOXが急増する虞があるか否かが判定される。
そして、低圧EGR目標開度D1が現在の低圧EGR開度D0よりも開き側の開度であると判定された場合には、ステップS106に進む。一方、低圧EGR目標開度D1が現在の低圧EGR開度D0と同一開度または閉じ側の開度であると判定された場合には、本ルーチンを一旦終了する。
続くステップS106では、ステップS104で演算された高圧EGR目標開度D1が零でないか否かが判定される。そして、高圧EGR目標開度D1が零ではないと判定された場合には、ステップS107に進む。一方、高圧EGR目標開度D1が零と判定された場合には、本ルーチンを一旦終了する。このときは、後述するステップにおいて燃料噴射弁3から燃料を副噴射させても、酸素濃度の低下した排気を高圧EGRガスとして再循環させることができないからである。
続くステップS107では、ECU22によって、燃料添加弁3に燃料を副噴射させる副噴射期間Δtsが、機関回転数NEと過給圧Pbとに基づいて演算される。上述したように、本実施例における副噴射期間Δtsは応答遅れ期間Δtと等しくされる。そして、本実施例における応答遅れ期間Δtは予め実験等により求められ、内燃機関1の機関回転数NEと過給圧Pbの関数又はマップとしてECU22のROMに記憶されている。また、過給圧Pbは機関回転数NEと要求負荷Tqと過給圧Pbの関係が格納されたマップから読み出すことにより導出しても良い。そして、ステップS107の処理が終わるとステップS108に進む。
ステップS108では、ECU22によって、吸気酸素濃度の目標値R1と現在の吸気酸素濃度R0との差に基づいて副燃料噴射量Qsが演算される。本ルーチンでは吸気酸素濃度の目標値R1と現在の吸気酸素濃度R0との差が大きいほど、副燃料噴射量Qsが多くなるように算出される。そして、ステップS108の処理が終わるとステップ109に進む。
ステップS109では、ECU22が低圧EGR弁32および高圧EGR弁42に指令を出し、低圧EGR開度Dと高圧EGR開度Dが、それぞれ低圧EGR目標開度D1および高圧EGR目標開度D1に変更される。さらに、同時にECU22からの指令によって燃料噴射弁3から燃料が副噴射される。この副噴射はステップS107で演算された副噴射期間Δts(応答遅れ期間Δt)に亘り、ステップS108で演算された副燃料噴射量Qsだけ噴射されるように実施される。そして、ステップS109の処理が終わると本ルーチンを一旦終了する。
ここで、本実施例においては、低圧EGR開度Dを変更する低圧EGR弁32が本発明における低圧EGRガス量変更手段に相当し、高圧EGR開度Dを変更する高圧EGR弁42が本発明における高圧EGRガス量変更手段に相当する。また、本実施例において、低圧EGR弁32および高圧EGR弁42に指令を出すECU22が本発明における低圧EGR指令手段および高圧EGR指令手段に相当する。更に、本実施例においては、燃料噴射弁3に燃料を副噴射させるECU22が本発明における酸素濃度低下手段に相当
する。
また、上記ルーチンにおいて、副噴射期間Δtsは応答遅れ期間Δtと等しく、高圧EGRガス量G及び低圧EGRガス量Gがそれぞれ目標値G1及び目標値G1に増加するまでに要する期間とする例を説明したが、これに限定される趣旨でない。例えば、高圧EGRガス内のCO量及び低圧EGRガス内のCO量に基づいて副噴射期間Δtsを精度良く求めるようにしても良い。
その場合には、例えば、低圧EGR通路31における低圧EGR弁32よりも下流側に低圧EGRガス内のCO濃度を検出する第1COセンサ(図示省略)を備え、高圧EGR通路41における高圧EGR弁42よりも下流側に高圧EGRガス内のCO濃度を検出する第2COセンサ(図示省略)を備えるようにしても良い。そして、第1COセンサにより検出されるCO濃度と低圧EGRガス量Gとにより低圧EGRガス内のCO量を、第2COセンサにより検出されるCO濃度と高圧EGRガス量Gとにより高圧EGRガス量内のCO量を算出することができる。
