JP3731787B2 - ポリエステル - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規なポリエステル、より詳しくは、塗料、接着剤、ポリウレタンおよびポリアミドエラストマーやポリエステルエラストマー等の用途に適したポリエステルに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より塗料、接着剤、ポリウレタン等の分野において分子末端が水酸基であるポリエステルが使用されている。かかるポリエステルとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、グリセリン等の多価アルコールと多塩基酸またはその無水物あるいはそのエステル誘導体から得られるポリエステルが知られている。これらのポリエステルの中でも、多塩基酸として無水フタル酸、イソフタル酸およびテレフタル酸等の芳香族ジカルボン酸をアジピン酸等の脂肪族ジカルボン酸と併用し、2価あるいは3価以上の多価アルコールとエステル化反応させて得られる水酸基末端のポリエステルは塗料や接着剤等の分野で広く用いられている。
【0003】
また、アジピン酸等の脂肪族ジカルボン酸と2価あるいは3価以上の多価アルコールとをエステル化反応させて得られる水酸基末端のポリエステルは、2官能性以上のイソシアネート化合物と反応させることによりポリウレタンとすることができ、エラストマー、塗料、接着剤、コーティング剤、フォーム等の広い用途に用いられる。
【0004】
さらに、分子末端がカルボキシル基であるポリエステルも2官能性以上のイソシアネート化合物と反応させることにより、耐熱性に優れるポリエステルポリアミドとすることができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
分子末端に水酸基あるいはカルボキシル基を有する従来のポリエステルは、一般に耐加水分解性が悪い。このため、これら従来のポリエステルから得られる製品は、比較的短期間にその表面が粘着性を帯びたり、または亀裂を生じたりしやすいという問題がある。
【0006】
ポリエステルの耐加水分解性を向上させるためには、該ポリエステルのエステル基濃度を小さくすることが一般に効果的である。ポリエステル中のエステル基濃度を小さくするためには炭素数の多いグリコールと炭素数の多いジカルボン酸からポリエステルを形成することが好ましいが、得られるポリエステルは結晶化傾向が高く、一般に高粘度の液体または固体となり、作業性に劣るという問題がある。また、炭素数の多いグリコールと炭素数の多いジカルボン酸から形成されるポリエステルから得られる塗料、接着剤、ポリウレタン、およびポリアミドエラストマーやポリエステルエラストマー等は耐加水分解性の向上は認められるが、結晶化傾向が大きくなり、例えば−20℃のような低温雰囲気下に放置すると耐屈曲性、柔軟性(可撓性)、低温接着性等に代表される低温特性が著しく低下する。
【0007】
本出願人は、工業的に入手可能な原料を用いて耐加水分解性に優れ、かつ結晶化傾向を有しないポリエステルを提供すべく研究を重ねた結果、2−メチル−1,8−オクタンジオールおよび/または1,9−ノナンジオールをジオール成分とするポリエステルを見出し、すでに特許出願している(特開昭63−182330号公報参照)。
【0008】
しかしながら、このポリエステルにあっても、通常使用される範囲の温度において若干の結晶化傾向が認められることがある。また、ポリエステル自身の耐加水分解性をさらに向上させることが実用上望ましい。
【0009】
しかして本発明は、耐加水分解性に優れ、かつ結晶化傾向を有しないポリエステルであって、塗料、接着剤、ポリウレタンおよびポリアミドエラストマーやポリエステルエラストマー等の用途に使用した場合に、優れた耐加水分解性を有する製品を与える新規なポリエステルを提供することを課題とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、上記の課題は、下記の式(1)
-O-(CH2)2CH(CH3)-(CH2)3CH(CH3)-O-CO-R-CO- (1)
(式中、Rは炭素数2〜20のアルキレン基、シクロアルキレン基およびアリーレン基からなる群より選ばれる少なくとも1種の基を表す)で示される繰り返し単位を20モル%以上含有し、数平均分子量が300〜30000であるポリエステルを提供することによって解決される。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明のポリエステルは、式(1)で示される繰り返し単位を20モル%以上含有していることが必要である。
