JP5341594B2 - 脂環式ポリエステルポリオールおよびその製造方法 - Google Patents

脂環式ポリエステルポリオールおよびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、ポリウレタンの原料となるポリエステルポリオール、およびその製造方法、およびこれにより得られたポリエステルポリオールを用いたポリウレタンの製造方法に関する。さらに詳しくは、本発明のポリエステルポリオールおよびその製造方法は、ウレタン化の反応においてゲル化を制御しうる技術に関する。
ポリウレタンは、塗料、接着剤、コーティング、エラストマー、人工皮革・合成皮革、発泡体、活性エネルギー線硬化樹脂などの分野で利用されており、用途の広い有用な樹脂である。
一般的に、ポリウレタンは、構成するポリオールの構造により様々な特性を持つことが知られている。例えば、ポリウレタンを構成するポリオールとしてポリエステルポリオールを用いた場合には、機械的強度や耐熱性に優れるポリウレタンが得られることが知られており、特に脂環骨格を持つポリエステルポリオールをポリウレタン原料として用いると、耐湿熱性など優れた耐久性を発現できるため有用性が高い(特許文献1参照)。また、シクロヘキサン構造およびアルキル側鎖を有するポリエステルポリオールはポリウレタン原料として用いると、柔軟性と機械的強度や耐熱性を両立させ得ることが示唆されている(特許文献2参照)。これらのポリエステルポリオールは、通常、二塩基酸と多価アルコールとのエステル化反応によって製造される。
特開平9−309939号公報 特開2004−099792号公報
本発明者らは、ポリウレタンの原料として有用な、脂環骨格およびアルキル側鎖を有するポリエステルポリオールとして、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸からなる二塩基酸成分と分子中にアルキル側鎖を有する多価アルコール成分とを構成成分として含むポリエステルポリオール(以下、本明細書中では単に脂環式ポリエステルポリオールと称する。)の製造を行うため、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸とアルキル側鎖を有する多価アルコールとのエステル化反応の検討を行った。しかしながら、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸を原料として使用した場合、生成した脂環式ポリエステルポリオールをウレタン化反応に附すと問題が生じることが判明した。すなわち、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸とアルキル側鎖を有する多価アルコールのエステル化反応により得られた脂環式ポリエステルポリオールをウレタン化する場合、反応時にゲル化を起こすという問題が認められた。また、ゲル化しやすいことから、安定した品質のポリウレタンを製造できず、製品化が困難であった。
本発明者らは詳細に検討した結果、ウレタン化工程におけるゲル化は脂環式ポリエステルポリオール中に微量含有されるアルカリ金属に起因すること、更に1,4−シクロヘキサンジカルボン酸とアルキル側鎖を有する多価アルコールのエステル化反応により得られた脂環式ポリエステルポリオール中に微量含有されるアルカリ金属は原料の1,4−シクロヘキサンジカルボン酸(市販されている1,4−シクロヘキサンジカルボン酸は、通常アルカリ金属を数10質量ppm程度含有している)に由来することを見出し、アルカリ金属含有量を低減した脂環式ポリエステルポリオールを用いることで上記課題を解決し、本発明を完成するに至った。
本発明の脂環式ポリエステルポリオールは、ウレタン化反応を行なう場合において、その反応性を制御することが可能であり、安定した品質のポリウレタンを製造できる。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の一形態によれば、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸からなる二塩基酸成分と、分子中にアルキル側鎖を有する多価アルコール成分とを構成成分として含む、アルカリ金属含有量が2質量ppm以下である、脂環式ポリエステルポリオールが提供される。
本発明の脂環式ポリエステルポリオールを構成する二塩基酸成分は、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸からなる。この1,4−シクロヘキサンジカルボン酸からなる二塩基酸成分は、原料として用いる1,4−シクロヘキサンジカルボン酸あるいはそのモノアルキルエステル、ジアルキルエステル由来である。
