JP5347444B2 - シート搬送装置および画像形成装置 - Google Patents

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Description

本発明は、シート搬送装置および画像形成装置に関し、さらに詳しくは、エア吸着機能を備えた無端状の吸引搬送ベルトを用いたシート搬送装置と、このシート搬送装置を有するインクジェット、熱転写、感熱等の画像記録方式による画像記録装置もしくは画像形成装置や、孔版印刷装置を含む印刷装置、複写機、プリンタ、ファクシミリ、プロッタ等およびこれら少なくとも2つの機能を備えた複合機等の画像形成装置に関する。
インクジェット記録装置は、制御信号に従って複数のインク吐出口(もしくはインク吐出ノズル)からインクを、シート状記録媒体である用紙等へ向かって吐出することによって画像記録を行うものである。
インクジェット記録方式は、他の記録方式、例えば電子写真方式などと比較して容易に装置の小型化ができ、低価格で高品位の記録装置を作ることができるため、近年様々な技術が開発されている。
その中でも記録素子を記録幅に対応した数だけ配列させて構成するフルラインタイプのインクジェット記録ヘッドを有するフルラインタイプのインクジェット記録装置は、極めて高速に画像記録を行える点で従来のシリアルタイプのインクジェット記録ヘッド(以下、単に「印字ヘッド」ともいう)を有するシリアルタイプのインクジェット記録装置よりも優れており、今後の高速記録技術として期待されている。
インクジェット記録装置においては、用紙等のシート状記録媒体(以下、「シート」という)が搬送されるが、それに用いられるシート搬送装置としては、ベルト駆動装置を利用、すなわち無端状のベルト表面にエア吸引による吸引力を発生させ、この吸引力によってシートをベルト上に保持しながら搬送するものである。一般的なシート搬送装置は、複数の吸引孔を形成された無端状の吸引搬送ベルトが複数の回転部材に掛け渡されて走行可能に構成されており、複数の吸引孔からのエア吸引によってシートを吸引搬送ベルトに吸引・保持(以下、「吸着」ともいう)して搬送するものが知られている(例えば、特許文献1および2参照)。
特許文献1では、プラテンチャンバの各吸引孔を開閉自在とする弁体を設け、用紙が通過する部分の吸引孔のみが開放するように弁体の開閉制御を行う用紙搬送装置が開示されている。これにより、常に高い吸引力が得られ安定した用紙の搬送動作が行えるというものである。
特許文献2では、記録媒体をエア吸引するために形成されるベルトの吸引孔の位置を記録媒体の端縁に対面させるようにし、この端縁をベルトに吸着させてカールの発生を抑制する記録媒体搬送装置が開示されている。その具体的解決手段としては、段落「0018」、「0024」、「0025」に記載されている。
特開平6−135613号公報 特許第3469824号公報
ここで、例えばインクジェット記録装置を例にとって、これに配設されたシート搬送装置によるシート(以下、具体的に「用紙」で説明する)の重要な搬送条件を説明する。上記記録装置にとって重要なシート搬送条件としては、
(1)用紙が吸引搬送ベルト上に乗った後は、その位置からずれてはいけない(1色目印字開始後のズレはエヌジー(NG)となる)。
(2)用紙は、その全体に渡って、吸引搬送ベルトにきちんと貼り付いていなければならない(浮きなき)ことが挙げられる。
上記(1)の搬送条件(以下、「第1のシート搬送条件」という」)を満足できないと、インクジェット記録装置では4色以上の印字ヘッドがあるため、用紙がずれるとその画像位置がずれることとなり、異常画像となってしまう。
上記(2)の搬送条件(以下、「第2のシート搬送条件」という))を満足できないと、用紙が浮き上がった状態で印字されることとなり、これもやはり異常画像となる。また、印字ヘッド先端であるノズルのインク吐出口と吸引搬送ベルトとの隙間(ギャップ)は狭く、1〜2mm程度(後述する本発明の一実施形態の図4参照)であるため、特に用紙の先端部分が浮いていると、用紙の先端部分が印字ヘッドに接触し、スキューやジャムが発生してしまう。
上述した内容から、第1のシート搬送条件を満足するためには、すなわち用紙のずれがなく、かつ、用紙の先端部分の浮きを無くすには、吸引搬送ベルトに開けられた複数の吸引孔からのエア吸引力(負圧)を高めることができれば高いほどよいと言うことができる。
第2のシート搬送条件を満足するためには、用紙の先端部分および用紙の四隅(4箇所の角)部分を確実に吸引することで、用紙全体を吸引搬送ベルトに貼り付けることが重要である。これは、カールや折れなどは用紙の四隅部分がなりやすいからであり、その部分を確実に吸引することで浮きを防止できる。また、用紙の先端部分が浮上っていると用紙が印字ヘッド先端等に接触し、スキューやジャムが発生するからである(後述する本発明の一実施形態の図4参照)。
