JP2010121577A - スクロール圧縮機 - Google Patents

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Sadayuki Yamada
定幸 山田
Atsushi Sakuta
作田  淳
Takashi Morimoto
敬 森本
Tatsuya Nakamoto
達也 中本
Hiroyuki Kono
博之 河野
Ryuichi Ono
竜一 大野
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Abstract

【課題】吸入室から冷媒ガスの閉じ込む行程および圧縮を開始する行程では給油されていないため、冷媒ガス閉じ込み行程で圧縮室から吸入室への漏れが発生するため能力が低下し、圧縮開始行程で圧縮室間の漏れが発生するため入力が増加するなど、いずれの場合も性能が低下する。
【解決手段】吸入室19と連通する旋回スクロール15のラップ15b巻き終わり部上面に設けた給油孔33と固定スクロール14のラップと旋回スクロール15のラップ15bにより形成される圧縮室34とを連通させる連通路35を設けることにより、給油量を確保しながら吸入室19と圧縮室34および圧縮開始から終了までの行程における圧縮室34間の漏れを抑えることができる。
【選択図】図1

Description

本発明は固定スクロールと旋回スクロールとを噛み合わせて双方間に圧縮室を形成し、旋回スクロールの円軌道運動により圧縮室が外周部から中心部に容積を小さくしながら移動するのを利用して流体の吸入、圧縮、吐出を繰り返し行うスクロール圧縮機に関するものである。
従来、この種のスクロール圧縮機は、圧縮途中行程での圧縮室間の漏れを抑えるため、旋回スクロールのラップの上面にオイルの給油孔を設け、この給油孔と片側の圧縮室のみと連通する連通路を設けている。(例えば、特許文献1参照)。
図8(a)、(b)は、特許文献1に記載された従来のスクロール圧縮機の旋回スクロールの斜視図を示すものである。図8に示すように、旋回スクロール1のラップ1aの上面に給油孔2および連通路3を設けている。これにより、圧縮途中行程での圧縮室間の漏れを抑えることができるため、性能低下や信頼性の低下を抑えられる。
特開2007−192189号公報
しかしながら、前記従来の構成では、圧縮途中行程の圧縮室には給油されていたが、吸入室から冷媒ガスの閉じ込む行程および圧縮を開始する行程では給油されていない。そのため、冷媒ガス閉じ込み行程で圧縮室から吸入室への漏れが発生するため能力が低下し、圧縮開始行程で圧縮室間の漏れが発生するため入力が増加するなど、いずれの場合も性能が低下するという課題を有していた。
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、吸入室と圧縮室および圧縮開始から終了までの行程における圧縮室間の漏れを抑えることにより、性能低下が起こることなく、信頼性の高い高効率なスクロール圧縮機を提供することを目的とする。
前記従来の課題を解決するために、本発明のスクロール圧縮機は、吸入室と連通する前記旋回スクロールのラップ巻き終わり部上面に設けた給油孔と前記固定スクロールのラップと前記旋回スクロールのラップにより形成される圧縮室とを連通させる連通路を設けたものである。
これによって、吸入室と圧縮室および圧縮開始から終了までの行程における圧縮室間の漏れを抑えることができる。
本発明のスクロール圧縮機は、吸入室と圧縮室および圧縮開始から終了までの行程における圧縮室間の漏れを抑えることができるため、性能低下や信頼性の低下を抑えられる。
第1の発明は、密閉容器内に、圧縮機構部と電動機とオイル溜まりを配し、前記圧縮機構部は、鏡板に渦巻状のラップを有する固定スクロールと、この固定スクロールのラップに対向して噛み合うラップを有する旋回スクロールと、この旋回スクロールを前記固定スクロールとにより挟む位置に設けられた主軸受部材と、前記旋回スクロールの鏡板に設け
られた旋回軸受部に嵌合し旋回スクロールを旋回運動させる旋回軸を有するクランクシャフトと、前記主軸受部材に設けられ前記クランクシャフトを軸支する主軸受部と、前記オイル溜まりのオイルを前記クランクシャフトに軸方向に貫通する給油通路を通じて前記旋回軸端の旋回軸受部空間に供給する給油機構を有し、前記旋回軸受部空間と前記旋回スクロールのラップ上面の給油孔とを連通する給油経路を前記旋回スクロール鏡板内に設けたスクロール圧縮機であって、吸入室と連通する前記旋回スクロールのラップ巻き終わり部上面に設けた給油孔と前記固定スクロールのラップと前記旋回スクロールのラップにより形成される圧縮室とを連通させる連通路を有することで、吸入室と圧縮室および圧縮開始から終了までの行程における圧縮室間の漏れを抑えることができるため、性能低下や信頼性の低下を抑えることができる。