本発明の脂環式ポリエステルポリオールは1,4−シクロヘキサンジカルボン酸からなる二塩基酸成分以外の二塩基酸成分を含有することも可能である。1,4−シクロヘキサンジカルボン酸からなる二塩基酸成分以外の二塩基酸成分としては、一般的なポリエステルポリオールにおいて使用される二塩基酸成分を用いることができる。1,4−シクロヘキサンジカルボン酸からなる二塩基酸成分以外の二塩基酸成分の量は、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸からなる二塩基酸成分に対して、50mol%以下であれば特に制限はない。
一方、本発明の脂環式ポリエステルポリオールを構成する多価アルコール成分は、分子中にアルキル側鎖を有する多価アルコール由来である。アルキル側鎖としては特に制限はないが、炭素数が1〜5のものが好ましい。分子中のアルキル側鎖は1つでもよいが、2つ以上あっても差し支えない。主鎖の炭素数は3〜12のものが好ましい。これらの、分子中にアルキル側鎖を有する多価アルコールとしては、例えば、プロピレングリコール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、2−メチル−1,4−ブタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、3−メチル−1,7−オクタンジオール、2,7−ジメチル−1,8−オクタンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、2−メチル−1,9−ノナンジオール、2,8−ジメチル−1,9−ノナンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオールなどが挙げられる。入手性などを加味すると、プロピレングリコール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、3−メチル−1,7−オクタンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、2−メチル−1,9−ノナンジオールなどが好ましく、特に3−メチル−1,5−ペンタンジオールまたは2−メチル−1,3−プロパンジオールが好ましい。これらの多価アルコールは一種を単独で使用してもよいが、二種以上を併用してもよい。
本発明の脂環式ポリエステルポリオールは分子中にアルキル側鎖を有する多価アルコール以外の多価アルコール成分を含有することも可能である。分子中にアルキル側鎖を有する多価アルコール以外の多価アルコール成分としては、一般的なポリエステルポリオールにおいて使用される多価アルコール成分を用いることができる。分子中にアルキル側鎖を有する多価アルコール以外の多価アルコール成分の量は、アルキル側鎖を有する多価アルコールに対して、50mol%以下であれば特に制限はない。
本発明の脂環式ポリエステルポリオールの平均分子量について特に制限されないが、300〜4000が好ましく、350〜3500がさらに好ましく、450〜3000が特に好ましい。脂環式ポリエステルポリオールの平均分子量が300以上の場合、水酸基濃度が十分に希釈されており、ウレタン化の際にゲル化を起こしにくい。一方、脂環式ポリエステルポリオールの平均分子量が3000以下であれば、溶解させた状態の粘度が低く、ウレタン化の際の取り扱いが容易になる。なお、本発明において、平均分子量とは生成したポリエステルポリオールの水酸基価から算出される数平均分子量のことである。
本発明の脂環式ポリエステルポリオールは、融点が20℃以下であるのが好ましい。ポリエステルポリオールは、その構造や分子量により、固体状、ワックス状、液状などの形態になりうるが、溶解する手間や溶解に要するエネルギーを節約できる点から、液体の形態が取り扱いに優れている。
本発明の脂環式ポリエステルポリオールは、アルカリ金属の含有量が2質量ppm以下であり、1.5質量ppm以下が好ましく、1質量ppm以下がより好ましい。
本発明の脂環式ポリエステルポリオールはアルカリ金属含有量を2質量ppm以下とすれば、その製造方法については特に制限はない。ただし、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸のジアルキルエステルを原料として用いて、分子中にアルキル側鎖を有する多価アルコールとのエステル交換反応を行うことによる、本発明の他の形態により提供される脂環式ポリエステルポリオールの製造方法によれば、アルカリ金属含有量の少ない脂環式ポリエステルポリオールを容易に製造できる。
以下に、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸のジアルキルエステルと分子中にアルキル側鎖を有する多価アルコールとのエステル交換反応で用いる原料について説明する。
