JP4484827B2 - 感熱記録体 - Google Patents
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Description
しかし、感熱記録層に含まれる電子供与性ロイコ染料及び電子受容性顕色剤は、各種溶剤に容易に溶解するため、この感熱記録体は、水性インキペンや油性インキペン等のインキ、接着剤等に触れると白紙部が容易に発色したり、可塑剤などの薬品が画像に付着した場合に発色濃度が低下する問題があるため、感熱記録層上に顔料及び樹脂を主成分とする保護層を設けることが行われている。
また近年においては、各種チケット用、レシート用、ラベル用、銀行のATM用、ガスや電気の検針用、車馬券等の金券用などにも感熱記録体の用途が拡大してきており、このため、感熱記録体に対して従来では問題になっていなかったような厳しい特性が要求され始めている。これらの用途の場合、屋外で使用されることが多く、雨などの水分や湿気、日光、真夏の車内の高温状態など、従来に比べて過酷な環境下での使用に耐える保護層の品質性能が必要となる。
保護層には接着性や造膜性が優れるポリビニルアルコールなどの水溶性高分子が用いられるが、耐水性が劣るため、グリオキザールなどの架橋剤を使用する技術(特許文献1、2)、架橋剤にポリアミドエピクロロヒドリンとポリエチレンイミンを併用する技術(非特許文献1)、保護層にカルボキシ変性ポリビニルアルコール、エピクロロヒドリン系樹脂及びメラミン系樹脂を含有させる技術(特許文献3)などが開発されている。
そこで、本発明は、十分な耐水性、耐溶剤性を有し、印字走行性(耐ヘッドカス性、耐スティック性)、感度に優れた感熱記録体を、メラミン系樹脂を使用することなく提供することを課題とする。
本発明の感熱記録体の保護層において、カルボキシ変性ポリビニルアルコールのカルボキシル基と、架橋剤であるエピクロロヒドリン系樹脂のアミン又はアミド部分が、架橋反応を引き起こし一次的な耐水化を発現する。次に、変性ポリアミン系樹脂の親水性部位とカルボキシ変性ポリビニルアルコールとエピクロロヒドリン系樹脂で形成された親水性のある架橋部位が引き合うため、この架橋部位は変性ポリアミン/アミド系樹脂の疎水基を外側にして包まれた状態、つまり親水性のある架橋部位が疎水性基で水から保護された状態となり、二次的な耐水化が発現する。このため、従来技術より強固な耐水性が得られると推測される。また、ポリアミン系樹脂の親水性部位がカルボキシ変性ポリビニルアルコールの水酸基に引き付けられ、カルボキシ変性ポリビニルアルコールがポリアミン/アミド系樹脂の疎水基を外側にして包まれた状態になるとともに、ポリアミン/アミド系樹脂のカチオン性部位がカルボキシ変性ポリビニルアルコールのカルボキシル基と一種の架橋反応していることも、高い耐水化が発現している一因であると考えられる。
このように、保護層に使用している耐溶剤性に優れるカルボキシ変性ポリビニルアルコールと架橋剤との反応部位に、より高い疎水性効果を付与することで、塗工層中のバインダーなどが水分や湿気によって溶出することを防止することができ、耐水性が改善できるとともに優れた耐溶剤性を発現する。
また、本発明の感熱記録体の保護層は、カルボキシ変性ポリビニルアルコールとエピクロロヒドリン系樹脂の架橋反応により3次元的な構造を有していること、カチオン性である変性ポリアミン/アミド系樹脂がアニオン性の顔料に対して分散効果を発揮するため、従来技術に比べてポーラスな層になると考えられる。このため、高温条件において発生する塗工層中の耐熱性の低い材料の溶融物は、保護層中の空隙に吸着されるため、優れた印字走行性(耐ヘッドカス性)を有する。
更に、本発明の保護層に吸油性の高い珪酸化合物を含有させることで、耐ヘッドカス性、耐溶剤性が向上するとともに、感熱プリンターのサーマルヘッドとの接触をコントロールできるため耐スティク性が向上する。
本発明の保護層に使用されるエピクロロヒドリン系樹脂の具体例として、ポリアミドエピクロロヒドリン樹脂、ポリアミンエピクロロヒドリン樹脂などを挙げることができ、単独又は併用することもできる。また、エピクロロヒドリン系樹脂の主鎖に存在するアミンとしては第1級から第4級までのものを使用することができ、特に制限はない。さらに、カチオン化度及び分子量は、耐水性が良好なことから、カチオン化度5meq/g・Solid以下(pH7での測定値)、分子量50万以上が好ましい。具体例としては、スミレーズレジン650(30)(住友化学社製)、スミレーズレジン675A(住友化学社製)、スミレーズレジン6615(住友化学社製)、WS4002(星光PMC社製)、WS4020(星光PMC社製)、WS4024(星光PMC社製)、WS4046(星光PMC社製)、WS4010(星光PMC社製)、CP8970(星光PMC社製)などが挙げられる。
