JP5320869B2 - 電気泳動表示装置および電子機器 - Google Patents

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Description

本発明は、電気泳動表示装置および電子機器に関するものである。
一般に、液体中に微粒子を分散させた分散系に電界を作用させると、微粒子は、クーロン力により液体中で移動(泳動)することが知られている。この現象を電気泳動といい、近年、この電気泳動を利用して、所望の情報(画像)を表示させるようにした電気泳動表示装置が新たな表示装置として注目を集めている。
この電気泳動表示装置は、電圧の印加を停止した状態での表示メモリー性や広視野角性を有することや、低消費電力で高コントラストの表示が可能であること等の特徴を備えている。
また、電気泳動表示装置は、非発光型(反射型)の表示デバイスであることから、ブラウン管のような発光型の表示デバイスに比べて、目に優しいという特徴も有している。
このような電気泳動表示装置としては、電極を備える一対の基板間に、白色粒子と黒色粒子を含む電気泳動粒子(微粒子)を分散させた分散系を配置したものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
この電気泳動表示装置では、画素ごとに、一対の電極間に電圧を印加し、電気泳動粒子に電界を作用させる。これにより、電気泳動粒子が泳動し、分散系における反射率が変化する。その結果、反射光を制御し、所望の情報を表示することができる。
また、特許文献1には、表面に微細な凹凸を設けた白色粒子について開示されている。特許文献1によれば、このような凹凸を有する白色粒子は、粒子を透過する光が減り、多重反射の効果を増強することによって白色の輝度率が向上する作用を有するとしている。
しかしながら、このような白色粒子は、光透過率の抑制が十分でなく、白色粒子の後方が透けて見えることが避けられない。特に、金属による表面改質を施すことによって白色粒子の表面に凹凸を形成した場合には、金属が光を吸収してしまい、光の反射率が低下する。このため、電気泳動表示装置における表示コントラストの低下を招いていた。
特開2004−279545号公報
本発明の目的は、表示のコントラストおよび反射率が高く、視認性に優れた電気泳動表示装置、およびかかる電気泳動表示装置を備えた信頼性の高い電子機器を提供することにある。
このような目的は、下記の本発明により達成される。
本発明の電気泳動表示装置は、互いに対向配置された一対の電極と、該一対の電極間に設けられた表示層とを備え、
該表示層は、前記一対の電極間への通電により所定の方向に泳動する少なくとも1種の電気泳動粒子と、鱗片状または円盤状をなし、前記電気泳動粒子より光反射率の高い無帯電の光反射粒子とを、液相分散媒に分散してなる粒子分散液を含有することを特徴とする。
これにより、光反射粒子が電界の影響を受けることなく表示層中に分散し、電気泳動粒子による表示を妨げることなく、表示のコントラストおよび反射率を高めることができる。その結果、視認性に優れた電気泳動表示装置が得られる。
本発明の電気泳動表示装置では、前記光反射粒子は、金属光沢を有する金属材料を主材料とするものであることが好ましい。
これにより、光反射粒子は、光反射率の高いものとなる。
本発明の電気泳動表示装置では、前記金属材料は、アルミニウム、ニッケル、白金、または銀であることが好ましい。
これにより、光反射粒子は、特に光反射率の高いものとなる。また、これらの材料は、反射によって光の色に偏りが生じ難いので、例えば、白色光を入射した場合には、白色に近い反射光が得られる。このため、光反射粒子の反射光が、電気泳動粒子の反射光の色に影響を与えるのを抑制することができる。
本発明の電気泳動表示装置では、前記光反射粒子は、金属箔を粉砕して形成されたものであることが好ましい。
これにより、複数の光反射粒子における厚さを容易に均一化することができる。このため、複数の光反射粒子において、液相分散媒に対する分散性や個々の反射特性のバラツキを抑制することができる。
本発明の電気泳動表示装置では、前記光反射粒子の大きさは、前記電気泳動粒子の粒径より大きく、かつ、830nmより大きいことが好ましい。
これにより、光反射粒子は、入射した外光を全反射することができるため、その光反射率を特に高めることができる。
本発明の電気泳動表示装置では、前記光反射粒子の大きさは、0.5〜30μmであることが好ましい。
これにより、光反射粒子において、十分な光反射率が維持されるとともに、液相分散媒中での動きが著しく悪化するのを防止することができる。また、液相分散媒中において、光反射粒子が急速に沈降したり浮上したりするのを防止することができる。
本発明の電気泳動表示装置では、前記光反射粒子の厚さは、10〜300nmであることが好ましい。
これにより、光反射粒子の重量が著しく増加するのを防止しつつ、光反射粒子の厚さが薄くなり過ぎて、光透過率が著しく増大してしまうのを防止することができる。すなわち、このような厚さの光反射粒子は、十分な光反射率を有するものとなる。
本発明の電気泳動表示装置では、前記光反射粒子の表面は、前記液相分散媒に対する親液性を有していることが好ましい。
これにより、光反射粒子は、粒子分散液中に、より安定的に分散することができる。
本発明の電気泳動表示装置では、前記粒子分散液は、さらに、液晶分子を含んでいることが好ましい。
これにより、液晶分子の挙動が、光反射粒子の挙動に影響を与えるようになる。したがって、一対の電極間に印加する電圧を制御することによって、液晶分子の配向を制御し、これにより、光反射粒子の配向を制御することができる。
本発明の電気泳動表示装置では、前記液晶分子は、前記液相分散媒に対して親液性を示す官能基を有していることが好ましい。
これにより、液晶分子は、粒子分散液中において安定的に分散することができる。
本発明の電気泳動表示装置では、前記粒子分散液は、さらに、前記液晶分子の相構造をカイラル構造に変化させ得るカイラル剤を含んでいることが好ましい。
これにより、カイラル構造を有する液晶分子は、液相分散媒の流動性により大きな影響を及ぼすこととなる。その結果、電気泳動粒子は泳動し難くなり、表示メモリー性のさらなる向上を図ることができる。また、併せて、光反射粒子の安定性(保持性)の向上を図ることができる。このため、光反射率の経時的な変化を抑制し、高品位な表示を安定して得ることができる。
本発明の電気泳動表示装置では、前記液晶分子は、ネマチック相を形成する液晶分子であり、その分子軸が電界の方向に沿って配向する配向特性を有するものであることが好ましい。
これにより、一対の電極間に電圧を印加したとき、液晶分子が電気泳動粒子の泳動を妨げるのが抑制される。このため、表示の切り替えをスムーズに行うことができる。また、電気泳動粒子の偏在を防止することができるので、安定した表示を行うことができる。また、一対の電極間に電圧が印加されていないときには、光反射粒子による反射光を表示面側に確実に指向させることができる。このため、表示の明るさおよびコントラストをより高めることができる。
本発明の電気泳動表示装置では、前記表示層は、隔壁を介して複数の画素空間に分割されており、
前記各画素空間の内面のうち、前記第1の電極側の内面および前記第2の電極側の内面の少なくとも一方に、前記液晶分子を配向させる配向膜を有することが好ましい。
これにより、一対の電極間に電位差がないとき、液晶分子を、配向膜が有する溝の形成方向に沿って配向させることができる。
本発明の電子機器は、本発明の電気泳動表示装置を備えることを特徴とする。
これにより、信頼性の高い電子機器が得られる。
以下、本発明の電気泳動表示装置および電子機器を添付図面に示す好適実施形態に基づいて詳細に説明する。
<第1実施形態>
まず、本発明の電気泳動表示装置の第1実施形態について説明する。
図1は、本発明の電気泳動表示装置の第1実施形態を模式的に示す縦断面図である。なお、以下の説明では、図1中の上側を「上」、下側を「下」と言う。
図1に示す電気泳動表示装置20は、表示面となる第1の基板1と、第1の基板1の下方に離間して設けられた第2の基板2と、各基板1、2間の縁部に設けられ、各基板1、2間の間隙を気密的に封止する封止部7とを有している。