本反応で用いる1,4−シクロヘキサンジカルボン酸のジアルキルエステルとしては、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジメチル、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジエチル、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジプロピルなどが挙げられるが、工業的に入手しやすい1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジメチルを用いるのが好ましい。このとき、原料として用いる1,4−シクロヘキサンジカルボン酸のジアルキルエステル中のアルカリ金属含有量は、好ましくは2質量ppm以下であり、より好ましくは1.5質量ppm以下であり、さらに好ましくは1質量ppm以下である。
分子中にアルキル側鎖を有する多価アルコールとしては、前述したアルキル側鎖を有する多価アルコールを用いることができる。
本発明で得られる脂環式ポリエステルポリオールは、上記で原料として述べた、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸のジアルキルエステルとアルキル側鎖を有する多価アルコールをエステル交換反応させることで得られる。エステル交換反応としては、有機合成反応で一般的にエステル交換反応として用いられる方法を用いることができ、たとえば、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジメチルエステルとアルキル側鎖を有する多価アルコールを加熱縮合することで所望の脂環式ポリエステルポリオールを得ることができる。エステル交換反応の温度は、通常140〜240℃、好ましくは180〜220℃である。反応中は窒素やアルゴン等の不活性ガスを液中に通じておくことによって、ポリエステルポリオールの色相を良好に保つことができる。エステル交換反応は、反応に影響を与えない溶媒の存在下に行ってもよいが、通常は無溶媒で行う。
エステル交換反応は有機金属触媒下で行うことが好ましい。このとき、有機金属触媒としては、テトラブチルチタネート、テトライソプロピルチタネート、テトラ−2−エチルヘキシルチタネート、チタンアセチルアセトネートなどのチタン化合物、ジブチルスズオキサイド、メチルフェニルスズオキサイド、ヘキサエチルスズオキサイドなどのスズ化合物、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、マグネシウムアルコキサイドなどのマグネシウム化合物が好ましく、テトラブチルチタネート、テトライソプロピルチタネート、テトラ−2−エチルヘキシルチタネート、チタンアセチルアセトネートなどのチタン化合物がより好ましい。触媒の使用量に特に制限はないが、金属原子換算で多価アルコールに対して、通常、0.5〜500質量ppmの範囲であるのが好ましく、1〜100質量ppmの範囲であるのがより好ましく、2〜50質量ppmが特に好ましい。触媒の使用量が0.5質量ppm以上であれば、ポリエステルポリオールを速やかに形成することができ、時間の短縮により経済的に有利である。一方、触媒の使用量が500ppm質量以下であれば、反応後の触媒の除去や失活が容易である。
脂環式ポリエステルポリオールを製造する際に用いられる触媒は後のウレタン化反応でも触媒として作用することから、後のウレタン化反応の反応性を制御するために脂環式ポリエステルポリオールを製造した後に触媒の失活処理を行うのが望ましく、触媒を完全に失活させることが望ましい。触媒の失活方法は一般的なポリエステルポリオールの製造に用いられる触媒の失活方法を用いることができるが、たとえばチタンを触媒として用いた場合、水またはリン化合物を添加して触媒を失活させる方法や、水を添加して触媒を失活させた後にリン化合物を添加する方法などが挙げられ、チタン化合物の影響を十分に低減できる点で、水を添加して触媒を失活させた後にリン化合物を添加する方法が好ましい。
以下に、触媒としてチタン化合物を用いた場合の失活の方法を説明する。
触媒を失活させる際の、水を加えての加熱は、特に制限されないが、一般に70〜120℃の温度が好ましく、90〜120℃の温度が特に好ましい。この加熱処理時間は、特に限定されないが、通常約1〜3時間程度行うとよい。
