JP2006113256A - 光量調節装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 光量調節装置の構成の簡素化、及び精度向上を目指す。
【解決手段】 第1の駆動装置にてシャッタ羽根を第1の位置(閉状態)と第2の位置(開状態)とで切り替え、第2の駆動装置にて光量調節装置を第3の位置と第4の位置とで切り替え、第1の駆動装置に連動する係止部材によって光量調節装置を第3の位置と第4の位置の間である第5の位置に停止させる。
【選択図】 図1

Description

本発明は開口部を通過する光量を調節するシャッタ羽根と光量調節羽根をそれぞれ別の駆動装置によって駆動させる光量調節装置の改良に関するものである。
従来のレンズシャッタカメラのシャッタ装置としては図17に示すものがある(例えば特許文献1参照)。図17はシャッタ装置の平面図であり、図18、図19は該シャッタ装置のシャッタ羽根を駆動している駆動装置図であり、駆動の仕組みを示す平面図である。
図17において101は回転可能なマグネット、102aは駆動レバー102に設けられた駆動ピンである。駆動レバー102はマグネット101に固着され、マグネット101と一体的に回動する。103はコイル、104は軟磁性材料からなり、コイル103により励磁されるコの字状のステータである。コイル103への通電により、ステータ104に設けられた磁極部104a、104bがそれぞれ励磁され、これに伴いマグネット101は所定の角度内を往復回転する。105,106はシャッタ羽根であり、107は中央に光路となる開口部107aをもつ地板である。シャッタ羽根105,106は長穴にて駆動ピン102aと摺動可能に嵌合しており、マグネット101とともに駆動ピン102aが回転することによって、105aおよび106aを支点としてそれぞれ回転する。2枚のシャッタ羽根が相対的に回転移動することによって、地板の開口部107aを覆う閉状態と、開口部から退避した開状態とに駆動するものである。
本特許文献の駆動装置はコイル103への通電方向を切り替えることによって、ステータの極性を替えてマグネットを回転させるものである。回転の途中で規制部材によって回転を規制させられることによって所定の角度範囲内(図18と図19の間)にて往復作動をさせるものである。このマグネットの往復作動に駆動ピンが連動して、シャッタ羽根を開口部から退避する位置と覆う位置とに駆動している。
このタイプの駆動装置はコンパクトデジタルカメラのシャッタ装置で多く用いられているが、このような駆動装置ではシャッタスピードに限界がある。このシャッタ装置で高輝度での撮影を可能にするためには、通過光量を減少させるために小絞り羽根やNDフィルタなどの光量調節部材を挿入する必要がある。これらそれぞれの駆動を可能にするために、シャッタ羽根を駆動させる駆動装置と光量調節部材を駆動させる駆動装置との2つの駆動装置を用いていることが多い。しかしながら上記のような構造のシャッタ装置はその厚み(光軸方向の厚み)を低くすることはできるが、コイルやステータが地板上において多くの範囲を占めるものであり、地板上に複数個配置するのは困難なものである。この点に鑑み図20、図21に示すシャッタ装置が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
同図において、201は筒状のマグネットから成るロータであって、201aがN極、201bがS極に着磁されている。201cはロータと一体に成形された腕であり、この腕から駆動ピン201dがロータ201の回転軸方向に延びている。202はコイルであり回転軸方向に配置される。203は軟磁性材料からなり、コイル202によって励磁されるステータであり、ステータ203はロータ201の外周面と対向する外側磁極部203aとロータ201の内部に挿入される内筒203bを有している。204は補助ステータであり、ステータ203の内筒203bに固定され、ロータ201の内周面と対向する。コイル202への通電により、外側磁極部203a、補助ステータ204が励磁され、ロータ201は所定の位置まで回転する。205は中央に開口部205aを持つシャッタ地板であり、206,207は開口部を覆う位置と退避する位置とで移動可能なシャッタ羽根である。駆動ピン201dとシャッタ羽根の長穴が摺動可能に嵌合しているから、ロータの回転に伴い駆動ピン201dも往復回転することによってシャッタ羽根206,207を開口部205aを覆う位置と退避する位置とに駆動する。
