JP5350809B2 - 予備処理槽を備えた排ガス処理装置 - Google Patents

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Description

本発明は、排ガス処理装置に関する。特に予備の処理槽を備えることにより、主処理槽の交換時であっても継続処理が可能な排ガス処理装置に関する。
半導体や液晶パネルを製造する過程で使用する排ガス処理装置において、排ガス処理装置の処理槽に処理剤を充填し排ガスを通過させ、排ガス中に含まれる被処理ガスと処理剤を接触させることにより被処理ガスを処理する形態の装置では、処理槽に充填された処理剤を定期的に交換する必要がある。例えば、排ガス中に含まれる被処理ガスを、処理剤を用いて化学反応により分解除去する方法や、吸着剤(処理剤)により吸着除去する方法があるが、これらの方法で被処理ガスを処理する装置では、処理剤が破過(処理能力の終点に至ること)した段階で排ガス処理装置から処理槽を取り外し、処理槽自体を交換する。そのため、処理槽の交換中は排ガス処理装置を稼動させることができず、排ガスの流入を止めるかまたは排ガス中の被処理ガスを未処理の状態で放出させなければならない。特に、排ガス処理装置の上流側に位置する半導体や液晶パネルの製造装置、例えばエッチング装置等は、そのロットの処理が終了するまで運転を停止できない場合があり、その間は連続的に排ガスが排出される。また、排ガス処理装置の処理槽に充填される処理剤によっては処理槽内の温度を高温に保つ必要があり、処理槽内の温度の昇温、降温時は、同様に排ガスの流入を止めるかまたは排ガス中の被処理ガスを未処理の状態で放出させなければならない。
こうした問題を解決するため、例えば特許文献1に開示された排ガス処理装置では、2筒の処理槽を直列に接続し、排ガスの流れに対して上流側の処理槽内の処理剤が破過した場合であっても、下流側の処理槽で処理を継続させる。よって、上流側の処理槽交換時においても、排ガス処理装置を停止させることなく処理を継続でき、排ガス中の被処理ガスが未処理の状態で放出されることはない。
特開平7−185256号公報
ところが、実際の半導体や液晶パネルの製造工場では、排ガス処理装置の設置スペースに限りがあり、2筒の処理槽を有するようなより大型化した装置を設置できない場合がある。その場合には、処理槽を単槽にせざるを得ず、上記のように排ガス処理装置を停止しなければならない場合は、排ガスの流入を止めるかまたは排ガス中の被処理ガスを未処理の状態で放出させることを余儀なくされる。
そこで本発明は、処理槽交換時等であっても、排ガス中の被処理ガスの処理を継続でき、かつ従来の2筒の処理槽を備える排ガス処理装置よりも設置スペースを必要としない排ガス処理装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明の第1の態様に係る排ガス処理装置は、例えば図1に示すように、処理剤が充填された処理槽に、被処理ガスを含む排ガスを通過させることにより被処理ガスを処理する排ガス処理装置10aであって、排ガスを通過させる主処理槽11と、主処理槽11に充填され、被処理ガスを処理する第1の処理剤12と、排ガスを通過させる、主処理槽11よりも容量が小さい予備処理槽21と、予備処理槽21に充填され、被処理ガスを処理する、第1の処理剤12とは異なる第2の処理剤22と、排ガスの流れを主処理槽11と予備処理槽21との間で切り替える切替装置31〜36とを備える。なお、「異なる」とは、主処理槽11に充填された処理剤と予備処理槽21に充填された処理剤の種類が異なる場合の他、主処理槽11もしくは予備処理槽21に複数の種類の処理剤を充填した結果、処理剤の組合せが主処理槽11と予備処理槽21で異なる場合を含む。
このように構成すると、主処理槽の交換時等、主処理槽で処理が行えない場合であっても、切替装置で排ガスの流れを切り替え予備処理槽内に流入させることにより、継続して排ガス中の被処理ガスを処理することができる。例えば、予備処理槽内に有害ガス除外剤を充填すると、被処理ガスが有害ガスの場合でも未処理の状態で排出されることはない。さらに、主処理槽と予備処理槽に異なる処理剤を充填し同一の被処理ガスを処理する構成とすることにより、主処理槽に充填する処理剤が高価な場合でも、予備処理槽には安価な処理剤を充填できるため、排ガス処理装置のランニングコストを低減させることができる。その上、予備処理槽は主処理槽よりも容量が小さいため、排ガス処理装置の設置スペースを十分確保できない場合でも設置が可能になる。
本発明の第2の態様に係る排ガス処理装置は、上記本発明の第1の態様において、第1の処理剤12は複数種類の被処理ガスを処理する処理剤であり、第2の処理剤22は複数種類の被処理ガスのうちその一部の種類のガスを処理する処理剤である。
このように構成すると、第1の処理剤で処理される被処理ガスのうち、例えば未処理の状態で排出することができないガス(例えば人体に有害な酸性ガス)に特化した処理剤を予備処理槽に充填する等、予備処理槽で被処理ガスを選択的に処理することができる。
本発明の第3の態様に係る排ガス処理装置は、例えば図4に示すように、上記本発明の第1または第2の態様において、主処理槽11または予備処理槽21に導入される排ガスを予熱する共通の熱交換器92を備える。
このように構成すると、共通の熱交換器により、主処理槽の有する余熱を利用して、予備処理槽に導入する排ガスだけでなく、主処理槽に導入する排ガスも予熱することができる。なお、予備処理槽に用いる処理剤によっては予備処理槽の加熱が不要な場合もある。例えば予備処理槽にゼオライトまたは金属酸化物を用いた場合は、予備処理槽の加熱は不要である。その場合は、共通の熱交換器により、予備処理槽に導入する排ガスの有する熱が主処理槽に導入する排ガスに移動するため、結果として、予備処理槽に導入する排ガスを冷却する役目を果たす。
本発明の第4の態様に係る排ガス処理装置は、上記本発明の第1乃至第3のいずれか1の態様において、第1の処理剤12と第2の処理剤22は、酸性ガスを処理する処理剤である。
このように構成すると、第1の処理剤と第2の処理剤は異なる処理剤であるが、主処理槽で処理が行えない場合であっても、予備処理槽において酸性ガスを処理することができる。
本発明の第5の態様に係る排ガス処理装置は、上記本発明の第1乃至第4のいずれか1の態様において、第1の処理剤12は、AlとCaOの複合酸化物を含む処理剤である。
このように構成すると、第1の処理剤としてAlとCaOの複合酸化物を用いているため、排ガス中に含まれるPFCガスを効率よく分解処理することができる。なお、「PFC」とはパーフルオロ化合物を意味し、「パーフルオロ化合物」とはCFもしくはCなどのパーフルオロカーボン類、CHFもしくはCHなどのハイドロフルオロカーボン類、六弗化硫黄(SF)、または三弗化窒素(NF)のいずれかの化合物をいう。
本発明の第6の態様に係る排ガス処理装置は、上記本発明の第5の態様において、AlとCaOの複合酸化物は、平均粒子系(メディアン系)55μm以上160μm以下のAl(OH) と、Ca(OH) とのモル比が3:7〜5:5である混合物を430℃以上890℃以下の温度範囲で、窒素流又は空気流中で焼成して得られる複合酸化物である。
このようにすると、AlとCaOの複合酸化物の原材料であるAl(OH) の平均粒子系が適した値となり、Al(OH) とCa(OH) との混合比(モル比)および焼成時の温度が適正範囲内となるので、より処理効率のよいAlとCaOの複合酸化物を用いることができる。
本発明の排ガス処理装置では、主処理槽の交換時や、主処理槽内温度の昇温もしくは降温時等、主処理槽で排ガス中の被処理ガスの処理ができない場合であっても、予備処理槽を備えているため処理を継続できる。さらに、予備処理槽は主処理槽よりも容量が小さいため、排ガス処理装置が大型化することなく、設置スペースが限られる場合であっても設置が可能となる。
