JP2006135276A - 半導体発光素子搭載用パッケージ及びその製造方法 - Google Patents

半導体発光素子搭載用パッケージ及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 パッケージ外部に光をより有効に取出すのに好適な半導体発光素子搭載用パッケージを実現する。
【解決手段】 半導体発光素子搭載用パッケージ1は、半導体発光素子が搭載される領域を有するシリコン基板10と、半導体発光素子が搭載される領域よりも大きい貫通孔12を有し、シリコン基板10に積層されたシリコン製のリフレクタ基板14と、貫通孔12の内面に形成された反射膜16とを備え、シリコン基板10は、半導体発光素子の搭載領域を包囲する溝18が表面に形成され、溝18の内面に反射膜20が形成される。
【選択図】 図2

Description

本発明は、半導体発光素子が搭載されるパッケージ及びそのパッケージの製造方法に関する。
半導体発光素子搭載用パッケージは、室内照明器具や自動車のヘッドライトなどの種々の照明装置に使用されるものであり、光を放出する半導体発光素子(例えば発光ダイオード)が搭載される。
一般に、半導体発光素子搭載用パッケージは、半導体発光素子(以下、発光素子と適宜略す。)が搭載される領域にその発光素子に電力を供給する薄膜電極を配設してなる実装基板と、発光素子の搭載領域よりも大きい開口の貫通孔を有し実装基板に積層されたリフレクタ基板と、リフレクタ基板の貫通孔の内面に形成された反射膜を備えている。発光素子から放出される光は、リフレクタ基板の貫通孔の開口を介してパッケージ外部に導かれる。
このような発光素子搭載用パッケージでは、リフレクタ基板の貫通孔の内面に反射膜を形成し、発光素子から貫通孔の内面に向う光を反射膜で反射させることにより、パッケージ外部に光を取出すことが行われる(例えば、特許文献1)。
特開2002−9347号公報
ところで、一般に、発光素子は周囲全方向に光を放出するから、その放出光のうち実装基板側に向う光は、実装基板表面の反射率に依存して有効な放出光とならない場合がある。すなわち、特許文献1のように実装基板として例えばセラミックス基板を用いると、その基板表面の反射率は比較的小さいことが多く、実装基板の表面の反射光が弱くなり、結果としてパッケージから必要な光を取出すことができない場合がある。
本発明の課題は、外部に光をより有効に取出すのに好適な半導体発光素子搭載用パッケージを実現することにある。
上記課題を解決するため、本発明の半導体発光素子搭載用パッケージは、半導体発光素子が搭載される領域を有する第一のシリコン基板と、半導体発光素子が搭載される領域よりも大きい開口の貫通孔を有し、第一のシリコン基板に積層された第二のシリコン基板と、貫通孔の内面に形成された反射膜とを備え、第一のシリコン基板は、半導体発光素子の搭載領域を包囲する溝が表面に形成され、溝の内面に反射膜が形成されてなることを特徴とする。
これによれば、発光素子からの放出光のうち殆どの光は、直接に又は貫通孔内面で反射した後に、貫通孔の開口から外部に放出される。一方、第一のシリコン基板側に向う放出光のうち溝に進入した光は、溝内面の反射膜で反射される。反射された光は、直接に又は貫通孔内面で反射した後に、貫通孔の開口から外部に放出される。これにより、第一のシリコン基板側に放出された光を有効にパッケージ外部に取出すことができる。
また、本発明の半導体発光素子搭載用パッケージは、第一のシリコン基板の半導体発光素子の搭載領域が凸形に表面に形成され、半導体発光素子の搭載領域の側面に反射膜が形成されることを特徴とする。これにより、第一のシリコン基板側に向う放出光のうち搭載領域の側面に進む光は、側面の反射膜で反射される。反射された光は、直接に又は貫通孔内面で反射した後に、貫通孔の開口から外部に放出される。これにより、第一のシリコン基板側に放出された光を有効にパッケージ外部に取出すことができる。
さらに、本発明の半導体発光素子搭載用パッケージは、第一のシリコン基板の半導体発光素子の搭載領域が凸形に形成されると共に半導体発光素子の搭載領域を包囲する溝が第一のシリコン基板の表面に形成され、半導体発光素子の搭載領域の側面および溝の内面に反射膜が形成されてなることを特徴とする。
この場合において、第一のシリコン基板は、半導体発光素子の搭載領域よりも外側表面に反射膜が形成されるのが好ましい。これにより、第一のシリコン基板の露出表面が反射膜で覆われるので、第一のシリコン基板側に向う放出光をより有効に取出すことができる。露出表面とは、第一のシリコン基板の表面のうち、貫通孔の第一のシリコン基板側の開口で区画された表面であり、かつ半導体発光素子の搭載領域および溝を除いた部分である。
また、第一のシリコン基板の半導体発光素子が搭載される領域に、光透過性を有する材料から形成された光導波層を積層し、光導波層に厚み方向に対して傾斜した反射面を形成できる。これにより、第一のシリコン基板側に向う放出光のうち光導波層を透過する光は、透過する過程で反射面により反射されるので、進行方向が例えば貫通孔の内面方向に変わる。したがって、光導波層を通過する光は、第一のシリコン基板の表面に到達する前に有効に取出される。なお、光透過性とは、光が媒質を進む過程で光の吸収や散乱がほとんど生じないことである。
また、第一のシリコン基板に、第二のシリコン基板が積層される側の反対面に厚み方向に凹凸形に形成された放熱機構を設けることができる。これにより、第一のシリコン基板の反対面の表面積が凹凸形に由来して比較的大きくなるため、その表面積を介して第一のシリコン基板の熱を効率的に放熱できる。
このような半導体発光素子搭載用パッケージを複数配列してなる光源を照明装置に用いることができる。
半導体発光素子搭載用パッケージの製造方法は、半導体発光素子が搭載される第一のシリコン基板を準備する工程と、第一のシリコン基板の表面に半導体発光素子の搭載領域を包囲する溝を化学エッチング処理により形成する工程と、溝の内面に反射膜を形成する工程と、第二のシリコン基板を準備する工程と、第二のシリコン基板に溝の外形よりも大きい貫通孔を形成する工程と、貫通孔の内面に反射膜を形成する工程と、半導体発光素子の搭載領域および溝を貫通孔の開口に位置させて第二のシリコン基板を第一のシリコン基板に積層する工程を備えることを特徴とする。
この場合において、第一のシリコン基板の表面に溝を形成する工程と共に、又はその工程に代えて、半導体発光素子の搭載領域を化学エッチング加工により凸形に形成する工程を含めることができる。
本発明によれば、外部に光をより有効に取出すのに好適な半導体発光素子搭載用パッケージを実現できる。
(第1の実施形態)
本発明を適用した半導体発光素子搭載用パッケージの第1の実施形態について図1及び図2を参照して説明する。図1は、本実施形態の半導体発光素子搭載用パッケージの斜視図である。図2は、a―a´断面を示す図である。
半導体発光素子搭載用パッケージ1(以下、パッケージ1と称する。)は、室内照明器具や自動車のヘッドライトなどの種々の照明装置に実装されるものであり、光を放出する半導体発光素子(以下、発光素子と適宜略する。)が搭載される。
