JP5341347B2 - 射出成形品の製造方法及びそれに用いるマスターバッチ - Google Patents

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Description

本発明は、低分子量環状オレフィン系樹脂を用いた射出成形品の製造方法及びそれに用いる低分子量環状オレフィン系樹脂を含むマスターバッチに関する。
環状オレフィン系樹脂は、透明性、耐薬品性、防湿性、機械的特性等に優れるため、光学用途や、医薬又は医療機器用途等の材料として用いられている。また、環状オレフィン系樹脂は、溶融加工性や流動性にも優れ、フィルム状又はシート状の成形品や、包装材料にも利用されている。さらに、環状オレフィン系樹脂は、熱収縮性や印刷特性にも優れる。このように、環状オレフィン系樹脂は様々な分野に利用されている。
また、環状オレフィン系樹脂は、上記のような有用な面以外に、溶融成形するとゲル状物が発生し成形表面が荒れ外観特性が低下するという面も持つ。この外観特性の低下は、特に透明材料、光学用途、包装材料として環状オレフィン系樹脂を利用する場合に大きな影響を与える。
上記外観特性の低下を解決するために、特許文献1には、高分子量環状オレフィン系樹脂と低分子量環状オレフィン系樹脂とを組み合わせることで、溶融成形しても成形品の表面が平滑になる技術が開示されている。
国際公開WO 2007/132641号パンフレット
ところで、樹脂の成形には、一工程で複雑、精巧、精度も高く、短時間で成形品が完成する射出成形法がよく用いられる。射出成形法によれば、日用品、電気製品の部品、自動車用の部品等多様な材料を加工できる。また、最近では、金型構造の複雑化、精巧化、部品の集約化、部品の一体化が進んでおり、射出成形でなければできない部品が多くなっている。
しかし、特許文献1の発明によれば、低分子量環状オレフィン系樹脂と環状オレフィン系樹脂とを成形材料として用い、射出成形をすると、樹脂の食い込み性が悪くなり、計量時間が長くなる。このため、特許文献1の方法では、成形ショット毎の成形材料の供給に時間がかかり、生産性が低下する。また、低分子量環状オレフィン系樹脂と環状オレフィン系樹脂との溶融では、成形ショット毎の供給量や計量時間にバラツキが生じて得られる成形品の品質が不安定になる。そこで、低分子量環状オレフィン系樹脂の特徴を生かしつつ容易に射出成形を可能にする技術が求められている。
本発明は以上のような課題を解決するためになされたものであり、その目的は、低分子量環状オレフィン系樹脂の特徴を生かしつつ、容易に射出成形を可能にする技術を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた。その結果、発明者らは、環状オレフィン系樹脂と数平均分子量が10000以下である低分子量環状オレフィン系樹脂とを含むマスターバッチと、環状オレフィン系樹脂と、をドライブレンドする工程後に射出成形することで、容易に射出成形できることを見出し、本発明を完成するに至った。より具体的には本発明は以下のものを提供する。
(1) 環状オレフィン系樹脂と、数平均分子量が10000以下である低分子量環状オレフィン系樹脂と、を用いた射出成形品の製造方法であって、環状オレフィン系樹脂と低分子量環状オレフィン系樹脂とを含むマスターバッチと、環状オレフィン系樹脂と、をドライブレンドする工程後に射出成形する射出成形品の製造方法。
(1)の発明によれば、容易に高品質の射出成形品を得ることができる。従来のように、低分子量環状オレフィン系樹脂をマスターバッチ化せずに使用すると、ガラス転移点が低く、低分子量のためペレットが非常に脆く、可塑化時の圧縮や摩擦により容易に粉砕されて粉となりベースのペレット表面に付着してしまう。この粉の影響で可塑化前半の固体の輸送時にシリンダーとの摩擦が小さくなってしまい食い込み性が悪くなる。また、低分子量環状オレフィン系樹脂が急速に溶融し、低粘度の液体状態になる。樹脂とスクリュとの摩擦係数が、樹脂とシリンダーとの摩擦係数に近づくにつれて、樹脂が前方へ移送されにくくなり、さらに樹脂とスクリュとの摩擦係数が、樹脂とシリンダーとの摩擦係数を上回ると樹脂は前方へ移送されなくなる。したがって、低分子量環状オレフィン系樹脂をマスターバッチ化せずに使用すると、樹脂のスクリュへの食い込み性に問題を生じる。本発明では、低分子量環状オレフィン系樹脂をマスターバッチ化して用いることで、マスターバッチのガラス転移点は低分子量環状オレフィン系樹脂のガラス転移点よりも低くなり、また、ペレットの靭性が上がり、可塑化時の圧縮や摩擦があっても粉になりにくいので、急速な溶融を抑えることができ、樹脂の食い込み性を改善することができる。
(2) 前記マスターバッチは、環状オレフィン系樹脂の含有量が20質量%から95質量%、前記低分子量環状オレフィン系樹脂の含有量が5質量%から80質量%であるマスターバッチであって、前記ドライブレンドする工程は、前記環状オレフィン系樹脂100質量部に対して、前記マスターバッチを5質量部から100質量部のブレンドである(1)に記載の射出成形品の製造方法。
(2) の発明によれば、上記組成のマスターバッチを上記の範囲で含有することで、低分子量環状オレフィン系樹脂の量が環状オレフィン系樹脂の量と同等以下であれば、マスターバッチペレットは十分な靭性を持ち、粉の発生量が小さく計量の問題を引き起こしにくいという効果がある。
(3) (1)又は(2)のいずれかに記載の射出成形品の製造方法に用いるマスターバッチであって、環状オレフィン系樹脂の含有量が20質量%から95質量%、前記低分子量環状オレフィン系樹脂の含有量が5質量%から80質量%であるマスターバッチ。