本発明の第1の実施の形態に係る排ガス処理装置10aの構成図(模式的縦断面図)である。 本発明の第1の実施の形態に係る排ガス処理装置10aの運転方法を説明するフロー図である。 本発明の第2の実施の形態に係る排ガス処理装置10bの構成図(模式的縦断面図)である。 本発明の第3の実施の形態に係る排ガス処理装置10cの構成図(模式的縦断面図)である。 本発明の第4の実施の形態に係る排ガス処理装置10dを用いた場合の、主処理槽交換時のフローを示す図であり、(a)は通常運転時における排ガスの流れを、(b)は第1の処理剤12が破過した後の排ガスの流れを、(c)は主処理槽11の降温が終了した後の排ガスの流れを示す図である。 PFC分解処理剤を調製するために使用する焼成装置の概略図である。 PFC分解処理剤を調製するために使用する別の態様での焼成装置の概略図である。 比較例1で用いたガス処理装置における試料の採取箇所を示す模式図である。 CF処理システムを示す概略図である。 PFC分解処理剤のXRD分析データである。 XRD分析による結晶性Alのライブラリーピークデータである。 PFC分解処理剤のフッ素固定を示すXRD分析データである。 比較例1で用いた対照系のXRD分析データである。 CF通ガス後の比較例1で用いた対照系のXRD分析データである。 CF通ガス後のAlとCaOの複合酸化物のXRD分析データである。 AlとCaOの複合酸化物の製造に使用するロータリーキルンの概略図である。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。なお、各図において互いに同一または相当する部材には同一あるいは類似の符号を付し、重複した説明は省略する。また、本発明は、以下の実施の形態に制限されるものではない。
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る排ガス処理装置10aの構成図(模式的縦断面図)である。図1を参照して排ガス処理装置10aの構成について説明する。なお、図1中の破線部は、排ガス処理装置10aのハウジング部分を示している。図1に示すように、排ガス処理装置10aは、第1の処理剤12を充填し排ガスを通過させる円筒状の主処理槽11を備える。主処理槽11はその外周に、主処理槽11内の温度を調節するためのヒーター13を有する。さらに、排ガス処理装置10aは、第1の処理剤12とは異なる第2の処理剤22を充填し排ガスを通過させる円筒状の予備処理槽21を備える。
図1に示すように、予備処理槽21はその容量が主処理槽11の容量よりも小さい小型の処理槽である。例えば、主処理槽11の容量が33Lの場合、予備処理槽21の容量はその約6分の1にあたる5〜6Lであることが好ましい。
なお、予備処理槽21に充填する処理剤によっては、予備処理槽21内の温度を上昇させる必要がある。その場合は、予備処理槽21の外周にヒーター(不図示)を有してもよい。また、主処理槽11および予備処理槽21は、第1の処理剤12および第2の処理剤22を充填し排ガスを通過させることができればよく、必ずしも円筒状でなくてもよい。
排ガス処理装置10aは、主処理槽11に排ガスを流入させ、主処理槽11内を通過した排ガスを流出させる配管51を備える。さらに、主処理槽11の上流側で配管51から分岐し主処理槽11の下流側で配管51と合流する配管52を備える。つまり、配管52は、排ガスの流れを主処理槽11からバイパスさせる。
また、排ガス処理装置10aは、配管51と配管52の合流点72の下流側で再び配管51から分岐し配管51と合流する配管53を備える。配管53上には、予備処理槽21が設置される。つまり、配管53は、排ガスを予備処理槽21に流入させ予備処理槽21内を通過し流出した排ガスを再び配管51に戻す。
さらに、排ガス処理装置10aは、切替装置としてのバルブ31〜36を備える。バルブ31は、配管51上であって、配管51と配管52の分岐点71と、主処理槽11の間に配置される。バルブ32は、配管51上であって、配管51と配管52の合流点72と、主処理槽11の間に配置される。バルブ33は、配管51上であって、配管51と配管53の分岐点73と合流点74の間に配置される。バルブ34は、配管52上に配置される。バルブ35は、配管53上であって予備処理槽21の上流側に配置される。バルブ36は、配管53上であって予備処理槽21の下流側に配置される。
バルブ31は、主処理槽11内への排ガスの流入を開始/停止させ、バルブ32は、主処理槽11からの排ガスの流出を開始/停止させる。また、バルブ33は、主処理槽11の下流側において配管51内の排ガスの流れを開始/停止させる。バルブ34は、主処理槽11をバイパスする配管52内の排ガスの流れを開始/停止させる。バルブ35は、予備処理槽21内への排ガスの流入を開始/停止させ、バルブ36は、予備処理槽21からの排ガスの流出を開始/停止させる。
なお、通常は主処理槽11で排ガスの処理を行うため、バルブ31、32、33を開け、バルブ34、35、36を閉じる。そのため、図1では、バルブ31、32、33を白色で示し、バルブ34、35、36を黒色で示している。
排ガス処理装置10aは、配管51と配管53の合流点74の下流側に、例えばブロワまたはエジェクタといったガス吸引装置41を備える。ガス吸引装置41は、排ガスを主処理槽11内および予備処理槽21内に導く。なお、合流点74とガス吸引装置41の間に、排ガス中に含まれる被処理ガスの除去効率を知るためのガス検知器(不図示)を設けてもよい。ガス検知器により、被処理ガスの除去効率を判断する指標となるガス(例えば処理されずに排出された被処理ガス、または、被処理ガスとは異なるが処理剤の能力が衰えてくるにつれて排出量が増加するガス等)の有無およびその濃度を測定する。
なお、排ガス処理装置10aの形成材料は特に制限されず、ニッケル系合金などこの種のガス処理装置に通常用いられる材料を適宜用いることができる。
主処理槽11には、第1の処理剤12としてAlとCaOの複合酸化物が充填される。AlとCaOの複合酸化物とは、本出願人によりすでに出願された発明(特願2008−071336)であり、排ガス中に含まれるPFCガスを分解しフッ素を回収するのに適した処理剤である。なお、PFCとは、パーフルオロ化合物を意味し、「パーフルオロ化合物」とはCFもしくはCなどのパーフルオロカーボン類、CHFもしくはCHなどのハイドロフルオロカーボン類、六弗化硫黄(SF)、または三弗化窒素(NF)のいずれかの化合物をいう。
AlとCaOの複合酸化物は、水酸化アルミニウム(Al(OH))と水酸化カルシウム(Ca(OH))の混合物を焼成することにより得られる化合物であり、PFCガスを分解し、PFCガス中に含まれるフッ素(F)をフッ化カルシウム(CaF)として回収することができる。また、AlとCaOの複合酸化物を用いて排ガス中に含まれるPFCガスを分解処理する場合には、処理槽11内の温度は約650℃〜約750℃が最も好ましい。なお、AlとCaOの複合酸化物の詳細については後述する。
本発明の第1の実施の形態に係る排ガス処理装置10aを、例えばエッチング装置の下流に設置した場合、AlとCaOの複合酸化物は、PFCガスの他にさらに排ガス中に含まれるCOガスの他、フッ素含有酸性ガスであるCOFガス、SiFガス、HFガス、Fガス等も処理することができ、これらの有害ガスを分解し無害化する。
予備処理槽21には、第2の処理剤22としてゼオライト(NaO・Al・2.5SiO)が充填される。ゼオライトは、その吸着力により排ガス中に含まれる酸性ガス(COF、SiF、HF、F等)を吸着除去できるため好ましい。さらに、ゼオライトは常温でも上記ガスを吸着除去でき、予備処理槽22を加熱するヒーターを備える必要がないため、予備処理槽22の製造が容易となる。
または、第2の処理剤22としてCa(OH)またはMg(OH)を主成分とするアルカリ剤を用いていもよい。これらのアルカリ剤により、排ガス中に含まれる酸性ガスを分解処理できる。特にCa(OH)またはMg(OH)を予め焼成してそれぞれCaO、MgOの状態で用いることが好ましい。例えばCa(OH)を焼成することによりCaOが精製され、以下の化学式で示すようにCaOによりSiFが分解処理され、CaFとしてフッ素を回収することができる。
SiF+2CaO → 2CaF+SiO
これらのアルカリ剤を用いると、AlとCaOの複合酸化物を用いた場合の処理温度(650〜750℃)よりも低い500℃近傍でも十分に酸性ガスを分解処理することができる。しかし、これらのアルカリ剤を用いた場合は、予備処理槽21に処理槽内の温度を昇温、降温させるヒーター23(図4参照)を備えることが好ましい。なお、予備処理槽21は小型のため、処理槽の昇温、降温を容易に行うことができる。