特許文献1記載の技術を上記記録装置に適用した場合を想定すると、第1のシート搬送条件を満足するための高い吸引力を得る構成が複雑であると共に、第2のシート搬送条件を満足するための吸引位置に関して何の考慮もされていないという問題点がある。
特許文献2記載の技術を上記記録装置に適用した場合を想定すると、第2のシート搬送条件をある程度満足することができるものの、吸引孔が多いため、小サイズのシート吸着の場合にエア吸引力(静圧)が下がり、吸着力が弱くなってしまうという問題点がある。
本発明は、上述した問題点・事情に鑑みてなされたものであり、装置を大型化することなく、第1および第2のシート搬送条件を満足する、すなわちシートのずれがなく、かつ、シートの先端部分の浮きを無くすために、吸引搬送ベルトの複数の吸引孔からのエア吸引力(負圧)を高めるという条件、およびシートの先端部分およびシートの四隅(4箇所の角)部分を確実に吸引するという条件を満足することにより、簡単な構成で装置の小型化を図ると共に、吸引搬送ベルト上でシートがずれることなく、かつ、シートの浮きが発生しない安定したシート搬送が可能なシート搬送装置および画像形成装置を実現し提供することを主な目的とする。
上述した課題を解決するとともに上述した目的を達成するために、請求項ごとの発明では、以下のような特徴ある手段・構成を採っている。
請求項1記載の発明は、複数の吸引孔を形成された無端状の吸引搬送ベルトが複数の回転部材に掛け渡され、上記複数の吸引孔からのエア吸引によってシートを上記吸引搬送ベルトに吸着してシート搬送方向に搬送するシート搬送装置において、上記吸引搬送ベルトは、シートを載置するシート載置位置が予め決められていて、上記シート載置位置に対応して上記複数の吸引孔が形成されており、上記吸引搬送ベルトの周長は、A4短手サイズのシート4枚が上記各シート載置位置に載置される長さであって、上記吸引搬送ベルトが1周することでA4短手サイズのシートを4枚搬送可能であり、上記吸引搬送ベルトは、上記周長に渡って1種類の吸引孔パターンを4つ有し、A4短手サイズよりシート長さが長いシートを使用する場合には、上記吸引孔パターンの1つおきにシートを載置することを特徴とする。
請求項記載の発明は、請求項記載のシート搬送装置において、上記各吸引孔パターンにおける上記シート搬送方向の先端部は、上記吸引孔による吸引面積が他の部分と比べて大きくなるように上記吸引孔が多数形成されていることを特徴とする。
請求項記載の発明は、請求項1または2記載のシート搬送装置において、上記吸引搬送ベルトには、上記各シート載置位置を検知するためのシート載置位置被検知手段が上記シート搬送方向に沿った同一直線上に4箇所形成されており、かつ、上記吸引搬送ベルトの上記同一直線上には、上記吸引孔が形成されていないことを特徴とする。
請求項記載の発明は、請求項1ないしの何れか一つに記載のシート搬送装置において、上記吸引孔は、少なくても定型サイズの各シートの四隅の部分に対応して形成されていることを特徴とする。
請求項記載の発明は、請求項1ないしの何れか一つに記載のシート搬送装置と、画像形成手段とを有することを特徴とする画像形成装置である。
本発明によれば、上記課題を解決して新規なシート搬送装置およびこれを有する画像形成装置を実現し提供することができる。
すなわち、本発明によれば、上記構成により、吸引搬送ベルトの複数の吸引孔からのエア吸引力(負圧)を高めることができると共に、例えば特許文献2記載の技術と比べて、シートサイズが小さい場合に静圧が下がり吸着力が低下することを回避して、吸引孔の数を最小限にできるので、シートサイズに関わらず、吸引搬送ベルト上でシートがずれることなく、かつ、シートの浮き(特にはシートの先端部分)が発生しない安定したシート搬送が可能なシート搬送装置および画像形成装置を実現し提供することができる。
以下、図を参照して実施例を含む本発明の実施の形態(以下、「実施形態」という)を説明する。各実施形態等に亘り、同一の機能および形状等を有する構成要素(部材や構成部品)等については、混同の虞がない限り一度説明した後では同一符号を付すことによりその説明を省略する。図および説明の簡明化を図るため、図に表されるべき構成要素であっても、その図において特別に説明する必要がない構成要素は適宜断わりなく省略することがある。公開特許公報等の構成要素を引用して説明する場合は、その符号に括弧を付して示し、各実施形態等のそれと区別するものとする。
図1〜図8を参照して、本発明の一実施形態を説明する。
まず、図1および図2を参照して、本実施形態に係る画像形成装置ないしは画像記録装置の一例としてのフルラインタイプのインクジェット記録装置1の要部構成について説明する。
