JP5428522B2 - スクロール圧縮機 - Google Patents

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本発明は、空気調和機やヒートポンプ式給湯機などに用いられるスクロール圧縮機に関するものである。
スクロール圧縮機は、鏡板から渦巻きラップが立ち上がる固定スクロールと旋回スクロールとを噛み合わせ、旋回スクロールを固定スクロールと主軸受部材との間に挟み込んで圧縮機構部を構成し、旋回スクロールをモーターなどの駆動機構により円軌道運動させる。これにより固定スクロールと旋回スクロールとの間で旋回スクロールのラップの内周側と外周側の両側で交互に形成される圧縮室が外周側から中央部に移動しながら小さくなるのを利用して、吸入パイプが通じた外周側の吸入室から低圧ガスを吸入して圧縮していき、所定圧以上になった高圧ガスを固定スクロールの中央部の吐出ポートから吐出する。
従来、この種のスクロール圧縮機は、圧縮途中行程での圧縮室間の漏れを抑えるため、旋回スクロールのラップの上面にオイルの給油孔を設け、この給油孔と片側の圧縮室のみと連通する連通路を設けている(例えば、特許文献1参照)。
図8(a)は、特許文献1に記載された従来のスクロール圧縮機の旋回スクロールの斜視図で、図8(b)は図8(a)の要部拡大図である。図8に示すように、旋回スクロール13のラップ13bの上面13dに給油孔80および連通路83を設けている。これにより、圧縮途中行程での圧縮室間の漏れを抑えながら給油することができるため、性能低下や信頼性の低下を抑えられる。
特開2007−192189号公報
しかしながら、前記従来の構成では、旋回スクロール13のラップ上面13dに設けられた給油孔80が、ラップ13bの外周巻き終り13eから360°以上内周側に設けられていた。そのため、圧縮がある程度進んだ途中行程の圧縮室近傍には給油されていたが、圧縮室が吸入室から低圧ガスを閉じ込む行程部分および圧縮開始直後の行程部分、すなわち吸入室に連通する外周側の圧縮室近傍には給油されていない。そのため、吸入室に連通する外周側の圧縮室近傍ではオイルによるシール効果が発揮されずに、低圧ガス閉じ込み行程で圧縮室から吸入室側への漏れが発生して能力が低下したり、圧縮開始行程で圧縮室間の漏れが発生して入力が増加したりするなど、いずれの場合も性能が低下するという課題を有していた。
特に、動作流体として、例えば、二酸化炭素などの高圧流体を用いた場合、圧縮開始直後から圧力が非常に高くなるため、上記従来の技術における構成では、漏れ、逆流による損失が特に大きくなり、性能が大きく低下するという課題があった。
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、内周側の圧縮途中の圧縮室から外周側の吸入室又は低圧ガス閉じ込み行程の圧縮室への漏れ、および圧縮開始から終了までの行程における圧縮室間の漏れを抑えることにより、性能低下が起こることなく、信頼性の高い高効率なスクロール圧縮機を提供することを目的とする。
前記従来の課題を解決するために本発明は、旋回スクロールのラップ上面と固定スクロールのラップ溝底面との間のスラスト方向隙間が、内周側から外周側へと漸次増加するように、旋回スクロールのラップ上面の外周巻き終わりから最大180°までの範囲内に、傾斜を設け、かつ、ラップ上面の傾斜面に開口する給油孔を形成したものである。
これによって、旋回スクロールのラップの内側と外側との両側に形成される圧縮室において、吸入室から低圧ガスを閉じ込む行程部分近傍にオイルが適量供給されるため、外周側の圧縮室のシール性を向上でき、漏れ損失低減および摺動損失低減を図ることができる。
本発明によるスクロール圧縮機は、圧力が高い動作流体を用いたような場合でも、漏れ損失および摺動損失を低く抑えることができ、性能低下が起こることなく、高効率および高信頼性を実現することができる。