また、各基板1、2と封止部7とで画成される気密空間内には、電気泳動粒子5および光反射粒子8を含む電気泳動分散液10が充填されている。
さらに、前記気密空間は、隔壁72によりマトリックス状に分割されており、複数に分割されてなる各空間は、それぞれが表示内容を構成する各画素に対応する画素空間71となっている。すなわち、これらの複数の画素空間71にそれぞれ電気泳動分散液10が充填されている。そして、各画素空間71に印加される電界に応じて電気泳動粒子5を泳動させ、これにより各画素空間71における光反射率を制御する。その結果、複数の画素空間71において、光反射率の制御を連動して行うことにより反射光を制御し、電気泳動表示装置20は画像や文字等の情報を表示することができる。
ここで、本発明では、電気泳動分散液10中に光反射粒子8が含まれている。この光反射粒子8は、平坦な面を有する鱗片状または円盤状をなし、かつ、電気泳動粒子5よりも光反射率の高いものである。このため、高反射率の表示を可能にし、特に明るい場所における電気泳動表示装置20の視認性を高めることができる。また、特に、白色(または淡色)表示における光反射率を高めることができ、これにより、表示のコントラストを高めることができる。
以下では、1つの画素空間71について取り上げ、各部の構成について順次説明する。なお、複数の画素空間71において、以下の各部の構成は同様である。
画素空間71の底面および天井面を画成する第1の基板1および第2の基板2は、それぞれ、シート状(平板状)の部材で構成され、これらの間に配される各部材を支持および保護する機能を有する。
各基板1、2は、それぞれ、可撓性を有するもの、硬質なもののいずれであってもよいが、可撓性を有するものであるのが好ましい。可撓性を有する各基板1、2を用いることにより、可撓性を有する表示装置20、すなわち、例えば電子ペーパーを構築する上で有用な電気泳動表示装置20を得ることができる。
また、各基板1、2を可撓性を有するものとする場合、その構成材料としては、それぞれ、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のポリオレフィン、変性ポリオレフィン、ポリアミド(例:ナイロン6、ナイロン46、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン612、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン6−12、ナイロン6−66)、熱可塑性ポリイミド、芳香族ポリエステル等の液晶ポリマー、ポリフェニレンオキシド、ポリフェニレンサルファイド、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリエーテル、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリアセタール、スチレン系、ポリオレフィン系、ポリ塩化ビニル系、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリブタジエン系、トランスポリイソプレン系、フッ素ゴム系、塩素化ポリエチレン系等の各種熱可塑性エラストマー等、またはこれらを主とする共重合体、ブレンド体、ポリマーアロイ等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を混合して用いることができる。
このような各基板1、2の平均厚さは、それぞれ、構成材料、用途等により適宜設定され、特に限定されないが、可撓性を有するものとする場合、20〜500μm程度であるのが好ましく、25〜250μm程度であるのがより好ましい。これにより、電気泳動表示装置20の柔軟性と強度との調和を図りつつ、電気泳動表示装置20の小型化(特に、薄型化)を図ることができる。
また、基板2は、例えば薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor;TFT)等のスイッチング素子を含む回路(図示せず)を有している。
これらの各基板1、2のうち、第1の基板1の内部には、複数の画素空間71に跨る層状の共通電極(第1の電極)3が設けられている。
一方、第2の基板2の内部には、各画素空間71に対応して、それぞれ層状の画素電極(第2の電極)4が設けられている。
そして、各画素電極4は、それぞれスイッチング素子に接続されている。これにより、各画素空間71の各電極3、4間には、それぞれ個別に電圧を印加することができる。
なお、共通電極3も、画素電極4と同様に複数に分割されていてもよい。
また、電気泳動表示装置20は、共通電極3および画素電極4がそれぞれストライプ状の電極となった、いわゆる「単純マトリックス駆動方式」であってもよい。
各電極3、4の構成材料としては、それぞれ、実質的に導電性を有するものであれば特に限定されず、例えば、銅、アルミニウム、ニッケル、コバルト、白金、金、銀、モリブデン、タンタルまたはこれらを含む合金等の金属材料、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、フラーレン等の炭素系材料、ポリアセチレン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアニリン、ポリ(p−フェニレン)、ポリ(p−フェニレンビニレン)、ポリフルオレン、ポリカルバゾール、ポリシランまたはこれらの誘導体等の電子導電性高分子材料、ポリビニルアルコール、ポリカーボネート、ポリエチレンオキシド、ポリビニルブチラール、ポリビニルカルバゾール、酢酸ビニル等のマトリックス樹脂中に、各種イオン性物質を分散させたイオン導電性高分子材料、インジウム錫酸化物(ITO)、フッ素ドープした錫酸化物(FTO)、錫酸化物(SnO)、インジウム酸化物等の導電性酸化物材料のような各種導電性材料が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
その他、各電極3、4の構成材料としては、それぞれ、例えば、ガラス材料、ゴム材料、高分子材料等の導電性を有さない材料中に、金、銀、ニッケル、カーボン等の導電性材料(導電性粒子)を混合して、導電性を付加したような各種複合材料も使用することができる。
このような複合材料の具体例としては、例えば、ゴム材料中に導電性材料を混合した導電性ゴム、エポキシ系、ウレタン系、アクリル系等の接着剤組成物中に導電性材料を混合した導電性接着剤または導電性ペースト、ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ABS樹脂、ナイロン(ポリアミド)、エチレン酢酸ビニル共重合体、ポリエステル、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂等のマトリックス樹脂中に導電性材料を混合した導電性樹脂等が挙げられる。
このような電極3、4の平均厚さは、それぞれ、構成材料等により適宜設定され、特に限定されないが、0.05〜10μm程度であるのが好ましく、0.05〜5μm程度であるのがより好ましい。
なお、各基板1、2および各電極3、4のうち、表示面側に配置される基板および電極(本実施形態では、第1の基板1および共通電極3)は、それぞれ、光透過性を有するもの、すなわち、実質的に透明(無色透明、有色透明または半透明)とされる。これにより、後述する電気泳動分散液10中における電気泳動粒子5の状態、すなわち電気泳動表示装置20に表示された情報(画像)を目視により容易に認識することができる。
なお、各電極3、4は、前述したような材料の単体からなる単層構造のものの他、例えば、複数の材料を順次積層したような多層積層構造のものであってもよい。すなわち、各電極3、4は、それぞれ、例えば、ITOで構成される単層構造であってもよく、ITO層とポリアニリン層との2層積層構造とすることもできる。
各基板1、2の間には、それらの縁部に沿って枠状の封止部7が設けられている。この封止部7により、電気泳動分散液10を充填してなる空間は、気密的に封止されている。これにより、電気泳動表示装置20内への水分の浸入を防止して、電気泳動表示装置20の表示性能の劣化を防止することができる。
