JP5353053B2 - 電気泳動表示装置および電子機器 - Google Patents
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Description
この電気泳動表示装置は、電圧の印加を停止した状態での表示メモリー性や広視野角性を有することや、低消費電力で高コントラストの表示が可能であること等の特徴を備えている。
このような電気泳動表示装置としては、電極を備える一対の基板間に、白色粒子と黒色粒子を含む電気泳動粒子(微粒子)を分散させた分散系を配置したものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
この電気泳動表示装置では、画素ごとに、一対の電極間に電圧を印加し、電気泳動粒子に電界を作用させる。これにより、電気泳動粒子が泳動し、分散系における反射率が変化する。その結果、反射光を制御し、所望の情報を表示することができる。
しかしながら、このような白色粒子は、光透過率の抑制が十分でなく、白色粒子の後方が透けて見えることが避けられない。特に、金属による表面改質を施すことによって白色粒子の表面に凹凸を形成した場合には、金属が光を吸収してしまい、光の反射率が低下する。このため、電気泳動表示装置における表示コントラストの低下を招いていた。
本発明の電気泳動表示装置は、表示面側に位置する第1の電極と、該第1の電極と対向配置された第2の電極と、前記第1の電極と前記第2の電極との間に設けられ隔壁を介して分割されてなる複数の画素空間と前記各画素空間内に設けられ少なくとも第1の粒子分散液と第2の粒子分散液の2相に分離した粒子分散液とを含有する表示層と、を備え、
前記第1の粒子分散液は、前記一対の電極間への通電により所定の方向に泳動する少なくとも1種の電気泳動粒子を第1の液相分散媒に分散してなるものであり、前記第2の粒子分散液は、前記電気泳動粒子より光反射率の高い光反射粒子を第2の液相分散媒に分散してなるものであって、前記第1の粒子分散液中に浮遊していることを特徴とする。
これにより、表示のコントラストおよび反射率が高く、視認性に優れた電気泳動表示装置が得られる。
また、これにより、第2の粒子分散液が一対の電極間における電界の付与を阻害するのを防止することができる。すなわち、電気泳動粒子に効率よく電界を付与することができる。
これにより、第2の粒子分散液は、画素空間の中央部において、第1の粒子分散液中に確実に浮遊することができる。
本発明の電気泳動表示装置は、表示面側に位置する第1の電極と、該第1の電極と対向配置された第2の電極と、前記第1の電極と前記第2の電極との間に設けられ隔壁を介して分割されてなる複数の画素空間と前記各画素空間内に設けられ少なくとも第1の粒子分散液と第2の粒子分散液の2相に分離した粒子分散液とを含有する表示層と、を備え、
前記第1の粒子分散液は、前記一対の電極間への通電により所定の方向に泳動する少なくとも1種の電気泳動粒子を第1の液相分散媒に分散してなるものであり、前記第2の粒子分散液は、前記電気泳動粒子より光反射率の高い光反射粒子を第2の液相分散媒に分散してなるものであって、前記各画素空間の内面のうちの前記第2の電極側の一部に付着しており、
前記各画素空間の内面のうち、前記第2の粒子分散液が付着している領域は、前記第2の粒子分散液に対する親液性を有しており、前記第2の粒子分散液が付着している領域以外の領域は、前記第2の粒子分散液に対する撥液性を有していることを特徴とする。
これにより、表示のコントラストおよび反射率が高く、視認性に優れた電気泳動表示装置が得られる。
また、これにより、第2の粒子分散液が、画素空間の内面に固定されることになるため、第1の粒子分散液と第2の粒子分散液との相対位置が安定する。したがって、電気泳動表示装置の表示特性が経時的に変化するのを防止することができる。
また、これにより、第2の粒子分散液が、自発的に画素空間の内面に付着する。このため、第2の粒子分散液の固定をより簡単に行うことができる。
前記第1の粒子分散液は、前記一対の電極間への通電により所定の方向に泳動する少なくとも1種の電気泳動粒子を第1の液相分散媒に分散してなるものであり、前記第2の粒子分散液は、前記電気泳動粒子より光反射率の高い光反射粒子を第2の液相分散媒に分散してなるものであり、
前記光反射粒子は、平均長さが0.5〜30μmで平均厚さが10〜300nmの板状をなしていることを特徴とする。
これにより、表示のコントラストおよび反射率が高く、視認性に優れた電気泳動表示装置が得られる。
また、これにより、光反射粒子が有する平坦な面によって、電気泳動表示装置内に入射した外光を効率よく反射することができる。その結果、表示の反射率を高めることができ、電気泳動表示装置における表示の明るさおよびコントラストを高めることができる。
本発明の電気泳動表示装置は、表示面側に位置する第1の電極と、該第1の電極と対向配置された第2の電極と、前記第1の電極と前記第2の電極との間に設けられ少なくとも第1の粒子分散液と第2の粒子分散液の2相に分離した粒子分散液を含有する表示層と、を備え、
前記第1の粒子分散液は、前記一対の電極間への通電により所定の方向に泳動する少なくとも1種の電気泳動粒子を第1の液相分散媒に分散してなるものであり、前記第2の粒子分散液は、前記電気泳動粒子より光反射率の高い光反射粒子を第2の液相分散媒に分散してなるものであり、
前記光反射粒子の大きさは、前記電気泳動粒子の粒径より大きく、かつ、830nmより大きいことを特徴とする。
これにより、表示のコントラストおよび反射率が高く、視認性に優れた電気泳動表示装置が得られる。
また、これにより、光反射粒子は、入射した外光を全反射することができるため、その光反射率を特に高めることができる。
前記第1の粒子分散液は、前記一対の電極間への通電により所定の方向に泳動する少なくとも1種の電気泳動粒子を第1の液相分散媒に分散してなるものであり、前記第2の粒子分散液は、前記電気泳動粒子より光反射率の高い光反射粒子を第2の液相分散媒に分散してなるものであり、
前記光反射粒子は、その表面が、前記第1の粒子分散液に対する親液性を有する領域と、前記第2の粒子分散液に対する親液性を有する領域とに分かれていることを特徴とする。
これにより、表示のコントラストおよび反射率が高く、視認性に優れた電気泳動表示装置が得られる。
また、これにより、光反射粒子は、第1の粒子分散液と第2の粒子分散液との界面に沿って並ぶこととなる。このため、光反射粒子は、電気泳動表示装置内に入射した外光を特に効率よく反射することができるようになる。
これにより、光反射粒子は、光反射率の高いものとなる。
本発明の電気泳動表示装置では、前記金属材料は、アルミニウム、ニッケル、白金、または銀であることが好ましい。
これにより、光反射粒子は、特に光反射率の高いものとなる。また、これらの材料は、反射によって光の色に偏りが生じ難いので、例えば、白色光を入射した場合には、白色に近い反射光が得られる。このため、光反射粒子の反射光が、電気泳動粒子の反射光の色に影響を与えるのを抑制することができる。
