JP4493457B2 - ポリカーボネートジオールおよびその製造方法 - Google Patents
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Description
従来、ポリカーボネートジオールは、上記の反応で高分子量化しやすく、目的の分子量とするため反応を制御するには高い技術を必要とした。また、部分的に高分子量化し微細なゲルを生成するなどの問題も発生した。
すなわち本発明は、下記(1)から(6)の発明に係わりを提供するものである。
(1) 末端水酸基指数が92.5〜98.5であることを特徴とするポリカーボネートジオール。
(2) ポリカーボネートジオールが、アルキレンカーボネートとジオールとを反応させたポリカーボネートジオールであることを特徴とする前記(1)に記載のポリカーボネートジオール。
(3) ポリカーボネートジオールにモノアルコールを加えて加熱処理して得られることを特徴とする前記(1)または(2)に記載のポリカーボネートジオール。
(4) 該モノアルコールの質量が、加えたモノアルコールの15質量%以下とであることを特徴とする前記(3)に記載のポリカーボネートジオール。
(5) ポリカーボネートジオールにモノアルコールを加えて加熱することを特徴とする前記(1)または(2)に記載のポリカーボネートジオールの製造方法。
(6) 該加熱が、温度120℃〜180℃で、加えたモノアルコール質量の15質量%以下となるまで反応を行うことを特徴とする前記(3)に記載のポリカーボネートジオールの製造方法。
ポリカーボネートジオールをポリウレタン、熱可塑性エラストマー、ウレタン弾性繊維などの原料として、または、塗料、接着剤などの構成材料として用いる場合、イソシアネートのような、水酸基と反応する官能基を有する化合物と反応して使用される。これら化合物とポリカーボネートジオールとの反応性は非常に重要である。
末端水酸基指数=A÷B×100 (1)
A:ジオールのGC面積の総和
B:モノアルコールとジオールのGC面積の総和
O O O O
‖ ‖ ‖ ‖
〜OCOROH + HOROCO〜 → 〜OCOROCO〜 + HOROH(a)
(式中、Rは炭化水素を表す。)
O O O O
‖ ‖ ‖ ‖
〜OCORX + HOROCO〜 → 〜OCOROCO〜 + HORX (b)
(式中、Rは上記と同じであり、Xは特に限定しないが、水酸基以外であり水素または炭化水素を表す。)
よって、留分中のジオールとモノアルコールの量より、水酸基であるポリマー末端の割合が決定できる。
ポリカーボネートジオールの製造に使用されるアルキレンカーボネートとしては、エチレンカーボネート、トリメチレンカーボネート、1,2−プロピレンカーボネート、1,2−ブチレンカーボネート、1,3−ブチレンカーボネート、1,2−ペンチレンカーボネートなどが用いられる。また、ジアルキルカーボネートとしては、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジプロピルカーボネートなどが、ジアルールカーボネートとしては、ジフェニルカーボネートなどが用いられる。
O O
‖ ‖
〜OCOR1CH2CH2OH → 〜OCOR1CH=CH2 (c)
(式中、R1は炭化水素を表す。)
O O
‖ ‖
〜ROCOR〜 +R2OH → 〜ROH + 〜ROCOR2 (d)
(式中、R、R2は炭化水素を表す。)
水酸基価(mg−KOH/g)={(D−C)×28.05×f}/E (2)
C:サンプルの滴定量(ml)
D:空試験の滴定量(ml)
E:サンプル重量(g)
f:滴定液のファクター
本発明の製造方法では、触媒を添加しても良いし、添加しなくてもよい。触媒を添加する場合は、通常のエステル交換反応触媒から自由に選択することが出来る。例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、亜鉛、アルミニウム、チタン、コバルト、ゲルマニウム、スズ、鉛、アンチモン、ヒ素、セリウムなどの金属、塩、アルコキシド、有機化合物が用いられる。特に好ましいのは、チタン、スズ、鉛の化合物である。また、触媒の使用量は、通常はポリカーボネートジオール重量の0.00001〜0.1%である。
本発明の処理方法は、加熱装置と攪拌機を備えた反応器で加熱攪拌してもよいし、インラインミキサーやスタティックミキサーで連続して加熱処理してもよい。
