JP3987095B2 - 感熱記録体 - Google Patents
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Description
しかし、感熱記録層に含まれる電子供与性ロイコ染料および電子受容性顕色剤は、各種溶剤に容易に溶解するため、この感熱記録体は、水性インキペンや油性インキペン等のインキ、接着剤等に触れると白紙部が容易に発色したり、可塑剤などの薬品が記録画像に付着した場合に退色する問題がある。この様な欠点をなくす目的で特許文献1および特許文献2には、顔料及び樹脂を主成分とする保護層を感熱記録層上に設ける技術が開示されている。
また特許文献5には、アクリルエマルジョンのような疎水性樹脂エマルジョンを保護層に用いて耐水性を付与させる技術も開示されているが、アクリルエマルジョン自体の耐熱性が不十分なためにヘッドカスやスティックなどの印字走行性に支障をきたし、また、ハイシェアでの粘度が低いため所望の塗布量が得られないなどの操業性の問題を抱えている。
即ち、本発明は、支持体上に設けてある無色ないし淡色の電子供与性ロイコ染料および電子受容性顕色剤とを含有する感熱記録層上に、保護層を有する感熱記録体において、該保護層にカルボキシル基含有樹脂、特にカルボキシ変性ポリビニルアルコールとエピクロロヒドリン系樹脂および変性ポリアミン/アミド系樹脂(ポリエチレンイミンを除く)を含有することを特徴とする感熱記録体とすることにより、課題を解決するものである。
本発明の感熱記録体の保護層において、カルボキシル基含有樹脂のカルボキシル基と、架橋剤であるエピクロロヒドリン系樹脂のアミンあるいはアミド部分が、架橋反応を引き起こし一次的な耐水化を発現する。次に、変性ポリアミン/アミド系樹脂の親水性部位とカルボキシル基含有樹脂とエピクロロヒドリン系樹脂で形成された親水性のある架橋部位が引き合うため、この架橋部位は変性ポリアミン/アミド系樹脂の疎水基を外側にして包まれた状態、つまり親水性のある架橋部位が疎水性基で水から保護された状態となり、二次的な耐水化が発現する。このため、従来技術より強固な耐水性が得られると推測される。
特にカルボキシル基含有樹脂がカルボキシ変性ポリビニルアルコールである場合、変性ポリアミン/ポリアミド系樹脂の親水性部位がカルボキシ変性ポリビニルアルコールの水酸基に引き付けられ、カルボキシ変性ポリビニルアルコールが変性ポリアミン/アミド系樹脂の疎水基を外側にして包まれた状態になるとともに、変性ポリアミン/アミド系樹脂のカチオン性部位がカルボキシ変性ポリビニルアルコールのカルボキシル基と一種の架橋反応していることも、高い耐水化が発現している一因であると考えられる。
このように、保護層に使用している樹脂と架橋剤との反応部位に、より高い疎水性効果を付与することで、塗工層中のバインダーなどが水分や湿気によって溶出することを防止することができ、耐水性(耐ブロッキング性、耐ウェットラブ性)が改善できる。
本発明において保護層のバインダーとして使用されるカルボキシル基含有樹脂とは、主にカルボキシル基を有するものであれば何れでも良く、例えば、メタクリル酸、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル、メタクリル酸ターシャーリーブチルアミノエチル、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸テトラヒドロフリフリルなどのカルボキシル基を有する一官能性アクリルモノマーを含む樹脂、酸化でんぷん、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコールにカルボキシル基を導入したカルボキシ変性ポリビニルアルコールなどを挙げられるが、特に、耐熱性、耐溶剤性が優れているカルボキシ変性ポリビニルアルコールを用いるのが好ましい。
さらに、本発明に使用されるカルボキシ変性ポリビニルアルコールは、ハーキュレス粘度が低い、すなわち回転力(シェア)がかかっている状態での流動性が高く、シェアの低いところでは不動化しやすい。そのため、塗工時には塗液が滑らかに延び、塗工後はすぐに固化し均質で凹凸のない塗工層が形成される結果、印字される画像の画質および感度が向上するものと考えられる。また、カルボキシ変性ポリビニルアルコールは保水性が高いことから、支持体へのバインダーの浸透を抑えることができ、この効果によっても凹凸のない塗工層が形成されるため、画質および感度が向上するものと推測される。
本発明に使用されるカルボキシ変性ポリビニルアルコールの重合度および鹸化度は、塗料の保水性や塗工層の表面強度が良好なことから、重合度1500以上、鹸化度85%以上が好ましい。
