JP2024027021A - ゲル化物抑制剤、ペレット混合物、押出成形体、及び押出成形体の製造方法 - Google Patents

ゲル化物抑制剤、ペレット混合物、押出成形体、及び押出成形体の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 エチレン―ノルボルネン共重合体(ENB)の押出成形体で問題となるゲル化物の発生を容易に抑制できるゲル化抑制剤を提供する。【解決手段】 低密度ポリエチレン、その熱分解物、またはこれらの組成物であって、下記特性(a)~(b)を満足する、エチレン―ノルボルネン共重合体を含む押出成形体成形用ゲル化物抑制剤。(a)JIS K 6922-1に準拠し、190℃、荷重21.18Nで測定したメルトマスフローレートが120~10000g/10分である。(b)JIS K 6922-1に準拠して密度勾配管法で測定した密度が910~935kg/m3である。【選択図】 なし

Description

本発明は、環状オレフィン系樹脂の押出成形用のゲル化物抑制剤に関するものである。更に詳細には、環状オレフィン系樹脂ペレットとペレット状のゲル化物抑制剤のペレット混合物、その押出成形体、及び押出成形体の製造方法に関するものである。
エチレンやプロピレンなどの直鎖状の不飽和炭化水素を主に重合して得られるオレフィン系樹脂は、ポリエチレンやポリプロピレンとして、広く認知されており、日用品、食品包装材、自動車部品など様々な用途に使用されている。一方、ノルボルネン類などの不飽和環状炭化水素を主成分あるいは副成分として重合して得られる環状オレフィン系樹脂は、ポリマー鎖が嵩高い骨格となることから、透明性、防湿性、機械的特性等に優れ、汎用のオレフィン系樹脂では適応できない光学用途や、医薬又は医療機器用途等に用いられている。
オレフィン系樹脂、環状オレフィン系樹脂を実用形状の製品にするためには、これら樹脂の製品ペレットを押出機により加熱可塑化させ、所望の形状となるように賦形することが一般的である。この一連のプロセスは押出成形と呼ばれ、加熱可塑化後の賦形方法の違いにより、ブロー成形、射出成形、インフレーション成形など様々な成形方法が製品毎に使い分けられている。
熱可塑性樹脂を押出成形する場合、一部のポリマー鎖は、加熱可塑化時に受ける熱や応力、押出機内に残存する酸素の影響により、その化学構造に変化が生じる。具体的には、分子鎖切断による低分子量化、反対に、分子鎖同士の結合による高分子量化や分岐生成、さらには、三次元架橋化(ゲル化)も生じることになる。オレフィン系樹脂は、適切な成形条件(温度や押出速度)を設定することにより、顕著な化学構造変化を起こすことなく押出成形が可能であるが、フィルム用途などでは、ゲル化物がフィッシュアイと呼称される欠陥として発生し、品質上の問題になる場合がある。環状オレフィン系樹脂、中でも、エチレンとノルボルネン類の共重合体であるシクロオレフィンコポリマー(以下、COC)は、押出成形すると顕著にゲル化物が発生する特性を持つことが知られている。この原因は、COCの製品ペレットが加熱可塑化する工程において溶融前に受ける剪断応力であると考えられている。より詳細には、COCのポリマー鎖同士が固体状態で与えられる機械的エネルギーにより架橋するという、所謂、メカノケミカル反応により、ゲル化物が生成するものと考えられている。
そのため、上記のようなゲル化物の発生を抑制するためには、メカノケミカル反応を抑える方法が好適であり、実際に、脂肪酸アミド系滑剤、金属石鹸系滑剤等の滑剤を添加する方法(特許文献1参照。)、COCの製品ペレットを予備加熱してから押出成形する方法(特許文献2参照。)が知られている。更に、添加剤として、メルトマスフローレートが4から80g/10分の低密度ポリエチレンを含有させ、成形体を環状オレフィン系樹脂ペレットと、低密度ポリエチレンペレットと、をドライブレンドする工程後に成形する方法も提案されている(特許文献3参照。)。
特開2006-321902号公報 特開2005-305941号公報 特開2010-180318号公報
しかしながら、上記特許文献1の方法においては、微粒子状の添加剤をCOC製品ペレットの表面に分散付着させることが有効であるものの、微粒子が環境中に舞う可能性があるため、医療用包装材や半導体の製造現場などクリーンな環境を保つ必要がある空間では、本手法を採用できない。上記特許文献2の方法は、クリーンな環境下での実施が可能であるものの、予備加熱装置が必要なため、汎用オレフィン樹脂の押出成形では不必要な予備加熱装置を導入しなければならず、設備投資のコストがかかる。上記特許文献3の方法は、COC製品ペレットと低密度ポリエチレンペレットのペレット混合物を押出成形する方法であり、少量(全体に対して0.5~10質量パーセント)の低密度ポリエチレンペレットの添加でゲル化物の抑制が可能であるため、COCの特性を損なうことなく押出成形が可能となる点で優れた方法といえる。一方、本発明者らの更なる研究により、特許文献3の請求範囲の特性を有する低密度ポリエチレンのブレンドは、0.1mm以下の微細なゲル化物の抑制効果に乏しく、フィルムなどの薄肉成形体においては、実用上、満足できるレベルではないことが明らかとなった。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究した結果、COCの中で、特に、エチレン―ノルボルネン共重合体(以下、ENB)に対して、特定の要件を満足するポリエチレンがゲル化物抑制剤として作用し、ENBペレットに特定の要件を満足するポリエチレンペレットを少量混合したペレット混合物を押出成形することで、COC固有の特性を維持しつつ、ゲル化物が抑制された外観美麗な成形体が得られ、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の[1]及至[7]に存する。