前記第1の粒子分散液は、前記一対の電極間への通電により所定の方向に泳動する少なくとも1種の電気泳動粒子と液晶分子とを第1の液相分散媒に分散してなるものであり、前記第2の粒子分散液は、前記電気泳動粒子より光反射率の高い光反射粒子を第2の液相分散媒に分散してなるものであることを特徴とする。
これにより、表示のコントラストおよび反射率が高く、視認性に優れた電気泳動表示装置が得られる。
また、これにより、第1の液相分散媒の粘性が増大するため、電界がかかっていないときに電気泳動粒子が移動し難くなる。したがって、電気泳動表示装置の表示メモリー性を高めることができる。
これにより、第1の粒子分散液が含む液晶分子は、第1の粒子分散液中において安定的に分散するとともに、分散液の界面を通過して、第2の粒子分散液側に意図せず移動してしまうのを確実に防止することができる。
これにより、カイラル構造を有する液晶分子が、第1の液相分散媒の流動性に大きな影響を及ぼす。このため、電界がかかっていないときに電気泳動粒子がより泳動し難くなり、電気泳動表示装置の表示メモリー性のさらなる向上を図ることができる。
前記各画素空間の内面のうち、前記第1の電極側の内面および前記第2の電極側の内面の少なくとも一方に設けられた、前記第1の粒子分散液が有する液晶分子を配向させる配向膜を有することが好ましい。
これにより、一対の電極間に電位差がないとき、液晶分子を、配向膜が有する溝の形成方向に沿って配向させることができる。
前記第1の粒子分散液は、前記一対の電極間への通電により所定の方向に泳動する少なくとも1種の電気泳動粒子を第1の液相分散媒に分散してなるものであり、前記第2の粒子分散液は、前記電気泳動粒子より光反射率の高い光反射粒子と液晶分子とを第2の液相分散媒に分散してなるものであることを特徴とする。
これにより、表示のコントラストおよび反射率が高く、視認性に優れた電気泳動表示装置が得られる。
また、これにより、液晶分子の挙動が、光反射粒子の挙動に影響を与えるようになる。したがって、一対の電極間に印加する電圧を制御することによって、液晶分子の配向を制御し、これにより、光反射粒子の配向を制御することができる。
これにより、第2の粒子分散液が含む液晶分子は、第2の粒子分散液中において安定的に分散するとともに、分散液の界面を通過して、第1の粒子分散液側に意図せず移動してしまうのを確実に防止することができる。
これにより、カイラル構造を有する液晶分子が、第2の液相分散媒の流動性に大きな影響を及ぼす。これにより、光反射粒子の安定性(保持性)の向上を図ることができる。このため、光反射率の経時的な変化を抑制し、高品位な表示を安定して得ることができる。
これにより、一対の電極間に電圧を印加したとき、液晶分子が電気泳動粒子の泳動を妨げるのが抑制される。このため、表示の切り替えをスムーズに行うことができる。また、一対の電極間に電圧が印加されていないときには、光反射粒子による反射光を表示面側に確実に指向させることができる。このため、表示の明るさおよびコントラストをより高めることができる。
これにより、電気泳動表示装置の表示面側が鉛直上向きにある状態では、第2の粒子分散液が表示層の第2の電極側に確実に付着することができる。その結果、第2の粒子分散液が表示面側から見えてしまうのを防止し、不本意な表示がなされるのを防止することができる。
これにより、第1の粒子分散液と第2の粒子分散液とを確実に相分離させることができる。
本発明の電子機器は、本発明の電気泳動表示装置を備えることを特徴とする。
これにより、信頼性の高い電子機器が得られる。
<第1実施形態>
まず、本発明の電気泳動表示装置の第1実施形態について説明する。
図1は、本発明の電気泳動表示装置の第1実施形態を模式的に示す縦断面図である。なお、以下の説明では、図1中の上側を「上」、下側を「下」と言う。
また、各基板1、2と封止部7とで画成される気密空間内には、電気泳動粒子5および光反射粒子8を含む電気泳動分散液10が充填されている。
このうち、外側の部分は、電気泳動粒子5を第1の液相分散媒61に分散してなる第1の粒子分散液101が凝集して構成されている。一方、内側の部分は、光反射粒子8を第2の液相分散媒62に分散してなる第2の粒子分散液102が凝集して構成されている。
画素空間71の底面および天井面を画成する第1の基板1および第2の基板2は、それぞれ、シート状(平板状)の部材で構成され、これらの間に配される各部材を支持および保護する機能を有する。
各基板1、2は、それぞれ、可撓性を有するもの、硬質なもののいずれであってもよいが、可撓性を有するものであるのが好ましい。可撓性を有する各基板1、2を用いることにより、可撓性を有する表示装置20、すなわち、例えば電子ペーパーを構築する上で有用な電気泳動表示装置20を得ることができる。
また、基板2は、例えば薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor;TFT)等のスイッチング素子を含む回路(図示せず)を有している。
これらの各基板1、2のうち、第1の基板1の内部には、複数の画素空間71に跨る層状の共通電極(第1の電極)3が設けられている。
そして、各画素電極4は、それぞれスイッチング素子に接続されている。これにより、各画素空間71の各電極3、4間には、それぞれ個別に電圧を印加することができる。
なお、共通電極3も、画素電極4と同様に複数に分割されていてもよい。
各電極3、4の構成材料としては、それぞれ、実質的に導電性を有するものであれば特に限定されず、例えば、銅、アルミニウム、ニッケル、コバルト、白金、金、銀、モリブデン、タンタルまたはこれらを含む合金等の金属材料、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、フラーレン等の炭素系材料、ポリアセチレン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアニリン、ポリ(p−フェニレン)、ポリ(p−フェニレンビニレン)、ポリフルオレン、ポリカルバゾール、ポリシランまたはこれらの誘導体等の電子導電性高分子材料、ポリビニルアルコール、ポリカーボネート、ポリエチレンオキシド、ポリビニルブチラール、ポリビニルカルバゾール、酢酸ビニル等のマトリックス樹脂中に、各種イオン性物質を分散させたイオン導電性高分子材料、インジウム錫酸化物(ITO)、フッ素ドープした錫酸化物(FTO)、錫酸化物(SnO2)、インジウム酸化物等の導電性酸化物材料のような各種導電性材料が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
このような複合材料の具体例としては、例えば、ゴム材料中に導電性材料を混合した導電性ゴム、エポキシ系、ウレタン系、アクリル系等の接着剤組成物中に導電性材料を混合した導電性接着剤または導電性ペースト、ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ABS樹脂、ナイロン(ポリアミド)、エチレン酢酸ビニル共重合体、ポリエステル、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂等のマトリックス樹脂中に導電性材料を混合した導電性樹脂等が挙げられる。
