JP5347231B2 - 半導体レーザ装置 - Google Patents
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ステムは、半導体レーザ素子の固定、及び半導体レーザ素子への通電に使用されるだけでなく、レーザ発振時に半導体レーザ素子に発生する熱を外部に放熱する機能がある。そのため、ステムは熱伝導性の良好な材料から形成するのが好ましい。
なお、高出力の半導体レーザ素子や、波長の短い半導体レーザ素子を使用する場合には、耐熱性及び耐光性に優れた金属キャップが好ましい。
蛍光体は、透光性の母材に分散させてレーザ光の光路上に配置することができるが、特に、キャップの頂部に取付けられる透光性部材に分散させれば、従来の半導体レーザ装置の構造をそのまま使用することができる点で有利である。透光性部材に分散させた蛍光体は、透光性部材を通過する青色レーザ光の一部を吸収して黄色に発光する。蛍光体で発光した黄色光と、透光性部材を透過した青色レーザ光との混色により、白色レーザ光が得られる。
また、蛍光体は高温状態において劣化が著しいため、短期間で蛍光体が劣化して黄色光の強度が低下して、白色レーザ光の色が変化する可能性が高い。
さらに、通常のキャップは、ステムとの溶接性や強度などの関係で材料を任意に選択できず、放熱に有利な材料を選択できない。
実施の形態1について、図を用いて説明する。図1は、本発明の実施の形態に係る半導体レーザ装置を示す概略断面図である。
半導体レーザ装置10は、半導体レーザ素子20とステム30と積層キャップ40とを備えている。ステム30は、保持部材の一例であり、この他にも、カップ形状のものや平板状のもの、リードピン形状を有しないリード折り曲げ形状のもの、プリント基板状のものなどを保持部材として使用することができる。
ステム30は、上面31側に突出した平板状の素子載置部32を有しており、その素子載置部32の表面に、サブマウント60を介して半導体レーザ素子20が固定されている。半導体レーザ素子20は、矢印Lの方向にレーザ光を放射するように位置決めされている。また、ステム30は下面側にリードピン33を有しており、外部装置との通電及び取り付けに使用される。
積層キャップ40は、第1キャップ(放熱用キャップ)410と第2キャップ(固定用キャップ)420を重ねた積層構造となっている。積層キャップ40の上面42には開口部41が形成されている。開口部41はレーザ光の光路上に形成されており、レーザ発振時には、この開口部41を通過してレーザ光が取り出される。
また、開口部41には、波長変換部材から成る透光性部材50が取着されている。
放熱用キャップ410が固定用キャップ420の外側になるように積層する以外にも、固定用キャップ420が放熱用キャップ410の外側になるように積層することもできる。しかし、放熱用キャップ410が固定用キャップ420の外側になるように積層すると、放熱用キャップ410を外気に接触させることができ、放熱用キャップ410からの放熱の効率を高めることができるので好ましい。なお、2層の積層キャップ40以外に、3層以上の積層キャップにすることができるが、その場合には、放熱用キャップ410を最外面に配置して、外気に接触させるのが好ましい。
また、上述のように、放熱用キャップ410の下端部413がステム30から離れている場合には、放熱用キャップ410を固定用キャップ420に固定するのがよい。固定方法としては、例えば放熱用キャップ410と固定用キャップ420とが金属から形成されているなら、放熱用キャップ410の下端部413と固定用キャップ420の側面424との境界を、レーザ溶接やハンダ付け等の方法によって固定することができる。キャップ40内の密封性を高める場合には、放熱用キャップ410の単なる脱落防止ではなく、放熱用キャップ410と固定用キャップ420との隙間を完全に密着するように固定する。
蛍光体51の混合量(濃度)は、半導体レーザ素子20からのレーザ光の透過量と、蛍光体51からの発光量との釣り合いで決定される。
<積層キャップ40(放熱用キャップ410、固定用キャップ420)>
積層キャップ40を構成する放熱用キャップ410には、Ag、Cu、Al、Au、Ni、Moなどの熱伝導率の高い金属材料を使用することができる。また、積層キャップ40の固定用キャップ420には、放熱用キャップ410よりも熱伝導率が低い材料が選択される。特に、ステム30との溶接が可能なステンレス鋼、コバール、Ti、Zr、Mnなどが好適である。