(4) 前記低分子量環状オレフィン系樹脂の含有量が10質量%から70質量%である(3)に記載のマスターバッチ。
(3)、(4)の発明によれば、低分子量環状オレフィン系樹脂の含有量が上記範囲にあることで、成形材料の食い込み性が改善される一方で、ゲル発生も十分に抑えることができる。したがって、さらに高品質の射出成形品を高い生産性で製造することができる。
(5) ガラス転移点が100℃以下である(3)又は(4)に記載のマスターバッチ。
(5)の発明によれば、マスターバッチのガラス転移点が100℃以下なので、溶融成形の際に、環状オレフィン系樹脂よりも先にマスターバッチが溶け、環状オレフィン系樹脂にかかるせん断力をより小さくすることができる。このためゲル状物の発生をより効果的に抑えることができる。
本発明によれば、環状オレフィン系樹脂と数平均分子量が10000以下である低分子量環状オレフィン系樹脂とを含むマスターバッチと、環状オレフィン系樹脂と、をドライブレンドする工程後に射出成形することで、低分子量環状オレフィン系樹脂の特徴を生かしつつ、容易に高品質な射出成形品を得ることができる。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明するが、本発明は、以下の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の目的の範囲内において、適宜変更を加えて実施することができる。なお、説明が重複する箇所については、適宜説明を省略する場合があるが、発明の要旨を限定するものではない。
本発明は、環状オレフィン系樹脂と数平均分子量が10000以下である低分子量環状オレフィン系樹脂とを含むマスターバッチと、環状オレフィン系樹脂と、をドライブレンドする工程後に射出成形する射出成形品の製造方法及びその製造方法に用いるマスターバッチである。本発明は、環状オレフィン系樹脂と数平均分子量が10000以下である低分子量環状オレフィン系樹脂とを含むマスターバッチを用いることが特徴である。
本発明に用いられるマスターバッチは、環状オレフィン系樹脂と数平均分子量が10000以下である低分子量環状オレフィン系樹脂とを含む。
<環状オレフィン系樹脂>
以下、本発明により製造される射出成形品及び本発明のマスターバッチの必須成分となる環状オレフィン系樹脂について説明する。本発明に用いられる環状オレフィン系樹脂は、環状オレフィン成分を共重合成分として含むものであり、環状オレフィン成分を主鎖に含むポリオレフィン系樹脂であれば、特に限定されるものではない。例えば、
(a1)環状オレフィンの付加重合体又はその水素添加物、
(a2)環状オレフィンとα−オレフィンの付加共重合体又はその水素添加物、
(a3)環状オレフィンの開環(共)重合体又はその水素添加物、を挙げることができる。
また、本発明に用いられる環状オレフィン成分を共重合成分として含む環状オレフィン系樹脂としては、
(a4)上記(a1)〜(a3)の樹脂に、極性基を有する不飽和化合物をグラフト及び/又は共重合したもの。
極性基としては、例えば、カルボキシル基、酸無水物基、エポキシ基、アミド基、エステル基、ヒドロキシル基等を挙げることができ、極性基を有する不飽和化合物としては、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸、グリシジル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸アルキル(炭素数1〜10)エステル、マレイン酸アルキル(炭素数1〜10)エステル、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル等を挙げることができる。
本発明においては、上記の環状オレフィン成分を共重合成分として含む環状オレフィン系樹脂(a1)〜(a4)は、1種単独であっても、二種以上を混合使用してもよい。
また、本発明に用いられる環状オレフィン成分を共重合成分として含む環状オレフィン系樹脂としては、市販の樹脂を用いることも可能である。市販されている環状オレフィン系樹脂としては、例えば、TOPAS(登録商標)(TOPAS ADVANCED POLYMER社製)、アペル(登録商標)(三井化学社製)、ゼオネックス(登録商標)(日本ゼオン社製)、ゼオノア(登録商標)(日本ゼオン社製)、アートン(登録商標)(JSR社製)等を挙げることができる。
本発明の組成物に好ましく用いられる(a2)環状オレフィンとα−オレフィンの付加共重合体としては、特に限定されるものではない。特に好ましい例としては、〔1〕炭素数2〜20のα−オレフィン成分と、〔2〕下記一般式(I)で示される環状オレフィン成分と、を含む共重合体を挙げることができる。
Figure 0005341347
(式中、R〜R12は、それぞれ同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、及び、炭化水素基からなる群より選ばれるものであり、RとR10、R11とR12は、一体化して2価の炭化水素基を形成してもよく、R又はR10と、R11又はR12とは、互いに環を形成していてもよい。また、nは、0又は正の整数を示し、nが2以上の場合には、R〜Rは、それぞれの繰り返し単位の中で、それぞれ同一でも異なっていてもよい。)
〔〔1〕炭素数2〜20のα−オレフィン成分〕
