JP2004225644A

JP2004225644A - スクロール圧縮機

Info

Publication number: JP2004225644A
Application number: JP2003015852A
Authority: JP
Inventors: Hirofumi Yoshida; 裕文吉田; Takashi Morimoto; 敬森本; Noboru Iida; 飯田　　登; Taisei Kobayakawa; 大成小早川; Akinori Fukuda; 昭徳福田
Original assignee: Matsushita Electric Industrial Co Ltd
Current assignee: Panasonic Holdings Corp
Priority date: 2003-01-24
Filing date: 2003-01-24
Publication date: 2004-08-12

Abstract

【課題】本発明は、チップシール背面部からの給油量と同等の給油量を、チップシールを廃止したスクロール部品で実現させることで、コストダウンと高効率化、信頼性向上を図ることを目的とする。
【解決手段】旋回スクロール部品４のラップ１８に高圧オイルの通る鏡板横穴１７に連通する給油孔１９を設け、さらにラップ上面２０に溝２３を設けることで、圧縮室５内への給油量を適度な量に増加させることができ、圧縮室５間のシール性向上による圧縮効率向上と潤滑性良化による信頼性向上が可能となる。
【選択図】図１

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、空調機、冷凍機等に使用されるスクロール圧縮機に関するものである。
【０００２】
【従来の技術】
鏡板上に渦巻きラップを形成した固定スクロール部品と旋回スクロール部品をかみ合わせ複数の圧縮室を形成し、旋回スクロール部品背面に一定圧を印加することで両スクロール部品の鏡板部を接触させ、旋回スクロール部品に偏心部を有するクランクシャフトを連結させ、オルダムリングを用いて自転を防止し旋回運動をさせることで、中心に向かって容積を減少させながら圧縮を行なっていくスクロール圧縮機において、固定スクロール部品と旋回スクロール部品は、運転中は常に接触摺動しているため、その接触面で摩擦が生じ、摺動損失となって駆動力増大の原因となっている。また、その摩擦によるカジリ、焼き付き等の信頼性悪化の原因ともなっている。
【０００３】
これに関する特開平６−２８８３６１を、図６を用いて説明する。固定スクロール部品１０１および旋回スクロール部品１０２のラップ上面部にチップシール１２１、１２２を装着し各チップシール１２１，１２２の背面部に潤滑油１０８を供給させるチップシール溝１０１ｃ、１０２ｃを設けることにより、圧縮室内の給油量が増加し、シール性能および潤滑性能が向上する。
【０００４】
【特許文献１】
特開平６−２８８３６１号公報（第１−１４頁、図１）
【０００５】
【発明が解決しようとする課題】
従来の技術ではチップシール自体の浮上性が悪く固定スクロールまたは旋回スクロールの鏡板部とのシール性が不十分である場合、チップシール溝を設けることによって圧縮室内への給油量が増加してもそれがシール性能向上に直結しない。また、チップシールを使用することによるコストアップも発生してしまう。
【０００６】
本発明は、チップシールを廃止することによるコストダウンを可能とするとともに、給油孔およびラップ上面溝を設けることにより、チップシールおよびチップシール溝を設けていたときとほぼ同等の給油量を確保することのできるスクロール圧縮機の提供を目的としたものである。
【０００７】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために請求項１記載の本発明は、旋回スクロール部品のラップに高圧オイルの給油孔を設けるものである。
【０００８】
請求項２記載の本発明は、請求項１記載の発明において、ラップ上面の給油孔開口部にラップを横切る径方向溝を設けたものである。
【０００９】
請求項３記載の本発明は、請求項１記載の発明において、ラップ上面の給油孔開口部を含み、ラップインボリュート方向に周方向溝を設けたものである。
【００１０】
請求項４記載の本発明は、請求項１記載の発明において、給油孔を旋回スクロール鏡板部に設けたものである。
【００１１】
請求項５記載の本発明は、請求項１乃至４のいずれか記載の発明において、給油孔および溝を固定スクロールのラップ上面または鏡板部に設けたものである。
【００１２】
【発明の実施の形態】
以下本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【００１３】
（実施の形態１）
図１は本発明の実施の形態１におけるスクロール圧縮機断面図である。吸入管１より吸い込まれた冷媒ガスは、固定スクロール部品２の吸入室３を経て、旋回スクロール部品４とかみ合わさってできる圧縮室５に閉じ込められ、中心に向かって容積を減少させながら圧縮され、吐出ポート６より吐出される。潤滑油はトロコイドポンプ７によって吸い上げられ、クランクシャフト８の内部の穴９を通り旋回スクロール部品の偏心軸受け内部空間１０へと導かれる。ここから、オイル流路は二手に分岐する。一方は旋回スクロール部品４の鏡板背面に設けられた絞り部１１を経由して固定スクロール部品２と軸受１２に囲まれて形成される背圧室１３へと導かれる。この背圧室１３は高低圧の中間の圧力となっており、背圧調整機構１４によりこの中間圧を一定圧となるよう制御する。背圧調整機構１４は、背圧室１３から固定スクロール部品２の内部を通って吸入室３へと連通している通路１５に、バルブ１６を設けたもので、背圧室１３の圧力が設定圧力より高くなるとバルブ１６が開き、背圧室１３のオイルが吸入室３へと供給され、背圧室内を一定の中間圧に維持している。また吸入室３へと供給されたオイルは旋回運動とともに圧縮室５へと移動し、圧縮室間の漏れ防止に役立っている。もう一方のオイル流路は旋回スクロール部品４の鏡板に空けられた横穴１７からラップ１８の高さ方向に設けられた給油孔１９へと導かれ、直接圧縮室５に給油される。
【００１４】