これらのアルカリ剤を用いることにより、人体に有害な酸性ガスのうち、SiF、HFやFなどを除去できる。
さらに、第2の処理剤22として金属酸化物(例えばF)を用いることもできる。金属酸化物を用いると、常温で酸性ガスを除去することができる。
図2は、本発明の第1の実施の形態に係る排ガス処理装置10aの運転方法を説明するフロー図である。図1に示すように、主処理槽11と予備処理槽21を直列に配置した排ガス処理装置10aにおいて排ガス中の被処理ガスを処理する場合、通常はバルブ31、32、33を開け、バルブ34、35、36を閉じ、ガス吸引装置41により排ガスを主処理槽11に導入し予備処理槽21には導入せずに被処理ガスを処理する(ST01)。第1の処理剤12にはAlとCaOの複合酸化物を用いて、PFCガス等の処理を行う。第1の処理剤12の処理能力が衰え主処理槽11の交換が必要になったら(ST02:Y)、バルブ31、32、33を閉じ、バルブ34、35、36を開け、排ガスを予備処理槽21に導入し処理を継続させる(ST03)。予備処理槽21に充填されたゼオライトにより、酸性ガスであるSiF、HF等を吸着除去する。主処理槽11の交換が終了し(ST04:Y)、主処理槽11を加熱し(ST05)主処理槽11内が処理に適した温度(650℃以上)になったら(ST06:Y)、バルブ31、32、33を開け、バルブ34、35、36を閉じ、主処理槽11での処理を再開(ST07)させる。
なお、主処理槽11内の第1の処理剤12が破過した後、主処理槽11の交換前に主処理槽11を冷却する間は、バルブ31、32、35、36を開け、バルブ33、34を閉じ、排ガスを主処理槽11および予備処理槽21の両方に導入してもよい。このようにすると、主処理槽11を冷却しつつ主処理槽11の余熱と第1の処理剤12の余力で被処理ガスを処理し、さらに予備処理槽21で酸性ガスを処理できる。よって、予備処理槽21の第2の処理剤22の寿命を長くすることができる。さらに、主処理槽11の余熱を使用しているため、予備処理槽21を加熱する必要がある場合、予備処理槽21の有するヒーター(例えば図4のヒーター23)の出力を少なくすることができる。
上記のとおり、本発明の第1の実施の形態に係る排ガス処理装置10aでは、主処理槽11に充填される第1の処理剤12としてのAlとCaOの複合酸化物は、安定性の高いPFCガスの他に、一部の酸性ガスも分解処理することができる。そのため、主処理槽11の交換時等主処理槽11での処理が継続できない場合、PFCガス自体は人体に有害なものではないため、主処理槽11で処理していた被処理ガスのうち少なくとも有害ガスを処理可能な、AlとCaOの複合酸化物とは異なる処理剤を予備処理槽21に充填し処理を継続させる。このようにすると、排ガス処理装置10aを停止させることなく処理を継続させることができる。さらにAlとCaOの複合酸化物は高価なため、予備処理槽21で処理される被処理ガスに特化した安価な処理剤(ゼオライト、CaOもしくはMgOを主成分とするアルカリ剤、または金属酸化物等)を用いることにより、排ガス処理装置10aのランニングコストを低減させることができる。また、予備処理槽21を小型化できるので、排ガス処理装置10aが大型化するのを抑えることができる。
さらに、本発明の第1の実施の形態に係る排ガス処理装置10aでは、予備処理槽21に充填する第2の処理剤22は、主処理槽11において処理される被処理ガスの中から選択したガスに特化した処理剤を充填することができる。そのため、排ガス処理装置10aの上流側に位置する半導体製造装置等(不図示)から排出されるガスの種類が異なる場合(例えば種々のエッチング装置から排出される場合等)であっても、排出されるガスに合わせて選択的に処理剤を充填することができる。
なお、排ガス処理装置10aの運転時には、例えば、主処理槽11にAlとCaOの複合酸化物の他にアルカリ剤を充填し、予備処理槽21にアルカリ剤を充填すると、主処理槽11における酸性ガスの処理能力をあげることができる。このように、主処理槽11または予備処理槽21に複数種類の処理剤を充填し、主処理槽11で処理する複数種類の被処理ガスのうち、その一部の種類のガスを予備処理槽21で処理してもよい。
図3は、本発明の第2の実施の形態に係る排ガス処理装置10bの構成図(模式的縦断面図)である。排ガス処理装置10bでは、主処理槽11と予備処理槽21が並列に配置される。なお、図3中の破線部は、排ガス処理装置10bのハウジング部分を示している。図3に示すように、排ガス処理装置10bは、主処理槽11に排ガスを流入させ、主処理槽11内を通過した排ガスを流出させる配管54を備える。配管54上には、主処理槽11が設置される。さらに、主処理槽11の上流側で配管54から分岐し主処理槽11の下流側で配管54と合流する配管55を備える。配管55上には、予備処理槽21が設置される。つまり、配管55により予備処理槽21に排ガスを流入させ、さらに予備処理槽21を通過した排ガスを流出させる。
また、排ガス処理装置10bは、切替装置としてのバルブ31、32、35、36を備える。バルブ31は、配管54上であって、配管54と配管55の分岐点75と、主処理槽11の間に配置される。バルブ32は、配管54上であって、配管54と配管55の合流点76と、主処理槽11の間に配置される。バルブ35は、配管55上であって予備処理槽21の上流側に配置される。バルブ36は、配管55上であって予備処理槽21の下流側に配置される。
排ガス処理装置10bにおいて排ガス中の被処理ガスを処理する場合、通常はバルブ31、32を開け、バルブ35、36を閉じ、ガス吸引装置41により排ガスを配管54に通して主処理槽11のみに導入し被処理ガスを処理する。主処理槽11から排出される排ガスは、配管54を通り排出される。第1の処理剤12の処理能力が衰え、処理槽11の交換が必要になったら、バルブ31、32を閉じ、バルブ35、36を開け、排ガスを配管54から分岐した配管55を通して予備処理槽21に導入し処理を継続させる。予備処理槽21から排出される排ガスは、配管55および配管55と合流する配管54を通り排出される。主処理槽11の交換が終了し、主処理槽11内の温度を処理に適した温度(650℃以上)まで加熱したら、バルブ31、32を開け、バルブ35、36を閉じ、主処理槽11での処理を再開する。
図4は、本発明の第3の実施の形態に係る排ガス処理装置10cの構成図(模式的縦断面図)である。なお、図4中の破線部は、排ガス処理装置10cのハウジング部分を示している。図4に示すように、排ガス処理装置10cは、主処理槽11に排ガスを流入させ、主処理槽11内を通過した排ガスを流出させる配管56を備える。配管56上には、主処理槽11が設置される。さらに、主処理槽11の下流側で配管56から分岐し再び配管56と合流する配管57を備える。配管57上には、予備処理槽21が設置される。さらに、主処理槽11の上流側で配管56から分岐し、主処理槽11をバイパスして予備処理槽21の排ガス流入側に接続される配管61を備える。
また、排ガス処理装置10cは、熱交換機92を備える。熱交換器92は、主処理槽11の上流側であって処理前排ガスが流れる配管56と、主処理槽11の下流側であって処理済の排ガスが流れる配管56を二重管熱交換し、主処理槽11に流入する排ガス(処理前排ガス)を予熱し、また処理済の排ガスを冷却する。
さらに、排ガス処理装置10cは、切替装置としてのバルブ31、32、35、36、40を備える。バルブ31は、配管56上であって、配管56と配管61の分岐点83と、主処理槽11の間に配置される。バルブ32は、配管56上であって、配管56と配管57の分岐点77と、主処理槽11の間に配置される。バルブ35は、配管57上であって予備処理槽21の上流側に配置される。バルブ36は、配管57上であって予備処理槽21の下流側に配置される。バルブ40は、配管61上に配置される。
配管56は、主処理槽11内に排ガスを流入させ、主処理槽11を通過した排ガスを流出させる。配管57は、分岐点77で配管56から分岐し、予備処理槽21内に排ガスを流入させ、予備処理槽21を通過した排ガスを流出させ、合流点78で配管56に合流する。配管61は、分岐点83で配管56から分岐し、排ガスを予備処理槽21内に流入させる。