この駆動装置も図18の駆動装置と同様に、コイル202への通電方向を変えることによって正逆回転を行い、所定角度範囲内にて2位置に駆動可能なものである。このような構成の駆動装置を用いたシャッタ装置とすることにより、駆動装置を複数個配置してもコンパクトで、省エネルギーなシャッタ装置とすることができる。
しかしながら、上記特許文献1および2で示したような駆動装置は、それ単体ではコイルへの通電方向を切り替えることによって、2位置にのみしか駆動することができない。すなわち、シャッタ羽根あるいは光量調節部材は開口部に対して挿入するか、あるいは退避するかのどちらかに駆動するものでしかなく、例えば光量調節部材をその中間で止めて3位置に駆動停止できるシャッタ装置が望まれている。複数位置に停止させるシャッタ装置としては例えば特許文献3に示すものがある。これは上記のようなコイルへの通電によって2位置に駆動可能な駆動装置を用い、コイルへの通電電流の大きさを変えてばねとのバランスをとることによって3位置に駆動を可能にするものである。詳しくは、電流が小さい時(駆動装置の駆動力がばね力より弱い時)は中間位置まで駆動したところでばね力に負けて停止し、電流が大きいときにはばねの力に打ち勝って駆動させることによって3位置に駆動可能なシャッタ装置としたものである。
特開平08−114832号公開 特開2002−49076号公開 特開2001−117137号公開
しかしながら、上記のようなシャッタ装置は、その構成が複雑になったり、またばねを設けたことによりばねより大きなトルクを持つ駆動装置が必要になったりしてしまう。さらに、コイルへの電流を調整して駆動する必要があり、回路も複雑なものになる。そこで、3位置に停止するような構成にしても、光量調節装置の構成が単純で羽根を駆動する駆動装置自体の構成も単純で精度がよく小型なものを用いたものが望まれている。
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、光束が通過する開口部と、2位置に駆動可能な第1の駆動装置と、2位置に駆動可能な第2の駆動装置と、第1の駆動装置によって駆動され、開口部を遮光する第1の位置と、開口部から退避する第2の位置との間で移動可能なシャッタ羽根と、第2の駆動装置によって駆動され、第3の位置と第4の位置との間に駆動可能な光量調節部材と、第1の駆動装置に連動し、光量調節部材が第3の位置と第4の位置の間である第5の位置に停止するように係止可能な係止部材とからなる光量調節装置とするものである。
上記構成においては、単純な構成である2位置駆動可能な駆動装置を2つ用いることで、駆動装置のうちの1つは3箇所に停止可能となるシャッタ装置を提供しようとするものである。
また、請求項2に記載した発明は、前記第1および第2の駆動装置は、外周面が周方向に分割して異なる極に交互に着磁され、回転可能に保持されたマグネットと、該マグネットと同心で該マグネットの軸方向に配置されたコイルと、前記マグネットの回転軸方向に延出することで形成されるとともに前記マグネットの外周面に対向し前記コイルにより励磁される外側磁極部と、前記マグネットの内径部に挿入され前記マグネットの内周面に対向しコイルにより励磁される内側磁極部とによって構成されることを特徴とする請求項1に記載の光量調節装置とするものである。
さらに、請求項3に記載した発明は、前記第1の駆動装置を構成する歯形状からなる外側磁極部は、前記マグネットの外周面に所定の角度範囲に対向するものであって、該外側磁極部の前記マグネット部に対向する前記所定の角度に対する前記マグネット部の着磁された1極あたりの中心角の比の値をY、該外側磁極部の前記マグネットの径方向の厚みに対する前記マグネットの着磁された1極あたりの円周上の長さの比の値をXとすると
Y<−0.3X+0.63
の条件を満たすように設定してあり、第2の駆動装置を構成する歯形状からなる外側磁極部は
−0.3X+0.63≦Y≦−0.3X+0.72