この給油孔１９を設けることにより、従来のチップシールおよびチップシール溝を設けた仕様とほぼ同等の給油量を確保することができるため、チップシール廃止が可能となりコストダウンができる。また、同時に圧縮室内の給油量が確保されているためにラップ上面２０、側面２１、鏡板面２２の摺動による摩耗、カジリ、焼き付き等を防止することができる。さらには、圧縮室５内のオイルによるシール性が向上し、圧縮効率向上による高効率化を図ることもできる。この給油孔１９の直径は加工性の面から旋回スクロール部品４のラップ１８の厚みに対して約１／３が望ましい。また、冷媒の吸入から吐出までの間の給油が必要な位置に自由に給油孔１９を設けることができるが、給油量を多めに設定するためには差圧の大きい吸入寄りに設ける必要がある。
【００１５】
（実施の形態２）
図２は、本発明の実施の形態２における旋回スクロール部品の平面図および斜視図である。図２において、旋回スクロール部品４２のラップ１８２に設けられた給油孔１９２のラップ上面開口部に、ラップ厚み方向に径方向溝２３を設ける。この径方向溝２３の幅は給油孔１９２の直径の約１〜３倍が望ましい。また、この径方向溝２３の深さは給油量を多くする必要があれば深くすることができ給油量の最適化が可能であるが、深すぎると圧縮室間の冷媒漏れが多くなり圧縮効率を低下させてしまうため、適度な深さに設定する必要がある。
【００１６】
（実施の形態３）
図３は、本発明の実施の形態３における旋回スクロール部品の平面図および斜視図である。図３において、旋回スクロール部品４３のラップ１８３上面に、給油孔１９３を含んだインボリュート方向の周方向溝２４を設ける。この周方向溝２４の幅は大きすぎると圧縮室間の冷媒漏れが発生し、小さすぎるとインボリュート方向のオイル流動が悪化するため給油孔１９３の直径とほぼ同等が望ましい。また、この周方向溝２４の深さは大きすぎると加工時のスプリングバックによってラップ１８３の側面形状が悪化し、小さすぎるとインボリュート方向のオイル流動が悪化するため適度な深さに設定する必要がある。さらに、周方向溝２４の全長を小さくすることによって加工タクト短縮によるコストダウンが可能であり、実施の形態２で説明した径方向溝２３を同時に設けることにより給油量を更に増加させることもできる。
【００１７】
（実施の形態４）
図４は、本発明の実施の形態４における旋回スクロール部品の平面図および断面図である。図４において、旋回スクロール部品４４の鏡板２５に給油孔１９４を設け、鏡板２５の横穴１７と連通させる。給油孔１９４の位置が吸入に近いほど、直径が大きいほど、数が多いほど給油量は増加するが、多すぎると吸入加熱による能力低下と粘性損失による入力増加が生じるため適度に設定する必要がある。
【００１８】
（実施の形態５）
図５は、本発明の実施の形態５における固定スクロール部品の平面図である。図５において、固定スクロール部品２に給油孔１９５および径方向溝２３５を設ける。また、図示していないが、さらに実施の形態３で旋回スクロールラップに設けたのと同様な周方向溝を固定スクロールラップに設けても良い。旋回スクロール部品に設けたときと同様に給油孔および径方向溝または周方向溝の大きさ、位置、数等を最適に設定する必要がある。
【００１９】
【発明の効果】
以上のように、請求項１記載の発明は、旋回スクロール部品のラップに鏡板の横穴と連通する給油孔を設けるもので、この構成によれば、従来のチップシールおよびチップシール溝を設けた仕様とほぼ同等の給油量を確保することができるため、チップシール廃止が可能となりコストダウンができる。また、同時に圧縮室内の給油量が確保されているためにラップ上面、側面、鏡板面の摺動による摩耗、カジリ、焼き付き等を防止することができる。さらには、圧縮室内のオイルによるシール性が向上し、圧縮効率向上による高効率化を図ることもできる。
【００２０】
請求項２記載の発明は、請求項１記載の発明において、旋回スクロール部品のラップに設けられた給油孔のラップ上面開口部に、ラップ厚み方向に径方向溝を設けたもので、この構成によれば、圧縮室内への給油量を径方向溝の深さで調整することができ、性能および信頼性を両立する最適な給油量を実現することができる。
【００２１】
請求項３記載の発明は、請求項１記載の発明において、旋回スクロール部品のラップ上面に、給油孔を含んだインボリュート方向の周方向溝を設けたもので、この構成によれば、ラップインボリュート方向の全域に渡って均等に給油を行うことができる。また、請求項２記載の径方向溝と組み合わせることによって吸入から吐出までの必要な位置に必要な量のオイルを供給することができる。
【００２２】
請求項４記載の発明は、請求項１の発明において、旋回スクロール部品の鏡板に給油孔を設け、鏡板の横穴と連通させたもので、この構成によれば、給油孔が旋回スクロールの旋回運動によって旋回スクロールのラップ外壁側圧縮室およびラップ内壁側圧縮室の両方に開口するため、両圧縮室に均等に給油を行うことができる。また、給油孔の旋回スクロール半径方向位置を調整することによって両圧縮室の給油量分配比率を変更することができ、圧縮室内給油量の最適化を図ることができる。
【００２３】
請求項５記載の発明は、請求項１記載の発明において、固定スクロール部品に請求項１〜４記載の給油孔および径方向溝または周方向溝を設けたもので、この構成によれば、固定系に給油孔および溝を設けるため構成を簡易化することができ、コストダウンが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の実施例を示すスクロール圧縮機の断面図
【図２】本発明の他の実施例を示す旋回スクロール部品の平面図および斜視図
【図３】本発明のさらに他の実施例を示す旋回スクロール部品の平面図および斜視図
【図４】本発明のさらに他の実施例を示す旋回スクロール部品の平面図および断面図
【図５】本発明のさらに他の実施例を示す固定スクロール部品の平面図
【図６】従来例を示すスクロール圧縮機の断面図
【符号の説明】
１吸入管
２固定スクロール部品
３吸入室
４旋回スクロール部品
５圧縮室
６吐出ポート
７トロコイドポンプ
８クランクシャフト
９内部の穴
１０偏心軸受け内部空間
１１絞り部
１２軸受
１３背圧室
１４背圧調整機構
１５通路
１６バルブ
１７横穴
１８ラップ
１９給油孔
２０ラップ上面
２１ラップ側面
２２鏡板面
２３径方向溝
２４周方向溝
２５鏡板