また、前述したように、枠状の封止部7の内側には、格子状をなす隔壁72が設けられている。この隔壁72により、枠状の封止部7の内側の空間がマトリックス状の複数の画素空間71に分割され、各画素空間71がそれぞれ気密的に封止される。
このような封止部7および隔壁72を構成する材料としては、例えば、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、オレフィン系樹脂のような熱可塑性樹脂、エポキシ系樹脂、メラミン系樹脂、フェノール系樹脂のような熱硬化性樹脂等の各種樹脂材料等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
なお、封止部7および隔壁72は、その厚さ(高さ)に応じて、各基板1、2間の離間距離を制御することができる。
各基板1、2間の離間距離は、特に限定されないが、10〜500μm程度であるのが好ましく、20〜100μm程度であるのがより好ましい。この程度の離間距離を各基板1、2間に確保していれば、電気泳動表示装置20の厚さが厚くなり過ぎるのを防止しつつ、表示面側から見たとき、電気泳動分散液10を介して、第2の基板2の色が透けて見えてしまうのを防止することができる。その結果、電気泳動表示装置20における表示のコントラストが低下するのを防止することができる。
また、格子状をなす隔壁72の格子間隔(隣接する隔壁72同士の離間距離)は、電気泳動表示装置20における画素のサイズ(画素空間71の平面視のサイズ)に等しい。この画素のサイズは、表示の内容に応じて適宜設定され、特に限定されないが、50〜1000μm程度であるのが好ましく、100〜400μm程度であるのがより好ましい。これにより、情報の表示に際して十分な精細度を得ることができる。
画素空間71には、電気泳動分散液10が封入されている。
この電気泳動分散液10は、少なくとも1種の電気泳動粒子5(本実施形態では、着色粒子5bと白色粒子5aとの2種)と、光反射粒子8とを液相分散媒6に分散(懸濁)してなるものである。なお、光反射粒子8については、後に詳述する。
電気泳動粒子5や光反射粒子8の液相分散媒6への分散は、例えば、ペイントシェーカー法、ボールミル法、メディアミル法、超音波分散法、撹拌分散法等のうちの1種または2種以上を組み合わせて行うことができる。
液相分散媒6としては、比較的高い絶縁性を有するものが好適に使用される。
かかる液相分散媒6としては、例えば、ベンゼン、トルエン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、混合キシレン、エチルベンゼン、ヘキシルベンゼン、ドデシルベンゼン、フェニルキシリルエタンなどのベンゼン系炭化水素などの芳香族炭化水素類;n−ヘキサン、n−デカンなどのパラフィン系炭化水素、アイソパー(Isopar、エクソン化学社製)などのイソパラフィン系炭化水素、1−オクテン、1−デセンなどのオレフィン系炭化水素、シクロヘキサン、デカリンなどのナフテン系炭化水素などの脂肪族炭化水素類;ケロシン、石油エーテル、石油ベンジン、リグロイン、工業ガソリン、コールタールナフサ、石油ナフサ、ソルベントナフサなどの石油や石油由来の炭化水素混合物;ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン、1,1,1−トリクロロエタン、1,1,2,2−テトラクロロエタン、トリクロロフルオロエタン、テトラブロモエタン、ジブロモテトラフルオロエタン、テトラフルオロジヨードエタン、1,2−ジクロロエチレン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、トリクロロフルオロエチレン、クロロブタン、クロロシクロヘキサン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、ブロモベンゼン、ヨードメタン、ジヨードメタン、ヨードホルムなどのハロゲン化炭化水素類;ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイルなどのシリコーンオイル類(有機シリコーンオイル類);ハイドロフルオロエーテルなどのフッ素系溶剤(有機フッ素系溶剤)からなる群より選択される少なくとも1種が好適に用いられる。
また、前述した有機溶媒の中でも、沸点、および引火点が高く、毒性もほとんどないことから、ヘキシルベンゼン、ドデシルベンゼンなどの長鎖アルキルベンゼン、フェニルキシリルエタンなどが特に好ましく用いられる。
なお、液相分散媒6には、前述したものの他、例えば、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、フェニルセロソルブ等のセロソルブ類、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、ギ酸エチル等のエステル類、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルイソプロピルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、シクロへキサン、メチルシクロへキサン等の脂環式炭化水素類、ピリジン、ピラジン、フラン、ピロール、チオフェン、メチルピロリドン等の芳香族複素環類、アセトニトリル、プロピオニトリル、アクリロニトリル等のニトリル類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類、カルボン酸塩類等を用いることができる。
また、液相分散媒6(電気泳動分散液10)中には、必要に応じて、例えば、電解質、アルケニルコハク酸エステルのような界面活性剤(アニオン性またはカチオン性)、金属石鹸、樹脂材料、ゴム材料、油類、ワニス、コンパウンド等の粒子からなる荷電制御剤、シラン系カップリング剤等の分散剤、潤滑剤、安定化剤等の各種添加剤を添加するようにしてもよい。
さらに、液相分散媒6を着色する場合には、液相分散媒6に、必要に応じて、アントラキノン系染料、アゾ系染料、インジゴイド系染料等の各種染料を溶解するようにしてもよい。
電気泳動粒子5は、電荷を有し、電界が作用することにより、液相分散媒6中を電気泳動し得る粒子である。
かかる電気泳動粒子5には、電荷を有するものであれば、いかなるものをも用いることができ、特に限定はされないが、顔料粒子、樹脂粒子またはこれらの複合粒子のうちの少なくとも1種が好適に使用される。これらの粒子は、製造が容易であるとともに、帯電量の制御を比較的容易に行うことができるという利点を有している。
顔料粒子を構成する顔料としては、例えば、アニリンブラック、カーボンブラック、チタンブラック等の黒色顔料、酸化チタン、酸化アンチモン等の白色顔料、モノアゾ等のアゾ系顔料、イソインドリノン、黄鉛等の黄色顔料、キナクリドンレッド、クロムバーミリオン等の赤色顔料、フタロシアニンブルー、インダスレンブルー等の青色顔料、フタロシアニングリーン等の緑色顔料等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
このうち、顔料粒子としては、酸化チタン粒子が白色粒子5aとして好適に用いられ、チタンブラック粒子が黒色粒子5bとして好適に用いられる。これらの粒子は、電界に対する応答性が高く、また、反射率の差が大きいことから、コントラストの高い表示を可能にするものである。
また、樹脂粒子を構成する樹脂材料としては、例えば、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、尿素系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリスチレン、ポリエステル等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、複合粒子としては、例えば、顔料粒子の表面を樹脂材料や他の顔料で被覆したもの、樹脂粒子の表面を顔料で被覆したもの、顔料と樹脂材料とを適当な組成比で混合した混合物で構成される粒子等が挙げられる。
顔料粒子の表面を他の顔料で被覆した粒子としては、例えば、酸化チタン粒子の表面を、酸化珪素や酸化アルミニウムで被覆したものを例示することができる。
また、電気泳動粒子5の形状は、特に限定されないが、球形状であるのが好ましい。
