JP3977178B2 - レンズ駆動装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、カメラ等に好適なレンズ駆動装置の改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来のレンズの駆動装置としては、例えば特開平11−190815号公報に開示されているような小型のステッピングモータをレンズに並列して配置し、リードスクリューなどによりレンズ駆動を行うようにしたものがある。
【0003】
また、中央に貫通された開口部を有する円筒形状(以下、単に円筒形状という)のモータの前記開口部にレンズを配置し、該モータにより前記レンズを駆動するものは実開昭56−172827号公報等で提案されている。
【0004】
しかしながら、上記特開平11−190815号公報等で開示されているタイプのモータは開口部を有しない円柱形状(中央に貫通された開口部がなく、中央部にも構成部材があるものを意味する)であったため、カメラの鏡筒内で光軸と平行になるように配置し、絞り羽根やシャッタ、レンズ等を駆動する為に用いようとした場合、鏡筒半径寸法はモータの直径を加えた値になり、カメラの鏡筒の直径は十分小さいものにはならなかった。
【0005】
また、上記実開昭56−172827号公報等で提案されている従来の円筒形状のモータの中央部にある開口部にレンズを配置し、該モータにより前記レンズを駆動するものは、円筒状のマグネット外側にコイルを巻く形状になっている為、コイルの厚みとマグネットの厚みとステータの厚みがすべて半径方向の厚みに加算されてしまい、半径方向の厚さ寸法の薄いモータが要望される今日においては十分ではなく、又コイルの中心軸が鏡筒の光軸中心に向かう方向に配置されている為、コイル形状が複雑になったり、組み立てが複雑になったりして部品点数が増えて装置自体がコンパクトにならなかったり、コイルの個数が増してしまい、コストも高くなってしまう問題点があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
この点に鑑み、本願出願人により特開2002−051524号公報において、以下の構成のレンズ駆動装置が開示されている。
【0007】
円筒形状に形成されるとともに少なくとも外周面が周方向に分割して異なる極に交互に着磁されたマグネットと、コイルが巻回された第1のボビンと、コイルが巻回された第2のボビンと、前記第1のボビンに巻回されたコイルにより励磁され前記マグネットの一端側の外周面に対向する第1の外側磁極部と、前記マグネットの内周面に対向し中空概略円筒形状の第1の内側磁極部と、前記第2のボビンに巻回されたコイルにより励磁され前記マグネットのもう一端側の外周面に対向する第2の外側磁極部と、マグネットの内周面に対向し中空概略円筒形状の第2の内側磁極部を備えたモータと、前記第1の内側磁極部の中空部或いは第2の内側磁極部の内径側の開口部に光軸を持つ光学手段と、前記マグネットと連結して回転し該回転により前記光学手段を光軸方向に移動する移動手段とを備える構成のものである。
【0008】
このような構成のレンズ駆動装置とする事により、コイルとマグネットが軸方向に配置されるので、上記のような問題を改善できるコンパクトな装置となる。そして、上記構成においては光軸方向においていくつもの位置に任意に位置出しすることが可能である。
【0009】
しかし、製品の使用によっては2種類の位置の間でレンズ駆動を行えば良いものもある。例えば収納位置と使用位置との間で移動させる場合や、通常撮影距離位置とマクロ撮影位置との間で移動させる場合である。このような簡易のレンズ駆動で足りるものに、上記特開2002−051524号公報に開示の構成のものをそのまま適用するには、光軸と平行方向の長さが長くなったり、駆動回路が複雑になるなど、必ずしも適したものではない。さらに、本願出願人がこの種の装置の開発を進めていくと、前記コイルへの非通電時に生じる、前記マグネットが外側磁極部に吸引される力により該マグネットの安定する位置がレンズの位置出し行程の途中にある場合、レンズを所定の位置に保持するには前記コイルへの通電を続けなければならず、消費電力の面に難点を有することも判明した。
【0010】
そこで本願出願では、簡易的に2種類の位置の間でレンズを移動させる構成の装置を新たに考えている。
【0011】
(発明の目的)本発明の第1の目的は、一旦コイルへ通電を行ってレンズ位置出しした後は、前記コイルへの通電を断っても、その位置に保持することができる構成を可能にするレンズ駆動装置を提供しようとするものである。
【0012】