の条件を満たすように設定してあることを特徴とする請求項1および2に記載の光量調節装置とするものである。
上記構成においては、駆動装置をシャッタ地板に複数個配置しても場所をとらずに小型でありながら、その部品構成が単純で高トルクである駆動装置をもつ光量調節装置とするものである。さらに、コギングトルク(マグネットが磁極部に吸引される力)によって、駆動停止位置においてマグネットへの通電を絶ってもその位置を保持するものとなり、省電力な駆動装置をもつ光量調節装置とすることができるものである。
本発明によれば、単純な構成である2位置可能な駆動装置を2つ用いることによって、第2の駆動装置を3位置に停止可能な駆動装置となることによって、被駆動部材を3位置に駆動可能な光量調節装置を提供できるものである。
以下、本発明を図示の実施の形態に基づいて詳細に説明する。
図1は本発明の実施の形態に係るシャッタ装置の平面図、図2は本発明のシャッタ装置における駆動装置部の分解斜視図、図3は図2の駆動装置の回転軸方向断面図である。図4、図5は駆動装置の駆動の仕組みを示す断面図であり、図6〜図8はコギングトルク特性を示す図であり、図11〜図16は本発明のシャッタ装置のシャッタ羽根および光量調節部材の駆動の様子を示す図である。
これらの図において1はシャッタ羽根4,5を駆動する第1の駆動装置であり、2は光量調節部材6を駆動する第2の駆動装置であり、3は中央に光が通過する開口部3aが設けられた磁性材料からなるステータである。
駆動装置1および2は往復回転可能な駆動装置である。この駆動装置の構成について詳しく説明する。図2のように駆動装置1は11〜14および3b,3cにて、駆動装置2は21〜24および3e,3fにて構成される。
11は円筒形状のマグネットであり、外周面を円周方向にn分割(本実施の形態では4分割)して交互にS極とN極に着磁されている。詳しくは図4に示すように、着磁部11aおよび11cの外周面がN極に、着磁部11bおよび11dの外周面がS極にそれぞれ着磁されている。
12は円筒形状のコイルであり、絶縁形状からなるボビン13に巻きつけられている。このコイル12は前記マグネットと同心で、かつマグネット11の回転軸方向に隣接する位置に配置され、その外径がマグネット11の外径とほぼ同じ寸法である。
14は駆動装置の出力軸となる軟磁性材料からなるロータであり、軸部14c,14dが回転可能に嵌合し保持されている。該ロータ14はその円筒部14aの外径がマグネット11の内径と同じであって、この部分でマグネット11に直接固定される。また、該ロータ14の円筒部14bはコイル12の内径部に挿入され、その外径はボビン13の内径寸法よりもやや小さく、ロータ14が回転する際ボビンに接触しない程度の寸法になっている。コイル12に通電することによって、ロータ14が励磁され、14aは内側磁極部としてマグネット11に作用する。また14a部はマグネットと接着されていることにより、バックメタルとしても作用する。14eは駆動ピンであり、マグネット11の回転に伴って回転することによってシャッタ羽根4,5を駆動させる。ロータ14とマグネット11との接着の際には、マグネット11の極と極の境界上に駆動ピン4eがくるようになっている。
本実施の形態では、駆動ピン14eはロータ14と一体で作成したが、別体にて作成して接着、あるいはマグネット11と一体成形でもかまわない。
3は中央に光路となる開口部3aを持った軟磁性板材からなるステータであって、絞り加工によって成形された光軸方向に延びる外側磁極部3b,3cが設けられている。外側磁極部3b,3cは、回転軸方向に延びるn/2個(本実施の形態では2個)の歯形状であり、720/n度(本実施の形態では180度)ずれて形成されており、3b,3cの歯先において光軸と垂直な面にて接続された形となっている。外側磁極部3b,3cは、マグネット11の外周面に所定の角度範囲に対向するものであって、前記所定角度に対するマグネット11の着磁された1極あたりの中心角(本実施例では90度)の比の値をY、該外側磁極部3b,3cの前記マグネットの径方向の厚みに対するマグネット11の着磁された1極あたりの円周上の長さの比の値をXとした時、
Y<−0.3X+0.63
をみたすような形状となっている。同様にして第2の駆動装置の外側磁極部3e,3fは