一般に珪酸化合物の製造方法には、珪酸ソーダと硫酸をアルカリ反応させる沈殿法と、珪酸ソーダと硫酸を酸性反応させるゲル法があり、通常この2つの製造方法は、珪酸ソーダを硫酸で十分に中和反応させて析出させた粗大な珪酸化合物を乾燥した後、粉砕・分級し、目的の粒子径に調整する。
好ましい珪酸化合物は、珪酸化合物析出工程で湿式粉砕処理を施すことにより、具体的には、珪酸ソーダの中和反応の途中、つまり析出する珪酸化合物が粗大粒子になる前に、目的の粒子径になるように湿式粉砕することにより得られる。その結果この粒子径分布をシャープにすることができる。この中和反応及び湿式粉砕処理は数回に分割して行なうことが好ましく、中和反応終了後に湿式粉砕処理し、目的の粒子径に調整する。
好ましい珪酸化合物の平均粒子径は、沈降法による測定で1.0〜10μmであり、より好ましくは1.0〜5.0μm、更に好ましくは1.0〜3.0μmである。平均粒子径が1.0μmより小さいと耐スティック性の低下やヘッドカス付着の問題が生じ、平均粒子径が10μmより大きいとヘッド磨耗性が低下する。
また好ましい珪酸化合物の吸油量は100〜350ml/100gであり、より好ましくは130〜350ml/100gである。吸油量が100ml/100gより少ないと、サーマルヘッドからの熱によって溶融した発色材料を十分に吸収・吸着することができず、サーマルヘッドにカスが付着する問題が生じ、350ml/100gより多いと表面強度が低下する。
また、本発明の保護層において、顔料(珪酸化合物を含む)と全バインダー(カルボキシ変性ポリビニルアルコールを含む)の配合比率は、顔料100重量部に対してバインダー10〜500重量部であることが好ましい。配合量が少ないと耐スティック性が低下し、ヘッドカス付着の問題が生じ、多いと耐水性、ヘッドカス付着の問題が発生する。
また、保護層塗液のpHは6.0以上が好ましい。特にエピクロロヒドリン系樹脂はアルカリ硬化型であるため、この範囲で良好な架橋反応が行なわれ、pHをこの範囲より低く調整すると、架橋反応を阻害してしまうため好ましくない。
また、カルボキシ変性ポリビニルアルコールを含有することによって、感熱記録層と保護層の接着性が良好となり、浸漬耐水性が向上する。なお、カルボキシ変性ポリビニルアルコールは感熱記録層の全バインダーに対して、30重量%以上含有されていることが好ましい。
本発明で使用する顔料としては、シリカ、炭酸カルシウム、カオリン、焼成カオリン、ケイソウ土、タルク、酸化チタン、水酸化アルミニウムなどの無機又は有機充填剤などが挙げられる。保護層中に併用する顔料としてはサーマルヘッドの摩耗性などを考慮した場合、水酸化アルミニウムやカオリンが好ましい。
本発明で使用する滑剤としては、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム等の脂肪酸金属塩、ワックス類、シリコーン樹脂類などが挙げられる。
このほかにベンゾフェノン系やトリアゾール系の紫外線吸収剤、分散剤、消泡剤、酸化防止剤、蛍光染料等を使用することができる。
<トリフェニルメタン系ロイコ染料>
3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド〔別名クリスタルバイオレットラクトン〕、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)フタリド〔別名マラカイトグリーンラクトン〕
3−ジエチルアミノ−6−メチルフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(o,p−ジメチルアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−クロロフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(m−トリフルオロメチルアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(o−クロロアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(p−クロロアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(o−フルオロアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(m−メチルアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−n−オクチルアニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−n−オクチルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−ベンジルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−ジベンジルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−クロロ−7−メチルフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−クロロ−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−クロロ−7−p−メチルアニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−エトキシエチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−メチルフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−クロロフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(m−トリフルオロメチルアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(o−クロロアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(p−クロロアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(o−フルオロアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−ベンゾ〔a〕フルオラン、3−ジエチルアミノ−ベンゾ〔c〕フルオラン、3−ジブチルアミノ−6−メチル−フルオラン、3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−(o,p−ジメチルアニリノ)フルオラン、3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−(o−クロロアニリノ)フルオラン、3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−(p−クロロアニリノ)フルオラン、3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−(o−フルオロアニリノ)フルオラン、3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−(m−トリフルオロメチルアニリノ)フルオラン、3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−クロロフルオラン、3−ジブチルアミノ−6−エトキシエチル−7−アニリノフルオラン、3−ジブチルアミノ−6−クロロ−7−アニリノフルオラン、3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−p−メチルアニリノフルオラン、3−ジブチルアミノ−7−(o−クロロアニリノ)フルオラン、3−ジブチルアミノ−7−(o−フルオロアニリノ)フルオラン、3−ジ−n−ペンチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジ−n−ペンチルアミノ−6−メチル−7−(p−クロロアニリノ)フルオラン、3−ジ−n−ペンチルアミノ−7−(m−トリフルオロメチルアニリノ)フルオラン、3−ジ−n−ペンチルアミノ−6−クロロ−7−アニリノフルオラン、3−ジ−n−ペンチルアミノ−7−(p−クロロアニリノ)フルオラン、3−ピロリジノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ピペリジノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−メチル−N−プロピルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−メチル−N−シクロヘキシルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−シクロヘキシルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−キシルアミノ)−6−メチル−7−(p−クロロアニリノ)フルオラン、3−(N−エチル−p−トルイディノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−イソアミルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−イソアミルアミノ)−6−クロロ−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−テトラヒドロフルフリルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−イソブチルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−エトキシプロピルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−シクロヘキシルアミノ−6−クロロフルオラン、2−(4−オキサヘキシル)−3−ジメチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、2−(4−オキサヘキシル)−3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、2−(4−オキサヘキシル)−3−ジプロピルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、2−メチル−6−p−(p−ジメチルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン、2−メトキシ−6−p−(p−ジメチルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン、2−クロロ−3−メチル−6−p−(p−フェニルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン、2−クロロ−6−p−(p−ジメチルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン、2−ニトロ−6−p−(p−ジエチルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン、2−アミノ−6−p−(p−ジエチルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン、2−ジエチルアミノ−6−p−(p−ジエチルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン、2−フェニル−6−メチル−6−p−(p−フェニルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン、2−ベンジル−6−p−(p−フェニルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン、2−ヒドロキシ−6−p−(p−フェニルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン、3−メチル−6−p−(p−ジメチルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−p−(p−ジエチルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−p−(p−ジブチルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン、2,4−ジメチル−6−〔(4−ジメチルアミノ)アニリノ〕−フルオラン
3,6,6'−トリス(ジメチルアミノ)スピロ〔フルオレン−9,3'−フタリド〕、3,6,6'−トリス(ジエチルアミノ)スピロ〔フルオレン−9,3'−フタリド〕、<ジビニル系ロイコ染料>
3,3−ビス−〔2−(p−ジメチルアミノフェニル)−2−(p−メトキシフェニル)エテニル〕−4,5,6,7−テトラブロモフタリド、3,3−ビス−〔2−(p−ジメチルアミノフェニル)−2−(p−メトキシフェニル)エテニル〕−4,5,6,7−テトラクロロフタリド、3,3−ビス−〔1,1−ビス(4−ピロリジノフェニル)エチレン−2−イル〕−4,5,6,7−テトラブロモフタリド、3,3−ビス−〔1−(4−メトキシフェニル)−1−(4−ピロリジノフェニル)エチレン−2−イル〕−4,5,6,7−テトラクロロフタリド
<その他>
