JP5350859B2 - 光学部材および光学装置の製造方法と光学装置 - Google Patents
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また、そのような光学装置として、反射面を有する光学部材に、半導体レーザや発光ダイオード等の発光デバイスと、フォトダイオードやフォトトランジスタあるいはCCD等の受光デバイス、導光デバイスあるいはSHG(第2高調波発生素子)等の波長変換デバイスなどの光学デバイスを設け、発光デバイスから出射した光が反射面で反射して光学デバイスに入射するようにした光学装置が従来から用いられている。
上記斜面への反射性金属膜の被覆は、シリコン基板の表面側から、該表面上に上記斜面に対応する位置から該斜面に垂直な方向に延びる開口を有するステンシルマスクを配置して、銀、アルミニウム又は金による斜め蒸着又はチルトスパッタリングによって行う。
上記エッチングは、前述と同様に異方性ドライエッチングで行うことができるが、それをフッ化硫黄系のガスを酸素で希釈したガスによるエッチング処理と、フッ化炭素系ガスによる側壁保護膜形成処理とを交互に繰り返すボッシュ法によって行うとよい。
その後、上記シリコンウエハを、上記各凹部の上記2平面と上記反射面とからなる壁面側のシリコンウエハを所定幅だけ残して上記長手方向に沿って切断すると共に、該壁面と対向する壁面を除去するように長手方向に沿って切断して、複数個の光学部材が長手方向に連続した複数の短冊状部材とし、その各短冊状部材を上記各凹部の一対の短辺をなす各壁面を除去するようにそれぞれ短手方向に沿って切断して、個々の光学部材にする。
(a)シリコンウエハの表面からその表面に垂直な方向にエッチングを行って、その表面に対して垂直な2平面とその2平面間を接続する斜面とを含む凹部を、その平面形状の長手方向及び短手方向にそれぞれ複数個ずつ整列して形成する工程、
(b)その各凹部の上記斜面にそれぞれ反射性金属膜を被覆して反射面を形成する工程、
(c)その後、上記シリコンウエハを、上記各凹部の上記2平面と反射面とからなる壁面側のシリコンウエハを所定幅だけ残して長手方向に沿って切断すると共に、その壁面と対向する壁面を除去するように長手方向に沿って切断して、複数個の光学部材が長手方向に連続した複数の短冊状部材とする工程、
(d)各短冊状部材のそれぞれ上記2平面と反射面とを設けた各光学装置の光学部材となる部分に、上記2平面の一方に発光デバイスを、他方に受光デバイス、導光デバイス、あるいは波長変換デバイス等の光学デバイスをそれぞれ位置決め固定して、その上記発光デバイスから出射した光が上記反射面で反射して上記光学デバイスに入射するようにする工程、
(e)その後に、上記各短冊状部材を上記各凹部の一対の短辺をなす各壁面を除去するようにそれぞれ短手方向に沿って切断して、個々の光学装置にする工程、
そして、上記エッチングは、上記シリコン基板の表面に塗付されて上記凹部の平面形状と同じ開口又は切欠きが形成されたフォトレジストをエッチングマスクとして、異方性ドライエッチングで行い、上記斜面への反射性金属膜の被覆は、上記シリコン基板の表面側から、該表面上に上記斜面に対応する位置から該斜面に垂直な方向に延びる開口を有するステンシルマスクを配置して、銀、アルミニウム又は金による斜め蒸着又はチルトスパッタリングによって行う。
そして、上記斜面への反射性金属膜の被覆を、シリコン基板の表面側から、該表面上に上記斜面に対応する位置から該斜面に垂直な方向に延びる開口を有するステンシルマスクを配置して、銀、アルミニウム又は金による斜め蒸着又はチルトスパッタリングによって行うので、上記斜面に選択的に反射性金属膜を被覆して、反射面以外の部分に金属膜が形成されないようにすることができ、光学部品を搭載したときに絶縁性を損なうことがない。
さらに、その光学部材を用いて、発光デバイスと、受光デバイス、導光デバイスあるいは波長変換デバイス等の光学デバイスとを反射面を介して連携させた光学装置を容易に製造することもできる。
一枚のシリコンウエハから、多数の光学部材や光学装置を同時に製造することも可能になる。
〔光学装置の一実施例〕
まず、後述するこの発明の製造方法によって製造される光学部材を用いた光学装置の一実施例を図1から図3によって説明する。図1はその光学装置の正面図、図2は図1のX−X線に沿う断面図、図3は図1の矢示A方向から見た底面図である。
レーザダイオード2で発生した熱は、その下面から本体部10に放熱されると共に、上面からサブマウント4を通して壁部15に放熱される。
反射面13は互いに平行な上部載置面11および下部載置面12の延長線に対する傾斜角度θが45°になっている。
