JP5345636B2 - スクロール圧縮機 - Google Patents

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Description

本発明は、冷暖房空調装置や冷蔵庫等の冷却装置、あるいはヒートポンプ式の給湯装置等に用いられるスクロール圧縮機に関する。
従来、冷凍空調機や冷凍機に用いられるスクロール圧縮機は、一般に、鏡板から渦巻き状のラップが立ち上がる固定スクロール及び旋回スクロールを噛み合わせて、双方間に圧縮室を形成している。そして、旋回スクロールを自転拘束機構による自転の拘束のもとに、円軌道に沿って旋回させる。このとき、圧縮室が容積を変えながら移動することで、吸入、圧縮、吐出を行うものである。このようなスクロール圧縮機において、作動流体を効率良く圧縮するためには、圧縮室への給油が不可欠であり、供給されたオイルは、主に圧縮室のシール性向上の役割を果たしている。
特に、旋回スクロールのラップ外壁側に形成される第1の圧縮室の吸入容積と、ラップ内壁側に形成される第2の圧縮室の吸入容積が異なる非対称スクロール圧縮機の場合には、先に作動流体を閉じ込める第1の圧縮室へオイルを多く供給し、第1の圧縮室から第2の圧縮室への漏れを防止する方法がある(例えば、特許文献1参照)。
図25は、特許文献1に記載された、従来のスクロール圧縮機の圧縮機構部の断面図である。図25において、旋回スクロール101と、固定スクロール102と、これら両スクロールの間に形成される複数の圧縮室103と、オイルを溜める貯油部とを備え、旋回スクロール101の外線側に形成される第1の圧縮室104oの吸入容積が、内線側に形成される第2の圧縮室104iの吸入容積よりも、大きいスクロール圧縮機において、貯油部と第1の圧縮室104o及び第2の圧縮室104iとをつなぐ圧縮室給油路を設ける。そして、この圧縮室給油路を、旋回スクロールの第1の圧縮室104oが閉じきった後の位置に開口して、給油量を、第2の圧縮室104iよりも第1の圧縮室104oへ多くする。
これにより、吸入容積の大きい第1の圧縮室104oが先に圧縮を開始するため、第2の圧縮室104iが圧縮を開始する時点では、その圧力は吸入圧力よりも高くなっている。そこで、第1の圧縮室104oへの給油量を、第2の圧縮室104iへの給油量よりも多くするか、もしくは第1の圧縮室104oのみへ給油を行うことで、第1の圧縮室104oから第2の圧縮室104iへの漏れを抑制し、圧縮性能の向上を実現する。
特許第4075979号公報
しかしながら、従来技術では考慮されていない渦巻きラップ側面を介した漏れに関して言えば、第2の圧縮室104iから一つ低圧側の第2の圧縮室104iへの漏れは、第1の圧縮室104oから一つ低圧側の第1の圧縮室104oへの漏れよりも多くなる。この理由は、第2の圧縮室104iの吸入容積よりも第1の圧縮室104oの吸入容積が大きい非対称スクロール圧縮機では、吸入容積の小さい第2の圧縮室104iの方が、その吸入容積差によってクランク回転角に対する、圧力上昇速度が大きいからである。
図26を用いて、第1の圧縮室104oと第2の圧縮室104iとの関係を説明する。
図26に示すように、第2の圧縮室104i−1とその後に形成された第2の圧縮室104i−2を仕切る渦巻きラップ接点部D2と、第1の圧縮室104o−1とその後に形成される第1の圧縮室104o−2を仕切る渦巻きラップ接点部D1とが存在する。そして、第1の圧縮室104oと第2の圧縮室104iの圧力上昇速度を比較した場合、吸入容積の小さい第2の圧縮室104iの方が、圧力変化が大きくなる。これよって、渦巻きラップ接点部D2では、渦巻きラップ接点部D1よりも、漏れが発生しやすくなる。
従って、渦巻きラップ側面を介した漏れは冷媒の再圧縮を引き起こすため、結果として無駄な仕事による圧縮性能低下を生じていた。
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、第2の圧縮室への給油量を多くすることにより、ラップ接点部を経由した漏れを抑制し、圧縮性能の向上を実現するスクロール圧縮機を提供することを目的としている。
また、ラップ接点部を経由した漏れを抑制し、かつ給油を間欠にすることにより、オイル供給量を極少化し、性能向上させたスクロール圧縮機の提供を目的としている。
さらに、非対称スクロール圧縮機の圧縮室圧力分布及び漏れ経路を考慮した給油経路と、給油量制御とにより、高効率のスクロール圧縮機を提供することを目的としている。
請求項1記載の本発明のスクロール圧縮機は、鏡板から渦巻き状のラップが立ち上がる固定スクロール及び旋回スクロールと、前記旋回スクロールを駆動するシャフトと、前記固定スクロールと前記旋回スクロールを噛み合わせて双方間に形成される圧縮室と、オイルを溜める貯油部とを備え、前記旋回スクロールのラップ外壁側に形成される第1の圧縮室の吸入容積が、前記旋回スクロールのラップ内壁側に形成される第2の圧縮室の吸入容積より大きいスクロール圧縮機であって、前記貯油部から、前記第1の圧縮室と前記第2の圧縮室に導く給油経路を設け、前記第2の圧縮室への総給油量を前記第1の圧縮室への総給油量より多くすることを特徴とする。
請求項2記載の本発明は、請求項1に記載のスクロール圧縮機において、前記固定スクロールのラップ先端と前記旋回スクロールのラップ側鏡板面の間に形成される固定先端隙間を、前記旋回スクロールのラップ先端と前記固定スクロールのラップ側鏡板面の間に形成される旋回先端隙間より小さくすることを特徴とする。
請求項3記載の本発明は、請求項1または請求項2に記載のスクロール圧縮機において、シャフトの一端にポンプを設け、前記ポンプの吸い込み口を前記貯油部内に設けることを特徴とする。
請求項4記載の本発明は、請求項1から請求項3のいずれかに記載のスクロール圧縮機において、前記第1の圧縮室の閉じ込み位置と前記第2の圧縮室の閉じ込み位置が略180度ずれていることを特徴とする。
請求項5記載の本発明は、請求項1から請求項4のいずれかに記載のスクロール圧縮機において、前記旋回スクロールの背面に高圧領域と背圧室を形成し、給油経路を複数設け、前記給油経路の一部もしくは全てが前記背圧室を経由することを特徴とする。
請求項6記載の本発明は、請求項5に記載のスクロール圧縮機において、前記旋回スクロールの背面にシール部材を配置し、前記シール部材の内側を高圧領域、前記シール部材の外側を背圧室に区画し、前記給油経路のうち少なくとも1つは、前記高圧領域から前記背圧室への背圧室給油経路と、前記背圧室から第2の圧縮室への圧縮室給油経路から構成されることを特徴とする。
請求項7記載の本発明は、請求項6に記載のスクロール圧縮機において、前記背圧室給油経路の開口端が前記シール部材を往来していることを特徴とする。
請求項8記載の本発明は、請求項6または請求項7に記載のスクロール圧縮機において、前記圧縮室給油経路を介して前記背圧室が連通する前記第2の圧縮室は、作動流体を閉じ込めた後の圧縮室であることを特徴とする。
請求項9記載の本発明は、請求項6から請求項8のいずれかに記載のスクロール圧縮機において、前記圧縮室給油経路は、前記旋回スクロールの内部に形成された通路と、前記固定スクロールの前記ラップ側鏡板面に形成された凹部から構成され、前記通路の開口端が旋回運動にあわせて周期的に前記凹部に開口することで、前記背圧室と前記第2の圧縮室が間欠的に連通することを特徴とする。
請求項10記載の本発明は、請求項1から請求項9のいずれかに記載のスクロール圧縮機において、前記貯油部から前記第1の圧縮室及び前記第2の圧縮室へ導く前記給油経路を、それぞれ第1の給油経路、第2の給油経路とし、前記第2の給油経路を前記第1の給油経路に対し同数以上設けることを特徴とする。
請求項11記載の本発明は、請求項1に記載のスクロール圧縮機において、前記給油経路のうち少なくとも1つを、間欠的連通を行う間欠給油経路とすることを特徴とする。
請求項12記載の本発明は、請求項11に記載のスクロール圧縮機において、前記間欠給油経路のうち少なくとも1つが、作動流体を閉じ込める前の前記圧縮室に開口端を開口することを特徴とする。
請求項13記載の本発明は、請求項11または請求項12に記載のスクロール圧縮機において、前記旋回スクロールの背面に高圧領域と背圧室を形成し、前記間欠給油経路のうち少なくとも1つが、前記高圧領域と連通することを特徴とする。
請求項14記載の本発明は、請求項11または請求項12に記載のスクロール圧縮機において、前記旋回スクロールの背面に高圧領域と背圧室を形成し、前記間欠給油経路のうち少なくとも1つが、前記背圧室を経由することを特徴とする。
請求項15記載の本発明は、請求項11または請求項12に記載のスクロール圧縮機において、前記旋回スクロールの背面に高圧領域と背圧室を形成し、前記間欠給油経路のうち少なくとも1つが、前記高圧領域から前記背圧室を連通させる接続路と、前記背圧室と前記圧縮室とを連通させる供給路から構成されることを特徴とする。
請求項16記載の本発明は、請求項請求項15に記載のスクロール圧縮機において、前記接続路の開口端が、前記旋回スクロールの前記背面に設けられた前記高圧領域と前記背圧室を仕切るシール部材を往来することを特徴とする。
請求項17記載の本発明は、請求項15または請求項16に記載のスクロール圧縮機において、前記供給路が、作動流体を閉じ込めた後の前記圧縮室に連通することを特徴とする。
請求項18記載の本発明は、請求項15から請求項17のいずれかに記載のスクロール圧縮機において、前記供給路が、前記第2の圧縮室に連通することを特徴とする。
請求項19記載の本発明は、請求項15から請求項18のいずれかに記載のスクロール圧縮機において、前記供給路は、前記旋回スクロールに形成された通路と、前記固定スクロールの前記ラップ側鏡板面に形成された凹部から構成され、前記通路の一方の開口端が旋回運動にあわせて周期的に前記凹部に開口することを特徴とする。
請求項20記載の本発明は、請求項11から請求項19のいずれかに記載のスクロール圧縮機において、前記間欠給油経路は、前記旋回スクロールに形成された通路と、前記固定スクロールの前記ラップ側鏡板面に形成された凹部から構成され、前記通路の一方の開口端が旋回運動にあわせて周期的に前記凹部に開口することを特徴とする。
請求項21記載の本発明は、請求項1に記載のスクロール圧縮機において、前記給油経路が、前記旋回スクロールの前記ラップ先端に給油を行うラップ先端給油経路と、前記第2の圧縮室に開口した給油量制御経路とを有することを特徴とする。
請求項22記載の本発明は、請求項21に記載のスクロール圧縮機において、前記ラップ先端給油経路が、前記旋回スクロールの内部を通る通路と前記旋回スクロールの前記ラップ先端に設けた油溝で構成されることを特徴とする。
請求項23記載の本発明は、請求項21または請求項22に記載のスクロール圧縮機において、前記旋回スクロールの背面に高圧領域と背圧室を形成し、前記ラップ先端給油経路が前記高圧領域および前記背圧室を経由することを特徴とする。
請求項24記載の本発明は、請求項21または請求項22に記載のスクロール圧縮機において、前記旋回スクロールの背面に高圧領域と背圧室を形成し、前記ラップ先端給油経路が前記背圧室を経由せずに前記高圧領域のみを経由することを特徴とする。
請求項25記載の本発明は、請求項21から請求項24のいずれかに記載のスクロール圧縮機において、前記ラップ先端給油経路のうち少なくとも1つが、作動流体を閉じ込める前の前記圧縮室へ給油を行う経路で構成されることを特徴とする。
請求項26記載の本発明は、請求項21から請求項25のいずれかに記載のスクロール圧縮機において、前記旋回スクロールの背面に高圧領域と背圧室を形成し、前記給油量制御経路のうち少なくとも1つが、前記高圧領域から前記背圧室へ給油を行う接続路と、前記背圧室と前記第2の圧縮室とを連通させる供給路Aで構成されることを特徴とする。