このように構成すると、バルブ35、36、40を閉じ、バルブ31、32を開けることにより、熱交換器92により予め予熱された排ガスを主処理槽11内へ導入することができる。さらに、主処理槽11の交換時等、主処理槽11での処理ができないときは、バルブ31、32、35を閉じ、バルブ36、40を開けることにより、排ガスを予備処理槽21内へ導入することができる。主処理槽11内の第1の処理剤12が破過した後、主処理槽11の交換前の冷却時、または主処理槽11の交換後の加熱時には、バルブ31、32、35、36開け、バルブ40を閉じることより、主処理槽11の余熱により予熱された排ガスを予備処理槽21内へ導入することができる。その結果、予備処理槽21を加熱する必要がある場合に、別途熱交換機を備えることなく予備処理槽21へ予熱された排ガスを流入させることができる。さらに、主処理槽11よりも予備処理槽21は小容量であるため予熱されやすい。また、予備処理槽21がヒーター23を備える場合であってもヒーター23の消費電力を節約することができる。特に、予備処理槽21に充填する処理剤に、CaOまたはMgOを主成分とするアルカリ剤を用いた場合には、予備処理槽21内を500℃程度まで昇温させる必要があるため、主処理槽11の余熱を利用することは有効である。
図5は、本発明の第4の実施の形態に係る排ガス処理装置10dを用いた場合の、主処理槽11の交換時のフローを示す図である。まず、排ガス処理装置10dの構成について説明する。なお、図5中の破線部は、排ガス処理装置10dのハウジング部分を示している。図5(a)に示すように、排ガス処理装置10dは、主処理槽11および予備処理槽21を備える。主処理槽11はその外周にヒーター13を有し、予備処理槽21はその外周にヒーター23を有する。
さらに、排ガス処理装置10dは、主処理槽11に排ガスを流入させ、主処理槽11内を通過した排ガスを流出させる配管58を備える。さらに、主処理槽11の上流側で配管58から分岐(分岐点79)し、主処理槽11の下流側で配管58と合流(合流点80)する配管59を備える。配管59上に予備処理槽21は配置される。つまり、配管58と配管59により、主処理槽11と予備処理槽21は排ガスの流れに対して並列に配置される。
また、排ガス処理装置10dは、主処理槽11の下流側でありかつ合流点80より上流側で配管58から分岐(分岐点81)し、予備処理槽21の上流側で配管59と合流(合流点82)する配管60を備える。つまり、配管58、配管60および配管59により、主処理槽11と予備処理槽21は排ガスの流れに対して直列に配置され、主処理槽11が上流側に予備処理槽21が下流側に配置される。
さらに、排ガス処理装置10dは、切替装置としてのバルブ31、37、38、39を備える。バルブ31は、配管58上であって、配管58と配管59の分岐点79と、主処理槽11の間に配置される。バルブ39は、配管59上であって、配管58と配管59の分岐点79と、配管60と配管59の合流点82の間に配置される。バルブ37は、配管60上に配置される。バルブ38は、配管58上であって、配管58と配管60の分岐点81と、配管58と配管59の合流点80の間に配置される。バルブ31は、主処理槽11内への排ガスの流入を開始/停止させる。また、バルブ37は、配管60内への排ガスの流れを開始/停止させる。バルブ38は、開いた状態では配管58内に排ガスを通し、閉じた状態では配管58から配管60および59に排ガスをバイパスさせる。バルブ39は、配管59内への排ガスの流れを開始/停止させる。
排ガス処理装置10dは、配管58と配管59の合流点80の下流側に、排ガス中に含まれる被処理ガスの除去効率を知るための破過検知装置としてのガス検知器91を備える。ガス検知器91により、被処理ガスの除去効率を判断する指標となるガス(例えば処理されずに排出された被処理ガス、または、被処理ガスとは異なるが処理剤の能力が衰えてくるにつれて排出量が増加するガス等)の有無およびその濃度を測定する。さらに排ガス処理装置10dは、ガス吸引装置としてのエジェクタ41を備える。エジェクタ41は、排ガスを主処理槽11内または予備処理槽21内に導く。
さらに、排ガス処理装置10dの主処理槽11には第1の処理剤12としてAlとCaOの複合酸化物を充填し、予備処理槽21には第2の処理剤22としてのCaOまたはMgOを主成分とするアルカリ剤を充填する。また、被処理ガスの除去効率を判断する指標となるガスをCFとし、ガス検知器91としてCFセンサー91を用いる。CFセンサー91によりCFの濃度が50ppm以上検知されたら、主処理槽11内の第1の処理剤12(AlとCaOの複合酸化物)が破過したと判断する。
図5(a)は、排ガス処理装置10dの通常運転時における排ガスの流れを示す図である。図5(a)に示すように、通常運転時はバルブ31とバルブ38を開け、バルブ39とバルブ37を閉じる。これにより、排ガスは配管58を通り主処理槽11に導入され、主処理槽11を通過した排ガスは配管58を通り排出される。つまり、排ガス中に含まれる被処理ガスは主処理槽11単独で処理される。なお、主処理槽11内の温度は、ヒーター13により約650〜約750℃となっている。このように、通常運転時は、主処理槽11により、排ガス中に含まれるPFCガス、およびフッ素含有酸性ガスであるCOF、SiF、HF、F等が処理される。
なお、バルブ38を閉じ、バルブ37を開け、主処理槽11と予備処理槽21を直列に配置し、主処理槽11を通過した排ガスをさらに予備処理槽21(ヒーター23:オフ)に導入してもよい。このようにすると、主処理槽11交換時のバルブの開閉の手間を省くことができる。
図5(b)は、CF濃度が50ppm以上検知された(第1の処理剤12が破過した)後の、排ガス処理装置10dにおける排ガスの流れを示す図である。第1の処理剤12が破過した場合は、主処理槽11を交換するため、まずヒーター13を切り、約650〜約750℃である主処理槽11内の温度を約300℃まで下げるとともに、予備処理槽21内の温度を加熱し約500℃まで上げる。降温および昇温には数時間を要するため、図5(b)に示すように、この間、バルブ38を閉じバルブ37を開け、主処理槽11と予備処理槽21を直列に配置し、排ガスを主処理槽11と予備処理槽21に導入させる。このように、降温中の主反応槽11および昇温中の予備処理槽21に排ガスを通す。第1の処理剤12は、破過した後であっても十分ではないが処理能力を備えているため、主処理槽11で排ガス中に含まれるPFCガス、およびフッ素含有酸性ガスであるCOF、SiF、HF、F等が処理される。さらに、予備処理槽21で、フッ素含有酸性ガスであるCOF、SiF、HF、F等が処理される。なお、予備処理槽21の下流にフッ素含有酸性ガスを検知するガス検知器(不図示)を別途配置し、検知されるこれらのガスの濃度をTLV−TWA(時間荷重平均限界値)以下にすることが好ましい。
図5(c)は、主処理槽11の降温が終了した後の排ガス処理装置10dにおける排ガスの流れを示す図である。図5(c)に示すように、主処理槽11の降温が終了したら、バルブ31およびバルブ37を閉じ、バルブ39を開け、排ガスを予備処理槽21のみに導入する。この間に、主処理槽11を交換し、新たに設置された主処理槽11の温度を上昇させる。このように、主処理槽交換時は、予備処理槽21により、フッ素含有酸性ガスであるCOF、SiF、HF、F等が処理される。
なお、予備処理槽21の交換は主処理槽11の交換に合わせて引続き行い、予備処理槽21を常に処理能力を十分に有する状態にしておくことが好ましい。