電気泳動粒子5は、液相分散媒6中での分散性を考慮した場合、より小さいものが好適に用いられ、具体的には、その平均粒径が、10〜3000nm程度であるのが好ましく、50〜1000nm程度であるのがより好ましい。電気泳動粒子5の平均粒径を前記範囲とすることにより、電気泳動粒子5同士の凝集や、液相分散媒6中における沈降を確実に防止して、液相分散媒6中に分散させることができ、その結果、電気泳動表示装置20の表示品質の劣化を好適に防止することができる。
なお、本実施形態のように、2種の異なる粒子を用いる場合、2種の粒子の平均粒径を異ならせること、特に、白色粒子5aの平均粒径を黒色粒子5bの平均粒径より大きく設定するのが好ましい。これにより、電気泳動表示装置20の表示コントラストをより向上させることや、保持特性を向上させることができる。
具体的には、黒色粒子5bの平均粒径を20〜100nm程度、白色粒子5aの平均粒径を150〜300nm程度とするのが好ましい。
また、電気泳動粒子5の比重は、液相分散媒6の比重とほぼ等しくなるように設定されているのが好ましい。これにより、電気泳動粒子5は、電極3、4間への電圧の印加を停止した後においても、液相分散媒6中において一定の位置に長時間滞留することができる。
すなわち、このような電気泳動表示装置20は、電極3、4間に電圧を印加した際の表示状態を、電圧の印加を止めた後でも維持し得る性質(双安定性)を有するものである。
かかる性質(双安定性)を有する電気泳動表示装置20では、表示の切り替え時のみ、電極3、4間に電圧を印加すればよいため、消費電力を大幅に低減することが可能となる。また、電気泳動粒子5が安定的に泳動するため、電圧を小刻みに印加する等、多様なパターンで電圧を印加することができ、電気泳動粒子5の泳動をより複雑に制御することが可能となる。このため、表示品位の向上を図ることができる。
ここで、光反射粒子8について説明する。
光反射粒子8は、前述したように、平坦な面を有する鱗片状または円盤状(板状)の粒子であり、かつ、その面は、電気泳動粒子5よりも光反射率の高いものである。電気泳動分散液10にこのような光反射粒子8が含まれていると、上述した平坦な面において、電気泳動表示装置20内に入射した外光を効率よく反射することができる。これにより、表示の反射率を高めることができ、電気泳動表示装置20における表示の明るさおよびコントラストを高めることができる。
このような光反射粒子8の構成材料としては、例えば、アルミニウム、銀、金、ニッケル、クロム、錫、亜鉛、インジウム、チタン等の金属材料、またはこれらの金属材料の1種または2種以上を含む合金(または混合物)、シリコン、酸化ケイ素、炭化ケイ素、窒化ケイ素等の各種シリコン系材料、グラファイト、ダイヤモンド等の各種炭素系材料、石英ガラス等の各種ガラス材料、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリテトラフルオロエチレン、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリアセテート、ポリイミド等の各種樹脂材料、アルミナ、ジルコニア等の各種セラミックス材料等が挙げられる。
このうち、光反射粒子8には、金属光沢を有する金属材料を主材料とするものが好ましく、アルミニウム、ニッケル、白金、または銀を主材料とするものがより好ましく用いられる。これらの材料は、優れた金属光沢を有するため、光反射率の高い光反射粒子8が得られる。また、これらの材料は、反射光の色の偏りが少ないので、例えば、白色光を入射した場合には、白色に近い反射光が得られる。これにより、光反射粒子8の反射光の色が、電気泳動粒子5の反射光の色に影響を与えるのを抑制することができる。
このような光反射粒子8は、その平均長さ(大きさ)が、前述した電気泳動粒子5の粒径より大きく、かつ、可視光の最も長波長側の波長である830nmより大きいのが好ましい。このような大きさの光反射粒子8は、入射した外光を全反射することができるため、その光反射率を特に高めることができる。
また、光反射粒子8の平均長さは、0.5〜30μm程度であるのが好ましく、1〜20μm程度であるのがより好ましい。光反射粒子8がこのような大きさであれば、光反射粒子8において、十分な光反射率が維持されるとともに、液相分散媒6中での動きが著しく悪化するのを防止することができる。また、液相分散媒6中において、光反射粒子8が急速に沈降したり浮上したりするのを防止することができる。
また、光反射粒子8の平均厚さは、10〜300nm程度であるのが好ましく、20〜200nm程度であるのがより好ましい。光反射粒子8の平均厚さを前記範囲内とすることにより、光反射粒子8の重量が著しく増加するのを防止しつつ、光反射粒子8の厚さが薄くなり過ぎて、光透過率が著しく増大してしまうのを防止することができる。すなわち、このような厚さの光反射粒子8は、十分な光反射率を有するものとなる。
なお、一対の電極3、4間(共通電極3と画素電極4との間)に電位差がないときに、液相分散媒6に対して光反射粒子8が沈降および浮上しないように、光反射粒子8の大きさおよび厚さの少なくとも一方が調整されているのが好ましい。このようにすれば、光反射粒子8は、液相分散媒6中において外力が加わらなければ、その位置を保持することができる。このため、電気泳動表示装置20は、電力を消費することなく、長期にわたって表示状態を維持することができる。
また、このような光反射粒子8は、例えば、金属箔等の箔体を粉砕することによって作製することができる。このような方法で作製された光反射粒子8は、複数の光反射粒子8における厚さを容易に均一化することができる。このため、各光反射粒子8において、液相分散媒6に対する分散性や個々の反射特性のバラツキを抑制することができる。
上記粉砕方法としては、例えば、ジェットミル、ボールミル、リングロールミル、ハンマーミル等が挙げられ、これらを組み合わせて用いることもできる。
また、光反射粒子8は、前述したような材料で構成された粒子の表面に、被覆層を有するものであってもよい。
かかる被覆層を構成する材料としては、例えば、アクリル系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂、エポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリビニルブチラール系樹脂、セルロースアセテート系樹脂、ニトロセルロース系樹脂、ロジン変性マレイン酸系樹脂、尿素系樹脂、メラミン系樹脂、ノボラック型フェノール系樹脂、シェラック系樹脂等の天然樹脂またはこれらの変性樹脂、ポリビニルアルコール、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、カゼイン、デンプン、高級脂肪酸ソーダ塩等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を用いることができる。
また、光反射粒子8が被覆層を有している場合には、箔体上もしくは支持基材に蒸着した薄膜上に被覆層を形成した後、これを粉砕することによって作製される。
被覆層を形成するには、まず、上記樹脂材料を溶媒中に溶解し、得られた溶液を箔体表面に塗布する。その後、塗布膜を乾燥することによって被覆層が形成される。
用いられる溶媒としては、特に限定されないが、トリクロロエチレン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、酢酸エチル、酢酸ブチル、メタノール、エタノール、アソプロパノール、nブタノール、キシレン、トルエン、セロソルブ等が挙げられる。
なお、溶液中には、可塑剤、粘度調節剤、分散剤等が添加されていてもよい。
また、被覆層の構成材料は、例えば、金、銀、アルミニウム、ニッケル、錫、クロム、亜鉛等の金属材料であってもよく、これらの金属材料の1種または2種以上を含む合金(または混合物)であってもよい。
かかる被覆層の形成は、例えば、スパッタリング法、真空蒸着法等の物理蒸着法、プラズマCVD法等の化学蒸着法、電解めっき法、無電解めっき法等の方法により行うことができる。
なお、このような被覆層の平均厚さは、好ましくは10〜300nm程度、より好ましくは20〜150nm程度とされる。
また、被覆層は、前述したような樹脂層や金属層が2層以上積層してなる積層体であってもよい。