本発明の実施の形態1におけるスクロール圧縮機の縦断面図 本発明の実施の形態1におけるスクロール圧縮機の圧縮機構部の縦断面図 (a)本発明の実施の形態1におけるスクロール圧縮機の圧縮機構部の横断面図(b)図3(a)のX−X要部断面図 本発明の実施の形態2におけるスクロール圧縮機の圧縮機構部の縦断面図 (a)本発明の実施の形態2におけるスクロール圧縮機の圧縮機構部の横断面図(b)図5(a)のY−Y要部断面図 本発明の実施の形態3におけるスクロール圧縮機の旋回スクロールの縦断面図 本発明の実施の形態4におけるスクロール圧縮機の旋回スクロールの縦断面図 (a)従来のスクロール圧縮機の旋回スクロールの斜視図(b)同旋回スクロールの要部拡大図
第1の発明のスクロール圧縮機は、鏡板から渦巻きラップが立ち上がる固定スクロールと旋回スクロールとを噛み合せて、旋回スクロールを自転の規制のもとに円軌道に沿って旋回させたときに容積を変えながら移動することで、吸入、圧縮、吐出を行う双方向に形成される圧縮室と、オイルを溜める貯油部とを備えたスクロール圧縮機において、旋回スクロールのラップ上面と固定スクロールのラップ溝底面との間のスラスト方向隙間が、円周方向に沿って内周側から外周側へと漸次増加するように、旋回スクロールのラップ上面の外周巻き終わりから最大180°までの範囲内に、旋回スクロールのラップ高さが減少するように傾斜面を設け、かつ、ラップ上面の傾斜面に開口する給油孔を形成したものである。
これにより、旋回スクロールのラップ上面に形成した給油孔と固定スクロールのラップ溝底面との隙間を、旋回スクロールのラップ上面の傾斜の設定で容易に調整することができ、給油孔から供給されるオイルを、その隙間による絞り作用で必要最小限の適正量に調整して供給することができる。また、旋回スクロールと固定スクロールとで旋回スクロールのラップの内側と外側との両側に形成される圧縮室において、吸入室から低圧ガスを閉じ込む行程部分近傍に1つの給油孔で圧縮開始直後からほぼ均等に給油することができ、外周側の圧縮室のシール性の向上を図るとともに摺動損失を低く抑えることができる。
第2の発明は、特に第1の発明のスクロール圧縮機において、給油孔における旋回スクロールのラップ上面と固定スクロールのラップ溝底面との間のスラスト方向隙間を、旋回スクロールのラップ高さの0.1%以上1%以下としたものである。給油孔の開口部における旋回スクロールのラップ上面と固定スクロールのラップ溝底面との間のスラスト方向隙間を旋回スクロールのラップ高さの0.1%以上にすることにより、吸入室から低圧ガスを閉じ込む行程部分の圧縮室近傍に1つの給油孔から微小隙間を経由し、圧縮開始直後からほぼ均等に適量のオイルを供給してシール性の向上を図ることができ、高効率で高信頼性を有するスクロール圧縮機を実現できる。また、給油孔の開口部における旋回スクロールのラップ上面と固定スクロールのラップ溝底面との間のスラスト方向隙間を旋回スクロールのラップ高さの1%以下にすることにより、スラスト方向隙間からの給油過多による吸入加熱および粘性損失の増加を抑制して摺動損失を低く抑えることができ、高効率なスクロール圧縮機を実現できる。
第3の発明のスクロール圧縮機は、鏡板から渦巻きラップが立ち上がる固定スクロールと旋回スクロールとを噛み合せて、旋回スクロールを自転の規制のもとに円軌道に沿って旋回させたときに容積を変えながら移動することで、吸入、圧縮、吐出を行う双方向に形成される圧縮室と、オイルを溜める貯油部とを備えたスクロール圧縮機において、旋回スクロールのラップ上面と固定スクロールのラップ溝底面との間のスラスト方向隙間が、円周方向に沿って内周側から外周側へと増加するように固定スクロールのラップ溝底面の外周巻き終わりから最大180°までの範囲内に、固定スクロールのラップ溝高さが増加するように傾斜面を設け、かつ、固定スクロールのラップ溝底面の傾斜面に連通するように前記旋回スクロールのラップ上面に開口する給油孔を形成したものである。
これにより、旋回スクロールのラップ上面に形成した給油孔と固定スクロールのラップ溝底面との隙間を、固定スクロールのラップ溝底面の傾斜の設定で容易に調整することができ、給油孔から供給されるオイルを、そのスラスト方向隙間による絞り作用で必要最小限の適正量のオイルを調整して供給することができる。また、旋回スクロールのラップの内側と外側との両側に形成される圧縮室において、吸入室から低圧ガスを閉じ込む行程部分近傍に1つの給油孔で圧縮開始直後からほぼ均等に給油することができ、外周側の圧縮室のシール性の向上を図るとともに摺動損失を低く抑えることができる。