図1および図2に示すように、インクジェット記録装置1は、シートとしての用紙10に画像形成を行う画像形成手段としてのフルラインタイプのインクジェット記録ヘッド(以下、「ヘッドユニット」という)100と、ヘッドユニット100に近接して配置され、後述する図示しない給紙装置から給送されてくる用紙10をシート搬送方向Xに搬送するエア吸着方式のシート搬送装置2と、シート搬送装置2にタイミングを取って用紙10を給送するレジストローラ対200a,200bおよびこのレジストローラ対200a,200bに向けて用紙10を1枚ずつに分離して送り出す図示しないシート給送手段およびシート積載手段等を備えた給紙装置(図示せず)と、ヘッドユニット100にて画像形成された用紙10を排出する排紙トレイ等のシート排出手段を備えた排紙装置(図示せず)とから主に構成されている。
上記図示しない給紙装置は、それぞれ図示しない、シート給送手段としての給紙コロ、シート分離手段としての分離コロ対や分離パッド、シート積載手段としての給紙台ないし給紙トレイ等の周知の構成からなる。
上記給紙トレイは、シート搬送方向Xと直交するシート幅方向Yに互いに移動可能に構成され、用紙10の両側端面に当接して用紙10のシート幅方向Yの位置決め・揃えを行う一対のサイドフェンスと、このサイドフェンス対のシート幅方向Yの移動に伴い用紙10におけるシート幅方向Yのサイズの検出を行うシート幅検知手段と、用紙10におけるシート搬送方向Xのサイズの検出を行うシート長さ検知手段とが配設されている。上記シート幅検知手段およびシート長さ検知手段からなるシートサイズ検知手段の具体例としては、特開2005−153179号公報の図14に示されている用紙サイズ検知センサ(117)と同様の図5に示す用紙サイズ検知センサ210を用いて用紙(シート)サイズの検知を行うようになっている。
なお、給紙装置としては、上記のような摩擦方式のものに限らず、エアの吹付力によりシートを分離した後、エアの吸引力によりシートを給送するエア方式のものであってもよい。
ヘッドユニット100は、インク滴を吐出する周知の機構を備えており、4つのインクジェット記録ヘッド(以下、「印字ヘッド」という)101、102、103、104、具体的には印字ヘッド101がイエロー(Y)インクを、印字ヘッド102がマゼンタ(M)インクを、印字ヘッド103がシアン(C)インクを、印字ヘッド104がブラック(Bk)インクを、それぞれ吐出・噴射することが可能に構成されている。
図3、図4に拡大して示すように、4つの印字ヘッド101、102、103、104は、シート搬送方向Xに沿ってその下流側から上流側に向かって並設されていて、それらのノズル101a、102a、103a、104aが下方に向けた状態でヘッドホルダ105に保持されている。
図4に示すように、「発明が解決しようとする課題」で説明したように、各印字ヘッド101〜104のノズル101a〜104aのインク吐出口とシート搬送装置2を構成する吸引搬送ベルト400上面との隙間(ギャップ)は狭く、1〜2mm程度に設定されている。
印字ヘッド100としては、振動板を圧電素子などの電気機械変換素子で変形させて液滴を吐出させるヘッド機構、電気熱変換体を用いてバブルを発生させて液滴を吐出させるヘッド機構、振動板を静電力で変形させて液滴を吐出させるヘッド機構など、各種のヘッド機構を用いることができる。
本実施形態では、4つの印字ヘッド101〜104を用いて4色のインクを吐出させてフルカラー画像を形成するようにしているが、3色のインクや、淡い色のインクを付加した6色あるいは7色のインクを吐出させる印字ヘッド構成とすることも可能である。
シート搬送装置2は、図1および図2に示すように、ベルト駆動装置を利用しており、吸引搬送ベルト400、駆動ローラ401、従動ローラ402、吸引チャンバ403、吸引ダクト404、シロッコファン405a、405b、ベルト駆動モータ407等を有している。
吸引搬送ベルト400は、無端ベルトからなり、用紙(シート)10に接触する面が用紙10に対して摩擦係数の高いゴム等でできている。吸引搬送ベルト400には、用紙10をエアの吸引力によって吸着(吸引・保持)するための複数の吸引孔408が形成されている。吸引搬送ベルト400における吸引孔408等の配置は、後述するように所定のパターンをもって形成されている。
吸引搬送ベルト400は、回転部材としての駆動ローラ401と従動ローラ402との間に掛け渡されており、駆動ローラ401がベルト駆動手段としてのベルト駆動モータ407によって回転駆動されることで、シート搬送方向Xに回転・走行する。駆動ローラ401と従動ローラ402とは、シート搬送方向Xと直交するシート幅方向Yに配設された図示しない装置本体の一対の側板に回転自在に軸支されている。