本発明に使用されるエピクロロヒドリン系樹脂の具体例として、ポリアミドエピクロロヒドリン樹脂、ポリアミンエピクロロヒドリン樹脂などを挙げることができ、単独又は併用することもできる。また、エピクロロヒドリン系樹脂の主鎖に存在するアミンとしては第1級から第4級までのものを使用することができ、特に制限はない。さらに、カチオン化度および分子量は、耐水性が良好なことから、カチオン化度5meq/g・Solid以下(pH7での測定値)、分子量50万以上が好ましい。具体例としては、スミレーズレジン650(30)(住友化学社製)、スミレーズレジン675A(住友化学社製)、スミレーズレジン6615(住友化学社製)、WS4002(星光PMC社製)、WS4020(星光PMC社製)、WS4024(星光PMC社製)、WS4046(星光PMC社製)、WS4010(星光PMC社製)、CP8970(星光PMC社製)などが挙げられる。
また、保護層塗液のpHは6.0以上が好ましい。特にエピクロロヒドリン系樹脂はアルカリ硬化型であるため、この範囲で良好な架橋反応が行なわれ、pHをこの範囲より低く調整すると、架橋反応を阻害してしまうため好ましくない。
また、アスペクト比が30以上のカオリンを含有させる場合、その特異的な形状により効果を発揮するため単独で使用するのが好ましいが、顔料の総配合部数100重量部に対してアスペクト比30以上の無機顔料が50重量部以上、より好ましくは80重量部以上であれば、各種顔料と併用することができる。
本発明で使用する顔料としては、シリカ、炭酸カルシウム、カオリン、焼成カオリン、ケイソウ土、タルク、酸化チタン、水酸化アルミニウムなどの無機または有機充填剤などが挙げられる。保護層中に用いる顔料としてはサーマルヘッドの摩耗性などを考慮した場合、水酸化アルミニウムやカオリンが好ましい。
また、本発明においては、上記課題に対する所望の効果を阻害しない範囲で、記録画像の耐油性効果などを示す画像安定剤として、4,4'−ブチリデン(6−t−ブチル−3−メチルフェノール)、2,2'−ジ−t−ブチル−5,5'−ジメチル−4,4'−スルホニルジフェノール、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−シクロヘキシルフェニル)ブタン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、4−ベンジルオキシ−4'−(2,3−エポキシ−2−メチルプロポキシ)ジフェニルスルホン等を添加することもできる。
このほかにベンゾフェノン系やトリアゾール系の紫外線吸収剤、分散剤、消泡剤、酸化防止剤、蛍光染料等を使用することができる。
<トリフェニルメタン系ロイコ染料>
3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド〔別名クリスタルバイオレットラクトン〕
3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)フタリド〔別名マラカイトグリーンラクトン〕
3−ジエチルアミノ−6−メチルフルオラン
3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン
3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(o,p−ジメチルアニリノ)フルオラン
3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−クロロフルオラン
3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(m−トリフルオロメチルアニリノ)フルオラン
3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(o−クロロアニリノ)フルオラン
3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(p−クロロアニリノ)フルオラン
3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(o−フルオロアニリノ)フルオラン
3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(m−メチルアニリノ)フルオラン
3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−n−オクチルアニリノフルオラン
3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−ベンジルアミノフルオラン