3−(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、3−(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−3−(1−オクチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、3−(4−シクロヘキシルエチルアミノ−2−メトキシフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、3,3−ビス(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3,6−ビス(ジエチルアミノ)フルオラン−γ−(3'−ニトロ)アニリノラクタム、3,6−ビス(ジエチルアミノ)フルオラン−γ−(4'−ニトロ)アニリノラクタム、1,1−ビス−〔2',2',2'',2''−テトラキス−(p−ジメチルアミノフェニル)−エテニル〕−2,2−ジニトリルエタン、1,1−ビス−〔2',2',2'',2''−テトラキス−(p−ジメチルアミノフェニル)−エテニル〕−2−β−ナフトイルエタン、1,1−ビス−〔2',2',2'',2''−テトラキス−(p−ジメチルアミノフェニル)−エテニル〕−2,2−ジアセチルエタン、ビス−〔2,2,2',2'−テトラキス−(p−ジメチルアミノフェニル)−エテニル〕−メチルマロン酸ジメチルエステル
上記組成からなる塗液を紙、再生紙、合成紙、フィルム、プラスチックフィルム、発泡プラスチックフィルム、不織布等任意の支持体に塗布することによって目的とする感熱記録体が得られる。またこれらを組み合わせた複合シートを支持体として使用してもよい。
電子供与性ロイコ染料、電子受容性顕色剤並びに必要に応じて添加する材料は、ボールミル、アトライター、サンドグライダーなどの粉砕機又は適当な乳化装置によって数ミクロン以下の粒子径になるまで微粒化し、バインダー及び目的に応じて各種の添加材料を加えて塗液とする。塗布する手段は特に限定されるものではなく、周知慣用技術に従って塗布することができ、例えばエアーナイフコーター、ロッドブレードコーター、ベントブレードコーター、ベベルブレードコーター、ロールコーター、カーテンコーターなど各種コーターを備えたオフマシン塗工機やオンマシン塗工機が適宜選択され使用される。感熱記録層の塗布量は特に限定されず、通常乾燥重量で2〜12g/m 2 の範囲である。また、感熱記録層上に設ける保護層の塗布量は特に限定されず、通常1〜5g/m 2 の範囲である。
各種溶液、分散液、又は塗料を以下のように調整した。
(1)第1工程(中和率40%);反応容器(200リットル)中で市販の3号珪酸ソーダ(SiO2:20.0重量%、Na2O:9.5重量%)を水で希釈し、SiO2として6.7重量%の希釈珪酸ソーダ溶液200リットルを調製した。この珪酸ソーダ溶液を85℃に加熱したのち、中和当量の20重量%に相当する量の硫酸アルミニウム(Al2O3分として濃度8重量%、以下、バンドと省略)を200g/分の滴下速度で、粗大ゲルが発生しない十分な強攪拌下で添加し、その後、中和当量の30重量%に相当する量の硫酸(濃度98重量%)を同様に添加した。添加終了後、得られた部分中和液を撹拌下で熟成処理を行うと同時に、縦形サンドグラインダー(容量2ガロン、直径1mmガラスビーズ充填率70重量%)により(粒径7μmを目標に)循環粉砕処理した。この熟成、粉砕処理を3時間行った。
(2)第2工程(中和率40%);次いで、スラリー温度を90℃に昇温し、第1工程と同濃度の硫酸を第1工程同様の条件で、中和当量の80重量%まで添加し、撹拌下で32分間熟成した。
(3)第3工程(中和率20%);引き続き、熟成後のスラリーに同濃度の硫酸を76g/分の添加速度で同様に添加し、スラリーpHを6に調節した後、平均粒子径が2μmになるように湿式粉砕処理した。
(4)性能評価;第3工程終了後のスラリーを濾過、水洗し、純水にリパルプ(再分散)して水和珪酸スラリーを回収した。得られたスラリーの平均粒子径を測定した。また、スラリーを濾過し、エタノール中に固形分10重量%になるよう溶解し再度濾過し、これを105℃にて乾燥して吸油量を測定した。得られた珪酸化合物Aは平均粒子径2.3μm、吸油量155ml/100g、Al2O3含有率2.5%あった。
焼成カオリン(エンゲルハード社製、商品名:アンシレックス90)
100部
スチレン・ブタジエン共重合体ラテックス(固形分48%) 40部
完全鹸化ポリビニルアルコール(クラレ社製、商品名:PVA117)
10%水溶液 30部
水 160部
を攪拌分散しアンダーコート塗料を調整した。
下記配合のロイコ染料分散液(A液)、顕色剤分散液(B液)を、それぞれ別々にダイノーミルでそれぞれ平均粒子径0.8μm、1.1μmになるまで湿式磨砕を行った。
<A液>
3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン 40部
完全ケン化型ポリビニルアルコール(クラレ社製、商品名:PVA117)
10%水溶液 40部
水 20部
<B液>
4−ヒドロキシ−4'−プロポキシジフェニルスルホン 15部
ジフェニルスルホン(増感剤) 25部