請求項27記載の本発明は、請求項26に記載のスクロール圧縮機において、前記接続路の開口端が、前記旋回スクロールの前記背面に設けられた前記高圧領域と前記背圧室を仕切るシール部材を往来することを特徴とする。
請求項28記載の本発明は、請求項26または請求項27に記載のスクロール圧縮機において、前記供給路Aが、前記作動流体を閉じ込めた後の前記第2の圧縮室に連通することを特徴とする。
請求項29記載の本発明は、請求項26から請求項28のいずれかに記載のスクロール圧縮機において、前記供給路Aが、前記旋回スクロールに形成された通路と、前記固定スクロールの前記ラップ側鏡板面に形成された凹部から構成され、前記通路の一方の開口端が旋回運動にあわせて周期的に前記凹部に開口することを特徴とする。
請求項30記載の本発明は、請求項1から請求項29のいずれかに記載のスクロール圧縮機において、前記作動流体として二酸化炭素を用いることを特徴とする。
本発明では、吸入容積の大きい圧縮室よりも、小さい圧縮室の方へオイルを多く供給する。吸入容積の大きい圧縮室よりも、小さい圧縮室の方が圧力変化率が大きく、作動流体の漏れも多いことから、吸入容積の小さい圧縮室に多くのオイルを供給することにより、吸入容積の小さい圧縮室の漏れ損失を低減することができ、高効率のスクロール圧縮機を実現することができる。
また、ラップ接点部を経由した漏れを抑制し、かつ給油を間欠にする。これにより、オイル供給量を極少化し、性能向上させたスクロール圧縮機を提供することができる。
さらに、ラップ先端給油経路によって、旋回スクロールのラップ先端に対し連続的にオイル供給を行う。これにより、第1の圧縮室と第2の圧縮室間を仕切るラップ先端を介した漏れを抑制することができる。また、第1の圧縮室よりも第2の圧縮室への総給油量を多くする給油量制御経路を備える。これにより、圧力差の大きい第2の圧縮室と一つ低圧側の第2の圧縮室間のシール性を向上させ、第1の圧縮室への過剰なオイル供給を抑制することを可能とする。
即ち、本発明により、圧縮室間の漏れ経路を考慮し、旋回スクロールのラップ先端を介する漏れ及び渦巻きラップ側面を介する漏れに対して、効果的にオイル供給を行うことができる。この本発明により、圧縮室間のシール性を確保しつつ、過剰給油によるオイル噛み込み等の無駄な仕事が生じない高効率のスクロール圧縮機を提供することができる。
本発明の実施例1におけるスクロール圧縮機の縦断面図 本実施例におけるスクロール圧縮機の圧縮機構部の要部拡大断面図 本実施例におけるスクロール圧縮機の固定スクロールと旋回スクロールを噛み合わせた状態での断面図 本実施例におけるスクロール圧縮機の第1の圧縮室と第2の圧縮室の圧力上昇カーブを示す特性図 本実施例におけるスクロール圧縮機の給油経路の概念図 本実施例におけるスクロール圧縮機の固定スクロールと旋回スクロールを噛み合わせた状態での断面図 本実施例におけるスクロール圧縮機の固定スクロールと旋回スクロールを噛み合わせた状態での断面図 本発明の実施例2におけるスクロール圧縮機の圧縮機構部の要部拡大断面図 本実施例におけるスクロール圧縮機の固定スクロールと旋回スクロールを噛み合わせた状態での断面図 本発明の実施例3におけるスクロール圧縮機の給油経路の概念図 本発明の実施例4におけるスクロール圧縮機の圧縮機構部の要部拡大断面図 本実施例におけるスクロール圧縮機の旋回スクロールと固定スクロールを噛み合わせた状態を示す断面図 本発明の実施例5におけるスクロール圧縮機の圧縮機構部の要部拡大断面図 実施例4ならびに実施例6におけるスクロール圧縮機の旋回スクロールと固定スクロールを噛み合わせた状態を示す断面図 本発明の実施例6におけるスクロール圧縮機の圧縮機構部の要部拡大断面図 本実施例におけるスクロール圧縮機の旋回スクロールと固定スクロールを噛み合わせた状態を示す断面図 本発明の実施例7におけるスクロール圧縮機の圧縮機構部の要部拡大断面図 本実施例におけるスクロール圧縮機の旋回スクロールを示す平面図 本実施例におけるスクロール圧縮機の固定スクロールと旋回スクロールを噛み合わせた状態を示す断面図 本発明の実施例8におけるスクロール圧縮機の圧縮機構部の要部拡大断面図 本実施例におけるスクロール圧縮機の旋回スクロールを示す平面図 本実施例におけるスクロール圧縮機の固定スクロールと旋回スクロールを噛み合わせた状態を示す断面図 本発明の実施例9におけるスクロール圧縮機の圧縮機構部の要部拡大断面図 本実施例におけるスクロール圧縮機の旋回スクロールを示す一部拡大平面図 従来のスクロール圧縮機の圧縮機構部を示す断面図 従来のスクロール圧縮機の固定スクロールと旋回スクロールを噛み合わせた状態での断面図
本発明の第1の実施の形態によるスクロール圧縮機は、鏡板から渦巻き状のラップが立ち上がる固定スクロール及び旋回スクロールと、旋回スクロールを駆動するシャフトと、固定スクロールと旋回スクロールを噛み合わせて双方間に形成される圧縮室と、オイルを溜める貯油部とを備え、旋回スクロールのラップ外壁側に形成される第1の圧縮室の吸入容積が、旋回スクロールのラップ内壁側に形成される第2の圧縮室の吸入容積より大きいスクロール圧縮機であって、貯油部から、第1の圧縮室と第2の圧縮室に導く給油経路を設け、第2の圧縮室への総給油量を第1の圧縮室への総給油量より多くするものである。本実施の形態によれば、圧力変化率の大きい第2の圧縮室へ積極的に給油することで、1つ前に形成された第2の圧縮室から次に形成された第2の圧縮室への、漏れを抑制することができる。即ち、圧縮行程における漏れ損失を低減することができるので、高効率を実現するスクロール圧縮機を提供することができる。
本発明の第2の実施の形態は、第1の実施の形態によるスクロール圧縮機において、固定スクロールのラップ先端と旋回スクロールのラップ側鏡板面の間に形成される固定先端隙間を、旋回スクロールのラップ先端と固定スクロールのラップ側鏡板面の間に形成される旋回先端隙間より小さくするものである。本実施の形態によれば、固定先端隙間で発生する漏れ(すなわち第1の圧縮室から第2の圧縮室への漏れ)の影響が小さくなる。そのため、漏れ損失に大きく影響を及ぼすのは、第2の圧縮室間で発生する漏れとなり、第2の圧縮室への総給油量を第1の圧縮室への総給油量より多くした効果が顕著に現れる。
本発明の第3の実施の形態は、第1または第2の実施の形態によるスクロール圧縮機において、シャフトの一端にポンプを設け、ポンプの吸い込み口を貯油部内に設けるものである。本実施の形態によれば、圧力条件や運転速度に関係なく、確実に給油を行うことができる。従って、第2の圧縮室の漏れを抑制できると同時に、オイル切れ等の課題も解決でき、高効率かつ高信頼性を実現することができる。
本発明の第4の実施の形態は、第1から第3の実施の形態によるスクロール圧縮機において、第1の圧縮室の閉じ込み位置と第2の圧縮室の閉じ込み位置が略180度ずれているものである。本実施の形態によれば、吸入加熱の影響を小さくすることができる。また、最大吸入容積を確保することができるので、ラップ高さを低く設定することができる。その結果、ラップ接点部の漏れ隙間を縮小することができるので、漏れ損失の更なる低減が可能となる。
本発明の第5の実施の形態は、第1から第4の実施の形態によるスクロール圧縮機において、旋回スクロールの背面に高圧領域と背圧室を形成し、給油経路を複数設け、給油経路の一部もしくは全てが背圧室を経由するものである。本実施の形態によれば、旋回スクロール背面への圧力付加により、旋回スクロールは固定スクロールに安定的に押し付けられる。これにより、漏れを低減するとともに、安定した運転を行うことができる。また、給油経路を複数にすることで、必要な箇所へ必要な分だけ給油を行うことができる。さらに、背圧室を経由することで、供給する圧縮室との圧力差を小さくするとともに、極小給油を実現することができる。即ち、過剰な給油を防止することができ、吸入部における吸入加熱による性能低下や、圧縮部における粘性損失による入力増大等を抑制することができる。
本発明の第6の実施の形態は、第5の実施の形態によるスクロール圧縮機において、旋回スクロールの背面にシール部材を配置し、シール部材の内側を高圧領域、シール部材の外側を背圧室に区画し、給油経路のうち少なくとも1つは、高圧領域から背圧室への背圧室給油経路と、背圧室から第2の圧縮室への圧縮室給油経路から構成されるものである。本実施の形態によれば、シール部材を用いることで、高圧領域と背圧室の圧力を完全に分離できる。そのため、旋回スクロールへの圧力付加を安定的に制御することが可能となる。
本発明の第7の実施の形態は、第6の実施の形態によるスクロール圧縮機において、背圧室給油経路の開口端がシール部材を往来しているものである。本実施の形態によれば、背圧室給油経路の開口端がシール部材を往来する割合により、背圧室への給油量をコントロールすることができる。そのため、極小給油の制御が可能となり、過剰供給を防止することができる。即ち、給油経路の径を小さくする必要がないため、異物による給油経路の閉塞も防止でき、安定した背圧を維持することができる。
本発明の第8の実施の形態は、第6または第7の実施の形態によるスクロール圧縮機において、圧縮室給油経路を介して背圧室が連通する第2の圧縮室は、作動流体を閉じ込めた後の圧縮室とするものである。本実施の形態によれば、旋回スクロールが固定スクロールから離れて能力が低下するという、いわゆるチルティング現象を防止することができる。また、仮にチルティングが発生しても、第2の圧縮室の圧力を背圧室へ導くことが可能である。そのため、正常運転への早期復帰が可能となる。
本発明の第9の実施の形態は、第6から第8の実施の形態によるスクロール圧縮機において、圧縮室給油経路は、旋回スクロールの内部に形成された通路と、固定スクロールのラップ側鏡板面に形成された凹部から構成され、通路の開口端が旋回運動にあわせて周期的に凹部に開口することで、背圧室と第2の圧縮室が間欠的に連通するものである。本実施の形態によれば、背圧室と第2の圧縮室を間欠的に連通させることで、背圧室の圧力変動を抑制し、所定の圧力に制御することができる。
本発明の第10の実施の形態は、第1から第9の実施の形態によるスクロール圧縮機において、貯油部から第1の圧縮室及び第2の圧縮室へ導く給油経路を、それぞれ第1の給油経路、第2の給油経路とし、第2の給油経路を第1の給油経路に対し同数以上設けるものである。本実施の形態によれば、確実に第2の圧縮室への給油量を多くすることができる。
本発明の第11の実施の形態は、第1の実施の形態によるスクロール圧縮機において、給油経路のうち少なくとも1つを、間欠的連通を行う間欠給油経路とするものである。本実施の形態によれば、給油を間欠にすることで、第2の圧縮室内への給油量を最低限に抑えられる。そのため、オイル供給過多による粘性損失を低減することができる。
本発明の第12の実施の形態は、第11の実施の形態によるスクロール圧縮機において、間欠給油経路のうち少なくとも1つが、作動流体を閉じ込める前の前記圧縮室に開口端を開口するものである。本実施の形態によれば、作動流体の閉じこみ時に、オイルによって圧縮室のシール効果を高めつつ、オイル供給過多に起因する吸入加熱による体積効率の低下を防止することができる。
本発明の第13の実施の形態は、第11または第12の実施の形態によるスクロール圧縮機において、旋回スクロールの背面に高圧領域と背圧室を形成し、間欠給油経路のうち少なくとも1つが、高圧領域と連通するものである。本実施の形態によれば、高差圧条件時に、圧力差によって圧縮室への給油量を増やすことができる。そのため、圧縮機の信頼性をより向上させることが可能となる。