そして、高圧EGRガス内のCO量及び低圧EGRガス内のCO量が内燃機関1の運転状態に最適となるそれぞれの目標値まで増加するまでの期間の差を上記の副噴射期間Δtsとするようにしても良い。そうすれば、低圧EGRガス内のCO濃度、高圧EGRガス内のCO濃度が随時変化する場合においても、より好適な期間に亘り燃料噴射弁3に燃料を副噴射させることができる。
以上のように、本実施例におけるEGR制御によれば、低圧EGRガス量Gが増量される過渡時において、吸気酸素濃度Rを目標値R1まで迅速に低下させることができる。これにより、吸気酸素濃度Rが目標値R1よりも過度に高い期間が長くなることが抑制し、NOx生成量QNOXが急増することを抑制できる。
次に、本発明に係る内燃機関1の排気浄化システムの実施例1とは異なる実施例について説明する。図4は、本実施例における内燃機関1と、その吸排気系及び制御系の概略構成を示す図である。ここで、実施例1の排気浄化システムと同一又は同等の構成部分については同一の符号を付して詳しい説明を省略する。
本実施例と実施例1に係る排気浄化システムでは以下の点で相違する。即ち、本実施例における排気浄化システムでは排気通路19におけるタービンハウジング7よりも下流側であってフィルタ20よりも上流側の部分に還元剤としての燃料を排気中に添加する燃料添加弁45が備えられている。この燃料添加弁45はECU22に電気配線を介して接続されており、ECU22によって制御されるようになっている。また、フィルタ20には排気中のNOxを浄化する吸蔵還元型NOx触媒が担持されている。
また、低圧EGR通路31には、低圧EGRクーラ33の上流側の部分と下流側の部分とを連通するとともに低圧EGRガスに低圧EGR通路31を迂回させるEGRクーラバイパス通路34が設けられている。さらに、低圧EGR通路31と低圧EGRバイパス通路34との連通部の一には該低圧EGR通路31と低圧EGRバイパス通路34の何れにガスを通過させるかを切替可能な第1流路切替弁35が設けられている。
また、吸気通路9には、インタークーラ13の上流側の部分と下流側の部分とを連通するとともにインタークーラ13を流通するガス(新気、低圧EGRガス等)に該インタークーラ13を迂回させるインタークーラバイパス通路36が設けられている。さらに、吸気通路9とインタークーラバイパス通路36との連通部の一には該吸気通路9とインター
クーラバイパス通路36の何れにガスを通過させるかを切替可能な第2流路切替弁37が設けられている。
また、第1流路切替弁35、第2流路切替弁37はECU22に電気配線を介して接続されており、これらのECU22によって制御されるようになっている。また、第1流路切替弁35と第2流路切替弁37において、低圧EGRガスに低圧EGRクーラ33およびインタークーラ13を流通させる制御がなされるときの切替弁の停止位置を「流通側位置」、迂回させる制御がなされるときの切換弁の停止位置を「迂回側位置」と称す。
<EGR制御の変形例>
次に、実施例1で説明したEGR制御とは異なるEGR制御について、説明する。上述したように本発明に係るEGR制御では、高圧EGRガス量Gおよび低圧EGRガス量Gの増量時に燃料噴射弁3から燃料が副噴射される。そして、酸素濃度が低下した排気は高圧EGRのみならず低圧EGRによっても再循環されるため、実際に低圧EGRガス量Gが増量し始めると酸素濃度の低下した低圧EGRガスが吸気マニホールド8に流入することになる(図2(c)参照。)。そうすると、特に低圧EGR過渡期間ΔtDLが経過した後(図2における時点t2以降)には、吸気マニホールド8内のCO量が過剰になり、吸気酸素濃度Rが目標値R1よりも過度に低くなってしまうことも考えられる。