【0012】
ポリエステルを構成する繰り返し単位における、式(1)で表される繰り返し単位の含有量が20モル%より少ないと、得られるポリエステルの結晶化傾向が強くなるとともに耐加水分解性等の物性が低下する。ポリエステルを構成する繰り返し単位における、式(1)で表される繰り返し単位の含有量は40モル%以上であることが好ましく、60モル%以上であることがより好ましい。
【0013】
ここで、上記の式(1)において、Rが表す炭素数2〜20のアルキレン基としては、例えば、エチレン基、トリメチレン基、ヘキサメチレン基、ヘプタメチレン基、オクタメチレン基などが挙げられ、シクロアルキレン基としては、例えば、1,4−シクロヘキシレン基などが挙げられ、またアリーレン基としては、例えば、1,2−フェニレン基、1,3−フェニレン基、1,4−フェニレン基などが挙げられる。これらは適宜分岐を有していてもよい。
【0014】
式(1)で示される繰り返し単位は、下記の式(2)で示されるジオール単位と式(3)で示されるジカルボン酸単位から構成される。
−O−(CH2)2CH(CH3)−(CH2)3CH(CH3)−O− (2)
−CO−R−CO− (3)
(式中、Rは前記定義のとおりである)
【0015】
式(2)で示されるジオール単位は、3−メチル−7−オキソ−1−オクタノールを還元することによって製造することのできる3−メチル−1,7−オクタンジオールから誘導される。ここで、3−メチル−7−オキソ−1−オクタノールは公知物質であり、例えば、ロジノールのオゾン分解〔ジャーナル オブ オーガニック ケミストリー(Journal of Organic Chemistry)、第26巻、3027頁、1961年 参照〕やコハク酸モノ(3,7−ジメチルオクチル)エステルの酸化オゾン分解〔ジャーナル オブ ケミカル ソサイエティー ケミカル コミュニケーション(Journal of Chemical Society Chemical Communication)、 690頁、1979年 参照〕などの方法により製造することができる。
【0016】
3−メチル−7−オキソ−1−オクタノールの還元は、例えば、水素添加触媒を用いた接触水素添加、金属水素化錯化合物との反応などの方法によって実施することができる。
上記において、水素添加触媒としては、従来より接触水素添加反応において触媒として使用されているものを使用することができ、例えば、ラネーニッケル、ニッケル/珪藻土等のニッケル触媒;パラジウム/炭素、パラジウムブラック等のパラジウム触媒などが挙げられる。水素添加触媒は、単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。
水素添加触媒の使用量は、3−メチル−7−オキソ−1−オクタノールに対し、通常0.001重量%〜20重量%であり、好ましくは0.05重量%〜5重量%である。
【0017】
3−メチル−7−オキソ−1−オクタノールの接触水素添加に際しては、反応を阻害しないものである限り、溶媒を使用することができる。使用可能な溶媒としては、例えば、ヘキサン、オクタン等の飽和脂肪族炭化水素;メタノール、エタノール等のアルコール;酢酸エチル、酪酸メチル等のエステル;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素などが挙げられる。溶媒は1種類のものを使用してもよいし、2種類以上を混合して使用してもよい。溶媒を使用する場合、その使用量は、3−メチル−7−オキソ−1−オクタノールに対し、通常0.01〜50倍重量であり、好ましくは0.1〜10倍重量である。
【0018】
3−メチル−7−オキソ−1−オクタノールの接触水素添加に際し、水素の圧力は、通常、常圧〜100気圧、好ましくは2〜20気圧の範囲内に設定される。また、接触水素添加の反応温度は、通常20〜200℃、好ましくは40〜150℃である。
【0019】
反応終了後、3−メチル−1,7−オクタンジオールは、例えば、濾過等の手段により水素添加触媒を除去した後、反応混合物を蒸留する方法などの常法に従って反応混合物から分離することができる。
かくして得られた3−メチル−1,7−オクタンジオールは、所望により、減圧蒸留、カラムクロマトグラフィ−などの公知の方法により、さらに純度を高めることができる。
【0020】
また、上記において、3−メチル−7−オキソ−1−オクタノールの還元に使用することのできる金属水素化錯化合物としては、例えば、水素化アルミニウムリチウム、水素化ホウ素ナトリウムなどが挙げられる。