なお、各基板1、2および各電極3、4のうち、表示面側に配置される基板および電極(本実施形態では、第1の基板1および共通電極3)は、それぞれ、光透過性を有するもの、すなわち、実質的に透明(無色透明、有色透明または半透明)とされる。これにより、後述する電気泳動分散液10中における電気泳動粒子5の状態、すなわち電気泳動表示装置20に表示された情報(画像)を目視により容易に認識することができる。
各基板1、2の間には、それらの縁部に沿って枠状の封止部7が設けられている。この封止部7により、電気泳動分散液10を充填してなる空間は、気密的に封止されている。これにより、電気泳動表示装置20内への水分の浸入を防止して、電気泳動表示装置20の表示性能の劣化を防止することができる。
このような封止部7および隔壁72を構成する材料としては、例えば、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、オレフィン系樹脂のような熱可塑性樹脂、エポキシ系樹脂、メラミン系樹脂、フェノール系樹脂のような熱硬化性樹脂等の各種樹脂材料等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
各基板1、2間の離間距離は、特に限定されないが、10〜500μm程度であるのが好ましく、20〜100μm程度であるのがより好ましい。この程度の離間距離を各基板1、2間に確保していれば、電気泳動表示装置20の厚さが厚くなり過ぎるのを防止しつつ、表示面側から見たとき、電気泳動分散液10を介して、第2の基板2の色が透けて見えてしまうのを防止することができる。その結果、電気泳動表示装置20における表示のコントラストが低下するのを防止することができる。
この電気泳動分散液10は、相分離する2種類の粒子分散液で構成されている。この2種類の粒子分散液とは、電気泳動粒子5(白色粒子5aおよび黒色粒子5b)を第1の液相分散媒61に分散してなる第1の粒子分散液101と、光反射粒子8を第2の液相分散媒62に分散してなる第2の粒子分散液102である。そして、電気泳動分散液10の相分離によって、画素空間71の外側の部分に第1の粒子分散液101が凝集しており、一方、画素空間71の中央部に第2の粒子分散液102が凝集している。
なお、光反射粒子8については、後に詳述する。
第1の液相分散媒61および第2の液相分散媒62としては、それぞれ比較的高い絶縁性を有するものが好適に使用される。
なお、第1の液相分散媒61および第2の液相分散媒62には、前述したものの他、例えば、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、フェニルセロソルブ等のセロソルブ類、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、ギ酸エチル等のエステル類、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルイソプロピルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、シクロへキサン、メチルシクロへキサン等の脂環式炭化水素類、ピリジン、ピラジン、フラン、ピロール、チオフェン、メチルピロリドン等の芳香族複素環類、アセトニトリル、プロピオニトリル、アクリロニトリル等のニトリル類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類、カルボン酸塩類等を用いることができる。
このように、第1の液相分散媒61および第2の液相分散媒62を、互いの相溶性を考慮して選択することにより、前述したように、第1の粒子分散液101および第2の粒子分散液102が確実に相分離した電気泳動分散液10を得ることができる。
さらに、第1の液相分散媒61および第2の液相分散媒62を着色する場合には、第1の液相分散媒61および第2の液相分散媒62に、必要に応じて、アントラキノン系染料、アゾ系染料、インジゴイド系染料等の各種染料を溶解するようにしてもよい。
かかる電気泳動粒子5には、電荷を有するものであれば、いかなるものをも用いることができ、特に限定はされないが、顔料粒子、樹脂粒子またはこれらの複合粒子のうちの少なくとも1種が好適に使用される。これらの粒子は、製造が容易であるとともに、帯電量の制御を比較的容易に行うことができるという利点を有している。
また、樹脂粒子を構成する樹脂材料としては、例えば、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、尿素系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリスチレン、ポリエステル等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
顔料粒子の表面を他の顔料で被覆した粒子としては、例えば、酸化チタン粒子の表面を、酸化珪素や酸化アルミニウムで被覆したものを例示することができる。
電気泳動粒子5は、第1の液相分散媒61中での分散性を考慮した場合、より小さいものが好適に用いられ、具体的には、その平均粒径が、10〜3000nm程度であるのが好ましく、50〜1000nm程度であるのがより好ましい。電気泳動粒子5の平均粒径を前記範囲とすることにより、電気泳動粒子5同士の凝集や、第1の液相分散媒61中における沈降を確実に防止して、第1の液相分散媒61中に分散させることができ、その結果、電気泳動表示装置20の表示品質の劣化を好適に防止することができる。
具体的には、黒色粒子5bの平均粒径を20〜100nm程度、白色粒子5aの平均粒径を150〜300nm程度とするのが好ましい。
すなわち、このような電気泳動表示装置20は、電極3、4間に電圧を印加した際の表示状態を、電圧の印加を止めた後でも維持し得る性質(双安定性)を有するものである。
光反射粒子8は、前述したように、平坦な面を有する鱗片状(板状)または円盤状の粒子であり、かつ、その面は、電気泳動粒子5よりも光反射率の高いものである。電気泳動分散液10にこのような光反射粒子8が含まれていると、上述した平坦な面において、電気泳動表示装置20内に入射した外光を効率よく反射することができる。これにより、表示の反射率を高めることができ、電気泳動表示装置20における表示の明るさおよびコントラストを高めることができる。
また、光反射粒子8の平均長さは、0.5〜30μm程度であるのが好ましく、1〜20μm程度であるのがより好ましい。光反射粒子8がこのような大きさであれば、光反射粒子8において、十分な光反射率が維持されるとともに、第2の液相分散媒62中での動きが著しく悪化するのを防止することができる。また、第2の液相分散媒62中において、光反射粒子8が急速に沈降したり浮上したりするのを防止することができる。
また、光反射粒子8は、前述したような材料で構成された粒子の表面に、被覆層を有するものであってもよい。