本発明の第14の実施の形態は、第11または第12の実施の形態によるスクロール圧縮機において、旋回スクロールの背面に高圧領域と背圧室を形成し、間欠給油経路のうち少なくとも1つが、背圧室を経由するものである。本実施の形態によれば、背圧室と圧縮室との圧力差が小さいことから、給油時膨張音を抑制でき、運転時の騒音を低下させることが可能となる。
本発明の第15の実施の形態は、第11または第12の実施の形態によるスクロール圧縮機において、旋回スクロールの背面に高圧領域と背圧室を形成し、間欠給油経路のうち少なくとも1つが、高圧領域から背圧室を連通させる接続路と、背圧室と圧縮室とを連通させる供給路から構成されるものである。本実施の形態によれば、高圧領域から背圧室に高圧オイルを供給して旋回スクロール背面を押圧しつつ、背圧室と圧縮室とを連通させることで、背圧室の過剰な圧力上昇を防止する。したがって、安定した背圧の印加が可能となる。
本発明の第16の実施の形態は、第15の実施の形態によるスクロール圧縮機において、接続路の開口端が、旋回スクロールの背面に設けられた高圧領域と背圧室を仕切るシール部材を往来するものである。本実施の形態によれば、接続路の開口端がシール部材を往来する割合により、背圧室への給油量の微少な調整が可能となり、過剰供給を防止することができる。また、給油経路の径を小さくする必要がないため、異物による給油経路の閉塞も防止でき、安定した背圧を維持することができる。
本発明の第17の実施の形態は、第15または第16の実施の形態によるスクロール圧縮機において、供給路が、作動流体を閉じ込めた後の圧縮室に連通するものである。本実施の形態によれば、旋回スクロールが固定スクロールから離れて能力が低下するという、いわゆるチルティング現象を防止することができる。また、仮にチルティングが発生しても、圧縮室の圧力を背圧室へ導くことが可能であるため、正常運転への早期復帰が可能となる。
本発明の第18の実施の形態は、第15から第17の実施の形態によるスクロール圧縮機において、供給路が、第2の圧縮室に連通するものである。本実施の形態によれば、第2の圧縮室への給油量を第1の圧縮室への給油量より多くでき、一つ前に閉じ込んだ第2の圧縮室から次に閉じ込んだ第2圧縮室間への漏れ防止効果をさらに高めることが可能となる。
本発明の第19の実施の形態は、第15から第18の実施の形態によるスクロール圧縮機において、供給路は、旋回スクロールに形成された通路と、固定スクロールのラップ側鏡板面に形成された凹部から構成され、通路の一方の開口端が旋回運動にあわせて周期的に凹部に開口するものである。本実施の形態によれば、背圧室と圧縮室を間欠的に連通させることで、背圧室の圧力変動を抑制し、所定の圧力に制御することができる。
本発明の第20の実施の形態は、第11から第19の実施の形態によるスクロール圧縮機において、間欠給油経路は、旋回スクロールに形成された通路と、固定スクロールのラップ側鏡板面に形成された凹部から構成され、通路の一方の開口端が旋回運動にあわせて周期的に凹部に開口するものである。本実施の形態によれば、凹部の配置と通路の位置調整により、任意のポイントに間欠給油経路を連通させることができるので、過剰なオイル供給を抑制し、粘性損失による性能低下を防止することができる。
本発明の第21の実施の形態は、第1の実施の形態によるスクロール圧縮機において、給油経路が、旋回スクロールのラップ先端に給油を行うラップ先端給油経路と、第2の圧縮室に開口した給油量制御経路とを有するものである。本実施の形態によれば、旋回スクロールのラップ先端を介する漏れ及び渦巻きラップ側面を介する漏れに対し、効果的なオイル供給を行う給油経路を設けることで、圧縮室間のシール性を確保しつつ、過剰給油によるオイル噛み込み等の無駄な仕事を生じさせないので、高効率のスクロール圧縮機を提供することができる。
本発明の第22の実施の形態は、第21の実施の形態によるスクロール圧縮機において、ラップ先端給油経路が、旋回スクロールの内部を通る通路と旋回スクロールのラップ先端に設けた油溝で構成されるものである。本実施の形態によれば、ラップ先端に供給されたオイルが、油溝を介してより広範囲のラップ先端に供給されるので、第1の圧縮室と第2の圧縮室間のシール性を、より広範囲に確保することができる。
本発明の第23の実施の形態は、第21または第22の実施の形態によるスクロール圧縮機において、旋回スクロールの背面に高圧領域と背圧室を形成し、ラップ先端給油経路が高圧領域および背圧室を経由するものである。本実施の形態によれば、ラップ先端隙間を介して圧縮室へオイルが供給される際に差圧が小さくなり、オイル供給時の膨張音を抑えることが可能である。そのため、騒音発生を抑制してラップ先端及び圧縮室へのオイル供給が可能なスクロール圧縮機を提供することができる。
本発明の第24の実施の形態は、第21または第22の実施の形態によるスクロール圧縮機において、旋回スクロールの背面に高圧領域と背圧室を形成し、ラップ先端給油経路が背圧室を経由せずに高圧領域のみを経由するものである。本実施の形態によれば、ラップ先端給油経路を、より高圧側の圧縮室に臨むラップ先端にまで設けることが可能となる。また、ラップ先端のシール性をより広範囲に確保することも可能となる。さらに、圧縮機運転中に吸入圧力と吐出圧力の差圧が大きくなる条件に推移した際、その差圧を利用して、自動的にオイル供給量を増加させ、信頼性を向上させるスクロール圧縮機を提供することができる。
本発明の第25の実施の形態は、第21から第24の実施の形態によるスクロール圧縮機において、ラップ先端給油経路のうち少なくとも1つが、作動流体を閉じ込める前の圧縮室へ給油を行う経路で構成されるものである。本実施の形態によれば、給油量制御経路からオイル供給前の第1および第2の圧縮室にオイル供給が行われ、圧縮室形成時もしくは圧縮室形成直後の漏れを抑制することが可能となる。そのため、第21の実施の形態に記載の給油量制御経路とラップ先端給油経路が相補的に働き、より効果的なオイル供給を可能とするスクロール圧縮機を提供することができる。
本発明の第26の実施の形態は、第21から第25の実施の形態によるスクロール圧縮機において、旋回スクロールの背面に高圧領域と背圧室を形成し、給油量制御経路のうち少なくとも1つが、高圧領域から背圧室へ給油を行う接続路と、背圧室と第2の圧縮室とを連通させる供給路Aで構成されるものである。本実施の形態によれば、供給路Aを介した第2の圧縮室へのオイル供給量を、接続路において制御可能であること、また安定した背圧を旋回スクロール背面に印加することにより、ラップ先端隙間を介した漏れを抑制したスクロール圧縮機を提供することができる。
本発明の第27の実施の形態は、第26の実施の形態によるスクロール圧縮機において、接続路の開口端が、旋回スクロールの背面に設けられた高圧領域と背圧室を仕切るシール部材を往来するものである。本実施の形態によれば、接続路を介して背圧室に供給されるオイル量を、接続路の開口端が背圧室と連通する時間比率で、制御することが可能となる。結果として、供給路Aを介して第2の圧縮室に供給されるオイル量を、精度良くコントロールすることが可能なスクロール圧縮機を提供することができる。
本発明の第28の実施の形態は、第26または第27の実施の形態によるスクロール圧縮機において、供給路Aが、作動流体を閉じ込めた後の第2の圧縮室に連通するものである。本実施の形態によれば、供給路Aを通じて供給されるオイルは、第2の圧縮室形成後に限定されることから、制御したオイル量を確実に第2の圧縮室に供給することができる。また、供給路Aを介して供給されるオイル圧を、圧縮室の圧力で制御することが可能である。即ち、背圧室の圧力を、供給路Aが開口する第2の圧縮室の圧力で、コントロールできるので、適度な背圧の印加が行われるスクロール圧縮機を提供することができる。
本発明の第29の実施の形態は、第26から第28の実施の形態によるスクロール圧縮機において、供給路Aが、旋回スクロールに形成された通路と、固定スクロールのラップ側鏡板面に形成された凹部から構成され、通路の一方の開口端が旋回運動にあわせて周期的に凹部に開口するものである。本実施の形態によれば、圧縮行程中の、第2の圧縮室の圧力が上昇する特定の区間のみで、背圧室と第2の圧縮室を連通させることができる。これにより、背圧の制御が可能なだけでなく、圧縮室の圧力が背圧室の圧力よりも高くなった状態における、供給路Aを介した圧縮室から背圧室への逆流の防止が可能なスクロール圧縮機を提供することができる。
本発明の第30の実施の形態は、第1から第29の実施の形態によるスクロール圧縮機において、作動流体として二酸化炭素を用いるものである。本実施の形態によれば、動作圧力が高く、圧縮室間の圧力差も大きくなっても、圧力上昇に伴う第2の圧縮室の漏れを効果的に抑制することができる。即ち、本発明の効果が顕著に現れ、高効率かつ高信頼性を実現するスクロール圧縮機を提供することができる。
以下、本発明の実施例について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施例によって本発明が限定されるものではない。
図1は、本発明の実施例1におけるスクロール圧縮機の縦断面図、図2は、本実施例におけるスクロール圧縮機の圧縮機構部の要部拡大断面図である。以下、本実施例のスクロール圧縮機について、その構成および動作を説明する。
図1に示すように、本実施例のスクロール圧縮機は、圧縮機構2と、モータ部3と、オイル6を貯める貯油部20とを備えた密閉容器1から構成される。圧縮機構2は、密閉容器1内に溶接や焼き嵌めなどにて固定されて、シャフト4を支える主軸受部材11と、この主軸受部材11上にボルト止めした固定スクロール12と、固定スクロール12と噛み合う旋回スクロール13とからを構成される。
固定スクロール12及び旋回スクロール13の鏡板から渦巻き状のラップが立ち上がり、固定スクロール12及び旋回スクロール13のラップを噛み合わせて、双方間に圧縮室15が形成されている。
旋回スクロール13と主軸受部材11との間には、旋回スクロール13の自転を防止して円軌道運動するように案内する、オルダムリングなどから成る自転拘束機構14を設けている。そして、シャフト4の上端にある偏心軸部4aにて、旋回スクロール13を偏心駆動することにより、旋回スクロール13を円軌道運動させる。この円軌道運動により、圧縮室15が、外周側から中央部に向かって容積を縮めながら移動する。この移動に伴う容積変化を利用して、密閉容器1外に通じた吸入パイプ16及び固定スクロール12の外周部の吸入口17から、作動流体を吸入して、圧縮室15に閉じ込めて圧縮する。そして、所定の圧力に到達した作動流体は、リード弁19を押し開いて、固定スクロール12の中央部の吐出口18から密閉容器1内に吐出される。
また、シャフト4の一端には、ポンプ25が設けられ、ポンプ25の吸い込み口が貯油部20内に存在するように配置する。ポンプ25はスクロール圧縮機と同時に駆動される。そのために、ポンプ25は密閉容器1の底部に設けられた貯油部20にあるオイル6を、圧力条件や運転速度に関係なく、確実に吸い上げる。これにより、オイル切れの心配が解消される。そして、ポンプ25で吸い上げたオイル6は、シャフト4内を通縦しているオイル供給穴26を通じて圧縮機構2に供給される。
なお、オイル6をポンプ25で吸い上げる前もしくは吸い上げた後に、オイルフィルタ等でオイル6から異物を除去すると、圧縮機構2への異物混入が防止でき、更なる信頼性向上を図ることができる。
圧縮機構2に導かれたオイル6の圧力は、スクロール圧縮機の吐出圧力とほぼ同等であり、旋回スクロール13に対する背圧源となる。これにより、旋回スクロール13は固定スクロール12から離れたり片当たりしたりするようなことはなく、所定の圧縮機能を安定して発揮する。さらに、オイル6の一部は、供給圧や自重によって、偏心軸部4aと旋回スクロール13との嵌合部や、シャフト4と主軸受部材11との間の軸受部76に進入する。そして、それぞれの部分を潤滑した後落下し、貯油部20へ戻る。