金属水素化錯化合物の使用量は、3−メチル−7−オキソ−1−オクタノール1モル当り、該金属水素化錯化合物中の還元に利用できる水素原子換算で、通常1〜10モルであり、好ましくは1〜3モルである。
【0021】
3−メチル−7−オキソ−1−オクタノールと金属水素化錯化合物との反応に際しては、反応を阻害しないものである限り、溶媒を使用することができる。使用可能な溶媒としては、例えば、ヘキサン、オクタン等の飽和脂肪族炭化水素;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素などが挙げられる。溶媒は1種類のものを使用してもよいし、2種類以上を混合して使用してもよい。溶媒の使用量は、3−メチル−7−オキソ−1−オクタノールに対し、通常0.1〜100倍重量であり、好ましくは1〜20倍重量である。
【0022】
3−メチル−7−オキソ−1−オクタノールと金属水素化錯化合物との反応は、通常−70〜200℃、好ましくは−10〜150℃で行われる。
【0023】
反応終了後、3−メチル−1,7−オクタンジオールは、反応混合物に塩酸、酢酸等の酸;塩化アンモニウム水溶液などを加えて反応生成物である金属錯化合物および残存する金属水素化錯化合物を分解した後、得られた混合物から蒸留、有機溶媒による抽出などの常法に従って単離することができる。この際、抽出に使用される有機溶媒としては、酢酸エチル等のエステル;塩化メチレン等のハロゲン化炭化水素;ヘキサン等の飽和炭化水素などが挙げられる。
【0024】
本発明により提供されるポリエステルは、式(2)で示されるジオール単位以外の他のポリオールの単位を含有することができる。かかる他のポリオールの単位としては低分子ジオールの単位が好適に用いられ、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2−メチル−1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、2,7−ジメチル−1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、2−メチル−1,9−ノナンジオール、2,8−ジメチル−1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール等の脂肪族ジオールの単位;1,4−シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、3(または4),8(または9)−ジヒドロキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン等の脂環式ジオールの単位などが挙げられるが、これらの中でも脂肪族ジオールの単位が好ましい。これらのジオールの単位は単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。
なお、本発明のポリエステルは、発明の主旨を損なわない範囲内であれば、1,4−ビス(β−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、ビス(β−ヒドロキシエトキシ)テレフタレート等の芳香環含有ジオールの単位を含有していてもよい。また、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、グリセリン、1,2,6−ヘキサントリオール、1,2,4−ブタントリオールなどの3官能性以上のポリオールの単位を含有することもできる。
これらの式(2)で示されるジオール単位以外の他のポリオール単位の含有量は、ポリエステルを構成するポリオール単位の全量に対して20モル%未満とすることが望ましい。
【0025】
また、式(3)で示されるジカルボン酸単位としては、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸等の脂肪族ジカルボン酸の単位;シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環族ジカルボン酸の単位;フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸の単位などが挙げられる。これらのジカルボン酸単位は対応するジカルボン酸またはそのエステル誘導体より導かれる。
【0026】