かかる被覆層を構成する材料としては、例えば、アクリル系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂、エポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリビニルブチラール系樹脂、セルロースアセテート系樹脂、ニトロセルロース系樹脂、ロジン変性マレイン酸系樹脂、尿素系樹脂、メラミン系樹脂、ノボラック型フェノール系樹脂、シェラック系樹脂等の天然樹脂またはこれらの変性樹脂、ポリビニルアルコール、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、カゼイン、デンプン、高級脂肪酸ソーダ塩等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を用いることができる。
被覆層を形成するには、まず、上記樹脂材料を溶媒中に溶解し、得られた溶液を箔体表面に塗布する。その後、塗布膜を乾燥することによって被覆層が形成される。
用いられる溶媒としては、特に限定されないが、トリクロロエチレン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、酢酸エチル、酢酸ブチル、メタノール、エタノール、アソプロパノール、nブタノール、キシレン、トルエン、セロソルブ等が挙げられる。
また、被覆層の構成材料は、例えば、金、銀、アルミニウム、ニッケル、錫、クロム、亜鉛等の金属材料であってもよく、これらの金属材料の1種または2種以上を含む合金(または混合物)であってもよい。
かかる被覆層の形成は、例えば、スパッタリング法、真空蒸着法等の物理蒸着法、プラズマCVD法等の化学蒸着法、電解めっき法、無電解めっき法等の方法により行うことができる。
また、被覆層は、前述したような樹脂層や金属層が2層以上積層してなる積層体であってもよい。
また、光反射粒子8の表面には、必要に応じて、第2の液相分散媒62に対する親液性を高める処理を行うようにしてもよい。これにより、光反射粒子8は、第2の粒子分散液102中により安定的に分散することができる。また、これにより、光反射粒子8が、親液性のない第1の粒子分散液101側に意図せず移動してしまうのを防止することができる。
なお、この表面処理は、後述する画素空間71の内面に対する表面処理と同様の方法で行うことができる。
また、光反射粒子8の含有率は、特に限定されないが、電気泳動粒子5に対して質量比で好ましくは0.2〜1.5倍程度であり、より好ましくは0.4〜1倍程度とされる。なお、光反射粒子8の含有率が前記下限値を下回った場合、光反射粒子8による反射光が十分に得られないおそれがある。一方、光反射粒子8の含有率が前記上限値を上回った場合、光反射粒子8による反射光が強くなりすぎてしまい、例えば、本来は低反射率が好ましい黒色表示の反射率を高めてしまうおそれがある。
画素空間71の内面に導入される官能基や、内面に形成される被膜の組成は、第2の粒子分散液102の性質、具体的には、親水性か疎水性かに応じて、適宜選択される。
処理ガスとしては、例えば、CF4、C2F6、C3F6、CClF3、SF6等のフッ素原子含有化合物ガス、O3、H2O、空気等の酸素原子含有ガス、N2、NH3等の窒素原子含有ガス、SO2、SO3等の硫黄原子含有ガス等が挙げられる。
したがって、例えば、第2の粒子分散液102がフッ素系分散媒を主成分とする場合、画素空間71の内面に親水性(極性基)を付与することによって、この内面は、第2の粒子分散液102に対する撥液性を有するものとなる。
このうち、自己組織化単分子膜は、画素空間71の内面に結合する結合性官能基と、親水性または疎水性の性質を有する官能基とを有する化合物を、画素空間71の内面に供給し、結合性官能基と画素空間71の内面とを結合させることによって形成される。このような化合物としては、例えば、結合性官能基としてチオール基を有するアルカンチオールや、シランカップリング剤を利用した有機シラン化合物等が挙げられる。
また、親水性を有する官能基(極性基)としては、例えば、水酸基、アルコキシ基、ハロゲン基、アミノ基等が挙げられる。
また、プラズマ重合膜は、プラズマによって原料ガスを活性化し、活性化された原料ガスを画素空間71の内面近傍で重合反応させることによって成膜される。
このうち、フッ素系ガスによれば、多くの種類の分散液に対して優れた撥液性を有するプラズマ重合膜を形成することができる。
また、炭化水素系ガスや有機シリコン系ガスによれば、疎水性を有するプラズマ重合膜を形成することができる。
以下、電気泳動表示装置20の作動(動作)方法について説明する。
図2および図3は、図1に示す電気泳動表示装置の動作方法を説明するための模式図である。なお、以下の説明では、図2、3中の上側を「上」、下側を「下」と言う。
電気泳動表示装置20の共通電極3と画素電極4との間に電圧を印加すると、これらの間に電界が生じる。この電界にしたがって、電気泳動粒子5(白色粒子5a、黒色粒子5b)は、いずれかの電極に向かって電気泳動する。
このような構成において、電気泳動粒子5の泳動を、画素空間71ごとに制御することによって、電気泳動表示装置20の表示面側には、白色粒子5aおよび黒色粒子5bによる反射光に基づいて、所望の情報(画像)が表示される。
(I)光反射粒子8が無帯電である場合、一対の電極3、4間に生じた電界の影響を受けないため、図2(A)に示す白色表示の際に、光反射粒子8は画素空間71において一対の電極3、4間に浮遊する。これにより、前述したように、光反射粒子8が白色粒子5aの透過光を反射するので、白色表示における光反射率をより高めることができる。
ここで、白色表示から黒色表示に切り替えるべく、画素電極4が負電位、共通電極3が正電位となるように、一対の電極3、4間に電圧を印加する。これにより、白色粒子5aは画素電極4側に電気泳動し、黒色粒子5bは共通電極3側に電気泳動する。
なお、一般に、黒色粒子5bを構成する材料は、光透過率が極めて低いものが多く用いられており、したがって、黒色粒子5bは光をほとんど透過しない。このため、黒色表示は、その光反射率が十分に小さく、光反射粒子8が表示のコントラストを損なうおそれはない。
ここでは、一例として、光反射粒子8の帯電の極性が、黒色粒子5b(白色粒子5aよりも光反射率の低い粒子)と同じ極性である場合を例に説明するが、光反射粒子8の帯電の極性は、白色粒子5aと同じ極性であってもよい。
ここで、白色表示から黒色表示に切り替えるべく、画素電極4が負電位、共通電極3が正電位となるように、一対の電極3、4間に電圧を印加する。これにより、白色粒子5aは画素電極4側に電気泳動し、黒色粒子5bは共通電極3側に電気泳動する。
その後、図3(B)に示す状態から一定時間経過すると、図3(C)に示すように、白色粒子5aは画素電極4付近に集まり、黒色粒子5bは共通電極3付近に集まる。また、光反射粒子8は、第2の液相分散液102中の上方に集まる。この状態の電気泳動表示装置20を上方(表示面側)から見ると、黒色粒子5bの色が見えること、すなわち、黒色が見えることになる。
以上のようにして、電気泳動表示装置20は、高反射率でかつ高コントラストの表示が可能になる。
以下、電気泳動表示装置20の製造方法について説明する。
図4および図5は、図1に示す電気泳動表示装置の製造方法を説明するための模式図である。なお、以下の説明では、図4および図5中の上側を「上」、下側を「下」と言う。