カルボキシ変性ポリビニルアルコール(クラレ社製、商品名:PVA−KL318)
10%水溶液 40部
ポリアミドエピクロロヒドリン樹脂(WS4020) 8部
水 20部
<C液>
4−ヒドロキシ−4'−プロポキシジフェニルスルホン 15部
ジフェニルスルホン(増感剤) 25部
完全鹸化ポリビニルアルコール(クラレ社製、商品名:PVA117)
10%水溶液 40部
水 20部
A液50部、C液120部、シリカ(水澤化学社製、ミズカシルP527)25部、カルボキシ変性ポリビニルアルコール10%(クラレ社製、商品名:PVA−KL318)50部を混合し、さらに水280部を加えて攪拌し、感熱発色層塗料2を調製した。
下記の割合で混合して保護層塗料1〜13を調整した。
<保護層塗料1>
カルボキシ変性ポリビニルアルコール(クラレ社製、商品名:PVA−KL318)10%溶液
100部
ポリアミドエピクロロヒドリン樹脂(星光PMC社製、商品名:WS4020、固形分25%、カチオン化度:2.7、分子量:220万、4級アミン) 10部
変性ポリアミド樹脂(住友化学社製、商品名:スミレッズレジンSPI−106N、固形分45%) 3部
珪酸化合物A20%分散液 50部
ステアリン酸亜鉛(中京油脂社製、商品名:ハイドリンE−366、固形分40%)
5部
カルボキシ変性ポリビニルアルコールPVA−KL318)10%溶液 100部
ポリアミドエピクロロヒドリン樹脂(WS4020) 10部
変性ポリアミド樹脂(スミレッズレジンSPI−106N) 3部
珪酸化合物A20%分散液 20部
ステアリン酸亜鉛(ハイドリンE−366) 5部
カルボキシ変性ポリビニルアルコール(PVA−KL318)10%溶液 100部
ポリアミドエピクロロヒドリン樹脂(WS4020) 10部
変性ポリアミド樹脂(スミレッズレジンSPI−106N) 3部
珪酸化合物A20%分散液 100部
ステアリン酸亜鉛(ハイドリンE−366) 5部
カルボキシ変性ポリビニルアルコール(PVA−KL318)10%溶液 100部
ポリアミドエピクロロヒドリン樹脂(WS4020) 10部
変性ポリアミド樹脂(スミレッズレジンSPI−106N) 3部
珪酸化合物(水澤化学社製、商品名:ミズカシルP526、平均粒子径:3.0μm、吸油量:200ml/100g)20%分散液 50部
ステアリン酸亜鉛(ハイドリンE−366) 5部
カルボキシ変性ポリビニルアルコール(PVA−KL318)10%溶液 100部
ポリアミドエピクロロヒドリン樹脂(WS4020) 10部
変性ポリアミド樹脂(スミレッズレジンSPI−106N) 3部
珪酸化合物(水澤化学社製、商品名:ミズカシルP527、平均粒子径:1.6μm、吸油量:130ml/100g)20%分散液 50部
ステアリン酸亜鉛(ハイドリンE−366) 5部
カルボキシ変性ポリビニルアルコール(クラレ社製、商品名:PVA−KL506、重合度:600、ケン化度90%)10%溶液 100部
ポリアミドエピクロロヒドリン樹脂(商品名:WS4020) 10部
変性ポリアミド樹脂(スミレッズレジンSPI−106N) 3部
珪酸化合物(ミズカシルP527)20%分散液 20部
カルボキシ変性ポリビニルアルコール(PVA−KL318)10%溶液 100部
ポリアミドエピクロロヒドリン樹脂(WS4020) 10部
変性ポリアミン樹脂(住友化学社製、商品名:スミレッズSPI102A、固形分45%) 3部
珪酸化合物(ミズカシルP527)20%分散液 50部
ステアリン酸亜鉛(ハイドリンE−366) 5部
カルボキシ変性ポリビニルアルコール(PVA−KL318)10%溶液 100部
ポリアミドエピクロロヒドリン樹脂(WS4020) 10部
変性ポリアミド樹脂(スミレッズレジンSPI−106N) 3部
ステアリン酸亜鉛(ハイドリンE−366) 5部
カルボキシ変性ポリビニルアルコール(PVA−KL318)10%溶液 100部
ポリアミドエピクロロヒドリン樹脂(WS4020) 10部
珪酸化合物(ミズカシルP527)20%分散液 120部
ステアリン酸亜鉛(ハイドリンE−366) 5部
完全ケン化型ポリビニルアルコール(クラレ社製、商品名:PVA117、重合度:1700、ケン化度:99mol%)10%溶液 100部
ポリアミドエピクロロヒドリン樹脂(WS4020) 10部
変性ポリアミド樹脂(スミレッズレジンSPI−106N) 3部
珪酸化合物(ミズカシルP527)20%分散液 50部
ステアリン酸亜鉛(ハイドリンE−366) 5部
カルボキシ変性ポリビニルアルコール(PVA−KL318)10%溶液 100部
ポリアミドエピクロロヒドリン樹脂(WS4020) 10部
ポリエチレンイミン(星光PMC社製、商品名:CP8994、固形分50%)
3部
珪酸化合物(水澤化学社製、商品名:ミズカシルP527)20%分散液 50部