ここで、副噴射によって酸素濃度の低下した排気が低圧EGRによって再循環する期間は上述した副噴射期間Δtsと略等しい。従って、本実施例では、副噴射が終了した時点から副噴射期間Δtsに亘り高圧EGRガス量GをG1から該G1よりも少ないG2まで減量することにした。このように、燃料の副噴射により酸素濃度の低下した低圧EGRガスが再循環するときには、高圧EGRガス量Gを減量して、高圧EGRガス内のCO量を減量する。これにより、で吸気マニホールド8内のCO量が過剰になることを抑制できる。
ここで、高圧EGRガス量Gの目標値がG2に維持される期間を高圧EGR減量期間Δtrと称す。本実施例においては高圧EGR減量期間Δtrが本発明における所定期間に相当する。そして、本実施例における高圧EGR減量期間Δtrの始期は燃料噴射弁3による副噴射が終了した時であって、その期間は副噴射期間Δts(つまり、応答遅れ期間Δt)に等しくすることとした。
また、本実施例においては、燃料噴射弁3から副噴射される副燃料噴射量Qsが多いほど、高圧EGRガス量の目標値G2が少ない量に決定される。これは、副燃料噴射量Qsが多いほど酸素濃度の低い排気が低圧EGRガスとして再循環し、吸気酸素濃度Rが低くなるからである。
<第2EGR過渡時制御ルーチン>
以下、ECU22によって行われる本実施例のEGR制御について、図5のフローチャートを参照しながら説明する。図5は本実施例における第2EGR過渡時制御ルーチンを示すフローチャートである。本ルーチンはECU22内のROMに記憶されたプログラムであり、所定期間毎に実行される。
また、本ルーチンと実施例1のEGR過渡時制御ルーチンとにおいて、処理内容が同一のステップは、同じ数字を用いることで詳しい説明を省略する。すなわち、ステップS101〜S106は、EGR過渡時制御ルーチンにおいて対応するステップにおける処理内容と同様である。そして、ステップS106において肯定判定がなされた場合には、ステップS201に進む。
ステップS201では、ECU22によって副噴射禁止条件が成立していないかどうかが判定される。この副噴射禁止条件とは、燃料噴射弁3から燃料を副噴射させると吸気酸素濃度Rが過度に低くなり得るときの条件であり、詳しくは後述する。そして、本ステップにおいて、副噴射禁止条件が成立していると判定された場合には、燃料噴射弁3から燃料を副噴射させると吸気酸素濃度Rが過度に低くなる虞があると判断され、本ルーチンを一旦終了する。一方、副噴射禁止条件が成立していないと判定された場合には、燃料噴射弁3から燃料を副噴射させても吸気酸素濃度Rが過度に低くなる虞がないと判断され、ステップS202に進む。
続くステップS202では、ECU22によって第1流路切替弁35と第2流路切替弁37における切替弁の停止位置が読み込まれる。すなわち、切替弁が「流通側位置」と「迂回側位置」との何れに停止しているかが読み込まれる。そして、ステップS202の処理が終わるとステップS203に進む。
続くステップS203では、燃料の副噴射期間Δtsが演算される。本実施例においても副噴射期間Δtsは応答遅れ期間Δtと等しくするものとした。そして応答遅れ期間Δtは上述したように、内燃機関1の機関回転数NEと過給圧Pbの関数又はマップとしてECU22のROMに記憶されており、過給圧Pbと機関回転数NEとをパラメータとして演算される。しかしながら、第1流路切替弁35と第2流路切替弁37における切替弁の停止位置が「流通側位置」と「迂回側位置」との何れに停止しているかによって低圧EGR経路の長さが変化するため、応答遅れ期間Δtが異なる場合がある。従って、本実施例では切替弁の停止位置が「流通側位置」と「迂回側位置」とでは異なる上記関数またはマップを予め用意し、切替弁の停止位置に応じて上記マップ等を使い分けて精度良く応答遅れ期間Δtが演算される。そして、ステップS203の処理が終わるとステップS108に進む。
ここで、ステップS108はEGR過渡時制御ルーチンにおいて対応するステップにおける処理内容と同様であり、詳しい説明を省略する。そして、ステップS108の処理が終わるとステップS204に進む。