図1に示す電気泳動表示装置20の製造方法は、まず、[1]共通電極3を内包する第1の基板1と、画素電極4を内包する第2の基板2とを用意する第1の工程と、[2]第1の基板1上に、板状でかつ格子状をなす隔壁72を貼り合わせる第2の工程と、[3]格子状の隔壁72中に形成された複数の凹部710に対して電気泳動分散液10を注入する第3の工程と、[4]隔壁72の第2の基板2と反対側の面に第1の基板1を貼り合わせる第4の工程と、[5]第1の基板1および第2の基板2の縁部に沿って封止部7を形成する第5の工程とを有している。
[1]まず、図4(a)に示すように、共通電極3を内包する第1の基板1と、画素電極4を内包する第2の基板2とを用意する。
共通電極3および画素電極4は、例えば、スパッタリング法、真空蒸着法のような各種物理蒸着法、プラズマCVD法のような各種化学蒸着法等の成膜方法により形成することができる。
なお、各電極3、4は、必ずしも各基板1、2に内包されている必要はなく、各基板1、2の表示層側の面上に成膜されていてもよい。
第2の基板2と隔壁72との接着は、例えば、接着剤等により行うことができる。
このようにして、第1の基板1と隔壁72とを貼り合わせると、格子状の隔壁72中には、複数の画素空間71となる凹部710が形成される。
したがって、本工程では、図4(c)に示すように、隔壁72の高さより液面が若干低くなるように、第1の粒子分散液101を凹部710に注入する。
第1の粒子分散液101および第2の粒子分散液102の注入は、それぞれ、例えば、ディスペンサー等を用いて行うことができる。
前述したように、第1の粒子分散液101および第2の粒子分散液102は、相分離するため、第1の粒子分散液101の中央部に第2の粒子分散液102を注入すると、互いに混ざり合うことなく相分離し、第1の粒子分散液101中に第2の粒子分散液102が浮遊する。その結果、内側に第2の粒子分散液102が凝集し、それを覆うように外側に第1の粒子分散液101が凝集するため、凹部710に注入された電気泳動分散液10は2層構造になる。
隔壁72と第1の基板1との接着は、例えば、接着剤等により行うことができる。
[5]次に、第1の基板1および第2の基板2の縁部に沿って封止部7を形成する(第5の工程)。
以上のようにして、図1に示す電気泳動表示装置20が得られる。
なお、前記工程[3]、[4]は、次の工程[3A]、[4A]のようにしてもよい。
[3A]まず、図6(a)に示すように、各凹部710内に第1の粒子分散液101を注入する。
このとき、第1の粒子分散液101および第2の粒子分散液102は、各凹部710内に、隔壁72の上端まで注入するのではなく、注入量を隔壁72の高さの7〜8割程度に留める。これにより、電気泳動分散液10の上方に凹部711が残る。
その後、速やかに第2の基板2と隔壁72との積層体を、図7(d)に示すように、上下反転させる。このとき、接着剤75が有する粘性によって、各凹部710中の電気泳動分散液10や接着剤75は、落下することなく保持される。
また、接着剤75には、その比重が電気泳動分散液10の比重より大きいものが好ましく用いられる。このような接着剤を用いることにより、前述したようにして第2の基板2と隔壁72との積層体を上下反転させたときに、比重の差に基づいて、電気泳動分散液10の位置と接着剤75の位置とが入れ替わってしまうのを防止することができる。
なお、隔壁72と第1の基板1との間は、前記工程[3A]で注入した接着剤75によって接着される。したがって、以上のような方法によれば、各画素空間71間が接着剤75によって確実に隔離されることとなる。すなわち、各画素空間71の気密性、液密性が向上するとともに、隔壁72と第1の基板1との隙間に残存したりするのを防止することができる。その結果、隔壁72と第1の基板1との接着性が低下したり、隣接する画素空間71の間で電気泳動分散液10が相互に混入するのを防止することができる。
次に、本発明の電気泳動表示装置の第2実施形態について説明する。
図8は、本発明の電気泳動表示装置の第2実施形態を模式的に示す縦断面図、図9は、図8に示す電気泳動表示装置が備える光反射粒子付近を部分的に拡大した図である。なお、以下の説明では、図8中の上側を「上」、下側を「下」と言う。
本実施形態にかかる電気泳動表示装置は、光反射粒子8の表面が、第1の粒子分散液101に対する親液性を有する領域と、第2の粒子分散液102に対する親液性を有する領域とに分かれている以外は、前記第1実施形態と同様である。
このような2つの領域81、82を有する光反射粒子8は、各領域81、82の各粒子分散液101、102に対する親液性に基づいて、第1の粒子分散液101と第2の粒子分散液102との界面に自発的に配列する。具体的には、図9に示すように、第1の領域81が第1の粒子分散液101側に臨むとともに、第2の領域82が第2の粒子分散液102側に臨むようにして、光反射粒子8は、第1の粒子分散液101と第2の粒子分散液102との界面に沿って並ぶ。その結果、光反射粒子8は、図8に示すように、各画素空間71の中央部に凝集した第2の粒子分散液102を取り囲むように並ぶこととなる。
第1の粒子分散液101と第2の粒子分散液102との界面に並んだ光反射粒子8は、前記界面全体を反射面とする反射鏡として機能する。かかる反射鏡は、電気泳動表示装置20内に入射した外光を特に効率よく反射することができる。これにより、表示の反射率をより高めることができ、電気泳動表示装置20における表示の明るさおよびコントラストを高めることができる。
各領域81、82の設定方法(形成方法)としては、前述したような画素空間71の内面に第2の粒子分散液102に対する撥液性を付与する方法と同様の方法が用いられ、例えば、光反射粒子8の表面に官能基を導入する方法、表面に被膜を形成する方法等が挙げられる。
表面に官能基を導入する具体的な方法としては、例えば、放電によって処理ガスを活性化(電離、イオン化、励起等)してプラズマを発生させ、このプラズマを被処理面に放出するプラズマ処理等が挙げられる。そして、このプラズマ処理に用いる処理ガスを適宜選択することにより、光反射粒子8の表面に導入される官能基を選択することができる。
このうち、フッ素原子含有化合物ガスを用いることにより、多くの種類の第1の粒子分散液101および第2の粒子分散液102に対する撥液性を、各領域81、82に付与することができる。一方、酸素原子含有ガス、窒素原子含有ガスおよび硫黄原子含有ガスを用いることにより、各領域81、82に親水性(親水性を有する分散液に対する親液性)を付与することができる。
また、光反射粒子8を大気中で火炎、紫外線、オゾンガス等に曝すことによっても、各領域81、82に水酸基(極性基)を導入し、これにより各領域81、82に親水性を付与することができる。
また、プラズマ重合膜は、前述したように、プラズマによって原料ガスを活性化し、活性化された原料ガスを光反射粒子8の表面近傍で重合反応させることによって成膜される。
このうち、フッ素系ガスによれば、多くの種類の分散液に対して撥液性を有するプラズマ重合膜を形成することができる。
また、炭化水素系ガスや有機シリコン系ガスによれば、疎水性を有するプラズマ重合膜を形成することができる。
以上のような本実施形態にかかる電気泳動表示装置20は、前記第1実施形態と同様の作用・効果を奏する。
次に、本発明の電気泳動表示装置の第3実施形態について説明する。