本発明のポリカーボネートジオールの平均分子量は、その用途により異なるが、通常は300〜20000、好ましくは500〜10000、さらに好ましくは800〜3000である。平均分子量が300未満では得られる熱可塑性ウレタンの柔軟性、低温特性が不良となる事が多く、20000を越えると得られる熱可塑性ウレタンの成型加工性が低下するので好ましくない。
本発明では、ポリカーボネートジオールの反応安定性を以下の方法で評価した。攪拌機、冷却管、温度計を備えた1Lのセパラブルフラスコにポリカーボネートジオールを75g入れた。約2.5kPaで減圧しながら、80℃で3hr加熱攪拌行い、ポリカーボネートジオールを乾燥した。25gのトルエンと0.006gのジラウリン酸ジブチルスズを加えた後、フラスコ内部が80℃になっていることを確認し、ポリカーボネートジオールの2倍モル量のジシルロヘキシルメタンジイソシアネートを加え、80℃で3hr反応してプレポリマーを得る。350mlのジメチルホルムアミドを加えた後、イソシアネートの反応率を測定する。30℃に冷却後、測定したイソシアネート反応率からイソシアネート反応率が100%となるために必要とされる量の90%に相当するエチレンジアミンを添加して鎖延長反応する。10分間攪拌後サンプル(以降、90当量%サンプルと称す。)を採取する。その後、イソシアネート反応率が100%となるために必要とされる量の4%に相当するエチレンジアミンを添加しさらに鎖延長反応を続ける。10分間攪拌後サンプル(以降、94当量%サンプルと称す。)を採取する。さらに、イソシアネート反応率が100%となるために必要とされる量の4%に相当するエチレンジアミンを添加し鎖延長反応を続ける。10分間攪拌後サンプル(以降、98当量%サンプルと称す。)を採取する。上記サンプルの粘度を、粘度計(B8L型、TOKIMEC製)を使用し、4番のロータを用い、測定温度35±1℃で測定した。94当量%サンプルの粘度を90当量%サンプルの粘度で割った値(以降、A値と称す。)および98当量%サンプルの粘度を90当量%サンプルの粘度割った値(以降、B値と称す。)を用い、反応安定性を評価した。
一方、B値が小さくなると、ポリカーボネートジオールを用いた反応は、高分子量化しにくく、著しい場合は目的の分子量となり得ない。通常、B値が10未満の場合、目的の値まで分子量を上げることが困難となる。
結合アルコール率(%)=G/H×100 (3)
G:結合アルコール量(g)
H:加えたモノアルコール量(g)
残存アルコール率(%)=I/H×100 (4)
I:残存アルコール量(g)
H:加えたモノアルコール量(g)
通常、結合アルコール率と残存アルコール率を加えた値は、ほぼ100%となる。しかし、加えるモノアルコールおよび加熱処理条件によっては、100%を大きく下回る場合がある。これは、モノアルコールが反応途中で飛散したことが原因と考えられ、ポリマーの末端水酸基指数が、当初の設定値になっていないことを示す。
攪拌機、冷却管、温度計を備えた1Lのセパラブルフラスコに、ポリカーボネートジオールT6002(旭化成ケミカルズ株式会社製、水酸基価56.1)を500g入れ、オイルバスを用い100℃で加熱溶解した。1.5kPaまで減圧し、3min間その状態を維持した後、窒素で圧を戻した。1−デカノール2.35g、チタンテトライソプロポキシド0.02gを入れ、ポリカーボネートジオールの温度を170℃に保って2.5hr攪拌した。得られたポリカーボネートジオールを用いて反応安定性の試験を行った。イソシアネート反応率が100%となるために必要とされる量の98%(以降、98当量%と称す。)に相当するエチレンジアミンを添加し鎖延長反応した後も、問題なく攪拌することが出来た。また、エチレンジアミン添加より約5分で粘度の変化は認められなくなり、鎖延長反応時間も短時間で終了した。得られたウレタン溶液中には、微細なゲル状物質などは確認できなかった。用いたポリカーボネートジオールに関して、末端水酸基指数を測定したところ96.5であった。
1−デカノールの量を8.20gとした以外は実施例1に示す方法でポリカーボネートジオールを加熱処理した。得られたポリカーボネートジオールを用いて反応安定性の試験を行った。98当量%に相当するエチレンジアミンを添加し鎖延長反応した後も、実施例1と同様の短時間では大きな粘度上昇は無く目的の分子量は得られなかった。測定した末端水酸基指数を表1に示す。