また、光反射粒子8の表面には、必要に応じて、液相分散媒6に対する親液性を高める処理を行うようにしてもよい。これにより、光反射粒子8は、電気泳動分散液10中により安定的に分散することができる。
光反射粒子8の表面に液相分散媒6に対する親液性を高める表面処理の方法としては、例えば、光反射粒子8の表面に官能基を導入する方法、表面に被膜を形成する方法等が挙げられる。
光反射粒子8の表面に導入される官能基や、表面に形成される被膜の組成は、液相分散媒6の性質、具体的には、親水性か疎水性かに応じて、適宜選択される。
表面に官能基を導入する具体的な方法としては、例えば、放電によって処理ガスを活性化(電離、イオン化、励起等)してプラズマを発生させ、このプラズマを被処理面に放出するプラズマ処理等が挙げられる。そして、このプラズマ処理に用いる処理ガスを適宜選択することにより、光反射粒子8の表面に導入される官能基を選択することができる。
処理ガスとしては、例えば、CF、C、C、CClF、SF等のフッ素原子含有化合物ガス、O、HO、空気等の酸素原子含有ガス、N、NH等の窒素原子含有ガス、SO、SO等の硫黄原子含有ガス等が挙げられる。
このうち、フッ素原子含有化合物ガスを用いることにより、フッ素系の液相分散媒6に対する親液性を、光反射粒子8の表面に付与することができる。一方、酸素原子含有ガス、窒素原子含有ガスおよび硫黄原子含有ガスを用いることにより、光反射粒子8の表面に親水性(親水性を有する液相分散媒6に対する親液性)を付与することができる。
一方、表面に被膜を形成する具体的な方法としては、例えば、自己組織化単分子(SAM)膜、LB(Langmuir Blodgett)膜、プラズマ重合膜等を形成する方法が挙げられる。
このうち、自己組織化単分子膜は、光反射粒子8の表面に結合する結合性官能基と、親水性または疎水性の性質を有する官能基とを有する化合物を、光反射粒子8の表面に供給し、結合性官能基と光反射粒子8の表面とを結合させることによって形成される。このような化合物としては、例えば、結合性官能基としてチオール基を有するアルカンチオールや、シランカップリング剤を利用した有機シラン化合物等が挙げられる。
また、親水性を有する官能基(極性基)としては、例えば、水酸基、アルコキシ基、ハロゲン基、アミノ基等が挙げられる。
一方、疎水性(親油性)を有する官能基としては、例えば、フルオロアルキル基、アルキル基、ビニル基等を含むものが挙げられる。
また、プラズマ重合膜は、プラズマによって原料ガスを活性化し、活性化された原料ガスを光反射粒子8の表面近傍で重合反応させることによって成膜される。
原料ガスとしては、例えば、CHF、C、C、Cのようなフッ素系ガス、C、C、Cのような炭化水素系ガス、C18OSi、C24Siのような有機シリコン系ガス、またはこれらの混合ガス等が挙げられる。
また、光反射粒子8の含有率は、特に限定されないが、電気泳動粒子5に対して質量比で好ましくは0.2〜1.5倍程度であり、より好ましくは0.4〜1倍程度とされる。なお、光反射粒子8の含有率が前記下限値を下回った場合、光反射粒子8による反射光が十分に得られないおそれがある。一方、光反射粒子8の含有率が前記上限値を上回った場合、光反射粒子8による反射光が強くなりすぎてしまい、例えば、本来は低反射率が好ましい黒色表示の反射率を高めてしまうおそれがある。
このような電気泳動表示装置20は、次のようにして作動する。
以下、電気泳動表示装置20の作動(動作)方法について説明する。
図2および図3は、図1に示す電気泳動表示装置の動作方法を説明するための模式図である。
電気泳動表示装置20の共通電極3と画素電極4との間に電圧を印加すると、これらの間に電界が生じる。この電界にしたがって、電気泳動粒子5(白色粒子5a、黒色粒子5b)は、いずれかの電極に向かって電気泳動する。
ここで、例えば、白色粒子5aとして正電荷を有するものを用い、黒色粒子5bとして負電荷を有するものを用いた場合、画素電極4を正電位とすると、白色粒子5aは共通電極3側に移動して、共通電極3付近に集まる。一方、黒色粒子5bは、画素電極4側に移動して、画素電極4付近に集まる。このため、電気泳動表示装置20を上方(表示面側)から見ると、図2(A)および図3(A)に示すように、白色粒子5aの色が見えること、すなわち、白色が見えることになる。
ここで、従来の電気泳動表示装置では、図2(A)および図3(A)に示す白色表示の際に、白色ではなく、やや灰色を帯びた色に見えることが問題となっていた。この主な原因としては、低電圧化のため電極間距離が狭く、また粒子の分散濃度に限界があるため、白色粒子5aで形成される層の光反射率が低く、光を透過してしまう。このため、電気泳動表示装置20を図2および図3の上方から見たとき、白色粒子5aで形成される反射層の背後にある黒色粒子5bの色が透けて見えることが考えられる。
そこで、本発明では、電気泳動分散液10に、電気泳動粒子5に加え、光反射粒子8を混合することとした。電気泳動分散液10中の光反射粒子8は、白色粒子5aが共通電極3付近に集まった状態の白色表示の際に、白色粒子5aの下方(白色粒子5aと黒色粒子5bとの間)に位置し、表示面側から白色粒子5aを透過してきた光を再び上方に反射する。これにより、電気泳動表示装置20の使用者は、白色粒子5aによる反射光のみでなく、光反射粒子8による反射光も視認することになるため、結果として白色表示における光反射率が高くなる。その結果、電気泳動表示装置20の表示の明るさおよびコントラストを高めることができる。
このような構成において、電気泳動粒子5の泳動を、画素空間71ごとに制御することによって、電気泳動表示装置20の表示面側には、白色粒子5aおよび黒色粒子5bによる反射光に基づいて、所望の情報(画像)が表示される。
ところで、光反射粒子8は、(I)無帯電の状態か、または、(II)黒色粒子5bよりも小さい帯電量に帯電した状態で、液相分散媒6中に分散している。以下、(I)、(II)の各場合について順次説明する。
(I)光反射粒子8が無帯電である場合、一対の電極3、4間に生じた電界の影響を受けないため、図2(A)に示す白色表示の際に、光反射粒子8は画素空間71において一対の電極3、4間に浮遊する。これにより、前述したように、光反射粒子8が白色粒子5aから形成される光反射層の透過光を反射するので、白色表示における光反射率をより高めることができる。
なお、光反射粒子8は無帯電であるため、液相分散媒6中の全体にわたって分散している。
ここで、白色表示から黒色表示に切り替えるべく、画素電極4が負電位、共通電極3が正電位となるように、一対の電極3、4間に電圧を印加する。これにより、白色粒子5aは画素電極4側に電気泳動し、黒色粒子5bは共通電極3側に電気泳動する。
図2(B)には、白色表示から黒色表示に切り替える途中における電気泳動粒子5および光反射粒子8の分散状態を示す。電気泳動粒子5は、電界に応じて電気泳動するものの、光反射粒子8は無帯電であるため、電気泳動することなく液相分散媒6中に分散する。
その後、電圧の印加を止め、図2(B)に示す状態から一定時間経過すると、図2(C)に示すように、白色粒子5aは画素電極4付近に集まり、黒色粒子5bは共通電極3付近に集まる。この状態の電気泳動表示装置20を上方(表示面側)から見ると、黒色粒子5bの色が見えること、すなわち、黒色が見えることになる。また、光反射粒子8は無帯電であるため、この黒色表示状態においても、一対の電極3、4間に浮遊している。
なお、一般に、黒色粒子5bを構成する材料は、光透過率が極めて低いものが多く用いられており、したがって、黒色粒子5bは光をほとんど透過しない。このため、黒色表示は、その光反射率が十分に小さく、光反射粒子8が表示のコントラストを損なうおそれはない。
(II)光反射粒子8が電気泳動粒子5より小さい帯電量で帯電している場合、光反射粒子8は、一対の電極3、4間に生じた電界の影響を受ける。
ここで、光反射粒子8の帯電の極性は、黒色粒子5b(白色粒子5aよりも光反射率の低い粒子)と同じ極性とされる。これにより、光反射粒子8は、一対の電極3、4間に電界が生じたとき、泳動速度は黒色粒子5bより遅いものの、同じ方向に泳動する。