図10は、本発明の電気泳動表示装置の第3実施形態を模式的に示す縦断面図である。なお、以下の説明では、図10中の上側を「上」、下側を「下」と言う。
以下、第3の実施形態にかかる電気泳動表示装置について説明するが、前記第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
すなわち、本実施形態にかかる電気泳動表示装置20では、各基板1、2と封止部7とで画成される気密空間内に、電気泳動粒子5および第1の液晶分子91が第1の液相分散媒61に分散してなる第1の粒子分散液101と、光反射粒子8および第2の液晶分子92が第2の液相分散媒62に分散してなる第2の粒子分散液102とが充填されている。
また、第2の粒子分散液102中に第2の液晶分子92が含まれていると、第2の液晶分子92は、一対の電極3、4間に生じる電界に応じて配向する。また、第2の液晶分子92は、細長い形状の分子であるため、その周囲に存在する粒子の挙動に影響を与える。すなわち、第2の液晶分子92が配向すると、それに応じて、光反射粒子8も配向する。したがって、一対の電極3、4間に印加する電圧を制御することによって、第2の液晶分子92の配向を制御し、これにより、光反射粒子8の配向を制御することができる。その結果、光反射粒子8の光反射面の角度を制御することができるので、光反射粒子8による光反射率を制御することができる。
電気泳動表示装置20の共通電極3と画素電極4との間に電圧を印加すると、これらの間に電界が生じ、この電界にしたがって、電気泳動粒子5(白色粒子5a、黒色粒子5b)は、いずれかの電極に向かって電気泳動する。
ここで、白色表示から黒色表示に切り替えるべく、画素電極4が負電位、共通電極3が正電位となるように、一対の電極3、4間に電圧を印加する。これにより、白色粒子5aは画素電極4側に電気泳動し、黒色粒子5bは共通電極3側に電気泳動する。
電気泳動粒子5は、電界に応じて電気泳動する。
また、一対の電極3、4間に電圧が印加されると、第1の液晶分子91が電界に応じて縦方向に配向する。
また、電圧の印加を終了すると、各配向膜93、94が有する溝の形成方向に沿って、図11(C)に示すように、第1の液晶分子91が横方向に配向する。
なお、前述したように、黒色粒子5bは光をほとんど透過しない。したがって、黒色表示は、その光反射率が十分に小さく、光反射粒子8が表示のコントラストを損なうおそれはない。
また、この他、T0697、T0698、T0699(いずれも東京化成工業社製)等を用いるようにしてもよい。
具体的には、例えば、第2の液相分散媒62がフッ素系分散媒である場合には、第2の液晶分子92として、前述したようなネマチック液晶分子に、モノフルオロ基、ジフルオロ基、トリフルオロ基、トリフルオロメチル基、トリフルオロメトキシ基、ジフルオロメトキシ基等のフッ素系置換基を導入した液晶分子が好ましく用いられる。
また、第2の液晶分子92の含有率は、特に限定されないが、光反射粒子8に対して質量比で好ましくは0.2〜5倍程度であり、より好ましくは0.5〜2倍程度とされる。
以上のように、本実施形態においても、前記第1実施形態と同様に、高反射率でかつ高コントラストの表示が可能な電気泳動表示装置20が得られる。
このような電気泳動表示装置20は、次のようにして製造することができる。
電気泳動表示装置20の製造方法は、まず、[1]共通電極3を内包する第1の基板1の一方の面に配向膜93を形成するとともに、画素電極4を内包する第2の基板2の一方の面に配向膜94を形成する第1の工程と、[2]配向膜94上に、板状でかつ格子状をなす隔壁72を貼り合わせる第2の工程と、[3]格子状の隔壁72中に形成された複数の凹部710に対して電気泳動分散液10を注入する第3の工程と、[4]隔壁72の第2の基板2と反対側の面に配向膜93が密着するように、隔壁72上に第1の基板1を貼り合わせる第4の工程と、[5]第1の基板1および第2の基板2の縁部に沿って封止部7を形成する第5の工程とを有している。
[1]まず、共通電極3を内包する第1の基板1と、画素電極4を内包する第2の基板2とを用意する。
次に、第1の基板1の表示面側の面上に、配向膜93を形成する。また、第2の基板2の表示面側の面上に、配向膜94を形成する。
また、各配向膜93、94の形成方法としては、例えば、第1の基板1上に有機系材料を成膜した後、この膜にラビング処理を施す方法等の他、酸化ケイ素等の無機系材料を斜めに蒸着する方法(斜方蒸着法)、スプレー熱分解法により無機系材料を成膜する方法、レーザー重合法、LB法、ポリイミド膜に偏光紫外線を照射する方法等のラビング処理を伴わない方法等が挙げられる。
第2の基板2と隔壁72との接着は、例えば、接着剤等により行うことができる。
このようにして、第1の基板1と隔壁72とを貼り合わせると、格子状の隔壁72中には、複数の画素空間71となる凹部710が形成される。また、凹部710の底面(下面)には、配向膜94が露出した状態となる。
[4]次に、隔壁72の上面に配向膜93が密着するように、隔壁72上に第1の基板1を貼り合わせる(第4の工程)。これにより、第1の基板1によって、各凹部710を封止する。その結果、第1の基板1と第2の基板2との間に、隔壁72で区画された複数の画素空間71が形成される。また、各画素空間71の天井面(第1の基板1側の内面)には配向膜93が露出しており、底面(第2の基板2側の内面)には配向膜94が露出することとなる。
隔壁72と第1の基板1との接着は、例えば、接着剤等により行うことができる。
[5]次に、第1の基板1および第2の基板2の縁部に沿って封止部7を形成する(第5の工程)。
なお、前記工程[3]、[4]は、前記第1実施形態における工程[3A]、[4A]のようにしてもよい。
以上のような本実施形態にかかる電気泳動表示装置20は、前記第1実施形態および前記第2実施形態と同様の作用・効果を奏する。
次に、本発明の電気泳動表示装置の第4実施形態について説明する。
図12は、本発明の電気泳動表示装置の第4実施形態を模式的に示す縦断面図である。なお、以下の説明では、図12中の上側を「上」、下側を「下」と言う。
以下、第4実施形態にかかる電気泳動表示装置について説明するが、前記第3実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
すなわち、本実施形態にかかる電気泳動表示装置20では、各基板1、2と封止部7とで画成される気密空間内に、電気泳動粒子5が第1の液相分散媒61に分散してなる第1の粒子分散液101と、光反射粒子8および第2の液晶分子92が第2の液相分散媒62に分散してなる第2の粒子分散液102とが充填されている。
画素空間71の底面の各領域712、713は、互いに異なる特性を有する領域となっている。
また、領域712に導入される官能基や、領域712に形成される被膜の組成は、第2の粒子分散液102の性質に応じて適宜選択される。
さらに、画素空間71の天井面や両側面も、領域713と同様に、第1の粒子分散液101に対して親液性を有している。
さらに、第2の粒子分散液102が、画素空間71の内面に固定されているので、第1の粒子分散液101と第2の粒子分散液102との相対位置が安定する。したがって、電気泳動表示装置20の表示特性が経時的に変化するのを防止することができる。