第2の発明は、特に、第1の発明の固定スクロールのラップ内壁巻き終わり部が、旋回スクロールのラップ外壁巻き終わり部近傍まで延びており、その延長部は前記固定スクロールのラップ内壁に連続する曲線で構成され、旋回スクロールの内壁側および外壁側の両圧縮室が非対称となることを特徴とする第1の発明のスクロール圧縮機において、吸入室と連通する前記旋回スクロールのラップ巻き終わり部上面に設けた給油孔と、前記固定スクロールのラップと前記旋回スクロールのラップにより形成される圧縮室とを連通させる連通路を有することで、圧縮のタイミングが異なり圧力差が生じる非対称な圧縮室間の漏れを抑えることができるため、性能低下や信頼性の低下を抑えることができる。
第3の発明は、特に、第1または第2の発明の連通路を固定スクロールのラップ底面に有することで、任意の片側の圧縮室のみに給油することができ、また両側の圧縮室に任意の比率に分配して給油することもできるため、性能低下や信頼性の低下を抑えることができる。
第4の発明は、特に、第3の発明の連通路が旋回スクロールのラップ巻き終わり部上面に設けた給油孔と圧縮室とを間欠的に連通させることで、圧縮室への給油量を細かくコントロールすることができ、吸入過熱防止や粘性損失抑制などにより、性能低下や信頼性の低下を抑えることができる。
第5の発明は、特に、第1または第2の発明の連通路を旋回スクロールのラップ上面に有することで、適切な量を任意の片側の圧縮室のみに給油することができるため、性能低下や信頼性の低下を抑えることができる。
第6の発明は、特に、第1から第5のいずれか1つの発明の旋回スクロールのラップ巻き終わり部上面に設けた給油孔および連通路を複数個有することで、圧縮室への給油量を細かくコントロールすることができ、適切な量を片側もしくは両側の圧縮室に給油することができるため、性能低下や信頼性の低下を抑えることができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1は、本発明の第1の実施の形態におけるスクロール圧縮機の縦断面図を示すものである。また、図2は、本発明の第1の実施の形態における旋回スクロールの斜視図であり、図3は、本発明の第1の実施の形態における固定スクロールの斜視図である。
図1、図2、図3において、密閉容器11内に溶接や焼き嵌めなどで固定した、クランクシャフト12の主軸受部材13と、この主軸受部材13上にボルト止めした固定スクロール14との間に、固定スクロール14と噛み合う旋回スクロール15を挟み込んでスク
ロール式の圧縮機構16を構成し、旋回スクロール15と主軸受部材13との間に旋回スクロール15の自転を防止して円軌道運動するように案内するオルダムリングなどによる自転防止機構17を設け、クランクシャフト12の上端にある旋回軸部12aを旋回スクロール15に設けた旋回軸受18に嵌合させている。固定スクロール14の外周部には冷媒ガスを吸入するための吸入室19が設けられ、密閉容器11外に通じた吸入パイプ20が嵌合されている。
クランクシャフト12の下端は密閉容器11の下部のオイル溜まり21に達して、密閉容器11内に溶接や焼き嵌めして固定された副軸受部材22により安定に回転できるように軸支されている。
電動機23は主軸受部材13と副軸受部材22との間に位置して、密閉容器11に溶接や焼き嵌めなどして固定された固定子23aと、クランクシャフト12の途中の外まわりに一体に結合された回転子23bとで構成され、回転子23bの上下端面の外周部分には、回転子23bおよびクランクシャフト12が安定して回転し、旋回スクロール15を安定して円軌道運動させるため、ピン24により止め付けられたバランスウェイト25a、25bが設けられている。
給油機構はクランクシャフト12の下端で駆動されるポンプ26によって構成され、オイル溜まり21内のオイルを供給するため、クランクシャフト12には軸方向に貫通している給油通路27を形成している。
旋回スクロール15外周部には背圧室28が固定スクロール14と主軸受部材13により形成され、旋回軸部12aと旋回スクロール15の間に形成される旋回軸受部空間29から半径方向に背圧室28まで貫通した給油経路30が旋回スクロール15の鏡板15a内に設けられている。
