JP5349833B2 - 電磁駆動装置の製造方法 - Google Patents

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本発明は、モータやアクチュエータ等に備わるロータ用マグネット部材に駆動部材を一体化して構成した電磁駆動装置製造方法に関する。
一般に、モータ等の電磁駆動装置では、モータ回転軸にピニオンギアや駆動レバーを固定し、このピニオンギアや駆動レバーを被駆動部材と連結することにより、被駆動部材を駆動するのが普通である。
従来、このような電磁駆動装置においては、ステップモータのロータ軸とピニオンとの結合方法が提案されている(第1の従来例)。
この第1従来例では、ステップモータのロータとピニオンとを結合する際に、コイルに通電し、使用状態に励磁されたステータの磁界内にロータを配置する。この後、ロータには、治具によって規定位置に歯型を位相決めしたピニオンを、接着又は圧入により固定してステップモータを構成する。このようにして製造するステップモータでは、ロータの極とピニオンの歯型の相互位相が一定になる結合状態を保証する効果があるとされている(例えば、特許文献1参照)。
第2の従来例としてのステッピングモータの提案では、永久磁石からなるロータと、一端に小歯車を形成し他端に位置決め部を形成した樹脂製ボス部材とをインサート成形により一体化する。一体化されたロータは、その位置決め部によって着磁治具に位相決めしてセットし、一定の位置関係でロータを多極着磁することで、小歯車のギヤ歯とロータの磁極との間に一定の位置関係を形成する(例えば、特許文献2参照。)
第3の従来例としての電磁駆動露光調節装置の提案では、電磁駆動露光調節装置内のロータをプラスチックマグネットで作り、第1及び第2の回転軸とギアと磁極部分とを一体成型して構成することが提案されている。このように構成された、電磁駆動露光調節装置では、モータ回転軸にピニオンギアを固定しないで済む構成となっている(例えば、特許文献3参照)。
第4の従来例としての電磁駆動モータおよび電磁駆動モータ装置の提案では、電磁駆動モータ内のロータの外周面着磁部が回転出力伝達ギア形状をなすように構成されている。このように構成された、電磁駆動モータおよび電磁駆動モータ装置では、モータ回転軸にピニオンギアを固定しないで済む構成となっている(例えば、特許文献4参照)。
特公平6−48901号 特開2003−174763号 特登録02566031号 特開平11−055929号
しかしながら、上述した第1の従来例に記載されたステップモータのロータ軸とピニオンとの結合手段は、ロータ軸とピニオンとを接着又は圧入により固定するものである。
このような接着又は圧入による固定手段で、瞬間接着剤のなかで比較的硬化時間の短い瞬間接着剤を用いて貼着した場合には、瞬間接着剤で貼着した部分が衝撃に弱いためピニオンのロータ軸に対する輪転強度の確保が難しい。
また、瞬間接着剤のなかで比較的硬化時間が長い瞬間接着剤を用いて貼着した場合には、輪転強度を確保できる。しかし、この場合には、接着材が硬化するまでの長時間に渡ってロータをコイルに通電して使用状態に励磁されたステータの磁界内に置いておかなければならないので、ロータのマグネットに熱減磁の影響を及ぼす虞がある。さらに、この比較的硬化時間が長い瞬間接着剤を用いて貼着した場合には、組立の作業効率が低いので、製造コストが高くなる。
また、ロータ軸とピニオンとの結合手段として圧入による固定手段を用いた場合には、輪転強度確保のために所定の圧入力が必要となるので、この圧入力がコイル通電によるロータ軸位置保持力よりも大きくなる。このため、圧入固定手段を用いた場合には、強い圧入力によって圧入作業時にロータ軸が若干回転してしまい、相互位相精度にばらつきを生じてしまう。
また、ピニオンの外径が小さなものを圧入して固定した場合には、圧入力によりピニオンの歯形が変形して、ピニオンに噛み合うギアとの間で動力の伝達効率が悪化し、異音が発生する虞がある。さらに、この場合には、ピニオンの固定治具への位置決めを、歯型を用いて行うことになるので、治具に位相決めしてセットする際に、歯型に傷を付けてしまう恐れがある。
前述した第2の従来例に記載されたステッピングモータでは、ロータを着磁治具にセットする際、着磁治具内で位置決め部を所定位置にセットする位相合わせを行う必要がある。しかし着磁治具は、ロータ外径とほぼ同径の穴部を有する円筒状の着磁ヨーク内にロータを挿入する構造である。このため着磁治具内部にロータをセットした状態では、着磁治具の構造上内部にあるロータを見ることができないので、ロータの位相合わせ作業工程でミスを発生する確率が高く、作業効率が非常に悪い。
また、この第2の従来例のステッピングモータでは、ロータ外径よりも歯車外径が大きいと着磁治具内にセットできなくなるので、歯車の大きさに制限がある。例えば、歯車の変わりに駆動レバーをロータに固定したい場合には、駆動レバーの形状をロータ外径以下に制限しなければならなくなるため、設計の自由度が低くなる。
前述した第3の従来例に関わる電磁駆動露光調節装置と、前述した第4の従来例に関わる電磁駆動モータ及び電磁駆動モータ装置とでは、ロータの着磁部とギアが一体成型される構成である。すなわち、ロータを形成する材料でギアを形成することになるので、このため、一般的に磁力の強いネオジマグネットの材料でギアを形成した場合には、ギア表面に磁粉が析出して摩擦抵抗が大きくなり、歯面強度も弱くて脆くなるため、使用に耐えない。
そこで、このロータの着磁部とギアとを一体成型する構成では、磁力の弱いフェライトマグネットの材料を利用して構成するものに限定される。このため、ネオジマグネットを使用するものと同等のモータトルクを得るには、マグネット外径やコイルを大型化しなければならず、モータが大型化してしまうという問題があった。