図3は、固定スクロール12に旋回スクロール13を噛み合わせた状態を示す断面図である。
図3に示すように、固定スクロール12と旋回スクロール13により形成される圧縮室15には、旋回スクロール13のラップ外壁側13oに形成される第1の圧縮室15aと、ラップ内壁側13iに形成される第2の圧縮室15bとがある。そして、第1の圧縮室15aの吸入容積の方が、第2の圧縮室15bの吸入容積より大きい。即ち、作動流体を閉じ込めるタイミングが異なるため、対となる第1の圧縮室15aと第2の圧縮室15bの圧力も異なる。
図4は、第1の圧縮室15aと第2の圧縮室15bの圧力上昇カーブを示す特性図である。本来は、第1の圧縮室15aと第2の圧縮室15bは、閉じ込みのタイミングが異なるので、圧力カーブの開始点は一致しない。ここでは、違いを明確にするため、閉じ込みのタイミングを一致させたグラフを用いて説明する。
図4に示すように、吸入容積の小さい第2の圧縮室15bの方が、第1の圧縮室15aに比べ、圧力変化率が大きいことが分かる。即ち、1つ前に形成された第2の圧縮室15b−1と、次に形成された第2の圧縮室15b−2の圧力差ΔPbが、同じく第1の圧縮室15a−1と第1の圧縮室15a−2の圧力差ΔPaより、大きいということが分かる。したがって、第2の圧縮室15bに関しては、ラップの径方向接点部を介して、作動流体が漏れやすいことになる。
そこで、本実施例のスクロール圧縮機では、貯油部20から第1の圧縮室15aおよび/または第2の圧縮室15bに導く、給油経路50を設け、第2の圧縮室15bへの総給油量を第1の圧縮室15aへの総給油量より多くする。
図5は、給油経路の概念図である。
図5において、実線や破線で示す給油経路50は、例えば図2で示す背圧室給油経路51及び圧縮室給油経路52に相当する。
なお、この概念図において、破線で示す給油経路50は、実線で示す給油経路50以外に、更に追加設置してもよい給油経路であることを意味している。
そして、実線で示す給油経路50のみの場合はもちろん、この実線給油経路に加え破線給油経路を含む場合において、各給油経路50から第1の圧縮室15a及び第2圧縮室15bへ給油される給油量は、第1の圧縮室15aへの給油量をGa、第2の圧縮室15bへの給油量をGbとすると、「Ga<Gb」の関係となるように設定している。
この構成により、圧力変化率の大きい第2の圧縮室15bへ積極的に給油することになり、1つ前に形成された第2の圧縮室15b−1から、次に形成された第2の圧縮室15b−2への漏れを抑制することができる。即ち、圧縮行程における漏れ損失を低減することができるので、高効率を実現するスクロール圧縮機を提供することができる。
また、図6は、固定スクロール12に旋回スクロール13を噛み合わせた状態を示す断面図である。
図2に示すように、固定スクロール12のラップ先端12cと旋回スクロール13のラップ側鏡板面13fの間に形成されるところの、固定先端隙間12dを介して発生する漏れは、図6から理解できるように、第1の圧縮室15a−2から第2の圧縮室15b−2への漏れ、第1の圧縮室15a−1から第2の圧縮室15b−2への漏れ、第1の圧縮室15a−1から第2の圧縮室15b−1への漏れである。即ち 固定先端隙間12dを介して発生する漏れは、第1の圧縮室15aから第2の圧縮室15bへの漏れのみである。
これに対し、旋回スクロール13のラップ先端13cと固定スクロール12のラップ側鏡板面12eの間に形成されるところの、旋回先端隙間13dを介して発生する漏れは、第1の圧縮室15a−2から第2の圧縮室15b−2への漏れ、第2の圧縮室15b−1から第1の圧縮室15a−2への漏れ、第1の圧縮室15a−1から第2の圧縮室15b−1への漏れである。即ち、第1の圧縮室15aから第2の圧縮室15bへの漏れと、第2の圧縮室15bから第1の圧縮室15aへの漏れの両方が存在する。
そこで、本実施例では、固定先端隙間12dを旋回先端隙間13dより小さくする。この構成により、第1の圧縮室15aから第2の圧縮室15bへの漏れの影響を低減することができる。即ち、漏れ損失に大きく影響を及ぼすのは、第2の圧縮室15b間で発生する漏れであり、図6で示すと、第2の圧縮室15b−1から第2の圧縮室15b−2への漏れである。これにより、第2の圧縮室15bへの総給油量を第1の圧縮室15aへの総給油量より多くした効果が顕著に現れることが理解される。
さらに、固定スクロール12と旋回スクロール13を異なる材質で構成し、旋回スクロール13の熱膨張係数を固定スクロール12の熱膨張係数より大きくした場合には、固定先端隙間12dと旋回先端隙間13dは、固定スクロール12と旋回スクロール13の熱膨張差を考慮して設定する必要がある。即ち、旋回先端隙間13dは、固定先端隙間12dよりも大きく設定する必要があるため、第2の圧縮室15bへの総給油量を多くする効果が一層顕著に現れることになる。
また、第1の圧縮室15aと第2の圧縮室15bの作動流体を閉じ込める位置に関して、一般的な対称スクロールでは、図3の破線で示すように、固定スクロール12の渦巻きの巻き終わり部を外側へ逃がしている。即ち、固定スクロール12の渦巻きの巻き終わり部が旋回スクロール13と接点をもたないように形成されている。この場合、第1の圧縮室15aの閉じ込み位置は、図3のT点となり、作動流体がT点に至る経路で加熱されて、体積効率の悪化を引き起こしている。
そこで、本実施例のスクロール圧縮機では、第1の圧縮室15aの作動流体を閉じ込める位置と第2の圧縮室15bの作動流体を閉じ込める位置とが、略180度ずれるよう渦巻きラップを構成する。具体的には、固定スクロール12と旋回スクロール13を噛み合わせた状態で、固定スクロール12の渦巻きラップを旋回スクロール13の渦巻きラップと同等まで延長する構成である。
この場合、第1の圧縮室15aが作動流体を閉じ込める位置は、図3のS点となる。即ち、第1の圧縮室15aを閉じ込めた後、シャフト4の回転が180度程度進んでから、第2の圧縮室15bが作動流体を閉じ込めることになる。この構成により、第1の圧縮室15aに対して、吸入加熱の影響を最も小さくすることができるとともに、さらに最大吸入容積を確保することができる。即ち、ラップ高さを低く設定でき、その結果ラップの径方向接点部の漏れ隙間(=漏れ断面積)を縮小することができるので、漏れ損失の更なる低減が可能となる。
また、図2に示すように、本実施例では、旋回スクロール13の背面13eに、高圧領域30と、高圧と低圧の中間圧に設定された背圧室29とを形成する。そして、高圧領域30及び背圧室29の圧力を、背面13eに付加する。この背面13eへの圧力付加により、旋回スクロール13は固定スクロール12に安定的に押し付けられ、背圧室29から圧縮室15への漏れを低減するとともに、安定した運転を行うことができる。
更に、背圧室29と圧縮室15とをつなぐ圧縮室給油経路52(給油経路50の一部を構成する)を設け、その給油経路の一部または全てが背圧室29を経由する。この構成により、必要な箇所へ必要な分だけ給油を行うことができる。
例えば、圧縮室15が作動流体を閉じ込める前の吸入行程においては、ある程度のシールオイルは必要であるものの、大量のオイルが供給されると作動流体の吸入加熱が起こり、体積効率低下が引き起こる。また圧縮途中においても同様に、大量に供給されると粘性損失による入力増大が引き起こる。そこで、各箇所に必要な分だけ給油することが理想的であるので、それを実現するように圧縮室15につながる圧縮室給油経路52を形成することになる。
また、背圧室29を経由することで、供給する圧縮室15との圧力差を小さくすることができる。
例えば、吸入行程もしくは圧縮途中に対し、高圧領域30からオイル6を直接供給するより、中間圧に設定された背圧室29からオイル6を供給する方が、圧力差が小さくなるため、必要最低限の極小給油が可能となる。即ち、過剰な給油を防止でき、吸入加熱による性能低下や粘性損失による入力増大等を抑制することができる。
本実施例では、図2に示すように、旋回スクロール13の背面13eにシール部材78を配置する。そして、シール部材78の内側を高圧領域30に、シール部材78の外側を背圧室29に区画する。そして、高圧領域30から背圧室29への背圧室給油経路51と、背圧室29から第2の圧縮室15bへの圧縮室給油経路52との、複数の経路を介して給油経路50を構成している。
上記のシール部材78を用いる構成により、高圧領域30と背圧室29の圧力が完全に分離できる。そのため、旋回スクロール13の背面13eへの圧力付加を安定的に制御することが可能となる。
また、高圧領域30から背圧室29への背圧室給油経路51を設けることで、自転拘束機構14の摺動部や、固定スクロール12と旋回スクロール13のスラスト摺動部にオイル6を供給することができる。
また、背圧室29から第2の圧縮室15bへの圧縮室給油経路52を設ける。この圧縮室給油経路52は、旋回スクロール13の内部に形成され、背圧室29に開口する他方の開口端52aと第2の圧縮室15bに開口する一方の開口端52bとを有して、背圧室29と第2の圧縮室15bとを連通するよう構成されている。この構成により、第2の圧縮室15bへの給油量を積極的に増やすことができ、第2の圧縮室15bにおける漏れ損失を抑制することが可能となる。
また、図2に示すように、背圧室給油経路51の一方の開口端51bを旋回スクロール13の背面13eに形成し、シール部材78を往来させるとともに、他方の開口端51aを高圧領域30に常時開口させる。この構成により、間欠給油が実現できる。
図7は、固定スクロール12に旋回スクロール13を噛み合わせた状態を示す断面図である。即ち、旋回スクロール13の背面から見た状態であり、位相を90度ずつずらした図である。
図7に示すように、シール部材78で、旋回スクロール13の背面領域は内側の高圧領域30と外側の背圧室29とに仕切られている。図7の(B)の状態で、開口端51bがシール部材78の外側である背圧室29に開口しているため、オイル6が背圧室29に供給される。
これに対し、図7の(A),(C),(D)の状態では、開口端51bはシール部材78の内側に開口しているため、オイル6が背圧室29に供給されることはない。即ち、背圧室給油経路51の開口端51bが高圧領域30と背圧室29とを往来することにより、背圧室給油経路51の両開口端51a,51bで圧力差が生じたときのみ、背圧室29へオイル6が供給される。
この構成にすると、給油量を、開口端51bがシール部材78を往来する割合で、調整することができるため、背圧室給油経路51の通路径を、オイルフィルタに対し10倍以上の、大きい寸法で構成することが可能となる。これにより、通路に異物が噛み込んで閉塞する恐れがなくなるため、安定した背圧の印加と同時にスラスト摺動部及び自転拘束機構14の潤滑も良好な状態を維持できる。即ち、高効率かつ高信頼性を実現するスクロール圧縮機を提供することができる。
なお 本実施例では、開口端51aが常時高圧領域30にあり、開口端51bが高圧領域30と背圧室29とを往来する構成を例として説明したが、開口端51aが高圧領域30と背圧室29とを往来し、開口端51bが常時背圧室29にある構成でも、両開口端51a,51bで圧力差が生じるため、間欠給油が実現でき同様の効果が得られる。
ところで、旋回スクロール13の背面13eへの圧力付加が不十分な場合、旋回スクロール13が固定スクロール12から離れるチルティング現象を引き起こす恐れがある。チルティング状態では、背圧室29から閉じ込み前の圧縮室15へ作動流体が漏れるため、体積効率が悪化する。これを発生させないために、背圧室29の圧力を所定の圧力に維持する必要がある。 そこで、本実施例では、作動流体を閉じ込めた後の第2の圧縮室15bと背圧室29とが連通するように、圧縮室給油経路52を構成する。この構成により、背圧室29の圧力は、吸入圧力より高い所定の圧力となる。そのため、チルティング現象を防止することができ、高効率を実現することが可能となる。また、仮にチルティングが発生しても、第2の圧縮室15bの圧力を背圧室29へ導くことが可能であるため、正常運転への早期復帰が可能となる。