第4の発明は、特に第2の発明のスクロール圧縮機において、給油孔における旋回スクロールのラップ上面と固定スクロールのラップ溝底面との間のスラスト方向隙間を、固定スクロールのラップ溝深さの0.1%以上1%以下としたものである。給油孔の開口部における旋回スクロールのラップ上面と固定スクロールのラップ溝底面との間のスラスト方向隙間を固定スクロールのラップ溝深さの0.1%以上にすることにより、吸入室から低圧ガスを閉じ込む行程部分の圧縮室近傍に1つの給油孔から微小隙間を経由し、圧縮開始直後からほぼ均等に適量のオイルを供給してシール性の向上を図ることができ、高効率で高信頼性を有するスクロール圧縮機を実現できる。また、給油孔の開口部における旋回スクロールのラップ上面と固定スクロールのラップ溝底面との間のスラスト方向隙間を固定スクロールのラップ溝深さの1%以下にすることにより、スラスト方向隙間からの給油過多による吸入加熱および粘性損失の増加を抑制して摺動損失を低く抑えることができ、高効率なスクロール圧縮機を実現できる。
第5の発明は、特に第1〜第4のうちいずれか1つの発明のスクロール圧縮機において、給油孔の孔径を旋回スクロールのラップ厚みの20%以上70%以下としたものである。給油孔の孔径を旋回スクロールのラップ厚みの20%以上にすることにより、吸入室から低圧ガスを閉じ込む行程部分の圧縮室近傍に1つの給油孔で圧縮開始直後からほぼ均等により適量のオイルを供給することができ、シール性の向上を図ることができ、高効率で
高信頼性を有するスクロール圧縮機を実現できる。また、給油孔の孔径を旋回スクロールのラップ厚みの70%以下とすることにより、給油過多による吸入加熱および粘性損失の増加を抑制して摺動損失を低く抑えることができ、高効率なスクロール圧縮機を実現できる。
第6の発明は、特に第1〜第5のうちいずれか1つの発明のスクロール圧縮機において、給油孔と貯油部とを連通する給油経路の一部を絞り効果を持つ細孔としたものである。これにより、給油孔と貯油部とを連通する給油経路の細孔の絞り効果で、吸入室から低圧ガスを閉じ込む行程部分の圧縮室近傍に圧縮開始直後からほぼ均等により適量のオイルを供給することができ、シール性の向上を図るとともに摺動損失を低く抑えることができ、高効率で高信頼性を有するスクロール圧縮機を実現できる。
第7の発明は、特に第1〜第6のうちいずれか1つの発明のスクロール圧縮機において、作動流体を、二酸化炭素などの高圧冷媒としたものである。例えば二酸化炭素冷媒を使用する場合、圧縮機の吐出圧力と吸入圧力との圧力差は、フロンを冷媒とする従来の冷凍サイクルの圧力差の約7倍〜10倍以上高い。そのため、圧縮室間の漏れ損失が大きく、また、多量のオイルが給油孔から吸入室へ流入しやすいが、本発明により、吐出圧力と吸入圧力との圧力差が大きな場合でも適量のオイルを供給して圧縮室間の漏れ損失を低減することができ、高効率で高信頼性を有するスクロール圧縮機を実現できる。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明は限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1におけるスクロール圧縮機の縦断面図、図2は同スクロール圧縮機の圧縮機構部の縦断面図、図3(a)は同圧縮機構部の横断面図、図3(b)は図3(a)のX−X要部断面図である。なお、図2の断面図において、右半分は吐出ポート18と吸入室17を結ぶ断面を示し、左半分は吐出ポート18と給油孔80を結ぶ断面を示す。図のように構成されたスクロール圧縮機について、以下その動作、作用を説明する。