本発明の目的は、マグネットの着磁位相とマグネットに固定される駆動部材との相互位相精度の高い電磁駆動装置を容易に製造できる製造方法を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明は、マグネット部材を備えたロータと、前記マグネット部材に対向する磁極部を備えたステータと、前記磁極部を励磁するコイルと、前記ロータに固定されて一体的に回転する駆動部材と、を有する電磁駆動装置の製造方法において、レーザ光吸収性樹脂をバインダー材として射出成形で前記マグネット部材を形成し、前記マグネット部材の着磁部に多極着磁する工程と、レーザ光透過性樹脂で前記駆動部材を形成し、前記駆動部材に前記マグネット部材の一端面と当接する溶着部を設ける工程と、位相決め用ヨークと前記位相決め用ヨークを励磁する位相決め用コイルを有する治具に前記多極着磁された前記マグネット部材を回転可能に支持して、前記位相決め用コイルに通電することで、前記マグネット部材を初期位置となる回転位相状態に保持する工程と、前記マグネット部材を前記初期位置となる回転位相状態に保持した状態で、前記駆動部材を前記マグネット部材に対して位置決めする工程と、前記駆動部材を前記マグネット部材に対して位置決めした状態で、レーザ光を前記駆動部材に透過させて前記マグネット部材に照射することにより、前記マグネット部材の一端面と前記駆動部材の溶着部とを溶着固定する工程と、を有することを特徴とする。
上述の構成によれば、駆動部材とマグネット部材との間で相対的に初期位置に位相決めする。そしてこの状態で、レーザ光を透過可能な材料で形成された駆動部材にレーザ光を透過させるように照射するレーザ光を利用して溶着固定することによって、駆動部材とマグネット部材とを一体的に固着する。このレーザ光を利用して溶着固定する場合には、固着させる際に駆動部材とマグネット部材との間を相対的に移動させるような外力が働く要因がない。よって、マグネット部材の着磁位相と駆動部材との相互位相精度の高い電磁駆動装置を製作することができる。
本発明によれば、マグネットの着磁位相とマグネットに固定される駆動部材との相互位 相精度の高い高精度な電磁駆動装置を容易に製造できる製造方法を提供できるものである。
[第1実施の形態]
以下、本発明に関わる第1実施の形態について、図1乃至図5を参照しながら説明する。
図1は、本発明の第1実施の形態に係わる電磁駆動装置を備えた光量調節装置の分解斜視図である。図2は、図1の電磁駆動装置の構成の一部であるロータユニットを取り出して示す斜視図である。図3は、図2のロータユニットの軸方向断面図である。図4は、図1の光量調節装置における電磁駆動装置の軸中心を通る平面で切断し、径方向外側から内側を見た状態を示す縦断面図である。図5は、図1の光量調節装置を下側から見た状態で、電磁駆動装置のロータユニットとステータ磁極部との位置関係を示すための要部説明図である。
図1乃至図5に示す光量調節装置における電磁駆動装置は、1−2相励磁の駆動方式による電磁駆動装置であって、一般的な2つのコイルを備える2相のステッピングモータとして構成する。
この電磁駆動装置は、ステータ1、第1のコイル2、第2のコイル3、ボビン4、マグネット5、コア6、軸7、ピニオンギア8、軸受け9、ベース部材10のモータカバー部10b及び軸支持部10cを備える。
このステータ1は、SUY(純鉄)等の軟磁性材料により形成されており、第1の外側磁極部1a、第2の外側磁極部1b、枠体部1c、穴部1dを備える。この枠体部1cは、平板状の部材の中央部に穴部1dを穿設して所定の枠形状に形成する。この穴部1dには、後述する軸受け9が取り付けられる。
この枠体部1cの相対向する両端部には、それぞれ直角に折曲して延出する第1の外側磁極部1aと第2の外側磁極部1bとを設ける。これら第1の外側磁極部1aと第2の外側磁極部1bとは、それぞれ櫛歯形状に形成され、後述するロータユニットの回転軸に対して平行となるように配置される。
電磁駆動装置用のボビン4には、第1のコイル2と、第2のコイル3とを巻回する。
図2及び図3に示すように、ロータユニットRは、マグネット5、コア6、軸7及びピニオンギア8を備える。このマグネット5は、レーザ光吸収性樹脂をバインダー材として射出成形により回転体に形成されたマグネット部材である。
このマグネット5は、円筒形状の着磁部5aと円筒の軸方向における一方の端部を覆うように形成された、円筒の軸方向にある一端面(着磁部5aの回転軸と交差する平端面)として形成した平面部5bとを有する。着磁部5aは図5に示すように、円周方向にN分割(着磁極数:N)(本実施の形態では8分割(着磁極数:8))され、S極とN極が交互に着磁されている。
コア6は、軟磁性材料製で、大径の円筒状に形成された第1円筒部6aに、小径の円筒状に形成された第2円筒部6bを同軸に一体形成して構成する。第1円筒部6a及び第2円筒部6bの軸中心部に穿孔した軸孔には、マルテンサイト系やフェライト系SUS等の強磁性材料からなる軸7を圧入等により固定して配置する。
マグネット5は、着磁部5aと平面部5bとで囲まれた空間内部(平面部内側)にコア6の第1円筒部6aを挿入し、接着等により固着して、コア6と一体化する。
ピニオンギア8は、マグネット5の回転出力を伝達するための駆動部材であるギア部8aの一方の端面部に、回転軸方向に垂直な円盤状の平面を持ち、光を透過可能な溶着部8bを一体的に配置して構成する。すなわち、溶着部8bは、ギア部8aの歯先よりも大きな外形の端板状(フランジ状)に形成する。
この駆動部材としてのピニオンギア8は、全体をレーザ光透過性樹脂で形成する。なお、この駆動部材としてのピニオンギア8は、少なくとも溶着部8bだけをレーザ光透過性樹脂(又は所定波長の光を透過可能な材料)で形成したものであっても良い。
このピニオンギア8は、マグネット5の平面部5b上に位相決めした状態で、レーザ光を溶着部8bを介してマグネット5に照射し溶着部8bとマグネット5とを溶着させることにより、マグネット5と一体化される。このようにマグネット5に溶着するための平面部5bを設けたことで溶着面を確保しやすくなり、溶着作業を容易にできる。さらに、マグネット部材上に置かれたピニオンギア8に設けた溶着部8bで溶着固定するため、固定時にピニオンギア8の歯面が変形することがない。また、ピニオンギア8は樹脂で形成されるため、歯面の摩擦を少なくでき、強度も確保しやすい。
このピニオンギア8には、溶着部8bの一部をV字状に切欠し溶着時に治具をはめてギア歯に対する回転方向の位相を決められるように形成した位相決め部8cを形成する。
次に、ロータユニットRを製造するための組立手順について、図2、図3及び図5を参照しながら工程毎に説明する。
まず、製造開始の工程として、マグネット5の着磁部5aに着磁治具にてラジアル方向に分極して着磁する。
次の工程では、コア6に軸7を圧入固定して一体化する。
次の工程では、コア6の第1円筒部6aを、マグネット5の開口内部に挿入し、接着等により貼着固定して一体化する。
次の工程では、図2に示すように、固定一体化されたマグネット5、コア6及び軸7における軸7を、治具Jの軸孔に回転可能にセットする。
この治具Jには、セットされたマグネット5の着磁部5aの所定位置に所定の隙間で対向するようにヨークYが立設されている。このヨークYには、コイルCが装着されている。
このように構成された、治具Jでは、コイルCに電流を流してヨークYを励磁することにより、回転可能にセットされているマグネット5を、初期位置となる所定の回転位相状態に保持する。
この状態で、軸7にピニオンギア8の軸孔を挿通して、ピニオンギア8をマグネット5上に載置する。そして、位相決め部8cに位相決め治具Kを当接させて位置決めすることで、ピニオンギア8は初期位置となる回転位相になるようにセットされる。
すなわち、ピニオンギア8は、位相決め部8cによって、マグネット5の着磁状態に対応した初期位置に位置決めされる。
さらに、図示しない治具でピニオンギア8の溶着部8bをマグネット5の平面部5bに密着させるよう押圧する。
そして、光を利用した固着手段であるレーザ光Lをピニオンギア8の溶着部8bとマグネット5の平面部5bとの接触面に照射することで溶着部8bを平面部5bに溶着させ、ピニオンギア8をマグネット5に固定する。レーザ光Lの照射の仕方は、図3のように2個所をスポット(点)で照射しても良いし、溶着部8bを円弧状にライン照射しても良い。照射されたレーザ光Lは、ピニオンギア8の溶着部8bを透過してマグネット5の平面部5bに到達し吸収される。
このように溶着部8bと平面部5bとが接触している溶着面で吸収された、光を利用した固着手段としてのレーザ光Lは、これらの部材に熱エネルギーとして蓄積される。その結果、平面部5bは加熱溶融され、さらに平面部5bからの熱伝達により溶着部8bと平面部5bの接触面が加熱溶融される。
この際に溶着部8bと平面部5bは、図示しない治具によって密着されているので、溶着部8bと平面部5bとが溶着されて一体的に接合される。よって、このようにマグネット5にピニオンギア8を溶着した場合には、ピニオンギア8のロータ軸(マグネット5、コア6、軸7)に対する十分な輪転強度を得ることができる。
上述のようにして製作されたロータユニットRは、ピニオンギア8のギア部8aの歯と、マグネット5の着磁部5aの着磁位相とが、相対的に所定の位置関係となる。具体的には、図5に示すように、ピニオンギア8のギア部8aの基準歯8dが図中真下を向いた状態で、位置決め部8cと、マグネット5の着磁部5aにおける所定の磁極の磁極中心とのなす角がθ1となる位置関係である。
この図5は、電磁駆動装置が初期位置にある状態を示している。この初期位置状態では、コイル2に正通電してステータ1の第1磁極部1aをN極に励磁したときに、ロータユニットRのピニオンギア7の基準歯8dが図中真下に向くように設定されている。
よって、ロータユニットRを製作するためピニオンギア8とマグネット5とを溶着する治具Jは、図5の状態を実現するように治具Jを構成すればよい。すなわち、ステータ1の第1の外側磁極部1aに相当するヨークYと、第1のコイル2に相当するコイルCとを図5に示す所定の配置で治具J上に設置すればよい。
このような治具Jを用いて製作されたロータユニットRでは、初期位置状態になるようコイル2を励磁したときに、ピニオンギア8の基準歯8dが常に一定の位相位置となる状態が保証される。
また、このロータユニットRの製造方法では、光を利用した固着手段であるレーザ光による溶着時の熱エネルギーが、マグネット5の平面部5bの内側に配置された軟磁性材料製コア6の第1円筒部6a側へ速やかに放熱される。よって、このロータユニットRの製造方法では、レーザ光による溶着時の熱エネルギーがマグネット5の着磁部5aに熱減磁の影響を与えることを抑制できる。
これと共に、このロータユニットRの製造方法では、レーザ光による溶着処理が瞬時に終了するから短時間で効率良く製造できるので、組立コストを低減し、廉価な製品を提供できる。さらに、このロータユニットRの製造方法では、ピニオンギア8をマグネット5に固定するためにかかる時間は一瞬で済み、コイル通電保持によるマグネット5への発熱の影響をほとんど受けない。
すなわち、このロータユニットRの製造方法では、マグネット5の着磁部5aを位相決めするために、ヨークYを励磁するようコイルCに電流を流すときの通電時間を短時間とし、マグネットに熱減磁の影響を及ぼすことを抑制できる。
また、このロータユニットRの製造方法では、コイル通電によるロータ軸位置保持力に抗する回転力が発生しないため、相互位相精度の良いものとなる。すなわち、このロータユニットRの製造方法では、レーザ光による溶着処理の際に、ピニオンギア8とマグネット5とを相対的に回転させるような力が働くことが無いので,これらの相互位相精度が高い製品を製作できる。
さらに、このロータユニットRの製造方法では、ピニオンギア8のギア部8aとは別に設けられる溶着部8bにて溶着固定されるため、ピニオンギア8の外径の大小にかかわらずピニオンギア8の歯型が変形することがない。このロータユニットRの製造方法では、ピニオンギア8を溶着治具へセットする際に、溶着部8bの一部に設けられた位相決め部8cに位相決め治具Kを当接させて位置決めするので、固定時にギア部8aの歯面を傷付ける心配がない。
これと共に、このロータユニットRの製造方法では、溶着部8bがギア部8aの歯先よりもラジアル方向に大きく広がった外形に形成されているので、回転方向に対する溶着強度を高めることができる。
このロータユニットRの製造方法では、位相決め治具Kでピニオンギア8の位相決め部8cを利用して位相決めすると同時に、治具JのヨークYでマグネット5の位相決めをする。これによって、ピニオンギア8とマグネット5との相対的な位相決めを一度に行うようにしたものである。よって、このロータユニットRの製造方法では、着磁治具にてマグネット5を着磁する際に位相決めを行うことを省略できる。さらに、このロータユニットRの製造方法では、位相決め治具Kでピニオンギア8の位相決め部8cを利用して位相決めする状態と、治具JのヨークYでマグネット5の位相決めをする状態とを、容易に目視で確認できる構成である。よって、このロータユニットRの製造方法では、ピニオンギア8とマグネット5との位置決めセットの作業を、外部から見ながら容易に行うことができ、作業能率を向上できる。
