JP5352958B2 - 分散液、並びに感熱記録材料及びその製造方法 - Google Patents

分散液、並びに感熱記録材料及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、分散液、並びに支持体と感熱記録層との間に中間層(「アンダーコート層」、「アンダー層」と称することもある)を有する感熱記録材料及び該感熱記録材料の製造方法に関する。
近年、情報の多様化やニーズの拡大に伴い、情報記録分野において各種の記録材料が研究・開発され実用化されている。これらの中でも、感熱記録材料は、(1)加熱プロセスのみによる簡易な画像の記録が可能なこと、(2)記録装置が簡単でコンパクト化が容易になり記録材料が取扱易く安価であること、(3)使用する材料が1成分(感熱紙のみ)であるなどの利点を有する。このため、情報処理分野(卓上計算機、コンピューター等のアウトプット)、医療計測用レコーダー分野、低速乃至高速ファクシミリ分野、自動券売機分野(乗車券、入場券等)、感熱複写機分野、POSシステムのラベル分野、荷物のタグ分野等の多岐にわたって用いられている。また最近では、記録装置の小型化、及び高速化が求められており、感熱記録材料も小型化、高速化に伴って印字エネルギーの低下に対応した高感度化が望まれている。
このような感熱記録材料は、通常、紙又は合成樹脂フィルム等の支持体上に加熱によって発色反応を起こしうる発色成分を含有した感熱記録層塗布液を塗布し、乾燥させることにより製造されている。この感熱記録材料は、熱ペン又はサーマルヘッドで加熱することにより発色画像が記録される。このような感熱記録材料の従来例としては、例えば特許文献1及び特許文献2などに開示されている。しかし、従来の感熱記録材料は、熱応答性が低く、高速記録の際に十分な発色濃度が得られないという課題があった。
このような課題を改善する方法として、支持体と感熱記録層との間に中空粒子を含有する中間層を設けた感熱記録材料が提案されている。例えば、特許文献3には、ガラス転移温度(Tg)が40℃〜90℃であり、平均粒子径が0.20μm〜1.5μm、中空率が40%〜90%の中空粒子を用いる方法が提案されている。しかし、この提案では、サーマルヘッドでの印字時の熱により、中空粒子の軟化が発生し、スティキングが発生しやすく、また、感度向上効果の点でも満足できるレベルでは無かった。
また、特許文献4では、平均粒径2μm〜10μm、中空率90%以上の中空粒子を中間層に用いたものが提案されている。また、特許文献5では、中間層中に2μm〜20μmの粒径範囲で比重が0.21以下の中空粒子を用いたものが提案されている。また、特許文献6では、中間層中に中空率が90%以上の中空粒子と、エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドのブロック共重合体を含有させる方法が提案されている。しかし、これらの従来技術で用いられている中空粒子は、その粒径が10μm〜30μmという大きな粒子も存在するため、この中空粒子を用いた中間層上に感熱記録層を設けると、中間層の大きな粒子の部分には感熱記録層が形成されない部分ができ、ベタ画像を印字した場合に白抜けが発生しやすい。また、これらの中空粒子は塩化ビニリデンを有しており、塩素原子を含むため焼却処理時に環境を汚染するという懸念があった。
また、特許文献7では、中空率35%〜60%、平均粒径0.4μm〜1.5μmの中空粒子を含有する中間層を設けることが提案されている。また、特許文献8では、中空率が30%以上の非発泡性中空粒子を含有する中間層を設けることが提案されている。しかし、これらの提案は、いずれも中空率が60%以下と低いため、十分な断熱効果が得られず、高感度の点で不十分である。
また、中空粒子を用いた中間層に結着剤を併用する方法として、例えば、特許文献9では、中空粒子に対し10質量%〜40質量%の結着樹脂を添加することが提案されている。また、前記特許文献5では、中空粒子に対し2質量%〜50質量%の結着樹脂を添加することが提案されている。しかし、これらの提案の結着樹脂比率では、感熱記録材料の感度向上、及び得られる画像の精細性で不十分である。
上記課題を改善するため、特許文献10及び特許文献11には、水溶性ポリマー及びスチレン−ブタジエン共重合体の使用が提案されている。しかし、これらの提案では、塗工速度の遅いワイヤーバー塗工及びエアナイフ塗工では良好な画像精細性及び発色感度が得られるが、特に高速塗工が可能生産性の高いブレード塗工時においては、塗布時に微小なスジが発生し、その微小スジの発生が感熱記録材料の感度低下、及び得られる画像の精細性低下を招くという課題がある。
特開昭43−4160号公報 特公昭45−14039号公報 特開平1−113282号公報 特開平4−241987号公報 特開平5−309939号公報 特開平8−238843号公報 特開平3−147888号公報 特開平2−214688号公報 特開平6−247051号公報 特開2003−080846号公報 特開平6−278367号公報
本発明は、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、中間層塗工時における微小なスジの発生による精細性及び感度の低下がなく、高感度及び高精細であり、かつ高結着性を有し、高い生産性を有しながら製造可能であり、塩素に起因する焼却処理時の環境汚染の懸念の無い分散液、並びに感熱記録材料及び該感熱記録材料の製造方法を提供することを目的とする。
前記課題を解決するための手段としては以下の通りである。即ち、
<1> 中空粒子と、スチレン−ブタジエン共重合体と、ビニルアルコールとアリルスルホン酸金属塩との共重合体とを含有してなり、
前記中空粒子の中空率が60%〜98%であり、該中空粒子の最大粒子径(D100)が5.0μm〜10.0μmであり、該最大粒子径(D100)と、前記中空粒子の50%頻度の粒子径(D50)との比(D100/D50)が1.5〜3.0であり、
前記ビニルアルコールとアリルスルホン酸金属塩との共重合体の固形分含有量が、前記中空粒子100質量部に対し10〜50質量部であることを特徴とする分散液である。
<2> ビニルアルコールとアリルスルホン酸金属塩との共重合体の質量平均分子量が、10,000以上である前記<1>に記載の分散液である。
<3> ビニルアルコールとアリルスルホン酸金属塩との共重合体のケン化度が、80mol%以上である前記<1>から<2>のいずれかに記載の分散液である。
<4> 粒子径が2μm以下である中空粒子の中空粒子全体における比率が、5%〜10%である前記<1>から<3>のいずれかに記載の分散液である。
<5> 中空粒子が、架橋構造を有する重合体を含有する前記<1>から<4>のいずれかに記載の分散液である。
<6> スチレン−ブタジエン共重合体の固形分含有量が、中空粒子100質量部に対し100質量部〜300質量部である前記<1>から<5>のいずれかに記載の分散液である。
<7> 支持体と、該支持体上に中間層と、該中間層上に少なくともロイコ染料及び顕色剤を含有する感熱記録層とを有する感熱記録材料であって、
前記中間層が、前記<1>から<6>のいずれかに記載の分散液から形成されたことを特徴とする感熱記録材料である。
<8> 支持体と、該支持体上に中間層と、該中間層上に少なくともロイコ染料及び顕色剤を含有する感熱記録層とを有する感熱記録材料であって、
前記中間層が、中空粒子と、スチレン−ブタジエン共重合体と、ビニルアルコールとアリルスルホン酸金属塩との共重合体とを含有してなり、
前記中空粒子の中空率が60〜98%であり、該中空粒子の最大粒子径(D100)が5.0μm〜10.0μmであり、該最大粒子径(D100)と、前記中空粒子の50%頻度の粒子径(D50)との比(D100/D50)が1.5〜3.0であり、
前記ビニルアルコールとアリルスルホン酸金属塩との共重合体の固形分含有量が、前記中空粒子100質量部に対し10質量部〜50質量部であることを特徴とする感熱記録材料である。
<9> ビニルアルコールとアリルスルホン酸金属塩との共重合体の質量平均分子量が10,000以上である前記<7>から<8>のいずれかに記載の感熱記録材料である。
<10> ビニルアルコールとアリルスルホン酸金属塩との共重合体のケン化度が、80mol%以上である前記<7>から<9>のいずれかに記載の感熱記録材料である。
<11> 粒子径が2μm以下である中空粒子の中空粒子全体における比率が、5%〜10%である前記<7>から<10>のいずれかに記載の感熱記録材料である。
<12> 中空粒子が、架橋構造を有する重合体を含有する前記<7>から<11>のいずれかに記載の感熱記録材料である。
<13> スチレン−ブタジエン共重合体の固形分含有量が、中空粒子100質量部に対し100質量部〜300質量部である前記<7>から<12>のいずれかに記載の感熱記録材料である。
<14> 顕色剤が、4−ヒドロキシ−4’−アリルオキシジフェニルスルホン及び2,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホンのいずれかである前記<7>から<13>のいずれかに記載の感熱記録材料である。