−0.3X+0.63≦Y≦−0.3X+0.72
を満たすような形状となっている。外側磁極部をそれぞれ上記のような条件を満たすように設定した理由については後で詳しく述べる。
外側磁極部を上記のような構成にしたことによって、中央部に光路となる開口部をもつ地板と、複数の駆動装置の外側磁極部をプレス工程によって一体で構成することが可能となる。このことは、部品点数を減らし、組み立て作業を削減できるだけでなく、開口部に対するステータ位置の管理が容易になり、駆動特性の良いものになる。また地板を板材にしたことで光軸方向の薄型化に貢献する。開口部を有するシャッタ地板部は磁性体で作成する必要はないので、シャッタ地板とステータを別体にて作成しても構わない。
外側磁極部3b,3cは前記マグネット11の外周面に所定の隙間を持って対向しており、前記コイル12に通電されると外側磁極部3bおよび3cが励磁され、マグネット11に作用する。また、外側磁極部は軸と垂直な面に設けられた穴部3dによって前記ロータ14の軸部14cと嵌合し、これにより外側磁極部3b,3cとロータ14は磁気的に接続された構成となっている。内側磁極部と外側磁極部によってマグネットを挟む構造となっているので、効果的にマグネットに磁束が働くようになっている。
駆動装置2も駆動装置1と同様にして構成されたものである。21がマグネット11、22がコイル12、23がボビン13、24がロータ14、ステータ3の3e,3fが外側磁極部3b,3cに対応し、同様にして(外側磁極部3e,3fのマグネット21への対向角度形状以外)構成されたものであるので、説明は省略する。
次に上記のように構成された駆動装置が駆動する仕組みについて説明する。
図4および図5は駆動装置1における図3のA−A断面図である。
図4の状態からコイル12に通電を行い、ステータ3の外側磁極部3bおよび3cをS極に、ロータ14の内側磁極部14aをN極にそれぞれ励磁すると、マグネット11は反時計方向に回転する。不図示のストッパーに当接することによって、マグネット11は回転を止められ、図5に示す状態で停止する。次にコイル12へ逆通電を行い、ステータ3の外側磁極部3b,3cをN極に、ロータ14の内側磁極部14aをS極にそれぞれ励磁すると、マグネット11は時計周りに回転する。先ほどと同様に不図示のストッパーに当接することによって回転が停止し、図4に示す状態に再び戻る。
上記のようにして構成された駆動装置1のマグネットの往復回転によって駆動ピン14eも回転し、これによってシャッタ羽根4,5の駆動を行い、同様にして駆動装置2の駆動ピン24eにて光量調節部材6の駆動を行っている。
前述のように第1の駆動装置と第2の駆動装置では外側磁極部がマグネットへ対向する角度が異なって設定されている。これについて次に詳しく説明する。
本発明における駆動装置は外側磁極部がマグネットへ対向する角度によって、マグネットの回転角度に対するコギングトルク(コイルへの無通電時にマグネットが外側磁極部に吸引される力)がさまざまに変化することがわかった。図6から図8は外側磁極部のマグネットへの対向角度の違いによってコギングトルクが変化する様子を示す図であり、横軸がマグネットの回転角度、縦軸がトルクの様子である。示されたグラフうちAで示されたところが、駆動装置が往復回転する際に使用している回転領域である。
有限要素法によるシミュレーションによって、次のことがわかった。図9は外側磁極部の幅寸法とコギングトルク、マグネット寸法の関係を示す図である。横軸は「マグネットの厚み/マグネット1極あたりの外周長さ」、横軸は「外側磁極部1つあたりのマグネットに対向する対向角度/マグネット1極あたりの角度」である。図9中の各ポイントは図10に示す9種類のモータについて、コギングトルクが図10のようにほぼ0あるいは最小となるようなモデルの「外側磁極部の1つあたりのマグネットに対する対向角度/マグネット1極あたりの角度」をプロットしたものである。
この結果より、「Y=外側磁極部1つあたりのマグネットに対する対向角度/マグネット1極あたりの角度」、「X=マグネットの厚み/マグネット1極あたりの外周長さ」とすると、これらのポイントは「Y=−0.3X+0.63」で示される直線1と「Y=−0.3X+0.72」で示される直線2の2直線に挟まれた領域に存在する。そして、直線1より図中で下の範囲では図6で示されるようなトルク曲線となり、直線2より上に示される範囲では図8で示されるようなトルク曲線となることがわかった。