また、このロータユニットRの製造方法では、ピニオンギア8とマグネット5とを別体で構成することを前提とする。このピニオンギア8は、レーザ光透過性樹脂で形成されるものである。具体的にいうと、ピニオンギア8は、ポリカーボネイト(PC)やポリアセタール樹脂(POM)等の一般的な材料を使用して形成することにより、ギア部8aの歯面の摩擦を少なくし、歯面強度を十分に確保できる。またマグネット5は、レーザ光吸収性樹脂をバインダー材とした射出成形により形成されるものであり、磁力の高いネオジマグネットを使用可能となる。
上述のようにして製造されたロータユニットRは、ユニット状態で軸7の一端である第1端部7aがピニオンギア8よりも外部に露出し、軸7の他端である第2端部7bがコア6よりも外部に露出するよう構成されている。(図3参照)
図1及び図4に示すようにロータユニットRは、軸7の第1端部7aがステータ1に設置した軸受け9に支受され、軸7の第2端部7bがベース部材10に設置したロータ軸支持部10cに支受された状態で装着される。
この電磁駆動装置では、軸受け9が、軟磁性材料により円筒形状に形成されステータ1の穴部1dに圧入等により取り付けられる。この軸受け9は、その軸受穴内に、ロータユニットRの軸7の第2端部7bを回動自由に挿入して支受する。
この電磁駆動装置を構成するベース部材10は、中央に開口部10aが形成されたリング状の部材である。ベース部材10には、モータカバー部10bと、ロータユニットRの軸7の第1端部7aが嵌合するロータ軸支持部10cと、後述の初期位置センサーが取り付けられるセンサー保持部10dとが設けられている。
この電磁駆動装置を組立てる場合には、ベース部材10のモータカバー部10bにおけるロータ軸支持部10cに、ロータユニットRの軸7の第1端部7aを支受させる。次に、モータカバー部10bには、第1のコイル2及び第2のコイル3が巻回されたボビン4を取り付ける。次に、モータカバー部10bには、軸受け9が固定されたステータ1を取り付け、軸受け9の軸受穴内にロータユニットRの軸7の第2端部7bを回動自由に挿入して支受させて組立てる。
上述のように構成された電磁駆動装置では、第1のコイル2及び第2のコイル3が、ステータ1の枠体部1c上に隣接して配置される。第1のコイル2は、軸方向におけるマグネット5とステータ1の枠体部1cとの間で、第1の外側磁極部1aを中心にボビン4に巻回された構成となっている。このように構成した電磁駆動装置では、第1のコイル2へ通電することにより、ステータ1の第1の外側磁極部1aが励磁される。
第2のコイル3は、軸方向におけるマグネット5とステータ1の枠体部1cとの間で、第2の外側磁極部1bを中心にボビン4に巻回された構成となっている。このように構成した電磁駆動装置では、第2のコイル3へ通電することにより、ステータ1の第2の外側磁極部1bが励磁される。
この電磁駆動装置では、ステータ1の第1の外側磁極部1aと第2の外側磁極部1bが、マグネット5の着磁部5aの外周面に対して所定の隙間を開けて対向するよう構成されている。
この電磁駆動装置では、コア6の第1円筒部6aにおける第2の外側磁極部1aに対向する部分と、コア6の第2円筒部6bにおける第1のコイル2に対向する部分とにより、第1の内側磁極部が形成される。
同様に、この電磁駆動装置では、コア6の第1円筒部部6aにおける第2の外側磁極部1bに対向する部分と、コア6の第2円筒部6bにおける第2のコイル3に対向する部分とにより、第2の内側磁極部が形成される。
この電磁駆動装置では、第1のコイル2へ通電することで、第1の外側磁極部1aと第1の内側磁極部をそれぞれ反対の極に励磁して、その磁極間にマグネット5を横切る磁束を発生させ、磁束を効果的にマグネット5に作用させる。同様に、この電磁駆動装置では、第2のコイル3へ通電し、第2の外側磁極部1bと第2の内側磁極部をそれぞれ反対の極に励磁し、その磁極間にマグネット5を横切る磁束を発生させ、磁束を効果的にマグネット5に作用させる。
また、この電磁駆動装置では、軸受け9を軟磁性材料にし、軸7を強磁性材料にすることで磁路として活用することができ、モータの磁気回路の抵抗を低くでき、出力向上につなげることができる。
上述した光量調節装置における電磁駆動装置は、モータカバー部10b及び軸支持部10cをベース部材10に一体で形成しているが、この構成に限られるものではない。例えば、電磁駆動装置は、モータカバー部10b及び軸支持部10cをベース部材10と別体の部品とすることでユニット化したものをベース部材10に組み付けるように構成しても良い。
上述のように構成された電磁駆動装置で駆動される光量調節装置は、電磁駆動装置の機台となっているベース部材10に対して装着された、回転部材18、遮光羽根F及びカム部材19を備える。
回転部材18は、遮光羽根F(11,12,13,14,15,16,17)の開閉手段としての回転部材である。この回転部材18は、中央に円形開口部18aが形成されたリング状に形成されている。この回転部材18には、軸穴部18b,18c,18d,18e,18f,18g,18hと、回転嵌合突起部18iと、ギア部18jと、センサ用の遮光部18kが設けられている。
この回転部材18の平面における円形開口の周囲には、リング状の回転嵌合突起部18iを突設する。この回転嵌合突起部18iは、回転部材18がベース部材10のリング形状に重ね合わされた状態で、押え部材10の開口部10aに摺動可能にはまり、ベース部材10と同芯に回転部材18が回動自由となるようガイドする。
回転部材18に設けたギア部18jは、回転部材18の外周部の一部の円弧状の所定範囲にギア歯を配置して構成されている。このギア部18jには、前述した電磁駆動装置のピニオンギア8が噛み合わされる。このように構成することにより、電磁駆動装置を駆動してピニオンギア8を正転又は逆転させて、ベース部材10に対して回転部材18を回動操作可能とする。