本発明の第2の目的は、省電化を達成しつつ、所定の第1の位置もしくは第2の位置にレンズを安定的に保持させることのできる簡易的なレンズ駆動装置を提供しようとするものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記第1の目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、外周面が周方向に分割して異なる極に交互に着磁された回転可能な中空円筒形状のマグネットと、該マグネットの回転軸方向に配置されたコイルと、歯形状の外側磁極部と内側磁極部が前記マグネットの外周面と内周面に対向し、前記コイルにより励磁されるステータと、前記内側磁極部の内径側の開口部を光路とするレンズを前記マグネットの回転に連動して光軸方向に移動させて該レンズの光軸方向の位置を変化させるレンズ位置出し機構と、前記コイルへの無通電時に前記マグネットと前記外側磁極部との吸引力により前記マグネットの回転位置が保持される第1の位置と、前記マグネットが前記第1の位置から所定の角度回転した位置であって前記コイルへの無通電時に前記マグネットと前記外側磁極部との吸引力により前記マグネットの回転位置が保持される第2の位置を規制する規制部材とを有し、前記コイルの通電方向により前記第1の位置と前記第2の位置を切り換えるレンズ駆動装置であって、前記外側磁極部は前記マグネットの外周面に対して所定の角度をもって対向するものであって、前記外側磁極部の前記マグネットに対向する前記所定の角度と前記マグネットの1極あたりの角度の比率をY、前記マグネットの半径方向の厚みに対する前記マグネットの1極あたりの円周上の長さの比の値をXとすると、
−0.3X+0.63>Y
の条件を満たすレンズ駆動装置とするものである。
【0015】
また、上記第2の目的を達成するために、請求項に記載の発明は、前記規制部材が、前記マグネットの回動範囲を、前記第1の位置と前記第2の位置の間で一方から他方へ回転できるように規制すると共に、前記マグネットが前記第1の位置もしくは前記第2の位置に達した状態では、前記各外側磁極部の中心に対して前記マグネットの1極の中心が一定の角度をなし、この状態時に前記コイルの通電が断たれると、前記各外側磁極部の中心に前記マグネットの1極の中心を対向させる磁力が前記第1の位置もしくは前記第2の位置の状態を保持する力として作用するように、前記外側磁極部に対する前記マグネットの関係を規制し、前記レンズ位置出し機構が、前記マグネットが前記第1の位置と前記第2の位置の間で一方から他方へ回転するのに連動して、前記レンズを第1のレンズ位置もしくは第2のレンズ位置のうちの何れか一方に変化させる請求項1に記載のレンズ駆動装置とするものである。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図示の実施の形態に基づいて詳細に説明する。
【0018】
(実施の第1の形態)
図1〜図5は本発明の実施の第1の形態に係るレンズ駆動装置を示す斜視図であり、詳しくは、図1はレンズ駆動装置の分解斜視図であり、図2はレンズ駆動装置の組み立て完成状態における軸方向の断面図、図3はレンズ繰り込み時の軸と直交する方向の主要部分の図2のB−B断面図、図4はレンズ繰り込み時の軸と直交する方向の主要部分の図2のB−B断面図、図5はレンズ駆動装置のマグネットの回転動作説明図である。
【0019】
これらの図において、1はロータを構成するリング形状のマグネットであり、図3に示すように該マグネット1はその外周表面を円周方向にn分割(本実施の形態では16分割)して、S極、N極が交互に着磁された着磁部1aを有する。該マグネット1は射出成形により形成されるプラスチックマグネット材料により成る。これにより、リング形状の半径方向に関しての厚さ(特に図2にtで示す着磁部の厚さ)を非常に薄く構成することができる。また、該マグネット1には回動範囲を規制する為の構成要素の一つである突起部1b、後述のレンズホルダー51の溝51bと係合するピン1s(図2参照)が設けられている。そして、円形溝1wが後述のカバー5の突起5aと回転可能に嵌合している。また、軸方向の位置は1t面が後述のステータ4の内側磁極部の先端部に規制され、1u面がカバー5に規制されることで位置規制されている。
【0020】
上記のようにマグネット1は射出成形により形成されるプラスチックマグネットから成るため、突起部1b、ピン1s、円形溝1wを有するという複雑な形状でも製造が容易となる。また、前記円形溝1wは該マグネット1で一体成形されることにより、回転中心に対してマグネット部の同軸精度が向上し、振れを少なくするとともに外周表面の着磁部と後述のステータ4との空隙距離を少なくすることが可能となり、充分な出力トルクを得ることができる。さらに、射出成形マグネットは表面に薄い樹脂皮膜が形成されるため、錆の発生がコンプレッションマグネットに比較して大幅に少なく、塗装などの防錆処理を廃止できる。更に、コンプレッションマグネットで問題になる磁性粉の付着もなく、防錆塗装時に発生しやすい表面のふくらみもなく、品質の向上が達成できる。
【0021】
前記マグネット1の材料には、Nd−Fe−B系希土類磁性粉とポリアミドなどの熱可塑性樹脂バインダー材との混合物を射出成形することにより形成されたプラスチックマグネットを用いている。これにより、コンプレッション成形されたマグネットの場合の曲げ強度が500Kgf/cm2程度なのに対して、例えばポリアミド樹脂をバインダー材として使用した場合、800Kgf/cm2以上の曲げ強度が得られ、コンプレッション成形では出来ない薄肉円筒形状に形成することが可能となる。薄肉円筒状に形成することで、後述のステータ4の外側磁極部と内側磁極部との間隔を短く設定することができ、その間の磁気抵抗の小さい磁気回路とすることができる。これにより、後述のコイル2へ通電を行った場合、小さな起磁力でも多くの磁束を発生することができ、アクチュエータの性能が高まる。
