JP5350809B2 - 予備処理槽を備えた排ガス処理装置 - Google Patents
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Description
そこで本発明は、処理槽交換時等であっても、排ガス中の被処理ガスの処理を継続でき、かつ従来の2筒の処理槽を備える排ガス処理装置よりも設置スペースを必要としない排ガス処理装置を提供することを目的とする。
図1に示すように、予備処理槽21はその容量が主処理槽11の容量よりも小さい小型の処理槽である。例えば、主処理槽11の容量が33Lの場合、予備処理槽21の容量はその約6分の1にあたる5〜6Lであることが好ましい。
なお、予備処理槽21に充填する処理剤によっては、予備処理槽21内の温度を上昇させる必要がある。その場合は、予備処理槽21の外周にヒーター(不図示)を有してもよい。また、主処理槽11および予備処理槽21は、第1の処理剤12および第2の処理剤22を充填し排ガスを通過させることができればよく、必ずしも円筒状でなくてもよい。
また、排ガス処理装置10aは、配管51と配管52の合流点72の下流側で再び配管51から分岐し配管51と合流する配管53を備える。配管53上には、予備処理槽21が設置される。つまり、配管53は、排ガスを予備処理槽21に流入させ予備処理槽21内を通過し流出した排ガスを再び配管51に戻す。
バルブ31は、主処理槽11内への排ガスの流入を開始/停止させ、バルブ32は、主処理槽11からの排ガスの流出を開始/停止させる。また、バルブ33は、主処理槽11の下流側において配管51内の排ガスの流れを開始/停止させる。バルブ34は、主処理槽11をバイパスする配管52内の排ガスの流れを開始/停止させる。バルブ35は、予備処理槽21内への排ガスの流入を開始/停止させ、バルブ36は、予備処理槽21からの排ガスの流出を開始/停止させる。
なお、通常は主処理槽11で排ガスの処理を行うため、バルブ31、32、33を開け、バルブ34、35、36を閉じる。そのため、図1では、バルブ31、32、33を白色で示し、バルブ34、35、36を黒色で示している。
なお、排ガス処理装置10aの形成材料は特に制限されず、ニッケル系合金などこの種のガス処理装置に通常用いられる材料を適宜用いることができる。
SiF4+2CaO → 2CaF2+SiO2
これらのアルカリ剤を用いると、Al2O3とCaOの複合酸化物を用いた場合の処理温度(650〜750℃)よりも低い500℃近傍でも十分に酸性ガスを分解処理することができる。しかし、これらのアルカリ剤を用いた場合は、予備処理槽21に処理槽内の温度を昇温、降温させるヒーター23(図4参照)を備えることが好ましい。なお、予備処理槽21は小型のため、処理槽の昇温、降温を容易に行うことができる。
これらのアルカリ剤を用いることにより、人体に有害な酸性ガスのうち、SiF4、HFやF2などを除去できる。
さらに、第2の処理剤22として金属酸化物(例えばF2O3)を用いることもできる。金属酸化物を用いると、常温で酸性ガスを除去することができる。
なお、主処理槽11内の第1の処理剤12が破過した後、主処理槽11の交換前に主処理槽11を冷却する間は、バルブ31、32、35、36を開け、バルブ33、34を閉じ、排ガスを主処理槽11および予備処理槽21の両方に導入してもよい。このようにすると、主処理槽11を冷却しつつ主処理槽11の余熱と第1の処理剤12の余力で被処理ガスを処理し、さらに予備処理槽21で酸性ガスを処理できる。よって、予備処理槽21の第2の処理剤22の寿命を長くすることができる。さらに、主処理槽11の余熱を使用しているため、予備処理槽21を加熱する必要がある場合、予備処理槽21の有するヒーター(例えば図4のヒーター23)の出力を少なくすることができる。
さらに、本発明の第1の実施の形態に係る排ガス処理装置10aでは、予備処理槽21に充填する第2の処理剤22は、主処理槽11において処理される被処理ガスの中から選択したガスに特化した処理剤を充填することができる。そのため、排ガス処理装置10aの上流側に位置する半導体製造装置等(不図示)から排出されるガスの種類が異なる場合(例えば種々のエッチング装置から排出される場合等)であっても、排出されるガスに合わせて選択的に処理剤を充填することができる。
なお、排ガス処理装置10aの運転時には、例えば、主処理槽11にAl2O3とCaOの複合酸化物の他にアルカリ剤を充填し、予備処理槽21にアルカリ剤を充填すると、主処理槽11における酸性ガスの処理能力をあげることができる。このように、主処理槽11または予備処理槽21に複数種類の処理剤を充填し、主処理槽11で処理する複数種類の被処理ガスのうち、その一部の種類のガスを予備処理槽21で処理してもよい。