これらのジカルボン酸単位は、得られるポリエステルの用途に応じて適宜選択されて用いられる。例えば、柔軟性(可撓性)、耐加水分解性、低温特性に優れたポリウレタンを与えるポリエステルを得るためには、脂肪族ジカルボン酸単位、中でもアジピン酸、アゼライン酸またはセバシン酸の単位の使用が好ましい。これらのジカルボン酸単位は単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。また、3官能性以上のポリカルボン酸単位を含有させてもよい。
【0027】
本発明のポリエステルは300〜30000の数平均分子量を有することが必要である。数平均分子量が300よりも小さいと、ポリエステルから得られるポリウレタンやポリエステルポリアミドの低温特性や柔軟性が不良となり、一方、数平均分子量が30000よりも大きいとポリエステルから得られるポリウレタンやポリエステルポリアミドの強度や柔軟性等の力学的特性が不良となる。ポリエステルの数平均分子量は700〜20000の範囲内にあることが好ましい。
【0028】
本発明のポリエステルは、例えば、ポリウレタンの製造等の用途に使用される場合には、分子末端に水酸基を有していることが必要である。また、ポリアミドエラストマーの製造等の用途に使用される場合には分子末端にカルボキシル基を有していることが必要である。ポリエステルの末端構造は、原料となるポリオール成分とポリカルボン酸成分の仕込みモル比を変化させることにより適宜調整することが可能である。
【0029】
なお、ポリエステル中に存在する水酸基あるいはカルボキシル基の数は用途により最適となる数が異なるが、水酸基あるいはカルボキシル基が一般に1分子あたり2個以上、中でも2〜3個の範囲内にあれば、ポリエステルは最も多くの用途に使用可能であり、汎用性を有する。
【0030】
本発明のポリエステルの製造方法には特に制限がなく、公知のポリエステル重縮合方法が適用できる。例えば、3−メチル−1,7−オクタンジオールとジカルボン酸またはそのエステル誘導体とを所定の割合で仕込み、エステル化またはエステル交換反応を行い、得られる反応生成物を重縮合触媒の存在下に高温、真空下でさらに重縮合反応させることにより所望とする分子量のポリエステルを製造することができる。なお、ポリエステル製造時に使用される重縮合触媒としては広範囲のものを用いることができる。かかる重縮合触媒としては、例えば、テトラメトキシチタン、テトラエトキシチタン、テトラ−n−プロポキシチタン、テトライソプロポキシチタン、テトラブトキシチタン等のチタン化合物;ジ−n−ブチルスズオキサイド、ジ−n−ブチルスズジラウレート、ジブチルスズジアセテート等のスズ化合物;マグネシウム、カルシウム、亜鉛等の酢酸塩と酸化アンチモンまたは上記チタン化合物との組み合わせなどが挙げられる。これらの重縮合触媒は生成する全ポリエステルに対し5〜500ppmとなるような範囲で用いることが好ましい。
【0031】
本発明により得られるポリエステルは、耐加水分解性に優れるとともに、結晶化傾向を有しておらず、塗料、接着剤、ポリウレタンおよびポリアミドエラストマーやポリエステルエラストマー等の製造原料として使用した場合、優れた耐加水分解性等を有する製品を与える。また、本発明によって得られるポリエステルは、その他の種々の用途にも適用できる新規な高性能素材である。
【0032】
【実施例】
以下に本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はかかる実施例に限定されるものではない。
なお、以下の実施例と比較例においてポリエステルの数平均分子量の測定および耐加水分解性の評価は下記の方法により行った。
◎数平均分子量の測定
ポリエステルの水酸基価および酸価に基づいて計算により求めた。
◎耐加水分解性の評価
ポリエステル0.5gを100℃の熱水10ml中に14日間放置した後、JIS K1577に準じて水およびポリエステルの酸価を測定し、両者を合計したものを酸性値として耐加水分解性の指標とした。酸性値が小さいほど耐加水分解性が優れている。
【0033】
参考例1
内容積200mlのオートクレーブに、3−メチル−7−オキソ−1−オクタノール30.0g(純度90.2%、171mmol)およびラネーニッケル0.6g(水分含有量:50重量%)を、室温、窒素雰囲気下に仕込み、次いでオートクレーブ内の雰囲気を水素で置換し、オートクレーブ内の圧力を7気圧(絶対圧)に設定した。オートクレーブ内の温度を100℃に上げ、オートクレーブに適宜水素を供給して水素圧力を7気圧(絶対圧)に維持しながら、同温度で25時間撹拌した。得られた反応混合物を、ガスクロマトグラフィーを用いて、ジエチレングリコールモノメチルエーテルを内部標準とした内部標準法により分析したところ、3−メチル−7−オキソ−1−オクタノールの転化率は99.3%であり、3−メチル−1,7−オクタンジオールへの選択率は98.3%であることがわかった。