ステップS204では、ステップS108において演算された副燃料噴射量Qsに基づいて高圧EGRガス量の目標値G2が演算される。上述のように、高圧EGRガス量の目標値G2は目標値G1よりも少なく、且つ副燃料噴射量Qsが多いほど少なくなるように決定される。具体的には、副燃料噴射量Qsと高圧EGRガス量の目標値G1およびG2との関係が格納されたマップから読み出すことによって高圧EGRガス量の目標値G2が導出される。そして、ステップS204の処理が終わるとステップS205に進む。
ステップS205では、高圧EGRガス量Gが高圧EGRガス量の目標値G2になるような第2高圧EGR目標開度D2が演算される。この第2高圧EGR目標開度D2は予め実験等により求めておき、例えば高圧EGRガス量の目標値G1と高圧EGR目標開度D1と高圧EGRガス量の目標値G2との関数又はマップとしてECU22のROMに記憶しておいても良い。そして、ステップS205の処理が終わるとステップS109に進む。
続くステップS109は、EGR過渡時制御ルーチンにおいて対応するステップにおける処理内容と同様であり、詳しい説明を省略する。そして、ステップS109の処理が終わるとステップS206に進む。
ステップS206では、高圧EGR開度DがステップS205で演算された第2高圧EGR目標開度D2に変更され、高圧EGR開度Dは副噴射期間Δts(応答遅れ期間Δt)に亘り第2高圧EGR目標開度D2に維持される。そして、ステップS206の処理が終わると、ステップS207に進む。
ステップS207では、高圧EGR開度Dが第2高圧EGR目標開度D2から再び高圧EGR目標開度D1に変更され、ステップS207の処理が終わると、本ルーチンを一旦終了する。
以上のように、本実施例におけるEGR制御によれば、低圧EGR過渡期間ΔtDLが経過した後においても、吸気酸素濃度Rが目標値R1に比べて過度に低くなってしまうことを抑制できる。
<副噴射禁止条件>
次に、上述の第2EGR過渡時制御ルーチンにおけるステップ201で実行される処理について詳しく説明する。つまり、上記EGR制御における副噴射禁止条件について説明する。
ここで、燃料噴射弁3から燃料を副噴射させることに起因して吸気酸素濃度Rが目標値R1よりも過度に低くなり得る条件下では、副噴射を禁止することが好ましい。そこで、本実施例では、所定の副噴射禁止条件が成立するときに、ECU22は、燃料噴射弁3による燃料の副噴射を禁止することとした。なお、本実施例において副噴射禁止条件が、本発明における所定の条件に相当する。また、本実施例において燃料の副噴射を禁止するECU22が、本発明における燃料副噴射禁止手段に相当する。
ここで、図6は本実施例における内燃機関1の要求負荷Tqと吸気酸素濃度の目標値R1との関係を例示した図である。横軸には要求負荷Tqを、縦軸には吸気酸素濃度の目標値R1を示す。
図示のように、要求負荷Tqが図中の点aから点bに推移する場合には吸気酸素濃度の目標値R1が低く変更される場合がある。これは、要求負荷Tqが増加することに起因してNOx生成量QNOXが増加することを抑制する必要があるからである。一方、図中の点cから点dに推移する場合には吸気酸素濃度の目標値R1が高く変更される場合がある。仮に酸素濃度を低く変更すると内燃機関1から排出されるスモーク等が急増したり、該内燃機関1の出力低下等の不都合が生じる虞があるからである。
そこで、本実施例におけるEGR制御では、高圧EGRガス量Gおよび低圧EGRガス量Gの増量時において、吸気酸素濃度の目標値R1が高く変更されるときに副噴射禁止条件を成立させて、燃料の副噴射を禁止するようにしても良い。
つまり、第2EGR過渡時制御ルーチンにおけるステップ201では以下に示す処理が実行されても良い。すなわちステップ201では、ステップS102で取得された現在の吸気酸素濃度R0と同ステップで演算された吸気酸素濃度の目標値R1とに基づいて、吸気酸素濃度の目標値R1が現在の吸気酸素濃度R0以下であるか否かが判定される。そして、吸気酸素濃度の目標値R1が現在の吸気酸素濃度R0以下であると判定された場合には、燃料噴射弁3により燃料を副噴射させても吸気酸素濃度Rが目標値R1よりも過度に低くなる虞がないと判断される。つまり、第2EGR過渡時制御ルーチンのステップ201において副噴射禁止条件が成立していないと判定され、ステップ202以降の処理が実行される。