以上、本発明の第1乃至第4の実施の形態に係る排ガス処理装置10a、10b、10c、および10dを用いると、予備処理槽21の容量は、主処理槽11の容量よりも小さいため、設置スペースを十分に確保できない場合でも排ガス処理装置の設置が可能になる。さらに、排ガス処理装置の稼動時において、主処理槽11での処理ができない場合でも予備処理槽21により被処理ガスの処理を継続できる。よって、排ガス処理装置の上流側に位置する半導体製造装置等(例えばエッチング装置)の運転が停止できない場合に備えて、処理能力に余裕がある処理剤を新しい処理剤に交換しておく必要がなく、処理能力を有する処理剤を無駄にすることがない。また、予備処理槽21には、主処理槽11と異なる処理剤を充填するため、処理される被処理ガスのうち、特に未処理の状態で排出することができないガス(例えば人体に有害な酸性ガス)に特化した処理剤を予備処理槽21に充填し、これらのガスを選択的に処理することができる。その結果、排ガス中に人体に有害なガスが含まれる場合であっても、これらのガスが未処理の状態で排出されるのを防ぐことができる。また、主処理槽11に充填する処理剤よりも安価な処理剤を選択でき、排ガス処理装置のランニングコストを低減させることができる。
以下に、本発明の第1乃至第4の実施の形態で用いた第1の処理剤12としてのAlとCaOの複合酸化物について詳細に説明する。AlとCaOの複合酸化物とは、水酸化アルミニウム(Al(OH))と水酸化カルシウム(Ca(OH))の混合物を所定の温度範囲で焼成して得られる複合酸化物である。
主処理槽11に充填される処理剤は、平均粒子径(メディアン径)55μm以上160μm以下のAl(OH)と、Ca(OH)とのモル比が3:7〜5:5である混合物を430℃以上890℃以下の温度範囲で、窒素流又は空気流中で焼成して得られるAlとCaOの複合酸化物が用いられる。
または、平均粒子径(メディアン径)60μm以上160μm以下のAl(OH)と、Ca(OH)とのモル比が3:7〜5:5である混合物を430℃以上890℃以下の温度範囲で、窒素流又は空気流中で焼成することにより得られるAlとCaOの複合酸化物が用いられる。なお、焼成温度は、排ガスを処理する処理温度と同程度かそれより低くすることが好ましい。
なお、AlとCaOの複合酸化物は、「PFC分解剤」および「フッ素固定剤」としての機能を有する。よって以後、「PFC分解剤」というときはPFCの分解までを行うことを意味し、「フッ素固定剤」というときはさらにフッ素をCaFなどの固形物として回収することまでを包含する概念として使い分ける。ただし、「PFC分解剤」と「フッ素固定剤」の構成成分は同一であり、両者を包含する場合、つまりPFCを分解しさらにフッ素で固定することを意図する場合には、以後、「PFC分解処理」および「PFC分解処理剤」と表現する。
[AlとCaOの複合酸化物の原材料]
AlとCaOの複合酸化物の原材料であるAl(OH)は、その平均粒子径が55μm以上、好ましくは60μm以上160μm以下、より好ましくは90μm以上120μm以下である。ここで、平均粒子径とは、メディアン径を意味し、粒子径ごとに頻度(含有量)を積算し、含有量の累積が最小粒子径からはじめて50%になる点での粒子径である。なお、メディアン径の測定では、レーザ回折・散乱法を使用し、体積基準でD50を測定する。その他の測定方法として、ガス吸着法による比表面積/細孔分布測定、水銀圧入法による細孔分布測定、定容積膨張法による乾式密度測定を用いても良い。
平均粒子径が上記範囲外であると、PFC分解処理剤としての所望の処理性能が得られず、試験例により後述するように、短時間でCF除去率が95%以下に劣化してしまい、実用に耐えない。
AlとCaOの複合酸化物の原材料であるCa(OH)の平均粒子径はAl(OH)の平均粒径によって変動するが、Al(OH)よりもCa(OH)の平均粒子径(メディアン径)は小さい方が好ましい。Ca(OH)の平均粒子径(メディアン径)としては、好ましくは1μm以上10μm以下、より好ましくは3μm以上8μm以下、最も好ましくは4μm以上6μm以下である。
Al(OH)とCa(OH)とは、平均粒子径の大きいAl(OH)を核にして、その表層にCa(OH)が効率よく配置されることで活性が維持されると考えられる。よって、Ca(OH)の粒径がAl(OH)の平均粒径に比べて小さすぎるとAl(OH)の表面全体を隙間なく覆い、PFCとの接触を阻止して結果的にPFCの分解を阻害し、逆にCa(OH)の粒径がAl(OH)の平均粒径に比べて大きすぎるとPFC分解時のFとの接触効率が低下し結果的に分解が不充分となり、何れの場合もPFCの分解効率を下げると考えられる。
上記混合物におけるAl(OH)とCa(OH)とのモル比は、3:7〜5:5、好ましくは3:7〜4:6である。Al(OH)とCa(OH)とのモル比が上記範囲外であると、PFC分解処理剤としての所望の処理性能が得られず、試験例により後述するように、短時間でCF除去率が95%以下に劣化してしまい、実用に耐えない。
[AlとCaOの複合酸化物の調製方法]
AlとCaOの複合酸化物は、上記混合物を430℃以上890℃以下の温度範囲、好ましくは580℃〜850℃、より好ましくは650℃〜780℃の温度範囲で、窒素流又は空気流中で焼成することにより得られる。
Al(OH)とCa(OH)との混合物の焼成温度は、脱水可能な温度であってかつ失活しない温度範囲であることが必要になる。Al(OH)の脱水温度は約270℃であり、Ca(OH)の脱水温度は約430℃であるから、少なくとも430℃以上であることが好ましい。温度範囲が890℃を超えると、試験例により後述するように、CF除去率が低下する。これは、高熱処理により酸化アルミニウムが結晶化してしまい、活性が劣化することによると考えられる。なお、焼成温度は、排ガスを処理する処理温度と同程度かそれより低くすることが好ましい。
Al(OH)とCa(OH)との混合物は、窒素流又は空気流中で焼成する。窒素流又は空気流は一定時間で流入方向を逆転させることが好ましい。焼成により進行する脱水反応の結果、発生する水分を混合物周囲に滞留させず、速やかに蒸発・除去させるためである。高熱高湿雰囲気でAl(OH)とCa(OH)との混合物を焼成し続けると、水分の存在により酸化アルミニウムが結晶化(活性点における微細構造レベルでの結晶化を意味する)してしまい、活性が劣化すると考えられる。よって、Al(OH)や焼成により得られる酸化アルミニウムなどの周囲に不活性ガスを流すことによって、発生する水分を速やかに除去することが必要である。窒素流又は空気流の向流気流は、例えば、Al(OH)とCa(OH)との混合物をカラムに充填して、カラムの上下から窒素流又は空気流を送るなどして与えることができる。
焼成時間は特に限定されず、使用するAl(OH)とCa(OH)との量によっても変動するが、一般的に6〜12時間とするのが脱水効果やエネルギー消費効率の点で好ましく、8〜10時間とするのがさらに好ましい。技術的にはCa(OH)が脱水する温度(約430℃)まで昇温した後、さらに1〜2時間焼成することで充分であると考えられる。焼成温度に達するまでの昇温速度が速すぎると脱水が不充分な場合が生じ、遅すぎると経済的理由(エネルギーや時間を消費する)から好ましくない。通常は、100℃/hrの昇温速度が最適である。また、焼成時間が長すぎると、PFC分解処理剤が焼成中に燃料から発生するCOを過吸着してしまい、フッ素吸着性能が低下するので好ましくない。
上記の調製方法により得られるAlとCaOの複合酸化物は、後述するXRD(X線回折)分析により示されるように非晶質AlとCaOとの複合酸化物である。上記複合酸化物における非晶質AlとCaOとの含有比は、モル比でAl:CaO=1:10.5〜1:12.5であるのが、PFC分解処理剤としての活性維持の点で好ましく、1:10.5〜1:12であるのが更に好ましい。
[AlとCaOの複合酸化物の特性]
また上記の製法により得られるAlとCaOの複合酸化物は、その水分含量が5wt%よりも低いことが好ましく、0.8wt%以上5wt%以下であることがより好ましく、1.5wt%以上3.5wt%以下であるとさらに好ましい。なお、最も好ましくは、2.7wt%以下である。水分含量が高くなると、後述するようにCF除去率が低下する。従来、水分含量が高いほどCF除去率は高くなると考えられており、フッ素含有被処理物の処理時には水分を添加していたことを考え合わせると、このPFC分解処理剤において水分含量が少ないほどCF除去率が高くなるという知見は特異的である。