以上のことをまとめて、シャッタ装置における駆動装置にあてはめると次のようになる。
第1に、側磁極部がY<−0.3X+0.63の条件式にあてはまる形状である時は、図6に示すようなトルクとなり、駆動装置が往復回転可能な所定範囲内の一端から回転させようとすると(コイルへは無通電状態で)それと反対方向に働く力がかかっており、中央を過ぎたところから、回転方向に働く力がかかるようなコギングトルク曲線となっている。つまり、図4の状態で通電を絶つと、この状態ではコギングトルクは時計方向に働くために、この位置で安定的に停止することが可能となっている。また図5の位置で通電を絶つと、この状態では反時計方向にコギングトルクが働くため、この位置で安定的に停止する。
第2に、側磁極部が−0.3X+0.63≦Y≦−0.3X+0.72の条件式にあてはまる形状であるときは、図7に示すようなトルクとなり、トルクはほぼ0か、あるいは非常に小さい値となっている。つまりコイルへの通電を絶った状態では、その時置かれた状態からマグネットは動くことなく留まる。
第3に、外側磁極部が−0.3X+0.72<Yの条件式にあてはまる形状である時は、図8に示すようなトルクとなり、駆動装置が往復回転可能な所定範囲内の一端から回転させようとすると、回転方向に働く力がかかっており、中央を過ぎたところから、回転方向とは逆向きの力が働くようになる。つまり、図4の状態で通電を絶つと、中央までは反時計方向にコギング力が働くことにより、ちょうど中央位置まで移動し停止する。同様にして図5の状態で通電を絶つと、中央までは時計方向にコギング力が働くことにより、この場合もちょうど中央位置まで移動し停止する。
第1の駆動装置における外側磁極部は図6のようなコギングトルク特性をもつように設定されたものであって、コイルへの通電によって図4と図5の位置に駆動させた後、コイルへの通電を絶っても、その位置で安定的に位置保持が可能となっている。これにより、省電力な駆動装置となっている。
本発明は第2の駆動装置が所定角度回転範囲内の中央位置にも停止するように構成したものである。第2の駆動装置の外側磁極部を第1の駆動装置の外側磁極部と同様の形状に設定してしまうと中央位置に駆動された際にその位置をコイルへの無通電状態で保持することができない。そこで、図7に示すコギングトルク特性をもつような外側磁極部の形状にすることによって、マグネットがどの位置に駆動されてコイルへの通電を絶っても、その位置で停止するようにしてある。図8に示すコギングトルク特性をもつような外側磁極部の形状にすれば、コイルへの通電によって所定回転角度内の両端2位置に駆動可能であって、通電を絶つことによって該回転範囲中央位置で停止する駆動装置となり、3位置に駆動可能な駆動装置となりうる。しかしながら、所定角度内両端位置ではコイルへの通電を常に行っていないとその位置を保持できない。さらに、コイルへの非通電時にはコギングの力によってのみで中点に移動されるものであって、中央付近ではトルクの大きさそのものが小さくなってくることにより摩擦の影響を大きく受け、中点での停止位置が確実に定まらないという欠点がある。そこで、駆動装置2の外側磁極部3e,3fは図7に示されるようなコギング特性をもつように定めている。
次にシャッタ羽根と、光量調節部材が駆動される様子について詳しく説明する。
図1は第1の駆動装置1が一端に当接した状態であり、この時シャッタ羽根4,5は開口部3aから退避した状態にある。この状態から駆動装置1のコイル12に通電を行い、図1において時計方向に回転させると、駆動ピン14eも時計方向に回転し、長穴にて駆動ピン14eと摺動可能に嵌合していることにより、シャッタ羽根4,5はそれぞれ3h、3iを中心に回転し、図11に示すように開口部3aを覆う位置に駆動される。この状態からコイル12へ逆通電を行うと、駆動ピン14eは反時計方向に回転し、再び図1に示す状態に戻る。以上により、コイル12への通電方向を切り替えることによって、シャッタ羽根4,5は光量が通過する開口部3aを覆う位置と、退避する位置とに駆動可能となっている。