【0022】
2は絶縁材料からなるボビン3に巻き付けられた円筒形状のコイルであり、マグネット1と同心でかつ、該マグネット1の軸方向に並んで配置され、その外径は該マグネット1の外径とほぼ同じ寸法となっている。
【0023】
4は軟磁性材料からなるステータであり、外筒4a及び内筒4bとそれらを結ぶ連結部4cとで構成される。該ステータ4の外筒4aはその先端部が軸方向に延出する複数の歯、すなわち櫛歯形状によって構成される。この軸方向に延出する歯の数は1からマグネット1の着磁分割数nの1/2までの整数の個数にて形成され(この実施の形態では8つ)、これらが外側磁極部を形成している。従って、以下この外側磁極部を便宜上、「外側磁極部4a」とする。この外側磁極部4aは円周方向に720/n度の整数倍数の角度離れて形成され、個数は着磁極部数の半分以下ならばいくつでも構わない。この例では45度ずつ等分配置され、個数は8個形成されている。外側磁極部4aは前記マグネット1の外周面に所定の隙間を持って所定の角度(A度)のみに対向するように構成(図3参照)されている。この実施の第1の形態における前記所定の角度に関しては後述する。
【0024】
また、ステータ4の内筒は内径側に開口部を有する筒形状により構成され、内側磁極部を形成している。従って、以下この内側磁極部を便宜上、「内側磁極部4b」とする。この構成によりアクチュエータの直径を最小限にしつつ磁極部の形成が可能となる。すなわち、外側磁極部を半径方向に延びる凹凸で形成すると、その分アクチュエータの直径は大きくなってしまうが、この例では軸方向に延出する櫛歯形状により外側磁極部を形成しているので、アクチュエータの直径を最小限に抑えることができる。
【0025】
前記ステータ4の内側磁極部4bは本実施の形態の場合は単なる中空の円柱形状で構成しているが、外側磁極部4aと同様に櫛歯形状で構成してもよい。ただし、外側磁極部が上に述べた櫛歯形状で構成されるならば、外側磁極部と内側磁極部の間を通過する磁束は櫛歯状の外側磁極部と外側磁極部の形状を円柱形状の内側磁極部に投影した内側磁極部上の位置との間を通過するため、内側磁極部の形状は単なる中空の円柱形状のままでもよいのである。
【0026】
前記ステータ4の外側磁極部4a及び内側磁極部4bの間にコイル2及びボビン3が接着等により固定され、コイル2に通電されることにより該ステータ4が励磁される。該ステータ4の外側磁極部4a及び内側磁極部4bはマグネット1の着磁部1aの外周面及び内周面に対向してマグネット1の着磁部1aを所定の隙間を持って挟み込むように設けられる。よって、コイル2により発生する磁束は外側磁極部4a及び内側磁極部4bとの間にあるマグネット1を横切るので、ロータであるマグネット1に効果的に作用し、アクチュエータの出力を高める。
【0027】
また、前記マグネット1は前記したように射出成形により形成されるプラスチックマグネット材料により構成されており、これにより円筒形状の半径方向に関しての厚さは非常に薄く構成することができる。そのため、ステータ4の外側磁極部4aと内側磁極部4bとの間隔を非常に短くでき、コイル2とステータ4により形成される磁気回路の磁気抵抗を小さく構成できる。よって、少ない電流で多くの磁束を発生させることができ、アクチュエータの出力アップ、低消費電力化、コイルの小型化が達成されることになる。
【0028】
以上、マグネット1、コイル2、ボビン3、ステータ4により、本実施の第1の形態のレンズ駆動装置のアクチュエータが構成される。
【0029】
50はステータ4に固定されたヘリコイド地板であり、ステータ4と同心でかつ軸方向に並んで該ステータ4に固定されている。51はオスヘリコイド部51aを備えたレンズホルダーであり、このオスヘリコイド部51aがヘリコイド地板50のメスヘリコイド部50aと摺動可能に嵌合し、該レンズホルダー51は回転することで軸方向に移動する。ヘリコイド地板50のメスヘリコイド部50aと前記レンズホルダー51のオスヘリコイド部51aとで相対的な回転に伴って軸方向に沿って相対位置を変化させる、レンズ位置出し機構を構成する。
【0030】
52はレンズであり、レンズホルダー51に固定され、該レンズホルダー51が回転することで光軸方向に関しての位置が変化する。レンズホルダー51は溝51bを備え、この溝51bがマグネット1のピン1sと嵌合して回転方向に関してはマグネット1と一体的に回転し、軸方向に関しての相対的な移動は可能になっている。つまり、マグネット1が回転することでレンズ52の光軸方向の位置が変化する。レンズ52の光軸および光路を、円筒形状のアクチュエータの内径側、更に詳しく述べればステータ4の内側磁極部4bの内径側の開口部に配置してあるため、コンパクトな鏡筒装置とすることができる。
【0031】
5はカバーであり、ステータ4の外側磁極部4aにその内径部5b(図3参照)が嵌合し、固定されている。前述したように突起5aがマグネット1の円形溝1wと回転可能に嵌合し、マグネット1を保持している。また、マグネット1の軸方向の位置は該マグネット1の1u面がカバー5によって規制される事で位置規制されている。