なお、第1の粒子分散液101には、第1の液晶分子91が含まれていてもよい。
図12に示す電気泳動表示装置20の共通電極3と画素電極4との間に電圧を印加すると、これらの間に電界が生じ、この電界にしたがって、電気泳動粒子5(白色粒子5a、黒色粒子5b)は、いずれかの電極に向かって電気泳動する。
このように第2の液晶分子92が横方向に配向すると、それに応じて光反射粒子8が配向する。光反射粒子8は、前述したように、平坦な面を有する板状の粒子なので、この面が第2の液晶分子92の分子軸と平行になるように配向する。
ここで、白色表示から黒色表示に切り替えるべく、画素電極4が負電位、共通電極3が正電位となるように、一対の電極3、4間に電圧を印加する。これにより、白色粒子5aは画素電極4側に電気泳動し、黒色粒子5bは共通電極3側に電気泳動する。
電気泳動粒子5は、電界に応じて電気泳動する。
また、一対の電極3、4間に電圧が印加されると、第2の液晶分子92が電界に応じて縦方向に配向する。
また、電圧の印加を終了すると、配向膜94が有する溝の形成方向に沿って、図13(C)に示すように、第2の液晶分子92が横方向に配向する。
なお、前述したように、黒色粒子5bは光をほとんど透過しない。したがって、黒色表示は、その光反射率が十分に小さく、光反射粒子8が表示のコントラストを損なうおそれはない。
以上のような本実施形態にかかる電気泳動表示装置20は、前記第1実施形態ないし前記第3実施形態と同様の作用・効果を奏する。
次に、本発明の電気泳動表示装置の第5実施形態について説明する。
図14は、本発明の電気泳動表示装置の第5実施形態を模式的に示す縦断面図である。なお、以下の説明では、図14中の上側を「上」、下側を「下」と言う。
以下、第5実施形態にかかる電気泳動表示装置について説明するが、前記第4実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
すなわち、本実施形態にかかる電気泳動表示装置20では、各基板1、2と封止部7とで画成される気密空間内に、電気泳動粒子5が第1の液相分散媒61に分散してなる第1の粒子分散液101と、光反射粒子8および第2の液晶分子92が第2の液相分散媒62に分散してなる第2の粒子分散液102とが充填されている。
画素空間71の底面の各領域712、713は、互いに異なる特性を有する領域となっている。各領域712、713については、前記第4実施形態と同様である。
なお、第1の粒子分散液101には、第1の液晶分子91が含まれていてもよい。
次に、本発明の電気泳動表示装置の第6実施形態について説明する。
図15は、本発明の電気泳動表示装置の第6実施形態を模式的に示す縦断面図である。なお、以下の説明では、図15中の上側を「上」、下側を「下」と言う。
以下、第6実施形態にかかる電気泳動表示装置について説明するが、前記第3実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
すなわち、本実施形態にかかる電気泳動表示装置20は、各基板1、2と封止部7とで画成される気密空間内に、電気泳動分散液10をカプセル本体401内に封入した複数のマイクロカプセル40が、バインダ41で固定(保持)されることによって構成されている。
カプセル本体(殻体)401の構成材料としては、例えば、ゼラチン、アラビアゴムとゼラチンとの複合材料、ウレタン系樹脂、メラミン系樹脂、尿素樹脂、エポキシ系樹脂、フェノール系樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、オレフィン系樹脂、ポリアミド、ポリエーテルのような各種樹脂材料が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、カプセル本体401の構成材料においては、架橋剤により架橋(立体架橋)を形成するようにしてもよい。これにより、カプセル本体401の柔軟性を維持しつつ、強度を向上させることができる。その結果、マイクロカプセル40が容易に崩壊するのを防止することができる。
また、マイクロカプセル40は、球状をなして存在しているのが好ましい。これにより、マイクロカプセル40は、耐圧性および耐ブリード性に優れたものとなる。したがって、このように電気泳動表示装置20を作動させているとき、もしくは、電気泳動表示装置20を保存している間に、電気泳動表示装置20に衝撃が加わったり、表示面が押圧されたりした場合でも、マイクロカプセル40の破壊や電気泳動分散液10の散逸が防止され、長期間安定に動作することができる。
このバインダ41には、各電極3、4、カプセル本体401(マイクロカプセル40)との親和性(密着性)に優れ、かつ、絶縁性に優れる樹脂材料(絶縁性または微小電流のみが流れる樹脂材料)が好適に使用される。
以上のような本実施形態にかかる電気泳動表示装置20は、前記第1実施形態ないし前記第5実施形態と同様の作用・効果を奏する。
以上のような電気泳動表示装置20は、各種電子機器に組み込むことができる。以下、電気泳動表示装置20を備える本発明の電子機器について説明する。
<<電子ペーパー>>
まず、本発明の電子機器を電子ペーパーに適用した場合の実施形態について説明する。
図16に示す電子ペーパー600は、紙と同様の質感および柔軟性を有するリライタブルシートで構成される本体601と、表示ユニット602とを備えている。
このような電子ペーパー600では、表示ユニット602が、前述したような電気泳動表示装置20で構成されている。
次に、本発明の電子機器をディスプレイに適用した場合の実施形態について説明する。
図17は、本発明の電子機器をディスプレイに適用した場合の実施形態を示す図である。このうち、図17中(a)は断面図、(b)は平面図である。
図17に示すディスプレイ(表示装置)800は、本体部801と、この本体部801に対して着脱自在に設けられた電子ペーパー600とを備えている。なお、この電子ペーパー600は、前述したような構成、すなわち、図16に示す構成と同様のものである。
このようなディスプレイ800では、電子ペーパー600は、本体部801に着脱自在に設置されており、本体部801から取り外した状態で携帯して使用することもできる。
なお、本発明の電子機器は、以上のようなものへの適用に限定されず、例えば、テレビ、ビューファインダ型、モニタ直視型のビデオテープレコーダ、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳、電卓、電子新聞、ワードプロセッサ、パーソナルコンピュータ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、タッチパネルを備えた機器等を挙げることができ、これらの各種電子機器の表示部に、本発明の電気泳動表示装置20を適用することが可能である。
以上、本発明の電気泳動表示装置および電子機器を、図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各部の構成は、同様の機能を有する任意の構成のものに置換することができる。また、本発明に、他の任意の構成物が付加されていてもよい。
Claims (19)