添加するリン化合物としては、亜リン酸、リン酸、亜リン酸ジメチル、亜リン酸ジイソプロピル、亜リン酸ジ−n−ブチル、亜リン酸イソブチル、亜リン酸ジ−n−エチルヘキシル、亜リン酸ジラウリル、亜リン酸ジオレイル、亜リン酸ジステアリル、亜リン酸ジフェニル、亜リン酸モノメチル、亜リン酸モノエチル、リン酸ジメチル、リン酸ジエチル、リン酸ジイソプロピル、リン酸ジ−n−ブチル、リン酸イソブチル、リン酸ジ−n−エチルヘキシル、リン酸ジラウリル、リン酸ジオレイル、リン酸ジステアリル、リン酸ジフェニル、リン酸モノメチル、リン酸モノエチル等を挙げることができる。上記リン化合物のなかでも、亜リン酸、亜リン酸ジフェニル、亜リン酸ジステアリル、リン酸ジフェニルが好ましい。
リン化合物の添加量は、脂環式ポリエステルポリオール中に含まれるチタン触媒の量に対して、チタン触媒中のチタン原子:リン化合物中のリン原子=1:0.01〜2のモル比であるのが好ましい。
また、上記で製造した脂環式ポリエステルポリオールを、ポリウレタンの原料として使用する場合は、上記で製造した脂環式ポリエステルポリオールから水を除去して使用するのがよい。水の除去は、リン化合物の添加後に行うのが好ましいが、それに限定されず、水を加えて加熱処理した後にリン化合物を添加する前に行ってもよい。水の除去は、減圧下での加熱乾燥等の任意の方法により行うことができる。
以上のようにして、本発明の脂環式ポリエステルポリオールを得ることができる。
本発明の脂環式ポリエステルポリオールを用いてポリウレタンを製造する場合、一般的なポリエステルポリオールのウレタン化反応として用いられている方法を用いてウレタン化することができる。イソシアネートとしては、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート(以下、MDIと略称する。)、トリレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート(以下、IPDIと略称する。)、ヘキサメチレンジイソシアネート、水添MDIなどの慣用のイソシアネートを使用することができる。また、必要に応じて低分子ポリオールやポリアミン等の鎖伸長剤等を共に使用することができる。
本発明の脂環式ポリエステルポリオールの反応性は、たとえば、脂環式ポリエステルポリオールとMDIを50℃にて反応させ、その見かけの反応速度定数を測定することで評価できる。見かけの反応速度定数が大きいことはすなわち、脂環式ポリエステルポリオールとイソシアネートとの反応速度が速いことを意味するが、ウレタン化の反応は発熱反応であるため、反応速度が速すぎると系中が局所的に異常過熱され、副反応を併発し、場合によってはゲル化など望ましくない結果を生じることがある。したがって、安定的な品質のポリウレタンを得るためには、通常はMDIとの50℃における見かけの反応速度定数が0.01kg・mol−1・min−1以上、0.1kg・mol−1・min−1以下のものであることが好ましい。
以下に本発明を実施例等により具体的に説明するが、本発明はそれにより限定されない。
以下、実施例により本発明を更に詳しく説明するが、本発明はかかる実施例により何ら限定されるものではない。なお、以下の実施例および比較例における物性値の測定は、下記の方法により行なった。
[反応速度定数の測定方法1]
後述の実施例および比較例で得られた脂環式ポリエステルポリオール15mmolとMDI15mmolを、50℃のオイルバスにつけた三口フラスコ中、窒素下で30分間反応させ、系内のイソシアネート基の減少量を追跡して反応速度定数(kg・mol−1・min−1)を求めた。反応速度定数が高くなるにつれ、反応制御が困難になることを表す。
[反応速度定数の測定方法2]
後述の実施例および比較例で得られた脂環式ポリエステルポリオール15mmolとIPDI15mmolを、70℃のオイルバスにつけた三口フラスコ中、窒素下で30分間反応させ、系内のイソシアネート基の減少量を追跡して反応速度定数(kg・mol−1・min−1)を求めた。反応速度定数が高くなるにつれ、反応制御が困難になることを表す。なお、上記MDIとの反応に比べて、IPDIとの反応は速度定数が小さいため、MDIが測定不可能な場合の参考指標として測定した。
<実施例1>
電磁攪拌装置を備えた内容積2Lの反応容器に、3−メチル−1,5−ペンタンジオール530g(4.5mol)、ナトリウム原子含有量が0.4質量ppmの1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジメチルエステル660g(3.3mol)およびテトライソプロピルチタネート0.09g(0.3mmol)を入れ、常圧、窒素雰囲気下において徐々に180℃まで加熱し、副生するメタノールを系外に留去しながら、メタノールの留出が見られなくなるまで約6時間反応を行った。ついで、真空ポンプで徐々に減圧にして1mmHgで3−メチル−1,5−ペンタンジオールを留去した。