図1、図2に示すように、本発明のスクロール圧縮機は、密閉容器1内に溶接や焼き嵌めなどして固定したクランク軸4の主軸受部材11と、この主軸受部材11上にボルト止めした固定スクロール12との間に、固定スクロール12と噛み合う旋回スクロール13を挟み込んでスクロール式の圧縮機構部2を構成し、旋回スクロール13と主軸受部材11との間に旋回スクロール13の自転を防止して円軌道運動するように案内するオルダムリングなどによる自転規制機構14を設けて、クランク軸4の上端にある偏心軸部4aにて旋回スクロール13を偏心駆動することにより、旋回スクロール13を円軌道運動させる。これにより固定スクロール12と旋回スクロール13との間に形成している圧縮室15が外周側から中央部に移動しながら小さくなるのを利用して、密閉容器1外に通じた吸入パイプ16および固定スクロール12の外周部の圧縮を開始する前の吸入室17から低圧ガスを吸入して圧縮していき、所定圧以上になった高圧ガスは固定スクロール12の中央部の吐出ポート18からリード弁19を押し開いて密閉容器1内に吐出させることを繰り返す。
旋回スクロール13の背面部分には、主軸受部材11に配置されている摺動仕切り環78があり、旋回運動を行いながら摺動仕切り環78により、摺動仕切り環78の内側領域である高圧部30と、外側領域である高圧と低圧との中間圧に設定された背圧空間29とに仕切られている。また、固定スクロール12には、旋回スクロール13の背面の背圧空間29における圧力を適切に制御する背圧調整弁9を備えている。この背面の圧力付加に
より旋回スクロール13は固定スクロール12に安定的に押しつけられ、漏れを低減するとともに安定して円軌道運動を行うことができる。
圧縮機運転中は、クランク軸4の下向きの他端にはポンプ25が設けられ、スクロール圧縮機と同時に駆動される。これによりポンプ25は密閉容器1の底部に設けられた貯油部20にあるオイル6を吸い上げてクランク軸4内を通縦しているオイル供給穴26を通じて圧縮機構部2に供給する。このときの供給圧は、スクロール圧縮機の吐出圧力とほぼ同等であり、旋回スクロール13に対する背圧源ともなる。これにより、旋回スクロール13は固定スクロール12から離れたり片当たりしたりするようなことはなく、所定の圧縮機能を安定して発揮する。
このように供給されたオイル6の一部は、供給圧や自重によって、逃げ場を求めるようにして偏心軸部4aと旋回スクロール13との嵌合部、クランク軸4と主軸受部材11との間の軸受部66に進入してそれぞれの部分を潤滑した後落下し、貯油部20へ戻る。また、高圧部30に供給されたオイル6は、旋回スクロール13内部に設けられた連通路54によって旋回スクロール13の外周部まわりにあって自転規制機構14が位置している背圧空間29に進入し、固定スクロール12と旋回スクロール13との噛み合せによる摺動部および自転規制機構14の摺動部を潤滑するのに併せ、背圧空間29にて旋回スクロール13の背圧を印加する。
背圧空間29に進入するオイル6は、絞り57での絞り作用によって高圧部30と圧縮室15の低圧側との圧力の中間となる中間圧に設定される。背圧空間29は高圧部30の高圧側との間が環状仕切り環78によってシールされていて、進入してくるオイルが充満するにつれて圧力を増し、所定の圧力を超えると、背圧調整弁9が作用して圧縮室15の吸入部分に戻され進入する。
このオイル6の進入は所定の周期で繰り返され、この繰り返しのタイミングは吸入、圧縮、吐出の繰り返しサイクルと、絞り孔57による減圧設定と背圧調整機構9での圧力設定との関係の組み合わせによって決まり、固定スクロール12と旋回スクロール13のラップ13bとの摺動部への意図的な潤滑となる。この意図的な潤滑は前記したように背圧調整弁9による連絡路10の凹部105への開口によって常時保証される。吸入室17へと供給されたオイル6は旋回スクロール13の旋回運動とともに圧縮室15へと移動し、圧縮室15間の漏れ防止に役立っている。
さらに本実施の形態1では、図3(a),(b)に示すように、旋回スクロール13のラップ上面13dと固定スクロール12のラップ溝底面12cとの間のスラスト方向隙間S1が円周方向に沿って内周側から外周側へと漸次増加するように、旋回スクロールのラップ高さH1が減少する傾斜面61を旋回スクロール13のラップ上面13dの内周側点P1から外周巻き終り13eの範囲に設け、かつ、この傾斜面61の所定の位置に開口する給油孔80を形成している。また、この傾斜面61の存在範囲θ1は、旋回スクロール13の外周巻き終り13eから最大180°までとしている。なお、傾斜面61は図3(b)に示す内周側点P2のように、複数の傾斜面で形成されていても良い。