本発明に好ましく用いられる環状オレフィン成分とエチレン等の他の共重合成分との付加重合体の共重合成分となる炭素数2〜20のα−オレフィンは、特に限定されるものではない。例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、3−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、3−エチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ペンテン、4−エチル−1−ヘキセン、3−エチル−1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセン等を挙げることができる。また、これらのα−オレフィン成分は、1種単独でも2種以上を同時に使用してもよい。これらの中では、エチレンの単独使用が最も好ましい。
〔〔2〕一般式(I)で示される環状オレフィン成分〕
本発明に好ましく用いられる環状オレフィン成分とエチレン等の他の共重合成分との付加重合体において、共重合成分となる一般式(I)で示される環状オレフィン成分について説明する。
一般式(I)におけるR〜R12は、それぞれ同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、及び、炭化水素基からなる群より選ばれるものである。
〜Rの具体例としては、例えば、水素原子;フッ素、塩素、臭素等のハロゲン原子;メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等の低級アルキル基等を挙げることができ、これらはそれぞれ異なっていてもよく、部分的に異なっていてもよく、また、全部が同一であってもよい。
また、R〜R12の具体例としては、例えば、水素原子;フッ素、塩素、臭素等のハロゲン原子;メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ヘキシル基、ステアリル基等のアルキル基;シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;フェニル基、トリル基、エチルフェニル基、イソプロピルフェニル基、ナフチル基、アントリル基等の置換又は無置換の芳香族炭化水素基;ベンジル基、フェネチル基、その他アルキル基にアリール基が置換したアラルキル基等を挙げることができ、これらはそれぞれ異なっていてもよく、部分的に異なっていてもよく、また、全部が同一であってもよい。
とR10、又はR11とR12とが一体化して2価の炭化水素基を形成する場合の具体例としては、例えば、エチリデン基、プロピリデン基、イソプロピリデン基等のアルキリデン基等を挙げることができる。
又はR10と、R11又はR12とが、互いに環を形成する場合には、形成される環は単環でも多環であってもよく、架橋を有する多環であってもよく、二重結合を有する環であってもよく、またこれらの環の組み合わせからなる環であってもよい。また、これらの環はメチル基等の置換基を有していてもよい。
一般式(I)で示される環状オレフィン成分の具体例としては、ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン(慣用名:ノルボルネン)、5−メチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5,5−ジメチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−エチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−ブチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−エチリデン−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−ヘキシル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−オクチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−オクタデシル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−メチリデン−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−ビニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−プロペニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン等の2環の環状オレフィン;
トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3,7−ジエン(慣用名:ジシクロペンタジエン)、トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン;トリシクロ[4.4.0.12,5]ウンデカ−3,7−ジエン若しくはトリシクロ[4.4.0.12,5]ウンデカ−3,8−ジエン又はこれらの部分水素添加物(又はシクロペンタジエンとシクロヘキセンの付加物)であるトリシクロ[4.4.0.12,5]ウンデカ−3−エン;5−シクロペンチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−シクロヘキシル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−シクロヘキセニルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−フェニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エンといった3環の環状オレフィン;
テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン(単にテトラシクロドデセンともいう)、8−メチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、8−エチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、8−メチリデンテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、8−エチリデンテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、8−ビニルテトラシクロ[4,4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、8−プロペニル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エンといった4環の環状オレフィン;
8−シクロペンチル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、8−シクロヘキシル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、8−シクロヘキセニル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、8−フェニル−シクロペンチル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン;テトラシクロ[7.4.13,6.01,9.02,7]テトラデカ−4,9,11,13−テトラエン(1,4−メタノ−1,4,4a,9a−テトラヒドロフルオレンともいう)、テトラシクロ[8.4.14,7.01,10.03,8]ペンタデカ−5,10,12,14−テトラエン(1,4−メタノ−1,4,4a,5,10,10a−ヘキサヒドロアントラセンともいう);ペンタシクロ[6.6.1.13,6.02,7.09,14]−4−ヘキサデセン、ペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]−4−ペンタデセン、ペンタシクロ[7.4.0.02,7.13,6.110,13]−4−ペンタデセン;ヘプタシクロ[8.7.0.12,9.14,7.111,17.03,8.012,16]−5−エイコセン、ヘプタシクロ[8.7.0.12,9.03,8.14,7.012,17.113,l6]−14−エイコセン;シクロペンタジエンの4量体等の多環の環状オレフィンを挙げることができる。
これらの環状オレフィン成分は、1種単独でも、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
〔1〕炭素数2〜20のα−オレフィン成分と〔2〕一般式(I)で表される環状オレフィン成分との重合方法及び得られた重合体の水素添加方法は、特に限定されるものではなく、公知の方法に従って行うことができる。ランダム共重合であっても、ブロック共重合であってもよい。
また、用いられる重合触媒についても特に限定されるものではなく、チーグラー・ナッタ系、メタセシス系、メタロセン系触媒等の従来周知の触媒を用いて周知の方法により得ることができる。本発明に好ましく用いられる環状オレフィンとα−オレフィンの付加共重合体又はその水素添加物は、メタロセン系触媒やチーグラー・ナッタ系触媒を用いて製造されることが好ましい。
メタセシス触媒としては、シクロオレフィンの開環重合用触媒として公知のモリブデン又はタングステン系メタセシス触媒(例えば、特開昭58−127728号公報、同58−129013号公報等に記載)が挙げられる。また、メタセシス触媒で得られる重合体は無機担体担持遷移金属触媒等を用い、主鎖の二重結合を90%以上、側鎖の芳香環中の炭素−炭素二重結合の98%以上を水素添加することが好ましい。
〔その他共重合成分〕
本発明の組成物に特に好ましく用いられる(a2)環状オレフィンとα−オレフィンの付加共重合体は、上記の〔1〕炭素数2〜20のα−オレフィン成分と、〔2〕一般式(I)で示される環状オレフィン成分以外に、本発明の目的を損なわない範囲で、必要に応じて他の共重合可能な不飽和単量体成分を含有していてもよい。
任意に共重合されていてもよい不飽和単量体としては、特に限定されるものではないが、例えば、炭素−炭素二重結合を1分子内に2個以上含む炭化水素系単量体等を挙げることができる。炭素−炭素二重結合を1分子内に2個以上含む炭化水素系単量体の具体例としては、1,4−ヘキサジエン、1,6−オクタジエン、2−メチル−1,5−ヘキサジエン、4−メチル−1,5−ヘキサジエン、5−メチル−1,5−ヘキサジエン、6−メチル−1,5−ヘプタジエン、7−メチル−1,6−オクタジエン等の鎖状非共役ジエン;シクロヘキサジエン、ジシクロペンタジエン、メチルテトラヒドロインデン、5−ビニル−2−ノルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−メチレン−2−ノルボルネン、5−イソプロピリデン−2−ノルボンネン、6−クロロメチル−5−イソプロペニル−2−ノルボルネン、4,9,5,8−ジメタノ−3a,4,4a,5,8,8a,9,9a−オクタヒドロ−1H−ベンゾインデン等の環状非共役ジエン;2,3−ジイソプロピリデン−5−ノルボルネン;2−エチリデン−3−イソプロピリデン−5−ノルボルネン;2−プロペニル−2,2−ノルボルナジエン等を挙げることができる。これらのうちでは、1,4−ヘキサジエン、1,6−オクタジエン、及び環状非共役ジエン、とりわけ、ジシクロペンタジエン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−ビニル−2−ノルボルネン、5−メチレン−2−ノルボルネン、1,4−ヘキサジエン、1,6−オクタジエンが好ましい。