ベルト駆動モータ407は、ギヤ列またはプーリとベルト等の駆動力伝達手段を介して、駆動ローラ401の軸の一端に接続されている。ベルト駆動モータ407としては、速度可変制御および回転による搬送距離の制御が容易で正確なパルス入力で駆動されるモータとしてステッピングモータを用いている。
駆動ローラ401と従動ローラ402との間であって、上下の吸引搬送ベルト400で囲まれた内部には、ほぼ箱状をなす、エアを吸引する吸引チャンバ403が設けられている。吸引搬送ベルト400に接触可能に設けられた吸引チャンバ403の上壁には、図2においてその一部を破砕して断面で示すように、シート搬送方向Xに沿って長い開口403a、あるいは少なくとも吸引孔408の形成領域よりも大きな開口403aが複数形成されている。吸引チャンバ403の一側には、吸引ダクト404が連通・接続されている。
吸引搬送ベルト400の複数の吸引孔408からエア吸引するエア吸引駆動源は、DCモータを内蔵した複数(本実施形態例では2つ)のシロッコファン405a,405bからなる。シロッコファン405aは、エアaを吸引するエア吸引口405a1とエアaを吐出するエア吐出口405a2とを備えており、同様に、シロッコファン405bは、エアaを吸引するエア吸引口405b1とエアaを吐出するエア吐出口405b2とを備えている。
そして、エア排出経路(エア流れ・エア吸引方向)の上流側のシロッコファン405aのエア吐出口405a2に、隣る下流側のシロッコファン405bのエア吸引口405b1を連通・接続して配置した点が大きな特徴となっている。
DCファンでも静圧が上げる方式として、エア吸引駆動源としてのエア吸引駆動ファンをシロッコファン405a,405bとし、そのシロッコファン405a,405bを図1および図2に示すように配置するものである。すなわち、両図に簡略的に示すように、吸引チャンバ403の一側壁に形成された開口(図示せず)に、吸引チャンバ403の上記図示しない開口に対向して開口部を備えたほぼ箱状の吸引ダクト404が連通・接続されており、さらにその吸引ダクト404の下壁に形成された図示しない開口部に上流のシロッコファン405aのエア吸引口405a1が連通・接続されている。
そして、上流のシロッコファン405aのエア吐出口405a2にはファン接続ダクト406が連通・接続されており、それから下流のシロッコファン405bのエア吸引口405b1には簡略的に示すファン接続ダクト406が連通・接続されており、最も下流側にシロッコファン405bのエア吐出口405b2が開口されていて、エアを吐出するようになっている。換言すれば、2つのシロッコファン405a,405bが直列に連通・接続された構成である。
当然のことながら、吸引チャンバ403と吸引ダクト404との連通・接続部、吸引チャンバ403とシロッコファン405aのエア吸引口405a1との連通・接続部、シロッコファン405aのエア吐出口405a2とファン接続ダクト406との連通・接続部、シロッコファン405bのエア吸引口405b1とファン接続ダクト406との連通・接続部は、それぞれエア漏れがないように適切な嵌合接続形状により、また適宜のシールテープ等の貼り付けによってエア漏れ防止が図られている。
図3に、シロッコファン405a,405bの具体的な製品例を示す。図3中、405cはシロッコファン405a,405bに設けられている多翼ファンを、405dはシロッコファン405a,405bに設けられているDCファンモータに電力を供給するリード線をそれぞれ示している。なお、シロッコファンの名称は当業者の間で広く用いられている用語であるが、その正式名称(学術用語)は、遠心送風機の多翼ファンに相当する。
周知のように、多翼ファンを備えた遠心送風機(シロッコファン)は、小型かつ安価であり、特に軸流式送風機と比べて、1段での圧力上昇を大きくとることが容易で騒音も少ないという特徴がある。
各シロッコファン405a,405bは、その静圧仕様が同等のもの、すなわち静圧仕様を含め形状・寸法等が共通のものである。本実施形態によれば、このように共通の2つのシロッコファン405a,405bを直列に連通・接続した構成にすることで、シロッコファン405a,405bの何れか一方の場合と比べて、静圧を約50%アップさせることができると共に、部品の共通化を図れる。例えば1つのシロッコファンの静圧が仮に400Paとすると、図1および図2に示したようにシロッコファン405a,405bを直列に接続した構成と、シロッコファン405a,405bのうちの何れか一方のみに構成した場合との比較試験を行った結果、本実施形態例では600Paに約50%アップすることができた。