【0032】
マグネット1には前述したように回動範囲を規定する構成要素の一つである突起部1bが形成されているが、該マグネット1は回転方向に関しては前記突起部1bがカバー5の溝5c(これもマグネット1の回動範囲を規定する構成要素の一つであり、これらで回動範囲が規定される)の端面に当接する事で位置規制される。すなわち、マグネット1は、図3及び図4に示すように、その突起部1bがカバー5の溝5cの一方の端面であるストッパー部5fに当接する位置から他方の端面であるストッパー部5gに当接する位置まで回転可能となる。この回転角度をθ度とする。マグネット1の突起部1bがカバー5の溝5cの一方の端面であるストッパー部5fに当接する図3の位置ではレンズ52は繰り込んだ位置にあり、突起部1bがカバー5の溝5cの他方の端面であるストッパー部5gに当接する図4の位置ではレンズ52は繰り出した位置にある。
【0033】
次に、ステータ4の外側磁極部4aの形状について詳細に説明する。
【0034】
前記マグネット1は前記コイル2への無通電時に、突起部1bがカバー5の溝5cの一方の端面であるストッパー部5fに当接する位置もしくは他方の端面であるストッパー部5gに当接する位置にある状態でその回転位置が保持される。この様子を、図5および図6を用いて説明する。
【0035】
図5において、縦軸は、マグネット1に作用する外側磁極部4aと内側磁極部4bとの間で発生する磁力を示し、横軸は、マグネット1の回転位相を示す。
【0036】
E1点,E2点で示されるところは、正回転しようとするとマイナスの力が働いて元の位置に戻ろうとし、逆回転しようとするとプラスの力が働いて元の位置に戻される。すなわち、マグネット1と外側磁極部4aの間の磁力によって該マグネット1がE1点或いはE2点に安定的に位置決めされようとするコギングの位置である。F1点,F2点,F3点はマグネット1の位相が少しでもずれると前後のE1点、或いは、E2点の位置に回転する力が働く不安定な均衡状態にある停止位置である。前記コイル2への通電がなされない状態では、振動や姿勢の変化によってF1点,F2点,F3点に停止していることはなく、E1点或いはE2点の位置で停止する。
【0037】
E1点,E2点のようなコギング安定点はマグネットの着磁極部数をnとすると、「360/n」度の周期で存在し、その中間位置がF1点,F2点,F3点のような不安定点になる。
【0038】
有限要素法による数値シミュレーションの結果、着磁される極の角度と外側磁極部のマグネットに対向する角度(外側磁極部4aのマグネットに対向する角度は図3において、Aで示すものである)との関係により、コイルへの通電がなされていない状態での外側磁極部とマグネットとの吸引状態の様子が変化することが明らかになった。それによると、外側磁極部のマグネットに対向する角度(図3のA度に相当)により該マグネットのコギング位置が変化する。すなわち、外側磁極部のマグネットに対向する角度が所定値以下の場合には、該マグネットの極の中心が外側磁極部の中心に対向する位置で安定的に保持される。つまり、図5で述べたE1点及びE2点がこの状態である。逆に、外側磁極部のマグネットに対向する角度が所定値を超える場合には、該マグネットの極と極の境界が外側磁極部の中心に対向する位置で安定的に保持され、この位置が図5で述べたE1点及びE2点となる。その様子を図6を用いて説明する。
【0039】
図6は、外側磁極部の幅寸法とコギングトルク、マグネット寸法の関係を示す図である。
【0040】
図6において、横軸は「マグネットの厚み(径方向の厚み)/マグネット1極あたりの外周長さ」、縦軸は「外側磁極部1つあたりのマグネットに対する対向角度/マグネット1極あたりの角度」である。
【0041】
例えば、マグネットの外径寸法が10mm、内径寸法が9mmで極数が16極の場合、マグネットの厚みは「(10−9)/2」、マグネットの着磁部の1極あたりの外周長さは「10×π/16」であるから、横軸の「マグネットの厚み/マグネット1極あたりの外周長さ」の値は0.255となる。また、外側磁極部1つあたりのマグネットに対する対向角度を13度とすると、マグネット1極あたりの角度は22.5度であるから、縦軸の「外側磁極部1つあたりのマグネットに対する対向角度/マグネット1極あたりの角度」は0.578となる。
【0042】
図6中の各ポイントはコギングトルクがほぼ0、或いは最小となるようなモデルの「外側磁極部1つあたりのマグネットに対する対向角度/マグネット1極あたりの角度」をプロットしたものであり、図7に示す9種類のモータについて、コギングトルクがほぼ0、或いは最小となるような場合をグラフ化したものである。
【0043】
図6の縦軸を「Y=外側磁極部1つあたりのマグネットに対する対向角度/マグネット1極あたりの角度」、横軸を「X=マグネットの厚み/マグネット1極あたりの外周長さ」とすると、これらのポイントは「Y=−0.3X+0.63」の式で近似した直線1と、「Y=−0.3X+0.72」の式で近似した直線2とに囲まれた領域に存在する。
【0044】