また、光量調節装置には、ベース部材10に対する回転部材18の初期位置を検出するための初期位置検出手段を設ける。この初期位置検出手段を構成するため、ベース部材10には、筒枠状に形成されたセンサー保持部10dを設ける。このセンサー保持部10dには、初期位置センサー20をはめ込んで取り付ける。
さらに、ベース部材10には、センサー保持部10dの中から他を発し、ベース部材10の円弧に沿って所定長さ延出する貫通溝であるガイド溝10eを穿設する。
これと共に回転部材18には、ガイド溝10eに対応した所定位置に、小矩形突片状の遮光部18kを突設する。
そして、ベース部材10に回転部材18を装着することにより、遮光部18kがガイド溝10e内に挿入された状態で移動可能となるように構成する。さらに、この初期位置検出手段では、ベース部材10に対して回転部材18がこの初期位置にあるとき、遮光部18kが、センサー保持部10d内の初期位置センサー20に検知される位置に移動しているように構成する。
すなわち、この初期位置検出手段では、回転部材18の回動動作に伴って遮光部18kが初期位置センサー20に挿入されて遮光部18kが検知されているときに、回転部材18が初期位置状態にあると検知する。なお、この初期位置検出手段では、遮光部18kが初期位置センサー20から退避されて、初期位置センサー20が遮光部18kを検知していないときに、回転部材18が初期位置から逸脱して移動中であると検知する。
この光量調節装置では、初期位置センサー20が遮光部18kを検知したときに、光量調節部材としての遮光羽根Fが、全開状態となる。
光量調節装置に装着する光量調節部材としての遮光羽根Fは、複数(本実施の形態では7枚)の羽根部材(11,12,13,14,15,16,17)で構成されている。
この遮光羽根Fは、遮光性を有し開口量を規制するよう構成され、全体を合成樹脂により一体成型により製作した薄板状の羽根基部を備える。この羽根基部は、第1基部11a,12a,13a,14a,15a,16a,17aと、第2基部11b,12b,13b,14b,15b,16b,17bとで構成する。
この第1基部の一方の面には、円柱或いは円筒状の第1軸部11c,12c,13c,14c,15c,16c,17cを一体的に突設する。これと共に、第1基部の他方の面には、円柱或いは円筒状の第2軸部11d,12d,13d,14d,15d,16d,17d(一部不図示)を一体的に突設する。
この遮光羽根Fは、光軸を中心に円周方向に第1基部11a〜17a及び第2基部11b〜17bを均等配置して構成されている。
遮光羽根Fは、遮光性を有する第1基部11a〜17a及び第2基部11b〜17bが重ね合わされることで絞り開口の開口量を制御可能に構成されている。この遮光羽根Fでは、第1基部11a〜17a及び第2基部11b〜17bの重ね合わせが大きいほど絞り開口量は小さくなる。
回転部材18と相俟って遮光羽根Fの開閉手段を構成するカム部材19は、中央に円形開口部19aが形成されたリング状の部材である。このカム部材19には、円周側から中心側へ向けて略斜めのラジアル方向に沿って形成された複数のカム溝部19b,19c,19d,19e,19f,19g,19hを穿設する。
これらカム溝部19b,19c,19d,19e,19f,19g,19hには、それぞれ対応する第2軸部11d,12d,13d,14d,15d,16d,17dが摺動自在に挿入される。
カム部材19には、その外周部における所定対応箇所(ここでは中心角の3分割位置)にそれぞれ回転部材18を摺動自在に支受する台座部19Jを立設する。これと共に、カム部材19には、その外周部に配置された台座部19Jの各間位置に、それぞれ係着フック部19kを突設する。この係着フック部19kは、矩形柱状でその自由端部に内側に向けて突出するフックが形成されている。
この係着フック部19kは、ベース部材10の外周部における各対応位置に矩形溝状に穿設された係着凹部10Fに係着して、カム部材19にベース部材10を保持させるように構成する。なお、このとき台座部19Jは、カム部材19とベース部材10との間の間隔を一定に保持するスペーサとして機能する。
次に、この光量調節装置の組立について説明する。この光量調節装置では、カム部材19上に遮光羽根Fを載置し、第2軸部11d乃至17dをそれぞれ対応するカム溝部19b乃至19hに挿入する。
さらに、この遮光羽根Fの上に回転部材18を載置し、遮光羽根Fの第1軸部11c乃至17cをそれぞれ対応する回転部材18の軸穴部18b乃至18hに挿入する。
次に、その上にベース部材10を被せ、回転部材18と遮光羽根F11〜17を間に挟んだ状態でカム部材19に係着フック部19kで係着して、全体を一体的に組み付ける。このように構成された光量調節装置では、カム部材19にベース部材10を係着する構造が、回転部材18と遮光羽根F11〜17の光軸方向の抜け止めの役割を果たす。
次に、上述のように構成された光量調節装置の動作を説明する。
この光量調節装置では、制御手段が回転部材18の初期位置を基準にして電磁駆動装置を制御する。
このため制御手段は、電磁駆動装置を制御して、回転部材18を初期位置に戻すよう制御する。そして、制御手段は、初期位置センサー20が遮光部18kを検知して遮光羽根F11乃至17が初期位置状態に復帰したことを検知したときに電磁駆動装置を停止させる制御を行う。
次に、制御手段は、所要の絞り位置まで電磁駆動装置を1−2相駆動させる。この時、制御手段は、電磁駆動装置のロータユニットRを図1の半時計方向に回転させることでピニオンギア8を回転させる。
ピニオンギア8は、回転部材18のギア部18jに噛み合っているので回転部材18が図1の時計方向に回転する。回転部材18の軸穴部18b〜18hには遮光羽根F11〜17の第1軸部11c〜17cが嵌合している。このため、遮光羽根F11〜17は、それぞれ第1軸部11c〜17cの動作によって第2軸部11d〜17dがカム部材19のカム溝部19b〜19hに沿って移動される。
これら7枚の遮光羽根F11〜17は、それぞれが同様の回転動作をするので、カム部材19の開口部19aを全開する状態から所定の絞り径となる絞り位置まで移動する。