本発明の第2の実施例について説明する。図8は、本発明の実施例2におけるスクロール圧縮機の圧縮機構部の要部拡大断面図である。本実施例では、実施例1と異なる発明部分について説明する。即ち、本実施例のスクロール圧縮機において、実施例1と同じ構成については同じ符号を用い、その構成と動作についての説明を省略する。
図8に示すように、本実施例のスクロール圧縮機では、給油経路50は、背圧室給油経路51と、圧縮室給油経路55とから構成される。そして、圧縮室給油経路55が、旋回スクロール13の内部に形成されて開口端55a及び開口端55bを有した通路55cと、固定スクロール12のラップ側鏡板面12eに形成された凹部12bとから構成されている。そして、通路55cの一方の開口端55bをラップ先端13cに形成し、旋回運動にあわせて周期的に凹部12bに開口させる。
また、通路55cの他方の開口端55aを、背圧室29に常時開口させる。これにより、背圧室29と第2の圧縮室15bとを間欠的に連通させる。なお、図8の(A)で、開口端55bが凹部12bに開口している状態を示し、図8の(B)の状態では、開口端55bが凹部12bに開口していない状態を示している。
図9は、固定スクロール12に旋回スクロール13を噛み合わせた状態を示す断面図であり、位相を90度ずつずらした図である。
図9に示すように、旋回スクロール13の内部に形成された通路55cの開口端55bを、固定スクロール12のラップ側鏡板面に形成された凹部12bに周期的に開口させることで、間欠連通を実現させている。
図9の(D)の状態で、開口端55bが凹部12bに開口している。この状態では、通路55c(=圧縮室給油経路55)を通って、背圧室29から第2の圧縮室15bへ、オイル6が供給される。これに対し、図9の(A),(B),(C)の状態では、開口端55bが凹部12bに開口していないため、背圧室29から第2の圧縮室15bに、オイル6が供給されることはない。
以上のことから、背圧室29のオイル6は、通路55cを通って第2の圧縮室15bへ間欠的に導かれるので、背圧室29の圧力変動を抑制することができる。即ち、背圧室29の圧力を所定の圧力に制御することが可能となる。また同時に、第2の圧縮室15bへ供給されたオイル6は圧縮時のシール性向上や潤滑性向上の役割を果たすことができる。
本発明の第3の実施例について説明する。図10は、本発明の実施例3におけるスクロール圧縮機の給油経路の概念図である。本実施例では、実施例1及び実施例2と異なる発明部分について説明する。
図10に示すように、本実施例のスクロール圧縮機では、貯油部20から第1の圧縮室15a及び第2の圧縮室15bへ導く給油経路50を、複数個の第1の給油経路53と、複数個の第2の給油経路54とから構成する。そして、第2の給油経路54の個数を、第1の給油経路53の個数に対し、同数以上設ける。即ち、第1の給油経路53の個数がm第2の給油経路54の個数がnの場合では、「m≦n」の関係となる。
例えば、第1の給油経路53と第2の給油経路54とを同数とし、且つ、それぞれの第1の給油経路53の給油量に対し、同等の給油量を有するそれぞれの第2の給油経路54でもって給油経路50を形成すれば、第1の圧縮室15aへの給油量と第2の圧縮室15bへの給油量は同等となる。そこで、さらに第2の給油経路54を加えて形成すると、確実に第2の圧縮室15bへの給油量を多くすることができる。
また、第1の給油経路53と第2の給油経路54が同数の場合には、給油経路53が開口する第1の圧縮室15aの平均圧力よりも、給油経路54が開口する第2の圧縮室15bの平均圧力を低くすることで、第2の圧縮室15bへの給油量を多くすることができる。
そして、このような複数個の給油経路53,54を設ける構成の具体例としては、例えば先の実施例2で示したように、旋回スクロール13に形成した通路55cと固定スクロール12に形成した凹部12bとの組み合わせから成る圧縮室給油経路55を複数箇所に設ける構成がある。また、前記実施例1で説明した破線の給油経路50も、このような通路と凹部との組み合わせで形成することができる。
なお、本実施例では、貯油部20から第1の圧縮室15aもしくは第2の圧縮室15bへ直接導く第1及び第2の給油経路53,54を構成する例を説明したが、第1及び第2の給油経路53,54が背圧室29を経由する構成にしてもよい。
本発明の第4の実施例について説明する。図11は、本発明の実施例4におけるスクロール圧縮機の圧縮機構部の要部拡大断面図である。以下、本実施例では、実施例1などと異なる発明部分について説明する。即ち、本実施例のスクロール圧縮機において、実施例1などと同じ構成については同じ符号を用い、その構成と動作についての説明を省略する。
図11に示すように、本実施例のスクロール圧縮機では、オイル6を貯油部20から第1の圧縮室15a及び第2の圧縮室15bに導くところの、1つまたは複数の給油経路を設ける。そして、給油経路のうち少なくとも1つは、間欠的に貯油部20と圧縮室15とを連通させる間欠給油経路56とし、第2の圧縮室15bへの総給油量を第1の圧縮室15aへの総給油量より多くする。即ち、第1の圧縮室15aへの給油量をGa、第2の圧縮室15bへの給油量をGbとすると、「Ga<Gb」の関係となるように設定している。
この構成により、圧力変化率の大きい第2の圧縮室15bへ積極的に給油することで、1つ前に形成された第2の圧縮室15b−1から、次に形成された第2の圧縮室15b−2への漏れを抑制することができる。即ち、圧縮行程における漏れ損失を低減することができる。さらに、給油を間欠にすることで、必要最低限の極小給油が可能となり、粘性損失による入力増を抑制し、高効率を実現するスクロール圧縮機を提供することができる。
図11に示すように、本実施例の間欠給油経路56は、旋回スクロール13に形成されて開口端56a及び開口端56bを有した通路56cと、固定スクロール12のラップ側鏡板面に形成された凹部12bとから構成されている。そして、間欠給油経路56(の通路56c)の一方の開口端56bを、旋回スクロール13のラップ先端13cに形成し、旋回運動にあわせて周期的に凹部12bに開口させる。そして、間欠給油経路56の他方の開口端56aを、高圧領域30に常時開口させている。これにより、高圧領域30と第2の圧縮室15bを間欠的に連通させることができる。
また、本実施例では、間欠給油経路56の一方の開口端56bは、作動流体を閉じ込める前の第2の圧縮室15bが、開口するよう構成されている。この構成について、具体的に図12を用いて説明する。
図12は、固定スクロール12に旋回スクロール13を噛み合わせた状態を示す断面図であり、第2の圧縮室15bが閉じ込める前と、第1の圧縮室15aが閉じ込める前を表した断面図である。
図12の(A)の状態では、作動流体を閉じ込める前の第2の圧縮室15f−2に、間欠給油経路56(の通路56c)の開口端56bが、凹部12bを介して、開口している。また、図12の(B)の状態では、作動流体を閉じ込める前の第1の圧縮室15f−1に、間欠給油経路56の開口端56bが、凹部12bを介して、開口している。
また、図12中の矢印は、それぞれオイル6の流れを表している。圧縮室15が作動流体を閉じ込める前の吸入行程においては、ある程度のシールオイルは必要である。しかしながら、大量のオイルが供給されると、作動流体の吸入加熱が起こり、体積効率の低下を引き起こすことになる。そのため、シールに必要な量だけ給油することが理想的である。したがって、給油を間欠にすることで、過剰な給油を防止して、作動流体の吸入加熱による性能低下を抑制することができる。
特に、間欠給油経路56の開口端56bを、作動流体を閉じ込める前の第1の圧縮室15aならびに第2の圧縮室15bに、開口させる。この構成によれば、閉じこみ時に、オイル6によって圧縮室15a,15bのシール効果を高めつつ、オイル供給過多に起因する作動流体の吸入加熱による体積効率の低下を防止することができる。
また、本実施例のスクロール圧縮機では、前述の図11を用いた説明から明らかなように、旋回スクロール13の背面13eに、高圧領域30と、高圧と低圧の中間圧に設定された背圧室29とを形成し、間欠給油経路56のうち、少なくとも1つが、高圧領域30と連通するよう構成されている。この構成によれば、例えば高差圧運転時、高圧領域30と連通する圧縮室15との圧力差が大きいことから、圧縮室15への給油量を多くすることが可能となり、オイル切れの防止等、信頼性を向上させることができる。
本発明の第5の実施例について説明する。図13は、本発明の実施例5におけるスクロール圧縮機の圧縮機構部の要部拡大断面図であり、本実施例における間欠給油経路を示している。
図13に示すように、旋回スクロール13の背面13eには、高圧領域30と、高圧と低圧の中間圧に設定された背圧室29とが形成されている。間欠給油経路57が、旋回スクロール13に形成されて開口端57a及び開口端57bを有した通路57cと、固定スクロール12のラップ側鏡板面に形成された凹部12bとから構成されている。そして、間欠給油経路57(の通路57c)の一方の開口端57bを、ラップ先端13cに形成し、旋回運動にあわせて周期的に凹部12bに開口させる。そして、間欠給油経路57の他方の開口端57aを、背圧室29に常時開口させる。これにより、背圧室29と第2の圧縮室15bとを間欠的に連通させる。
即ち、上記実施例のスクロール圧縮機では、間欠給油経路のうち、少なくとも1つは背圧室を経由する構成となっている。この構成によれば、背圧室29と第2の圧縮室15bの圧力差は小さいので、給油時の膨張音を抑えることができ、運転時の騒音を低下させることができる。
上記で説明した、背圧室29と第2の圧縮室15bとを、間欠給油経路57を用いて、間欠的に連通させる動作について、図14を用いて説明する。図14は、固定スクロール12に旋回スクロール13を噛み合わせた状態を示す断面図であり、位相を90度ずつずらした図である。
図14に示すように、間欠給油経路57において、旋回スクロール13のラップ先端13cに形成された開口端57bが、固定スクロール12のラップ側鏡板面に形成された凹部12bに周期的に開口することで、間欠連通を実現させている。
図14の(D)の状態で、開口端57bが凹部12bに開口している。この状態では、間欠給油経路57を通って、背圧室29から第2の圧縮室15bへ、オイル6が供給される。これに対し、図14の(A),(B),(C)の状態では、開口端57bが凹部12bに開口していない。そのため、背圧室29から第2の圧縮室15bへ、オイル6が供給されることはない。
以上のことから、背圧室29のオイル6は、間欠給油経路57を通って、第2の圧縮室15bへ間欠的に導かれる。そのため、背圧室29の圧力変動を抑制することができ、所定の圧力に制御することが可能となる。さらに、第2の圧縮室15bへ供給されたオイル6は、圧縮時のシール性向上や潤滑性向上の役割を果たすことができる。また同時に、背圧室29と連通する圧縮室を、第1の圧縮室15aとしても上記と同様の効果が得られるものである。
本発明の第6の実施例について説明する。図15は、本発明の実施例6におけるスクロール圧縮機の圧縮機構部の要部拡大断面図である。本実施例では、実施例4と異なる発明部分について説明する。即ち、本実施例のスクロール圧縮機において、実施例4と同じ構成については同じ符号を用い、その構成と動作についての説明を省略する。