図1及び図2に示すように、パッケージ1は、発光素子(例えば、白色発光ダイオード)が搭載される領域を有する第一のシリコン基板10と、発光素子が搭載される領域よりも大きい開口の貫通孔12を有し、シリコン基板10に積層された第二のシリコン基板としてのリフレクタ基板14を備えた二層構造に形成されている。リフレクタ基板14はシリコン基板10に薄膜ガラス22を介して陽極接合されている。
ここで、本発明に係るパッケージ1は、シリコン基板10の表面に、発光素子の搭載領域を包囲する溝18が形成されている。溝18の内面に反射膜20が形成されている。
パッケージ1の構成についてさらに説明する。図1に示すように、シリコン基板10は、外径が矩形に形成されており、発光素子が搭載される表面を有する。シリコン基板10の表面中央部に発光素子の搭載領域が確保される。搭載領域に2つの薄膜電極24a、24bが配設されている。薄膜電極24a、24bは、外径が矩形の電極であり、発光素子に電力を供給するためのものである。薄膜電極24a、24bが配設される領域の周囲に溝18が形成されている。溝18は、シリコン基板10の表面から厚み方向に凹んで形成され、底面と側面とにより区画されている。溝18の側面は、シリコン基板10の厚み方向に対して傾斜している。換言すれば、溝18は、シリコン基板10の延在方向(以下、水平方向と適宜称する。)における断面が矩形であり、その断面積は、底面から表面に向うにつれて拡大している。シリコン基板10の背面中央部に2つの薄膜電極25a、25bが配設されている。薄膜電極25a、25bは、面積が薄膜電極24a、24bよりも大きい矩形の電極である。なお、シリコン基板10、薄膜電極24aおよび24b、薄膜電極25a、25bは円形のものでもよい。
リフレクタ基板14は、外径がシリコン基板10に対応し、厚みがシリコン基板10よりも大きく形成されている。リフレクタ基板14に、厚み方向に貫通孔12が形成されている。貫通孔12は、図1のように4つの斜面で区画されている。貫通孔12の各斜面は、シリコン基板10側に向うにつれて貫通孔12の中心軸側に傾斜している。換言すれば、貫通孔12は、水平断面が矩形であり、その断面積がシリコン基板10側から垂直方向に向うにつれて拡大している。そして、貫通孔12の内面に反射膜16が形成されている。このような貫通孔12を介して、薄膜電極24a、24bや溝18がシリコン基板10上に視認される。なお、貫通孔12の水平断面を円形に形成してもよい。
さらに詳細にシリコン基板10について説明する。図2に示すように、シリコン基板10は、薄膜電極24a、24bの配設位置に対応して、厚み方向に貫通する円柱形又は四角柱形の2つの貫通配線26a、26bが形成されている。貫通配線26a、26bは、シリコン基板10の厚み方向に貫通した孔に導電材料が充填されたものである。貫通配線26aを介し、薄膜電極25aは薄膜電極24aに電気的に接続すると共に、貫通配線26bを介し、薄膜電極25bは薄膜電極24bに電気的に接続する。電気的接続には、薄膜のはんだ膜を用いてもよい。
シリコン基板10の背面に2つの放熱部30a、30bが形成されている。放熱部30a、30bは、薄膜電極25aおよび薄膜電極25bよりも外側に、シリコン基板10の厚み方向に凹凸して形成されている。より具体的には、放熱部30a、30bは、エッチングにより形成され、稜線が水平方向に延在して形成されている。ただし、このような形態に限らず、微小凹凸を有するフィン構造であればよく、要はシリコン基板10の表面積を増大する形態であればよい。このような放熱部30a、30bは、シリコン基板10の背面、かつ薄膜電極25a、25bの配設位置を除いた領域に渡って形成するのが好ましい。シリコン基板10の背面に、発光素子を駆動するために必要となる薄膜素子(例えば、薄膜抵抗や薄膜キャパシタ)を形成してもよい。これにより、発光素子を駆動させるための回路の一部がシリコン基板10に実装されるため、駆動回路の集積度が高まる。
シリコン基板10にシリコン酸化膜28が被覆されている。シリコン酸化膜28により薄膜電極24a、24bが電気的にショートすることが回避される。薄膜電極24a、24bに発光素子がはんだ膜を介して実装される。実装された発光素子は、貫通孔12のほぼ中心軸上に位置する。なお、薄膜電極24aと薄膜電極24bは中心軸にほぼ対称に位置している。薄膜電極25a、25bや貫通配線26a、26bも同様である。
なお、リフレクタ基板14をシリコン基板10に接合するための薄膜ガラス22としては、例えば4%程度のNaOを含むガラス(例えば、ホウケイ酸ガラス)が適している。ただし、このようなガラス膜に限らず、シリコン基板10とリフレクタ基板14を陽極接合できるガラス膜であればよい。反射膜16および反射膜20としては、例えばアルミニウム、銀、金のいずれかを主とする薄膜が適している。さらに発光素子から放出される光の波長に応じて反射膜16、20の材料を決めればよい。例えば、照明装置などの光の波長は350nm〜500nmであるため、反射膜16、20の材料としてアルミニウムがより適する。
図1及び図2に示した貫通孔12は、シリコンの異方性エッチングにより形成される。異方性エッチングは、水酸化カリウム水溶液(KOH)、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイト液(TMAH)、エチレンジアミンピロカテコール水(EDP)のいずれかを用いて実施される。本実施形態の構造の貫通孔12および溝18を形成するためには、シリコン基板10およびリフレクタ基板14の結晶面方位は{100}であることが好ましい。エッチング液としてKOHやTMAHを用いれば、溝18の側面は{111}面となり、溝18の底面と側面とにより形成される角度は54.7度となる。一方、エッチング液としてKOH水溶液にイソプロピルアルコールを添加したエッチング液を用いれば、溝18の側面は{110}面となり、溝18の底面と側面とにより形成される角度は45度となる。本実施形態の場合、いずれの面を用いても所望の効果を期待できる。
本実施形態によれば、発光素子からの放出光のうち殆どの光は、直接に又は貫通孔12の内面で反射した後に、貫通孔12の開口から外部に放出される。一方、シリコン基板10側に向う放出光のうち溝18に進入した光は、溝18の反射膜20で効率的に反射される。反射された光は、直接に又は貫通孔12内面で反射した後に、貫通孔12の開口から外部に放出される。これにより、シリコン基板10側に向う放出光が反射するとき、セラミックス基板などの絶縁基板の表面で反射するときよりもエネルギ損失が低減される。したがって、シリコン基板10側に放出された光を有効にパッケージ1の外部に取出すことができる。
また、シリコン基板10の表面、かつ薄膜電極24aおよび薄膜電極24bの外側に反射膜を形成できる。要するに、シリコン基板10の露出表面を全て反射膜で覆うのが好ましい。これにより、シリコン基板10側に向う放射光をより一層有効に取出すことができる。なお、露出表面とは、シリコン基板10の表面のうち、貫通孔12の底側開口で区画された表面、かつ薄膜電極24a、24bや溝18を除いた表面である。