なお、所要の絞り位置から初期位置状態に戻す場合には、制御手段が、初期位置センサー20により遮光部18kが検出されるまで、電磁駆動装置を絞り方向とは逆方向に駆動させる。
上述した第1実施の形態では、マグネット5に着磁部5aと平面部5bとを設け、平面部5b上でピニオンギア8と溶着固定する構成としたものについて説明した。しかし、例えば、マグネット5の着磁部の径方向幅が大きいものでは、ピニオンギア8を溶着するときに着磁部に対して熱の影響を与えにくくなるので、着磁部の端面にて溶着する構成としても良い。
また、上述した第1実施の形態において、ピニオンギア8は、溶着部8bをギア部8aと別に設け、溶着部8bにてマグネット5と溶着固定する構成とした。しかし、例えば、ピニオンギア8が大径のものでは、ギア部の下端面にて溶着する構成としても良い。
[第2実施の形態]
次に、本発明の第2実施の形態について、図6乃至図11を参照しながら説明する。図6は、電磁駆動装置を備えた光量調節装置の分解斜視図である。図7は、図6の電磁駆動装置の一部を構成するロータユニットを取り出して示す斜視図である。図8は、図7のロータユニットの軸方向断面図である。図9は、図6の光量調節装置における電磁駆動装置の軸中心位置で切断し、径方向外側から内側を見た時の縦断面図である。図10は、図6の光量調節装置における電磁駆動装置のシャッタ羽根が開放状態にあるときのロータユニットとステータ磁極部との位置関係を表す平面図である。図11は、図6の光量調節装置における電磁駆動装置のシャッタ羽根が閉鎖状態にあるときのロータユニットとステータ磁極部との位置関係を表す平面図である。
この電磁駆動装置は、ステータ21、コイル22、ボビン23、ロータユニットR1及び軸受け28を備える。このステータ1は、SUY(純鉄)等の軟磁性材料により形成されており、4つの櫛歯形状で構成される外側磁極部21a〜21d、円板部21fを備える。この円板部21fの中央には、後述する軸受け28が取り付けられる穴部21eを形成する。外側磁極部21a〜21dは、後述するロータユニットの回転軸に対し平行に配置される。
この電磁駆動装置では、コイル22を、ボビン23のボビン部23aに巻回して配置する。ボビン23は、端子台23cと、端子台23cに一体で形成される樹脂端子23dとを備える。コイル22の2つの線端は、樹脂端子23dにからげる。さらに、ボビン23には、後述のマグネット24(マグネット部材)を覆うカバー部23bを一体に形成する。
図7に示すように、ロータユニットR1は、マグネット24、コア25、軸26、駆動レバー27を備える。マグネット24は、レーザ光吸収性樹脂をバインダー材とした材料を用いて射出成形により形成されたマグネット部材である。このマグネット24は、円筒形状の着磁部24aと円筒の一方の端面に円筒の軸方向に垂直な平面部24bとを有する。
この着磁部24aは、円周方向にN分割(着磁極数:N)(本第2実施の形態では8分割(着磁極数:8))され、S極とN極が交互に着磁されている(図10参照)。
コア25は、軟磁性材料にて形成され、第1円筒部25aと第2円筒部25bを有する。第1円筒部25a及び第2円筒部25bの軸中心には、マルテンサイト系やフェライト系SUS等の強磁性材料からなる軸26が圧入等により固定される。
マグネット24の着磁部24aの内側の空間にコア6の第1円筒部25aが配置され、平面部24bの中央に第2円筒部25bが配置される状態で、マグネット24とコア25とは接着等の手段により一体化される。
駆動レバー27は、レーザ光透過性樹脂で形成される。駆動レバー27は、マグネット24の回転出力を伝達するための駆動部材であって、溶着部27bと、腕部27cと、駆動ピン27aとを有する。この溶着部27bは、マグネット24の円筒軸方向に垂直な円盤状の平面部分に形成する。腕部27cは、溶着部27bの側面から径方向外側に延びる腕状に一体に形成する。駆動ピン27aは、腕部27cの先端でマグネット24の円筒軸と平行な方向に延びる円柱状に形成する。
駆動部材としての駆動レバー27は、レーザ光を溶着部27bに照射して溶着部27bをマグネット24の平面部24bに溶着することにより、マグネット24に固定される。これにより、マグネット24の着磁位相と駆動レバー27の回転出力伝達部との相互位相精度の高い電磁駆動装置とすることができる。また、駆動レバー27に設けた溶着部27bで溶着固定するため、固定時に回転出力伝達部が変形することがない。また、駆動レバー27は樹脂で形成されるため、回転出力伝達部の摩擦を少なくでき、強度も確保しやすい。
次に、ロータユニットR1の組立手順について説明する。(図7、図8、図10及び図11参照)
このロータユニットR1の製造にあたっては、まず、マグネット24を着磁治具にてラジアル方向着磁する。
次に、コア25に軸26を圧入により固定する。
次に、コア25にマグネット24を接着等により固定する。
次に、固定一体化されたマグネット24、コア25及び軸26を回転可能に治具にセットする。そして、治具に設けられたマグネット24の着磁部24aの所定位置に所定の隙間で対向するヨークに電流を流してヨークを励磁することによりマグネット24を、治具内で所定の回転位相状態に保持する。
次に、駆動レバー27を治具にセットする。このとき、駆動レバー27は、駆動ピン27aを利用して治具に対して位置決めすることにより所定の回転位相の状態にセットする。すなわち、駆動レバー27は、駆動ピン27aによって、マグネット24の着磁状態に対応した初期位置に位相決めされる。
次に、駆動レバー27の溶着部27bをマグネット24の平面部24bに密着させる。そして、レーザ光を駆動レバー27の溶着部27bとマグネット24の平面部24bとの接触面に照射することで溶着部27bを平面部24bに溶着させ、駆動レバー27をマグネット24に固定する。
ここで、レーザ光の照射の仕方は、図8のように2個所をスポット(点)で照射しても良いし、溶着部27bを円弧状にライン照射しても良い。照射されたレーザ光は、駆動レバー27の溶着部27bを透過してマグネット24の平面部24bに到達し吸収される。このとき、溶着部27bと平面部24bとが接触している溶着面では、吸収されたレーザ光がエネルギーとして蓄積され、その結果、平面部24bが加熱溶融される。これと共に、平面部24bからの熱伝達により溶着部27bと平面部24bの接触面が加熱溶融される。この際に溶着部27bと平面部24bは治具によって密着されているので、溶着部27bと平面部24bとが一体的に接合する。