3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−ジベンジルアミノフルオラン
3−ジエチルアミノ−6−クロロ−7−メチルフルオラン
3−ジエチルアミノ−6−クロロ−7−アニリノフルオラン
3−ジエチルアミノ−6−クロロ−7−p−メチルアニリノフルオラン
3−ジエチルアミノ−6−エトキシエチル−7−アニリノフルオラン
3−ジエチルアミノ−7−メチルフルオラン
3−ジエチルアミノ−7−クロロフルオラン
3−ジエチルアミノ−7−(m−トリフルオロメチルアニリノ)フルオラン
3−ジエチルアミノ−7−(o−クロロアニリノ)フルオラン
3−ジエチルアミノ−7−(p−クロロアニリノ)フルオラン
3−ジエチルアミノ−7−(o−フルオロアニリノ)フルオラン
3−ジエチルアミノ−ベンゾ〔a〕フルオラン
3−ジエチルアミノ−ベンゾ〔c〕フルオラン
3−ジブチルアミノ−6−メチル−フルオラン
3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−(o,p−ジメチルアニリノ)フルオラン
3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−(o−クロロアニリノ)フルオラン
3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−(p−クロロアニリノ)フルオラン
3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−(o−フルオロアニリノ)フルオラン
3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−(m−トリフルオロメチルアニリノ)フルオラン
3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−クロロフルオラン
3−ジブチルアミノ−6−エトキシエチル−7−アニリノフルオラン
3−ジブチルアミノ−6−クロロ−7−アニリノフルオラン
3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−p−メチルアニリノフルオラン
3−ジブチルアミノ−7−(o−クロロアニリノ)フルオラン
3−ジブチルアミノ−7−(o−フルオロアニリノ)フルオラン
3−ジ−n−ペンチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン
3−ジ−n−ペンチルアミノ−6−メチル−7−(p−クロロアニリノ)フルオラン
3−ジ−n−ペンチルアミノ−7−(m−トリフルオロメチルアニリノ)フルオラン
3−ジ−n−ペンチルアミノ−6−クロロ−7−アニリノフルオラン
3−ジ−n−ペンチルアミノ−7−(p−クロロアニリノ)フルオラン
3−ピロリジノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン
3−ピペリジノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン
3−(N−メチル−N−シクロヘキシルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン
3−(N−エチル−N−シクロヘキシルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン
3−(N−エチル−N−キシルアミノ)−6−メチル−7−(p−クロロアニリノ)フルオラン
3−(N−エチル−p−トルイディノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン
3−(N−エチル−N−イソアミルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン
3−(N−エチル−N−イソアミルアミノ)−6−クロロ−7−アニリノフルオラン
3−(N−エチル−N−テトラヒドロフルフリルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン
3−(N−エチル−N−イソブチルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン
3−(N−エチル−N−エトキシプロピルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン
3−シクロヘキシルアミノ−6−クロロフルオラン