環状オレフィン系樹脂のガラス転移点は80℃以上であればよく、例えば、80℃〜180℃、好ましくは100℃〜170℃、より好ましくは110℃〜160℃である。なお、ガラス転移点は、共重合成分の割合、分子量等を調整して制御することができる。本発明で使用する環状オレフィン樹脂のガラス転移点(Tg)は、JIS K7121記載の方法によって昇温速度10℃/分の条件で測定した値を採用する。
環状オレフィン系樹脂は数平均分子量10000を超える高分子量環状オレフィン系樹脂であることが好ましい。より具体的には、環状オレフィン系樹脂の数平均分子量は15000〜200000であることが好ましく、より好ましくは20000〜100000であり、さらに好ましくは30000〜80000である。
<低分子量環状オレフィン系樹脂>
低分子量環状オレフィン系樹脂としては、前記環状オレフィン系樹脂の項で例示された環状オレフィン系樹脂が例示できる。これらの環状オレフィン系樹脂のうち、相溶性等の観点から、環状オレフィン系樹脂と同系統又は同種の樹脂を用いることが好ましい。
低分子量環状ポリオレフィン系樹脂が共重合体である場合、共重合性単量体(例えば、エチレン等のα−オレフィン類)の割合は、全単量体中0〜99モル%程度の範囲から選択できるが、外観特性等の点から、例えば、50〜99モル%、好ましくは55〜95モル%程度であってもよい。特に、共重合性単量体がエチレンである場合、エチレンの割合は、外観特性等の点から、例えば60〜90モル%、好ましくは70〜85モル%程度であってもよい。
低分子量環状オレフィン系樹脂のガラス転移点は、70℃以下であることが好ましく、より好ましくは、40℃〜70℃である。ガラス転移点が70℃以下であれば、低分子量環状オレフィン系樹脂は、通常の環状オレフィン系樹脂よりも先に溶けるので、溶融成形の際に、スクリュによって環状オレフィン系樹脂にかかるせん断力を和らげることができる。このため、ゲル状物が発生することを抑制することができるので好ましく、40℃以上であれば、固体として使用できるのでマスターバッチ化する時の取扱いが容易になり好ましい。
低分子量環状オレフィン系樹脂のガラス転移点は、上記環状オレフィン系樹脂のガラス転移点より低いほうが好ましい。その差は、10℃〜100℃が好ましく、より好ましくは20℃から100℃である。
低分子量環状オレフィン系樹脂の数平均分子量は10000以下である。その数平均分子量は500〜8000であることが好ましく、より好ましくは1000〜7000であり、さらに好ましくは、1500〜6000である。
上記環状オレフィン系樹脂と低分子量環状オレフィン系樹脂との数平均分子量の差は特に限定されないが、1000〜200000であることが好ましく、より好ましくは10000〜150000、さらに好ましくは20000〜100000、最も好ましくは30000〜80000である。上記環状オレフィン系樹脂と低分子量環状オレフィン系樹脂との数平均分子量の差が1000以上であれば、ゲル状物の発生を抑制する効果が顕著になるため好ましく、200000以下であれば加工温度差が許容範囲内であり、成形時の加工性に悪影響を与えないので好ましい。
[マスターバッチ]
本発明は、低分子量環状オレフィン系樹脂を環状オレフィン系樹脂とマスターバッチ化して用いることが特徴である。マスターバッチ化することで射出成形の際に低分子量環状オレフィン系樹脂の急速な溶融を防ぐことができる。このため、樹脂の食い込み性が向上し、成形材料がスムーズに移動する。その結果、射出成形の際にショット毎の計量時間が短くなり、射出成形品の生産性が向上する。
マスターバッチ中の環状オレフィン系樹脂は10質量%〜95質量%であることが好ましい。より好ましくは20質量%〜90質量%である。マスターバッチ中の環状オレフィン系樹脂の含有量が上記範囲にあれば、低分子量環状オレフィン系樹脂の量が環状オレフィン系樹脂の量と同等以下であれば、マスターバッチペレットは十分な靭性を持ち、粉の発生量が小さく計量の問題を引き起こしにくいので好ましい。
低分子量環状オレフィン系樹脂については5質量%〜90質量%であることが好ましい。より好ましくは10質量%〜80質量%である。5質量%以上であればゲル低減効果があるので好ましく、90質量%以下であれば低分子量環状オレフィン系樹脂の量が環状オレフィン系樹脂の量と同等以下であれば、マスターバッチペレットは十分な靭性を持ち、粉の発生量が小さく計量の問題を引き起こしにくいので好ましい。
マスターバッチの作製は、環状オレフィン系樹脂と低分子量環状オレフィン系樹脂とを押出し機に投入し押出しにより、マスターバッチを作製することが好ましい。押出機の種類は特に限定されない。低分子量環状オレフィン系樹脂の急速な溶融のため射出成形でマスターバッチを作製することは困難である。