駆動装置2についても駆動装置1と同様に駆動することができる。つまりコイル22への通電方向を切り換えることによって正逆回転可能となっている。図11は光量調節部材6が第1の位置にある状態であり、開口部3aに対して絞り6cが挿入された状態である。この状態からコイル22へ電流を流して駆動ピン24eが時計方向に回転し、これと長穴が摺動することによって3jを中心にして光量調節部材は時計方向に回転し、不図示のストッパーに当接することによって回転を止められ、図12に示す第2の位置まで駆動する。この状態でシャッタを切るには、第1の駆動装置のコイル12に通電し、シャッタ羽根を駆動させればよい。図12の状態からコイル22へ逆方向に通電すると光量調節部材は3jを中心に反時計方向に回転し、不図示のストッパーに当接することによって回転を止められ図11に示す状態に再び戻る。
前述の通り、本発明における駆動装置はコイルへの通電方向を変えることによって2位置に駆動しているものであり、駆動装置2のコイルへの通電制御のみで図14に示す位置(図4と図5の中間位置)で停止させることができない。そこで、図13の状態からコイルへ通電を行い、反時計方向に回転している途中で係止部材と当接し、マグネット21の回転を止めることができれば光量調節部材6を図14の状態で停止することが可能となり、すなわち3位置に停止可能なシャッタ装置となる。
そこで駆動装置を2つ設けられることを利用して、駆動装置2を3位置に停止できるように構成した本発明の仕組みについて以下に説明する。
図13の状態(シャッタ羽根は開き状態、光量調節羽根は絞り6a挿入状態)から駆動装置2を駆動させると反時計方向に回転を始める。すると図14に示す状態まで回転し、駆動ピン14eと光量調節部材6の出っ張り部6fと当接することによってこの位置で回転がとめられ停止する。この状態を光量調節部材の第3の位置とする。開放穴6bは開口部3aの直径よりも大きくしてあるので、この状態の時もっとも開口径の大きな開放状態として撮影ができる。撮影を行う際には図14の状態から駆動装置1を駆動させ図15に示すようにシャッタ羽根が開口部3aを覆うように駆動させる。
図14、10より明らかなように、シャッタ羽根4,5が開き状態(図14の状態)にあるときには、光量調節部材6の出っ張り部6fが駆動ピン14eと当接することによって、回転をとめるからこの位置で停止することが可能となる。しかし、シャッタ羽根が閉鎖状態にある場合(図15の状態)では光量調節部材6の出っ張り部6fは当接することなく回転してしまうので、図15の位置で停止することはなく、図11の位置まで回転してしまう。さらに、図1の状態から駆動装置2を駆動して光量調節部材6を時計方向に回転させて、駆動ピン14eと当接させると図16のような状態で停止してしまうため、好ましくない。
すなわち図1のような状態から、光量調節部材を第2の位置(絞り6a使用)あるいは第3(開放穴6b使用)に変える必要のある時には、一度シャッタ羽根を開口部閉鎖状態(図11の状態)にし、駆動ピン14eが光量調節部材出っ張り部6fと当接しないようにしてから、駆動装置2を駆動させ図11に示す状態にした後に、シャッタ羽根4,5を開放状態(図13の状態)にする必要がある。
2位置にのみしか駆動できない駆動装置は、その構成が単純であり、また駆動回路等も単純にできるために、低コストかつコンパクトな駆動装置であり、コンパクトカメラのシャッタ装置に適したものとなっている。しかしながら2位置にしか駆動できないための制限があった。そこで、本発明はシャッタ羽根と光量調節装置など2つ(以上)の駆動を行い、駆動装置を2つ(以上)用いるシャッタユニットにおいて、これらの駆動装置を用いて3位置に駆動可能になるような構成のシャッタユニットを提供するものである。
また、本発明における駆動装置が小型な円筒形状であることから、シャッタ地板に対して、複数個配置してもそのスペースを多く占めることなく配置可能であり、また構成部品が単純であることから、低コストとなるものである。
さらに該駆動装置は、内側磁極部と外側磁極部がマグネットを挟んだ構造となっていることにより、コイルによって発生した磁力がマグネットに効果的に、無駄なく作用することによって高トルクなものとなっている。