次に、水を18g(収量に対して2重量%相当)添加し、100℃に加熱して2時間攪拌してチタン触媒を失活させた。その後に、リン酸ジフェニルを0.06g添加して、減圧下で水を留去して平均分子量1980の脂環式ポリエステルポリオールを840g取得した。この脂環式ポリエステルポリオール中のチタン原子含有量は14質量ppm、リン原子含有量は7質量ppm、またナトリウム原子含有量は0.2質量ppmであった。また、得られた脂環式ポリエステルポリオールは液状であり、示差走査熱量計による分析では融点に起因するピークは認められなかった。
次に、得られた脂環式ポリエステルポリオールのMDIとの反応速度定数を前述した方法1により調べたところ、0.07kg・mol−1・min−1であった。さらに、脂環式ポリエステルポリオールのIPDIとの反応速度定数を前述した方法2により調べたところ、0.005kg・mol−1・min−1であった。
<実施例2>
電磁攪拌装置を備えた内容積2Lの反応容器に、3−メチル−1,5−ペンタンジオール315g(2.7mol)、ナトリウム原子含有量が0.9質量ppmの1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジメチルエステル450g(2.3mol)およびテトライソプロピルチタネート0.06g(0.2mmol)を入れ、常圧、窒素雰囲気下において徐々に180℃まで加熱し、副生するメタノールを系外に留去しながら、メタノールの留出が見られなくなるまで約10時間反応を行った。ついで、真空ポンプで徐々に減圧にして1mmHgで3−メチル−1,5−ペンタンジオールを留去した。
次に、水を18g(理論収量に対して3重量%)添加し、100℃に加熱して3時間攪拌してチタン触媒を失活させた。その後に、リン酸ジブチルを0.035g添加して、減圧下で水を留去して平均分子量2010の脂環式ポリエステルポリオールを520g取得した。この脂環式ポリエステルポリオール中のチタン原子含有量は12質量ppm、リン原子含有量は7質量ppm、またナトリウム原子含有量は検出限界以下(0.1質量ppm以下)であった。
次に、得られた脂環式ポリエステルポリオールのMDIとの反応速度定数を前述した方法1により調べたところ、0.08kg・mol−1・min−1であった。さらに、脂環式ポリエステルポリオールのIPDIとの反応速度定数を前述した方法2により調べたところ、0.009kg・mol−1・min−1であった。
<実施例3>
電磁攪拌装置を備えた内容積5Lの反応容器に、3−メチル−1,5−ペンタンジオール390g(3.3mol)、ナトリウム原子含有量が0.4質量ppmの1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジメチルエステル430g(2.2mol)およびテトライソプロピルチタネート0.04g(0.14mmol)を入れ、常圧、窒素雰囲気下において徐々に180℃まで加熱し、副生するメタノールを系外に留去しながら、メタノールの留出が見られなくなるまで約6時間反応を行った。ついで、真空ポンプで徐々に減圧にして1mmHgで3−メチル−1,5−ペンタンジオールを留去した。
次に、水を12g(理論収量に対して2重量%)添加し、100℃に加熱して2時間攪拌してチタン触媒を失活させた。その後に、リン酸ジフェニルを0.03g添加して、減圧下で水を留去して平均分子量990の脂環式ポリエステルポリオールを560g取得した。この脂環式ポリエステルポリオール中のチタン原子含有量は10質量ppm、リン原子含有量は6質量ppm、またナトリウム原子含有量は検出限界以下(0.1質量ppm以下)であった。
次に、得られた脂環式ポリエステルポリオールのMDIとの反応速度定数を前述した方法1により調べたところ、0.03kg・mol−1・min−1であった。
<実施例4>
実施例1において、ナトリウム原子含有量が1.4質量ppmの1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジメチルエステルを用いる以外は実施例1と同様の操作を行い、チタン原子含有量12質量ppm、リン原子含有量6質量ppm、ナトリウム原子含有量0.9質量ppmの平均分子量2020の脂環式ポリエステルポリオールを得た。
次に、得られた脂環式ポリエステルポリオールのMDIとの反応速度定数を前述した方法1により調べたところ、ゲル化は認められなかったが、0.10kg・mol−1・min−1と高めの値であった。
<実施例5>
実施例1において、3−メチル−1,5−ペンタンジオール530gの替わりに、2−メチル−1,3−プロパンジオール400g(4.4mol)を用いる以外は実施例1と同様の操作を行い、チタン原子含有量18質量ppm、リン原子含有量9質量ppm、ナトリウム原子含有量0.3質量ppmの平均分子量2004の脂環式ポリエステルポリオールを得た。