直線1より図中下の範囲、即ち、「Y<−0.3X+0.63」の範囲はマグネットの極の中心が外側磁極部の中心に対向する位置で安定的に保持され、「Y>−0.3X+0.72」ならば、マグネットの極と極の境界が外側磁極部の中心に対向する位置で安定的に保持される。
【0045】
直線1と直線2とに囲まれた領域、即ち、「−0.3X+0.63≦Y≦−0.3X+0.72」の条件を満たしている場合は、コギングトルクがほぼ0、或いは極めて小さく構成される。
【0046】
ここで、外側磁極部4aの軸方向のマグネット1に対する各対向角A度(図3、図4参照)は、該マグネット1の軸方向の位置によって徐々に変化するような場合であれば平均的な対向角が上記の条件式を満たしていれば良い。即ち、マグネットの端面部付近の各対向角A度が例えば15度であっても外側磁極部の先端部、つまりマグネットの軸方向中央付近での外側磁極部4aのマグネットに対する各対向角A度が13度程度ならそれらの平均値を上記条件式に当てはめればよい。
【0047】
図8,図9,図10に、実験結果を示す。
【0048】
図8,図9,図10ともに、図5と同様、縦軸はマグネット1に作用する外側磁極部と内側磁極部とで発生する磁力によるトルクを示し、横軸はマグネット1の回転位相を示す。コイルに無通電時のトルク、即ちコキングトルクとコイル端子間に3Vの電圧を印加した時の発生トルクを示している。
【0049】
このモデルは
・マグネットは、外径φ10.6mm、内径φ9.8mm、着磁極数16極
・コイルは、巻き数が112ターン、抵抗10Ω
・ステータの外側磁極部は、外径φ11.6mm、内径φ11.1mm
・ステータの内側磁極部は、外径φ9.3mm、内径φ8.8mm
のリング形状の構成である。
【0050】
図8は、外側磁極部のマグネットに対する各対向角A度は10.35度のものである。X,Yの値は、X=0.192,Y=0.46となる。
【0051】
図9は、外側磁極部のマグネットに対する各対向角A度は13.45度のものである。この場合が無通電時の発生するトルク、即ちコキングトルクが一番小さくなっているのである。X,Yの値は、X=0.192,Y=0.60となる。
【0052】
図10は、外側磁極部のマグネットに対する各対向角A度は15.52度のものである。X,Yの値は、X=0.192,Y=0.69となる。
【0053】
図6で求めた直線1,2上に、上記図8,図9,図10の構成により求まる値をそれぞれa,b,cで示したのが、図1である。
【0054】
図6で求めた直線1,2上に、上記図8,図9,図10の構成により求まる値をそれぞれa,b,cで示したのが、図11である。
【0055】
図9に特性を示した構成のもの、つまり外側磁極部のマグネットに対する対向角A度が13.45度のものは、X=0.192,Y=0.60で、「−0.3X+0.63≦Y≦−0.3X+0.72」の条件に当てはまり、コキングトルクが極めて小さくなっている。
【0056】
図10に特性を示した構成のもの、つまり外側磁極部のマグネットに対する対向角A度が15.52度のものは、X=0.192,Y=0.69で、「Y>−0.3X+0.72」の条件に当てはまり、マグネットの安定位置は着磁部の極と極の境界が外側磁極部の中心に対向する位置であった。
【0057】
本実施の形態では、「Y<−0.3X+0.63」となるように寸法が設定されており、コイル2への通電がなされていない状態では、図5に示した上記E1点及びE2点が、マグネット1の極の中心がステータ4の外側磁極部4aの中心に対向する位置となり、該マグネット1の極の中心が前記外側磁極部4aの中心に対向する位置で安定的に停止するようになっている。しかし、この状態でコイル2へ通電を行って外側磁極部4aを励磁しても、マグネット1に回転力が生じない。
【0058】
そこで、本実施の形態では、カバー5の溝5cとマグネット1の突起部1bの関係を以下のように構成している。
【0059】
レンズが繰り込んだ位置、即ちマグネット1の突起部1bがカバー5の溝5cの一方の端面であるストッパー部5fに当接する位置では、図3に示すように、該マグネット1の着磁部1aの1極の中心Q1とステータ4の外側磁極部4aの中心R1とのなす角度がα度になるように設定してある。これにより、図3の状態からコイル2へ通電して外側磁極部4aをS極に励磁すると、マグネット1に時計回り(レンズ繰り出し方向の回転)の回転力が生じて安定して起動が行われ、図4に示すレンズを繰り出した状態になる。
【0060】
また、図3の状態を図5に当てはめると、G点の位置となる。この位置でのコギングトルク(マグネット1に作用するステータ4との間で発生する吸引力)はT2であり、これは、E1点に戻ろうとする回転方向にマイナスの力(図3において反時計方向の力)が働くことになる。すなわち、マグネット1の突起部1bがカバー5の溝5cの一方の端面であるストッパー部5fに当接する位置の保持力がT2となる。よって、図3の状態においてコイル2への通電を切ってもマグネット1のマグネット部は安定的にこの位置(図3の位置)に停止する。
【0061】
マグネット1の時計方向の回転に関しては、本実施の形態では、図4に示す位置になるようにカバー5の溝5cの他方の端面であるストッパー部5gがマグネット1の突起部1bと当接するように設定してある。この場合のマグネット1の位置は、マグネット1の極の中心Q2と外側磁極部4aの中心R1とのなす角度がβ度になるように設定してある。