PFC分解処理剤には、さらに耐熱性向上剤を混合することもできる。耐熱性向上剤としては、ZrO、Laを好ましく挙げることができる。耐熱性向上剤の配合比率は、好ましくはAl(OH)1モルに対して0.01〜0.5モルであり、より好ましくはAl(OH)1モルに対して0.05〜0.4モルであり、最も好ましくはAl(OH)1モルに対して0.08〜0.35モルである。耐熱性向上剤の配合比率が上記範囲外であると、その使用温度においてPFC分解処理剤の結晶化が徐々に進んで、長期に渡る活性の維持が困難となる。
PFC分解処理剤は、Al(OH)とCa(OH)の混合物の焼成品のNa含有量が0.03wt%以下であることが好ましい。Naが多量に存在すると、PFCの分解作用を起こす活性点にNa+が選択的に吸着してしまい、PFCの分解反応を阻害するので好ましくない。
PFC分解処理剤には、さらに酸化力向上助剤を混合することもできる。酸化力向上助剤としては、Pd、Pt、Rh、Ruなどを好ましく挙げることができる。酸化力向上助剤の配合割合は、好ましくはAl(OH)1モルに対して0.005〜0.1モルであり、より好ましくはAl(OH)1モルに対して0.01〜0.07モルであり、最も好ましくはAl(OH)1モルに対して0.02〜0.05モルである。酸化力向上助剤の配合比率が上記範囲外であると、PFCのうち炭素数の多いCやC等の分解が進まず、比較的早期に除去性能の低下が始まる。
PFC分解処理剤により処理することのできるフッ素含有化合物としては,CHF、CF、C、C、SF、NFなどのパーフルオロ化合物等を挙げることができる。このようなパーフルオロ化合物(PFC)を含むガスとしては、半導体工業で半導体製造装置の内面等をドライクリーニングする工程や、各種成膜をエッチングする工程で排出される排ガスなどを挙げることができる。
また、PFC分解処理剤は、PFCなどに加えて、酸化性ガス、酸性ガスなども分解処理することができる。半導体製造工程から排出される排ガス中には、PFCばかりでなく、他にF、Cl、Br等の酸化性ガス、HF、SiF、COF、HCl、HBr、SiCl、SiBr等の酸性ガスなどが含まれる場合がある。従来、F、Cl、Br等の酸化性ガスを湿式処理する方法があるが、水だけでは完全に処理することができず、アルカリ剤や還元剤を併用するため管理や装置が複雑になる上にコストがかかる等の問題点があった。PFC分解処理剤によれば、これらの酸化性ガスや酸性ガスも、PFC等のフッ素含有化合物と共に分解処理することができる。
[AlとCaOの複合酸化物の構造と反応]
AlとCaOの複合酸化物は、以下のように酸素を介して緩やかに結合していると考えられる。
Figure 0005350809
AlとCaOの複合酸化物をフッ素化合物と接触させると、(Al_O)部分の触媒作用により
CF→C+4F
の分解反応が進み、(O_Ca)部分からの酸素(O)とカルシウム(Ca)とにより
C+2O→CO
4F+2Ca→2CaF
の酸化還元反応が進むと考えられる。
このように、AlとCaOの複合酸化物を用いてフッ素含有化合物を含む排ガスを処理すると、PFCが分解されて、反応途中にHF等の中間生成物が生成されることなく、フッ化カルシウム(CaF)が生成する。フッ化カルシウムは、フッ素製造の原料として知られる蛍石の主成分であり、酸で処理することによってフッ素ガスを発生させることができる。したがって、AlとCaOの複合酸化物を用いると、極めて効率的にフッ素含有化合物を含むガスからフッ素を再利用可能な形態で回収することができる。
また、AlとCaOの複合酸化物と、フッ素含有化合物を含む被処理ガスとを接触させることを特徴とする、フッ素含有化合物を含む被処理ガスからのフッ素回収方法が提供される。このとき、AlとCaOの複合酸化物と、フッ素含有化合物を含む被処理ガスとを550℃〜850℃の温度で接触させることが好ましく、より好ましくは600〜800℃の範囲であり、約650℃〜750℃が最も好ましい。
以下に、AlとCaOの複合酸化物を更に具体的に説明する。
[試験例1]
[PFC分解処理剤1]
以下の調製例は、いずれも発生する水分を焼成容器内から速やかに排出させ、Al(OH)とCa(OH)との混合物と水分との接触を回避する調製方法を採用した。
図6に示すように、均一に加熱できるように外部ヒーターを全周に具備する小型のカラ
ム(寸法:径150mm×高さ850mm)に、Al(OH)とCa(OH)との混合物(Al(OH)の平均粒子径90μm、Ca(OH)の平均粒子径5μm、Al(OH)とCa(OH)との配合割合3:7)14Lを充填して、カラム内部に多量の水蒸気が滞留しないようにN流量:50L/minを上向流と下向流とで与えた。外部ヒーターの温度を調整して、最初にN上向流を5〜6時間流してAl(OH)とCa(OH)との混合物層のうち上層の半分を420℃以上で焼成し、次にN下向流を2〜3時間流してAl(OH)とCa(OH)との混合物層のうち下層の半分を420℃以上に焼成した。
なお、上記調整方法において、Al(OH)とCa(OH)のモル比は3:7であり、焼成により得られた試料は、表1の試料No.1−1である。
各焼成温度で得られたPFC分解処理剤1について、水分含有量とCF除去率を測定した結果を表1に示す。CF除去率は、PFC分解処理剤49mlを図9に示すガス処理システム(ただし、ミニカラムは第1筒目だけとした)のミニカラム(径22mm×高さ300mm)に充填して、CF流入濃度:1.0%、ガス流量:410ml/min、処理温度:750℃で3時間、通ガスした後の除去率を求めた。なお、試料No.1−0は焼成前のAl(OH)とCa(OH)との混合物を意味する。また、濃度1.0%とは体積パーセントを意味する。
表1は、焼成温度と水分含有量およびCF除去率との関係を示す。
Figure 0005350809
焼成温度は、充填されたAl(OH)とCa(OH)との混合物層の温度を内部に挿入した熱電対により実測した値である。また、表中の記号「>」は、例えば99.9%を超えることを示す(以下同様)。
表1より、420℃でも水分含有量が12wt%と低下しているが、Ca(OH)の脱水温度は約430℃であるから、少なくとも430℃以上であることが好ましく、500℃以上がより好ましいことがわかる。また、910℃の焼成温度では、水分含有量が1.6wt%でCF除去率が96.8%と低下していることがわかる。これは、熱劣化の影響と思われる。
表1より焼成温度は580℃〜780℃が好適であることがわかる。焼成処理コストを考慮して600℃の焼成温度で焼成したPFC分解処理剤について、水分含有量とCF除去率との関係をさらに検討した。
Al(OH)とCa(OH)との混合物(Al(OH)の平均粒子径90μm、Ca(OH)の平均粒子径5μm、Al(OH)とCa(OH)とのモル比での混合割合3:7)をミニカラム(径22mm×高さ300mm)に充填し、これをセラミックス製管状炉に装着させ、窒素を410ml/minで送り込みながら600℃に昇温した。水分調整は、焼成時間を調整することによって行った。具体的には、焼成時間5時間で水分含有量2.7wt%、焼成時間11時間で水分含有量1.6wt%、焼成時間24時間で水分含有量0.8wt%のPFC分解処理剤が得られた。
こうして得たPFC分解処理剤1−8〜1−10を各49ml、図9に示すガス処理システム(ただし、ミニカラムは第1筒目だけとした)のミニカラムに充填し、CF流入濃度:1.0%、ガス流量:410ml/min、処理温度:750℃で5時間通ガスした後(CFガス出し3時間後にCFの供給を一旦止め、窒素昇温(窒素のみで410ml/min、750℃加熱)を12時間行い、その後、CFガス出し(CF流入濃度:1.0%、ガス流量:410ml/min、処理温度:750℃)を2時間再開した。この通ガス方法によれば、初期性能と寿命の両方を評価することができる。)のCF除去率を求めた。結果を表2に示す。
Figure 0005350809
表2から、水分含有量が0.8wt%〜2.7wt%の間で有意差がなく、水分含有量1wt%以下でも高いCF除去率が達成されることがわかる。