旋回スクロール内部に設けられた連通路54には、供給されるオイル6の一部を分岐させる給油経路81が設けられている。オイル6はこの給油経路81を通って旋回スクロール13のラップ上面13dに開口する給油孔80に到達し、旋回スクロール13のラップ上面13dのスラスト方向隙間S2を介して圧縮室15の吸入室17から低圧ガスを閉じ込む行程部分の圧縮室15a近傍へ給油される。
この構成により、旋回スクロール13のラップ上面13dの傾斜面61に形成した給油
孔80と固定スクロール12のラップ溝底面12cとの間のスラスト方向隙間S2を、旋回スクロール13のラップ上面13dの傾斜面61の設定で容易に調整することができ、給油孔80から供給されるオイルを、その微小なスラスト方向隙間S2による絞り作用で必要最小限の適正量のオイルを調整して供給することができる。また、旋回スクロール13のラップ13bの内側と外側との両側に形成される圧縮室15において、吸入室17から低圧ガスを閉じ込む行程部分の圧縮室15a近傍に、1つの給油孔80で圧縮開始直後からほぼ均等に給油することができ、外周側の圧縮室(15,15a)のシール性の向上を図って、内周側の圧縮途中の圧縮室15から外周側の吸入室17又は低圧ガス閉じ込み行程部分の圧縮室15aへの漏れ、および圧縮開始から終了までの行程における圧縮室15間の漏れを抑えるとともに、摺動損失を低く抑えることができる。
なお、傾斜面61の存在範囲θ1は、旋回スクロール13の外周巻き終わり13eから内周側点P1まで最大180°の範囲内であればよいが、好ましくは外周巻き終わり13eから内周側点P1まで45°ないし90°の範囲内であり、この範囲であれば供給されたオイルが低圧ガス閉じ込み行程部分の圧縮室15a近傍に充分に行き渡り、シール性向上の一層の効果を期待できる。
また、給油孔80における旋回スクロール13のラップ上面13dと固定スクロール12のラップ溝底面12cとの間のスラスト方向隙間S2が、旋回スクロール13のラップ高さH1の0.1%以上1%以下となるようにしている。給油孔80におけるスラスト方向隙間S2は、旋回スクロール13のラップ上面13dに設けられた傾斜面61の傾斜量と給油孔80の位置によって容易に設定することができる。
これにより、給油孔80におけるスラスト方向隙間S2を旋回スクロール13のラップ高さH1の0.1%以上にすることにより、吸入室17から低圧ガスを閉じ込む行程部分の圧縮室15a近傍に、1つの給油孔80から微小なスラスト方向隙間S2を経由し、圧縮開始直後からほぼ均等に適量のオイルを供給してシール性の向上を図ることができ、性能低下が起こることなく、高効率で高信頼性を有するスクロール圧縮機を実現できる。また、給油孔80位置におけるスラスト方向隙間S2を旋回スクロール13のラップ高さH1の1%以下にすることにより、給油過多による吸入加熱および粘性損失の増加を抑制して摺動損失を低く抑えることができ、性能低下が起こることなく、高効率なスクロール圧縮機を実現できる。
(実施の形態2)
図4は、本発明の実施の形態2におけるスクロール圧縮機の圧縮機構部の縦断面図、図5(a)は同圧縮機構部の横断面図、図5(b)は図5(a)のY−Y要部断面図である。なお、図4の断面図において、右半分は吐出ポート18と吸入室17を結ぶ断面を示し、左半分は吐出ポート18と給油孔80を結ぶ断面を示す。
図4、図5において、旋回スクロール13のラップ上面13dと固定スクロール12のラップ溝底面12cとの間のスラスト方向隙間S3が、円周方向に沿って内周側から外周側へと漸次増加するように、固定スクロール12のラップ溝高さH2が増加する傾斜面62を固定スクロール12のラップ溝底面12cの内周側点P3から外周巻き終わり12eの範囲に設け、かつ、この傾斜面62に対向する旋回スクロール13のラップ上面13dの所定の位置に開口する給油孔80を形成している。また、この傾斜面62の存在範囲θ2は、固定スクロール12のラップ溝底面12cの外周巻き終り12eから内周側点P3まで最大180°としている。