この光学装置(SHG素子を用いたレーザ光源)は、小型プロジェクタ等の光源用のレーザモジュールに利用可能である。そして、構造が簡単で製造容易であり、安価でコンパクトなレーザモジュールを提供することができる。
次に、上述した光学装置に使用した光学部材のこの発明による製造方法の第1実施例について説明する。
先ず、この発明による光学部材の製造方法に使用するシリコン基板を得るための工程を、図4から図6によって説明する。これらの図は、いずれもシリコン基板の表面に平行な方向から見た正面図である。
図6は第3工程を示し、第2のシリコン基板52を二酸化珪素膜53が形成されていない面側から研磨してその厚さを薄くし、前述した光学部材1の壁部15として必要なだけを残す。このようにして、エッチングストッパとして機能する二酸化珪素膜53を設けたシリコン基板5を準備することができる。
先ず第1工程では、図7に示すようにシリコン基板5の表面全体に感光性樹脂であるフォトレジスト6を塗付する。フォトレジストは光や電子線等によって現像液に対する溶解性が変化する組成物であり、ネガ型とポジ型とがある。ここでは、露光されると現像液に対する溶解性が増大し、現像によって露光部が除去されるポジ型のフォトレジストを使用する。
図10において、(b)は平面図であり、(a)はそのA−A線に沿う断面図である。以下の図11から図15においても、(b)は平面図であり、(a)は図10の(a)と同様な断面図である。
そして、このシリコン基板5の凹部5hの内壁面5bにおける変形した長辺に対応する面は、互いに段違いで平行な2平面51a,51bと、その2平面51a,51bの間を接続する斜面51cとから成っている。
エッチング処理は、六フッ化硫黄(SF6)のようなフッ化硫黄系のガスを酸素(O2)で希釈したガスによって行なう。側壁保護膜形成処理は、C4F8のようなフッ化炭素系ガスによって側壁保護膜を形成する。
例えば、次のような条件でエッチング処理と側壁保護膜形成処理を行なう。
SF6 100sccm 0sccm
O2 5sccm 0sccm
C4F8 0sccm 100sccm
RF電力 400W 400W
バイアス電力 30W 0W
時 間 10sec 5sec
ボッシュ法以外の異方性ドライエッチングとしては、F原子でシリコン表面を飽和被覆している状態にアルゴン(Ar)イオンを衝撃させるイオン誘起増速エッチングや、塩素(Cl2)とアルゴンイオン照射の複合効果によるエッチングなどもある。
さらに、シリコン基板5の凹部5hの内壁面5bには上記エッチング処理により細かな縞状の凹凸ができているので、酸化とHFガスによる平坦化処理を行い、特に斜面51cの平面度を高める。
その後、第8工程でシリコン基板5をスパッタ装置から取り出し、ステンシルマスク8を除去すると図15に示すようになる。
シリコン基板5の凹部5hの平面51a,51bと反射面13がある側の辺だけは、光学部材の本体部10となる部分のシリコン基板5を所定幅だけ残して横ダイシングラインH1に沿って切断するが、それ以外の各辺は、いずれも凹部5hの内壁面の内側近傍を通る横ダイシングラインH2と縦ダイシングラインV1,V2に沿って切断する。これらの切断はダイシングソーによって行う。
この光学部材1は本体部10と壁部15からなり、本体部10は、図16においてシリコン基板5の表面5aに垂直な凹部5hの内壁面5bの一部である互いに段違いで平行な2平面に51a,51bが上部載置面11と下部載置面12となり、その間に斜面51cに反射性金属膜を被覆した反射面13が設けられている。
この光学部材1を用いて、図1から図3によって説明した光学装置を容易に製造することができる。
次に、この発明による光学部材の製造方法の第2実施例について図19から図23によって説明する。
この実施例は1枚のシリコンウエハから複数(多数)の光学部材を同時に製造する方法であり、光学装置も複数個一緒に製造できる。
この状態から、図19に一点鎖線で示す各ダイシングラインで切断して、2個の光学部材が長手方向に連続した短冊状部材とする。図20はその短冊状部材の斜視図である。
この短冊状部材60は、図19のシリコンウエハ50を、各凹部50hの上部載置面11と下部載置面12と反射面13とからなる壁面側のシリコンウエハを所定幅だけ残して長手方向に沿って切断すると共に、上記壁面と対向する壁面を除去するように長手方向に沿って切断している。
この短冊状部材60を各凹部の一対の短辺をなす各壁面を除去するようにそれぞれ短手方向に沿って切断すれば、図18に示したような個々の光学部材1を得ることができる。
図22の(a)はその各光学部品取り付け状態を示す正面図であり、(b)はその平面図である。