ところで、一般の半導体発光素子搭載用のパッケージは、実装基板とリフレクタ基板の材質が異なる。例えば、実装基板としてシリコン製の基板、リフレクタ基板としてはセラミックス基板などの絶縁基板が用いられる。したがって、実装基板と絶縁基板の熱膨張係数が異なる。このようなパッケージでは、外部温度の変動や、発光素子に駆動電力を供給したときに生じる熱などに起因してパッケージの温度が変化すると、パッケージに反りが生じることがある。この点、本実施形態では、実装基板としてシリコン基板10、リフレクタ基板としてシリコン製のリフレクタ基板14が用いられる。つまり、実装基板とリフレクタ基板の材質が同じであるため、実装基板とリフレクタ基板の熱膨張係数に相違がない。これにより、パッケージ1の温度が変化したときでも、パッケージ1に反りが生じることを回避できる。したがって、接合層としての薄膜ガラス22に応力が印加されることはないので、シリコン基板10とリフレクタ基板14の接合の信頼性を十分確保できる。
また、本実施形態では、シリコン基板10の背面の面積は、放熱部30a、30bの凹凸形に由来して比較的大きいため、その表面積を介してシリコン基板10に生じた熱を効率的に放熱できる。ここで、放熱部30a、30bがシリコン基板10の背面全体にわたって形成することにより、パッケージ1の放熱特性をより高めることができる。ただし、シリコン基板10の背面のうち駆動回路(例えば薄膜電極25a、25b)の配設領域を除いて放熱部30a、30bを形成するのがよい。
また、一般の半導体発光素子搭載用のパッケージは、実装基板とリフレクタ基板の接合層としてはんだ層や接着剤層が用いられる。はんだ層や接着剤層は、水分を吸湿しやすい特性を有する。したがって、接着層が外部の湿度の影響を受けることに起因して、接着の信頼性(例えば、接着強度)が低下することが懸念される。この点、本実施形態では、シリコン基板10とリフレクタ基板14は、薄膜ガラス22を用いて陽極接合されている。これにより、十分な接合力を確保できると共に、外部の湿度による影響を回避できる。したがって、パッケージ1を気密封止する機構が不要となるため、製造コストの低減を図ることができる。
(第2の実施形態)
本発明を適用した半導体発光素子搭載用パッケージの第2の実施形態について図3及び図4を参照して説明する。本実施形態が第1の実施形態と異なる点は、発光素子の搭載領域が凸形に形成されたことにある。したがって、第1の実施形態と相互に対応する箇所については同一の符号を付し、相違点を中心に説明する。
図3は、本実施形態の半導体発光素子搭載用パッケージの斜視図である。図4は、図3のb−b´断面を示す図である。図3及び図4に示すように半導体発光素子搭載用パッケージ(以下、本実施形態ではパッケージ1aと称する。)は、発光素子が搭載される領域を有するシリコン基板10aと、発光素子が搭載される領域よりも大きい開口の貫通孔12aを有し、シリコン基板10aに積層されたリフレクタ基板14aと、貫通孔12aの内面に形成された反射膜16aなどから構成されている。
シリコン基板10aは、凸部40が表面に形成されている。凸部40は、半導体発光素子を頂部に搭載する領域としての平坦面と、平坦面からシリコン基板10a側に裾広がりに傾斜した側面を有している。平坦面に薄膜電極24a、24bが配設されると共に、凸部40の側面に反射膜42が形成されている。このようなシリコン基板10aにシリコン酸化膜28aが被覆されている。
また、シリコン基板10aの表面であって凸部40の外側に反射膜44が形成されている。より具体的には、シリコン基板10aの表面であって、凸部40と貫通孔12aの内面の間に反射膜44が形成されている。これにより、シリコン基板10aの露出表面が反射膜でより覆われるため、有効に放出光が取出される。なお、シリコン基板10aの背面に図2の放熱部30a、30bを形成してもよい。
リフレクタ基板14aは、発光素子が搭載される領域よりも大きい開口の貫通孔12aが形成されている。より具体的には、貫通孔12aの開口幅は、凸部40の幅よりも大きく形成されている。貫通孔12aは、内面としての湾曲面で区画形成されている。湾曲面は、図4に示すように、断面がリフレクタ基板14aの頂部から中心軸に向って徐々に円弧している。換言すれば、貫通孔12aは、水平断面が円形であり、その断面の径がシリコン基板10a側から垂直方向に向うにつれて拡大している。このような貫通孔12aを介して、凸部40と薄膜電極24a、24bがシリコン基板10a上に視認される。貫通孔12aは湾曲面に反射膜が形成されている。なお、貫通孔12aについては、図1及び図2のような水平断面が矩形の形態でもよい。
図3及び図4に示した凸部40は、シリコンの異方性エッチングにより形成される。異方性エッチングは水酸化カリウム水溶液(KOH)、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイト液(TMAH)、またはエチレンジアミンピロカテコール水(EDP)によって実施される。図のような構造を得るためには、シリコン基板10aは、結晶面方位が{100}であることが好ましい。一方、リフレクタ基板14aの結晶面方位はいずれの面方位でもよく、シリコンのドライエッチングにより貫通孔12aが形成される。ドライエッチングは、SFガスを用いたRIE(Reactive Ion Etching)により実施される。また、HF+HNO+CHCOOHの混合エッチング液によっても形成できる。
本実施形態によれば、発光素子からシリコン基板10a側に向う放出光のうち凸部40の側面に進む光は、反射膜42で反射される。反射された光は、直接に又は貫通孔12aの反射膜16aで反射した後に、貫通孔12aの開口から外部に放出される。これにより、シリコン基板10a側に放出された光を有効にパッケージ外部に取出すことができる。
(第3の実施形態)
本発明を適用した半導体発光素子搭載用パッケージの第3の実施形態について図5乃至図8を参照して説明する。本実施形態が第1の実施形態と異なる点は、発光素子と薄膜電極との間に光導波層を介在させたことにある。したがって、第1の実施形態と相互に対応する箇所については同一の符号を付し、相違点を中心に説明する。
図5は、本実施形態の半導体発光素子搭載用パッケージの第一の例を示す断面図である。図5に示すように、半導体発光素子搭載用パッケージ1cは、シリコン基板10の表面に所定の薄膜電極を介して実装される光導波層50(以下、サブマウント50)と、サブマウント50の表面に所定の薄膜電極を介して発光素子52が実装されている。