<15> 感熱記録層が、下記一般式(II)で表されるジフェニルスルホン酸誘導体を含有する前記<7>から<14>のいずれかに記載の感熱記録材料である。
ただし、前記一般式(II)中、X及びYは、各々相異なってもよく直鎖又は分枝を有してもよい炭素数1〜12の飽和、あるいは不飽和エーテル結合を有していてもよい炭化水素基、下記構造式(a)、及び下記構造式(b)のいずれかを表す。
ただし、前記式中、Rはメチレン基又はエチレン基を表し、Tは水素原子、炭素数1〜4のアルキル基を表す。R〜Rは、それぞれ独立にハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基、又はアルケニル基を示す。m、n、p、q、r、及びtは、それぞれ0〜4の整数を表し、これらが2以上の場合にはR〜Rはそれぞれ異なっていてもよい。aは0〜10の整数を表す。
<16> ロイコ染料が、3−(N,N−ジブチルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−イソアミルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン及び3−[N−エチル−N−(P−メチルフェニル)]−6−メチル−7−アニリノフルオランから選択される少なくとも1種である前記<7>から<15>のいずれかに記載の感熱記録材料である。
<17> ロイコ染料の体積平均粒子径が0.10μm〜0.30μmである前記<7>から<16>のいずれかに記載の感熱記録材料である。
<18> 支持体と、該支持体上に中間層と、該中間層上に少なくともロイコ染料及び顕色剤を含有する感熱記録層とを有する感熱記録材料の製造方法であって、
前記支持体上に、前記<1>から<6>のいずれかに記載の分散液を塗布し、乾燥させて中間層を形成する中間層形成工程を含むことを特徴とする感熱記録材料の製造方法である。
<19> 分散液の塗布が、ブレード塗工法により行われる前記<18>に記載の感熱記録材料の製造方法である。
本発明によると、従来における問題を解決することができ、中間層塗工時における微小なスジの発生による精細性及び感度の低下がなく、高感度及び高精細であり、かつ高結着性を有し、高い生産性を有しながら製造可能であり、塩素に起因する焼却処理時の環境汚染の懸念の無い分散液、並びに感熱記録材料及び該感熱記録材料の製造方法を提供することができる。
(分散液)
本発明の分散液は、中空粒子と、スチレン−ブタジエン共重合体と、ビニルアルコールとアリルスルホン酸金属塩との共重合体とを含有してなり、更に必要に応じてその他の成分を含有してなる。
前記中空粒子の中空率が60%〜98%であり、該中空粒子の最大粒子径(D100)が5.0μm〜10.0μmであり、該最大粒子径(D100)と、前記中空粒子の50%頻度の粒子径(D50)との比(D100/D50)が1.5〜3.0である。
本発明においては、中空粒子と、ビニルアルコールとアリルスルホン酸金属塩との共重合体と、スチレン−ブタジエン共重合体とを組み合わせた分散液を用いて、感熱記録材料を作製することにより、感度、結着性、液塗工性(ブレード塗工性)の面で特に優れた効果が得られる。その理由については、明確ではないが、スチレン−ブタジエン共重合体は中空粒子との相性が良く、均一に分散可能なため、強い結着力と感度との両立が最少量で可能となるからではないかと推測される。
−スチレン−ブタジエン共重合体−
前記スチレン−ブタジエン共重合体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、その質量平均分子量は20万〜30万が好ましく、そのガラス転移温度(Tg)は−10℃〜10℃が好ましく、その平均粒径は50nm〜200nmが好ましく、100nm〜200nmがより好ましい。
前記スチレン−ブタジエン共重合体としては、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。該市販品としては、例えばスマーティック530D、スマーティックPA−9155、スマーティックPA−9157、スマーティックPA−9159(いずれも、日本エイアンドエル株式会社製)などが挙げられる。
前記スチレン−ブタジエン共重合体の前記分散剤における固形分含有量は、前記中空粒子100質量部に対し100質量部〜300質量部が好ましく、100質量部〜200質量部がより好ましい。これにより、感熱記録材料の印字感度を大幅に向上させることができる。これは、中間層内で充填された中空粒子間の空隙を埋めることにより中間層表面の平滑性が更に向上した結果と考えられる。前記含有量が、100質量部未満であると、中空粒子の空隙が残るために発色濃度の低下、及び結着力の低下を引き起こすことがあり、300質量部を超えると、中間層内の中空粒子の割合が低下するため中間層の断熱性が低下して感度低下を引き起こす。他の樹脂を用いた場合には、結着性を保持するために中空粒子に対し、300質量部を超える量が必要となることから感度と結着性の両立が困難となる。
−ビニルアルコールとアリルスルホン酸金属塩との共重合体−
前記分散剤において、これまで水溶性ポリマーを用いてきた理由としては、中間層を塗工した場合の成膜性、感熱記録層の中間層に対する濡れ性が向上することにより画像の精細性及び結着性の向上が可能になるためであり、水溶性ポリマーとしては完全けん化ポリビニルアルコールが好適であり、その添加量は前記中空粒子100質量部に対し1質量部〜30質量部が好ましい。前記添加量が、1質量部未満であると、画像精細性及び結着力向上の効果が認められず、30質量部を超えると、分散液の粘度が高くなり、スジ及びムラのない均一塗工が困難になることがある。
しかし、前記完全けん化ポリビニルアルコールの添加量が1〜30質量部の範囲にあっても、ワイヤーバー塗工及びブレード塗工において微小なスジが発生し、塗布均一性が悪いことにより、精細性や感度低下を引き起こすという問題がある。このようなスジの発生原因を解析した結果、塗工時に塗布液に大きなせん断力がかかることにより、中空粒子を取り囲んでいる樹脂が分離し、液安定性を失い、中空粒子が凝集し、スジ状になることが判った。また、完全けん化ポリビニルアルコールの添加量を増やすことにより中空粒子を取り囲んでいる樹脂の分離を抑え、液安定性を保持することは可能ではあるが、これには、完全けん化ポリビニルアルコールの添加量が30質量部以上必要となる。その結果、分散液の粘度を上げることから、別の要因よるスジ及びムラの発生が生じ、添加量の増量により感度低下を引き起こすことから、完全けん化ポリビニルアルコールによる改善は困難であった。
そこで、本発明においては、水溶性ポリマーとしてビニルアルコールとアリルスルホン酸金属塩との共重合体を用いることにより、塗工時に塗布液に大きなせん断力がかかった場合においても、完全けん化ポリビニルアルコールで発生したような中空粒子からの樹脂の分離がなくスジの発生がなく、また、添加量が多い場合でもスジ及びムラの発生が防止できる。
前記ビニルアルコールとアリルスルホン酸金属塩との共重合体は中空粒子の分散安定剤として機能しており、質量平均分子量は10,000以上が好ましく、10,000〜20,000がより好ましい。前記質量平均分子量が10,000未満であると、分散安定性を失い高せん断力により中空粒子の分離を招きスジの発生要因となる。一方、20,000を超えると、粘度が高くなり別要因によるスジ及びムラのが生じることがある。
ここで、前記質量平均分子量は、例えばゲル浸透クロマトグラフィー法により測定することができる。
前記ビニルアルコールとアリルスルホン酸金属塩との共重合体のケン化度は、80mol%〜90mol%が好ましい。前記ケン化度が80mol%未満であると、高い分散性が得られず、スジ発生の原因となることがる。
ここで、前記ケン化度は、例えば赤外分光法により、ピーク強度を求め、ケン化度を算出することができる。
前記ビニルアルコールとアリルスルホン酸金属塩との共重合体における金属塩としては、ナトリウム、カリウムが好ましい。
前記ビニルアルコールとアリルスルホン酸金属塩との共重合体の前記分散液における固形分含有量は、前記中空粒子100質量部に対し10質量部〜50質量部が好ましく、20質量部〜40質量部がより好ましい。前記含有量が、10質量部未満であると、中空粒子に対するビニルアルコールとアリルスルホン酸金属塩との共重合体の含有量が不足していることからスジが発生することがある。
なお、前記ビニルアルコールとアリルスルホン酸金属塩との共重合体と併用して他の水溶性ポリマーをスジの発生がない範囲で併用することも可能である。
−中空粒子−
前記中空粒子は、その中空率が60%〜98%であり、75%〜95%が好ましい。前記中空率が60%未満であると、本発明の目的及び効果が少なくなり、98%を超えると、中空率のものでは厚みが薄くなるため、中空粒子の強度が劣ることになる。