2−(4−オキサヘキシル)−3−ジメチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン
2−(4−オキサヘキシル)−3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン
2−(4−オキサヘキシル)−3−ジプロピルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン
2−メトキシ−6−p−(p−ジメチルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン
2−クロロ−3−メチル−6−p−(p−フェニルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン
2−クロロ−6−p−(p−ジメチルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン
2−ニトロ−6−p−(p−ジエチルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン
2−アミノ−6−p−(p−ジエチルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン
2−ジエチルアミノ−6−p−(p−ジエチルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン
2−フェニル−6−メチル−6−p−(p−フェニルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン
2−ベンジル−6−p−(p−フェニルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン
2−ヒドロキシ−6−p−(p−フェニルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン 3−メチル−6−p−(p−ジメチルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン
3−ジエチルアミノ−6−p−(p−ジエチルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン
3−ジエチルアミノ−6−p−(p−ジブチルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン
2,4−ジメチル−6−〔(4−ジメチルアミノ)アニリノ〕−フルオラン
3,6,6'−トリス(ジメチルアミノ)スピロ〔フルオレン−9,3'−フタリド〕
3,6,6'−トリス(ジエチルアミノ)スピロ〔フルオレン−9,3'−フタリド〕
<ジビニル系ロイコ染料>
3,3−ビス−〔2−(p−ジメチルアミノフェニル)−2−(p−メトキシフェニル)エテニル〕−4,5,6,7−テトラブロモフタリド
3,3−ビス−〔2−(p−ジメチルアミノフェニル)−2−(p−メトキシフェニル)エテニル〕−4,5,6,7−テトラクロロフタリド
3,3−ビス−〔1,1−ビス(4−ピロリジノフェニル)エチレン−2−イル〕−4,5,6,7−テトラブロモフタリド
3,3−ビス−〔1−(4−メトキシフェニル)−1−(4−ピロリジノフェニル)エチレン−2−イル〕−4,5,6,7−テトラクロロフタリド
3−(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド
3−(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−3−(1−オクチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド
3−(4−シクロヘキシルエチルアミノ−2−メトキシフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド
3,3−ビス(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド
3,6−ビス(ジエチルアミノ)フルオラン−γ−(3'−ニトロ)アニリノラクタム 3,6−ビス(ジエチルアミノ)フルオラン−γ−(4'−ニトロ)アニリノラクタム 1,1−ビス−〔2',2',2'',2''−テトラキス−(p−ジメチルアミノフェニル)−エテニル〕−2,2−ジニトリルエタン
1,1−ビス−〔2',2',2'',2''−テトラキス−(p−ジメチルアミノフェニル)−エテニル〕−2−β−ナフトイルエタン
1,1−ビス−〔2',2',2'',2''−テトラキス−(p−ジメチルアミノフェニル)−エテニル〕−2,2−ジアセチルエタン