サブマウント50は、半導体発光素子からシリコン基板10側に放出された光を導き、導いた光を貫通孔12の内面に向けて反射させる透明基板である。例えば、図5に示すように、サブマウント50は、外形が薄膜電極24a、24bや発光素子52よりも大きい矩形又は円形に、光透過性を有する材料から形成されている。光透過性とは、光が媒質を進む過程で光の吸収や散乱がほとんど生じないことである。サブマウント50のシリコン基板10側の面(以下、背面)の中央部に、V字型溝53が形成されている。V字型溝53は、サブマウント50の厚み方向に対して傾斜した2つの反射面により形成されたものである。V字型溝53の稜線は、サブマウント50の延在方向(例えば、図上の紙面奥行き方向)に稜線が延在している。V字型溝53の表面に、反射膜が形成されている。反射膜は、光の反射光率を向上させる薄膜(例えば、アルミニウム薄膜)である。
サブマウント50の互いに異なる面に、薄膜電極54a、54bと薄膜電極56a、56bがそれぞれ配設されている。より具体的には、サブマウント50の背面に、パッケージ実装用の薄膜電極54a、54bが配設されている。サブマウント50が実装されるとき、薄膜電極54aは薄膜電極24aに接続され、薄膜電極54bは薄膜電極24bに接続される。サブマウント50の表面に発光素子実装用の薄膜電極56a、56bが配設されている。さらにサブマウント50は、円柱形又は四角柱形の2つの貫通配線58a、58bがV字型溝53を挟んで形成されている。貫通配線58a、58bは、サブマウント50の厚み方向に貫通して形成された孔に導電材料が充填されたものである。貫通配線58aを介し、薄膜電極54aは薄膜電極56aに電気的に接続する共に、貫通配線58bを介し、薄膜電極54bは薄膜電極56bに電気的に接続する。電気的接続には、薄膜のはんだ膜を用いてもよい。
発光素子52は、積層基板としての例えばサファイア基板と、サファイア基板に積層された半導体層60と、半導体層60のシリコン基板10側の面に配設された薄膜電極62a、62bなどから構成される。サファイア基板は、透明の絶縁体から矩形又は円形に形成されている。半導体層60は、窒化ガリウムなどを含む材料から矩形又は円形に形成されている。薄膜電極62a、62bは、半導体層60に電力を印加する正または負電極である。
本例によれば、発光素子52からシリコン基板10側に向う放出光のうちサブマウント50を透過する光は、透過する過程でV字型溝53の反射面により反射される。反射された光は、進行方向が変わり、貫通孔12の内面方向(図の矢印の方向)にサブマウント50内を透過した後、貫通孔12の反射膜16で反射される。また、サブマウント50を光が透過する過程で、サブマウント50から漏れた光は、溝18の反射膜20で反射される。反射された光は、パッケージ1dの外部に有効に取り出される。要するに、サブマウント50が光を反射膜16側又は反射膜20側に導く光路として作用するため、発光素子52からシリコン基板10側に放出された光を最大限に取出して反射させることができ、パッケージ1cから光を高効率で出力させることができる。
なお、サブマウント50に貫通配線58a、58bが形成されているが、貫通配線58a、58bの占める領域は部分的に小さなものである。したがって、発光素子52から出力された光は、一部が遮断されるものの、その大部分は貫通孔12の反射膜16に導かれる。
図6は、本実施形態の半導体発光素子搭載用パッケージの第二の例を示す断面図である。図5に示す第一の例と異なる点は、サブマウントに代えて、ガラス薄膜からなる光導波層をシリコン基板上に形成したことにある。したがって、第一の例と相互に対応する箇所については同一の符号を付し、相違点を中心に説明する。
図6に示すように、半導体発光素子搭載用パッケージ1dは、シリコン基板10の表面と薄膜電極24a、24bの間に厚膜のガラス層70が介在されている。換言すれば、シリコン基板10の表面の上層、かつ薄膜電極24a、24bの下層にガラス層70が形成されている。ガラス層70内に突起72の先端部が位置している。突起72は、シリコン基板10の表面に形成されたものであり、貫通配線26aと貫通配線26bの間に位置している。また突起72は、2つの斜面により形成されており、シリコン基板10の延在方向(例えば、図上の紙面奥行き方向)に稜線が延在している。なお、貫通配線26a、26bは、シリコン基板10と共にガラス層70を貫通して形成されている。
本例によれば、発光素子52からシリコン基板10側に向う放出光のうち突起72に到達した光は、突起72の傾斜面で反射される。反射された光は、進行方向が変わり、貫通孔12の内面方向(図の矢印方向)にガラス層70内を透過した後、貫通孔12の反射膜16で反射される。また、ガラス層70から漏れた光は、溝18の反射膜20で反射される。反射された光は、パッケージ1cの外部に有効に取り出される。要するに、ガラス層70が光を反射膜16側又は反射膜20側に導く光路として作用するため、発光素子52からシリコン基板10側に放出された光を最大限に取出して反射させることができ、パッケージ1dから光を高効率で出力させることができる。
また、本例によれば、ガラス層70は、薄膜のはんだを介して発光素子52を実装する薄膜電極62a、62bの下層に設けられている。これにより、発光素子52の下層に位置するシリコン基板10の面でも光を反射させることも可能になる。
図7は、本実施形態の半導体発光素子搭載用パッケージの第三の例を示す断面図である。本例の半導体発光素子搭載用パッケージ1eが図6の第二の例と異なる点は、第二の例のガラス層70及び突起72が図3及び図4の第2の実施形態としての半導体発光素子搭載用パッケージ1aに適用されることにある。したがって、第2の実施形態及び第二の例と相互に対応する箇所については同一の符号を付してある。
本例によれば、発光素子52からシリコン基板10a側に出力された光がガラス層70と突起72からなる導光路を透過させることにより、貫通孔12aの反射膜16a又は凸部40の反射膜42に導くことができる。また、発光素子52の下層側に位置するシリコン基板10aの表面でも光を反射できる。
さらに、本例によれば、凸部40の頂部に発光素子52が実装される。これにより、発光素子52は、シリコン基板10aとリフレクタ基板14aの接合界面よりもリフレクタ基板14aの頂部側に位置する。したがって、発光素子52から出力された光は、ガラス層70を介して、反射膜16a又は反射膜42に導くことが容易になる。
図8は、本実施形態の半導体発光素子搭載用パッケージの第三の例を示す断面図である。本例が図7の第三の例と異なる点は、蛍光体と指向性レンズを設けることにある。したがって、第三の例と相互に対応する箇所については同一の符号を付してある。
図8に示すように、半導体発光素子搭載用パッケージ1fは、発光素子52を包囲して形成される蛍光体80と、リフレクタ基板14aの出口開口側に配設された指向性レンズ82を備えている。蛍光体80は、発光素子52から出力される光を全方位にほぼ均一に放出させるものである。
本例では、ガラス層70と突起72からなる導光路や、反射膜16aおよび反射膜42が形成されているため、高効率で光を反射させることができる。反射された光は、指向性レンズ82により放射光から指向性のある光に絞られる。