ステアリン酸亜鉛(ハイドリンE−366) 5部
カルボキシ変性ポリビニルアルコール(PVA−KL318)10%溶液 100部
ポリアミドエピクロロヒドリン樹脂(WS4020) 10部
メラミン系樹脂(住友化学社製、商品名:スミレッズレジン603M、固形分60%)
2部
珪酸化合物(水澤化学社製、商品名:ミズカシルP527)20%分散液 50部
ステアリン酸亜鉛(ハイドリンE−366) 5部
60g/m2の原紙にアンダーコート塗料を乾燥後の塗布量が8.0g/m2となるようブレードコーターで塗工した。この上に感熱発色層塗料1を乾燥後の塗布量が4.5g/m2となるようブレードコーターで塗工し、感熱記録紙を得た。
[感熱記録体2の作製]
60g/m2の原紙にアンダーコート塗料を乾燥後の塗布量が8.0g/m2となるようブレードコーターで塗工した。この上に感熱発色層塗料2を乾燥後の塗布量が4.5g/m2となるようブレードコーターで塗工し、感熱記録紙を得た。
上記の感熱記録体1上に保護層塗料1を乾燥後の塗布量が2.5g/m2となるよう手塗りバーで塗工した。ベック平滑度(23℃、50%環境下で調湿後)が2000〜2500秒になるようカレンダー処理を行い、実施例1の感熱記録体を作製した。
[実施例2]
保護層塗料1の代りに保護層塗料2を用いた以外は実施例1と同様にして、実施例2の感熱記録体を作製した。
[実施例3]
保護層塗料1の代りに保護層塗料3を用いた以外は実施例1と同様にして、実施例3の感熱記録体を作製した。
[実施例4]
保護層塗料1の代りに保護層塗料4を用いた以外は実施例1と同様にして、実施例4の感熱記録体を作製した。
保護層塗料1の代りに保護層塗料5を用いた以外は実施例1と同様にして、実施例5の感熱記録体を作製した。
[実施例6]
保護層塗料1の代りに保護層塗料6を用いた以外は実施例1と同様にして、実施例6の感熱記録体を作製した。
[実施例7]
保護層塗料1の代りに保護層塗料7を用いた以外は実施例1と同様にして、実施例6の感熱記録体を作製した。
保護層塗料1の代りに保護層塗料8を用いた以外は実施例1と同様にして、比較例1の感熱記録体を作製した。
[比較例2]
保護層塗料1の代りに保護層塗料9を用いた以外は実施例1と同様にして、比較例2の感熱記録体を作製した。
[比較例3]
保護層塗料1の代りに保護層塗料10を用いた以外は実施例1と同様にして、比較例3の感熱記録体を作製した。
[比較例4]
保護層塗料1の代りに保護層塗料11を用いた以外は実施例1と同様にして、比較例4の感熱記録体を作製した。
[比較例5]
保護層塗料1の代りに保護層塗料12を用いた以外は実施例1と同様にして、比較例5の感熱記録体を作製した。
[比較例6]
上記の感熱記録体2上に保護層塗料1を乾燥後の塗布量が2.5g/m 2 となるよう手塗りバーで塗工した。ベック平滑度(23℃、50%環境下で調湿後)が2000〜2500秒になるようカレンダー処理を行い、感熱記録体を作製した。
[印字濃度]
大倉社製感熱プリンタTH−PMD、パターンNO.8にて階調印字を行い、#14で得られた画像の印字濃度をマクベス濃度計RD918で測定した。数値が大きいほど発色濃度が優れている。
[保存性]
上記プリンタ、パターンNO.8にて市松印字を行い、発色部について下記の保存性を評価した。
[耐水性]
水道水に24時間浸し、自然乾燥した。試験前後の発色部濃度を測定し、残存率(=試験後の発色濃度/試験前の発色濃度×100(%))を算出した。残存率が高いほど耐水性能が優れている。
表面にエタノール及び酢酸エチルを綿棒で塗布し自然乾燥した。
○:発色しない
△:薄く発色する
×:はっきりと発色する
[プリンタ適性]
イシダラベルプリンター:IP21EXにて2000m市松印字を行い、印字面及びサーマルヘッドについて目視評価を行った。
[ヘッドカス]
○:サーマルヘッドにカスの付着がなく2000m印字してもかすれがない。
△:印字かすれはないが、ヘッドカスが付着した。
×:ヘッドカス起因の印字かすれが発生した。
[耐スティック性]
○:ステイックの発生なし。
×:スティックが発生する。
Claims (2)
- 支持体上に、無色ないし淡色の電子供与性ロイコ染料及び電子受容性顕色剤を含有する感熱記録層及びこの上に保護層を設けた感熱記録体であって、該保護層がカルボキシ変成ポリビニルアルコール、エピクロロヒドリン系樹脂、ポリアミン/アミド系樹脂(ポリエチレンイミン樹脂を除く。)及び珪酸化合物を含有し、該感熱記録層がエピクロロヒドリン系樹脂を含有することを特徴とする感熱記録体。
- 前記珪酸化合物が珪酸化合物析出工程で湿式粉砕処理を施すことにより得られた請求項1に記載の感熱記録体。
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