一般的に、その静圧仕様が同等の2つのシロッコファンを直列に連通・接続した構成の場合、理論上の静圧は2倍になるが、本実施形態では吸引ダクト404およびファン接続ダクト406による摩擦、負荷抵抗等により約50%アップすることが分かった。
本実施形態においては、各シロッコファン405a,405bは、DCファンからなるので、各々の回転数を可変することで、静圧および風量を変えることも可能であるが、本実施形態では、通常、各シロッコファン405a,405bは最大の回転数で回転駆動される設定である。
図1および図2において、吸引搬送ベルト400、吸引ダクト404、吸引チャンバ403、各シロッコファン405a,405bは、エア吸引手段を構成している。
また、吸引搬送ベルト400、駆動ローラ401、従動ローラ402、ベルト駆動モータ407は、上記エア吸引手段により吸引搬送ベルト400上に吸着された用紙10を給送するシート給送手段を構成している。
本実施形態によれば、インクジェット記録装置1において、上述した利点・効果を有する安価なDCファンであるシロッコファン405a,405bを上述したように直列に連通・接続して配置したことにより、単一で配置した場合と比べて、吸引力(負圧・静圧)が約1.5倍アップすることで用紙10を確実かつ十分に吸着(吸引・保持)して搬送することができるようになった。
ヘッドユニット100の印字ヘッド104(ブラック:Bk)におけるシート搬送方向X上流側の吸引搬送ベルト400の上方近傍には、レジストローラ対200a、200bから給送されてきた用紙10の先端を検知するシート先端検知手段としての用紙先端センサ300が配置されている。
また、従動ローラ402寄りの吸引搬送ベルト400の下方近傍には、図6等に示すように吸引搬送ベルト400に開けられたベルトホームポジション孔410を検知するベルトホームポジションセンサ301が配置されている。用紙先端センサ300およびベルトホームポジションセンサ301は、反射型のフォトセンサからなる。
図5を参照して、インクジェット記録装置1の制御構成を簡単に説明する。この制御構成は、当業者が実施できる程度に最低限の技術事項だけを説明するものであり、細部構成は省略されていることを付記しておく。
インクジェット記録装置1の上方には、操作パネル500が配設されている。操作パネル500は、インクジェット記録装置1の動作指示を行うためのスタートキーやテンキー等のハードキーと、インクジェット記録装置1の各装置状態をする報知する報知手段ないし表示手段としての液晶表示部等とを有する。
また、操作パネル500の上方には、画像読取装置520が配設されている。画像読取装置520としては、例えば特開2006−76270号公報の図1に示されている画像読取部(40)と同様の周知の構成を備えている。
また、インクジェット記録装置1には、パソコン530が図示しないパソコンコントローラを介して電気的に接続されている。
画像読取装置520で読み取られた原稿の画像データは、画像処理装置510で所定の画像処理を行われた後、制御手段に600に送られ、このデータ基づいて各印字ヘッド101〜104の駆動部が選択的に駆動することにより、所定色のインクを用紙10に吐出して画像形成を行う。
一方、パソコン530から送出された画像データは、上記図示しないパソコンコントローラを経由して画像処理装置510で所定の画像処理を行われた後、制御手段に600に送られ、このデータ基づいて各印字ヘッド101〜104の駆動部が選択的に駆動することにより、所定色のインクを用紙10に吐出して画像形成を行う。画像処理装置510としては、例えば特開2006−76270号公報の図14に示されている画像処理装置(37)とほぼ同様の構成を備えている。
制御手段600は、画像処理装置510からの画像データ信号、操作パネル500に配設された各種ハードキー、各種センサ210,300,301からの信号に基づいて、操作パネル90に配設された液晶表示装置(LCD)や各種LED、シロッコファン405a,405b、ベルト駆動モータ407、印字ヘッド101〜104の各駆動の動作を制御可能な、それぞれ図示しないCPU、ROM、RAMおよびタイマ等を備えた周知のマイクロコンピュータを具備している。上記ROMには、制御手段600の上記CPUの機能を発揮するための動作プログラムや関係データが予め記憶されている。後述するインクジェット記録装置1の動作制御は、制御手段600からの指令の下に実行される。
図6〜図8を参照して、シート搬送装置2の吸引搬送ベルト400に形成されている吸引孔408およびベルトホームポジション孔410の詳細な配置構成について説明する。
吸引搬送ベルト400は、用紙(シート)10を載置するシート載置位置が予め決められていて、上記シート載置位置に対応して複数の吸引孔408が形成されていることを特徴としている。