このように指向性レンズ82を積層実装することにより、半導体発光素子搭載用パッケージ1fから出力される光を制御できる。指向性レンズ82をリフレクタ基板14aに積層するときは、接着剤を用いてもよいし、陽極接合性に優れた薄膜のガラス膜やはんだ膜を用いてもよい。
このような指向性レンズ82および発光素子52を実装した半導体発光素子搭載用パッケージ1fをアレイ状に形成することも容易にできる。これはパッケージ1fがシリコン製でエッチング技術を用いて形成されているからである。このアレイ状に配置された半導体発光装置を種々の照明装置(例えば、照明器具や自動車のヘッドライト)に適用することができる。一例として、照明装置に実装される半導体発光装置89の上面図を図9に示す。
なお、本実施形態の第一例は第1の実施形態に適用した例を説明したが、第2の実施形態に適用してもよく、また本実施形態の第二例および第三例は第2の実施形態に適用した例を説明したが、第1の実施形態に適用してもよい。
次に、第1の実施形態の半導体発光素子搭載用パッケージ1の製造方法について図10を参照して説明する。図10は、半導体発光素子搭載用パッケージ1の製造方法の各工程の形態を示すものである。なお、本製造方法では、シリコン基板10の結晶面方位は{100}とする。
<工程a:溝18および放熱部30a、30bの形成>
シリコン基板10を準備する。シリコン基板10に異方性エッチングを施すことにより溝18および放熱部30a、30bを形成する。異方性エッチングには濃度40wt%の水酸化カリウム水溶液を用いる。マスク材として、シリコン窒化膜とシリコン酸化膜との積層膜を用いる。本マスクパターン形成にホトリソグラフィを適用する。マスク材のエッチングにはRIE(Reactive Ion Etching)を適用する。このような加工方法を用いて形成した溝18および放熱部30a、30bにおいて、傾斜面がシリコン基板10に対して形成する角度は54.7度である。最後にその表面にシリコン酸化膜28を熱酸化法により形成する。
<工程b:トレンチ貫通孔90a、90bの形成>
シリコンのICP(Inductively Coupled Plasma)ドライエッチングによりトレンチ貫通孔90a、90bを形成する。シリコンのICPドライエッチングのためのマスク材としては,アルミニウム薄膜を適用する。アルミニウム薄膜のエッチングには、りん酸と酢酸との混合水溶液を用いる。ホトリソグラフィを用いてアルミニウムのマスクパターンを形成する。これをマスクとしてシリコンを貫通ドライエッチングする。その後,熱酸化法にてシリコン基板10の表面にシリコン酸化膜28を形成する。このとき,トレンチ貫通孔90a、90bの内部の表面にもシリコン酸化膜28が形成される。
<工程c:電極の形成>
めっきによりトレンチ貫通孔90a、90b内部を金属材料で充填する。または,溶融金属をトレンチ貫通孔90a、90bに流し込み,その内部を金属材料で充填する。金属の材料としては,金(Au),Au/Sn,Cuが適している。金属材料充填後,必要性に応じてCMP(Chemical Mechanical Polishing)を施し、シリコン基板10の面平坦性を確保するのがよい。このようにして貫通配線26a、26bを形成する。次に,薄膜電極24a、24bおよび背面の薄膜電極25a、25bをそれぞれ形成する。これらを構成する材料としては,Au/Cr薄膜,Au/Ti薄膜,Au/Pt/Ti薄膜で構成された積層膜がよい。その他に,Al薄膜でもよい。これらの材料以外の薄膜の組合せでもよく,必ずしも上記の薄膜に限るわけではない。薄膜の成膜方法としては,真空蒸着法またはスパッタ法を用いる。薄膜電極24a、24bおよび薄膜電極25a、25bのパターン形成には,ホトリソグラフィを用いる。この場合,レジストをマスクとして用い,成膜した薄膜のエッチングにはウエットエッチングまたはイオンミリングによるドライエッチングを用いる。レジストを塗布する方法としては,スピンコーターによるスピン塗布方法が一般的であるが,シリコン基板10に溝18が工程aで形成されているので,スプレーによる噴霧レジストを塗布する手段であるスプレー塗布方法を適用するほうがより適している。なぜなら,スプレー塗布方法を採用すれば,溝18内を均一な厚みのレジストで覆うことが可能であるからである。
<工程d:反射膜20の形成>
シリコン基板10の溝18が形成された面に反射膜20の材料であるアルミニウム薄膜をスパッタ法または真空蒸着法により成膜する。そして,ホトリソグラフィにより成膜されたアルミニウム薄膜のパターン形成を行い,溝18内に反射膜20を形成する。このとき,レジストの塗布方法としてはスプレー塗布方法を適用する。またアルミニウム薄膜のエッチングは工程bで説明したエッチング溶液を用いる。なお,反射膜20の材料としてアルミニウム薄膜を挙げたが,金薄膜や銀薄膜を用いて反射膜20を構成しても同様な効果を期待できる。
<工程e:貫通孔12の形成>
シリコン基板10よりも厚さが大きいシリコン製のリフレクタ基板14を準備する。この基板の結晶面方位は{100}である。工程aで述べたシリコンの異方性エッチングによりリフレクタ基板14に貫通孔12を形成する。この場合のシリコンのエッチング液には濃度40wt%の水酸化カリウム水溶液を用い,異方性エッチングのマスクには窒化シリコン薄膜とシリコン酸化膜との2層膜を用いる。貫通孔12を形成後,マスクとなる2層膜は剥離される。このような手順で貫通孔12を備えたリフレクタ基板14が製作される。この場合の貫通孔12の側面は{111}面から構成されるので,リフレクタ基板14の裏面とのなす角度は54.7度となる。
<工程f:反射膜16の形成>
貫通孔12の側面にのみアルミニウム薄膜をスパッタ法または真空蒸着法により成膜する。このときメタルマスク法を用い,貫通孔12の側面以外が露出しないようにカバーし,アルミニウム薄膜を成膜する。なお,上記では反射膜16の材料としてアルミニウム薄膜を挙げたが,金薄膜や銀薄膜を用いて反射膜16を構成しても同様な効果を期待できる。
<工程g:薄膜ガラス22の形成>
シリコン基板10の溝18が形成された面に薄膜ガラス22を形成する。薄膜ガラス22の形成方法は,次の手順を採用する。第一にホトリソグラフィにより,シリコン基板10の溝18が形成された面にポジ型のレジストパターンを形成する。このレジストパターンは薄膜ガラス22の形状を反映する。レジストの塗布方法としては,スプレー塗布法を利用する。第二に真空蒸着法またはスパッタ法により薄膜ガラスを構成する4%程度のNaOを多く含むガラス(例えば,ホウケイ酸ガラス)をシリコン基板10の溝18が形成された面に成膜する。最後に,リフトオフ法を用いてレジストパターンを剥離し薄膜ガラス22を形成する。
<工程h:陽極接合>
薄膜ガラス22が形成されたシリコン基板10と貫通孔12が形成されたリフレクタ基板14とを陽極接合により接合する。接合条件は,温度200℃,印加電圧60Vである。
次に、第2の実施形態の半導体発光素子搭載用パッケージ1aの製造方法について図11を参照して説明する。図11は、半導体発光素子搭載用パッケージ1aの製造方法の各工程の形態を示すものである。なお、本製造方法では、シリコン基板10の結晶面方位は{100}とする。