また、排ガス処理装置10bは、切替装置としてのバルブ31、32、35、36を備える。バルブ31は、配管54上であって、配管54と配管55の分岐点75と、主処理槽11の間に配置される。バルブ32は、配管54上であって、配管54と配管55の合流点76と、主処理槽11の間に配置される。バルブ35は、配管55上であって予備処理槽21の上流側に配置される。バルブ36は、配管55上であって予備処理槽21の下流側に配置される。
排ガス処理装置10bにおいて排ガス中の被処理ガスを処理する場合、通常はバルブ31、32を開け、バルブ35、36を閉じ、ガス吸引装置41により排ガスを配管54に通して主処理槽11のみに導入し被処理ガスを処理する。主処理槽11から排出される排ガスは、配管54を通り排出される。第1の処理剤12の処理能力が衰え、処理槽11の交換が必要になったら、バルブ31、32を閉じ、バルブ35、36を開け、排ガスを配管54から分岐した配管55を通して予備処理槽21に導入し処理を継続させる。予備処理槽21から排出される排ガスは、配管55および配管55と合流する配管54を通り排出される。主処理槽11の交換が終了し、主処理槽11内の温度を処理に適した温度(650℃以上)まで加熱したら、バルブ31、32を開け、バルブ35、36を閉じ、主処理槽11での処理を再開する。
また、排ガス処理装置10cは、熱交換機92を備える。熱交換器92は、主処理槽11の上流側であって処理前排ガスが流れる配管56と、主処理槽11の下流側であって処理済の排ガスが流れる配管56を二重管熱交換し、主処理槽11に流入する排ガス(処理前排ガス)を予熱し、また処理済の排ガスを冷却する。
さらに、排ガス処理装置10cは、切替装置としてのバルブ31、32、35、36、40を備える。バルブ31は、配管56上であって、配管56と配管61の分岐点83と、主処理槽11の間に配置される。バルブ32は、配管56上であって、配管56と配管57の分岐点77と、主処理槽11の間に配置される。バルブ35は、配管57上であって予備処理槽21の上流側に配置される。バルブ36は、配管57上であって予備処理槽21の下流側に配置される。バルブ40は、配管61上に配置される。
配管56は、主処理槽11内に排ガスを流入させ、主処理槽11を通過した排ガスを流出させる。配管57は、分岐点77で配管56から分岐し、予備処理槽21内に排ガスを流入させ、予備処理槽21を通過した排ガスを流出させ、合流点78で配管56に合流する。配管61は、分岐点83で配管56から分岐し、排ガスを予備処理槽21内に流入させる。
また、排ガス処理装置10dは、主処理槽11の下流側でありかつ合流点80より上流側で配管58から分岐(分岐点81)し、予備処理槽21の上流側で配管59と合流(合流点82)する配管60を備える。つまり、配管58、配管60および配管59により、主処理槽11と予備処理槽21は排ガスの流れに対して直列に配置され、主処理槽11が上流側に予備処理槽21が下流側に配置される。
なお、バルブ38を閉じ、バルブ37を開け、主処理槽11と予備処理槽21を直列に配置し、主処理槽11を通過した排ガスをさらに予備処理槽21(ヒーター23:オフ)に導入してもよい。このようにすると、主処理槽11交換時のバルブの開閉の手間を省くことができる。
なお、予備処理槽21の交換は主処理槽11の交換に合わせて引続き行い、予備処理槽21を常に処理能力を十分に有する状態にしておくことが好ましい。
または、平均粒子径(メディアン径)60μm以上160μm以下のAl(OH)3と、Ca(OH)2とのモル比が3:7〜5:5である混合物を430℃以上890℃以下の温度範囲で、窒素流又は空気流中で焼成することにより得られるAl2O3とCaOの複合酸化物が用いられる。なお、焼成温度は、排ガスを処理する処理温度と同程度かそれより低くすることが好ましい。
Al2O3とCaOの複合酸化物の原材料であるAl(OH)3は、その平均粒子径が55μm以上、好ましくは60μm以上160μm以下、より好ましくは90μm以上120μm以下である。ここで、平均粒子径とは、メディアン径を意味し、粒子径ごとに頻度(含有量)を積算し、含有量の累積が最小粒子径からはじめて50%になる点での粒子径である。なお、メディアン径の測定では、レーザ回折・散乱法を使用し、体積基準でD50を測定する。その他の測定方法として、ガス吸着法による比表面積/細孔分布測定、水銀圧入法による細孔分布測定、定容積膨張法による乾式密度測定を用いても良い。