以上説明した工程により、ロータユニットR1が作成される。
このようにして構成したロータユニットR1は、駆動レバー27の駆動ピン27aと、マグネット24の着磁部24aの着磁位相とが、所定の値となる。具体的には図10及び図11のように、駆動レバー27の駆動ピン27aはマグネット24の着磁部24aのS極とN極との境界線の径方向延長上に位置するように固定される。
軟磁性材料からなるコア25の第1円筒部25aがマグネット24の平面部24bの内側に配置されるため、溶着時のレーザ光による発熱を放熱する効果があり、マグネット24の着磁部24aに影響を与えにくい。
上述した工程で製作されるロータユニットR1は、駆動レバー27とマグネット24との固定をレーザ溶着にて行うので、固定にかかる時間が一瞬で済み、コイル通電保持によるマグネット24への発熱の影響がほとんどない。また、上述した工程で製作されるロータユニットR1は、駆動レバー27とマグネット24とを固定する際に、コイル通電によるロータ軸位置保持力に抗する回転力が発生しないため、相互位相精度を高くできる。
上述した工程で製作されるロータユニットR1では、着磁治具にてマグネット24を着磁する際に位相決めを行う必要がなく、溶着治具でマグネット24と、駆動レバー27の固定の際に位相決めを行うものである。その際、マグネット24の位相決めは、溶着治具内に設けられるコイルの通電で行い、駆動レバー27の溶着治具へのセット時は駆動ピン27aにて治具に位置決めする。よって、マグネット24の位相決めに当たっては、駆動レバー27がマグネット24の外径よりも大きくても、位相決め固定に何ら支障をきたさない。
このように製作されるロータユニットR1は、ユニット状態で軸26の一端である第1端部26aがコア25から外部に露出しており、軸26の他端である第2端部26bがコア25から外部に露出している。(図8参照)
このロータユニットR1を支受するステータには、穴部21eに軸受け28を圧入等により取り付ける。この軸受け28は、軟磁性材料からなる第1円筒部28a及び第2円筒部28bを貫通する軸受孔に、ロータユニットR1の軸26の第2端部26bを軸着する。
上述のように構成された軸受け28が固定されたステータ21、コイル22が巻回されたボビン23及びロータユニットR1は、ベース部材29(図6の裏面)に一体的に装着されて、電磁駆動装置を構成する。
このベース部材29は、中央に開口部29aが形成されたリング状の部材であり、軸部29b、29c、穴部29d、ロータ軸支持部29eが設けられている。
このロータ軸支持部29eには、ロータユニットR1の軸26の第1端部26aが軸着される。これにより、ロータユニットR1は、軸受け28とロータ軸支持部29eとにより回転自在に支受される。
また、この電磁駆動装置では、コイル22を、ステータ21の円板部21f上に配置する。このコイル22は、軸方向におけるマグネット24とステータ21の円板部21fとの間で、コア28の第1円筒部28aを中心に入れたボビン23に巻回して配置される。これにより、コイル22へ通電することにより、ステータ21の外側磁極部21a〜21dが励磁される。
本第2実施の形態では、ステータ21の外側磁極部21a〜21dは、マグネット24の着磁部24aの外周面に所定の隙間をあけて対向する構成となっている。そして、コア25の第1円筒部25aと、軸受け28とにより、内側磁極部が形成される。
この電磁駆動装置では、コイル22へ通電することで、外側磁極部1a〜1dと内側磁極部をそれぞれ反対の極に励磁して、その磁極間にマグネット24を横切る磁束を発生させ、磁束を効果的にマグネット24に作用させる。また、この電磁駆動装置では、軸受け28を軟磁性材料にし、軸26を強磁性材料にすることで磁路として活用する。これにより電磁駆動装置は、磁気回路の抵抗を低くでき、出力向上につながる。
このように構成した電磁駆動装置は、シャッタ羽根30、31を駆動するものである。ここで、本第2実施の形態の光量調節装置における電磁駆動装置は、軸支持部29eをベース部材29に一体で形成しているが、これらを別体の部品とすることで電磁駆動装置をユニット化してベース部材29に組み付けるようにしても良い。
上述のように構成された電磁駆動装置で駆動される光量調節装置は、電磁駆動装置の機台となっているベース部材29に対して装着された、シャッタ羽根30、31及び押え部材32を備える。
シャッタ羽根30、31は、それぞれ光量調節部材であり、遮光性を有し、軸穴部30a、31aと長穴部30b、31bとが形成されている。
押え部材32は、シャッタ羽根30、31を間に挟んでベース部材29に固定され、シャッタ羽根30、31の光軸方向の抜け止めの役割を果たす。その際、シャッタ羽根30は、軸穴部30aがベース部材29の軸部29bに嵌合して回転可能に支持される。シャッタ羽根31は、軸穴部31aがベース部材29の軸部29cに嵌合して回転可能に支持される。また、駆動レバー27の駆動ピン27aはシャッタ羽根30の長穴部30bとシャッタ羽根31の長穴部31bとに回動可能に支受される。
これにより本第2実施の形態の電磁駆動装置を備えた光量調節装置が構成される。
次に、上述のように構成した本第2実施の形態の光量調節装置の動作について説明する。
図10は、シャッタ羽根30、31がベース部材29の開口部29aから退避しているシャッタ開放状態を表している。この状態は、コイル22を正通電することで、ステータ21の外側磁極部21a〜21dをS極に励磁した状態である。また、この状態でコイル22の通電をOFFしても、ステータ21とマグネット24とに働くコギング力により、その位置が保持される。すなわち、図10に示す状態では、着磁部24aのN極の中心が外側磁極部21a〜21dの中心に一致するように図中時計方向に回転する力が働いている。しかし図10に示す状態にでは、駆動レバー27の腕部27cがボビン23のカバー部23bに当接して止められその位置が保持される。
次に、図10の状態からコイル22に逆通電することで、ステータ21の外側磁極部21a〜21dをN極に励磁する。するとマグネット24は、図10に向かって反時計方向に回転し、図11の状態となる。