マスターバッチの作製には、環状オレフィン系樹脂と低分子量環状オレフィン系樹脂とを押出機内で、均一に混練・可塑化する必要がある。本発明では、低分子量環状オレフィン系樹脂が急速に溶融するため、シリンダー温度は180℃〜340℃であることが好ましい。より好ましくは200℃〜320℃である。
また、スクリュの回転数は50rpm〜300rpmが好ましく、より好ましくは100rpm〜250rpmである。押出量については5kg/hr〜200kg/hrであることが好ましい。より好ましくは10kg/hr〜100kg/hrである。
得られたマスターバッチのガラス転移点は100℃以下であることが好ましい。より好ましくは50℃〜100℃である。ガラス転移点が上記範囲内であれば、マスターバッチの急速な溶融を防ぎ、射出成形を容易にするために必要な低分子量環状オレフィン系樹脂を、射出成形の際によりスムーズに移送することができるので好ましい。
[環状オレフィン系樹脂]
マスターバッチとドライブレンドする環状オレフィン系樹脂としては、マスターバッチに含まれる上記環状オレフィン系樹脂の説明で例示したものと同様のものを例示することができる。
マスターバッチとドライブレンドする環状オレフィン系樹脂はマスターバッチに含まれる環状オレフィン系樹脂と異なる樹脂であってもよいが、相溶性等の観点から同じ樹脂を用いることが好ましい。
[射出成形]
本発明の特徴は射出成形をすることである。そこで、以下、射出成形をいくつかの工程に分けて、上記マスターバッチを用いることが好ましい理由を説明する。
射出成形は、材料投入工程、可塑化工程、射出・保圧・冷却工程に分けることができる。
<材料投入工程>
本発明における射出成形は、ドライブレンドすることが特徴である。ドライブレンドでなければ、表面に現れる低分子量環状オレフィン系樹脂が少ないため、ゲル状物発生を効果的に抑制することができない。
低分子量環状オレフィン系樹脂の含有量が多い環状オレフィン系樹脂ペレットを成形材料として用いても射出成形は容易になる。しかし、射出成形品中の低分子量環状オレフィン系樹脂の含有量が多くなると、引張破断伸度等の機械的強度が低下するので好ましくない。したがって、ゲル状物の発生を効果的に抑制し、且つ高品質な射出成形品を得るためにはドライブレンドすることが必要である。
マスターバッチとドライブレンドする環状オレフィン系樹脂の形状は、特に限定されず、粉末であってもよいがペレットであることが好ましい。
<可塑化工程>
可塑化工程では、ホッパから供給された環状オレフィン系樹脂、マスターバッチ等(成形材料)を移送・溶融して、均質な溶融体を作る。
ホッパから投入された環状オレフィン樹脂やマスターバッチ等の成形材料は、スクリュの回転によりホッパ側からノズル方向側に移送される。スクリュはホッパ側からフィードゾーン(供給部)、コンプレッションゾーン(圧縮部)、メータリングゾーン(計量部)からなる。
供給部は、一般に樹脂ペレットが溶融しないような温度設定で、樹脂ペレットをホッパ側からノズル方向側に移送する働きをする。低温で行われるが、溶融の準備段階として外部ヒータによる予熱が行われる。また、樹脂ペレットは、回転するスクリュとシリンダーに挟まれるため、樹脂ペレットには摩擦力が加わり、摩擦熱が発生する。ガラス転移点の低い低分子量環状オレフィン系樹脂は一般的に融点も低いことが多く、このような低分子量環状オレフィン系樹脂を多く含むペレットを成形材料として用いると、上記予熱や摩擦熱によって溶融する場合がある。
この段階で成形材料が溶融すると、スクリュと共周りしてしまい成形材料の移送が上手くいかない。また、完全に低分子量環状オレフィン樹脂を多く含むペレットが溶融しない場合であっても、環状オレフィン系樹脂ペレットとともに大きな塊になることがある。この塊の大きさと比べてスクリュの溝が浅いと成形材料の移送が上手くいかなくなる。移送が上手くいかなくなると計量時間が長くなり、射出成形品の生産性が低下する。また、移送がスムーズに進まないのでショット毎の計量時間の差が大きくなる。計量時間がばらつくことによって得られる射出成形品の品質に影響を与える。
しかし、ゲル状物発生を抑制するためには、溶融成形の際に、環状オレフィン系樹脂よりも先にマスターバッチが溶け、環状オレフィン系樹脂にかかるせん断力をより小さくすることが必要である。このためには低分子量環状オレフィン系樹脂が必要になる。
そこで、本発明のように、成形材料として環状オレフィン系樹脂と低分子量環状オレフィン系樹脂とを含むマスターバッチを用いることで、マスターバッチとしてはガラス転移点や融点が上がるため、供給部において溶け出すことがなくなる。したがって、低分子量環状オレフィン系樹脂を環状オレフィン系樹脂とマスターバッチ化して用いれば、低分子量環状オレフィン系樹脂をスムーズに移送することができる。
成形材料の移送をスムーズにするために、マスターバッチは、環状オレフィン系樹脂を50質量%〜95質量%、より好ましくは20質量%〜95質量%である。
また、移送をスムーズにするためには、低分子量環状オレフィン系樹脂の含有量は少ない方がよく、低分子量環状オレフィン系樹脂を5質量%〜80質量%含むことが好ましい。より好ましくは10質量%〜60質量%である。
マスターバッチのガラス転移点は100℃以下であることが好ましい。ガラス転移点が100℃以下であれば、供給部でマスターバッチが溶け出すことを防ぐことができる。このため低分子量環状オレフィン系樹脂を含むマスターバッチをスムーズにコンプレッションゾーンに移送することができる。より好ましくはマスターバッチのガラス転移点は50℃〜100℃、さらに好ましくは60℃〜100℃である。