半導体レーザ素子20は、基板上にGaAlN、ZnS、ZnSe、SiC、GaP、GaAlAs、AlN、InN、AlInGaP、InGaN、GaN、AlInGaN等の半導体を発光層として形成させたものが用いられる。半導体の構造としては、MIS接合、PIN接合やPN接合を有したホモ構造、ヘテロ構造あるいはダブルへテロ構成のものが挙げられる。半導体層の材料やその混晶度によって発光波長を紫外光から赤外光まで種々選択することができる。発光層は、量子効果が生ずる薄膜とした単一量子井戸構造や多重量子井戸構造としても良い。
前記半導体レーザ素子は、360nm〜470nmに発光ピーク波長を持つものを使用できるが、400nm〜470nmに発光ピーク波長を持つものが好ましい。例えば445nm付近に発光ピーク波長を持つものを使用することができる。
ステムは、銅、鉄、ニッケル−鉄合金、銅−タングステン、銅−モリブデン合金、これらを組み合わせたものなどを使用することができる。ステムは略円柱状のものの他、略だ円柱、略円錐台形、略矩形、カップ状などの形状とすることもできる。また、段差や凹みを設け、キャップとの固定を良好にすることができる。
(母材52)
透光性部材50の母材には、セラミックス、ガラスや樹脂などの透光性材料が利用できるが、特に、ガラスは、樹脂に比べて、放熱性、耐光性、耐熱性及び耐候性の点で優れているので、母材に好適である。
ガラス母材としては、Al2O3、SiO2、ZrO2、ZnO、ZnSe、AlN、GaNなどがある。
樹脂母材としては、耐熱性に優れた熱硬化性樹脂が好ましく、例えばエポキシ樹脂、変性エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、変性シリコーン樹脂、アクリレート樹脂、ウレタン樹脂などが挙げられる。
波長変換部材に使用される蛍光体51は、半導体レーザ素子からのレーザ光を吸収して、異なる波長の光に波長変換するものであればよい。波長変換部材に使用される蛍光体が、半導体レーザ素子からの光を吸収して475nm〜750nmに発光ピーク波長を持つ光を放出する材料であることが好ましい。例えば、Eu、Ce等のランタノイド系元素で主に賦活される窒化物系蛍光体・酸窒化物系蛍光体・サイアロン系蛍光体、Eu等のランタノイド系、Mn等の遷移金属系の元素により主に付活されるアルカリ土類ハロゲンアパタイト蛍光体、アルカリ土類金属ホウ酸ハロゲン蛍光体、アルカリ土類金属アルミン酸塩蛍光体、アルカリ土類ケイ酸塩蛍光体、アルカリ土類硫化物蛍光体、アルカリ土類チオガレート蛍光体、アルカリ土類窒化ケイ素蛍光体、ゲルマン酸塩蛍光体、又は、Ce等のランタノイド系元素で主に付活される希土類アルミン酸塩蛍光体、希土類ケイ酸塩蛍光体又はEu等のランタノイド系元素で主に賦活される有機及び有機錯体等から選ばれる少なくともいずれか1以上であることが好ましい。具体例として、下記の蛍光体を使用することができるが、これに限定されない。
Eu、Ce等のランタノイド系元素で主に賦活される酸窒化物系蛍光体は、MSi2O2N2:Eu(Mは、Sr、Ca、Ba、Mg、Znから選ばれる少なくとも1種以上である。)などがある。
Eu、Ce等のランタノイド系元素で主に賦活されるサイアロン系蛍光体は、Mp/2Si12−p−qAlp+qOqN16−p:Ce、M−Al−Si−O−N(Mは、Sr、Ca、Ba、Mg、Znから選ばれる少なくとも1種以上である。qは0〜2.5、pは1.5〜3である。)などがある。
Eu等のランタノイド系、Mn等の遷移金属系の元素により主に付活されるアルカリ土類ハロゲンアパタイト蛍光体には、M5(PO4)3X:R(Mは、Sr、Ca、Ba、Mg、Znから選ばれる少なくとも1種以上である。Xは、F、Cl、Br、Iから選ばれる少なくとも1種以上である。Rは、Eu、Mn、EuとMn、のいずれか1以上である。)などがある。
アルカリ土類金属アルミン酸塩蛍光体には、SrAl2O4:R、Sr4Al14O25:R、CaAl2O4:R、BaMg2Al16O27:R、BaMg2Al16O12:R、BaMgAl10O17:R(Rは、Eu、Mn、EuとMn、のいずれか1以上である。)などがある。
アルカリ土類硫化物蛍光体には、La2O2S:Eu、Y2O2S:Eu、Gd2O2S:Euなどがある。
Ce等のランタノイド系元素で主に賦活される希土類アルミン酸塩蛍光体には、Y3Al5O12:Ce、(Y0.8Gd0.2)3Al5O12:Ce、Y3(Al0.8Ga0.2)5O12:Ce、(Y,Gd)3(Al,Ga)5O12の組成式で表されるYAG系蛍光体などがある。また、Yの一部若しくは全部をTb、Lu等で置換したTb3Al5O12:Ce、Lu3Al5O12:Ceなどもある。
また、前記蛍光体以外の蛍光体であって、同様の性能、効果を有する蛍光体も使用することができる。
例えば、青色に発光するGaN系化合物半導体を用いて、Y3Al5O12:Ce若しくは(Y0.8Gd0.2)3Al5O12:Ceの蛍光物質に照射し、波長変換を行う。発光素子からの光と、蛍光体からの光との混合色により白色に発光する表面実装型発光装置を提供することができる。