次に、得られた脂環式ポリエステルポリオールのMDIとの反応速度定数を前述した方法1により調べたところ、0.08kg・mol−1・min−1であった。
<実施例6>
実施例1において、3−メチル−1,5−ペンタンジオール530gの替わりに、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール460g(4.4mol)を用いる以外は実施例1と同様の操作を行い、チタン原子含有量16質量ppm、リン原子含有量9質量ppm、ナトリウム原子含有量0.2質量ppmの平均分子量2046の脂環式ポリエステルポリオールを得た。また、得られた脂環式ポリエステルポリオールの融点は52℃であった。
<比較例1>
実施例1において、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジメチルエステルに替えて、ナトリウム原子含有量が39質量ppmの1,4−シクロヘキサンジカルボン酸565g(3.3mol)を用い、メタノールの代わりに水を留去した以外は実施例1と同様の操作を行い、平均分子量が2029の脂環式ポリエステルポリオールを得た。この脂環式ポリエステルポリオール中のチタン原子含有量は12質量ppm、リン原子含有量は7質量ppm、またナトリウム原子含有量は5.3質量ppmであった。
次に、得られた脂環式ポリエステルポリオールのMDIとの反応速度定数を前述した方法1により調べたところ、反応開始直後から著しい内温上昇があり、ゲル化してしまい測定不能であった。さらに、脂環式ポリエステルポリオールのIPDIとの反応速度定数を前述した方法2により調べたところ、0.06kg・mol−1・min−1であった。この比較例から、アルカリ金属を含有する1,4−シクロヘキサンジカルボン酸を原料として用いた脂環式ポリエステルポリオールでは、イソシアネートとの反応速度が著しく高く、ゲル化を引き起こしやすいことが分かる。
<比較例2>
実施例1において、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジメチルエステルに替えて、ナトリウム原子含有量が39質量ppmの1,4−シクロヘキサンジカルボン酸565g(3.3mol)を用い、メタノールの代わりに水を留去し、さらにリン酸ジフェニルの添加量を0.08gとした以外は実施例1と同様の操作を行い、所望の脂環式ポリエステルポリオールを800g取得した。この脂環式ポリエステルポリオールは、平均分子量1996、チタン原子含有量15質量ppm、リン原子含有量10質量ppm、ナトリウム原子含有量7質量ppmであった。
次に、得られた脂環式ポリエステルポリオールのMDIとの反応速度定数を前述した方法1により調べたところ、0.13kg・mol−1・min−1であった。さらに、脂環式ポリエステルポリオールのIPDIとの反応速度定数を前述した方法2により調べたところ、0.02kg・mol−1・min−1であった。
この比較例から、リン酸ジフェニルの添加量を増加させても反応速度を十分には低減できないことが分かる。
<結果>
実施例で示されるように、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸のジアルキルエステルから製造した脂環式ポリエステルポリオールの場合、アルカリ金属のナトリウム原子含有量が2質量ppm以下である。さらに、前記脂環式ポリエステルポリオールはMDIとの反応速度定数が0.1kg・mol−1・min−1以下であり、ウレタン化を制御し、安定な品質のポリウレタンを製造できる。

Claims (5)

  1. 1,4−シクロヘキサンジカルボン酸からなる二塩基酸成分と、分子中にアルキル側鎖を有する多価アルコール成分とを構成成分として含む、アルカリ金属含有量が2質量ppm以下である、ポリエステルポリオール。
  2. 数平均分子量が300〜4000である、請求項1に記載のポリエステルポリオール。
  3. 融点が20℃以下である、請求項1または2に記載のポリエステルポリオール。
  4. 多価アルコール成分が3−メチル−1,5−ペンタンジオールまたは2−メチル−1,3−プロパンジオール由来である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリエステルポリオール。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載のポリエステルポリオールと、ポリイソシアネートとを反応させるポリウレタンの製造方法。

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