<工程a:凸部40の形成>
シリコン基板10aを準備する。シリコンの異方性エッチングを用いてシリコン基板10aに凸部40を形成する。異方性エッチングには濃度40wt%の水酸化カリウム水溶液を用いる。マスク材にはシリコン窒化膜とシリコン酸化膜との積層膜を用い,本マスクのパターン形成にはホトリソグラフィを適用する。マスク材のエッチングにはRIE(Reactive Ion Etching)を適用する。このような加工方法を用いて形成した凸部40の側面(斜面)とシリコン基板10aの表面または裏面となす角度は54.7度である。最後にその表面にシリコン酸化膜28aを熱酸化法により形成する。
<工程b:トレンチ貫通孔92a、92bを形成>
シリコンのICP(Inductively Coupled Plasma)ドライエッチングによりトレンチ貫通孔92a、92bを形成する。シリコンのICPドライエッチングのためのマスク材としては,アルミニウム薄膜を適用する。アルミニウム薄膜のエッチングには、りん酸と酢酸との混合水溶液を用いる。ホトリソグラフィを用いてアルミニウムのマスクパターンを形成する。これをマスクとしてシリコンを貫通ドライエッチングする。その後,熱酸化法にてシリコン基板10aの表面にシリコン酸化膜28aを形成する。このとき,トレンチ貫通孔92a、92bの内部の表面にもシリコン酸化膜28aが形成される。
<工程c:電極の形成>
めっきによりトレンチ貫通孔92a、92b内部を金属材料で充填する。または,溶融金属をトレンチ貫通孔92a、92bに流し込み,その内部を金属材料で充填する。金属の材料としては,金(Au),Au/Sn,Cuが適している。金属材料充填後,必要性に応じてCMP(Chemical Mechanical Polishing)を施し,シリコン基板10aの面平坦性を確保する。このようにして貫通配線26a、26bを形成する。次に,薄膜電極24a、24bそして薄膜電極25a、25bをそれぞれ形成する。これらを構成する材料としては,Au/Cr薄膜,Au/Ti薄膜,Au/Pt/Ti薄膜で構成された積層膜がよい。その他に,Al薄膜でもよい。これらの材料以外の薄膜の組合せでもよく,必ずしも上記の薄膜に限るわけではない。薄膜の成膜方法としては,真空蒸着法またはスパッタ法を用いる。薄膜電極24a、24bおよび薄膜電極25a、25bのパターン形成には,ホトリソグラフィを用いる。この場合,レジストをマスクとして用い,成膜した薄膜のエッチングにはウエットエッチングまたはイオンミリングによるドライエッチングを用いる。レジストを塗布する方法としては,スピンコーターによるスピン塗布方法が一般的であるが,シリコン基板10aには凸部40が工程aで形成されているので,スプレーによる噴霧レジストを塗布する手段であるスプレー塗布方法を適用するほうがより適している。なぜなら,スプレー塗布方法を採用すれば,凸部40の側面を均一な厚みのレジストで覆うことが可能であるからである。
<工程d:反射膜42の形成>
シリコン基板10aの薄膜電極24a、24bが形成された面に反射膜42の材料であるアルミニウム薄膜をスパッタ法または真空蒸着法により成膜する。そして、ホトリソグラフィにより成膜されたアルミニウム薄膜のパターン形成を行い、凸部40の側面に反射膜42を形成する。このとき、レジストの塗布方法としてはスプレー塗布方法を適用する。またアルミニウム薄膜のエッチングは工程bで説明したエッチング溶液を用いる。なお,上記では反射膜42の材料としてアルミニウム薄膜を挙げたが、金薄膜や銀薄膜を用いて反射膜42を構成しても同様な効果を期待できる。
<工程e:貫通孔12aの形成>
シリコン基板10aよりも厚さが大きいシリコン製のリフレクタ基板14aを準備する。この基板の結晶面方位は{100}である。SFガスを用いたRIEにてリフレクタ基板14aを等方性エッチングし,貫通孔12aを設ける。等方性エッチングであるので貫通孔12aの側面は図のように丸まった形状となる。RIEのマスク材としては,アルミニウム薄膜を用いる。貫通孔12aを形成後,マスクとなるアルミニウム薄膜は剥離される。このような手順で貫通孔12aを備えたリフレクタ基板14aが製作される。
<工程f:反射膜16aの形成>
貫通孔12aの側面に反射膜16aを設ける。貫通孔12aの側面にのみアルミニウム薄膜をスパッタ法または真空蒸着法により成膜する。このときメタルマスク法を用い,貫通孔12aの側面以外が露出しないようにカバーし,アルミニウム薄膜を成膜する。なお,反射膜16aの材料としてアルミニウム薄膜を挙げたが,金薄膜や銀薄膜を用いて反射膜16aを構成しても同様な効果を期待できる。
<工程g:薄膜ガラス22の形成>
シリコン基板10aの凸部40が設けられた面に薄膜ガラス22を形成する。薄膜ガラス22の形成方法は,次の手順を採用する。第一にホトリソグラフィにより,シリコン基板10aの凸部40が形成された面にポジ型のレジストパターンを形成する。このレジストパターンは薄膜ガラス22の形状を反映する。レジストの塗布方法としては,スプレー塗布法を利用する。第二に真空蒸着法またはスパッタ法により薄膜ガラスを構成する4%程度のNaOを多く含むガラス(例えば,ホウケイ酸ガラス)をシリコン基板10aの凸部40が形成された面に成膜する。最後に,リフトオフ法を用いてレジストパターンを剥離し薄膜ガラス22を形成する。
<工程h:陽極接合>
薄膜ガラス22が形成されたシリコン基板10aと貫通孔12aが形成されたリフレクタ基板14aとを陽極接合により接合する。接合条件は,温度200℃,印加電圧60Vである。
なお、第3の実施形態に示したガラス層70と突起72とを備えた構造は工程aにてこれらを形成すればよく,先の製造方法と基本的に同じプロセスにより製造できる。
次に、第3の実施形態の半導体発光素子搭載用パッケージ1cの製造方法について説明する。より具体的には、半導体発光素子搭載用パッケージ1cのサブマウント50に貫通配線58a、58bを形成する手法について図12及び図13を参照して説明する。
図12は、貫通配線58a、58bのための貫通孔116をサブマウント50にエッチングにより形成する各工程の形態を示す。
<工程a:シリコン基板110にトレンチ溝112を形成>
サブマウント50のエッチングマスクとして使用されることになるシリコン基板110を準備する。シリコン基板110の表面に熱酸化膜111を形成する。熱酸化膜111に対してホトリソグラフィによりエッチングを施すことにより、熱酸化膜111にマスクパターンを形成する。ここでのエッチングとしてRIE(Reactive Ion Etching)を適用すればよい。熱酸化膜111のマスクパターンをマスクとして、シリコン基板110に対してドライエッチングを施すことにより、トレンチ溝112が形成される。トレンチ溝112は、シリコン基板110の表面から厚み方向に凹んで形成された2つの溝であり、シリコン基板110に離間して形成される。なお、ドライエッチングとしてDRIE(Deep Reactive Ion Etching)を適用すればよい。