前記中空粒子の最大粒子径(D100)は、5.0μm〜10.0μmであり、7μm〜10.0μmが好ましい。前記最大粒子径(D100)が10.0μmを超えると、これらを用いた中間層上に感熱記録層を設けると、中間層の大きな粒子の部分には感熱記録層が形成されない部分ができ、ベタ画像を印字した場合に白抜けが発生しやすいことがある。一方、前記最大粒子径(D100)が5.0μm未満であると、中空率60%以上を確保することが困難になり、その結果、得られる感熱記録材料の感度が低くなることがある。
前記中空粒子の50%頻度の粒子径(D50)に対する最大粒子径(D100)の比(D100/D50)は1.5〜3.0が好ましく、1.5〜2.7がより好ましい。前記比(D100/D50)が3.0より大きい場合は、粒子径分布がブロード状態にあることを示しており、この場合粒子径1μm以下の微小中空粒子の割合が多くなり、このような中空粒子を含む分散液を用いて作製した塗布層は、層内の中空粒子径の分布不均一になり、感熱記録材料を作製した際に感度が低下する現象を引き起こすことがある。一方、前記比(D100/D50)が1.5未満であると、非常にシャープな粒子径分布を有することになり、中空粒子の合成条件の点から実現が困難である。
粒子径2μm以下の中空粒子の中空粒子全体に対する比率は、5%〜10%が好ましい。前記比率が10%を超えると、粒子径1μm以下の微小中空粒子の割合が多くなり、この中空粒子を用いた中間層は、層内の中空粒子径の分布が不均一になり、材料の感度が低下することがあり、5%未満であると、非常にシャープな粒子径分布を有することになり、この場合には、中空粒子の合成条件の点から実現が困難である。
前記中空粒子(重合体)のガラス転移温度(Tg)は95℃〜150℃が好ましく、95℃〜120℃がより好ましい。前記ガラス転移温度(Tg)が95℃未満であると、これらを用いた中間層はサーマルヘッドによる印字時に感熱記録層と融着し、その結果、スティッキングが発生し良好な印字が困難になる現象が認められる。一方、前記ガラス転移温度(Tg)が150℃を超えると、サーマルヘッドによる印字時に中間層が剛直な状態にあり、柔軟性が不足するためにヘッドとの密着性が低下し感度が低下する現象が認められる、
ここで、前記中空粒子の粒径及び粒度分布の値は、例えば、粒径分布測定装置(堀場製作所製、LA−700)を用いて測定することができる。メジアン径は50%頻度の粒径であり、D50と記し、最大粒子径は分布の最大粒子径であり、D100と記す。
前記中空粒子の中空率は、IPA法により真比重を測定し、真比重値から以下のようにして求めることができる。
(1)サンプルの前処理
・サンプルを60℃で一昼夜乾燥してサンプルとする。
(2)試薬
・イソプロピルアルコール(IPA;試薬一級)
(3)測定法
・メスフラスコを精秤する(W1)。
・メスフラスコに乾燥済サンプルを約0.5g取り精秤する(W2)。
・次に、IPAを約50mg加え、十分に振とうして完全にカプセル外の空気を除去する。
・IPAを標線まで加え精秤する(W3)。
・ブランクとしてメスフラスコにIPAのみを標線まで加え精秤する(W4)。
(4)真比重の算出
(5)中空率の算出
中空率(%)={1−1/(1.1/真比重)}×100
本発明において、前記中空粒子は断熱材として作用すると共に、弾力性を有することから、サーマルヘッドからの熱エネルギーを効率良く活用し、発色感度向上をもたらす。
本発明で用いる中空粒子は、架橋構造を有する重合体からなることが好ましい。即ち、中空粒子の外殻(シェル)は、網状構造の重合体からなる。
本発明において、前記架橋構造とは、モノマーを架橋剤で反応させた立体構造を意味する。
前記架橋構造を有する重合体には、単独重合体の他、共重合体も包含されるものとする。また、共重合体には、ランダム共重合体、ブロック共重合体及びグラフト共重合体が包含されるものとする。
前記架橋構造を有する重合体は、(i)少なくとも1種のビニルモノマーと、(ii)少なくとも1種の多官能性ビニルモノマーとを共重合体させて製造したビニル重合体であることが好ましい。前記ビニルモノマーは、分子中に1つのビニル基を有するビニルモノマーである。前記多官能性ビニルモノマーは、分子中に2つ以上のビニル基を有するビニルモノマーであり、ビニル重合体中に架橋構造を形成するための架橋剤として作用する。前記多官能性ビニルモノマーにおいて、そのビニル基の数は、2〜6が好ましく、2〜3がより好ましく、2が最も好ましい。
前記ビニルモノマーとしては、特に制限はなく、従来公知の各種のビニルモノマーの中から目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のニトリル系ビニルモノマー;アクリレート、メタクリレート等のアクリレート系ビニルモノマー;エチレン、プロピレン等のオレフィン系ビニルモノマー;スチレン、置換基(メチル基やプロピル基等)を有するスチレン等のスチレン系ビニルモノマー;酢酸ビニルなどが挙げられる。これらの中でも、ニトリル系ビニルモノマー、アクリレート系ビニルモノマーから選択される少なくとも1種を含むビニルモノマーが好ましく、ニトリル系ビニルモノマーが特に好ましい。
前記ビニルモノマーとしては、ハロゲン原子、特に塩素原子を含まないビニルモノマーの使用が好ましく、該ハロゲン原子を含まないビニルモノマーを用いることにより、ハロゲン原子を含まないビニル重合体を得ることができる。このようなハロゲン原子を含まない重合体は、焼却してもハロゲン原子を放出しないことから環境汚染を招く懸念がない。
前記ビニルモノマーとしては、下記一般式(1)で表される(メタ)アクリル酸エステルを用いるのが好ましい。
ただし、前記一般式(1)中、Rは水素原子又はメチル基を表す。
上記一般式(1)で表されるビニルモノマーを用いることにより、その主鎖中に下記一般式(2)で表される(メタ)アクリル酸エステルを構成単位として含有する重合体を得ることができる。
ただし、前記一般式(2)中、Rは、水素原子又はメチル基を示す。
前記架橋剤(多官能性ビニルモノマー)としては、特に制限はなく、従来公知の各種のものの中から適宜選択することができ、例えばジビニルベンゼン、ジビニルトルエン等のジビニル芳香族炭化水素;ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等のポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート;ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等のポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート;1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサグリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート等のアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート;2,2’−ビス(4−(メタ)アクリルオキシジエトキシフェニル)プロパン;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート;フタル酸ジアリルなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記架橋構造を有するビニル重合体において、その架橋度は、その重合体が熱可塑性を有し、熱成形性を有する範囲が好ましく、0.1%〜10%がより好ましく、1%〜3%が更に好ましい。前記架橋度は、次式で定義される。
架橋度R(%)=B/(A+B)×100
ただし、前記式中、Rは架橋度(%)を示し、Aはビニルモノマーのモル数を示し、Bは架橋剤(多官能性ビニルモノマー)のモル数を2つのビニル基を有する架橋剤(多官能性ビニルモノマー)を基準としたモル数に換算した換算モル数を示す。この換算モル数Bは以下の式で表される。
B=M×n/2
ただし、前記式中、Bは架橋剤の換算モル数を示し、Mは架橋剤の実際のモル数を示し、nは架橋剤の有するビニル基の数を示す。
前記中空粒子の製造方法としては、特に制限はなく、従来公知の各種の方法を用いることができるが、一般的には、芯物質としての揮発性物質を内包し、外殻が重合体からなるカプセル状態の重合体粒子を作り、この重合体を加熱発泡させる方法が用いられる。この方法においては、外殻を形成する重合体は、その芯物質として用いる揮発性物質(例えば、イソブタン等)に対するガス透過性の低いことが必要である。外殻用重合体が塩化ビニリデンを含む重合体である場合には、そのガス透過性は低くなり、高中空率の中空粒子を得ることは容易である。しかし、塩化ビニリデンを含む重合体は、焼却したときに塩素を放出するために、環境汚染の問題を生じ、その使用は好ましくない。