シート搬送装置2で搬送できる用紙サイズは、例えばA6〜A3までの定型サイズの用紙10である。ちなみに、その詳細は、A6長手、B6長手、A5長手および短手、B5長手および短手、A4長手および短手、B4長手、A3長手となっている。
ここで、「長手」とは、シート搬送方向Xに対して用紙長さが長くなる用紙サイズの場合を、「短手」とは、その逆をそれぞれ意味する。
図6に示すように、吸引搬送ベルト400の周長は、A4短手(210mm)サイズの用紙10を4枚、各シート載置位置に載置して搬送できるように構成されている。実施例的には、図6および図7に示すように、A4短手(210mm)サイズの用紙10の1枚目と2枚目、2枚目と3枚目、3枚目と4枚目との各紙間(シート間)距離を70mmとし、ワンピッチ280mmに設定している。これが4枚分に相当するピッチであるため、吸引搬送ベルト400の周長は1120mmとなる。
図6および図7に示すように、1枚のA4短手(210mm)サイズの用紙10に対応する吸引搬送ベルト400のシート載置位置には、吸引搬送ベルト400をシート幅方向Yで2等分するベルト中心線(図6において一点鎖線で示す)CL400に対して、左右対称の位置に吸引孔408が形成されていて、1種類の吸引孔パターンを構成している。
A4短手(210mm)サイズの用紙10の1枚目に対応して吸引搬送ベルト400に形成された吸引孔パターンを一点鎖線で、同様に用紙10の2枚目に対応して吸引搬送ベルト400に形成された吸引孔パターンを細かい破線で、同様に用紙10の3枚目に対応して吸引搬送ベルト400に形成された吸引孔パターンを粗い破線で、同様に用紙10の4枚目に対応して吸引搬送ベルト400に形成された吸引孔パターンを二点鎖線で、それぞれ矩形で囲んで示す。
従って、吸引搬送ベルト400の周長(1120mm)には、シート載置位置に対応した1種類の吸引孔パターンが4つ、シート搬送方向Xに沿って形成されていることになる。
図6および図7において、図を見やすくするため、用紙10の1枚目および3枚目に対応して吸引搬送ベルト400のシート載置位置に形成された吸引孔パターンの各吸引孔408を白抜きの丸形状およびベルトホームポジション孔410を白抜きの長方形で、用紙10の2枚目および4枚目に対応して吸引搬送ベルト400のシート載置位置に形成された吸引孔パターンの各吸引孔408を黒丸形状およびベルトホームポジション孔410を黒の長方形で表している。なお、図1等における各吸引孔パターンの正確な配置状態は、図8に示すとおりである。
A4短手(210mm)サイズ以下の用紙サイズの場合は、吸引搬送ベルト400の1周で4枚の用紙10に画像形成すべく搬送可能、すなわち印刷可能である。
しかし、B5長手(257mm)以上のシート搬送方向Xに長い用紙サイズの場合は、ベルトホームポジションセンサ301のオン信号を1つ飛ばして搬送するため、吸引搬送ベルト400の1周で2枚の用紙10にしか印刷することができず、その生産性が半分となる。
図8に示すように、吸引搬送ベルト400に形成した吸引孔408の位置は、上述のように本実施形態のシート搬送装置2における吸引搬送ベルト400で使用可能な全ての用紙サイズ(10種類の定型サイズ)の用紙10の四隅・コーナー部分が吸引されるように配置した。同図において、黒丸形状で示す吸引孔408は、10種類の用紙サイズの用紙10の四隅に対向・対応した吸引孔408を表している。
B4、A3長手サイズの用紙10の後端側の角部を吸引する吸引孔408は、2ピッチ目の吸引孔パターンに属する吸引孔408になる。
以上のように1種類の吸引孔パターンを4つ吸引搬送ベルト400に配置すると、各吸引孔パターンにおけるシート搬送方向Xの先端部は、必然的に吸引孔408の数が多くなるから、吸引面積も他の部分と比べて大きくなる。従って、本実施形態によれば、吸引搬送ベルト400に形成された各吸引孔パターンにおけるシート搬送方向Xの先端部が相対的に多数の吸引孔408を有することにより、用紙サイズ毎の用紙10の先端部全体を十分な吸引力で確実に吸引することができ、カール等による用紙10先端部の浮きを未然に防止できる。
上記特許文献2記載の技術を含め、一般的に、吸引孔を吸引搬送ベルトの全体に多く形成すれば、用紙全体を吸引する吸引力および吸着しての搬送力は上がるが、この場合は用紙サイズが相対的に大きい場合である。すなわち、その全体に渡って吸引孔を形成した吸引搬送ベルトで、相対的に小サイズの用紙を吸着搬送する場合は、用紙サイズ以外のところでも吸引孔が形成されているため、エアが漏れている状態になる。つまり、負圧が上がらなくなり、その結果、吸着搬送力の低下を招き、用紙が浮きやすくなる。