一方、吸気酸素濃度の目標値R1が現在の吸気酸素濃度R0よりも高いと判定された場合には、副噴射禁止条件が成立していると判定され、第2EGR過渡時制御ルーチンが一旦終了される。
以上のような副噴射禁止条件によれば、燃料噴射弁3から燃料を副噴射させることに起因して吸気酸素濃度Rが過度に低くなり得る条件下において、効率的かつ合理的に副噴射を禁止することができる。
次に、上記条件とは異なる副噴射禁止条件について説明する。ここで、内燃機関1の運転状態によってはECU22が低圧EGRガス量Gを目標値G0から目標値G1に増量させたときの過渡時において、つまり低圧EGR過渡期間ΔtDLが経過する前に、更にECU22が低圧EGRガス量の目標値をG1よりも多いG2に変更する場合も考えられる。そのようなときにに燃料の副噴射を行うと吸気酸素濃度Rが過度に低くなる虞がある。
そこで、本実施例におけるEGR制御では、低圧EGR過渡期間ΔtDLが経過するまでの期間は、副噴射禁止条件を成立させて、燃料の副噴射を禁止するようにしても良い。
つまり、第2EGR過渡時制御ルーチンにおけるステップ201では以下に示す処理が実行されても良い。すなわちステップ201では、まず、ステップS103で取得された現在の低圧EGR開度D0が現在までに維持されている期間(以下、「低圧EGR開度維持期間」という。)Δtmが取得される。そして、次に機関回転数NEと過給圧Pbとに基づいて低圧EGR過渡期間ΔtDLが演算される。具体的には、例えばLPL過渡期間ΔtDLは、内燃機関1の機関回転数NEと過給圧Pbの関数又はマップとして予め実験等により求めておき、ECU22のROMに記憶させておいても良い。
そして、次に低圧EGR開度維持期間Δtmが低圧EGR過渡期間ΔtDL以上であるか否かが判定される。そして、低圧EGR開度維持期間Δtmが低圧EGR過渡期間ΔtDL以上であると判定された場合には、第2EGR過渡時制御ルーチンのステップ201において副噴射禁止条件が成立していないと判定される。つまり、その後はステップ202以降の処理が実行される。
一方、低圧EGR開度維持期間Δtmが低圧EGR過渡期間ΔtDLよりも短いと判定された場合には、副噴射禁止条件が成立していると判定される。つまり、第2EGR過渡時制御ルーチンが一旦終了される。
以上のような副噴射禁止条件によれば、燃料噴射弁3から燃料を副噴射させることに起因して吸気酸素濃度Rが過度に低くなり得る条件下において、効率的かつ合理的に副噴射を禁止することができる。
さらに、上記とは異なる副噴射禁止条件について説明する。本実施例に係る排気浄化システムは燃料添加弁45を備えており、ECU22からの指令により燃料添加弁45に還元剤としての燃料を排気中に添加させる燃料添加制御が実施される場合がある。この燃料添加制御は、例えば吸蔵還元型NOx触媒を担持しているフィルタ20に対するNOx還元処理、SOx被毒回復処理、PM再生処理や、フィルタ20を活性化温度以上に維持するためのフィルタ20の昇温制御を行うときなどに実施される。
そして、上記の燃料添加制御が実施されると酸素濃度の低下した排気が低圧EGRガスとして再循環される。そのため、そのようなときに燃料噴射弁3から燃料を副噴射させると、吸気酸素濃度Rが吸気酸素濃度の目標値R1よりも過度に低くなる虞がある。そ
こで、本実施例におけるEGR制御では、燃料添加弁45が燃料を排気中に添加しているときには、副噴射禁止条件を成立させて、燃料の副噴射を禁止するようにしても良い。