そこで、塩化ビニリデンを含む重合体の代りに、架橋構造を有する重合体を用いることにより、塩化ビニリデンを用いた場合と同様に外殻重合体のガス透過性を低くでき、中空率60%以上の中空粒子を得ることができる。架橋構造を有しないビニルポリマーだけで外殻を形成した場合は、加熱発泡時に外殻の破裂等が発生し、高中空率の中空粒子を得ることが困難になるが、ビニルポリマーに架橋構造を形成することにより、加熱発泡時に外殻破壊を起こさずに高中空率を実現することが可能となる。
前記中空粒子において、その最大粒子径(D100)は5.0μm〜10.0μmであり、かつその最大粒子径(D100)と50%頻度の粒子径(D50)との比D100/D50は1.5〜3.0であるが、このような中空粒子を得るには、製造される中空粒子の粒径分布をシャープにすることが必要である。このような粒径分布がシャープである中空粒子は、その重合体として、前記一般式(1)で表される(メタ)アクリル酸エステルをビニルモノマー成分の少なくとも1種として用いて得られる前記一般式(2)で表される(メタ)アクリル酸エステル単位を含むビニル重合体を用いることにより、容易に製造し得る。
重合体中に含有させる前記一般式(2)で表される(メタ)アクリル酸単位の割合は、重合体中に含まれる全モノマー単位に対し、10モル%〜70モル%が好ましく、10モル%〜40モル%がより好ましい。
本発明の分散液には、前記中空粒子、スチレン−ブタジエン共重合体、及びビニルアルコールとアリルスルホン酸金属塩との共重合体と共に、必要に応じて更にこの種の感熱記録材料に慣用される補助添加成分、例えば、フィラー、熱可融性成分、界面活性剤等を含有させることができる。
(感熱記録材料及びその製造方法)
本発明の感熱記録材料は、第1形態では、支持体と、該支持体上に中間層と、該中間層上に少なくともロイコ染料及び顕色剤を含有する感熱記録層とを有してなり、更に必要に応じてその他の層を有してなる。
前記中間層が、本発明の前記分散液から形成される。
本発明の感熱記録材料の製造方法は、前記支持体上に、本発明の前記分散液を塗布し、乾燥させて中間層を形成する中間層形成工程を含み、更に必要に応じてその他の工程を含んでなる。
前記分散液の塗布が、ブレード塗工法により行われることが好ましい。
前記中間層を形成するには、中空粒子とスチレン−ブタジエン共重合体とビニルアルコールとアリルスルホン酸金属塩との共重合体とを含む中間層塗布液を、支持体上に塗布し、乾燥させる。前記中間層塗布液の塗布量は、固形換算量で、1g/m〜5g/mであることが好ましい。
前記中間層塗布液の塗布方法としては、例えばワイヤーバー塗工法、エアナイフ塗工法、ブレード塗法、エアナイフ塗布法、グラビア塗布法、ロールコーティング塗布法、スプレー塗布法、ディップ塗布法、エクストルージョン塗布法などが挙げられる。これらの中でも、生産性が重要視されており、高速塗工が可能であり、スジの発生がなく、塗布品質と高い生産性を両立可能である点から、ブレード塗工法、ロッドブレード塗工法が特に好ましい。
また、本発明の感熱記録材料は、第2形態では、支持体と、該支持体上に中間層と、該中間層上に少なくともロイコ染料及び顕色剤を含有する感熱記録層とを有してなり、更に必要に応じてその他の層を有してなる。
<中間層>
前記中間層が、中空粒子と、スチレン−ブタジエン共重合体と、ビニルアルコールとアリルスルホン酸金属塩との共重合体とを含有してなり、
前記中空粒子の中空率が60%〜98%であり、該中空粒子の最大粒子径(D100)が5.0μm〜10.0μmであり、該最大粒子径(D100)と、前記中空粒子の50%頻度の粒子径(D50)との比(D100/D50)が1.5〜3.0であり、
前記ビニルアルコールとアリルスルホン酸金属塩との共重合体の固形分含有量は、前記中空粒子100質量部に対し10質量部〜50質量部である。
前記中空粒子、スチレン−ブタジエン共重合体、及びビニルアルコールとアリルスルホン酸金属塩との共重合体としては、上記分散液で説明したものと同様のものを用いることができる。
本発明の感熱記録材料において、前記中間層に含まれる中空粒子としては、その中空率が60%〜98%であり、最大粒子径(D100)が5.0μm〜10.0μmであり、50%頻度の粒子径(D50)に対する最大粒子径(D100)の比(D100/D50)が1.5〜3.0であり、好ましくは2μm以下の中空粒子の割合が5%〜10%であり、更に、ガラス転移温度(Tg)が95℃〜150℃の中空粒子である。このような中空粒子を用いることにより、材料の断熱性、ヘッド密着性が向上し、サーマルヘッドの熱が効率よく材料表面へ伝わるため、材料の高感度化が達成されると共に、材料の表面を均一に保持することが可能になり、これによって、印字白抜け、スティックの発生を防止し、印字画像の均一性が向上する。
<感熱記録層>
前記感熱記録層は、少なくともロイコ染料、顕色剤、及び結着樹脂を含有してなり、更に必要に応じてその他の成分を含有してなる。
−ロイコ染料−
前記ロイコ染料としては、特に制限はなく、感熱記録材料として普通に使用されているものの中から適宜選択することができ、例えば、トリフェニルメタン系、フルオラン系、フェノチアジン系、オーラミン系、スピロピラン系、インドリノフタリド系等の染料が好適である。
前記ロイコ染料としては、例えば3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−フタリド、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド(別名クリスタルバイオレットラクトン)、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジエチルアミノフタリド、3,3−ビス(p−ジブチルアミノフェニル)フタリド、3−ジメチルアミノ−5,7−ジメチルフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−メチルフルオラン、3−ジエチルアミノ−7,8−ベンズフルオラン、3−(N−p−トリル−N−エチルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ピロリジノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−N−メチル−N,n−アミルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−N−メチル−N−シクロヘキシルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N,N−ジエチルアミノ)−5−メチル−7−(N,N−ジベンジルアミノ)フルオラン、ベンゾイルロイコメチレンブルー、3−(2’−ヒドロキシ−4’−ジメチルアミノフェニル)−3−(2’−メトキシ−5’−ニトロフェニル)フタリド、3−(2’−ヒドロキシ−4’−ジエチルアミノフェニル)−3−(2’−メトキシ−5’−メチルフェニル)フタリド、3−(N−エチル−N−テトラヒドロフルフリル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−N−エチル−N−(2−エトキシプロピル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−N−メチル−N−イソブチル−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−モルホリノ−7−(N−プロピル−トリフルオロメチルアニリノ)フルオラン、3−(N−エチル−p−トルイジノ)−7−(α−フェニルエチルアミノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(o−メトキシカルボニルフェニルアミノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−5−メチル−7−(α−フェニルエチルアミノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−ピペリジノフルオラン、3−ジ−n−ブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3,6−ビス(ジメチルアミノ)フルオレンスピロ(9,3’)−6’−ジメチルアミノフタリド、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−メシチジノ−4’,5’−ベンゾフルオラン、3−N−メチル−N−イソプロピル−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−N−エチル−N−イソアミル−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(2’,4’−ジメチルアニリノ)フルオラン、3−モルホリノ−7−(N−プロピル−トリフルオロメチルアニリノ)フルオラン、3−(N−エチル−p−トルイジノ)−7−(α−フェニルエチルアミノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(o−メトキシカルボニルフェニルアミノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−5−メチル−7−(α−フェニルエチルアミノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−ピベリジノフルオラン、3,6−ビス(ジメチルアミノ)フルオレンスピロ(9,3’)−6’−ジメチルアミノフタリド、3−(N−ベンジル−N−シクロヘキシルアミノ)−5,6−ベンゾ−7−α−ナフチルアミノ−4’−ブロモフルオラン、3−N−エチル−N−(2−エトキシプロピル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−N−エチル−N−テトラヒドロフルフリルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−メシチジノ−4’,5’−ベンゾフルオラン、3−(p−ジメチルアミノフェニル)−3−{1,1−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)エチレン−2−イル}フタリド、3−(p−ジメチルアミノフェニル)−3−{1,1−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)エチレン−2−イル}−6−ジメチルアミノフタリド、3−(p−ジメチルアミノフェニル)−3−(1−p−ジメチルアミノフェニル−1−フェニルエチレン−2−イル)フタリド、3−(4’−ジメチルアミノ−2’−ベンジルオキシ)−3−(1”−p−ジメチルアミノフェニル−1”−フェニル−1”,3”−ブタジエン−4”−イル)ベンゾフタリド−3−ジメチルアミノ−6−ジメチルアミノ−フルオレン−9−スピロ−3’−(6’−ジメチルアミノ)フタリド、ビス(p−ジメチルアミノスチリル)−1−ナフタレンスルホニルメタン、ビス(p−ジメチルアミノスチリル)−1−p−トリルスルホニルメタンなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらは、発色性の点から、3−(N,N−ジブチルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−イソアミルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−[N−エチル−N−(p−メチルフェニル)]−6−メチル−7−アニリノフルオランが特に好ましい。
前記ロイコ染料の体積平均粒子径が1.0μm以下の染料を用いることにより、高感度化は可能であるが、0.30μm以下にすることで更に高感度化を達成することが可能である。しかし、ロイコ染料の粒子径を小さくすることにより、地肌カブリが大きくなる傾向があり、粒子径が0.10μm以下になると地肌カブリが顕著に発生することから、地肌カブリと高感度を両立するためには、前記ロイコ染料の体積平均粒径は0.10μm〜0.30μmが好ましい。
ここで、前記ロイコ染料の体積平均粒径は、例えば散乱式粒度測定装置(堀場製作所製、LA−920)により測定することができる。
−顕色剤−
前記顕色剤としては、特に制限はなく、前記ロイコ染料を接触時発色させる電子受容性の種々の化合物、酸化剤等の中から目的に応じて適宜選択することができる。
前記顕色剤としては、例えば4,4’−イソプロピリデンビスフェノール、4,4’−イソプロピリデンビス(o−メチルフェノール)、4,4’−セカンダリーブチリデンビスフェノール、4,4’−イソプロピリデンビス(2−ターシャリーブチルフェノール)、p−ニトロ安息香酸亜鉛、1,3,5−トリス(4−ターシャリーブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)イソシアヌル酸、2,2−(3,4’−ジヒドロキシジフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)スルフィド、4−{β−(p−メトキシフェノキシ)エトキシ}サリチル酸、1,7−ビス(4−ヒドロキシフェニルチオ)−3,5−ジオキサヘプタン、1,5−ビス(4−ヒドロキシフェニルチオ)−5−オキサペンタン、フタル酸モノベンジルエステルモノカルシウム塩、4,4’−シクロヘキシリデンジフェノール、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−ターシャリーブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(6−ターシャリーブチル−2−メチル)フェノール、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−ターシャリ−ブチルフェニル)ブタン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−シクロヘキシルフェニル)ブタン、4,4’−チオビス(6−ターシャリーブチル−2−メチル)フェノール、4,4’−ジフェノールスルホン、4−イソプロポキシ−4’−ヒドロキシジフェニルスルホン、4−ベンジロキシ−4’−ヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’−ジフェノールスルホキシド、p−ヒドロキシ安息香酸イソプロピル、p−ヒドロキシ安息香酸ベンジル、プロトカテキユ酸ベンジル、没食子酸ステアリル、没食子酸ラウリル、没食子酸オクチル、1,3−ビス(4−ヒドロキシフェニルチオ)−プロパン、N,N’−ジフェニルチオ尿素、N,N’−ジ(m−クロロフェニル)チオ尿素、サリチルアニリド、ビス−(4−ヒドロキシフェニル)酢酸メチルエステル、ビス−(4−ヒドロキシフェニル)酢酸ベンジルエステル、1,3−ビス(4−ヒドロキシクミル)ベンゼン、1,4−ビス(4−ヒドロキシクミル)ベンゼン、2,4’−ジフェノールスルホン、2,2’−ジアリル−4,4’−ジフェノールスルホン、3,4−ジヒドロキシフェニル−4’−メチルジフェニルスルホン、1−アセチルオキシ−2−ナフトエ酸亜鉛、2−アセチルオキシ−1−ナフトエ酸亜鉛、2−アセチルオキシ−3−ナフトエ酸亜鉛、α,α−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−α−メチルトルエン、チオシアン酸亜鉛のアンチピリン錯体、4,4’−チオビス(2−メチルフェノール)、4−ヒドロキシ−4’−アリルオキシジフェニルスルホンなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、材料の感度や保存性の点から、4−ヒドロキシ−4’−アリルオキシジフェニルスルホン、2,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホンが特に好ましい。
また、顕色剤として下記一般式(II)で表されるジフェニルスルホン酸誘導体を用いることもできる。該ジフェニルスルホン酸誘導体は、可塑剤や油脂類に対して高い保存安定性を示す顕色剤として、例えば、特開平8−333329号公報に開示されている。
ただし、前記一般式(II)中、X及びYは、各々相異なってもよく直鎖又は分枝を有してもよい炭素数1〜12の飽和、あるいは不飽和エーテル結合を有していてもよい炭化水素基、下記構造式(a)、及び下記構造式(b)のいずれかを表す。
ただし、前記式中、Rはメチレン基又はエチレン基を表し、Tは水素原子、炭素数1〜4のアルキル基を表す。R〜Rは、それぞれ独立にハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基、又はアルケニル基を示す。m、n、p、q、r、及びtは、それぞれ0〜4の整数を表し、これらが2以上の場合にはR〜Rはそれぞれ異なっていてもよい。aは0〜10の整数を表す。
前記一般式(II)で表されるジフェニルスルホン酸誘導体は、可塑剤や油脂類に対して高い保存安定性を示すが、発色感度及び発色濃度が低いことが課題である。例えばジフェニルスルホン酸誘導体の高分子量の顕色剤は発色感度及び発色濃度を補うため、低融点の顕色剤や増感剤を用いるものが開示されている(特開平10−297089号公報及び特開平10−297090号公報等参照)。これらは低融点の顕色剤や増感剤を用いて低エネルギー領域での画像発色濃度を見かけ上げることでみかけの発色感度を向上させているが、耐可塑剤性等の保存性試験に対して画像濃度の低下、即ち、画像残存率の低下が顕著に見られる。なぜならば、見かけの画像発色濃度の部分については低融点の顕色剤や増感剤による画像発色濃度の部分であり、可塑剤や油脂類に対して容易に消色するためと考えられる。端的に言うならば、本来、高分子量の顕色剤が持っている耐薬品性が、発色感度を上げるための手段によって、最大の特徴である耐薬品性を失うことを意味する。つまり高分子量の顕色剤において、発色感度の向上と耐薬品性における画像残存率の両立が課題である。