本実施形態のインクジェット記録装置1のシート搬送装置2では、相対的に小サイズのA6サイズから相対的に大サイズのA3サイズまでの定型サイズの用紙を使用し、吸着搬送しなければならないので、使用する用紙サイズに応じて必要な吸引搬送ベルト400のシート載置位置に必要な数の吸引孔408が要求されるのである。
図8に示すように、吸引搬送ベルト400には、4箇所の吸引孔パターンにおけるシート載置位置を検知するためのシート載置位置検知用孔もしくはシート載置位置被検知手段としてのベルトホームポジション孔410がシート搬送方向Xに沿った同一直線であるベルト中心線CL400上に4箇所形成されている。吸引搬送ベルト400のベルト中心線CL400上には、吸引孔408が形成されていない。当然のことであるが、ベルトホームポジション孔410のシート搬送方向Xに沿った同一直線上に吸引孔408を形成・配置すると、ベルトホームポジションセンサ301が吸引搬送ベルト400のホームポジションと誤検知してしまうからである。
次に、インクジェット記録装置1の動作を簡明に説明する。インクジェット記録装置1の図示しない電源スイッチを投入オンすると、上記各センサ、制御手段600が起動可能状態となる。すなわち、用紙サイズ検知センサ210により、上記図示しない給紙トレイ上に積載されている用紙10の用紙サイズが自動的に検知される。
次いで、操作パネル500に配設されている図示しないテンキーにより用紙枚数を置数し、図示しないスタートキーを押下すると、インクジェット記録装置1が作動する。
先ず、ベルト駆動モータ407が駆動されることで、吸引搬送ベルト400が一定速度(定速)の線速度である約200mm/sで回転・走行し始める。次いで、ベルトホームポジションセンサ301によって、ベルトホームポジション孔410が検知されることにより、吸引搬送ベルト400のホームポジション(初期位置)を検知することができる。
ベルトホームポジションセンサ301がベルトホームポジション孔410を検知したら、レジストローラ対200a,200bが作動し回転する。このレジストローラ対200a,200bが回転する以前に、上記図示しない給紙装置から用紙10が1枚に分離されてレジストローラ対200a,200bに向けて送り出され、レジストローラ対200a,200bのニップ部で用紙10先端が一時的に停止する。これと同時に、各シロッッコファン405a,405bが回転駆動されることで、吸引搬送ベルト400の各吸引孔408からのエア吸引可能な状態となる。
レジストローラ対200a,200bの回転搬送によって、用紙10を吸引搬送ベルト400に給送する。レジストローラ対200a,200bでの線速度は、吸引搬送ベルト400と同速度(約200mm/s)に設定されている。
A4短手サイズ(210mm)より用紙長さが長い用紙10使用の場合、すなわちB5長手以上の長い用紙10使用の場合は、レジストローラ対200a,200bの回転動作は、ベルトホームポジションセンサ301によるオン信号の1つおきに動作させる。いわゆるスキップ給紙により、吸引搬送ベルト400の例えば1ピッチ目と3ピッチ目の各吸引孔パターンの吸引孔408形成箇所でのみB5長手サイズ以上の長い用紙10を吸着搬送することとなる。
A4短手サイズ(210mm)の検知は、上述したように図示しない給紙トレイの用紙サイズ検知センサ210にて検知するが、上記給紙トレイの用紙10の先端を突き当て揃える前面板よりシート搬送方向Xの上流側の約212mm部分に反射型のフォトセンサを配置することで対応できる。
常に上記のタイミングで用紙10を搬送するので、用紙10は吸引搬送ベルト400の予め決められたシート載置位置に搬送することができる。吸引搬送ベルト400の吸着搬送によって、用紙10は図6に示すようにベルトホームポジション孔410を塞ぐシート載置位置に搬送される。
この際、上述したように直列に連通・接続された2つのシロッコファン405a,405bの駆動によって、高い静圧(負圧)による十分な吸引力作用の下で、また上述した特有の吸引孔パターンの下で、用紙10が吸引搬送ベルト400上でずれることなく、かつ、浮きが発生しない状態で吸引搬送ベルト400に吸着されつつ確実に搬送される。
上記した吸引搬送ベルト400の吸着搬送によって、用紙10がシート搬送方向Xの下流側に搬送されていくと、用紙先端センサ300によって用紙10の先端がオン・検知される。
用紙10の先端が検知されることで、ヘッドユニット100の各印字ヘッド101〜104での印字タイミング、すなわち各色のインクの吐出タイミングが決定される。すなわち、用紙先端センサ300がオンしてから、ステッピングモータからなるベルト駆動モータ407が任意のパルス数付与に応じたステップ数(角度)回転動作後から各印字ヘッド101〜104での印字がスタートする。これにより、各印字ヘッド101〜104から各色のインクが吐出・噴射されてフルカラー画像が用紙10上に形成された後、画像形成済みの用紙10が上記図示しない排紙トレイに排出・積載されることとなる。