<工程b:トレンチ溝112内に酸化膜を形成>
工程aによりシリコン基板110に形成された熱酸化膜111を剥離する。剥離する処理として、BHF(HF+NHFの混合水溶液)を適用すればよい。次いで、シリコン基板110に熱酸化膜を形成する。次いで、熱酸化膜のうち、シリコン基板110のトレンチ溝112を除いた面の熱酸化膜だけを除去することにより、熱酸化膜113を形成する。
<工程c:貫通孔形成>
工程bにより処理されたシリコン基板110に対し、TMAH水溶液(テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイト)、又はKOH水溶液(水酸化カリウム水溶液)によりエッチングを施すことにより、シリコン基板110に孔114を形成する。このときのエッチング処理は、トレンチ溝112の底面の熱酸化膜113が露出するまで継続される。したがって、シリコン基板110の厚み方向を貫通する2つの孔114が形成される。このように孔114が形成されたシリコン基板110は、シリコンマスク115として用いられる。
<工程d:陽極接合>
工程cにより形成されたシリコンマスク115の熱酸化膜113を除去する。このシリコンマスク115を板形のサブマウント50に重ねて接合する。なお、本例では、サブマウント50の材料として、シリコンマスク115と陽極接合が可能なホウケイ酸ガラスを用いている。また、接合方法として陽極接合を適用すればよいし、その接合条件として温度300度及び電圧300ボルトが望ましい。
<工程e:サブマウント50に貫通孔を形成>
工程eにより接合処理されたサブマウント50に対してドライエッチングを施すことにより、サブマウント50に貫通孔116を形成する。貫通孔116は、シリコンマスク115の孔114に対応して、サブマウント50の厚み方向を貫通して形成されている。ここでのエッチングガスとして、例えば、Cガス、CHFガス、Arガス、Cガスを適宜組み合わせて使用できる。また、サブマウント50の表面に対しておよそ垂直なトレンチ貫通孔(側壁の角度としては例えば75度〜90度)としての貫通孔116を形成するために、エッチングを施す際の周囲環境を低圧ガス雰囲気にするのが好ましい。
<工程f:シリコンマスク50の除去>
工程eでマスクとして使用したシリコンマスク115をエッチングにより除去する。ここでのエッチング溶液としては、例えばKOH水溶液またはTMAH水溶液を用いればよい。本工程の処理が完了することにより、2つの貫通孔116が形成されたサブマウント50を得ることができる。
図13は、図12の貫通孔116に導電性材料としての金属材料をめっき処理により充填する各工程の形態を示す。
<工程a:めっき用ベース基板の形成>
めっき用ベース基板として使用されることになるダミーのシリコン基板117を準備する。シリコン基板117の表面に、スピンコートによりPDMS(polydimethylsiloxane)膜118を成膜する。より具体的には、PDMS膜118は、膜厚が例えば100μmでシリコン基板117の表面に塗布されて形成される。このシリコン基板117に対してスパッタまたは蒸着を施すことにより、PDMS膜118に重ねてAu膜119を成膜する。Au膜119は、膜厚が例えば10nm程度の非常に薄い膜である。要するに、シリコン基板117、PDMS膜118、Au膜119の三層構造を形成する。また、他の手段としては、前記三層構造に代えて、導電性のゴム材を用いてもよいし、シリコン基板117の上に導電性のゴム材を形成してもよい。これらを用いても、An膜、PDMS膜が形成されたシリコン基板117と同様の効果が得られる。
<工程b:サブマウント50とシリコン基板117との密着>
工程aにより処理されたシリコン基板117に、充填用ガラス基板としてのサブマウント50上を重ねて密着する。例えば、シリコン基板117のAu膜119側の表面にサブマウント50を密着させつつ、その密着を保持する治具によりシリコン基板117とサブマウント50の外周を挟んで固定する。なお、本工程により、シリコン基板117とサブマウント50との間に、PDMS膜118とAu膜119が挟まれることになる。また、サブマウント50は、図12の各工程により貫通孔116が形成されたものである。
<工程c:めっき処理>
工程bによりシリコン基板117に積層されたサブマウント50に対し、Auのめっき液を用いた電気めっきを施す。このめっき処理により、サブマウント50の貫通孔116内でAuの金属膜120が成長するため、貫通孔116がAuで充填される。より具体的には、貫通孔116の底面に臨んでいるAu膜119がめっきのシード層として作用する。したがって、金属膜120は、貫通孔116の底面を基にしてサブマウント50の厚み方向に成長する。なお、金属膜120は、貫通孔116の頂部の開口から凸形にはみ出している。また電気めっきの処理の際は、Au膜119に電極端子が接続される。
<工程d:シリコン基板117の除去>
工程cの処理が完了した後、めっき用ベース基板として用いられたダミーのシリコン基板117をサブマウント50から取り外す。
<工程e:サブマウント50の研磨>
工程cの処理により形成された金属膜120は、貫通孔116の頂部の開口から凸形にはみ出している。したがって、金属膜120のはみ出した凸部に対し、CMPでポリッシングを施すことにより、サブマウント50の表面を平坦化する。本工程の処理が完了することにより、2つの貫通孔116に金属膜120が充填されたサブマウント50を得ることができる。換言すれば、サブマウント50に貫通配線58a、58bが形成される。
図12及び図13を参照して説明した例では、サブマウント50の材料としてホウケイ酸ガラスを用いたが、石英ガラスを用いた場合でも同様な考え方を適用できる。例えば、図12の工程dにおいて、石英ガラスからなるサブマウント上に、ドライエッチング用のマスク材としてのシリコンマスク115を直接接合すればよい。すなわち、本工程dの陽極接合に代えて、直接接合を適用することにより、サブマウントの材料として石英ガラスを用いることができる。また、石英ガラスからなるサブマウントに無機材料接着剤を塗布することにより、サブマンとシリコンマスク115を接合してもよい。
図12及び図13に示した手法によれば、ガラス基板としてのサブマウント50上に、厚みが比較的大きいシリコンマスク115を容易に形成できる。したがって、シリコンマスク115は、サブマウント50のドライエッチングマスクとして適したものになり、サブマウント50に貫通配線58a、58bを形成するのが簡単になる。
一般に、ガラス基板のドライエッチングには選択比が十分高いエッチングマスクは存在せず、選択比が比較的高いとして知られているものは、ポリシリコン膜またはシリコン膜の例えば20である。しかし、選択比が20程度の場合、例えば厚さ300μmのガラス基板を貫通エッチングするためには、ガラス基板上に膜厚15μmのポリシリコン膜を形成する必要がある。膜厚15μmのポリシリコン膜を従前の半導体製造装置により形成しようとすると、例えば応力の緩和という大きな問題が生じるため、そのポリシリコン膜の形成が困難となる。この点、本実施形態の手法によれば、応力の問題を気にせずにガラス基板上に厚みが十分大きいマスク材を容易に形成できる。