【0062】
図4の状態を図5に当てはめると、H点の位置となる。この位置でのコギングトルク(マグネット1に作用するステータ4との間で発生する吸引力)はT1であり、これは、E2点に進もうとする回転方向にプラスの力(図4において時計方向の力)が働くことになる。すなわち、マグネット1の突起部1bがカバー5の溝5cの他方の端面であるストッパー部5gと当接する位置の保持力がT1となる。よって、コイル2への無通電時には、マグネット1は安定的にこの位置(図4の位置)に停止する。図3の状態と図4の状態とではマグネット1はθ度回転したことになるように設定してある。
【0063】
図4の状態からコイル2へ逆方向に通電してステータ4の外側磁極部4aをN極に励磁すると、マグネット1に反時計方向(レンズ繰り込み方向の回転)の回転力が生じて安定して起動が行われ、図3に示すレンズ52を繰り込んだ状態になる。この図3に示す状態になるとコイル2への通電を断ってもそのままの状態が保持されるのは前述した通りである。
【0064】
以上のように、コイル2への通電方向を切り換えることにより、マグネット1は図3の状態から図4の状態、或いは、図4の状態から図3の状態に切り換わる。この際、レンズ52はマグネット1に連動して回転し、ヘリコイド地板50のメスヘリコイド部50aとレンズホルダ51のオスヘリコイド部51aとの結合により光軸に沿って繰出した位置と繰り込んだ位置との間で移動可能となる。
【0065】
つまり、レンズ52はマグネット1が図4の状態にある時、光軸に沿って繰り出した位置にあり、マグネット1が図3の状態にある時、光軸に沿って繰り込んだ位置にあり、コイル2への通電方向を切り換えることにより、レンズ52の位置を光軸に沿って制御可能となる。そして、繰り出し位置もしくは繰り込み位置に達した後に、前記コイル2への通電を断っても、マグネット1と外側磁極部4aとの吸引力(コギング力)によりそれぞれの位置が保持される。よって、通電していなくても振動等によりレンズの位置が変化することはなく、レンズの位置出しの信頼性が向上するとともに、省エネルギーになる。
【0066】
以上のように本実施の形態においては、繰り込み位置、繰り出し位置の何れの位置でも、無通電で安定して保持できるレンズ駆動装置とすることができる。
【0067】
その他の実施の形態の効果としては、ヘリコイド地板50のメスヘリコイド部50aとレンズホルダー51のオスヘリコイド部51aとからなるレンズ位置出し機構は、ステータ4に同心上で軸方向に重ねて配置されているので、レンズ駆動装置の直径を非常に小さくする事ができる。
【0068】
本アクチュエータについては、以下の特徴もある。
【0069】
コイル2への通電により発生する磁束は、外側磁極部4aと内側磁極部4bとの間にあるマグネットを横切るので効果的に作用する。
【0070】
また、外側磁極部4aはリング形状のマグネットの軸方向と平行な半径方向に延出する櫛歯形状により構成されるため、軸の中心に向かうような半径方向への凹凸により構成されるものに比べて直径方向軸方向に関する寸法は小さく構成できる。これにより、外径と内径との差が小さい薄型の円筒状のアクチエータとすることができる。
【0071】
さらに、前記コイル2は一つで構成されるので通電の制御回路も単純になり、コストも安く構成できる。
【0072】
以上により、出力が高く、かつ安価で小型のレンズ駆動装置を提供することができる。
【0073】
(実施の第2の形態)
図12は本発明の実施の第2の形態に係るレンズ駆動装置を示す図であり、上記実施の第1の形態では、レンズ位置出し機能の一部をなすメスヘリコイド部を有するヘリコイドヘリコイド地板50をステータ4に同心上で軸方向に重ねて配置した構成にしていたのに対し、この実施の第2の形態では、ステータ4の内側磁極部の内壁面に、メスヘリコイド部が形成されたヘリコイド地板を具備する構成にした例を示すものである。図1と同等の機能を有する部分は同一符号を付してある。
【0074】
55はヘリコイド地板であり、ステータ4の内側磁極部4bの内壁面に配置されている。このヘリコイド地板55のメスヘリコイド部55aはレンズホルダー51のオスヘリコイド51aと摺動可能に嵌合し、相対的な回転に伴って軸方向に沿って相対位置を変化させる。つまり、これらヘリコイド地板55のメスヘリコイド部55aとレンズホルダー51のオスヘリコイド51aでレンズ位置出し機構を成す。
【0075】
この実施の第2の形態におけるレンズ位置出し機構は、ステータ4と同心でその内側磁極部の内壁側に配置されているので、光軸と平行方向の長さ、即ち軸方向長さをより短く構成できる。
【0076】
なお、以上の実施の第1及び2の形態では、マグネット部の極数を16極としたが、極数は限定されない。
【0077】
また、外側磁極部を8箇所にしたが、マグネットの着磁極数の半分或いは半分以下としても良い。即ち、マグネットは16極に着磁されているのでその半分の8箇所に外側磁極部を設けてもよい。その場合、外側磁極部はマグネット1の回転中心を中心として、お互いに720/n度の整数倍(nは着磁極数、上記の実施の各形態ではn=4)ずれて配置されることになる。着磁極数が16極の場合は720/16度の整数倍、例えば、90度或いは135度、180度離れて4個所、3箇所、2箇所にあっても良い。さらには、外側磁極部4aの個数については、少なくとも一つの歯形状の外側磁極部としても良い。