つまり、第2EGR過渡時制御ルーチンにおけるステップ201では以下に示す処理が実行されても良い。すなわちステップ201では、燃料添加弁45が燃料を排気中に添加しているか否かが判定される。そして、燃料添加弁45が燃料を排気中に添加していないと判定された場合には、第2EGR過渡時制御ルーチンのステップ201において副噴射禁止条件が成立していないと判定される。一方、燃料添加弁45が燃料を排気中に添加していると判定された場合には、副噴射禁止条件が成立していると判定される。
以上のような副噴射禁止条件の成立要件に従い、本実施例における副噴射禁止条件が成立しているか否かを判定することができる。これにより、燃料噴射弁3から燃料を副噴射させると吸気酸素濃度Rが過度に低くなる虞のある条件下では、確実に燃料の副噴射を禁止することができる。つまり、内燃機関1から排出される未燃HCが急増することや内燃機関が失火することを確実に抑制することが可能となる。
ここで、実施例1および実施例2においては、内燃機関1の機関負荷Tqが増加するときのEGR制御について、ECU22から高圧EGRガス量Gおよび低圧EGRガス量Gを増量させる指令が出される場合を例示的に説明したが、本発明の適用はこれに限定される趣旨ではない。少なくとも低圧EGRガス量Gを増量させる指令が出され、その後における排気の再循環が低圧EGRと高圧EGR装置とを併用して行われるときであれば本発明を適用することができる。
つまり、低圧EGRガス量Gを増量する指令が出されるならば、機関負荷Tqが増加する前後において高圧EGRガス量Gが変更されない場合でも、あるいは零以外のガス量に減量される場合においても本発明を適用することができる。少なくとも低圧EGRガス量Gが増量されれば、過渡時には低圧EGRガス量Gが不足する虞があり、本発明を適用することによって過渡時におけるNOx生成量の急増を抑制できるからである。
また、内燃機関1の運転状態が、低圧EGRと高圧EGRが併用されてEGRが行われる領域から低圧EGRのみが行われる領域に変更される場合には、ECU22が低圧EGRガス量Gを増量させるとともに、高圧EGRガス量Gを零にする指令が出される場合がある。そのような場合においても、低圧EGR過渡期間ΔtDLが経過するまでは高圧EGRガス量Gを零まで減量せずに本発明に係るEGR制御を実施しても良い。そして、低圧EGR過渡期間ΔtDLが経過した後に高圧EGRガス量Gを零に変更するようなEGR制御がなされても良い。
そうすれば、ECU22から高圧EGRガス量Gを零にする指令が出される場合においても、低圧EGRガス量Gが不足する過渡時には酸素濃度の低下した排気を高圧EGRによって再循環させ、吸気酸素濃度Rが吸気酸素濃度の目標値R1よりも過度に高くなることを抑制することができる。
実施例1における内燃機関と、その吸排気系及び制御系の概略構成を示す図である。 実施例1における機関負荷増加時のEGR制御において、燃料噴射弁に出される指令信号、吸気マニホールドにおける高圧EGRガス内のCO量QCHおよび低圧EGRガス内のCO量QCL、吸気の酸素濃度R、内燃機関におけるNOx生成量QNOXの推移を例示したタイムチャートである。(a)は、燃料噴射弁に出される指令信号の推移を例示したタイムチャートである。(b)高圧EGRガス内のCO量QCHの推移を例示したタイムチャートである。(c)は、低圧EGRガス内のCO量QCLの推移を例示したタイムチャートである。(d)は、吸気酸素濃度Rの推移を例示したタイムチャートである。(e)は、内燃機関におけるNOx生成量QNOXの推移を例示したタイムチャートである。 実施例1におけるEGR過渡時制御ルーチンを示すフローチャートである。 実施例2における内燃機関と、その吸排気系及び制御系の概略構成を示す図である。 実施例2における第2EGR過渡時制御ルーチンを示すフローチャートである。 実施例2における内燃機関の要求負荷Tqと吸気酸素濃度の目標値R1との関係を例示した図である。 従来の機関負荷増加時のEGR制御において、吸気マニホールド内の高圧EGRガス量Gおよび低圧EGRガス量G、吸気の酸素濃度R、内燃機関におけるNOx生成量QNOXの推移を例示したタイムチャートである。(a)は、吸気マニホールド内の高圧EGRガス量Gの推移を例示したタイムチャートである。(b)は、吸気マニホールド内の低圧EGRガス量Gの推移を例示したタイムチャートである。(c)は、吸気酸素濃度Rの推移を例示したタイムチャートである。(d)は、内燃機関におけるNOx生成量QNOXの推移を例示したタイムチャートである。