この光学装置は、SHG素子3が各下部載置面12から外に突出していない点以外は、図1から図3によって説明した光学装置と同じである。
ここで、この発明による光学部材と光学装置の変更例を図24に示す。この光学装置は図1に示した光学装置の光学部材の形状を一部変更した例であり、光学部材1′の本体部10′を縦断面にして示す正面図である。この図において、図1の各部と対応する部分には同一の符号を付してあり、それらの説明は省略する。光学部材と本体部は若干相違するので1′と10′とする。
このようにすれば、本体部10′の上部載置面11上にレーザダイオード2を取り付ける際、レーザダイオード2の後端面を突き当て用段部11aに突き当てて位置決めすることができる。また、下部載置面12上にSHG素子3を取り付ける際も、SHG素子3の前端面を突き当て用段部12aに突き当てて位置決めすることができる。したがって、レーザダイオード2とSHG素子3の位置決め固定を容易に、しかも正確に行うことができる。
また、レーザダイオード2とSHG素子3のような光学部品を載置する2つの平面(載置面)は、必ずしも互いに平行である必要はない。
この発明による光学部材の製造方法は、反射面(ミラー)のみを設けた光学部材を製造することもできる。そこで、以下に傾斜した平面状の反射面を設けた光学部材と、楕円筒面状の反射面のみを設けた光学部材の製造方法について、簡単に説明する。
これらの光学部材の製造方法におけるエッチングまでの処理、及び反射面を作るための反射性金属膜の形成方法などは、前述した第1実施例と共通であるから、それらの詳細な説明は省略する。
図26に示すようにシリコン基板20の表面20aにフォトレジスト30を塗付し、図25に示すようにシリコン基板20の側面20bに対して各辺を45°傾けた正方形の開口31を形成するようにパターニングし、そのフォトレジスト30をエッチングマスクにして、シリコン基板20をその表面20aに垂直な方向にエッチングして、平面形状が正方形で貫通した孔状の凹部21を形成する。
この製造方法によれば、例えば特許文献2に示された光学装置に使用するミラー部材も、容易に製造することができる。
この光学部材1Aは底面25に対する反射面23の傾斜角度θを45°にしているが、フォトレジスト30の開口形状やダイシングラインの取り方によって、任意の角度の反射面を設けることができる。
図29に示すようにシリコン基板20の表面20aにフォトレジスト30を塗付し、図28に示すようにシリコン基板20の側面20bに平行な長軸を有する楕円の半分と角に丸みを付けた正方形とをつなげた形状の開口32を形成するようにパターニングし、そのフォトレジスト30をエッチングマスクにして、シリコン基板20をその表面20aに垂直な方向に異方性ドライエッチングして、平面形状がフォトレジスト30の開口32と同じ平面形状で貫通した凹部22を形成する。
この製造方法によれば、例えば特許文献1に示された光学装置に使用する楕円筒面状(同文献では「楕円球状」と称している)の反射面を有する光学部材も、容易に製造することができる。反射面の筒面状の曲面形状や傾きなどは、フォトレジスト30の開口形状やダイシングラインの取り方によって、任意に変更することができる。
この発明による光学部材の製造方法について、図7以降の各図によって説明した各実施例において、エッチングマスクとなるフォトレジストを露光するためのフォトマスク(図8、図9参照)の形状を変更することによって、エッチングマスクの形状を種々に変更できる。それによって、シリコン基板(シリコンウエハも含む)に形成する凹部の形状も種々に変更でき、例えば切欠き状の凹部を形成する加工も可能である。
この発明は、上述した各実施例に限定されることはなく、これら以外にも種々の変更や応用が可能であることは勿論である。
3:第2高調波発生(SHG)素子(波長変換素子:光学デバイス)
4:サブマウント 5,20:シリコン基板
5a,20a:シリコン基板の表面
5b:凹部の内壁面 5h,21,22:シリコン基板に形成した凹部
6,30:フォトレジスト 6h,31,32:フォトレジストの開口
7:フォトマスク 7h:フォトマスクの開口
8:ステンシルマスク 8h:ステンシルマスクの開口
12:下部載置面 12a:突き当て用段部
13,23,24:反射面 15:壁部
50:シリコンウエハ 50a:シリコンウエハの表面
50h,50h′:シリコンウエハに形成した凹部
51,61:第1シリコン基板 51a,51b:平面 51c:斜面
52,62:第2シリコン基板 53,63:二酸化珪素膜
60:短冊状部材
Claims (7)