【0078】
以上の実施の第1乃至第2の形態における効果を、本発明の各請求項の構成との対応関係を明示しつつ、以下にまとめて列挙する。
【0079】
1)円筒形状のマグネット1と、該マグネット1の回転軸方向に配置されたコイル2と、少なくとも一つの歯形状の外側磁極部4aと内側磁極部4b(これは円筒形状でも歯形状でも良い)が前記マグネット1の外周面と内周面に対向し、前記コイル2により励磁される円筒形状のステータ4と、該ステータ4の内側磁極部4bの内径側の開口部を光路とするレンズ52を前記マグネット1の回転に連動して光軸方向に移動させて該レンズの光軸方向の位置を変化させるレンズ位置出し機構51a,50a(図12では51a,55a)とを有し、前記外側磁極部4aはマグネット1の外周面の着磁部1aに対して所定の角度A(図3等参照)をもって対向するものであって、前記外側磁極部4aのマグネット1の着磁部1aに対向する前記所定の角度Aと前記マグネット1の着磁部1aの1極(N,S極)あたりの角度の比率をY、前記マグネット1の半径方向の厚みに対する該マグネットの着磁部の1極あたりの円周上の長さの比の値をXとすると「−0.3X+0.63>Y」の条件を満たすように設定している。
【0080】
よって、コイル2への無通電時において、マグネット1の着磁部1aの1極の中心が歯形状の外側磁極部4aの中心に対向する位置で安定的に保持されることになり、一旦コイル2へ通電を行ってレンズを位置出しした後、つまり図3の繰り込み位置もしくは図4の繰り出し位置に設定した後、前記コイル2への通電を断っても、その位置に保持することができる構成をとることができ、この構成をとることで省電力化を達成し得るレンズ駆動装置とすることができる。
【0081】
2)前記コイル2への正逆通電が切り換えられることで正逆回転する前記マグネット1の回動範囲を、所定の第1の位置(例えば図3の位置)と第2の位置(例えば図4の位置)の間で一方から他方へ回転できるように規定すると共に、前記マグネットが前記第1の位置もしくは前記第2の位置に達した状態では、外側磁極部4aの中心に対して前記マグネット1の着磁部の1極の中心とが一定の角度(α,β)をなし、この状態時に前記コイルへ2の通電が断たれると、前記外側磁極部4aの中心に前記マグネット1の着磁部の1極の中心を対向させるコギング力が発生し、該コギング力が前記第1の位置もしくは前記第2の位置の状態を保持する力として作用するように、前記外側磁極部4aに対する前記マグネット1の関係を規定する規定部材(突起部1bと溝5c(5g,5f)を具備し、レンズ位置出し機構51a,50a(図12では51a,55a)は、前記マグネット1が前記第1の位置と前記第2の位置の間で一方から他方へ回転するのに連動して、前記レンズを第1のレンズ位置(繰り込み位置)もしくは第2のレンズ位置(繰り出し位置)のうちの何れか一方に変化させるようにしている。
【0082】
詳しくは、前記マグネット1が例えば図4の位置時に、前記コイル2への通電により該図4の位置から図3の位置まで該マグネット1を時計方向に回転させ、この状態で前記コイル2への通電を断ったとすると、上記の構成にすることにより、この際発生するコギング力が前記マグネット1を更に前記時計方向へ回転させようとする力として作用する。しかし、マグネット1は該図3の位置より時計方向への回転はできないようにその回動範囲が突起部1bと溝5c(端面5g,5f)により規定されているので、この規制された図3の位置に無通電状態でも保持され、上記のようにレンズ52も位置出しされた状態に安定的に保持されることになる。
【0083】
よって、省電化を達成しつつ、第1のレンズ位置(繰り込み位置)と第2のレンズ位置の間でレンズを移動させることができる簡易的なレンズ駆動装置とすることができる。
【0084】
その他の効果としては、ステータ4の外側磁極部4aをマグネット1の軸方向と平行方向に延出する歯により構成しているので、該ステータ4の直径はマグネットの直径に磁気ギャップと自らの肉厚を加えた最小限の寸法に抑えられ、非常に半径方向に関して薄型の円筒形状のアクチエータとする事ができる、よって、このアクチュエータの内径側の開口部を光路として光軸方向に移動可能なレンズ52及びその位置だし機構を具備しているので、光軸方向に長くなったり、レンズ駆動の為の回路が複雑になるといったことがないレンズ駆動装置とすることができる。
【0085】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、一旦コイルへ通電を行ってレンズ位置出しした後は、前記コイルへの通電を断っても、その位置に保持することができる構成を可能にするレンズ駆動装置を提供できるものである。
【0086】
また、本発明によれば、省電化を達成しつつ、所定の第1の位置もしくは第2の位置にレンズを安定的に保持させることのできる簡易的なレンズ駆動装置を提供できるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の第1の形態におけるレンズ駆動装置の分解斜視図である。