図15に示すように、本実施例のスクロール圧縮機では、給油経路としての間欠給油経路が、旋回スクロール13の背面13eに設けられた高圧領域30と背圧室29とを連通させる接続路58と、背圧室29と圧縮室15とを連通させる供給路59とから構成されている。この構成によれば、高圧領域30から背圧室29へオイル6を送り、そのオイル6の圧力を旋回スクロール13の背面13eに印加することで、旋回スクロール13を固定スクロール12に押し付けることができる。同時に、背圧室29と圧縮室15とを連通させることで、背圧室29の押し付け力の過上昇を抑制することができる。そのため、安定した背圧の印加が可能となり、スラスト摺動損失の増大を抑制できる。
また、本実施例では、接続路58の一方の開口端58bは、旋回スクロール13の背面13eに形成されている。そして、他方の開口端58aは、高圧領域30に常時開口されている。そして、主軸受部材11の旋回スクロール13の背面13e側に、背圧室29と高圧領域30とを仕切るシール部材78を配設している。そして、旋回スクロール13の旋回運動により、接続路58の開口端58bが、シール部材78を往来することにより、高圧領域30と背圧室29とに、交互に開口する構成となっている。この構成で、背圧室29と高圧領域30との間欠連通を実現させている。
上記の間欠連通の構成について、具体的に図16を用いて説明する。図16は、固定スクロール12に旋回スクロール13を噛み合わせた状態を示す断面図である。即ち、旋回スクロール13の背面13eから見た状態であり、位相を90度ずつずらした図である。
図16に示すように、シール部材78で、旋回スクロール13の背面13e領域を、内側の高圧領域30と外側の背圧室29とに仕切っている。
図16の(B)の状態で、開口端58bがシール部材78の外側である背圧室29に開口している。そのため、背圧室29にオイル6が供給される。これに対し、図16の(A),(C),(D)の状態では、開口端58bはシール部材78の内側である高圧領域30に開口している。そのため、オイル6が背圧室29に供給されることはない。即ち、接続路58の開口端58bが、高圧領域30と背圧室29とを往来して、接続路58の両開口端58a,58bで圧力差が生じたときのみ、背圧室29へオイル6は供給される。
この構成にすると、接続路58の開口端58bがシール部材78を往来する割合により、背圧室29へのオイル給油量の微少な調整が可能となり、背圧室29への過剰供給を防止することができる。さらに、オイル供給は開口端58bがシール部材78を往来する割合で調整できる。そのため、接続路58の通路径を、オイルフィルタに対し10倍以上の、大きい寸法で構成することが可能となる。
この通路径を大きくする構成により、通路に異物が噛み込んで閉塞する恐れがなくなる。そのため、安定した背圧の印加と同時にスラスト摺動部及び自転拘束機構14の潤滑も良好な状態を維持でき、高効率かつ高信頼性を実現するスクロール圧縮機を提供することができる。
なお、本実施例では、開口端58aが常時高圧領域30にあり、開口端58bが高圧領域30と背圧室29とを往来する構成を説明した。しかしながら、開口端58aが高圧領域30と背圧室29とを往来し、開口端58bが常時背圧室29にある構成でも、両開口端58a,58bで圧力差が生じるため、間欠連通が実現でき、同様の効果が得られる。
また、チルティング現象を発生させないために、本実施例では、作動流体を閉じ込めた後の圧縮室15と背圧室29が連通するように、供給路59を構成している。
作動流体を閉じ込めた後の圧縮室15の一つである第2の圧縮室15bと背圧室29とが連通するよう供給路59を設けた構成について、図15を用いて説明する。
本実施例のスクロール圧縮機では、供給路59が通路59cと凹部12bとから構成される。そして、通路59cは、開口端59a及び開口端59bを有して、旋回スクロール13に形成されている。そして、凹部12bは、固定スクロール12のラップ側鏡板面に形成されている。そして、供給路59(の通路59c)の一方の開口端59bを、ラップ先端13cに形成し、旋回運動にあわせて周期的に凹部12bに開口させる。さらに、供給路59の他方の開口端59aを、背圧室29に常時開口させている。この構成により、背圧室29と第2の圧縮室15bとを間欠的に連通させている。
上記構成により、背圧室29の圧力は、吸入圧力より高い所定の圧力となる。そのため、チルティング現象を防止することができ、高効率を実現することが可能となる。また、仮にチルティングが発生しても、第2の圧縮室15bの圧力を背圧室29へ導くことが可能である。そのため、正常運転への早期復帰が可能となる。
また、背圧室29と第2の圧縮室15bとを間欠的に連通させることで、背圧室29の圧力変動を抑制し、所定の圧力に制御することができる。
さらに、本実施例のスクロール圧縮機では、供給路59が第2の圧縮室15bに連通する。この構成によれば、第2の圧縮室15bへのオイル給油量を第1の圧縮室15aへのオイル給油量より多くでき、一つ前に閉じ込んだ第2の圧縮室15b−1から次に閉じ込んだ第2圧縮室15b−2への漏れ防止効果をさらに高めることが可能となる。
また、凹部12bの形成する位置を固定スクロール12のラップ側鏡板面の範囲内で適時変更することにより、背圧室29と連通する圧縮室15を、第2圧縮室15bから第1の圧縮室15aへ変更することもできる。また、前述の第2の圧縮室15bと連通する場合と同様の効果も得られる。
上記で説明した、背圧室29と第2の圧縮室15bとを、供給路59を用いて、間欠的に連通させる動作について、前述の図14を用いて説明する。
図14及び図15に示すように、供給路59において、旋回スクロール13のラップ先端13cに形成された開口端59bが、固定スクロール12のラップ側鏡板面に形成された凹部12bに周期的に開口することで、間欠連通を実現させている。
図14の(D)の状態で、開口端59bが凹部12bに開口している。この状態では、供給路59を通って、背圧室29から第2の圧縮室15bへ、オイル6が供給される。これに対し 図14の(A),(B),(C)の状態では、開口端59bが凹部12bに開口していない。そのため、背圧室29から第2の圧縮室15bへ、オイル6が供給されることはない。
以上のことから、本実施例の構成により、背圧室29のオイル6は、供給路59を通って、第2の圧縮室15bへ間欠的に導かれる。そのため、背圧室29の圧力変動を抑制することができ、所定の圧力に制御することが可能となる。また同時に、第2の圧縮室15bへ供給されたオイル6は、圧縮時のシール性向上や潤滑性向上の役割を果たすことができる。
以上の説明のように、本実施例のスクロール圧縮機では、間欠給油経路56,57や、接続路58及び供給路59から成る間欠給油経路が、旋回スクロール13に形成された通路と、固定スクロール12に形成された凹部とから構成されている。そして、通路の開口端を、旋回運動にあわせて周期的に凹部に開口させる構成になっている。この構成によれば、凹部の配置と通路の位置調整により、任意の場所に間欠給油経路を形成することができるので、過剰なオイル供給を抑制し、粘性損失による性能低下を防止することができる。
ところで、図15に示す本実施例のスクロール圧縮機では、図11で説明した間欠給油経路56が形成されている。そして、旋回スクロール13に形成された間欠給油経路56の通路56cが、固定スクロール12のラップ側鏡板面に形成された凹部12bに開口するよう構成されている。
そして、間欠給油経路56(の通路56c)の一方の開口端56bを、旋回スクロール13のラップ先端13cに形成し、旋回運動にあわせて周期的に凹部12bに開口させている。また、間欠給油経路56の他方の開口端56aを、高圧領域30に常時開口させている。
従って、間欠給油経路56は、高圧領域30と背圧室29とを連通させる接続路58と、一部の経路を共有している。以上の構成により、高圧領域30と第2の圧縮室15bは間欠的に連通されている。
以上の説明から明らかなように、貯油部20から第1の圧縮室15a及び第2の圧縮室15bに、オイル6を導く給油経路として、接続路58及び供給路59から構成される経路と、間欠給油経路56との、複数の経路が形成されている。この構成によれば、二つの経路による圧縮室へのオイルの供給量と供給タイミングを自由に選択することができる。
ところで、作動流体を、高圧冷媒、例えば二酸化炭素とした場合、特に動作圧力が高いため、漏れが大きくなる。しかしながら、本発明のスクロール圧縮機によれば、圧力上昇に伴う第2の圧縮室15b間の漏れを効果的に抑制することができる。即ち、本発明の効果が顕著に現れ、高効率かつ高信頼性を実現するスクロール圧縮機を提供することができる。
本発明の第7の実施例について説明する。図17は、本発明の実施例7におけるスクロール圧縮機の圧縮機構部の要部拡大断面図である。以下、本実施例では、実施例1などと異なる発明部分について説明する。即ち、本実施例のスクロール圧縮機において、実施例1などと同じ構成については同じ符号を用い、その構成と動作についての説明を省略する。
ところで、図6に示したように、圧縮室15には、旋回スクロール13のラップ外壁側13oに形成される第1の圧縮室15aと、ラップ内壁側13iに形成される第2の圧縮室15bとが存在する。そして、第1の圧縮室15aの吸入容積の方が、第2の圧縮室15bの吸入容積より大きい。また、第2の圧縮室15b−1とその後に形成された第2の圧縮室15b−2を仕切る渦巻きラップ接点部D2と、第1の圧縮室15a−1とその後に形成される第1の圧縮室15a−2を仕切る渦巻きラップ接点部D1とが存在する。
さらに、クランク回転角に対する第2の圧縮室15bの圧力上昇速度は、第1の圧縮室15aの圧力上昇速度よりも速く、結果として、図6に示した、渦巻きラップ側面D2で仕切られる第2の圧縮室15b−1と、低圧側に形成される第2の圧縮室15b−2との、圧力差が大きくなる。このことから、第1の圧縮室15aと比較し、第2の圧縮室15bの渦巻きラップ側面を介して、作動流体が漏れやすいことになる。
また、旋回スクロール13のラップ先端13cには、運転中の温度分布を測定した結果をもとに、中心部である巻き始め部から外周部である巻き終わり部にかけて、徐々にラップ高さが高くなるように、スロープ形状が設けられている。これにより、熱膨張による寸法変化を吸収し、局所摺動を防止することができる。しかしながら、ラップ先端13cを介した第1の圧縮室15aと第2の圧縮室15b間の漏れを、上記スロープ形状だけで抑制することは、運転条件が一定でないことも加わり、困難である。
そこで、図17に示すように、本実施例のスクロール圧縮機では、一方のラップ先端13cを介する漏れに関しては、貯油部20からラップ先端13cに、オイル6を導くラップ先端給油経路83を設ける。このラップ先端給油経路83は、旋回スクロール13の内部に形成されて高圧領域30に開口する他方の開口端83aと、ラップ先端13cに形成されて圧縮室15に開口する一方の開口端83bとを有して、高圧領域30と圧縮室15とを連通するよう構成されている。この構成により、ラップ先端13cを介した第1の圧縮室15aと第2の圧縮室15b間の漏れを抑制しつつ、ラップ先端13cでの摺動損失を低減できる。
また、他方の第2の圧縮室15bの渦巻きラップ側面を介する漏れに関しては、貯油部20から第2の圧縮室15bにオイル6を導く給油量制御経路を、高圧領域30から背圧室29へ給油を行う接続路65と、背圧室29と第2の圧縮室15bとを連通させる供給路A66とで構成する。この構成により、第1の圧縮室15aより圧力上昇速度の大きい第2の圧縮室15bへ、積極的にオイル6を供給することで、1つ前に形成された第2の圧縮室15b−1から、次に形成された第2の圧縮室15b−2への漏れを抑制することができる。