以下、具体的に説明すると、図3(A)に示す白色表示の際には、白色粒子5aは共通電極3付近に集まり、黒色粒子5bは画素電極4付近に集まる。このとき、光反射粒子8は、黒色粒子5bと同じ極性に帯電しているので、画素電極4側に泳動するが、その帯電量が黒色粒子5bより小さいので、黒色粒子5bよりも画素電極4側に近づくことができず、黒色粒子5bの上方に集まることとなる。その結果、光反射粒子8は白色粒子5aの背後に位置し、白色粒子5aを透過してきた光を反射するので、白色表示における光反射率をより高めることができる。
なお、光反射性粒子8は、前述したように板状をなす粒子であるため、黒色粒子5bの上方に集まった時、光反射粒子8が互いに重なり合うようにして堆積し易くなる。このため、光反射粒子8の面が上下を向くように堆積することとなり、その結果、光反射粒子8の反射面を確実に表示面側(第1の基板1側)に向けることができる。これにより、白色表示における光反射率をより高めることができる。
ここで、白色表示から黒色表示に切り替えるべく、画素電極4が負電位、共通電極3が正電位となるように、一対の電極3、4間に電圧を印加する。これにより、白色粒子5aは画素電極4側に電気泳動し、黒色粒子5bは共通電極3側に電気泳動する。
図3(B)には、白色表示から黒色表示に切り替える途中における電気泳動粒子5および光反射粒子8の分散状態を示す。光反射粒子8は、電界に応じて共通電極3側に泳動するものの、黒色粒子5bに比べて帯電量が小さいため、黒色粒子5bに比べて泳動速度が遅い。したがって、光反射粒子8は、図3(B)に示すように、黒色粒子5bに遅れて共通電極3側に泳動する。
その後、図3(B)に示す状態から一定時間経過すると、図3(C)に示すように、白色粒子5aは画素電極4付近に集まり、黒色粒子5bは共通電極3付近に集まる。また、光反射粒子8は、黒色粒子5bの下方に集まる。この状態の電気泳動表示装置20を上方(表示面側)から見ると、黒色粒子5bの色が見えること、すなわち、黒色が見えることになる。
なお、前述したように、黒色粒子5bは光をほとんど透過しない。したがって、黒色表示は、その光反射率が十分に小さく、光反射粒子8が表示のコントラストを損なうおそれはない。
以上のようにして、電気泳動表示装置20は、高反射率でかつ高コントラストの表示が可能になる。
このような電気泳動表示装置20は、次のようにして製造することができる。
以下、電気泳動表示装置20の製造方法について説明する。
図4は、図1に示す電気泳動表示装置の製造方法を説明するための模式図である。
図1に示す電気泳動表示装置20の製造方法は、まず、[1]共通電極3を内包する第1の基板1と、画素電極4を内包する第2の基板2とを用意する第1の工程と、[2]第1の基板1上に、板状でかつ格子状をなす隔壁72を貼り合わせる第2の工程と、[3]格子状の隔壁72中に形成された複数の凹部710に対して電気泳動分散液10を注入する第3の工程と、[4]隔壁72の第2の基板2と反対側の面に第1の基板1を貼り合わせる第4の工程と、[5]第1の基板1および第2の基板2の縁部に沿って封止部7を形成する第5の工程とを有している。
以下、各工程について順次説明する。
[1]まず、図4(a)に示すように、共通電極3を内包する第1の基板1と、画素電極4を内包する第2の基板2とを用意する。
共通電極3および画素電極4は、例えば、スパッタリング法、真空蒸着法のような各種物理蒸着法、プラズマCVD法のような各種化学蒸着法等の成膜方法により形成することができる。
このような各基板1、2は、各電極3、4を挟み込むようにして形成することができる。すなわち、基板形成用のシート上に各電極3、4を形成し、その後、前記シートと同様の別のシートを各電極3、4上に積層することによって形成することができる。
なお、各電極3、4は、必ずしも各基板1、2に内包されている必要はなく、各基板1、2の表示層側の面上に成膜されていてもよい。
[2]次に、図4(b)に示すように、第2の基板2上に、板状でかつ格子状をなす隔壁72を貼り合わせる(第2の工程)。
第2の基板2と隔壁72との接着は、例えば、接着剤等により行うことができる。
このようにして、第1の基板1と隔壁72とを貼り合わせると、格子状の隔壁72中には、複数の画素空間71となる凹部710が形成される。
[3]次に、図4(c)に示すように、各凹部710内に電気泳動分散液10を注入する(第3の工程)。
電気泳動分散液10の注入は、例えば、ディスペンサー等を用いて行うことができる。
[4]次に、図4(d)に示すように、隔壁72上に第1の基板1を貼り合わせる(第4の工程)。これにより、第1の基板1によって、各凹部710を封止する。その結果、第1の基板1と第2の基板2との間に、隔壁72で区画された複数の画素空間71が形成される。
隔壁72と第1の基板1との接着は、例えば、接着剤等により行うことができる。
[5]次に、第1の基板1および第2の基板2の縁部に沿って封止部7を形成する(第5の工程)。
以上のようにして、図1に示す電気泳動表示装置20が得られる。
なお、前記工程[3]、[4]は、次の工程[3A]、[4A]のようにしてもよい。
図5は、図1に示す電気泳動表示装置の他の製造方法を説明するための模式図である。
[3A]まず、図5(a)に示すように、各凹部710内に電気泳動分散液10を注入する(第3の工程)。このとき、電気泳動分散液10は、各凹部710内に、隔壁72の上端まで注入するのではなく、注入量を隔壁72の高さの7〜8割程度までに留める。これにより、電気泳動分散液10の上方に凹部711が残る。
続いて、図5(b)に示すように、この電気泳動分散液10の上方の凹部711に、接着剤75を注入する。この接着剤75は、隔壁72の上端と同じ高さか、または隔壁72の上端から接着剤75がやや盛り上がる程度に注入する。
その後、速やかに第2の基板2と隔壁72との積層体を、図5(c)に示すように、上下反転させる。このとき、接着剤75が有する粘性によって、各凹部710中の電気泳動分散液10や接着剤75は、落下することなく保持される。
なお、このときに用いる接着剤75としては、特に限定されないが、電気泳動分散液10中の液相分散媒6が疎水性(親油性)である場合には、水溶性の接着剤が好ましく用いられる。これにより、電気泳動分散液10と接着剤75とが不本意に混じり合うことが防止され、電気泳動分散液10が変質するのを防止することができる。
また、接着剤75には、その比重が電気泳動分散液10の比重より大きいものが好ましく用いられる。このような接着剤を用いることにより、前述したようにして第2の基板2と隔壁72との積層体を上下反転させたときに、比重の差に基づいて、電気泳動分散液10の位置と接着剤75の位置とが入れ替わってしまうのを防止することができる。
[4A]次に、図5(c)に示すように、隔壁72の下面に、第1の基板1を貼り合わせる(第4の工程)。これにより、第1の基板1によって、各凹部710を封止する。その結果、第1の基板1と第2の基板2との間に、隔壁72で区画された複数の画素空間71が形成される。
なお、隔壁72と第1の基板1との間は、前記工程[3A]で注入した接着剤75によって接着される。したがって、以上のような方法によれば、各画素空間71間が接着剤75によって確実に隔離されることとなる。すなわち、各画素空間71の気密性、液密性が向上するとともに、隔壁72と第1の基板1との隙間に残存したりするのを防止することができる。その結果、隔壁72と第1の基板1との接着性が低下したり、隣接する画素空間71の間で電気泳動分散液10が相互に混入するのを防止することができる。
<第2実施形態>
次に、本発明の電気泳動表示装置の第2実施形態について説明する。
図6は、本発明の電気泳動表示装置の第2実施形態を模式的に示す縦断面図である。
以下、第2実施形態にかかる電気泳動表示装置について説明するが、前記第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
本実施形態にかかる電気泳動表示装置は、電気泳動分散液10が、電気泳動粒子5および光反射粒子8に加え、さらに液晶分子9を含む以外は、前記第1実施形態と同様である。
すなわち、本実施形態にかかる電気泳動表示装置20は、各基板1、2と封止部7とで画成される気密空間内に、電気泳動粒子5、光反射粒子8および液晶分子9を含む電気泳動分散液10が充填されている。