【図2】図1のレンズ駆動装置の断面図である。
【図3】本発明の実施の第1の形態においてレンズ繰り込み時の図2の軸と直交する方向の主要部分の断面図である。
【図4】本発明の実施の第1の形態においてレンズ繰出し時の図2の軸と直交する方向の主要部分の断面図である。
【図5】本発明の実施の第1の形態におけるコギングトルクの様子を表す図である。
【図6】本発明の実施の第1の形態における外側磁極の幅寸法とコギングトルク、マグネット寸法の関係を表す図である。
【図7】図6の各関係を求める為に使用したモータの種類を示す図である。
【図8】本発明の実施の第1の形態における実験結果であるトルクとロータの回転位相との関係を示す図である。
【図9】本発明の実施の第1の形態における実験結果であるトルクとロータの回転位相との関係を示す図である。
【図10】本発明の実施の第1の形態における実験結果であるトルクとロータの回転位相との関係を示す図である。
【図11】本発明の実施の第1の形態における実験モデルの外側磁極の幅寸法とコギングトルク、マグネット寸法の関係を表す図である。
【図12】本発明の実施の第2の形態におけるレンズ駆動装置の分解斜視図である。
【符号の説明】
1 マグネット
1a 着磁部
1b 突起部
2 コイル
3 ボビン
4 ステータ
4a 外側磁極部
4b 内側磁極部
5 カバー
5c 溝
50 ヘリコイド地板
50a メスヘリコイド部
51 レンズホルダー
51a オスヘリコイド部
52 レンズ
55 ヘリコイド地板
55a メスヘリコイド部

Claims (4)

  1. 外周面が周方向に分割して異なる極に交互に着磁された回転可能な中空円筒形状のマグネットと、該マグネットの回転軸方向に配置されたコイルと、歯形状の外側磁極部と内側磁極部が前記マグネットの外周面と内周面に対向し、前記コイルにより励磁されるステータと、前記内側磁極部の内径側の開口部を光路とするレンズを前記マグネットの回転に連動して光軸方向に移動させて該レンズの光軸方向の位置を変化させるレンズ位置出し機構と、前記コイルへの無通電時に前記マグネットと前記外側磁極部との吸引力により前記マグネットの回転位置が保持される第1の位置と、前記マグネットが前記第1の位置から所定の角度回転した位置であって前記コイルへの無通電時に前記マグネットと前記外側磁極部との吸引力により前記マグネットの回転位置が保持される第2の位置を規制する規制部材とを有し、前記コイルの通電方向により前記第1の位置と前記第2の位置を切り換えるレンズ駆動装置であって、
    前記外側磁極部は前記マグネットの外周面に対して所定の角度をもって対向するものであって、前記外側磁極部の前記マグネットに対向する前記所定の角度と前記マグネットの1極あたりの角度の比率をY、前記マグネットの半径方向の厚みに対する前記マグネットの1極あたりの円周上の長さの比の値をXとすると、
    −0.3X+0.63>Y
    の条件を満たすことを特徴とするレンズ駆動装置。
  2. 前記規制部材は、前記マグネットの回動範囲を、前記第1の位置と前記第2の位置の間で一方から他方へ回転できるように規制すると共に、前記マグネットが前記第1の位置もしくは前記第2の位置に達した状態では、前記各外側磁極部の中心に対して前記マグネットの1極の中心が一定の角度をなし、この状態時に前記コイルの通電が断たれると、前記各外側磁極部の中心に前記マグネットの1極の中心を対向させる磁力が前記第1の位置もしくは前記第2の位置の状態を保持する力として作用するように、前記外側磁極部に対する前記マグネットの関係を規制し、
    前記レンズ位置出し機構は、前記マグネットが前記第1の位置と前記第2の位置の間で一方から他方へ回転するのに連動して、前記レンズを第1のレンズ位置もしくは第2のレンズ位置のうちの何れか一方に変化させることを特徴とする請求項1に記載のレンズ駆動装置。
  3. 前記レンズ位置出し機構は、オスヘリコイド部と該オスヘリコイド部に結合されるメスヘリコイド部とより成り、
    前記オスヘリコイド部と前記メスヘリコイド部のうちの一方は、前記レンズを保持する円筒状の保持部材に形成され、他方は、前記内側磁極部の内壁面に固定される部材に形成され、
    前記マグネットの回転に連動して前記保持部材が回転することで、前記オスヘリコイド部と前記メスヘリコイド部の作用により前記レンズが光軸方向に移動することを特徴とする請求項1に記載のレンズ駆動装置。
  4. 前記レンズ位置出し機構は、オスヘリコイド部と該オスヘリコイド部に結合されるメスヘリコイド部とより成り、
    前記オスヘリコイド部と前記メスヘリコイド部のうちの一方は、前記レンズを保持する円筒状の保持部材に形成され、他方は、前記ステータと同心で軸方向に重ねて配置された固定部材の内壁面に形成され、
    前記マグネットの回転に伴って前記保持部材が回転することで、前記オスヘリコイド部と前記メスヘリコイド部の作用により前記レンズが光軸方向に移動することを特徴とする請求項1に記載のレンズ駆動装置。
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