- 表示面側に位置する第1の電極と、該第1の電極と対向配置された第2の電極と、前記第1の電極と前記第2の電極との間に設けられ隔壁を介して分割されてなる複数の画素空間と前記各画素空間内に設けられ少なくとも第1の粒子分散液と第2の粒子分散液の2相に分離した粒子分散液とを含有する表示層と、を備え、
前記第1の粒子分散液は、前記一対の電極間への通電により所定の方向に泳動する少なくとも1種の電気泳動粒子を第1の液相分散媒に分散してなるものであり、前記第2の粒子分散液は、前記電気泳動粒子より光反射率の高い光反射粒子を第2の液相分散媒に分散してなるものであって、前記第1の粒子分散液中に浮遊していることを特徴とする電気泳動表示装置。 - 前記各画素空間の内面は、前記第2の粒子分散液に対する撥液性を有している請求項1に記載の電気泳動表示装置。
- 表示面側に位置する第1の電極と、該第1の電極と対向配置された第2の電極と、前記第1の電極と前記第2の電極との間に設けられ隔壁を介して分割されてなる複数の画素空間と前記各画素空間内に設けられ少なくとも第1の粒子分散液と第2の粒子分散液の2相に分離した粒子分散液とを含有する表示層と、を備え、
前記第1の粒子分散液は、前記一対の電極間への通電により所定の方向に泳動する少なくとも1種の電気泳動粒子を第1の液相分散媒に分散してなるものであり、前記第2の粒子分散液は、前記電気泳動粒子より光反射率の高い光反射粒子を第2の液相分散媒に分散してなるものであって、前記各画素空間の内面のうちの前記第2の電極側の一部に付着しており、
前記各画素空間の内面のうち、前記第2の粒子分散液が付着している領域は、前記第2の粒子分散液に対する親液性を有しており、前記第2の粒子分散液が付着している領域以外の領域は、前記第2の粒子分散液に対する撥液性を有していることを特徴とする電気泳動表示装置。 - 表示面側に位置する第1の電極と、該第1の電極と対向配置された第2の電極と、前記第1の電極と前記第2の電極との間に設けられ少なくとも第1の粒子分散液と第2の粒子分散液の2相に分離した粒子分散液を含有する表示層と、を備え、
前記第1の粒子分散液は、前記一対の電極間への通電により所定の方向に泳動する少なくとも1種の電気泳動粒子を第1の液相分散媒に分散してなるものであり、前記第2の粒子分散液は、前記電気泳動粒子より光反射率の高い光反射粒子を第2の液相分散媒に分散してなるものであり、
前記光反射粒子は、平均長さが0.5〜30μmで平均厚さが10〜300nmの板状をなしていることを特徴とする電気泳動表示装置。 - 表示面側に位置する第1の電極と、該第1の電極と対向配置された第2の電極と、前記第1の電極と前記第2の電極との間に設けられ少なくとも第1の粒子分散液と第2の粒子分散液の2相に分離した粒子分散液を含有する表示層と、を備え、
前記第1の粒子分散液は、前記一対の電極間への通電により所定の方向に泳動する少なくとも1種の電気泳動粒子を第1の液相分散媒に分散してなるものであり、前記第2の粒子分散液は、前記電気泳動粒子より光反射率の高い光反射粒子を第2の液相分散媒に分散してなるものであり、
前記光反射粒子の大きさは、前記電気泳動粒子の粒径より大きく、かつ、830nmより大きいことを特徴とする電気泳動表示装置。 - 表示面側に位置する第1の電極と、該第1の電極と対向配置された第2の電極と、前記第1の電極と前記第2の電極との間に設けられ少なくとも第1の粒子分散液と第2の粒子分散液の2相に分離した粒子分散液を含有する表示層と、を備え、
前記第1の粒子分散液は、前記一対の電極間への通電により所定の方向に泳動する少なくとも1種の電気泳動粒子を第1の液相分散媒に分散してなるものであり、前記第2の粒子分散液は、前記電気泳動粒子より光反射率の高い光反射粒子を第2の液相分散媒に分散してなるものであり、
前記光反射粒子は、その表面が、前記第1の粒子分散液に対する親液性を有する領域と、前記第2の粒子分散液に対する親液性を有する領域とに分かれていることを特徴とする電気泳動表示装置。 - 前記光反射粒子は、金属光沢を有する金属材料を主材料とするものである請求項1ないし6のいずれかに記載の電気泳動表示装置。
- 前記金属材料は、アルミニウム、ニッケル、白金、または銀である請求項7に記載の電気泳動表示装置。
- 表示面側に位置する第1の電極と、該第1の電極と対向配置された第2の電極と、前記第1の電極と前記第2の電極との間に設けられ少なくとも第1の粒子分散液と第2の粒子分散液の2相に分離した粒子分散液を含有する表示層と、を備え、
前記第1の粒子分散液は、前記一対の電極間への通電により所定の方向に泳動する少なくとも1種の電気泳動粒子と液晶分子とを第1の液相分散媒に分散してなるものであり、前記第2の粒子分散液は、前記電気泳動粒子より光反射率の高い光反射粒子を第2の液相分散媒に分散してなるものであることを特徴とする電気泳動表示装置。 - 前記第1の粒子分散液が含む液晶分子は、前記第2の粒子分散液に対して撥液性を示す官能基を有している請求項9に記載の電気泳動表示装置。
- 前記第1の粒子分散液は、さらに、前記第1の粒子分散液が含む液晶分子の分子構造をカイラル構造に変化させ得るカイラル剤を含んでいる請求項9または10に記載の電気泳動表示装置。
- 前記表示層は、隔壁を介して分割されてなる複数の画素空間を含んでおり、
前記各画素空間の内面のうち、前記第1の電極側の内面および前記第2の電極側の内面の少なくとも一方に設けられた、前記第1の粒子分散液が有する液晶分子を配向させる配向膜を有する請求項9ないし11のいずれかに記載の電気泳動表示装置。 - 表示面側に位置する第1の電極と、該第1の電極と対向配置された第2の電極と、前記第1の電極と前記第2の電極との間に設けられ少なくとも第1の粒子分散液と第2の粒子分散液の2相に分離した粒子分散液を含有する表示層と、を備え、
前記第1の粒子分散液は、前記一対の電極間への通電により所定の方向に泳動する少なくとも1種の電気泳動粒子を第1の液相分散媒に分散してなるものであり、前記第2の粒子分散液は、前記電気泳動粒子より光反射率の高い光反射粒子と液晶分子とを第2の液相分散媒に分散してなるものであることを特徴とする電気泳動表示装置。 - 前記第2の粒子分散液が含む液晶分子は、前記第1の粒子分散液に対して撥液性を示す官能基を有している請求項13に記載の電気泳動表示装置。
- 前記第2の粒子分散液は、さらに、前記第2の粒子分散液が含む液晶分子の分子構造をカイラル構造に変化させ得るカイラル剤を含んでいる請求項13または14に記載の電気泳動表示装置。
- 前記液晶分子は、ネマチック相を形成する液晶分子であり、その分子軸が電界の方向に沿って配向する配向特性を有するものである請求項9ないし15のいずれかに記載の電気泳動表示装置。
- 前記第2の粒子分散液の比重は、前記第1の粒子分散液の比重と同等以上である請求項1ないし16のいずれかに記載の電気泳動表示装置。
- 前記第1の粒子分散液が含む液相分散媒と、前記第2の粒子分散液が含む液相分散媒とは、互いに相溶性のないものである請求項1ないし17のいずれかに記載の電気泳動表示装置。
- 請求項1ないし18のいずれかに記載の電気泳動表示装置を備えることを特徴とする電子機器。
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