Al2O3とCaOの複合酸化物は、上記混合物を430℃以上890℃以下の温度範囲、好ましくは580℃〜850℃、より好ましくは650℃〜780℃の温度範囲で、窒素流又は空気流中で焼成することにより得られる。
また上記の製法により得られるAl2O3とCaOの複合酸化物は、その水分含量が5wt%よりも低いことが好ましく、0.8wt%以上5wt%以下であることがより好ましく、1.5wt%以上3.5wt%以下であるとさらに好ましい。なお、最も好ましくは、2.7wt%以下である。水分含量が高くなると、後述するようにCF4除去率が低下する。従来、水分含量が高いほどCF4除去率は高くなると考えられており、フッ素含有被処理物の処理時には水分を添加していたことを考え合わせると、このPFC分解処理剤において水分含量が少ないほどCF4除去率が高くなるという知見は特異的である。
Al2O3とCaOの複合酸化物は、以下のように酸素を介して緩やかに結合していると考えられる。
CF4→C+4F
の分解反応が進み、(O_Ca)部分からの酸素(O)とカルシウム(Ca)とにより
C+2O→CO2
4F+2Ca→2CaF2
の酸化還元反応が進むと考えられる。
[試験例1]
以下の調製例は、いずれも発生する水分を焼成容器内から速やかに排出させ、Al(OH)3とCa(OH)2との混合物と水分との接触を回避する調製方法を採用した。
ム(寸法:径150mm×高さ850mm)に、Al(OH)3とCa(OH)2との混合物(Al(OH)3の平均粒子径90μm、Ca(OH)2の平均粒子径5μm、Al(OH)3とCa(OH)2との配合割合3:7)14Lを充填して、カラム内部に多量の水蒸気が滞留しないようにN2流量:50L/minを上向流と下向流とで与えた。外部ヒーターの温度を調整して、最初にN2上向流を5〜6時間流してAl(OH)3とCa(OH)2との混合物層のうち上層の半分を420℃以上で焼成し、次にN2下向流を2〜3時間流してAl(OH)3とCa(OH)2との混合物層のうち下層の半分を420℃以上に焼成した。
なお、上記調整方法において、Al(OH)3とCa(OH)2のモル比は3:7であり、焼成により得られた試料は、表1の試料No.1−1である。
得られたPFC分解処理剤(表1の試料No.1−3)のXRD分析チャートを図10に示す。上段のピークデータは得られたPFC分解処理剤(試料No.1−3)の生データからの解析ピークであり、下段のカードピークはライブラリーデータからのCaOの特性ピークである。得られたPFC分解処理剤(試料No.1−3)のピークはCaOのライブラリーデータピークと完全に一致する。参考として図11に結晶性アルミナの標準X線回折スペクトルを示すが、上記で得られたPFC分解処理剤(試料No.1−3)にはAl2O3の特性ピークが見られない。また、後述する比較例のXRDチャートではCa(OH)2のピークが観察されることとの対比から、Ca(OH)2は全量が焼成によりCaOに変化しているといえる。これらのことから、PFC分解処理剤には、焼成により発生する水分がすべて除かれ、水熱反応が進まないため、結晶性Al2O3が生じていないと考えられる。すなわち本PFC分解処理剤は、非晶質のAl2O3とCaOの複合酸化物である。
[PFC分解処理剤2]
図7に示すように、箱体の内部に収納棚を有する直接燃焼炉を用いて、各収納棚にAl(OH)3とCa(OH)2との混合物を厚さ10mmに広げて20kgとなるように充填し、空気を20m3/minで流し、100℃/hrの昇温速度で6時間かけて600℃まで昇温させ、さらに600℃で6時間焼成し、PFC分解処理剤2を得た。得られたPFC分解処理剤2の水分含有率は2.8wt%であった。
[PFC分解処理剤3]
図16に示すようにロ−タリキルンは片側に投入口を設け、反対側に排出口を設けた円筒形の内筒(径約60cm×長さ4〜5m)を有し、これの下側の半周に内筒に接することなく、隙間を設けてヒ−タ−を設置している。内筒は投入口から排出口に向かって緩やかな下降傾斜があり、内筒を回転させることで、投入した剤を排出口に移動させている。移動する間に、剤はヒ−タで加熱された内筒の内側で、間接的に加熱される。内筒の中にはガスの強制送気は行わず、内部で発生したガスの上昇気流により、大気が排出口から自然吸引され、剤の流れとは逆方向に排気される構造となっている。このようなロ−タリ−キルンに、Al(OH)3とCa(OH)2との混合物(Al(OH)3の平均粒子径90μm、Ca(OH)2の平均粒子径5μm、Al(OH)3とCa(OH)2とのモル比での混合割合3:7)を20kg/minの量で投入し、620℃±20℃で約1時間焼成して、PFC分解処理剤3を得た。ロータリーキルンを用いて間接的に加熱することによって燃料から発生するCO2の過吸着を避けた。得られたPFC分解処理剤3の水分含有率は2.6wt%であった。