圧縮部ではスクリュの溝の深さは次第に浅くなっていく。このため圧縮部では、樹脂ペレットに圧力が加わる。したがって、圧縮部では、樹脂ペレットは溶融しながら、さらに前方(ホッパからノズルの方向)へと移送される。
ゲル状物が発生するのは、この溶融する際に加わるせん断力が原因である。低分子量環状オレフィン系樹脂を含むマスターバッチが環状オレフィン系樹脂よりも先に溶け出すことで、環状オレフィン系樹脂に加わるせん断力を和らげることができる。
本発明では、供給部での移送をスムーズにするために、環状オレフィン系樹脂と低分子量環状オレフィン系樹脂とを含むマスターバッチを用いる。このマスターバッチは低分子量環状オレフィン系樹脂のみからなるペレットよりも溶けにくいが、環状オレフィン系樹脂ペレットよりも先に溶け環状オレフィン系樹脂に加わるせん断力を和らげるようなマスターバッチにする必要がある。
本発明のマスターバッチは、環状オレフィン系樹脂よりも先に低分子量環状オレフィン系樹脂を含むマスターバッチが先に溶け出すように、低分子量環状オレフィン系樹脂を5質量%〜80質量%含むことが好ましい。より好ましくは10質量%〜60質量%である。
ここで、マスターバッチが先に溶け出すのは、マスターバッチの表面に一定の低分子量環状オレフィン系樹脂が存在するからである。低分子量環状オレフィン系樹脂の含有量が上記範囲内であれば、先に溶けた低分子量環状オレフィン系樹脂が環状オレフィン系樹脂に加わるせん断力を和らげることができる。
また、低分子量環状オレフィン系樹脂も環状オレフィン系樹脂なので、低分子量環状オレフィン系樹脂が多すぎると、この時に加わるせん断力でゲル状物が発生してしまう危険がある。したがって、マスターバッチに含まれる低分子量環状オレフィン系樹の含有量は上記範囲内であることが好ましい。
低分子量環状オレフィン系樹脂の含有量を低下させるために、樹脂ペレットのサイズは、幅4mm〜1mm、長さ5mm〜1mm、厚さ4mm〜1mmであることが好ましい。ペレットの大きさが上記範囲であれば、少ない量の低分子量環状オレフィン樹脂を用いても、ペレット表面に低分子量環状オレフィン系樹脂が現れる確率が高くなるので好ましい。
環状オレフィン系樹脂に加わるせん断力をくまなく和らげるために、マスターバッチを、マスターバッチとドライブレンドする環状オレフィン系樹脂100質量部に対して、5質量部〜100質量部用いることが好ましい。より好ましくは10質量部〜100質量部である。
計量部は、成形材料を完全に溶融し、可塑化の均一化を図りこれをさらに前方に送る働きをする。高品質の射出成形品を得るためには可塑化の均一性が不可欠である。可塑化が不均一になる原因の一つは、成形材料の溶融し始める温度が異なることにある。本発明では、意図的に先に溶融し始める低分子量環状オレフィン系樹脂マスターバッチを用いて射出成形する。したがって、均一な可塑化を実現できるように成形材料を選択する必要がある。
可塑化を均一にするために、本発明に用いるマスターバッチは、環状オレフィン系樹脂の含有量が20質量%から95質量%、低分子量環状オレフィン系樹脂の含有量が5質量%から80質量%であることが好ましい。また、そのマスターバッチを、マスターバッチとドライブレンドする環状オレフィン系樹脂100質量部に対して、5質量部〜50質量部用いることが好ましい。より好ましくは10質量部〜100質量部である。
可塑化を均一にするために、低分子量環状オレフィン系樹脂を含むマスターバッチとそのマスターバッチとドライブレンドする環状オレフィン系樹脂とのガラス転移温度の差は、5℃〜250℃であることが好ましい。より好ましくは10℃〜200℃である。
均一な可塑化を実現するためには、計量部の溝を浅くしてスクリュの圧縮比を大きくする必要がある。一方で、生産性向上のためにハイサイクル成形を行うには、計量部の溝を深くして圧縮比を小さくする必要がある。通常、圧縮比の小さいハイサイクル成形を行う場合には、均一な可塑化を実現するために、スクリュ長さとスクリュ直径の比(L/D)を大きくする必要がある。均一な可塑化と生産性の向上のために、本発明においては、圧縮比は2〜4の範囲が好ましく、L/Dは15〜25の範囲が好ましい。
ここで、「圧縮比」とは、供給部1ピッチの容積と計量部1ピッチの容積の比である。「スクリュ」長さとはホッパ下からスクリュ部先端までの長さである。
<射出・保圧・冷却工程>
射出工程は、溶融した樹脂をシリンダーから金型内へ押出す工程である。射出速度や射出圧力は、用いる成形材料によって好ましい射出速度で射出する。
保圧工程は、溶融した成形材料の射出後、射出成形装置のシリンダー側から金型のゲート部を通じてキャビティ内の溶融樹脂に圧力を加え続ける工程である。冷却に伴いキャビティ内の樹脂は体積収縮するが、保圧を行うことでキャビティ内に溶融樹脂を補充することができる。このため、キャビティ内の過剰な体積収縮を抑制することができる。なお、ゲートシール時間以上保圧することで一定の品質を保つことができる。
以下に、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
[材料]
マスターバッチとドライブレンドする環状オレフィン系樹脂(樹脂A):Topas Advanced Polymers GmbH社製、商品名「TOPAS5013」、数平均分子量40000、ガラス転移点140℃。
マスターバッチに含まれる環状オレフィン系樹脂(B1):Topas Advanced Polymers GmbH社製、商品名「TOPAS5010」、数平均分子量30000、ガラス転移点110℃。
低分子量環状オレフィン系樹脂(B2):Topas Advanced Polymers GmbH社製、商品名「TOPAS TM」、数平均分子量4400、ガラス転移点67℃。