ビス−〔2,2,2',2'−テトラキス−(p−ジメチルアミノフェニル)−エテニル〕−メチルマロン酸ジメチルエステル
本発明の感熱記録体に使用する増感剤としては、従来公知の増感剤を使用することができる。かかる増感剤としては、ステアリン酸アミド、パルミチン酸アミド等の脂肪酸アマイド、エチレンビスアミド、モンタン酸ワックス、ポリエチレンワックス、1,2−ジ−(3−メチルフェノキシ)エタン、p−ベンジルビフェニル、β−ベンジルオキシナフタレン、4−ビフェニル−p−トリルエーテル、m−ターフェニル、1,2−ジフェノキシエタン、シュウ酸ジベンジル、シュウ酸ジ(p−クロロベンジル)、シュウ酸ジ(p−メチルベンジル)、テレフタル酸ジベンジル、p−ベンジルオキシ安息香酸ベンジル、ジ−p−トリルカーボネート、フェニル−α−ナフチルカーボネート、1,4−ジエトキシナフタレン、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸フェニルエステル、o−キシレン−ビス−(フェニルエーテル)、4−(m−メチルフェノキシメチル)ビフェニル、4,4'−エチレンジオキシ−ビス−安息香酸ジベンジルエステル、ジベンゾイルオキシメタン、1,2−ジ(3−メチルフェノキシ)エチレン、ビス[2−(4−メトキシ−フェノキシ)エチル]エーテル、p−ニトロ安息香酸メチル、p−トルエンスルホン酸フェニルなどを例示することができるが、特にこれらに制限されるものではない。これらの増感剤は、単独または2種以上混合して使用してもよい。
上記組成からなる塗液を紙、再生紙、合成紙、フィルム、プラスチックフィルム、発泡プラスチックフィルム、不織布等任意の支持体に塗布することによって目的とする感熱記録体が得られる。またこれらを組み合わせた複合シートを支持体として使用してもよい。
電子供与性ロイコ染料、電子受容性顕色剤並びに必要に応じて添加する材料は、ボールミル、アトライター、サンドグライダーなどの粉砕機あるいは適当な乳化装置によって数ミクロン以下の粒子径になるまで微粒化し、バインダーおよび目的に応じて各種の添加材料を加えて塗液とする。塗布する手段は特に限定されるものではなく、周知慣用技術に従って塗布することができ、例えばエアーナイフコーター、ロッドブレードコーター、ベントブレードコーター、ベベルブレードコーター、ロールコーター、カーテンコーターなど各種コーターを備えたオフマシン塗工機やオンマシン塗工機が適宜選択され使用される。感熱記録層の塗布量は特に限定されず、通常乾燥重量で2〜12g/m2の範囲である。また、感熱記録層上に設ける保護層の塗布量は特に限定されず、通常1〜5g/m2の範囲である。
本発明の感熱記録体はさらに、発色感度を高める目的で、填料を含有した高分子物質などの下塗層を感熱記録層の下に設けることもできる。また、支持体の感熱記録層とは反対面にバックコート層を設け、カールの矯正を図ることも可能である。また、各層の塗工後にスーパーカレンダーがけなどの平滑化処理を施すなど、感熱記録体分野における各種公知の技術を必要適宜付加することができる。
実施例1
下記配合からなる配合物を攪拌分散して、下塗層塗液を調製した。
U液(下塗層塗液)
焼成カオリン(エンゲルハード社製商品名:アンシレックス90) 100部
スチレン・ブタジエン共重合体ラテックス(固形分48%) 40部
完全ケン化型ポリビニルアルコール(クラレ社製商品名:PVA117)
10%水溶液 30部
水 160部
次いで、下塗層塗液を支持体(60g/m2の基紙)の片面に塗布した後、乾燥を行ない、塗布量10.0g/m2の下塗層塗工紙を得た。
下記配合の顕色剤分散液(A液)、ロイコ染料分散液(B液)、及び増感剤分散液(C液)を、それぞれ別々にサンドグラインダーで平均粒子径0.5ミクロンになるまで湿式磨砕を行った。
A液(顕色剤分散液)
4−ヒドロキシ−4'−イソプロポキシジフェニルスルホン 6.0部
ポリビニルアルコール 10%水溶液 18.8部
水 11.2部
B液(塩基性無色染料分散液)
3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン(ODB−2)
3.0部
ポリビニルアルコール 10%水溶液 6.9部
水 3.9部
C液(増感剤分散液)
シュウ酸ジベンジル 6.0部
ポリビニルアルコール 10%水溶液 18.8部
水 11.2部
感熱記録層塗液
A液(顕色剤分散液) 36.0部
B液(ロイコ染料分散液) 13.8部
C液(増感剤分散液) 36.0部
完全ケン化型ポリビニルアルコール(クラレ社製商品名:PVA117)
10%水溶液 25部