[PFC分解処理試験]
[PFC分解処理剤1]でミニカラムにより焼成したPFC分解処理剤(表1の試料No.1−3)を図8に示すガス処理装置に充填し、ここにCF4、C4F8、CHF3、CO、COF2、SiF4、HF、F2を含む模擬ガスを通ガスした。図8に示すガス処理装置は、カラム外周と中心部にヒーターを具備し、焼成カラム内を均一な温度に昇温しやすく構成されている。PFC分解処理剤層の処理温度は750℃に制御し、排ガス流量は150L/minとした。
[比較例1]
図13に、試料No.5についてのXRD分析チャートの例を示す。CaOとCa(OH)2のピークが観察された。
[試験例2]
[試験例3]
[試験例4]
表8より、PFC分解処理剤は、未焼成の対照混合物と異なり実排ガス処理中に水分を発生せず、F吸着量(CF4処理量)で約2倍強の処理を行うことができたことがわかる。
[試験例5]
Na含有量とCF4処理性能の関係を求めるため、PFC分解処理剤を次の条件で焼成し、Na含有量の異なる処理剤を調製した。表9に、Na含有量の異なるPFC分解処理剤による処理能力の比較を示す。PFC分解処理剤は、Al(OH)3の平均粒子径90μm、Ca(OH)2の平均粒子径5μmを、Al(OH)3とCa(OH)2との配合比率3対7として混合し、ミニカラム(径22mm×高さ300mm)に充てんし、これをセラミックス製管状炉に装着し、N2 410mL/minを送気しながら、600℃で5時間焼成した。これらPFC分解処理剤の各49mLを図9に示すガス処理システム(ただし、ミニカラムは1筒目だけとした)のミニカラムに充てんし、CF4 流入濃度:1.0%、ガス流量:410mL/min、処理温度:750℃で3〜4時間通ガスした後に、窒素のみで410mL/min、750℃で加熱し、再度CF4流入濃度:1.0%、ガス流量:410mL/min、処理温度:750℃で、CF4除去率が95%に低下するまでの処理時間を求めた。Na含有量が少ないほど処理時間が長くなる傾向があり、Na含有量とCF4処理性能の間に相関がみられた。
t%以下、より好ましくは0.01wt%以下である。このような処理剤を得るために、原料として、0.03wt%以下、好ましくは0.01wt%以下のNaを含むAl(OH)3と、0.03wt%以下、好ましくは0.01wt%以下のNaを含むCa(OH)2を用いるとよい。
11 主処理槽
12 第1の処理剤
13 ヒーター
21 予備処理槽
22 第2の処理剤
23 ヒーター
31〜40 切替装置、バルブ
41 ガス吸引装置、エジェクタ
51〜61 配管
71、73、75、77、79、81、83 分岐点
72、74、76、78、80、82 合流点
91 破過検知装置、ガス検知器、CF4センサー
92 熱交換器
Claims (5)
- 処理剤が充填された処理槽に、被処理ガスを含む排ガスを通過させることにより前記被処理ガスを処理する排ガス処理装置であって;
前記排ガスを通過させる主処理槽と;
前記主処理槽に充填され、前記被処理ガスを処理する第1の処理剤と;
前記排ガスを通過させる、前記主処理槽よりも容量が小さい予備処理槽と;
前記予備処理槽に充填され、前記被処理ガスを処理する、前記第1の処理剤とは異なる第2の処理剤と;
前記排ガスの流れを前記主処理槽と前記予備処理槽との間で切り替える切替装置とを備え;
前記第1の処理剤は、非晶質Al2O3とCaOの複合酸化物を含む処理剤である、
排ガス処理装置。
- 前記第1の処理剤は、複数種類の前記被処理ガスを処理する処理剤であり;
前記第2の処理剤は、前記複数種類の被処理ガスのうちその一部の種類のガスを処理する処理剤である;
請求項1に記載の排ガス処理装置。 - 前記主処理槽または前記予備処理槽に導入される前記排ガスを予熱する共通の熱交換器を備える;
請求項1または請求項2に記載の排ガス処理装置。 - 前記第1の処理剤と第2の処理剤は、酸性ガスを処理する処理剤である;
請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の排ガス処理装置。 - 前記非晶質Al2O3とCaOの複合酸化物は、平均粒子径(メディアン径)55μm以上160μm以下のAl(OH)3と、Ca(OH)2とのモル比が3:7〜5:5である混合物を430℃以上890℃以下の温度範囲で、窒素流又は空気流中で焼成して得られる複合酸化物である;
請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の排ガス処理装置。
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