- シリコン基板の表面から該表面に垂直な方向にエッチングを行って、該表面に対して垂直な2平面と該2平面間を接続する斜面とを含む凹部を形成し、前記斜面に反射性金属膜を被覆して反射面を形成し、前記エッチングは、前記シリコン基板の表面に塗付されて前記凹部の平面形状と同じ開口又は切欠きが形成されたフォトレジストをエッチングマスクとして、異方性ドライエッチングで行い、
前記斜面への反射性金属膜の被覆は、前記シリコン基板の前記表面側から、該表面上に前記斜面に対応する位置から該斜面に垂直な方向に延びる開口を有するステンシルマスクを配置して、銀、アルミニウム又は金による斜め蒸着又はチルトスパッタリングによって行うことを特徴とする光学部材の製造方法。 - 前記2平面は互いに段違いで平行な面であり、前記反射面は前記2平面の延長線に対して45°の角度をなしていることを特徴とする請求項1に記載の光学部材の製造方法。
- 前記異方性ドライエッチングを、フッ化硫黄系のガスを酸素で希釈したガスによるエッチング処理と、フッ化炭素系ガスによる側壁保護膜形成処理とを交互に繰り返すボッシュ法によって行うことを特徴とする請求項1又は2に記載の光学部材の製造方法。
- 請求項1から3のいずれか一項に記載の光学部材の製造方法によって製造された光学部材を用い、
前記2平面の一方に発光デバイスを、他方に受光デバイス、導光デバイス、あるいは波長変換デバイス等の光学デバイスをそれぞれ位置決め固定し、
前記発光デバイスから出射した光が前記反射面で反射して前記光学デバイスに入射するようにする光学装置の製造方法。 - 請求項1から3のいずれか一項に記載の光学部材の製造方法によって製造された光学部材と、該光学部材に形成された前記2平面の一方に位置決め固定された発光デバイスと、他方に位置決め固定された受光デバイス、導光デバイス、あるいは波長変換デバイス等の光学デバイスとからなり、
前記発光デバイスから出射した光が前記反射面で反射して前記光学デバイスに入射するように構成した光学装置。 - 請求項1から3のいずれか一項に記載の光学部材の製造方法であって、
前記シリコン基板としてシリコンウエハを使用し、
該シリコンウエハの表面から該表面に垂直な方向にエッチングを行って、前記凹部をその平面形状の長手方向及び短手方向にそれぞれ複数個ずつ整列して形成し、
その各凹部の前記斜面にそれぞれ反射性金属膜を被覆して前記反射面を形成した後、
前記シリコンウエハを、前記各凹部の前記2平面と前記反射面とからなる壁面側のシリコンウエハを所定幅だけ残して前記長手方向に沿って切断すると共に、該壁面と対向する壁面を除去するように前記長手方向に沿って切断して、複数個の光学部材が長手方向に連続した複数の短冊状部材とし、
その各短冊状部材を前記各凹部の一対の短辺をなす各壁面を除去するようにそれぞれ短手方向に沿って切断して、個々の光学部材にする
ことを特徴とする光学部材の製造方法。 - シリコンウエハの表面から該表面に垂直な方向にエッチングを行って、前記表面に対して垂直な2平面と該2平面間を接続する斜面とを含む凹部を、その平面形状の長手方向及び短手方向にそれぞれ複数個ずつ整列して形成する工程と、
その各凹部の前記斜面にそれぞれ反射性金属膜を被覆して反射面を形成する工程と、
その後、前記シリコンウエハを、前記各凹部の前記2平面と前記反射面とからなる壁面側のシリコンウエハを所定幅だけ残して前記長手方向に沿って切断すると共に、該壁面と対向する壁面を除去するように前記長手方向に沿って切断して、複数個の光学部材が長手方向に連続した複数の短冊状部材とする工程と、
該各短冊状部材のそれぞれ前記2平面と前記反射面とを設けた各光学装置の光学部材となる部分に、前記2平面の一方に発光デバイスを、他方に受光デバイス、導光デバイス、あるいは波長変換デバイス等の光学デバイスをそれぞれ位置決め固定して、前記発光デバイスから出射した光が前記反射面で反射して前記光学デバイスに入射するようにする工程と、
その後に、前記各短冊状部材を前記各凹部の一対の短辺をなす各壁面を除去するようにそれぞれ短手方向に沿って切断して、個々の光学装置にする工程と
を有し、
前記エッチングは、前記シリコン基板の表面に塗付されて前記凹部の平面形状と同じ開口又は切欠きが形成されたフォトレジストをエッチングマスクとして、異方性ドライエッチングで行い、
前記斜面への反射性金属膜の被覆は、前記シリコン基板の前記表面側から、該表面上に前記斜面に対応する位置から該斜面に垂直な方向に延びる開口を有するステンシルマスクを配置して、銀、アルミニウム又は金による斜め蒸着又はチルトスパッタリングによって行うことを特徴とする光学装置の製造方法。
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