以上説明したとおり、本発明は、複数の吸引孔を形成された無端状の吸引搬送ベルトが複数の回転部材に掛け渡され、複数の吸引孔からエア吸引するエア吸引駆動源によってシートを吸引搬送ベルトに吸着してシート搬送方向に搬送するシート搬送装置であれば、どのようなシート搬送装置や、これを有する画像形成装置、例えばインクジェット、熱転写、感熱等の画像記録方式による画像記録装置もしくは孔版印刷装置にも好ましく適用できる他、印刷装置、複写機、プリンタ、ファクシミリ、プロッタ等およびこれら少なくとも2つの機能を備えた複合機等の画像形成装置にも適用できるものである。
本発明を特定の実施形態等について説明したが、本発明が開示する技術的範囲は、上述した実施形態や実施例等に例示されているものに限定されるものではなく、それらを適宜組み合わせて構成してもよく、本発明の範囲内において、その必要性および用途等に応じて種々の実施形態や変形例あるいは実施例を構成し得ることは当業者ならば明らかである。
本発明の一実施形態を示すインクジェット記録装置の要部の平面図である。 図1のインクジェット記録装置の一部を破砕して示す要部の正断面図である。 (a)は、シロッコファンの製品例を示す下面図、(b)は、同ファンの右側面図、(c)は、同ファンの平面図である。 図1の各印字ヘッドのノズル吐出口と吸引搬送ベルト上面との微小な隙間を説明する要部の拡大正断面図である。 図1のインクジェット記録装置の要部の制御構成を示すブロック図である。 吸引搬送ベルトを展開してA4短手サイズの用紙と、吸引孔、吸引孔パターン等との関係を説明する図である。 吸引搬送ベルトを展開して各吸引孔パターンの紙間距離を説明する図である。 吸引搬送ベルトの約半分を展開して、各定型サイズの用紙と、四隅の吸引孔、吸引孔パターン、ベルトホームポジション孔等との関係を説明する図である。
符号の説明
1 インクジェット記録装置
2 シート搬送装置
10 用紙
100 ヘッドユニット(インクジェット記録ヘッド)
101〜104 印字ヘッド(インクジェット記録ヘッド)
200a,200b レジストローラ対
300 用紙先端センサ
301 ベルトホームポジションセンサ(ベルトホームポジション検知手段)
400 吸引搬送ベルト
401 駆動ローラ(回転部材)
402 従動ローラ(回転部材)
403 吸引チャンバ
404 吸引ダクト
405a,405b シロッコファン・DCファン(エア吸引駆動源)
405a1,405b1 エア吸引口
405a2,405b2 エア吐出口
406 ファン接続ダクト
410 ベルトホームポジション孔(シート載置位置被検知用孔・シート載置位置被検知手段)
600 制御手段

Claims (5)

  1. 複数の吸引孔を形成された無端状の吸引搬送ベルトが複数の回転部材に掛け渡され、上記複数の吸引孔からのエア吸引によってシートを上記吸引搬送ベルトに吸着してシート搬送方向に搬送するシート搬送装置において、
    上記吸引搬送ベルトは、シートを載置するシート載置位置が予め決められていて、上記シート載置位置に対応して上記複数の吸引孔が形成されており、
    上記吸引搬送ベルトの周長は、A4短手サイズのシート4枚が上記各シート載置位置に載置される長さであって、上記吸引搬送ベルトが1周することでA4短手サイズのシートを4枚搬送可能であり、
    上記吸引搬送ベルトは、上記周長に渡って1種類の吸引孔パターンを4つ有し、
    A4短手サイズよりシート長さが長いシートを使用する場合には、上記吸引孔パターンの1つおきにシートを載置することを特徴とするシート搬送装置。
  2. 請求項1記載のシート搬送装置において、
    上記各吸引孔パターンにおける上記シート搬送方向の先端部は、上記吸引孔による吸引面積が他の部分と比べて大きくなるように上記吸引孔が多数形成されていることを特徴とするシート搬送装置。
  3. 請求項1または2記載のシート搬送装置において、
    上記吸引搬送ベルトには、上記各シート載置位置を検知するためのシート載置位置被検知手段が上記シート搬送方向に沿った同一直線上に4箇所形成されており、かつ、上記吸引搬送ベルトの上記同一直線上には、上記吸引孔が形成されていないことを特徴とするシート搬送装置。
  4. 請求項1ないし3の何れか一つに記載のシート搬送装置において、
    上記吸引孔は、少なくても定型サイズの各シートの四隅の部分に対応して形成されていることを特徴とするシート搬送装置。
  5. 請求項1ないし4の何れか一つに記載のシート搬送装置と、画像形成手段とを有することを特徴とする画像形成装置
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