旋回スクロール15の鏡板15aの主軸受部材13側は主軸受部材13に配設した断面が矩形のシール材31により仕切られており、内側は高圧、外側は背圧室28となり背圧制御機構32により吸入圧と吐出圧の中間圧となっている。
吸入室19と連通する旋回スクロール15のラップ15b巻き終わり部の上面には、給油経路30に連通する給油孔33が設けられ、固定スクロール14のラップ底面には給油孔33と圧縮室34とを連通する連通路35が設けられている。
以上のように構成されたスクロール圧縮機について、以下その動作、作用を説明する。
まず、電動機23によりクランクシャフト12が回転駆動されるに伴い、クランクシャフト12の上端にある旋回軸部12a偏心駆動することにより旋回スクロール15を円軌道運動させ、これにより固定スクロール14と旋回スクロール15との間に形成している圧縮室34が外周側から中央部に移動しながら小さくなるのを利用して、密閉容器11外に通じた吸入パイプ20および固定スクロール14の外周部の吸入室19から冷媒ガスを吸入して圧縮していき、所定圧以上になった冷媒ガスは固定スクロール14の中央部の吐出口36からリード弁37を押し開いて容器内吐出室38に吐出させることを繰り返す。
吐出された冷媒ガスは、圧縮機構部16を貫通する吐出ガス通路39を通り回転子23b上部に到達し、回転子23bに貫通している回転子ガス通路40を通って密閉容器11の下部に導かれ、固定子23a外周に配した固定子ガス通路41、圧縮機構部16外周に配した圧縮機構部切り欠き42を通って密閉容器11の上部に到達し、吐出管43から密閉容器11外へ吐出される。
また、オイル溜まり21内のオイルはポンプ26によりクランクシャフト12を軸方向に貫通している給油通路27通じて旋回軸受部空間29に供給される。供給されたオイルは3系統に分岐され、1系統は旋回軸受18と旋回軸部12aを潤滑し、主軸部12bと主軸受44を潤滑した後、主軸受部材13の下に滴下し、最終的にオイル溜まり21に回収される。
もう1系統は、旋回軸受部空間29と背圧室28との差圧により給油経路30を通って背圧室28に導かれる。背圧室28に導かれたオイルは背圧制御機構32を通って圧縮室34に供給される。さらに、もう1系統は給油経路30から分岐し、吸入室19と連通する旋回スクロール15のラップ15b巻き終わり部の上面の給油孔33と連通路35を通って圧縮室34に給油される。
以上のように本実施の形態においては、吸入室19と連通する旋回スクロール15のラップ15b巻き終わり部の上面に給油経路30に連通する給油孔33が設けられ、固定スクロール14のラップ底面に給油孔33と圧縮室34とを連通する連通路35を設けることで、オイルは給油孔33と連通路35を通って圧縮室34に供給される。これにより、吸入室19と圧縮室34および圧縮開始から終了までの行程における圧縮室34間の漏れを抑えることができるため、性能低下や信頼性の低下を抑えることができる。
また、本実施の形態で、固定スクロール14のラップ内壁巻き終わり部が、旋回スクロール15のラップ外壁巻き終わり部近傍まで延びており、その延長部は固定スクロール14のラップ内壁に連続する曲線で構成され、旋回スクロール15の内壁側および外壁側の両圧縮室が非対称となるスクロール圧縮機であって、吸入室19と連通する旋回スクロール15のラップ15bの上面に給油経路30に連通する給油孔33が設けられ、給油孔33と圧縮室34とを連通する連通路35を設けることで、オイルは給油孔33と連通路35を通って圧縮室34に供給される。圧縮のタイミングが異なり圧力差が生じる非対称な圧縮室34間の漏れを抑えることができるため、性能低下や信頼性の低下を抑えることができる。
また、図4(a)のように本実施の形態で固定スクロール14のラップ底面に設けた連通路35が給油孔33と連通しているときは、旋回軸受部空間29と圧縮室34との圧力差によりオイルは給油孔33と連通路35を通って圧縮室34に供給される。図4(b)のように連通路35が給油孔33と連通していないときは、オイルは供給されない。このように圧縮室34へのオイル供給を間欠的に行うことで、給油量を細かくコントロールすることができ、吸入過熱防止や粘性損失抑制などにより、性能低下や信頼性の低下を抑えることができる。
また、図5(a)、(b)のように本実施の形態において、連通路35を旋回スクロール15のラップ15bの上面に設けることで、オイルは給油孔33と連通路35を通って片側の圧縮室34に供給される。これにより、適切な量を任意の片側の圧縮室のみに給油することができるため、性能低下や信頼性の低下を抑えることができる。