上述したように、低融点の顕色剤や増感剤を用いることで、ロイコ染料や顕色剤と共融し、融点降下を起こす材料の添加が行われているが、低融点化すると感度は向上するが、発色温度が低下するため、感度向上と共に地肌かぶりが低温で発生するという問題点がある。
本発明においては、本発明の前記分散液を中間層の形成に用い、かつ4−ヒドロキシ−4’−アリルオキシジフェニルスルホン、2,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホンと、上記一般式(II)で表されるジフェニルスルホン酸誘導体との組み合わせにより、高い発色感度と、濃度と、保存性とを両立可能である。
前記顕色剤の含有量は、前記ロイコ染料1質量部に対し1質量部〜20質量部が好ましく、2質量部〜10質量部がより好ましい。
−バインダー樹脂−
前記バインダー樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリビニルアルコール、澱粉又はその誘導体、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース等のセルロース誘導体;ポリアクリル酸ソーダ、ポリビニルピロリドン、アクリルアミド−アクリル酸エステル共重合体、アクリルアミド−アクリル酸エステル−メタクリル酸三元共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体又はその塩、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体又はその塩、ポリアクリルアミド、アルギン酸ソーダ、ゼラチン、カゼイン等の水溶性ポリマー;ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸エステル、ポリブチルメタクリレート、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のエマルジョン;スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−ブタジエン−アクリル系共重合体等のラテックス、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記感熱記録層には、感度向上剤として種々の熱可融性物質を使用することができる。該熱可融性物質としては、例えば、ステアリン酸、ベヘン酸等の脂肪酸類、ステアリン酸アミド、パルミチン酸アミド等の脂肪酸アミド類、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウム、パルミチン酸亜鉛、ベヘン酸亜鉛等の脂肪酸金属塩類、p−ベンジルビフェニル、ターフェニル、トリフェニルメタン、p−ベンジルオキシ安息香酸ベンジル、β−ベンジルオキシナフタレン、β−ナフトエ酸フェニルエステル、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸フェニルエステル、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸メチルエステル、ジフェニルカーボネート、テレフタル酸ジベンジルエステル、テレフタル酸ジメチルエステル、1,4−ジメトキシナフタレン、1,4−ジエトキシナフタレン、1,4−ジベンジルオキシナフタレン、1,2−ビス(フェノキシ)エタン、1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタン、1,2−ビス(4−メチルフェノキシ)エタン、1,4−ビス(フェノキシ)ブタン、1,4−ビス(フェノキシ)−2−ブテン、1,2−ビス(4−メトキシフェニルチオ)エタン、ジベンゾイルメタン、1,4−ビス(フェニルチオ)ブタン、1,4−ビス(フェニルチオ)−2−ブテン、1,2−ビス(4−メトキシフェニルチオ)エタン、1,3−ビス(2−ビニルオキシエトキシ)ベンゼン、1,4−ビス(2−ビニルオキシエトキシ)ベンゼン、p−(2−ビニルオキシエトキシ)ビフェニル、p−アリールオキシビフェニル、p−プロパギルオキシビフェニル、ジベンゾイルオキシメタン、1,3−ジベンゾイルオキシプロパン、ジベンジルジスルフィド、1,1−ジフェニルエタノール、1,1−ジフェニルプロパノール、p−(ベンジルオキシ)ベンジルアルコール、1,3−ジフェノキシ−2−プロパノール、N−オクタデシルカルバモイル−p−メトキシカルボニルベンゼン、N−オクタデシルカルバモイルベンゼン、蓚酸ジベンジルエステル、1,5−ビス(p−メトキシフェニルオキシ)−3−オキサペンタン等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記感熱記録層には、更に必要に応じて、各種補助添加成分、例えば、界面活性剤、滑剤、填料等を併用することができる。
前記滑剤としては、例えば、高級脂肪酸又はその金属塩、高級脂肪酸アミド、高級脂肪酸エステル、動物性ワックス、植物性ワックス、鉱物性ワックス、石油系ワックス等が挙げられる。
前記填料としては、例えば、炭酸カルシウム、シリカ、酸化亜鉛、酸化チタン、水酸化アルミニウム、水酸化亜鉛、硫酸バリウム、クレー、カオリン、タルク、表面処理されたカルシウムやシリカなどの無機系微粉末の他、尿素−ホルマリン樹脂、スチレン−メタクリル酸共重合体、ポリスチレン樹脂、塩化ビニリデン樹脂などの有機系の微粉末を挙げることができる。
前記感熱記録層は、特に制限はなく、一般に知られている方法により形成することができ、例えば、ロイコ染料、顕色剤を別々にバインダー樹脂、その他の成分と共に、ボールミル、アトライター、サンドミル等の分散機により、分散粒径が0.1μm〜3μmになるまで粉砕分散した後、必要に応じて填料、熱可融性物質(増感剤)分散液等と共に、一定処方で混合して感熱記録層塗布液を調製し、該感熱記録層塗布液を支持体上に塗布することにより、感熱記録層を形成することができる。
前記感熱記録層の厚みは、感熱記録層の組成や感熱記録材料の用途などに応じて異なり一概には規定できないが、例えば1μm〜50μmが好ましく、3μm〜20μmがより好ましい。
<支持体>
前記支持体としては、材料、形状、構造、大きさ等については特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、前記形状としては、例えば、シート状、ロール状、平板状などが挙げられ、前記構造としては、単層構造であってもいし、積層構造であってもよく、前記大きさとしては、前記感熱記録材料の大きさ等に応じて適宜選択することができる。前記材料としては、プラスチックフィルム、合成紙フィルム、上質紙、古紙パルプ、再生紙、片艶紙、耐油紙、コート紙、アート紙、キャストコート紙、微塗工紙、樹脂ラミネート紙、などが挙げられる。
前記支持体の厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、30μm〜2,000μmが好ましく、50μm〜1,000μmがより好ましい。
本発明の感熱記録材料の層構成としては、支持体と、該支持体上に感熱記録層を設け、該感熱記録層上にオーバーコート層(保護層)を設けた態様が好ましく、また、支持体の感熱記録層を有さない側の面(裏面)にバック層を有していてもよい。更に、支持体と感熱記録層の間にアンダー層を形成してもよい。なお、これらの各層は単層であっても複数層であってもよい。
−オーバーコート層−
本発明においては、保存性(可塑剤や油脂類)を向上させるため、感熱記録層上にオーバーコート層を設けてもよい。
前記オーバーコート層は、バインダー樹脂、フィラー、架橋剤、滑剤等を含有する。
前記バインダー樹脂としては、例えば、ポリビニルアルコール、セルロース誘導体、澱粉又はその誘導体、カルボキシル基変性ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸又はその誘導体、スチレン−アクリル酸共重合体又はその誘導体、ポリ(メタ)アクリルアミド又はその誘導体、スチレン−アクリル酸アクリル−アミド共重合体、アミノ基変性ポリビニルアルコール、エポキシ変性ポリビニルアルコール、ポリエチレンイミン、水性ポリエステル、水性ポリウレタン、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体又はその誘導体等の水溶性樹脂;ポリエステル、ポリウレタン、アクリル酸エステル系(共)重合体、スチレン−アクリル系共重合体、エポキシ樹脂、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニル又はこれらの誘導体などが挙げられる。これらの中でも、ジアセトン変性ポリビニルアルコール、アセトアセチル変性ポリビニルアルコール水溶性樹脂が特に好ましい。
前記フィラーとしては、特に制限はなく、前記感熱記録層と同様なものから目的に応じて適宜選択することができ、例えば水酸化アルミニウム、シリカなどが好ましい。前記フィラーの前記オーバーコート層における含有量は、30質量%〜80質量%が好ましく、40質量%〜70質量%がより好ましい。