符号の説明
1・・・内燃機関
2・・・気筒
3・・・燃料噴射弁
4・・・エアクリーナ
6・・・コンプレッサハウジング
7・・・タービンハウジング
8・・・吸気マニホールド
9・・・吸気通路
10・・ターボチャージャ
11・・排気絞り弁
12・・吸気絞り弁
13・・インタークーラ
14・・エアフローメータ
15・・クランクポジションセンサ
16・・アクセルポジションセンサ
18・・排気マニホールド
19・・排気通路
20・・パティキュレートフィルタ
22・・ECU
30・・低圧EGR装置
31・・低圧EGR通路
32・・低圧EGR弁
33・・低圧EGRクーラ
40・・高圧EGR装置
41・・高圧EGR通路
42・・高圧EGR弁

Claims (13)

  1. 一端が内燃機関に接続されて該内燃機関からの排気が通過する排気通路と、
    前記排気通路に設けられるとともに前記内燃機関から排出される排気を浄化する排気浄化装置と、
    前記内燃機関の気筒内に燃料を主噴射する燃料噴射弁と、
    前記排気通路における前記排気浄化装置よりも上流側に設けられたタービンおよび前記内燃機関の吸気通路に設けられたコンプレッサを有するターボチャージャと、
    前記タービンよりも下流側の排気通路と前記コンプレッサよりも上流側の吸気通路とを接続する低圧EGR通路を有し、該低圧EGR通路を介して排気の一部を前記内燃機関に再循環させる低圧EGR装置と、
    前記タービンよりも上流側の排気通路と前記コンプレッサよりも下流側の吸気通路とを接続する高圧EGR通路を有し、該高圧EGR通路を介して排気の一部を前記内燃機関に再循環させる高圧EGR装置と、
    を備え、前記高圧EGR装置と前記低圧EGR装置とを切り替えて、或いは併用して排気の再循環を行う内燃機関の排気浄化システムにおいて、
    前記低圧EGR装置によって再循環される排気の流量である低圧EGRガス量を変更可能な低圧EGRガス量変更手段と、
    前記低圧EGRガス量変更手段に前記低圧EGRガス量を変更させる指令を出す低圧EGR指令手段と、
    前記内燃機関の機関負荷が増加するとともに前記低圧EGR指令手段が前記低圧EGRガス量変更手段に前記低圧EGRガス量を増量させるときであって且つその後における前記排気の再循環が前記高圧EGR装置と前記低圧EGR装置とを併用して行われるときに、前記燃料噴射弁に主噴射よりも後の所定時期において燃料を副噴射させることにより前記排気の酸素濃度を低下させる酸素濃度低下手段と、
    を備えることを特徴とする内燃機関の排気浄化システム。
  2. 前記高圧EGR装置によって再循環される排気の流量である高圧EGRガス量を変更可能な高圧EGRガス量変更手段と、
    前記高圧EGRガス量変更手段に前記高圧EGRガス量を変更させる指令を出す高圧EGR指令手段と、を更に備え、
    前記低圧EGR指令手段から前記低圧EGRガス量を目標低圧EGRガス量に、前記高圧EGR指令手段から高圧EGRガス量を目標高圧EGRガス量に増量する指令が出された時に、
    前記酸素濃度低下手段は、前記低圧EGR指令手段から前記低圧EGRガス量変更手段に指令が出された時から前記低圧EGRガス量が前記目標低圧EGRガス量になるまでに要する期間である低圧EGR過渡期間と、前記高圧EGR指令手段から前記高圧EGRガス量変更手段に指令が出された時から前記高圧EGRガス量が前記目標高圧EGRガス量になるまでに要する期間である高圧EGR過渡期間との差に相当する期間に亘り前記燃料噴射弁に燃料を副噴射させることを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の排気浄化システム。