また、貫通配線58a、58bは、サブマウント50を厚み方向に貫通する貫通孔116に金属膜120が充填して形成される。したがって、本手法のように貫通孔を形成した後に、その貫通孔に導電性材料を充填する手順が適切となる。
なお、サブマウント50について補足する。サブマウント50は、透明基板であり、図5又は図13に示すように貫通配線58a、58bが形成される。したがって、サブマウント50の材料としては、例えば、熱膨張係数が例えば33×10−7/℃でシリコン基板2の熱膨張係数(23.3×10−7)に近く、またNaOの含有率が例えば4%で、さらにシリコン基板との陽極接合が可能なガラスが好ましい。より具体的には、コーニング社製の#7740ガラスに代表されるホウケイ酸ガラスが好ましい。また、ホウケイ酸ガラスのほか、サブマウント50の適切な材料として石英ガラスを用いることができる。
本発明を適用した第1の実施形態の半導体発光素子搭載用パッケージの斜視図である。 図1のa―a´断面を示す図である。 本発明を適用した第2の実施形態の半導体発光素子搭載用パッケージの斜視図である。 図2のb−b´断面を示す図である。 本発明を適用した第3の実施形態の半導体発光素子搭載用パッケージの第一の例を示す断面図である。 本発明を適用した第3の実施形態の半導体発光素子搭載用パッケージの第二の例を示す断面図である。 本発明を適用した第3の実施形態の半導体発光素子搭載用パッケージの第三の例を示す断面図である。 本発明を適用した第3の実施形態の半導体発光素子搭載用パッケージの第四の例示す断面図である。 本発明を適用した実施形態の照明装置に実装される半導体発光装置の上面図である。 本発明を適用した第1の実施形態の半導体発光素子搭載用パッケージの製造プロセスを説明するためのフロー図である。 本発明を適用した第2の実施形態の半導体発光素子搭載用パッケージの製造プロセスを説明するためのフロー図である。 本発明を適用した第3の実施形態の半導体発光素子搭載用パッケージの第一の例のサブマウントの製造方法において、エッチング手法に関して説明するためのフロー図である。 本発明を適用した第3の実施形態の半導体発光素子搭載用パッケージの第一の例のサブマウントの製造方法において、金属充填手法に関して説明するためのフロー図である。
符号の説明
1 半導体発光素子搭載用パッケージ
10 シリコン基板
12 貫通孔
14 シリコン製のリフレクタ基板
16 反射膜
18 溝
20 反射膜
30a 放熱部
40 凸部
42 反射膜
50 サブマウント
52 発光素子
53 V字型溝
70 ガラス層
72 突起
89 半導体発光装置

Claims (9)

  1. 半導体発光素子が搭載される領域を有する第一のシリコン基板と、前記半導体発光素子が搭載される領域よりも大きい開口の貫通孔を有し、前記第一のシリコン基板に積層された第二のシリコン基板と、前記貫通孔の内面に形成された反射膜とを備え、
    前記第一のシリコン基板は、前記半導体発光素子の搭載領域を包囲する溝が表面に形成され、該溝の内面に反射膜が形成されてなることを特徴とする半導体発光素子搭載用パッケージ。
  2. 半導体発光素子が搭載される領域を有する第一のシリコン基板と、前記半導体発光素子が搭載される領域よりも大きい開口の貫通孔を有し、前記第一のシリコン基板に積層された第二のシリコン基板と、前記貫通孔の内面に形成された反射膜とを備え、
    前記第一のシリコン基板は、前記半導体発光素子の搭載領域が凸形に表面に形成され、前記半導体発光素子の搭載領域の側面に反射膜が形成されてなることを特徴とする半導体発光素子搭載用パッケージ。
  3. 半導体発光素子が搭載される領域を有する第一のシリコン基板と、前記半導体発光素子が搭載される領域よりも大きい開口の貫通孔を有し、前記第一のシリコン基板に積層された第二のシリコン基板と、前記貫通孔の内面に形成された反射膜とを備え、
    前記第一のシリコン基板は、前記半導体発光素子の搭載領域が凸形に形成されると共に前記半導体発光素子の搭載領域を包囲する溝が表面に形成され、前記半導体発光素子の搭載領域の側面および前記溝の内面に反射膜が形成されてなることを特徴とする半導体発光素子搭載用パッケージ。
  4. 前記第一のシリコン基板は、前記半導体発光素子の搭載領域よりも外側表面に反射膜が形成されてなることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の半導体発光素子搭載用パッケージ。
  5. 前記半導体発光素子が搭載される領域に、光透過性を有する材料から形成された光導波層が積層され、前記光導波層に厚み方向に対して傾斜した反射面が形成されてなることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の半導体発光素子搭載用パッケージ。
  6. 前記第一のシリコン基板は、前記第二のシリコン基板が積層される側の反対面に、厚み方向に凹凸形に形成された放熱手段を有することを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の半導体発光素子搭載用パッケージ。
  7. 請求項1乃至6のいずれかに記載の半導体発光素子搭載用パッケージを複数配列してなる光源を有することを特徴とする照明装置。
  8. 半導体発光素子が搭載される第一のシリコン基板を準備する工程と、前記第一のシリコン基板の表面に前記半導体発光素子の搭載領域を包囲する溝を化学エッチング処理により形成する工程と、前記溝の内面に反射膜を形成する工程と、
    第二のシリコン基板を準備する工程と、前記第二のシリコン基板に前記溝の外形よりも大きい貫通孔を形成する工程と、前記貫通孔の内面に反射膜を形成する工程と、前記半導体発光素子の搭載領域および前記溝を前記貫通孔の開口に位置させて前記第二のシリコン基板を前記第一のシリコン基板に積層する工程を備えた半導体発光素子搭載用パッケージの製造方法。
  9. 半導体発光素子が搭載される第一のシリコン基板を準備する工程と、前記第一のシリコン基板の表面に前記半導体発光素子の搭載領域を化学エッチング加工により凸形に形成する工程と、前記半導体発光素子の搭載領域の側面に反射膜を形成する工程と、
    第二のシリコン基板を準備する工程と、前記第二のシリコン基板に前記半導体発光素子の搭載領域よりも大きい開口の貫通孔を形成する工程と、前記貫通孔の内面に反射膜を形成する工程と、前記半導体発光素子の搭載領域を前記貫通孔の開口に位置させて前記第二のシリコン基板を前記第一のシリコン基板に積層する工程を備えた半導体発光素子搭載用パッケージの製造方法。
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