この構成により、旋回スクロール13のラップ上面13dに形成した給油孔80と固定スクロール12のラップ溝底面12cとのスラスト方向隙間S4を、固定スクロール12
のラップ溝底面12cの傾斜面62の設定で容易に調整することができ、給油孔80から供給されるオイルを、その微小なスラスト方向隙間S4による絞り作用で必要最小限の適正量のオイルを調整して供給することができる。また、旋回スクロール13のラップ13bの内側と外側との両側に形成される圧縮室15において、吸入室17から低圧ガスを閉じ込む行程部分の圧縮室15a近傍に、1つの給油孔80で圧縮開始直後からほぼ均等に給油することができ、外周側の圧縮室(15,15a)のシール性の向上を図るとともに摺動損失を低く抑えることができる。
なお、傾斜面62の存在範囲θ2は、固定スクロール12のラップ溝底面12cの外周巻き終わり12eから内周側点P3まで最大180°の範囲内であればよいが、好ましくは外周巻き終わり12eから内周側点P3まで45°ないし90°の範囲内であり、この範囲であれば供給されたオイルが吸入室17近傍も充分に行き渡り、シール性向上の一層の効果を期待できる。
また、給油孔80における旋回スクロール13のラップ上面13dと固定スクロール12のラップ溝底面12cとの間のスラスト方向隙間S4が、固定スクロール12のラップ溝深さH2の0.1%以上1%以下となるようにしている。給油孔80におけるスラスト方向隙間S4は、固定スクロール12のラップ溝底面12cに設けられた傾斜62の傾斜量と旋回スクロール13のラップ上面13dに設けられた給油孔80の位置によって容易に設定することができる。
これにより、給油孔80におけるスラスト方向隙間S4が、固定スクロール12のラップ溝深さH2の0.1%以上にすることにより、吸入室17から低圧ガスを閉じ込む行程部分の圧縮室15a近傍に、1つの給油孔80から微小なスラスト方向隙間S4を経由し、圧縮開始直後からほぼ均等に適量のオイルを供給してシール性の向上を図ることができ、高効率で高信頼性を有するスクロール圧縮機を実現できる。また、給油孔80位置におけるスラスト方向隙間S4を固定スクロール12のラップ溝深さH2の1%以下にすることにより、給油過多による吸入加熱および粘性損失の増加を抑制して摺動損失を低く抑えることができ、高効率なスクロール圧縮機を実現できる。
(実施の形態3)
図6は、本発明の実施の形態3におけるスクロール圧縮機の旋回スクロールの縦断面図である。給油孔80の孔径Rを旋回スクロール13のラップ厚みtの20%以上70%以下としている。
給油孔80の孔径Rを旋回スクロール13のラップ厚みtの20%以上にすることにより、吸入室17から低圧ガスを閉じ込む行程部分の圧縮室15a近傍に、1つの給油孔80からラップ上面13dにおけるラップ厚み方向の給油孔80とのシール部を経由し、圧縮開始直後からほぼ均等により適量のオイルを供給して圧縮室15のシール性の向上を図ることができ、高効率で高信頼性を有するスクロール圧縮機を実現できる。
また、給油孔80の孔径Rを旋回スクロール13のラップ厚みtの70%以下とすることにより、ラップ上面13dにおけるシール長不足での給油過多による吸入加熱および粘性損失の増加を抑制して摺動損失を低く抑えることができ、高効率なスクロール圧縮機を実現できる。
(実施の形態4)
図7は、本発明の実施の形態4におけるスクロール圧縮機の旋回スクロールの縦断面図である。給油孔80と貯油部20からオイルが供給される高圧部30とを連通する給油経路54の一部を絞り効果を持つ細孔82としている。
この構成により、給油経路54の細孔82の絞り効果で、吸入室17から低圧ガスを閉じ込む行程部分の圧縮室15a近傍に、圧縮開始直後からほぼ均等により適量のオイルを供給してシール性の向上を図るとともに摺動損失を低く抑えることができ、高効率で高信頼性を有するスクロール圧縮機を実現できる。
(実施の形態5)