前記オーバーコート層の乾燥付着量は、1.5g/m〜4.0g/mが好ましい。前記乾燥付着量が4.0g/mを超えると、オーバーコート層の下側の感熱記録層への熱の移動に支障を来たすことがある。
<感熱記録ラベル>
前記感熱記録材料としての感熱記録ラベルは、第1形態では、支持体の感熱記録層を有する側の面の反対側のうら面上に、粘着剤層と、該粘着剤層表面に剥離紙を有してなり、更に必要に応じてその他の構成を有してなる。なお、うら面上には、バック層面も含まれる。
前記粘着剤層の材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ユリア樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、酢ビ系樹脂、酢酸ビニル−アクリル系共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アクリル系樹脂、ポリビニルエーテル系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体、ポリスチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリアミド系樹脂、塩素化ポリオレフィン系樹脂、ポリビニルブチラール系樹脂、アクリル酸エステル系共重合体、メタクリル酸エステル系共重合体、天然ゴム、シアノアクリレート系樹脂、シリコーン系樹脂、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用しても構わない。
前記感熱記録ラベルは、第2形態では、支持体の感熱記録層を有する側の面の反対側のうら面上に、加熱によって粘着性を発現する感熱粘着層を有してなり、更に必要に応じてその他の構成を有してなる。なお、うら面上には、バック層面も含まれる。
前記感熱粘着層は、熱可塑性樹脂及び熱溶融性物質を含有してなり、更に必要に応じて粘着付与剤を含有してなる。
前記熱可塑性樹脂は、粘着力、及び接着力を付与するものである。前記熱溶融性物質は、常温では固体であるため、樹脂に可塑性は与えないが、加熱により溶融して樹脂を膨潤乃至軟化させて粘着性を発現させるものである。また、前記粘着付与剤は粘着性を向上させる働きを有するものである。
<感熱記録磁気紙>
前記感熱記録材料としての感熱記録磁気紙は、支持体の感熱記録層を有する側の面の反対側のうら面上に、磁気記録層を有してなり、更に必要に応じてその他の構成を有してなる。なお、うら面上には、バック層面も含まれる。
前記磁気記録層としては、例えば、酸化鉄、バリウムフェライト等と塩ビビル系やウレタン系樹脂、ナイロン系樹脂等を用い、支持体上に塗工形成されるか、又は蒸着、スパッタリング等の方法により樹脂を用いず形成される。
前記磁気記録層は支持体における該感熱記録層とは反対側の面に設けることが好ましいが、支持体と該感熱記録層との間、該感熱記録層上の一部に設けてもよい。
本発明の感熱記録材料の形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、ラベル状、シート状、ロール状、などが挙げられる。
また、本発明の感熱記録材料を用いた記録方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば熱ペン、サーマルヘッド、レーザー加熱等が挙げられる。
本発明の感熱記録材料は、印字ムラ及び印刷ムラの発生がなく、耐油性、耐可塑剤性等のバリア性に優れ、印刷性が良好であるので、例えば生鮮食料品、弁当、惣菜用等のPOS分野;図書、文書等の複写分野;ファクシミリ等の通信分野;券売機、レシート、領収書等の発券分野;航空機業界のバッゲージ用タグなどの各種分野に幅広く好適に用いられる。
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
以下の実施例及び比較例において、「水溶性ポリマーの質量平均分子量」、「水溶性ポリマーのけん化度」、「中空粒子の中空率」、及び「中空粒子の粒径及び粒度分布」は、以下のようにして測定した。
<水溶性ポリマーの質量平均分子量>
水溶性ポリマーの質量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー法により測定した。
<水溶性ポリマーのけん化度の測定>
水溶性ポリマーのけん化度は、JIS K6726にて定める試験法により測定した。
<中空粒子の中空率>
中空粒子の中空率は、IPA法により真比重を測定し、真比重値から以下のようにして求めた。
(1)サンプルの前処理
・サンプルを60℃で一昼夜乾燥した。
(2)試薬
・イソプロピルアルコール(IPA;試薬一級)
(3)測定法
・メスフラスコを精秤した(W1)。
・メスフラスコに乾燥済サンプルを約0.5g取り精秤した(W2)。
・次に、IPAを約50mg加え、十分に振とうし、完全にカプセル外の空気を除去した。
・IPAを標線まで加え、精秤した(W3)。
・ブランクとしてメスフラスコにIPAのみを標線まで加え精秤した(W4)。
(4)真比重の算出
(5)中空率の算出
中空率(%)={1−1/(1.1/真比重)}×100
<中空粒子の粒径及び粒度分布>
中空粒子の粒径及び粒度分布は、粒径分布測定装置(堀場製作所製、LA−700)を用いて測定した。
(実施例1)
−分散液の調製−
下記の組成を攪拌混合して、分散液(A液)を調製した。
・中空粒子(表2記載の中空粒子)の水分散液(固形分濃度30質量%)・・・33質量%
・スチレン−ブタジエン共重合体ラテックス(固形分濃度47.5質量%、日本エイアンドエル株式会社製、スマーティックPA−9159、質量平均分子量100,000〜200,000、平均粒径175nm)・・・21質量%
・水溶性ポリマーの10質量%水溶液(表1記載の水溶性ポリマー)・・・20質量%(表1記載)
・水・・・26質量%
(実施例2〜11、14、参考例12、13及び比較例1〜9)
−分散液の調製−
実施例1において、表1に記載の水溶性ポリマー、及び表2に記載の中空粒子を用いた以外は、実施例1と同様にして、分散液を調製した。
(実施例15)
−分散液の調製−
実施例1において、スチレン−ブタジエン共重合体ラテックス21質量%を30質量%に変えた以外は、実施例1と同様にして、分散液を調製した。
(実施例16)
−分散液の調製−
実施例1において、スチレン−ブタジエン共重合体ラテックス21質量%を50質量%に変えた以外は、実施例1と同様にして、分散液を調製した。
(比較例10)
−分散液の調製−
実施例1において、スチレン−ブタジエン共重合体ラテックス20質量%を、アクリルエマルジョン(アルマテックE3450、三井化学株式会社製、固形分25質量%)38質量%に変えた以外は、実施例1と同様にして、分散液を調製した。
表2中に示した略号の内容は以下の通りである。
*MMA:メタクリレート
*ST:スチレン
*BA:ブチルアクリレート
*AN:アクリロニトリル
*MAN:メタクリルニトリル
*VC:塩化ビニリデン
*DVB:ジビニルベンゼン
*Y2:下記一般式(1)で表される化合物
ただし、RはCHを表す。
(実施例17)
<感熱記録材料の作製>
−感熱記録層塗布液の調製−
下記各液を磁性ボールミル中で2日間粉砕して、(B液)、(C液)及び(D液)を調製した。
(B液)
・3−(N,N−ジブチルアミノ)−6−メチル−N−7−アニリノフルオラン(体積平均粒子径=0.4μm)・・・20質量部
・ポリビニルアルコールの10質量%水溶液・・・20質量部
・水・・・60質量部
(C液)
・4−イソプロポキシ−4’−ヒドロキシジフェニルスルホン(表3記載の顕色剤)・・・20質量部
・ポリビニルアルコールの10質量%水溶液・・・25質量部
・水・・・55質量部
(D液)
・シリカ・・・20質量部
・メチルセルロースの5質量%水溶液・・・20質量部
・水・・・60質量部
次に、(B液)15質量部、(C液)45質量部、(D液)45質量部、及びイソブチレン−無水マレイン酸共重合体の20質量%アルカリ水溶液5質量部を攪拌混合して、感熱記録層塗布液を調製した。
<オーバーコート層塗布液(E液)の調製>
上記の各成分の混合物を磁性ボールミル中で2日間粉砕して(E液)を調製した。
(E液)
・水酸化アルミニウム・・・20質量部
・ポリビニルアルコールの10質量%水溶液・・・20質量部
・水・・・60質量部
次に、支持体(セルロース主体の中性紙)上に、実施例1の分散液(A液)を高速ブレード塗工機(CLC−6000、Sumi Tech International社製)を用いて塗布速度300m/minで乾燥付着量が3.0g/mになるように塗布し、乾燥させて、中間層を形成した。
次に、中間層上に染料乾燥付着量が0.45g/mになるように感熱記録層塗布液を中間層と同様に塗布し、乾燥させて感熱記録層を形成した。
次に、感熱記録層上に樹脂(ポリビニルアルコール)乾燥付着量が1.6g/mになるようにオーバーコート層塗布液を中間層と同様に塗布し、乾燥させてオーバーコート層を形成した。
その後、スーパーキャレンダーにて表面処理した。以上により、実施例17の感熱記録材料を作製した。