  3. 前記低圧EGR過渡期間と高圧EGR過渡期間との差は、前記内燃機関の運転状態に基づいて取得されることを特徴とする請求項2に記載の内燃機関の排気浄化システム。
  4. 前記低圧EGR過渡期間と高圧EGR過渡期間との差は、前記低圧EGR装置によって再循環される排気が流通する経路の容積と高圧EGR装置によって再循環される排気が流通する経路の容積との差に基づいて取得されることを特徴とする請求項2または3に記載の内燃機関の排気浄化システム。
  5. 前記内燃機関の吸気の目標酸素濃度を決定する目標酸素濃度決定手段を更に備え、
    前記酸素濃度低下手段は、前記低圧EGR指令手段が前記低圧EGRガス量変更手段に前記低圧EGRガス量を増量させる指令を出した後における前記目標酸素濃度の、該指令を出す前における前記目標酸素濃度に対する低下度合いが大きいほど、前記燃料噴射弁に副噴射させる燃料の噴射量を多くすることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の内燃機関の排気浄化システム。
  6. 前記目標酸素濃度決定手段は、少なくとも前記内燃機関に要求される機関負荷に基づいて前記目標酸素濃度を決定することを特徴とする請求項5に記載の内燃機関の排気浄化システム。
  7. 前記高圧EGR指令手段は、前記酸素濃度低下手段が前記燃料噴射弁に前記燃料の副噴射を終了させた後の所定期間に亘り前記高圧EGRガス量変更手段に前記高圧EGRガス量を減量させることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の内燃機関の排気浄化システム。
  8. 前記所定期間の始期は前記酸素濃度低下手段が前記燃料噴射弁に前記燃料の副噴射を終了させた時であって、且つ該所定期間は該酸素濃度低下手段が該燃料噴射弁に燃料を副噴射させる期間と略等しいことを特徴とする請求項7に記載の内燃機関の排気浄化システム。
  9. 前記高圧EGR指令手段は、前記酸素濃度低下手段が前記燃料噴射弁に燃料を副噴射させる燃料の噴射量が多いほど前記高圧EGRガス量変更手段に前記高圧EGRガス量を少ない量まで減量させることを特徴とする請求項7または8に記載の内燃機関の排気浄化システム。
  10. 所定の条件が成立するときに前記酸素濃度低下手段が前記燃料噴射弁に燃料を副噴射させることを禁止する燃料副噴射禁止手段を、更に備えることを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の排気浄化システム。
  11. 前記所定の条件は、前記低圧EGR指令手段が前記低圧EGRガス量変更手段に前記低圧EGRガス量を増量させる指令を出す前に比べて該指令を出した後における前記内燃機関の吸気の目標酸素濃度が高いときに成立することを特徴とする請求項10に記載の内燃機関の排気浄化システム。
  12. 前記所定の条件は、前記低圧EGR指令手段が前記低圧EGRガス量変更手段に前記低圧EGRガス量を目標低圧EGRガス量に増量させる指令を出した後であって該低圧EGRガス量が該目標低圧EGRガス量になる前に、該低圧EGR指令手段が該低圧EGRガス量変更手段に該低圧EGRガス量を増量する指令を出すときに成立することを特徴とする請求項10に記載の内燃機関の排気浄化システム。
  13. 前記低圧EGR通路は前記排気浄化装置よりも下流側の排気通路と前記コンプレッサよりも上流側の吸気通路とを接続しており、
    前記排気浄化装置よりも上流側の部分に設けられるとともに前記排気浄化装置に流入する排気中に還元剤を添加する還元剤添加弁を更に備え、
    前記所定の条件は、前記還元剤添加弁が還元剤を排気中に添加しているときに成立することを特徴とする請求項10に記載の内燃機関の排気浄化システム。
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