本発明の実施の形態5は、実施の形態1〜4において、作動流体を高圧冷媒、例えば二酸化炭素としたものである。二酸化炭素冷媒を使用する場合、圧縮機の吐出圧力と吸入圧力との圧力差は、フロンを冷媒とする従来の冷凍サイクルの圧力差の約7倍〜10倍以上高い。そのため、圧縮室15間の漏れ損失が大きく、また、多量のオイルが給油孔80から吸入室17へ流入しやすいが、差圧が大きな場合でも適量のオイルを供給することができ、圧力が異なる複数の圧縮室15間の漏れ損失低減により高効率で高信頼性なスクロール圧縮機を実現できる。
以上のように、本発明にかかるスクロール圧縮機は、種々の運転条件下において高効率、高信頼性を実現することができ、作動流体を冷媒と限ることなく、空気スクロール圧縮機、真空ポンプ、スクロール型膨張機等のスクロール流体機械の用途にも適用できる。
2 圧縮機構部
6 オイル
11 主軸受部材
12 固定スクロール
12a 鏡板
12b ラップ
12c ラップ溝底面
12d ラップ上面
12e 外周巻き終り
13 旋回スクロール
13a 鏡板
13b ラップ
13c ラップ底面
13d ラップ上面
13e 外周巻き終り
14 自転規制機構
15 圧縮室
17 吸入室
29 背圧空間
30 高圧部
54 連通路
60 スラスト方向隙間
61 傾斜面
78 摺動仕切り環
80 給油孔
81 給油経路
82 細孔
H1 ラップ高さ
H2 ラップ溝高さ
P1,P2,P3 内周側点
R 給油孔の孔径
S1,S3 スラスト方向隙間
S2,S4 給油孔位置のスラスト方向隙間
T ラップ厚み

Claims (6)

  1. それぞれの鏡板から渦巻きラップが立ち上がる固定スクロールと旋回スクロールとを噛み合せて、前記旋回スクロールを自転の規制のもとに円軌道に沿って旋回させたときに容積を変えながら移動することで、吸入、圧縮、吐出を行う双方向に形成される圧縮室と、オイルを溜める貯油部とを備えたスクロール圧縮機において、
    前記旋回スクロールのラップ上面と前記固定スクロールのラップ溝底面との間のスラスト方向隙間が、円周方向に沿って内周側から外周側へと漸次増加するように、前記旋回スクロールのラップ上面の外周巻き終わりから最大180°までの範囲内に、前記旋回スクロールのラップ高さが減少するように傾斜面を設け、かつ、前記ラップ上面の傾斜面に開口する給油孔を形成したことを特徴とするスクロール圧縮機。
  2. 給油孔における旋回スクロールのラップ上面と固定スクロールのラップ溝底面との間のスラスト方向隙間を、旋回スクロールのラップ上面の傾斜面における最大ラップ高さの0.1%以上1%以下としたことを特徴とする請求項1記載のスクロール圧縮機。
  3. それぞれの鏡板から渦巻きラップが立ち上がる固定スクロールと旋回スクロールとを噛み合せて、前記旋回スクロールを自転の規制のもとに円軌道に沿って旋回させたときに容積を変えながら移動することで、吸入、圧縮、吐出を行う双方向に形成される圧縮室と、オイルを溜める貯油部とを備えたスクロール圧縮機において、
    前記旋回スクロールのラップ上面と前記固定スクロールのラップ溝底面との間のスラスト方向隙間が、円周方向に沿って内周側から外周側へと増加するように前記固定スクロールのラップ溝底面の外周巻き終わりから最大180°までの範囲内に、前記固定スクロールのラップ溝高さが増加するように傾斜面を設け、かつ、前記固定スクロールのラップ溝底面の傾斜面に対向する位置に前記旋回スクロールのラップ上面に開口する給油孔を形成したことを特徴とするスクロール圧縮機。
  4. 給油孔における旋回スクロールのラップ上面と固定スクロールのラップ溝底面との間のスラスト方向隙間を、固定スクロールのラップ溝底面の傾斜面における最小ラップ溝深さの0.1%以上1%以下としたことを特徴とする請求項3記載のスクロール圧縮機。
  5. 給油孔の孔径を旋回スクロールのラップ厚みの20%以上70%以下としたことを特徴とする請求項1から4のうちいずれか一項記載のスクロール圧縮機。
  6. 給油孔と貯油部とを連通する給油経路の一部を絞り効果を持つ細孔としたことを特徴とする請求項1から5のうちいずれか一項記載のスクロール圧縮機。
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