例えば、緑色から黄色に発光するCaSi2O2N2:Eu又はSrSi2O2N2:Euと、蛍光体である青色に発光する(Sr,Ca)5(PO4)3Cl:Eu、赤色に発光するCa2Si5N8:Eu又はCaAlSiN3:Euと、からなる蛍光体60を使用することによって、演色性の良好な白色に発光する表面実装型発光装置を提供することができる。これは、色の三源色である赤・青・緑を使用しているため、第1の蛍光体及び第2の蛍光体の配合比を変えることのみで、所望の白色光を実現することができる。
本実施の形態は、キャップ40の開口部41の形態と、透光性部材50の取着方法とが異なる以外は、実施の形態1と同様である。
実施の形態2について、図を用いて説明する。図2は、本発明の実施の形態に係る半導体レーザ装置を示す概略断面図である。
透光性部材50は、放熱用キャップ410の開口部411に嵌め込まれている。この場合、放熱用キャップ410の開口部411の寸法は、固定用キャップ420の開口部421の寸法よりも小さくされるのが好ましい。これにより、固定用キャップ420と透光性部材50とが接触しなくなり、ステム30から固定用キャップ420を通じて透光性部材50に伝わる熱を防止することができる。また、放熱用キャップ410の開口部411周辺に、透光性部材50を支持するようなフランジを設けるなど、補助的な構造を備えてもよい。透光性部材50は、接着剤や低融点ガラス等によって積層キャップ40に固定する必要がある。
本実施の形態は、積層キャップ40の開口部41の形態と、透光性部材50の取着方法とが異なる以外は、実施の形態1及び2と同様である。
実施の形態3について、図を用いて説明する。図3は、本発明の実施の形態に係る半導体レーザ装置を示す概略断面図である。透光性部材50の縁部が固定用キャップ420と放熱用キャップ410との間に挟持されている。
20 半導体レーザ素子
30 ステム
31 ステムの上面
32 素子載置部
33 リードピン
40 積層キャップ
41 積層キャップの開口部
42 積層キャップの上面
410 放熱用キャップ(第1キャップ)
411 放熱用キャップの開口部
413 放熱用キャップの下端部
420 固定用キャップ(第2キャップ)
421 固定用キャップの開口部
422 固定用キャップの上面
423 固定用キャップの下端部
424 固定用キャップの側面
50 透光性部材
51 蛍光体
52 母材
60 サブマウント
Claims (5)
- 半導体レーザ素子と、
前記半導体レーザ素子を上面側に保持する保持部材と、
前記保持部材の前記上面側から半導体レーザ素子を覆うように被せられて前記保持部材の上面に固定されるキャップであって、前記半導体レーザ素子からのレーザ光の光路上に開口部を有するキャップと、
前記キャップの前記開口部を覆う透光性部材と、を備えた半導体レーザ装置であって、
前記透光性部材が、無機部材に蛍光体を分散させた波長変換部材から成り、これにより前記波長変換部の前記蛍光体は、前記半導体レーザ素子からのレーザ光の光路上に配置されて該レーザ光の一部を吸収して異なる波長の発光に変換することができ、
前記キャップは、それぞれが金属材料から成る第1キャップ及び第2キャップを有し、前記第1キャップは前記第2キャップの外側に配置されており、
前記第1キャップは、前記透光性部材と接触しており、かつ、前記第2キャップよりも熱伝導率の高い材料から形成されており、
前記第2キャップは、前記保持部材の前記上面に固定され、
前記第1キャップは、前記保持部材と離れた状態で前記第2キャップに固定されていることを特徴とする半導体レーザ装置。 - 前記キャップは、前記第1キャップと前記第2キャップとを重ねた多層構造であり、
前記第1キャップが最外面に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の半導体レーザ装置。 - 前記半導体レーザ素子は、360nm〜470nmに発光ピーク波長を持ち、
前記波長変換部材が、前記半導体レーザ素子からの光を吸収して475nm〜750nmに発光ピーク波長を持つ光を放出する材料であることを特徴とする請求項1又は2に記載の半導体レーザ装置。 - 前記半導体レーザ素子が、青色レーザ素子であり、
前記波長変換部材が、青色を吸収して黄色発光する材料であることを特徴とする請求項1又は2に記載の半導体レーザ装置。 - 前記透光性部材が、前記第1キャップと前記第2キャップとの間に挟持されることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の半導体レーザ装置。
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