得られたPFC分解処理剤(表1の試料No.1−3)のXRD分析チャートを図10に示す。上段のピークデータは得られたPFC分解処理剤(試料No.1−3)の生データからの解析ピークであり、下段のカードピークはライブラリーデータからのCaOの特性ピークである。得られたPFC分解処理剤(試料No.1−3)のピークはCaOのライブラリーデータピークと完全に一致する。参考として図11に結晶性アルミナの標準X線回折スペクトルを示すが、上記で得られたPFC分解処理剤(試料No.1−3)にはAlの特性ピークが見られない。また、後述する比較例のXRDチャートではCa(OH)のピークが観察されることとの対比から、Ca(OH)は全量が焼成によりCaOに変化しているといえる。これらのことから、PFC分解処理剤には、焼成により発生する水分がすべて除かれ、水熱反応が進まないため、結晶性Alが生じていないと考えられる。すなわち本PFC分解処理剤は、非晶質のAlとCaOの複合酸化物である。
[PFC分解処理剤2]
図7に示すように、箱体の内部に収納棚を有する直接燃焼炉を用いて、各収納棚にAl(OH)とCa(OH)との混合物を厚さ10mmに広げて20kgとなるように充填し、空気を20m/minで流し、100℃/hrの昇温速度で6時間かけて600℃まで昇温させ、さらに600℃で6時間焼成し、PFC分解処理剤2を得た。得られたPFC分解処理剤2の水分含有率は2.8wt%であった。
このPFC分解処理剤2の49mlを図9に示すガス処理システム(ただし、ミニカラムは第1筒目だけとした)のミニカラム(径22mm×高さ300mm)に充填し、CF流入濃度:1.0%、ガス流量:410ml/min、処理温度:750℃で3時間、通ガスした後のCF除去率を求めたところ99.9%以上と高い除去率を示した。
[PFC分解処理剤3]
図16に示すようにロ−タリキルンは片側に投入口を設け、反対側に排出口を設けた円筒形の内筒(径約60cm×長さ4〜5m)を有し、これの下側の半周に内筒に接することなく、隙間を設けてヒ−タ−を設置している。内筒は投入口から排出口に向かって緩やかな下降傾斜があり、内筒を回転させることで、投入した剤を排出口に移動させている。移動する間に、剤はヒ−タで加熱された内筒の内側で、間接的に加熱される。内筒の中にはガスの強制送気は行わず、内部で発生したガスの上昇気流により、大気が排出口から自然吸引され、剤の流れとは逆方向に排気される構造となっている。このようなロ−タリ−キルンに、Al(OH)とCa(OH)との混合物(Al(OH)の平均粒子径90μm、Ca(OH)の平均粒子径5μm、Al(OH)とCa(OH)とのモル比での混合割合3:7)を20kg/minの量で投入し、620℃±20℃で約1時間焼成して、PFC分解処理剤3を得た。ロータリーキルンを用いて間接的に加熱することによって燃料から発生するCOの過吸着を避けた。得られたPFC分解処理剤3の水分含有率は2.6wt%であった。
このPFC分解処理剤3の49mlを図9に示すガス処理システム(ただし、ミニカラムは第1筒目だけとした)のミニカラムに充填し、CF流入濃度:1.0%、ガス流量:410ml/min、処理温度:750℃で3時間通ガスした後のCF除去率を求めたところ99.9%以上と高い除去率を示した。
[PFC分解処理試験]
[PFC分解処理剤1]でミニカラムにより焼成したPFC分解処理剤(表1の試料No.1−3)を図8に示すガス処理装置に充填し、ここにCF、C、CHF、CO、COF、SiF、HF、Fを含む模擬ガスを通ガスした。図8に示すガス処理装置は、カラム外周と中心部にヒーターを具備し、焼成カラム内を均一な温度に昇温しやすく構成されている。PFC分解処理剤層の処理温度は750℃に制御し、排ガス流量は150L/minとした。
表3は、入口ガス組成および8時間処理後の出口ガス組成を示す。
Figure 0005350809
なお、表中の記号「<」は、例えば0.2ppm未満であることを示す(以下同様)。
表3より、8時間後のガス処理装置出口でPFC、CO、酸性ガスはすべて検出限界以下に良好に処理されていた。上記ガスを処理した後に、PFC分解処理剤(試料No.1−3)のXRD分析を行った。図12に示すXRDチャートから、CaOの特性ピークのほかにCaFのX線回折ピークが出現しており、PFC分解処理剤中のCaにFが固定されたことが確認された。
[比較例1]
比較例として、図8に示すガス処理装置(大型カラム。径350mm×高さ850mm)にAl(OH)とCa(OH)との混合物を94L充填して、N流量:60L/minを下向流に流し、300℃で8時間、500℃で9時間、次いで750℃で8時間かけて焼成した。図8の大型カラム内の混合物を縦方向に9等分し、上からNo.1〜No.9とし、焼成後、図8に示す各層ごとに一定量を採取して、熱分析により水分含有量を測定し、XRD分析により結晶性化合物を同定した。
図13に、試料No.5についてのXRD分析チャートの例を示す。CaOとCa(OH)のピークが観察された。
また、得られた焼成体49mlを図9に示すガス処理システム(ただし、ミニカラムは第1筒目だけとした)のミニカラム(径22mm×高さ300mm)に充填して、CF流入濃度:1.0%、ガス流量:410ml/min、処理温度:750℃で3時間、通ガスした後の除去率を求めた。結果を表4に示す。なお、表中、試料No.とは図8に示す採取した層の位置を示す。また、試料No.0は、未焼成のAl(OH)とCa(OH)との混合物を意味する。
表4は、対照系焼成条件および水分含有量、XRD分析結果、CF除去率を示す。
Figure 0005350809
表4より、採取位置によって水分含有量およびXRD分析結果に差異が見られ、均一な焼成が行われていないことがわかる。特に中段層〜下段層から採取した焼成体のCF除去率が非常に低くなっている。これは、750℃以上の高温条件下で焼成を行う際に発生する水分が混合物の周囲に滞留して高温多湿条件を創製し、水熱合成反応が生じ、結晶化を促進させ、活性を低下させたものと考えられる。
また、CF除去後の試料についてXRD分析を行った。例として、表4中の試料No.5のXRD分析チャートを図14に示す。図13のXRD分析チャートと比較すると、Ca(OH)が消失し、代わりにCaFのピークが観察される。
[試験例2]
図9に示す構成のガス処理システムを用いて、750℃で1.5時間焼成したPFC分解処理剤の処理性能を調べた。外周にセラミックス製管状炉を取り付けたSUS製ミニカラム(径22mm×高さ300mm)2本を直列に接続させて、各ミニカラムにPFC分解処理剤49mlを充てんし、PFC分解処理剤層が750℃で安定したところでCF流入濃度:1.0%、ガス流量:410ml/minでCFの通ガスを開始した。性能の比較は、ミニカラムの2筒目の出口でCF除去率が95%を下回るまでの処理時間を計測し、処理時間が長いほど性能が良好であると判断した。表5には、平均粒子径120μmのAl(OH)を用いた場合のAl(OH)対Ca(OH)のモル比を変数として性能を比較した結果を示す。
表5は、Al(OH)対Ca(OH)のモル比とCF処理性能を示す。
Figure 0005350809
表5より、同じ平均粒子径であれば、Al(OH):Ca(OH)のモル比が、3:7〜5:5の範囲で良好な処理性能を示し、3:7の時に処理性能が最大となることがわかる。次に、図9に示すガス処理システムを用いて、同じ処理条件にて、Al(OH):Ca(OH)のモル比を3:7として750℃で1.5時間焼成した場合のAl(OH)の平均粒子径とCF処理性能との関係を調べた。その際に、Ca(OH)は平均粒子径(メディアン径)5μmのもの用いた。
表6は、Al(OH)の平均粒子径とCF処理性能を示す。
Figure 0005350809
表6より、Al(OH)の平均粒子径が大きいほど、処理性能が向上する傾向が認められた。上述の各試験例の結果から、性能上はAl(OH):Ca(OH)のモル比が3:7でAl(OH)の平均粒子径が120μmである場合に最も高いCF処理性能が得られることがわかる。しかし、工業ベースでこの組成を用いて量産すると、粉末品の回収率が悪く、コスト高になるため、同じモル比で平均粒子径を90μmにして製品化を図った。この組成で同じ条件で性能評価したところ、CF除去率が95%時の処理時間は34.8時間となり、最適組成と比較して大きな差がないことを確認した。さらに、Al(OH)を篩いにかけずに使用した場合には、平均粒子径が55μmであったが、CF除去率が95%時の処理時間は31.2時間であることが確認できた。この処理時間は、Al(OH)を篩いにかけて得られる平均粒子径60μmの処理時間31.5時間と差がない。CF除去率が95%時の処理時間は30時間以上であれば実用に耐えることから、製造コスト(篩い分け)と性能とのバランスを考慮すれば、Al(OH)は平均粒子径55μm以上でよいことになる。