即ち、接続路65及び供給路A66から成る給油量制御経路と、ラップ先端給油経路83とを有する給油経路により、第2の圧縮室15bへの総給油量を第1の圧縮室15aへの総給油量より多くして、圧縮行程における漏れ損失を効果的に低減することができる。従って、高効率を実現するスクロール圧縮機を提供することができる。
図18は、本実施例におけるスクロール圧縮機の旋回スクロールを示す平面図である。
図17と図18に示すように、供給路A66の一方の開口端66bに連通し、内壁側圧縮室である第2の圧縮室15b側に開口しているところの、段差66dをラップ先端13cに設ける。そして、この段差66dから第2の圧縮室15bに、供給路A66の他方の開口端66aから一方の開口端66bを経て来たオイル6を優先的に供給する。即ち、渦巻きラップ側面のシール性確保に必要なオイル6のうち、第1の圧縮室15aよりも余分に必要な分のオイル6を、この給油量制御経路の供給路A66により調整して、第2の圧縮室15bに供給することを可能としている。
また、旋回スクロール13の背面13eに、高圧領域30と、高圧と低圧の中間圧に設定された背圧室29とを形成し、給油経路のうち少なくとも1つが背圧室29を経由するよう構成する。この構成によれば、背面13eへの圧力付加により、旋回スクロール13は固定スクロール12に安定的に押し付けられる。従って、背圧室29から圧縮室15への漏れを低減するとともに、安定した運転を行うことができる。
さらに、給油経路を、給油量制御経路とラップ先端給油経路83の複数にすることで、必要な箇所へ必要な分だけオイル供給を行うことができる。例えば、図18に示すように、ラップ先端給油経路83の開口端83bを、複数個形成する構成である。同様に、給油量制御経路(の供給路A66)の開口端66bを、複数個形成する構成(図示せず)である。
なお、圧縮室が作動流体を閉じ込める前の吸入行程においては、ある程度のシールオイルは必要であるものの、大量のオイルが供給されると作動流体の吸入加熱が起こり、体積効率の低下を引き起こす。また圧縮途中においても同様に、大量にオイルが供給されると、粘性損失による入力増大を引き起こす場合がある。そこで、各箇所に必要な分だけ給油するのが理想的で、それを実現するために、給油経路を複数形成することが望まれる。
そこで、本実施例のスクロール圧縮機では、ラップ先端給油経路のうち少なくとも1つが、作動流体を閉じ込める前の圧縮室へ給油する経路で構成されている。この構成によれば、給油量制御経路からオイルが供給される前の第1の圧縮室及び第2の圧縮室にオイルが供給されて、圧縮室形成時の漏れもしくは圧縮室形成直後の漏れを抑制することができる。そして、給油量制御経路及びラップ先端給油経路が相補的に働き、より効果的なオイル供給ができる。さらに、体積効率の低下や粘性損失による入力増大を回避することができる。
次に、給油経路について、以下に詳細に説明する。
図17において、旋回スクロール13の背面13eにシール部材78を配置し、シール部材78の内周側を高圧領域30に、シール部材78の外周側を背圧室29に、区画する。そして、給油経路の少なくとも1つを、例えば給油量制御経路を、高圧領域30から背圧室29への接続路65と、背圧室29から第2の圧縮室15bへの供給路A66とから構成させる。
シール部材78を用いることにより、高圧領域30と背圧室29の圧力を完全に分離することができる。そのため、旋回スクロール13の背面13eへの圧力付加を安定的に制御することが可能となる。
また、高圧領域30から背圧室29への接続路65を設けることにより、自転拘束機構14の摺動部や、固定スクロール12と旋回スクロール13のスラスト摺動部にオイル6を供給することができる。
また、背圧室29から第2の圧縮室15bへの供給路A66を設けることにより、第2の圧縮室15bへの給油量を積極的に増やすことができ、第2の圧縮室15bにおける漏れ損失を抑制することが可能となる。
そして、接続路65の一方の開口端65bを、旋回スクロール13の背面13eに形成してシール部材78を往来させ、他方の開口端65aを、高圧領域30に常時開口させる。これにより、間欠給油が実現できる。
図19は、固定スクロール12に旋回スクロール13を噛み合わせた状態を示す断面図である。即ち、旋回スクロール13の背面から見た状態であり、位相を90度ずつずらした図である。
図19に示すように、旋回スクロール13の背面領域は、シール部材78で内側の高圧領域30と外側の背圧室29とに仕切られている。図19(B)の状態では、開口端65bが、シール部材78の外側である背圧室29に開口しているため、オイル6が背圧室29に供給される。これに対し、図19(A),(C),(D)の状態では、開口端65bが、シール部材78の内側に開口しているため、オイル6が背圧室29に供給されることはない。
即ち、本実施例のスクロール圧縮機では、接続路65の開口端65bが、高圧領域30と背圧室29とを往来する構成になっている。したがって、接続路65の両開口端65a,65bで、圧力差が生じたときのみ、背圧室29へオイル6は供給される。
この構成にすると、給油量は、開口端65bがシール部材78を往来する時間割合で、調整することができる。そのため、接続路65の通路径を、オイルフィルタに対し10倍以上の、大きい寸法で構成することが可能となる。
この通路径を大きくする構成により、通路に異物が噛み込んで閉塞する恐れがなくなる。そのため、安定した背圧の印加と同時にスラスト摺動部及び自転拘束機構14の潤滑とを良好な状態で維持でき、高効率かつ高信頼性を実現するスクロール圧縮機を提供することができる。
なお、本実施例では、開口端65aが常時高圧領域30にあり、開口端65bが高圧領域30と背圧室29とを往来する構成の場合を例として説明したが、開口端65aが高圧領域30と背圧室29とを往来し、開口端65bが常時背圧室29にある構成の場合でも、両開口端65a,65bで圧力差が生じるため、間欠給油が実現でき同様の効果が得られる。
本発明の第8の実施例について説明する。図20は、本発明の実施例8におけるスクロール圧縮機の圧縮機構部の要部拡大断面図である。図21は、本実施例におけるスクロール圧縮機を示す平面図である。
本実施例では、圧縮室15へのオイル供給について、ラップ先端給油経路および給油量制御経路以外は、実施例7と同様なので、それらのラップ先端給油経路および給油量制御経路について説明する。即ち、本実施例のスクロール圧縮機において、実施例7と同じ構成については同じ符号を用い、その構成と動作についての説明を省略する。
図20と図21に示すように、本実施例のスクロール圧縮機では、ラップ先端給油経路84が、旋回スクロール13の内部とラップ内部に設けられて、高圧領域30に開口する開口端84a及び圧縮室15に開口する開口端84bを有する通路84cと、ラップ先端13cに設けた油溝84dとにより構成されている。このとき、通路84cは油溝84dに連通して形成されている。この構成により、通路84cを経由してラップ先端13cに供給されたオイル6が、油溝84dを介して、より広範囲のラップ先端13cに供給される。そのため、第1の圧縮室15aと第2の圧縮室15b間のシール性を、より広範囲に確保することができる。
また、本実施例では、ラップ先端給油経路84が背圧室29を経由せずに高圧領域30のみを経由することにより、高圧領域30から直接ラップ先端13cへオイル6を供給する構成となっている。そして、通路84cの開口端84aを、旋回スクロール13の背面に形成されている高圧領域30に開口することにより、ラップ先端給油経路84を、より高圧側の圧縮室15に臨むラップ先端13cにまで設けることが可能となる。
また、図21に示すように、油溝84dを、渦巻きラップ形状に沿って延長拡大することによって、ラップ先端13cのシール性を、より広範囲にまで確保することが可能となる。
さらに、圧縮機運転中に吸入圧力と吐出圧力の差が大きくなる条件に推移した際、その差圧を利用して自動的にオイル供給量を増加させ、信頼性を向上させることが可能となる。
図20に示すように、本実施例の給油量制御経路は、接続路65と、供給路A67とから構成される。そして、供給路A67は、旋回スクロール13の内部に形成された通路67cと、固定スクロール12のラップ側鏡板面に形成された凹部12bとを組み合わせることにより構成されている。通路67cの一方の開口端67bをラップ先端13cに形成し、旋回運動にあわせて周期的に凹部12bに開口させる。そして、通路67cの他方の開口端67aは背圧室29に常時開口させる。この構成により、背圧室29と第2の圧縮室15bとを間欠的に連通させることができる。
図22は、固定スクロール12に旋回スクロール13を噛み合わせた状態を示す断面図である。即ち、旋回スクロール13の背面から見た状態であり、位相を90度ずつずらした図である。
図22に示すように、ラップ先端13cに形成された通路67cの開口端67bを、固定スクロール12のラップ面鏡板に形成された凹部12bに周期的に開口させることで、間欠連通を実現させている。
図22の(D)の状態で、開口端67bが凹部12bに開口している。この状態では、供給路A67を通って、背圧室29から第2の圧縮室15bへ、オイル6が供給される。これに対し、図22の(A),(B),(C)の状態では、開口端67bが凹部12bに開口していない。そのため、背圧室29から第2の圧縮室15bへ、オイル6が供給されることはない。 以上のことから、背圧室29のオイル6は、供給路A67を通って、第2の圧縮室15bへ間欠的に導かれる。そのため、背圧室29の圧力変動を抑制することができ、所定の圧力に制御することが可能となる。また同時に、第2の圧縮室15bへ供給されたオイル6は、圧縮時のシール性向上や潤滑性向上の役割を果たすことができる。
さらに、圧縮行程中の、第2の圧縮室15bの圧力が上昇する特定の区間のみで、背圧室29と第2の圧縮室15bとを連通させることができる。これにより、背圧の制御が可能なだけでなく、圧縮室15の圧力が背圧室29の圧力よりも高くなった状態における、供給路A67を介した圧縮室15から背圧室29への逆流の防止が可能である。
また、チルティング現象を発生させないために、本実施例や実施例7では、作動流体を閉じ込めた後の第2の圧縮室15bと背圧室29が連通するように供給路A67(供給路A66)を構成する。言い換えれば、供給路A67(供給路A66)が、作動流体を閉じ込めた後の第2の圧縮室15bに連通している。この構成により、背圧室29の圧力は吸入圧力より高い所定の圧力となる。そのため、チルティング現象を防止することができ、高効率を実現することが可能となる。また、仮にチルティングが発生しても、第2の圧縮室15bの圧力を背圧室29へ導くことが可能であるため、正常運転への早期復帰が可能となる。
なお、上記の構成によれば、供給路A67を通じて供給されるオイル6は、第2の圧縮室15b形成後に限定されることから、制御したオイル量を確実に第2の圧縮室15bに供給することができる。また、供給路A67を介して供給されるオイル圧を圧縮室15の圧力で制御することが可能である。即ち、背圧室29の圧力を、第2の圧縮室15bの圧力でコントロールできるので、適度な背圧の印加が行われるスクロール圧縮機を提供することができる。
本発明の第9の実施例について説明する。図23は、本発明の実施例9におけるスクロール圧縮機の圧縮機構部の要部拡大断面図であり、図24は、本実施例におけるスクロール圧縮機の旋回スクロールの一部拡大平面図である。
本実施例では、ラップ先端給油経路以外は、実施例7や実施例8と同様なので、そのラップ先端給油経路について説明する。即ち、本実施例のスクロール圧縮機において、実施例7などと同じ構成については同じ符号を用い、その構成と動作についての説明を省略する。