このように電気泳動分散液10中に液晶分子9が含まれていると、液晶分子9は、一対の電極3、4間に生じる電界に応じて配向する。また、液晶分子9は、細長い形状の分子であるため、その周囲に存在する粒子の挙動に影響を与える。すなわち、液晶分子9が配向すると、それに応じて、光反射粒子8も配向する。したがって、一対の電極3、4間に印加する電圧を制御することによって、液晶分子9の配向を制御し、これにより、光反射粒子8の配向を制御することができる。
ここで、液晶分子9は、ネマチック液晶、コレステリック液晶、スメクチック液晶等の配向し得る液晶であればよいが、特に、ネマチック液晶(ネマチック相を形成する液晶分子)であって、かつ、一対の電極3、4間に電位差があるとき、その分子軸(長軸)が、前記電極の法線方向に沿うように配向する配向特性を有するのが好ましい。すなわち、液晶分子9は、電界の方向に沿って配向する、いわゆる正の誘電異方性を有するものが好ましい。これにより、後に詳述するが、液晶分子9は、電気泳動粒子5の泳動方向を最適化するのに寄与する。
このような液晶分子9としては、例えば、フェニルシクロヘキサン誘導体液晶、ビフェニル誘導体液晶、ビフェニルシクロヘキサン誘導体液晶、テルフェニル誘導体液晶、フェニルエーテル誘導体液晶、フェニルエステル誘導体液晶、ビシクロヘキサン誘導体液晶、アゾメチン誘導体液晶、アゾキシ誘導体液晶、ピリミジン誘導体液晶、ジオキサン誘導体液晶、キュバン誘導体液晶等が挙げられる。
上述したようなネマチック液晶のうち、負の誘電異方性を有するネマチック液晶としては、例えばZLI−2806(メルク社製)等が挙げられ、正の誘電異方性を有するネマチック液晶としては、例えばZLI−1840、ZLI−4535(いずれもメルク社製)等が挙げられる。
また、この他、T0697、T0698、T0699(いずれも東京化成工業社製)等を用いるようにしてもよい。
さらに、電気泳動分散液10は、カイラル剤を含んでいるのが好ましい。カイラル剤が添加されることによって、液晶分子9は、電界がかかっていないときにカイラル構造(ねじれ構造)をとることができるようになる。このため、電気泳動分散液10では、液晶分子9のカイラル構造が、液相分散媒6の流動性により大きな影響を及ぼすこととなる。その結果、電気泳動粒子5は泳動し難くなり、前述した表示メモリー性のさらなる向上を図ることができる。また、併せて、光反射粒子8の安定性(保持性)の向上を図ることができる。このため、光反射率の経時的な変化を抑制し、高品位な表示を安定して得ることができる。
カイラル剤としては、例えば、CB−15、C−15、S−811、S−1082(いずれもメルク社製)、CM−19、CM、CM−20、CM−21、CM−22(いずれもチッソ社製)等のものが好ましく使用される。その添加量は、液晶分子9に対して、好ましくは0.01〜10質量%であり、より好ましくは0.1〜5重量%である。
また、液晶分子9は、液相分散媒6に対して親液性を示す官能基を有するものが好ましい。このような官能基を有する液晶分子9は、電気泳動分散液10中において安定的に分散することができる。
具体的には、例えば、液相分散媒6がフッ素系分散媒である場合には、液晶分子9として、前述したようなネマチック液晶分子に、モノフルオロ基、ジフルオロ基、トリフルオロ基、トリフルオロメチル基、トリフルオロメトキシ基、ジフルオロメトキシ基等のフッ素系置換基を導入した液晶分子が好ましく用いられる。
また、液晶分子9の含有率は、特に限定されないが、電気泳動粒子5に対して質量比で好ましくは0.2〜1.5倍程度であり、より好ましくは0.5〜1倍程度とされる。
また、画素空間71の天井面および底面には、液晶分子9を配向させる配向膜91、92が設けられている。各配向膜91、92は、それぞれの表面に、互いに平行に形成された複数の溝を有しており、この溝の形成方向に液晶分子9の分子軸が平行になるよう、液晶分子9を配向させることができる。したがって、液晶分子9は、一対の電極3、4間に電位差があるときには、それによる電界の方向に応じて配向するものの、電位差がないときには、各配向膜91、92が有する溝の形成方向に沿って配向する。このため、液晶分子9を、画素空間71の天井面および底面にほぼ平行に配向させることができる。
図7は、図6に示す電気泳動表示装置の動作方法を説明するための模式図である。また、以下の説明では、分子軸が電界の方向に平行になるような種類の液晶分子9を例に説明する。
電気泳動表示装置20の共通電極3と画素電極4との間に電圧を印加すると、これらの間に電界が生じる。この電界にしたがって、電気泳動粒子5(白色粒子5a、黒色粒子5b)は、いずれかの電極に向かって電気泳動する。
ここで、例えば、白色粒子5aとして正電荷を有するものを用い、黒色粒子5bとして負電荷を有するものを用いた場合、画素電極4を正電位とすると、白色粒子5aは共通電極3側に移動して、共通電極3付近に集まる。一方、黒色粒子5bは画素電極4側に移動して、画素電極4付近に集まる。このため、電気泳動表示装置20を上方(表示面側)から見ると、図7(A)に示すように、白色粒子5aの色が見えること、すなわち、白色が見えることになる。
また、白色表示にするために一対の電極3、4間に電圧が印加されると、液晶分子9が電界に応じて縦方向に配向し、白色表示が安定した後、電圧の印加を終了すると、各配向膜91、92が有する溝の形成方向に沿って、図7(A)に示すように、横方向に配向する。
このように液晶分子9が横方向に配向すると、液相分散媒6において、液晶分子9の配向方向に直交する方向の粘性が増大する。これは、液晶分子9の分子軸の方向が、液相分散媒6の流動方向に対して直交しているため、流動抵抗の増大を招くためと推察される。このようにして液相分散媒6の粘性が増大すると、電気泳動粒子5が上下に移動し難くなるため、電気泳動粒子5の位置の保持性が向上する。すなわち、一対の電極3、4間への電圧印加を停止した状態における表示メモリー性が向上するので、例えば、図7(A)に示す白色表示の表示メモリー性の向上を図ることができる。
さらに、図7(A)に示す状態では、液晶分子9の配向に応じて光反射粒子8が配向する。光反射粒子8は、前述したように、平坦な面を有する板状の粒子なので、この面が液晶分子9の分子軸と平行になるように配向する。
この状態では、光反射粒子8の面が黒色粒子5bをより確実に覆うとともに、この面による反射光が確実に共通電極3(表示面)側を指向する。このため、白色粒子5aを透過した透過光を確実に反射し、白色表示における光反射率をより高めることができる。その結果、電気泳動表示装置20の表示の明るさおよびコントラストをより高めることができる。
ここで、白色表示から黒色表示に切り替えるべく、画素電極4が負電位、共通電極3が正電位となるように、一対の電極3、4間に電圧を印加する。これにより、白色粒子5aは画素電極4側に電気泳動し、黒色粒子5bは共通電極3側に電気泳動する。
図7(B)には、白色表示から黒色表示に切り替える途中における電気泳動粒子5、光反射粒子8および液晶分子9の分散状態を示す。
電気泳動粒子5は、電界に応じて電気泳動するものの、光反射粒子8は無帯電であるため、電気泳動することなく液相分散媒6中に分散する。
また、一対の電極3、4間に電圧が印加されると、液晶分子9が電界に応じて縦方向に配向する。
このように液晶分子9が縦方向に配向すると、液相分散媒6において、液晶分子9の配向方向に直交する方向の粘性が増大するが、配向方向に平行な方向の粘性はほとんど変化しない。すなわち、この状態では、電気泳動粒子5が問題なく上下に移動することができ、白色表示から黒色表示への切り替えをスムーズに行うことができる。一方、電気泳動粒子5は左右に移動し難くなるので、電気泳動粒子5の偏在を防止することができる。その結果、画素空間71の全体を白色粒子5aで確実に覆うことができ、白色表示における光反射率の低下を確実に防止することができる。
また、液晶分子9の配向に応じて光反射粒子8も配向するため、光反射粒子8が移動中の電気泳動粒子5の移動を妨げることも防止される。
その後、電圧の印加を止め、図7(B)に示す状態から一定時間経過すると、図7(C)に示すように、白色粒子5aは画素電極4付近に集まり、黒色粒子5bは共通電極3付近に集まる。この状態の電気泳動表示装置20を上方(表示面側)から見ると、黒色粒子5bの色が見えること、すなわち、黒色が見えることになる。
