JP5349856B2 - モルタル下地用ラスおよび建築壁構造 - Google Patents
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Description
モルタル下地用ラスとしては、従来、いわゆるエキスパンドメタルラスを採用することが多く実施されてきた。例えば下記の特許文献1に記載された発明では、前記エキスパンドメタルラスの要所要所の位置に、下地板に向かって突き出る球状のコブを形成したモルタル下地用ラス、および前記モルタル下地用ラスのコブをステープルで下地板へ接合することにより当該モルタル下地用ラスを下地板の面上に浮かせて貼り付け、モルタル塗布層の中央部位に位置させたモルタル壁構造が提案されている。
もっとも、この力骨付きモルタル下地用ラスの場合、縦線材および縦力骨をそれぞれ、横力骨との交点において下地板に向かって突き出るように波状に湾曲させ、同湾曲部の底に横力骨を配置して交差させ、縦線材および縦力骨との各交差部を溶接で接合した構成とされている。
しかし、縦線材および縦力骨は、横力骨との交点において下地板に向かって突き出るように波状に湾曲させ、同湾曲部の底に横力骨を配置して交差させ、縦線材および縦力骨との各交差部を溶接で接合した構成であるため、せっかく横線材の一部がラスを補強する太径の横力骨に置換された構成であるにもかかわらず、同公報の図3、図4の実施例に見るとおり、使用時の横力骨は、湾曲部の底に下地板と接するように位置し、塗布したモルタルを保持する作用、および同モルタル層を補強する作用に寄与する効果が極めて小さいという欠点が認められる。
縦線材2と横線材3とが縦・横方向に一定の間隔をあけて格子状に交差され、その各交点が接合されているラスにおいて、
前記縦線材2および横線材3のうち一定本数置きの線材が縦線材、横線材よりも太径の縦力骨4および横力骨5に置換されており、縦力骨4又は横力骨5のいずれか一方又は双方にのみ、一定間隔毎の位置に、背面に向かって局部的に突き出る屈曲部4a、5aが形成されていることを特徴とする。
屈曲部4a、5aは、縦力骨4と横力骨5の交点を外れた位置に局部的に形成されていることを特徴とする。
請求項3に記載した発明は、請求項1に記載したモルタル下地用ラスにおいて、
屈曲部4a、5aが縦力骨4と横力骨5の交点位置に双方の力骨を局部的に屈曲させて形成されていることを特徴とする。
請求項4に記載した発明は、請求項1ないし3のいずれか一に記載したモルタル下地用ラスにおいて、
屈曲部4a、5aを形成された縦力骨4又は/および横力骨5は明視色に着色されたカラー線材であることを特徴とする。
縦線材2と横線材3とが縦・横方向に格子状に交差され、その各交点が接合されているラスにおいて、
前記縦線材2および横線材3のうち一定本数置きの線材が縦線材、横線材よりも太径の縦力骨4および横力骨5に置換されており、数本置きの縦線材2又は横線材3のいずれか一方又は双方にのみ、一定間隔毎の位置に、下地板7に向かって突き出る屈曲部2aが形成されていることを特徴とする。
請求項6に記載した発明は、請求項5に記載したモルタル下地用ラスにおいて、
屈曲部2aを形成された縦線材2又は/および横線材3は明視色に着色されたカラー線材であることを特徴とする。
建築物の壁部の柱材に設備された下地板へモルタル下地用ラスを接合して貼り付け、その上にモルタルを塗布して構築されるモルタル壁構造において、
上記請求項1ないし6のいずれか一に記載したモルタル下地用ラス1の屈曲部4a、5a又は2aを、ステープル8により下地板7へ接合して同モルタル下地用ラス1を下地板7の面上に屈曲部4a、5a又は2aの高さ相当だけ浮かせて貼り付け、該モルタル下地用ラス1の上にモルタル9を塗布し、同モルタル層の厚さのほぼ中央に当該モルタル下地用ラス1を位置させる層厚にモルタルを塗布して構築されていることを特徴とする。
モルタル下地用ラス1の屈曲部4a、5a又は2aの形成は、該当する線材又は力骨に製造工程の予備段階で予め形成しておくか、又は溶接ラスとして製造した直後の工程で必要な位置へ後加工として形成できる自由度があり、製造工程上有利である。また、屈曲部4a、5a又は2aを形成する線材に予め赤色や黄色等に着色したカラー線材を選択して使用することで、屈曲部の存在や位置を目視で確認しやすくできる。
前記屈曲部4a、5aは、縦力骨4と横力骨5の交点を外れた位置に形成する。又は縦力骨4と横力骨5の交点位置に、双方の力骨を湾曲させて形成する。屈曲部4a、5aを形成する縦力骨4又は/および横力骨5は赤色又は黄色などの明視色に着色されたカラー線材とする。
あるいは屈曲部2aの形成は、縦力骨と横力骨ではなく、複数本置きの縦線材2又は/および横線材3に、一定間隔毎の位置に下地板7に向かって突き出るように形成する。