また、CF除去試験後のPFC分解処理剤についてXRD分析を行った。XRDチャートを図15に示す。CaOのピークの他に、CaFのピークが観察され、PFC分解処理剤中のCaにFが固定されたことがわかる。
[試験例3]
PFC分解処理剤は、非晶質AlとCaOとの複合酸化物であると考えられる。比較のため、市販のα型結晶質Al(粒径20μmの粉末)とCaO(粉末)とのモル比3:7の単純混合物を圧縮成型して1〜4mmの粉砕品を調製し、図9に示すガス処理システム(ただし、ミニカラムは第1筒目だけとした)でCF処理を行った。ガス処理システムのミニカラムに単純混合物49mlを充填し、650℃で安定したところでCF流入濃度:1.0%、ガス流量:410ml/minでCFの通ガスを開始し、処理時間によるCF除去率の変化をみた。PFC分解処理剤(表1の試料No.1−3)を用いて650℃の処理温度で行った場合のCF除去率と合わせて表7に示す。
表7は、フッ素固定剤(PFC分解処理剤)とα型結晶質AlとCaO(粉末)との単純混合物との比較を示す。
Figure 0005350809
表7に示す結果から明らかなように、α−AlとCaOの単純混合物では、PFC分解処理剤とくらべて、活性が低いだけでなく、処理開始後短時間で実用に耐えない程度に性能が劣化してしまう。
[試験例4]
[PFC分解処理剤1]で調製したPFC分解処理剤(試料No.1−3)100Lを実機反応槽(直径350mm×高さ850mm、外部ヒーターおよび内部ヒーター装備)に充填し、窒素ガス50L/minを流し込みながら750℃まで8時間かけて昇温し、フィールド評価を行った。実機反応槽で処理する実排ガスは、PFC(CF、C、C、C、C、C、CHF、CH 、NF)と酸性ガス(COF、SiF、F、HF)とCO、CH、NO、Hを含んでいた。フィールド評価は、実排ガス流量150L/min、パージ用空気10L/minを導入し、反応槽内を750℃に制御して、PFC除去率が86〜88%になった時点で処理を終了し、処理終了時点でのPFC分解処理剤(フッ素固定剤)のF吸着量を測定して行った。対照として、実機反応槽にAl(OH)およびCa(OH)を焼成せずにそのまま充填し、窒素ガス50L/minを流し込みながら300℃で8時間、ついで500℃で8時間、さらに750℃で8時間かけて昇温し、同様にフィールド評価を行った。
表8は、実機反応槽でのフィールド評価を示す。
Figure 0005350809
* F吸着量をすべてCFであると仮定して換算した値
**充填量71kgに換算した値
対照混合物の処理後のカラムからは、水がでてきた。
表8より、PFC分解処理剤は、未焼成の対照混合物と異なり実排ガス処理中に水分を発生せず、F吸着量(CF処理量)で約2倍強の処理を行うことができたことがわかる。
[試験例5]
PFCの分解作用に対するNaの影響を調べた。
Na含有量とCF処理性能の関係を求めるため、PFC分解処理剤を次の条件で焼成し、Na含有量の異なる処理剤を調製した。表9に、Na含有量の異なるPFC分解処理剤による処理能力の比較を示す。PFC分解処理剤は、Al(OH)の平均粒子径90μm、Ca(OH)の平均粒子径5μmを、Al(OH)とCa(OH)との配合比率3対7として混合し、ミニカラム(径22mm×高さ300mm)に充てんし、これをセラミックス製管状炉に装着し、N 410mL/minを送気しながら、600℃で5時間焼成した。これらPFC分解処理剤の各49mLを図9に示すガス処理システム(ただし、ミニカラムは1筒目だけとした)のミニカラムに充てんし、CF 流入濃度:1.0%、ガス流量:410mL/min、処理温度:750℃で3〜4時間通ガスした後に、窒素のみで410mL/min、750℃で加熱し、再度CF流入濃度:1.0%、ガス流量:410mL/min、処理温度:750℃で、CF除去率が95%に低下するまでの処理時間を求めた。Na含有量が少ないほど処理時間が長くなる傾向があり、Na含有量とCF処理性能の間に相関がみられた。
表9は、Na含有量とCF処理性能との関係を示す。
Figure 0005350809
処理耐用時間は長い方が好ましいため、焼成品のNa含有量は、好ましくは0.03w
t%以下、より好ましくは0.01wt%以下である。このような処理剤を得るために、原料として、0.03wt%以下、好ましくは0.01wt%以下のNaを含むAl(OH)と、0.03wt%以下、好ましくは0.01wt%以下のNaを含むCa(OH)を用いるとよい。
なお、本発明者らは、加熱によって装置内に発生する水分が蒸発せず水分過剰の状態になって、酸化アルミニウムがα化(結晶化)してアルミニウムの活性が低下すること(活性点での微細構造の変化、例えば、OH基が活性点に吸着することによる変質や活性点での局所的なα化が進み、不活性化すること)を確認し、焼成時に水分過剰の状態を回避して結晶化を阻止することでアルミニウムの活性を高く維持したPFC分解処理剤を得ることができることを見出し、PFC分解処理剤(AlとCaOの複合酸化物)を完成するに至った。さらに、AlとCaOの複合酸化物では、AlとCaOの単純混合物よりも分解処理剤としての処理性能を向上させることができることを解明した。
以上、本発明の実施の形態については、半導体の製造過程における排ガスを処理する工程におけるものとして説明したが、半導体の製造過程における排ガスの処理に限定されるものではなく、さらに、本発明の要旨を逸脱しない範囲で実施の形態に種々の変更が加えられることは明白である。
10a、10b、10c、10d 排ガス処理装置
11 主処理槽
12 第1の処理剤
13 ヒーター
21 予備処理槽
22 第2の処理剤
23 ヒーター
31〜40 切替装置、バルブ
41 ガス吸引装置、エジェクタ
51〜61 配管
71、73、75、77、79、81、83 分岐点
72、74、76、78、80、82 合流点
91 破過検知装置、ガス検知器、CFセンサー
92 熱交換器

Claims (5)

  1. 処理剤が充填された処理槽に、被処理ガスを含む排ガスを通過させることにより前記被処理ガスを処理する排ガス処理装置であって;
    前記排ガスを通過させる主処理槽と;
    前記主処理槽に充填され、前記被処理ガスを処理する第1の処理剤と;
    前記排ガスを通過させる、前記主処理槽よりも容量が小さい予備処理槽と;
    前記予備処理槽に充填され、前記被処理ガスを処理する、前記第1の処理剤とは異なる第2の処理剤と;
    前記排ガスの流れを前記主処理槽と前記予備処理槽との間で切り替える切替装置とを備え;
    前記第1の処理剤は、非晶質AlとCaOの複合酸化物を含む処理剤である、
    排ガス処理装置。
  2. 前記第1の処理剤は、複数種類の前記被処理ガスを処理する処理剤であり;
    前記第2の処理剤は、前記複数種類の被処理ガスのうちその一部の種類のガスを処理する処理剤である;
    請求項1に記載の排ガス処理装置。
  3. 前記主処理槽または前記予備処理槽に導入される前記排ガスを予熱する共通の熱交換器を備える;
    請求項1または請求項2に記載の排ガス処理装置。
  4. 前記第1の処理剤と第2の処理剤は、酸性ガスを処理する処理剤である;
    請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の排ガス処理装置。
  5. 前記非晶質AlとCaOの複合酸化物は、平均粒子(メディアン)55μm以上160μm以下のAl(OH)と、Ca(OH)とのモル比が3:7〜5:5である混合物を430℃以上890℃以下の温度範囲で、窒素流又は空気流中で焼成して得られる複合酸化物である;
    請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の排ガス処理装置。
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