また、電圧の印加を終了すると、各配向膜91、92が有する溝の形成方向に沿って、図7(C)に示すように、液晶分子9が横方向に配向する。
このように液晶分子9が横方向に配向すると、前述したように、表示メモリー性が向上するので、例えば、図7(C)に示す黒色表示の表示メモリー性が向上する。
なお、前述したように、黒色粒子5bは光をほとんど透過しない。したがって、黒色表示は、その光反射率が十分に小さく、光反射粒子8が表示のコントラストを損なうおそれはない。
以上のように、本実施形態においても、前記第1実施形態と同様に、高反射率でかつ高コントラストの表示が可能な電気泳動表示装置20が得られる。
このような電気泳動表示装置20は、次のようにして製造することができる。
以下、電気泳動表示装置20の製造方法について説明する。
電気泳動表示装置20の製造方法は、まず、[1]共通電極3を内包する第1の基板1の一方の面に配向膜91を形成するとともに、画素電極4を内包する第2の基板2の一方の面に配向膜92を形成する第1の工程と、[2]配向膜92上に、板状でかつ格子状をなす隔壁72を貼り合わせる第2の工程と、[3]格子状の隔壁72中に形成された複数の凹部710に対して電気泳動分散液10を注入する第3の工程と、[4]隔壁72の第2の基板2と反対側の面に配向膜91が密着するように、隔壁72上に第1の基板1を貼り合わせる第4の工程と、[5]第1の基板1および第2の基板2の縁部に沿って封止部7を形成する第5の工程とを有している。
以下、各工程について順次説明する。
[1]まず、共通電極3を内包する第1の基板1と、画素電極4を内包する第2の基板2とを用意する。
次に、第1の基板1の表示面側の面上に、配向膜91を形成する。また、第2の基板2の表示面側の面上に、配向膜92を形成する。
各配向膜91、92の構成材料としては、例えば、ポリイミド、ポリアミド、ポリエステル等の有機系材料、酸化ケイ素等の無機系材料、LB(Langmuir Blodgett)膜等が挙げられる。
また、各配向膜91、92の形成方法としては、例えば、第1の基板1上に有機系材料を成膜した後、この膜にラビング処理を施す方法等の他、酸化ケイ素等の無機系材料を斜めに蒸着する方法(斜方蒸着法)、スプレー熱分解法により無機系材料を成膜する方法、レーザー重合法、LB法、ポリイミド膜に偏光紫外線を照射する方法等のラビング処理を伴わない方法等が挙げられる。
[2]次に、配向膜92上に、板状でかつ格子状をなす隔壁72を貼り合わせる(第2の工程)。
第2の基板2と隔壁72との接着は、例えば、接着剤等により行うことができる。
このようにして、第1の基板1と隔壁72とを貼り合わせると、格子状の隔壁72中には、複数の画素空間71となる凹部710が形成される。また、凹部710の底面(下面)には、配向膜92が露出した状態となる。
[3]次に、各凹部710内に電気泳動分散液10を注入する(第3の工程)。
[4]次に、隔壁72の上面に配向膜91が密着するように、隔壁72上に第1の基板1を貼り合わせる(第4の工程)。これにより、第1の基板1によって、各凹部710を封止する。その結果、第1の基板1と第2の基板2との間に、隔壁72で区画された複数の画素空間71が形成される。また、各画素空間71の天井面(第1の基板1側の内面)には配向膜91が露出しており、底面(第2の基板2側の内面)には配向膜92が露出することとなる。
隔壁72と第1の基板1との接着は、例えば、接着剤等により行うことができる。
[5]次に、第1の基板1および第2の基板2の縁部に沿って封止部7を形成する(第5の工程)。
以上のようにして、図6に示す電気泳動表示装置20が得られる。
なお、前記工程[3]、[4]は、前記第1実施形態における工程[3A]、[4A]のようにしてもよい。
<電子機器>
以上のような電気泳動表示装置20は、各種電子機器に組み込むことができる。かかる電子機器は、いわゆる電子ペーパーの他、例えば、テレビ、ビューファインダ型、モニタ直視型のビデオテープレコーダ、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳、電卓、電子新聞、ワードプロセッサ、パーソナルコンピュータ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、タッチパネルを備えた機器等を挙げることができ、これらの各種電子機器の表示部に、本発明の電気泳動表示装置20を適用することが可能である。
以上、本発明の電気泳動表示装置および電子機器を、図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各部の構成は、同様の機能を有する任意の構成のものに置換することができる。また、本発明に、他の任意の構成物が付加されていてもよい。
本発明の電気泳動表示装置の第1実施形態を模式的に示す縦断面図である。 図1に示す電気泳動表示装置の動作方法を説明するための模式図である。 図1に示す電気泳動表示装置の動作方法を説明するための模式図である。 図1に示す電気泳動表示装置の製造方法を説明するための模式図である。 図1に示す電気泳動表示装置の他の製造方法を説明するための模式図である。 本発明の電気泳動表示装置の第2実施形態を模式的に示す縦断面図である。 図6に示す電気泳動表示装置の動作方法を説明するための模式図である。
符号の説明
1‥‥第1の基板 2‥‥第2の基板 3‥‥共通電極 4‥‥画素電極 5‥‥電気泳動粒子 5a‥‥白色粒子 5b‥‥黒色粒子 6‥‥液相分散媒 7‥‥封止部 71‥‥画素空間 72‥‥隔壁 75‥‥接着剤 710、711‥‥凹部 8‥‥光反射粒子 9‥‥液晶分子 91、92‥‥配向膜 10‥‥電気泳動分散液 20‥‥電気泳動表示装置

Claims (14)

  1. 互いに対向配置された一対の電極と、該一対の電極間に設けられた表示層とを備え、
    該表示層は、前記一対の電極間への通電により所定の方向に泳動する少なくとも1種の電気泳動粒子と、鱗片状または円盤状をなし、前記電気泳動粒子より光反射率の高い無帯電の光反射粒子とを、液相分散媒に分散してなる粒子分散液を含有することを特徴とする電気泳動表示装置。
  2. 前記光反射粒子は、金属光沢を有する金属材料を主材料とするものである請求項に記載の電気泳動表示装置。
  3. 前記金属材料は、アルミニウム、ニッケル、白金、または銀である請求項に記載の電気泳動表示装置。
  4. 前記光反射粒子は、金属箔を粉砕して形成されたものである請求項2または3に記載の電気泳動表示装置。
  5. 前記光反射粒子の大きさは、前記電気泳動粒子の粒径より大きく、かつ、830nmより大きい請求項1ないしのいずれかに記載の電気泳動表示装置。
  6. 前記光反射粒子の大きさは、0.5〜30μmである請求項1ないしのいずれかに記載の電気泳動表示装置。
  7. 前記光反射粒子の厚さは、10〜300nmである請求項1ないしのいずれかに記載の電気泳動表示装置。
  8. 前記光反射粒子の表面は、前記液相分散媒に対する親液性を有している請求項1ないしのいずれかに記載の電気泳動表示装置。
  9. 前記粒子分散液は、さらに、液晶分子を含んでいる請求項1ないしのいずれかに記載の電気泳動表示装置。
  10. 前記液晶分子は、前記液相分散媒に対して親液性を示す官能基を有している請求項に記載の電気泳動表示装置。
  11. 前記粒子分散液は、さらに、前記液晶分子の相構造をカイラル構造に変化させ得るカイラル剤を含んでいる請求項9または10に記載の電気泳動表示装置。
  12. 前記液晶分子は、ネマチック相を形成する液晶分子であり、その分子軸が電界の方向に沿って配向する配向特性を有するものである請求項9ないし11のいずれかに記載の電気泳動表示装置。
  13. 前記表示層は、隔壁を介して複数の画素空間に分割されており、
    前記各画素空間の内面のうち、前記第1の電極側の内面および前記第2の電極側の内面の少なくとも一方に、前記液晶分子を配向させる配向膜を有する請求項9ないし12のいずれかに記載の電気泳動表示装置。
  14. 請求項1ないし13のいずれかに記載の電気泳動表示装置を備えることを特徴とする電子機器。
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