次いで、感熱記録層塗液を前記下塗層塗工紙の下塗層上に塗布量6.0g/m2となるように塗布した後、乾燥を行ない感熱記録層塗工紙を得た。
次いで下記の割合で混合して保護層の塗液とした。
水酸化アルミニウム50%分散液
(マーティンスベルグ社製、アスペクト比:5、平均粒子径:3.5μm、吸油量:50ml/100g)
9.0部
カルボキシ変性ポリビニルアルコール
(クラレ社製商品名:KL118<重合度:約1700、鹸化度:95〜99モル%、酢酸ナトリウム:3%以下>)10%水溶液 30部
ステアリン酸亜鉛
(中京油脂社製商品名:ハイドリンZ−7−30、固形分30%) 2.0部
ポリアミドエピクロロヒドリン樹脂
(星光PMC社製商品名:WS4020、固形分25%<カチオン化度:2.7、分子量:220万、4級アミン>) 4.0部
変性ポリアミン系樹脂
(住友化学社製商品名:スミレーズレジンSPI−102A、固形分45%)
2.2部
次いで、保護層塗液を前記感熱記録層塗工紙の感熱記録層上に塗布量3.0g/m2となるように塗布した後、乾燥を行ない、このシートをスーパーカレンダーで平滑度が1000〜2000秒になるように処理して感熱記録体を得た。
実施例1の保護層塗液に配合したカルボキシ変性ポリビニルアルコールを他のカルボキシ変性ポリビニルアルコール(クラレ社製商品名:KL318<重合度:約1700、鹸化度:85〜90モル%、酢酸ナトリウム:3%以下>)に変えた以外は実施例1と同様に感熱記録体を作製した。
実施例1の保護層塗液に配合したカルボキシ変性ポリビニルアルコールを他のカルボキシ変性ポリビニルアルコール(日本合成化学社製商品名:T350<重合度:約1700、鹸化度:93〜95モル%、酢酸ナトリウム:3%以下>)に変えた以外は実施例1と同様に感熱記録体を作製した。
実施例1の保護層塗液に配合したポリアミドエピクロロヒドリン樹脂4.0部を他のポリアミンエピクロロヒドリン樹脂(星光PMC社製商品名:WS4010、固形分20%<カチオン化度:3.9、分子量:80万、4級アミン>)5.0部に変えた以外は実施例1と同様に感熱記録体を作製した。
実施例1の保護層塗液に配合したポリアミドエピクロロヒドリン樹脂4.0部を他のポリアミドエピクロロヒドリン樹脂(星光PMC社製商品名:SRD150、固形分50%<カチオン化度:6.7、分子量:40万、4級アミン>)2.0部に変えた以外は実施例1と同様に感熱記録体を作製した。
実施例1の保護層塗液に配合した変性ポリアミン系樹脂2.2部を他の変性ポリアミド系樹脂(住友化学社製商品名:スミレーズレジンSPI−106N、固形分60%)1.7部に変えた以外は実施例1と同様に感熱記録体を作製した。
実施例1の保護層塗液に配合した変性ポリアミン系樹脂2.2部を他の変性ポリアミン系樹脂(星光PMC社製商品名:PA6640)、固形分60%)1.7部に変えた以外は実施例1と同様に感熱記録体を作製した。
実施例1の保護層塗量に配合した水酸化アルミニウム50%分散液9.0部をカオリン50%分散液(商品名:カピムNP、リオカピム社製、アスペクト比:20、平均粒子径:2.2μm、吸油量:45ml/100g)9.1部に変えた以外は実施例1と同様に感熱記録体を作製した。
実施例1の保護層塗量に配合した水酸化アルミニウム50%分散液9.0部をカオリン50%分散液(商品名:コンツァ1500、イメリス社製、アスペクト比:60、平均粒子径:2.5μm、吸油量:45ml/100g)1.0部に変えた以外は実施例1と同様に感熱記録体を作製した。
実施例1の保護層塗液に配合した変性ポリアミン系樹脂2.2部を変性イミン系樹脂(星光PMC社製商品名:CP8994)、固形分40%)2.2部に変えた以外は実施例1と同様に感熱記録体を作製した。
実施例1の保護層塗液に配合したカルボキシ変性ポリビニルアルコールを完全鹸化ポリビニルアルコール(クラレ社製商品名:PVA117<重合度:約1700、鹸化度:98〜99モル%、酢酸ナトリウム:1%以下>)に変えた以外は実施例1と同様に感熱記録体を作製した。
比較例2
実施例1の保護層塗液に配合したカルボキシ変性ポリビニルアルコールを部分鹸化ポリビニルアルコール(クラレ社製商品名:PVA217<重合度:約1700、鹸化度:87〜89モル%、酢酸ナトリウム:1%以下>)に変えた以外は実施例1と同様に感熱記録体を作製した。
比較例3
実施例1の保護層塗液に配合したポリアミドエピクロロヒドリン樹脂を配合せず、変性ポリアミン系樹脂を2.2部から4.4部に変えた以外は実施例1と同様に感熱記録体を作製した。
実施例1の保護層塗液に配合した変性ポリアミン系樹脂を配合せず、ポリアミドエピクロロヒドリン樹脂を4.0部から8.0部に変えた以外は実施例1と同様に感熱記録体を作製した。