1−デカノールの量を0.33gとした以外は実施例1に示す方法でポリカーボネートジオールを加熱処理した。得られたポリカーボネートジオールを用いて反応安定性の試験を行った。イソシアネート反応率が100%となるために必要とされる量の94%(以降、94当量%と称す。)までエチレンジアミンを添加して鎖延長反応させると、高分子量化が進み粘度が上昇し攪拌羽根にウレタンが絡まり付いて攪拌が困難になった。さらに、98当量%までエチレンジアミンを添加し鎖延長反応を続けると、さらに高分子量化が進み粘度が上がって粘度測定のためにサンプリングすることも出来なかった。GC分析を試みたが、溶媒に完全に溶解しなかったため測定できず、残存アルコール率と結合アルコール率は計算することが出来なかった。測定した末端水酸基指数を表1に示す。
1−デカノールの量を1.10gとした以外は、実施例1に示す方法でポリカーボネートジオールを加熱処理した。得られたポリカーボネートジオールを用いて反応安定性の試験を行った。98当量%までエチレンジアミンを添加して鎖延長反応させると、粘度が上がり攪拌棒への絡み付きも見られた。しかし、得られたウレタン溶液中には、微細なゲル状物質などは確認できなかった。測定した末端水酸基指数を表1に示す。
実施例1の装置を用い、ポリカーボネートジオールT6002(旭化成ケミカルズ株式会社製、水酸基価56.1)を500g入れ、オイルバスを用い100℃で加熱溶解した。1.5kPaまで減圧し、3min間その状態を維持した後、窒素で圧を戻した。イソブチルアルコール2.00g、チタンテトライソプロポキシド0.04gを入れ、ポリカーボネートジオールの温度が70℃に保って25hr攪拌した。得られたポリカーボネートジオールを用いて反応安定性の試験を行った。98当量%までエチレンジアミンを添加し鎖延長反応させた後も、問題なく攪拌することが出来た。また、得られたウレタン溶液中には、微細なゲル状物質などは確認できなかった。測定した末端水酸基指数を表1に示す。
攪拌機の付いた2Lの反応器に、1,5−ペンタンジオール230gと、1,6−ヘキサンジオール260g、エチレンカーボネート410gを仕込んだ後、触媒として酢酸鉛三水和物を0.009g入れ、規則充填物を充填した精留塔に接続した。反応機を210℃のオイルバスに浸漬し、留出液の一部を抜き出しながら、反応温度170℃で20hr反応した。その後、反応機を直接コンデンサーに接続し、オイルバスの温度を190℃に下げた後、圧力を徐々に下げでさらに8hr反応を行った結果、水酸基価56.9の共重合ポリカーボネートジオールが517g得られた。得られたポリカーボネートジオールに関し、末端水酸基指数を測定した結果、98.8%であった。反応機内の温度を150℃に落とした後、2−エチル−1−ヘキサノールを1.94kg加え、150℃で3hr攪拌した。得られたポリカーボネートジオールを用いて反応安定性の試験を行った。98当量%までエチレンジアミンを添加し鎖延長反応させた後も、問題なく攪拌することが出来た。また、得られたウレタン溶液中には、微細なゲル状物質などは確認できなかった。測定した末端水酸基指数を表1に示す。
処理温度が80℃、攪拌時間が5hrである以外は、実施例4の条件でポリカーボネートジオールを処理した。得られたポリカーボネートジオールを用いて反応安定性の試験を行った。98当量%までエチレンジアミンを添加し鎖延長反応されたが、粘度が上がり攪拌棒への絡み付きも見られた。しかし、得られたウレタン溶液中には、微細なゲル状物質などは確認できなかった。測定した末端水酸基指数を表1に示す。
Claims (3)
- ポリカーボネートジオールにモノアルコールを加えて加熱処理することを特徴とする末端水酸基指数が92.5〜98.5であるポリカーボネートジオールの製造方法。
- 加熱処理温度が120〜180℃で、加えたモノアルコールの残存量が15質量%以下となるまで反応を行うことを特徴とする請求項1に記載のポリカーボネートジオールの製造方法。
- モノアルコールと反応させるポリカーボネートジオールが、アルキレンカーボネートとジオールを原料に用いて得られたポリカーボネートジオールであることを特徴とする請求項1又は2に記載のポリカーボネートジオールの製造方法。
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