上記で得られた反応混合物を室温まで冷却した後、濾過によりラネーニッケルを除去し、得られた濾液を減圧蒸留することにより、3−メチル−1,7−オクタンジオール(無色液体、沸点136〜140℃/2.5mmHg)を25.8g(161ミリモル、収率:94.2%)得た。
得られた3−メチル−1,7−オクタンジオールの物性値を以下に示す。
1 H−NMR(270MHz,CDCl 3 ,TMS)
δ(ppm): 0.90(d,3H)、1.19(d,3H)
マススペクトル(EIMS)
m/z: 142([M−H2O]+)
【0034】
実施例1
アジピン酸438g(3モル)および参考例1の方法に従って製造された3−メチル−1,7−オクタンジオール721g(4.5モル)を反応器に仕込み、常圧下に窒素雰囲気中で200℃に加熱し、生成する水を系外に留去しながらエステル化反応を行った。生成した水の留出が少なくなった時点で、テトライソプロポキシチタン15mgを添加し、真空ポンプで200〜100mmHgに減圧しながら反応を続け、水酸基価56.1KOHmg/g、酸価0.07KOHmg/gおよび数平均分子量2000のポリエステル(以下これをポリエステルAと略称する)を得た。ポリエステルAの耐加水分解性を上記の方法に従って測定した。結果を表1に示す。
【0035】
実施例2および3並びに比較例1および2
表1に示すジオール成分を実施例1と同じモル数で使用したこと以外は実施例1と同様にしてエステル化反応および重縮合反応を行ってポリエステル(以下、実施例2および3で得られたポリエステルをそれぞれポリエステルBおよびC、比較例1および2で得られたポリエステルをそれぞれポリエステルDおよびEと略称する)を得た。ポリエステルB〜Eの物性を表1に示す。ポリエステルA〜Eの内で、ポリエステルA〜CおよびEは20℃で低粘度の液体であり、ポリエステルDは20℃で固体状であった。ポリエステルB〜Eの耐加水分解性を上記の方法に従って測定した。結果を表1に示す。
【0036】
【表1】
【0037】
なお、表1において各成分はそれぞれ次の略号により示す。
MODO: 3−メチル−1,7−オクタンジオール
ND : 1,9−ノナンジオール
MPD : 3−メチル−1,5−ペンタンジオール
表1の結果から、式(1)で表される繰り返し単位を含有するポリエステルA〜Cと、式(1)で表される繰り返し単位を含まず、20℃で液状であるポリエステルEとを比較すると、式(1)で表される繰り返し単位を含有するポリエステルは耐加水分解性が向上していることが分かる。
【0038】
参考例2
実施例1〜3並びに比較例1および2で得られたポリエステルA〜E各100g(0.05モル)、1,4−ブタンジオール9g(0.10モル)、4,4´−ジフェニルメタンジイソシアネート37.5g(0.15モル)およびジメチルホルムアミド(DMF)340gを混合し、80℃で8時間反応させ、ポリウレタンのDMF溶液(不揮発分30%)を得た。得られたポリウレタンのDMF溶液をガラス板上に流延し、乾燥して厚さ100μmの乾式フィルムを作製した。得られたフィルムを100℃の熱水中に14日間放置した後、フィルムを構成するポリウレタンの固有粘度の保持率(%)を下記の式に従って算出し、耐加水分解性の指標とした。なお、ポリウレタンの固有粘度は、DMF溶液として測定したものであり、ポリウレタンの分子量に対応するものである。
固有粘度の保持率(%)=(熱水中に14日放置後の固有粘度)/(熱水中に14日放置前の固有粘度)×100
結果を表1に併せて示す(ポリウレタンの耐加水分解性として上記固有粘度の保持率を示す)。
【0039】
【発明の効果】
本発明によれば、耐加水分解性に優れ、かつ結晶化傾向を有さず、取り扱い性に優れたポリエステルであって、塗料、接着剤、ポリウレタンおよびポリアミドエラストマーやポリエステルエラストマー等の用途に使用した場合に、優れた耐加水分解性を有する製品を与える新規なポリエステルが提供される。
Claims (1)
- 下記の式(1)
-O-(CH2)2CH(CH3)-(CH2)3CH(CH3)-O-CO-R-CO− (1)
(式中、Rは炭素数2〜20のアルキレン基、シクロアルキレン基およびアリーレン基からなる群より選ばれる少なくとも1種の基を表す)で示される繰り返し単位を20モル%以上含有し、数平均分子量が300〜30000であるポリエステル。
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