(実施例18〜27、30〜32、参考例28、29及び比較例11〜20)
−感熱記録材料の作製−
実施例17において、実施例1の分散液を実施例2〜11、14〜16、参考例12、13及び比較例1〜10の分散液に変え、(C液)の顕色剤を表3に記載の顕色剤に変えた以外は、実施例17と同様にして、実施例18〜27、30〜32、参考例28、29及び比較例11〜20の各感熱記録材料を作製した。
(実施例33)
−感熱記録材料の作製−
実施例17において、(C液)の顕色剤として、4−ヒドロキシ−4’−アリルオキシジフェニルスルホン20質量部と、ジフェニルスルホン酸誘導体(日本曹達株式会社製、D−90、上記一般式(II)で表される化合物)25質量部を用いた以外は、実施例17と同様にして、感熱記録材料を作製した。
(実施例34)
−感熱記録材料の作製−
実施例17において、(C液)の顕色剤として、2,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン20質量部と、ジフェニルスルホン酸誘導体(日本曹達株式会社製、D−90、上記一般式(II)で表される化合物)25質量部とを用いた以外は、実施例17と同様にして、感熱記録材料を作製した。
次に、作製した各感熱記録材料を用い、以下のようにして諸特性を評価した。結果を表4に示す。
<微小スジの評価>
各キャレンダー済み品の表面を顕微鏡で観察し、微小スジの発生の有無を確認した。
<感度倍率>
各キャレンダー済み品について、松下電子部品株式会社製の薄膜ヘッドを用いて改造した株式会社リコー製感熱記録装置(印字実験装置)にて、ヘッド電力0.45W/ドット、1ライン記録時間20msec/L、走査密度8×385ドット/mm条件下で、1msec毎にパルス幅0.0〜0.7msecに可変させて印字し、印字濃度をマクベス濃度計RD−914にて測定し、濃度が1.0となるパルス幅を計算した。
感度倍率は比較例1を基準として、感度倍率=(測定したサンプルのパルス幅)/(比較例1のパルス幅)として計算した。感度倍率の値が大きいほど感度(熱応答性)が良好である。
<結着性の評価>
各キャレンダー済み品に18mm幅×50mm長のセロハンテープ(ニチバン株式会社製)を貼り付け、剥離して塗工層の結着性を下記基準で評価した。
〔評価基準〕
◎:紙からの剥離(高速剥離で剥がれる)
○:紙からの剥離(低速剥離で剥がれる)
△:感熱層からの剥離あり
×:中間層からの剥離あり
<精細性>
上記印字サンプルで画像濃度が0.30になる印字画像を顕微鏡にて1ドット印字の精細性を目視観察し、下記基準で評価した。なお、1ドットの形状(四角形)に近い方が精細性が良好である。
〔評価基準〕
◎:ほぼ四角形状
○:やや丸みを帯びた形状
△:白抜け等でややいびつな形状
×:いびつな形状
<耐熱性>
上記印字サンプルについて90℃の恒温槽にて1時間保管し、その地肌濃度をマクベス濃度計RD−914にて測定した。値が小さいほど耐熱性が良好である。
本発明の画像処理方法及び画像処理装置は、熱可逆記録媒体に対して、非接触式にて、高コントラストの画像を高速で繰返し記録及び消去可能で、しかも繰返しによる前記熱可逆記録媒体の劣化を抑制することができるので、例えば入出チケット、冷凍食品用容器、工業製品、各種薬品容器等のステッカー、物流管理用途、製造工程管理用途などの大きな画面、多様な表示に幅広く用いることができ、特に、物流・配送システムや工場内での工程管理システムなどの使用に適したものである。

Claims (15)

  1. 中空粒子と、スチレン−ブタジエン共重合体と、ビニルアルコールとアリルスルホン酸金属塩との共重合体とを含有してなり、
    前記中空粒子の中空率が60%〜98%であり、該中空粒子の最大粒子径(D100)が5.0μm〜10.0μmであり、該最大粒子径(D100)と、前記中空粒子の50%頻度の粒子径(D50)との比(D100/D50)が1.5〜3.0であり、
    前記ビニルアルコールとアリルスルホン酸金属塩との共重合体の固形分含有量が、前記中空粒子100質量部に対し10質量部〜50質量部であり、
    前記ビニルアルコールとアリルスルホン酸金属塩との共重合体の質量平均分子量が、10,000以上であり、
    前記ビニルアルコールとアリルスルホン酸金属塩との共重合体のケン化度が、80mol%以上であることを特徴とする分散液。
  2. 粒子径が2μm以下である中空粒子の中空粒子全体における比率が、5%〜10%である請求項1に記載の分散液。
  3. 中空粒子が、架橋構造を有する重合体を含有する請求項1から2のいずれかに記載の分散液。
  4. スチレン−ブタジエン共重合体の固形分含有量が、中空粒子100質量部に対し100質量部〜300質量部である請求項1から3のいずれかに記載の分散液。
  5. 支持体と、該支持体上に中間層と、該中間層上に少なくともロイコ染料及び顕色剤を含有する感熱記録層とを有する感熱記録材料であって、
    前記中間層が、請求項1から4のいずれかに記載の分散液から形成されたことを特徴とする感熱記録材料。
  6. 支持体と、該支持体上に中間層と、該中間層上に少なくともロイコ染料及び顕色剤を含有する感熱記録層とを有する感熱記録材料であって、
    前記中間層が、中空粒子と、スチレン−ブタジエン共重合体と、ビニルアルコールとアリルスルホン酸金属塩との共重合体とを含有してなり
    前記中空粒子の中空率が60%〜98%であり、該中空粒子の最大粒子径(D100)が5.0μm〜10.0μmであり、該最大粒子径(D100)と、前記中空粒子の50%頻度の粒子径(D50)との比(D100/D50)が1.5〜3.0であり、
    前記ビニルアルコールとアリルスルホン酸金属塩との共重合体の固形分含有量が、前記中空粒子100質量部に対し10質量部〜50質量部であり、
    前記ビニルアルコールとアリルスルホン酸金属塩との共重合体の質量平均分子量が、10,000以上であり、
    前記ビニルアルコールとアリルスルホン酸金属塩との共重合体のケン化度が、80mol%以上であることを特徴とする感熱記録材料。
  7. 粒子径が2μm以下である中空粒子の中空粒子全体における比率が、5%〜10%である請求項5から6のいずれかに記載の感熱記録材料。
  8. 中空粒子が、架橋構造を有する重合体を含有する請求項5から7のいずれかに記載の感熱記録材料。
  9. スチレン−ブタジエン共重合体の固形分含有量が、中空粒子100質量部に対し100質量部〜300質量部である請求項5から8のいずれかに記載の感熱記録材料。
  10. 顕色剤が、4−ヒドロキシ−4’−アリルオキシジフェニルスルホン及び2,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホンのいずれかである請求項5から9のいずれかに記載の感熱記録材料。
  11. 感熱記録層が、下記一般式(II)で表されるジフェニルスルホン酸誘導体を含有する請求項5から10のいずれかに記載の感熱記録材料。
    ただし、前記一般式(II)中、X及びYは、各々相異なってもよく直鎖又は分枝を有してもよい炭素数1〜12の飽和、あるいは不飽和エーテル結合を有していてもよい炭化水素基、下記構造式(a)、及び下記構造式(b)のいずれかを表す。R 〜R は、それぞれ独立にハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基、又はアルケニル基を示す。m、n、p、q、r、及びtは、それぞれ0〜4の整数を表し、これらが2以上の場合にはR 〜R はそれぞれ異なっていてもよい。aは0〜10の整数を表す。
    ただし、前記構造式(a)、及び前記構造式(b)中、Rはメチレン基又はエチレン基を表し、Tは水素原子、炭素数1〜4のアルキル基を表す。
  12. ロイコ染料が、3−(N,N−ジブチルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−イソアミルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン及び3−[N−エチル−N−(P−メチルフェニル)]−6−メチル−7−アニリノフルオランから選択される少なくとも1種である請求項5から11のいずれかに記載の感熱記録材料。
  13. ロイコ染料の体積平均粒子径が0.10μm〜0.30μmである請求項5から12のいずれかに記載の感熱記録材料。
  14. 支持体と、該支持体上に中間層と、該中間層上に少なくともロイコ染料及び顕色剤を含有する感熱記録層とを有する感熱記録材料の製造方法であって、
    前記支持体上に、請求項1から4のいずれかに記載の分散液を塗布し、乾燥させて中間層を形成する中間層形成工程を含むことを特徴とする感熱記録材料の製造方法。
  15. 分散液の塗布が、ブレード塗工法により行われる請求項14に記載の感熱記録材料の製造方法。
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