その際、マグネット24に固定されている駆動レバー27も回転し、駆動ピン27aがシャッタ羽根30の長穴部30b及びシャッタ羽根31の長穴部31bを押す。すると、シャッタ羽根30は、軸穴部30aを中心に図6の時計方向に回転する。これと共に、シャッタ羽根31は、軸穴部31aを中心に図6に向かって反時計方向に回転する。この動作により、シャッタ羽根30、31は、ベース部材29の開口部29aを覆って、シャッタ閉鎖状態となる。
また、図11の状態でコイル22の通電をOFFした場合には、ステータ21とマグネット24とに働くコギング力により、その位置が保持される。すなわち図11の状態では、着磁部24aのS極の中心が外側磁極部21a〜21dの中心に一致するように図11に向かって反時計方向に回転する力が働いている。しかしこの状態では、駆動レバー27の腕部27cがボビン23のカバー部23bに当接して止められるので、その位置が保持される。
なお、シャッタ閉鎖状態からシャッタ開放状態に戻すときは、コイル22の通電を正通電させれば、上述とは逆の動作でシャッタ開放状態に戻る。
また、上述した本第2実施の形態では、マグネット24に着磁部24aと平面部24bとを設け、平面部24bにて駆動レバー27と溶着固定する構成について説明した。しかし、例えば、マグネット24の着磁部の径方向幅が大きいものでは、着磁部に熱の影響を与えにくいので、着磁部の端面にて溶着する構成としても良い。
なお、上述した実施の形態では、マグネット部材(マグネット5、マグネット24)に対して駆動部材(ピニオンギア8、駆動レバー27)を、レーザ光で溶着する手段について説明した。しかし、本発明では、マグネット部材(マグネット5、マグネット24)に対して駆動部材(ピニオンギア8、駆動レバー27)を、光を利用した固着手段としての光硬化型接着剤で固着する手段を用いても良い。この場合には、少なくとも駆動部材(ピニオンギア8、駆動レバー27)が光硬化型接着剤を硬化させるための波長を持つ光線(光を利用した固着手段)を透過させる材料で構成されていれば良い。
また、本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、その他種々の構成を採り得ることは勿論である。
本発明の第1実施の形態に係わる電磁駆動装置を備え光量調節装置の分解斜視図である。 図1の電磁駆動装置の構成の一部であるロータユニットを取り出して示す斜視図である。 図2のロータユニットの軸方向断面図である。 図1の光量調節装置における電磁駆動装置の軸中心を通る平面で切断し、径方向外側から内側を見た状態を示す縦断面図である。 図1の光量調節装置を下側から見た状態で、電磁駆動装置のロータユニットとステータ磁極部との位置関係を示すための要部説明図である。 電磁駆動装置を備えた光量調節装置の分解斜視図である。 図6の電磁駆動装置の一部を構成するロータユニットを取り出して示す斜視図である。 図7のロータユニットの軸方向断面図である。 図6の光量調節装置における電磁駆動装置の軸中心位置で切断し、径方向外側から内側を見た時の縦断面図である。 図6の光量調節装置における電磁駆動装置のシャッタ羽根が開放状態にあるときのロータユニットとステータ磁極部との位置関係を表す平面図である。 図6の光量調節装置における電磁駆動装置のシャッタ羽根が閉鎖状態にあるときのロータユニットとステータ磁極部との位置関係を表す平面図である。
符号の説明
1 ステータ
1a 第1の外側磁極部
1b 第2の外側磁極部
2 第1のコイル
3 第2のコイル
4 ボビン
5 マグネット
5a 着磁部
5b 平面部
6 コア
7 軸
8 ピニオンギア
8a ギア部
8b 溶着部
21 ステータ
21a〜21d 外側磁極部
22 コイル
23 ボビン
24 マグネット
24a 着磁部
24b 平面部
25 コア
26 軸
27 駆動レバー
27a 駆動ピン
27b 溶着部
27c 腕部
28 軸受け
29 ベース部材
29b 軸部
29c 軸部

Claims (6)

  1. グネット部材を備えたロータと、前記マグネット部材に対向する磁極部を備えたステータと、前記磁極部を励磁するコイルと、前記ロータに固定されて一体的に回転する駆動部材と、を有する電磁駆動装置の製造方法において、レーザ光吸収性樹脂をバインダー材として射出成形で前記マグネット部材を形成し、前記マグネット部材の着磁部に多極着磁する工程と、
    ーザ光透過性樹脂で前記駆動部材を形成し、前記駆動部材に前記マグネット部材の一端面と当接する溶着部を設ける工程と、
    位相決め用ヨークと前記位相決め用ヨークを励磁する位相決め用コイルを有する治具に前記多極着磁された前記マグネット部材を回転可能に支持して、前記位相決め用コイルに通電することで、前記マグネット部材を初期位置となる回転位相状態に保持する工程と、
    前記マグネット部材を前記初期位置となる回転位相状態に保持した状態で、前記駆動部材を前記マグネット部材に対して位置決めする工程と、
    前記駆動部材を前記マグネット部材に対して位置決めした状態で、レーザ光を前記駆動部材に透過させて前記マグネット部材に照射することにより、前記マグネット部材の一端面と前記駆動部材の溶着部とを溶着固定する工程と、を有することを特徴とする電磁駆動装置の製造方法
  2. 前記マグネット部材の軸方向における一方の端部に平面部を設け、当該平面部と前記駆動部材の溶着部とを溶着固定することを特徴とする請求項1に記載の電磁駆動装置の製造方法
  3. 前記ロータは前記マグネット部材の平面部内側に軟磁性材料からなるコアが配置されることを特徴とする請求項2に記載の電磁駆動装置の製造方法
  4. 前記駆動部材はギアであることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の電磁駆動装置の製造方法
  5. 前記ギアの溶着部を、歯先よりも外径が大きな端板状に形成したことを特徴とする請求項4に記載の電磁駆動装置の製造方法
  6. 前記駆動部材は回転出力伝達部を備えたレバーであることを特徴とする請求項1又は2に記載の電磁駆動装置の製造方法
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