図23に示すように、本実施例のスクロール圧縮機では、ラップ先端給油経路の供給路85(通路85c)を、旋回スクロール13の内部に設け、背圧室29からラップ先端13cへ、オイル6を供給する。この構成により、ラップ先端13cおよび圧縮室15へのオイル供給量を、背圧により制御することが可能となり、過剰なオイル供給を抑制し、適度な給油が行える。
なお、上記の実施例では、ラップ先端給油経路は、接続路65と供給路85とから成り、貯油部20から高圧領域30及び背圧室29を経由させて、オイル6を背圧室29の中間圧力でラップ先端13cへ供給する構成となっている。この構成によれば、ラップ先端隙間を介して圧縮室15へオイル6が供給される際に差圧が小さくなり、オイル供給時の膨張音を抑えることが可能である。そのため、騒音発生を抑制することができる。
また、図24に示すように、本実施例のスクロール圧縮機では、ラップ先端給油経路が開口するラップ先端13cにおいて、供給路85の開口端85bと油溝85dが、渦巻きラップの厚み方向の中心線を外して設けられている。これにより、例えば、油溝85dをラップ内壁側寄りに外して設ければ、ラップ先端給油経路から第2の圧縮室15bに対し、積極的にオイル6が供給される。そして、第1の圧縮室15a及び第2の圧縮室15bの、それぞれへのオイル供給量を、シール長C1,C2の寸法を変えることにより、調整することが可能となる。
即ち、本実施例の場合、ラップ先端給油経路にて、第1の圧縮室15a及び第2の圧縮室15bへのオイル供給量を調整することが可能となる。
従って、ラップ先端給油経路と給油量制御経路を共通化して、一つの経路とすることも可能となる。
最後に作動流体を、高圧冷媒、例えば二酸化炭素とした場合、特に動作圧力が高いため、オイル供給の際の差圧が大きくなり、膨張音が騒音となり易い。しかしながら、本発明のスクロール圧縮機によれば、差圧が小さくなり膨張音を抑えることができる。即ち、本発明の効果が顕著に現れ、高効率かつ高信頼性を実現するスクロール圧縮機を提供することができる。
以上のように、本発明にかかるスクロール圧縮機は、対となる圧縮室の吸入容積が異なる場合において、吸入容積の大きい圧縮室よりも、小さい圧縮室の方が圧力変化率が大きく、作動流体の漏れも多いことから、吸入容積の大きい圧縮室よりも、小さい圧縮室の方へオイルを多く供給することで、圧力変化率の大きい圧縮室の漏れ損失を低減することができ、高効率のスクロール圧縮機を実現することができる。そのために、作動流体を冷媒と限ることなく、空気スクロール圧縮機、真空ポンプ、スクロール型膨張機等のスクロール流体機械の用途にも適用できる。
4 シャフト
6 オイル
12 固定スクロール
12a 鏡板
12b 凹部
12c ラップ先端
12d 固定先端隙間
12e ラップ側鏡板面
13 旋回スクロール
13a 鏡板
13b 通路
13c ラップ先端
13d 旋回先端隙間
13e 背面
13f ラップ側鏡板面
13i ラップ内壁側
13o ラップ外壁側
14 自転拘束機構
15 圧縮室
15a 第1の圧縮室
15b 第2の圧縮室
20 貯油部
25 ポンプ
29 背圧室
30 高圧領域
50 給油経路
51 背圧室給油経路
51a 他方の開口端
51b 一方の開口端
52 圧縮室給油経路
52a 他方の開口端
52b 一方の開口端
53 第1の給油経路
54 第2の給油経路
55 圧縮室給油経路
55a 他方の開口端
55b 一方の開口端
55c 通路
56,57 間欠給油経路
56a,57a 他方の開口端
56b,57b 一方の開口端
56c,57c 通路
58,65 接続路
58a,59a 他方の開口端
58b,59b 一方の開口端
59 供給路
59c,67c 通路
65a,66a,67a 他方の開口端
65b,66b,67b 一方の開口端
66,67 供給路A
66d 段差
78 シール部材
83,84 ラップ先端給油経路
83a,84a,85a 他方の開口端
83b,84b,85b 一方の開口端
84c,85c 通路
84d,85d 油溝
85 供給路

Claims (30)

  1. 鏡板から渦巻き状のラップが立ち上がる固定スクロール及び旋回スクロールと、前記旋回スクロールを駆動するシャフトと、前記固定スクロールと前記旋回スクロールを噛み合わせて双方間に形成される圧縮室と、オイルを溜める貯油部とを備え、
    前記旋回スクロールのラップ外壁側に形成される第1の圧縮室の吸入容積が、前記旋回スクロールのラップ内壁側に形成される第2の圧縮室の吸入容積より大きいスクロール圧縮機であって、
    前記貯油部から、前記第1の圧縮室と前記第2の圧縮室に導く給油経路を設け、前記第2の圧縮室への総給油量を前記第1の圧縮室への総給油量より多くすることを特徴とするスクロール圧縮機。
  2. 前記固定スクロールのラップ先端と前記旋回スクロールのラップ側鏡板面の間に形成される固定先端隙間を、前記旋回スクロールのラップ先端と前記固定スクロールのラップ側鏡板面の間に形成される旋回先端隙間より小さくすることを特徴とする請求項1に記載のスクロール圧縮機。
  3. シャフトの一端にポンプを設け、前記ポンプの吸い込み口を前記貯油部内に設けることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のスクロール圧縮機。
  4. 前記第1の圧縮室の閉じ込み位置と前記第2の圧縮室の閉じ込み位置が略180度ずれていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載のスクロール圧縮機。
  5. 前記旋回スクロールの背面に高圧領域と背圧室を形成し、給油経路を複数設け、前記給油経路の一部もしくは全てが前記背圧室を経由することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載のスクロール圧縮機。
  6. 前記旋回スクロールの背面にシール部材を配置し、前記シール部材の内側を高圧領域、前記シール部材の外側を背圧室に区画し、前記給油経路のうち少なくとも1つは、前記高圧領域から前記背圧室への背圧室給油経路と、前記背圧室から第2の圧縮室への圧縮室給油経路から構成されることを特徴とする請求項5に記載のスクロール圧縮機。
  7. 前記背圧室給油経路の開口端が前記シール部材を往来していることを特徴とする請求項6に記載のスクロール圧縮機。
  8. 前記圧縮室給油経路を介して前記背圧室が連通する前記第2の圧縮室は、作動流体を閉じ込めた後の圧縮室であることを特徴とする請求項6または請求項7に記載のスクロール圧縮機。
  9. 前記圧縮室給油経路は、前記旋回スクロールの内部に形成された通路と、前記固定スクロールの前記ラップ側鏡板面に形成された凹部から構成され、前記通路の開口端が旋回運動にあわせて周期的に前記凹部に開口することで、前記背圧室と前記第2の圧縮室が間欠的に連通することを特徴とする請求項6から請求項8のいずれかに記載のスクロール圧縮機。
  10. 前記貯油部から前記第1の圧縮室及び前記第2の圧縮室へ導く前記給油経路を、それぞれ第1の給油経路、第2の給油経路とし、前記第2の給油経路を前記第1の給油経路に対し同数以上設けることを特徴とする請求項1から請求項9のいずれかに記載のスクロール圧縮機。
  11. 前記給油経路のうち少なくとも1つを、間欠的連通を行う間欠給油経路とすることを特徴とする請求項1に記載のスクロール圧縮機。
  12. 前記間欠給油経路のうち少なくとも1つが、作動流体を閉じ込める前の前記圧縮室に開口端を開口することを特徴とする請求項11に記載のスクロール圧縮機。
  13. 前記旋回スクロールの背面に高圧領域と背圧室を形成し、前記間欠給油経路のうち少なくとも1つが、前記高圧領域と連通することを特徴とする請求項11または請求項12に記載のスクロール圧縮機。
  14. 前記旋回スクロールの背面に高圧領域と背圧室を形成し、前記間欠給油経路のうち少なくとも1つが、前記背圧室を経由することを特徴とする請求項11または請求項12に記載のスクロール圧縮機。
  15. 前記旋回スクロールの背面に高圧領域と背圧室を形成し、前記間欠給油経路のうち少なくとも1つが、前記高圧領域から前記背圧室を連通させる接続路と、前記背圧室と前記圧縮室とを連通させる供給路から構成されることを特徴とする請求項11または請求項12に記載のスクロール圧縮機。
  16. 前記接続路の開口端が、前記旋回スクロールの前記背面に設けられた前記高圧領域と前記背圧室を仕切るシール部材を往来することを特徴とする請求項請求項15に記載のスクロール圧縮機。
  17. 前記供給路が、作動流体を閉じ込めた後の前記圧縮室に連通することを特徴とする請求項15または請求項16に記載のスクロール圧縮機。
  18. 前記供給路が、前記第2の圧縮室に連通することを特徴とする請求項15から請求項17のいずれかに記載のスクロール圧縮機。
  19. 前記供給路は、前記旋回スクロールに形成された通路と、前記固定スクロールの前記ラップ側鏡板面に形成された凹部から構成され、前記通路の一方の開口端が旋回運動にあわせて周期的に前記凹部に開口することを特徴とする請求項15から請求項18のいずれかに記載のスクロール圧縮機。
  20. 前記間欠給油経路は、前記旋回スクロールに形成された通路と、前記固定スクロールの前記ラップ側鏡板面に形成された凹部から構成され、前記通路の一方の開口端が旋回運動にあわせて周期的に前記凹部に開口することを特徴とする請求項11から請求項19のいずれかに記載のスクロール圧縮機。
  21. 前記給油経路が、前記旋回スクロールの前記ラップ先端に給油を行うラップ先端給油経路と、前記第2の圧縮室に開口した給油量制御経路とを有することを特徴とする請求項1に記載のスクロール圧縮機。
  22. 前記ラップ先端給油経路が、前記旋回スクロールの内部を通る通路と前記旋回スクロールの前記ラップ先端に設けた油溝で構成されることを特徴とする請求項21に記載のスクロール圧縮機。
  23. 前記旋回スクロールの背面に高圧領域と背圧室を形成し、前記ラップ先端給油経路が前記高圧領域および前記背圧室を経由することを特徴とする請求項21または請求項22に記載のスクロール圧縮機。
  24. 前記旋回スクロールの背面に高圧領域と背圧室を形成し、前記ラップ先端給油経路が前記背圧室を経由せずに前記高圧領域のみを経由することを特徴とする請求項21または請求項22に記載のスクロール圧縮機。
  25. 前記ラップ先端給油経路のうち少なくとも1つが、作動流体を閉じ込める前の前記圧縮室へ給油を行う経路で構成されることを特徴とする請求項21から請求項24のいずれかに記載のスクロール圧縮機。
  26. 前記旋回スクロールの背面に高圧領域と背圧室を形成し、前記給油量制御経路のうち少なくとも1つが、前記高圧領域から前記背圧室へ給油を行う接続路と、前記背圧室と前記第2の圧縮室とを連通させる供給路Aで構成されることを特徴とする請求項21から請求項25のいずれかに記載のスクロール圧縮機。
  27. 前記接続路の開口端が、前記旋回スクロールの前記背面に設けられた前記高圧領域と前記背圧室を仕切るシール部材を往来することを特徴とする請求項26に記載のスクロール圧縮機。
  28. 前記供給路Aが、前記作動流体を閉じ込めた後の前記第2の圧縮室に連通することを特徴とする請求項26または請求項27に記載のスクロール圧縮機。
  29. 前記供給路Aが、前記旋回スクロールに形成された通路と、前記固定スクロールの前記ラップ側鏡板面に形成された凹部から構成され、前記通路の一方の開口端が旋回運動にあわせて周期的に前記凹部に開口することを特徴とする請求項26から請求項28のいずれかに記載のスクロール圧縮機。
  30. 前記作動流体として二酸化炭素を用いることを特徴とする請求項1から請求項29のいずれかに記載のスクロール圧縮機。
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