[分子量の測定方法]
上記成形材料の数平均分子量は、以下の条件で測定した。
(測定条件)
装置:Shodex SYSTEM−21(RI)
溶媒:トルエン(ナカライHPLCグレード)
カラム:Polymer Laboratories社製、MIXED−C(1本)
流速:0.8ml/分
温度:40℃
試料濃度:0.2w/v%(予め0.2μmのメンブレンフィルタで濾過)
注入量:100μl
標準試料:分子量1090000、706000、427000、190000、96400、37900、18100、10200、5970、2630、1050、500のPS(0.1w/v%濃度のポリスチレン)
解析:PS換算の分子量を評価
繰り返した測定回数:2回
<マスターバッチの作製>
表1、2に示す配合で環状オレフィン系樹脂(A又はB1)と低分子量環状オレフィン系樹脂(B2)とのブレンド物を押出機(株式会社日本製鋼所製TEX30C)に投入し、シリンダー温度190℃、押出し量10kg/hr、スクリュ回転数150rpmで、長さ2.5mm、幅2.5mm、厚さ2.5mmの実施例1〜10及び比較例1、2のマスターバッチを作製した。実施例1ではマスターバッチの押出しは可能であったが、ストランドが折れやすく、半分がロングペレットになり押出し良好とはいえない。
<射出成形品の作製>
表1、2に示す配合で樹脂原料として環状オレフィン系樹脂(A)の樹脂ペレットと実施例又は比較例のマスターバッチの樹脂ペレットと(比較例3は環状オレフィン系樹脂(A)のみ)を成形機(住友重機械工業株式会社製SE75D)に投入し射出成形品を作製した。成形条件は金型として70mm角2mmt平板(フィルムゲート)を用い、シリンダー温度270℃、金型温度110℃、射出速度150mm/s、保圧30MPa×30s、冷却40s、計量50mm、スクリュ回転数200rpm、背圧15MPa、VP切替位置11mmとした。得られた射出成形品は長さ70mm、幅70mm、厚さ2mmであった。
[評価1]
上記実施例及び比較例の射出成形品の成形の際に計量時間を測定した。測定回数は30回とした。計量時間の平均(AVG)と、最長の計量時間と最短の計量時間の差とを計算し、結果を表1に示した。
[評価2]
実施例、比較例の射出成形品1gを20gのシクロヘキサンに入れ、マグネティックスターラーで500rpmにて2時間攪拌し射出成形品を溶解した。その後、溶液内の不溶物量を目視で評価した。評価は不溶物無しの場合が5、不溶物が少ない場合が4、不溶物がやや少ない場合が3、不溶物がやや多い場合が2、不溶物が多い場合が1とした。これらの評価結果を表1に示した。
[評価3]
射出速度を40mm/sに変更した以外は上記実施例、比較例と同様に射出成形品を得た。射出成形品を目視で評価し、その評価はスプレーマーク無しを◎、スプレーマークが少ない場合を○、スプレーマークが多い場合を×とした。評価結果を表1に示した。
Figure 0005341347
Figure 0005341347
比較例1の計量時間は平均で60秒を超え、最長の計量時間と最短の計量時間との差は計測できなかった。これに対し、実施例1〜10の計量時間は全て60秒以内、最長の計量時間と最短の計量時間との差は最も長いものでも28.6秒であった。したがって、低分子量環状オレフィン系樹脂を環状オレフィン樹脂とマスターバッチ化して用いることで、射出成形品の生産性が向上した。特に実施例2〜4、6、9では、平均の計量時間が非常に短く、さらに、最長の計量時間と最短の計量時間との差も非常に短いため、生産性の向上とともに、射出成形品の品質安定性の効果も得られる。
低分子量環状オレフィン系樹脂を全く用いない比較例2、3では、スプレーマーク、不溶物(ゲル状物)が非常に多く確認された。これに対し、実施例1〜10ではスプレーマークは少なく、不溶物(ゲル状物)もほとんど確認されなかった。したがって、低分子量環状オレフィン系樹脂を含むマスターバッチを用いることで、射出成形品の外観特性の低下を防ぐことができる。

Claims (5)

  1. 数平均分子量が10000を超える高分子量環状オレフィン系樹脂と、数平均分子量が10000以下である低分子量環状オレフィン系樹脂と、を用いた射出成形品の製造方法であって、
    前記高分子量環状オレフィン系樹脂と前記低分子量環状オレフィン系樹脂とを含むマスターバッチと、
    前記高分子量環状オレフィン系樹脂と、をドライブレンドする工程後に射出成形する射出成形品の製造方法。
  2. 前記マスターバッチは、前記高分子量環状オレフィン系樹脂の含有量が20質量%から95質量%、前記低分子量環状オレフィン系樹脂の含有量が5質量%から80質量%であるマスターバッチであって、
    前記ドライブレンドする工程は、前記高分子量環状オレフィン系樹脂100質量部に対して、前記マスターバッチを5質量部から100質量部のブレンドである請求項1に記載の射出成形品の製造方法。
  3. 請求項1又は2に記載の射出成形品の製造方法に用いるマスターバッチであって、
    前記高分子量環状オレフィン系樹脂の含有量が20質量%から95質量%、
    前記低分子量環状オレフィン系樹脂の含有量が5質量%から80質量%であるマスターバッチ。
  4. 前記低分子量環状オレフィン系樹脂の含有量が10質量%から70質量%である請求項3に記載のマスターバッチ。
  5. ガラス転移点が100℃以下である請求項3又は4に記載のマスターバッチ。
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