先ず図1に一部分を拡大して示したモルタル下地用ラス1は、外径が0.6mm〜1.0mm程度に細い縦線材2と横線材3とを、縦・横方向に一例として150mm程度の等間隔をあけて直交する格子状配置に交差させ、その各交点を溶接で接合して網状に構成した、いわゆる溶接ラスである。しかも前記縦線材2および横線材3のうち、例えば図2の実施例では8本おきの線材には、前記縦線材2、横線材3に比して外径が1.6mm〜2.3mmと少し太径の縦力骨4および横力骨5を配置して(置換して)、強度および剛性の大きい力骨付き溶接ラスが構成されている。
したがって、図2、図3に示したように、各屈曲部4aをステープル8により押さえ付けて下地板7へ接合することにより、このモルタル下地用ラス1は、屈曲部4aの高さ相当分だけ下地板7の板面から浮いた状態に貼り付けられる。よって、塗布したモルタル9の層厚のほぼ中央部位にモルタル下地用ラス1を位置させる施工ができ、塗布したモルタル9を保持する作用、およびモルタル層9を補強、補剛する作用に、縦線材2と横線材3の全部(全長)、および縦力骨4と横力骨5の全部が有効に寄与して、優れた下地処置の効果を発揮する。
あるいは図4に示した実施例のように、縦力骨4と横力骨5の交点位置に、縦力骨4と横力骨5の双方をV字形状に屈曲させた屈曲部4aと5aを局部的に形成して、双方の屈曲部4aと5aを交差させた構成で実施することもでき、この構成でも上記実施例と同様の作用効果を得ることができる。
本実施例2の場合も、縦線材2と横線材3とが縦・横方向に格子状に交差され、その各交点が接合された溶接ラスにおいて、前記縦線材2および横線材3のうち一定本数置きの線材を縦線材2、横線材3よりも太径の縦力骨4および横力骨5に置換する構成までは、上記実施例1と共通する。
本実施例2の特徴は、上記の一定本数置きの細径の縦線材2又は横線材3のいずれか一方又は双方の線材についてのみ、下地板7へ接合し固定するのに適切な一定間隔毎の位置に、同ラスの背面(の下地板7)に向かって突き出る屈曲部を形成した構成にある。図5は、一定本数置きの縦線材2の長手方向に一定間隔をあけた位置毎に、特に言えば、ラスの升目を形成する線分の位置に、V字形状の屈曲部2aが形成された構成の例を示している。
本実施例2の場合にも、少なくとも屈曲部2aを形成される縦線材2又は横線材3には、赤色又は黄色等の明視色に着色されたカラー線材を使用すると、現場での使用に際して、目視により屈曲部2aを探し出す時間や面倒さを省けて好都合である。
2 縦線材
3 横線材
4 縦力骨
5 横力骨
7 下地板
4a、5a 屈曲部
2a 屈曲部
9 モルタル
Claims (7)
- 縦線材と横線材とが縦・横方向に一定の間隔をあけて格子状に交差され、その各交点が接合されているラスにおいて、
前記縦線材および横線材のうち一定本数置きの線材が縦線材、横線材よりも太径の縦力骨および横力骨に置換されており、縦力骨又は横力骨のいずれか一方又は双方にのみ、一定間隔毎の位置に、背面に向かって局部的に突き出る屈曲部が形成されていることを特徴とする、モルタル下地用ラス。 - 屈曲部は、縦力骨と横力骨の交点を外れた位置に局部的に形成されていることを特徴とする、請求項1に記載したモルタル下地用ラス。
- 屈曲部は、縦力骨と横力骨の交点位置に、双方の力骨を局部的に屈曲させて形成されていることを特徴とする、請求項1に記載したモルタル下地用ラス。
- 屈曲部を形成された縦力骨又は/および横力骨は、明視色に着色されたカラー線材であることを特徴とする、請求項1ないし3のいずれか一に記載したモルタル下地用ラス。
- 縦線材と横線材とが縦・横方向に一定の間隔をあけて格子状に交差され、その各交点が接合されているラスにおいて
前記縦線材および横線材のうち一定本数置きの線材が縦線材、横線材よりも太径の縦力骨および横力骨に置換されており、数本置きの縦線材又は横線材のいずれか一方又は双方にのみ、一定間隔毎の位置に、背面に向かって局部的に突き出る屈曲部が形成されていることを特徴とする、モルタル下地用ラス。 - 屈曲部を形成された縦線材又は/および横線材は、明視色に着色されたカラー線材であることを特徴とする、請求項5に記載したモルタル下地用ラス。
- 建築物の壁部の柱材に設備された下地板へモルタル下地用ラスを接合して貼り付け、その上にモルタルを塗布して構築されるモルタル壁構造において、
上記請求項1ないし6のいずれか一に記載したモルタル下地用ラスの屈曲部を、ステープルにより下地板へ接合して、同モルタル下地用ラスを、下地板の面上に屈曲部の高さ相当だけ浮かせて貼り付け、該モルタル下地用ラスの上にモルタルを塗布し、同モルタル層の厚さのほぼ中央に当該モルタル下地用ラスを位置させる層厚にモルタルを塗布して構築されていることを特徴とするモルタル壁構造。
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