比較例5
実施例1の保護層塗液に配合したポリアミドエピクロロヒドリン樹脂と変性ポリアミン系樹脂を配合せず、代わりにグリオキザール40%水溶液5.0部を配合した以外は実施例1と同様に感熱記録体を作製した。
比較例6
実施例1の保護層塗液に配合したポリアミドエピクロロヒドリン樹脂を配合せず、代わりにグリオキザール40%水溶液2.5部を配合した以外は実施例1と同様に感熱記録体を作製した。
比較例7
実施例1の保護層塗液に配合した変性ポリアミン系樹脂を配合せず、代わりにグリオキザール40%水溶液2.5部を配合した以外は実施例1と同様に感熱記録体を作製した。
作製した感熱記録体について、大倉電機社製のTH−PMD(感熱記録紙印字試験機、京セラ社製サーマルヘッドを装着)を用い、印加エネルギー0.41mJ/dotで印字した。記録部の記録濃度は、マクベス濃度計(RD−914、アンバーフィルター使用)で測定し評価した。
<耐水性評価>
(1)ブロッキング試験
記録感度評価で得られた記録後の感熱記録体の記録面に水を10μl垂らし、記録面が内側になるように二つ折りにし、水滴を滴下した記録体の上に100g/cm2の荷重をかけ40℃90%Rhの環境下で24時間放置し、その後記録面を剥がしブロッキングの評価を行なった。評価基準については下記に示す。
○:ブロッキングがなく、記録層の剥離もない
×:ブロッキングが生じ、記録層の一部が剥がれ記録部の判定が困難
(2)ウェットラブ試験
記録感度評価で得られた記録後の感熱記録体の記録面に水を50μl垂らし、記録面を指で強くこすり耐水性の程度の評価を行なった。評価基準については下記に示す。
○:ぬるぬる感が全くなく、記録層の剥離もない
△:ぬるぬる感はあるが、記録層の剥離がない
×:記録層が溶け出し、かつ記録層の一部が剥がれ記録部の判定が困難
(3)浸漬耐水試験
大倉電機社製のTH−PMD(感熱記録紙印字試験機、京セラ社製サーマルヘッドを装着)を使用し、印字(N0.8、格子)した感熱記録体を、水道水(23℃)に48時間浸漬し、下記の基準で評価した。
○:印字部の残存濃度90%以上、保護層と感熱記録層の間に僅かに水泡が見られるが、保護層の剥離は殆どない。
△:印字部の残存濃度90%以上、保護層と感熱記録体の間水泡が見られ、保護層の一部が剥離している。
×:印字部の残存濃度90%未満、保護層が殆ど剥離している。
(1)ヘッドカス試験
大倉電機社製のTH−PMD(感熱記録紙印字試験機、京セラ社製サーマルヘッドを装着)を使用し、作成した感熱記録体に印加エネルギー0.41mJ/dotで印字を行なった際の、ヘッドカス付着の有無について次の基準で評価した。
○:ヘッドカス付着が全く見られない
△:ヘッドカス付着が若干見られる
×:ヘッドカス付着が顕著に見られる
(2)スティック試験
大倉電機社製のTH−PMD(感熱記録紙印字試験機、京セラ社製サーマルヘッドを装着)を使用し、作成した感熱記録体に印加エネルギー0.41mJ/dot、−10℃の環境下で印字を行なった際の、スティックの具合および記録時の騒音について次の基準で評価した。
○:白飛びの発生がなく、騒音もほとんどない
△:若干の白飛びはするが、騒音はほとんどない
×:白飛びが頻発し、騒音も大きい
各実施例及び比較例の保護層及び感熱記録層の特徴点を表1に、そして各実施例及び比較例の感熱記録体について上記の評価結果を表2に示した。
Claims (6)
- 支持体上に設けてある無色ないし淡色の電子供与性ロイコ染料および電子受容性顕色剤とを含有する感熱記録層上に、保護層を有する感熱記録体において、該保護層にカルボキシル基含有樹脂とエピクロロヒドリン系樹脂および変性ポリアミン/アミド系樹脂(ポリエチレンイミンを除く)を含有することを特徴とする感熱記録体。
- 保護層中のカルボキシ基含有樹脂がカルボキシ変性ポリビニルアルコールであることを特徴とする請求の範囲1に記載の感熱記録体。
- 保護層にカオリン及び/又は水酸化アルミニウムを含有することを特徴とする請求の範囲1又は2に記載の感熱記録体。
- 保護層中に含有されるカオリンのアスペクト比が20以上であることを特徴とする請求の範囲3記載の感熱記録体。
- 保護層中に含有されるエピクロロヒドリン系樹脂の分子量が50万以上、且つカチオン化度が5meq/100g以下であることを特徴とする請求の範囲1〜4の何れかに記載の感熱記録体。
- 保護層中に含有される変性ポリアミン/アミド系樹脂がポリアルキレンポリアミド樹脂及び/又はポリアルキレンポリアミンであることを特徴とする請求の範囲1〜5の何れかに記載の感熱記録体。
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