Claims

鏡板上に渦巻きラップを形成した固定スクロール部品と旋回スクロール部品をかみ合わせ複数の圧縮室を形成し、前記旋回スクロール部品背面に一定圧を印加することで前記両スクロール部品の鏡板部を接触させ、かつ前記旋回スクロール部品背面に自転拘束部品を備えて、前記旋回スクロール部品の自転を防ぎ旋回運動をさせ、前記圧縮室の中心に向かって容積を減少させながら圧縮を行うとともに、前記両スクロール部品のラップ上面にシール材を施さないスクロール圧縮機であって、前記旋回スクロール部品のラップに吐出圧力に近い高圧オイルの給油孔を設けてなるスクロール圧縮機。
ラップ上面の給油孔開口部にラップを横切る径方向溝を設けてなる請求項１記載のスクロール圧縮機。
ラップ上面の給油孔開口部を含み、ラップ長手方向に周方向溝を設けてなる請求項１記載のスクロール圧縮機。
鏡板上に渦巻きラップを形成した固定スクロール部品と旋回スクロール部品をかみ合わせ複数の圧縮室を形成し、前記旋回スクロール部品背面に一定圧を印加することで前記両スクロール部品の鏡板部を接触させ、かつ前記旋回スクロール部品背面に自転拘束部品を備えて、前記旋回スクロール部品の自転を防ぎ旋回運動をさせ、前記圧縮室の中心に向かって容積を減少させながら圧縮を行うとともに、前記両スクロール部品のラップ上面にシール材を施さないスクロール圧縮機であって、前記旋回スクロール鏡板部に吐出圧力に近い高圧オイルの給油孔を設けてなるスクロール圧縮機。
給油孔および溝を前記固定スクロールのラップ上面または鏡板部に設けてなる請求項１乃至４いずれかに記載のスクロール圧縮機。