また、図6、図7のように本実施の形態において、給油孔33および連通路35を複数個設けることで、給油量を細かくコントロールすることができ、適切な量を片側もしくは両側の圧縮室34に給油することができるため、性能低下や信頼性の低下を抑えることができる。
以上のように、本発明にかかるスクロール圧縮機は、給油量を確保しながら吸入室と圧
縮室および圧縮開始から終了までの行程における圧縮室間の漏れを抑えることができるため、性能低下や信頼性の低下を抑えることが可能となるので、高効率で信頼性の高いスクロール圧縮機を提供することができる。さらに、製品であるルームエアコン等の空調機やヒートポンプ式給湯機として、より省エネで環境に優しい快適な製品とすることが可能である。
本発明の実施の形態1におけるスクロール圧縮機の縦断面図 本発明の実施の形態1における旋回スクロールの斜視図 本発明の実施の形態1における固定スクロールの斜視図 本発明の実施の形態1における圧縮機構部の横断面図(a)給油孔と連通路が連通しているときの横断面図(b)給油孔と連通路が連通していないときの横断面図 本発明の実施の形態1における旋回スクロールを示し(a)斜視図(b)給油孔および連通路の詳細を示す要部拡大斜視図 本発明の実施の形態1における旋回スクロールの斜視図 本発明の実施の形態1における固定スクロールの斜視図 従来のスクロール圧縮機の旋回スクロールを示し(a)斜視図(b)給油孔および連通路の詳細を示す要部拡大斜視図
符号の説明
11 密閉容器
12 クランクシャフト
12a 旋回軸部
12b 主軸部
13 主軸受部材
14 固定スクロール
15 旋回スクロール
15a 鏡板
15b ラップ
16 圧縮機構
17 自転防止機構
18 旋回軸受
19 吸入室
20 吸入パイプ
21 オイル溜まり
22 副軸受部材
23 電動機
23a 固定子
23b 回転子
24 ピン
25a、25b バランスウェイト
26 ポンプ
27 給油通路
28 背圧室
29 旋回軸受部空間
30 給油経路
31 シール材
32 背圧制御機構
33 給油孔
34 圧縮室
35 連通路
36 吐出口
37 リード弁
38 容器内吐出室
39 吐出ガス通路
40 回転子ガス通路
41 固定子ガス通路
42 圧縮機構部切り欠き
43 吐出管
44 主軸受

Claims (6)

  1. 密閉容器内に、圧縮機構部と電動機とオイル溜まりを配し、前記圧縮機構部は、鏡板に渦巻状のラップを有する固定スクロールと、この固定スクロールのラップに対向して噛み合うラップを有する旋回スクロールと、この旋回スクロールを前記固定スクロールとにより挟む位置に設けられた主軸受部材と、前記旋回スクロールの鏡板に設けられた旋回軸受部に嵌合し旋回スクロールを旋回運動させる旋回軸を有するクランクシャフトと、前記主軸受部材に設けられ前記クランクシャフトを軸支する主軸受部と、前記オイル溜まりのオイルを前記クランクシャフトに軸方向に貫通する給油通路を通じて前記旋回軸端の旋回軸受部空間に供給する給油機構を有し、前記旋回軸受部空間と前記旋回スクロールのラップ上面の給油孔とを連通する給油経路を前記旋回スクロール鏡板内に設けたスクロール圧縮機であって、吸入室と連通する前記旋回スクロールのラップ巻き終わり部上面に設けた給油孔と前記固定スクロールのラップと前記旋回スクロールのラップにより形成される圧縮室とを連通させる連通路を有することを特徴とするスクロール圧縮機。
  2. 固定スクロールのラップ内壁巻き終わり部が、旋回スクロールのラップ外壁巻き終わり部近傍まで延びており、その延長部は前記固定スクロールのラップ内壁に連続する曲線で構成されることを特徴とする請求項1に記載のスクロール圧縮機。
  3. 連通路を固定スクロールのラップ底面に有することを特徴とする請求項1または2に記載のスクロール圧縮機。
  4. 連通路が、旋回スクロールのラップ巻き終わり部上面に設けた給油孔と圧縮室とを間欠的に連通させることを特徴とする請求項3に記載のスクロール圧縮機。
  5. 連通路を旋回スクロールのラップ上面に有することを特徴とする請求項1または2に記載のスクロール圧縮機。
  6. 旋回スクロールのラップ巻き終わり部上面に設けた給油孔および連通路を複数個有することを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載のスクロール圧縮機。
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