本実施の形態では、駆動装置を2つ用いる場合におけるシャッタ装置としたが、3つ以上の駆動装置を用いて駆動させ、それぞれの駆動装置が係止部材と連動し、互いに他の駆動装置の回転を規制させるような構成にしても構わない。
本発明における実施の形態におけるシャッタ装置の平面図である。 図1のシャッタ装置の駆動装置部の分解斜視図である。 図1のシャッタ装置の駆動装置部の軸方向断面図である。 図2の駆動装置の第1の状態における図3におけるA−A断面図である。 図2の駆動装置の第2の状態における図3におけるA−A断面図である。 本発明における駆動装置のコギングトルク特性を示す図である。 本発明における駆動装置のコギングトルク特性を示す図である。 本発明における駆動装置のコギングトルク特性を示す図である。 有限要素法によるシミュレーション結果をプロットした図である。 図9に示すシミュレーションに用いたモータを示す表である。 本発明における実施の形態におけるシャッタ装置のシャッタ羽根、光量調節部材の駆動の仕組みを示す図である。 本発明における実施の形態におけるシャッタ装置のシャッタ羽根、光量調節部材の駆動の仕組みを示す図である。 本発明における実施の形態におけるシャッタ装置のシャッタ羽根、光量調節部材の駆動の仕組みを示す図である。 本発明における実施の形態におけるシャッタ装置のシャッタ羽根、光量調節部材の駆動の仕組みを示す図である。 本発明における実施の形態におけるシャッタ装置のシャッタ羽根、光量調節部材の駆動の仕組みを示す図である。 本発明における実施の形態におけるシャッタ装置のシャッタ羽根、光量調節部材の駆動の仕組みを示す図である。 特許文献1におけるシャッタ装置の平面図である。 図17のシャッタ装置の駆動装置の駆動の様子を示す図である。 図17のシャッタ装置の駆動装置の駆動の様子を示す図である。 特許文献2におけるシャッタ装置の駆動装置部の分解斜視図である。 図20の駆動装置の回転軸方向断面図である。
符号の説明
1 第1の駆動装置
2 第2の駆動装置
3 ステータ
4,5 シャッタ羽根
6 光量調節部材
11,21 マグネット
12,22 コイル
13,23 ボビン
14,24 ロータ
14e,24e 駆動ピン

Claims (3)

  1. 光束が通過する開口部と、2位置に駆動可能な第1の駆動装置と、2位置に駆動可能な第2の駆動装置と、第1の駆動装置によって駆動され、開口部を遮光する第1の位置と、開口部から退避する第2の位置との間で移動可能なシャッタ羽根と、第2の駆動装置によって駆動され、第3の位置と第4の位置との間に駆動可能な光量調節部材と、第1の駆動装置に連動し、光量調節部材が第3の位置と第4の位置の間である第5の位置に停止するように係止可能な係止部材とからなる光量調節装置。
  2. 前記第1および第2の駆動装置は、外周面が周方向に分割して異なる極に交互に着磁され、回転可能に保持されたマグネットと、該マグネットと同心で該マグネットの軸方向に配置されたコイルと、前記マグネットの回転軸方向に延出することで形成されるとともに前記マグネットの外周面に対向し前記コイルにより励磁される外側磁極部と、前記マグネットの内径部に挿入され前記マグネットの内周面に対向しコイルにより励磁される内側磁極部とによって構成されることを特徴とする請求項1に記載の光量調節装置。
  3. 前記第1の駆動装置を構成する歯形状からなる外側磁極部は、前記マグネットの外周面に所定の角度範囲に対向するものであって、該外側磁極部の前記マグネット部に対向する前記所定の角度に対する前記マグネット部の着磁された1極あたりの中心角との比の値をY、該外側磁極部の前記マグネットの径方向の厚みに対する前記マグネットの着磁された1極あたりの円周上の長さの比の値をXとすると
    Y<−0.3X+0.63
    の条件を満たすように設定してあり、
    第2の駆動装置を構成する歯形状からなる外側磁極部は
    −0.3X+0.63≦Y≦−0.3X+0.72
    の条件を満たすように設定してあることを特徴とする請求項1および2に記載の光量調節装置。
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