[1]低密度ポリエチレン、その熱分解物、またはこれらの組成物であって、下記特性(a)~(b)を満足する、ENBを含む押出成形体の成形用ゲル化物抑制剤。
(a)JIS K 6922-1に準拠し、190℃、荷重21.18Nで測定したメルトマスフローレートが120~10000g/10分である。
(b)JIS K 6922-1に準拠して密度勾配管法で測定した密度が910~935kg/mである。
[2]上記[1]に記載のゲル化物抑制剤を含むペレット
[3]ENBペレット99.5~90.0重量部と、上記[2]のペレット0.5~10.0重量部(これらの合計は100重量部)を含むペレット混合物。
[4]上記[3]に記載のペレット混合物を成形してなる成形体。
[5]上記[3]に記載のペレット混合物を成形してなるフィルム。
[6]フィルムの破断伸度が50%以上である上記[5]に記載のフィルム。
[7]フィルムのフィッシュアイが4mmあたり10個以下である、上記[5]又は[6]に記載のフィルム。
[8]ENBを含む成形体の製造方法であって、ENBペレットと、上記[1]のゲル化物抑制剤または上記[2]のペレットと、をドライブレンドする工程後に押出成形する、ENBを含む成形体の製造方法。
本発明のゲル化物抑制剤は、ENBの押出成形体で問題となるゲル化物の発生を容易に抑制できるため、当該ゲル化物抑制剤を用いてENBの押出成形をすることにより、成形機などに特別な制限なく、汎用の成形機、成形条件にて、高品質の環状オレフィン樹脂成形体が得られるようになる。また、特に、フィルムにした場合、一般的には脆く、靭性がないと言われているENBの押出成形体に、その特徴的な物性(剛性など)を低下させることなく、靭性を付与することができるため、靭性が必要な食品や医療包装用途などに応用が可能となる。
以下に、本発明を詳細に説明する。
<ゲル化物抑制剤>
本発明の一態様であるゲル化物抑制剤は、低密度ポリエチレン、その熱分解物、またはこれらの組成物である。ゲル化抑制剤のJIS K 6922-1に準拠し、190℃、荷重21.18Nで測定したメルトマスフローレート(MFR)は120~10000g/10分であり、好ましくは140~9000g/10分である。また、JIS K6922-1に準拠し測定した密度は910~935kg/mであり、好ましくは915~930kg/mである。MFRが120g/10分未満では、得られる成形体に0.1mm以下のゲル化物が多数発生してしまう。また、10000g/10分を超えると押出成形時の押出量が脈動し、安定生産できなくなる。密度が910kg/m未満では、押出機の中での溶融開始点が樹脂ペレット投入口側に近づいてしまい、樹脂ペレットの固体搬送力が低下し、生産性が悪くなる。また、密度が935kg/mを超えると得られる押出成形体にゲル化物が多数発生してしまう。
低密度ポリエチレンとしては、直鎖状低密度ポリエチレン、高圧法低密度ポリエチレンの何れも用いることができる。
高圧法低密度ポリエチレンとしては、市販品として入手したものであってもよく、例えば、東ソー(株)製(商品名)ペトロセン353等を挙げることができる。ここで、高圧法とは、エチレンを高温、高圧下でラジカル重合する方法を示す。エチレンの高圧ラジカル重合からは、樹岐状の構造(長鎖分岐、短鎖分岐の両方を併せ持つ構造)の低密度ポリエチレンが重合され、直鎖状低密度ポリエチレンのような直鎖状(短鎖分岐のみを持つ構造)の低密度ポリエチレンとは、構造が異なることが一般的に知られている。
直鎖状低密度ポリエチレンとしては、市販品として入手したものであってもよく、例えば、三井化学(株)製(商品名)ハイワックス 720P等を挙げることができる。また、直鎖状低密度ポリエチレンは以下の方法により製造することができる。例えば高圧法、溶液法、気相法等の製造法により製造することが可能である。該直鎖状低密度ポリエチレンを製造する際には、一般的にマグネシウムとチタンを含有する固体触媒成分及び有機アルミニウム化合物からなるチーグラー触媒、シクロペンタジエニル誘導体を含有する有機遷移金属化合物と、これと反応してイオン性の錯体を形成する化合物及び/又は有機金属化合物からなるメタロセン触媒、バナジウム系触媒等を用いることができ、該触媒によりエチレンとα-オレフィンを共重合することにより製造可能である。α-オレフィンとしては、一般にα-オレフィンと称されているものでよく、プロピレン、ブテン-1、ヘキセン-1、オクテン-1、4-メチル-1-ペンテン等の炭素数3~12のα-オレフィンであることが好ましい。エチレンとα-オレフィンの共重合体としては、例えばエチレン・ヘキセン-1共重合体、エチレン・ブテン-1共重合体、エチレン・オクテン-1共重合体等が挙げられる。
低密度ポリエチレンの熱分解物としては、市販品として入手したものであってもよく、例えば、三洋化成工業(株)製(商品名)サンワックス 161P等を挙げることができる。低密度ポリエチレンの熱分解物は、直鎖状低密度ポリエチレン、または、高圧法低密度ポリエチレンを熱分解することによって得られる。低密度ポリエチレンの熱分解は、特に制限されるものではないが、不活性ガス雰囲気下、350~500℃で2分から5時間加熱し、熱分解温度以下の沸点温度を有する揮発性熱分解物が窒素置換または排気吸引によって除去され、冷却後、精製される方法等が含まれる。冷却工程では、熱分解物が薄膜、ストランド、ドロップフォームなどの形状で冷却されることで、熱伝導効率の低いポリエチレンおよび熱分解物でも急速に熱分解温度以下の温度まで冷却することができ、熱分解物内部の余熱による熱分解が進行しない。熱分解反応は、例えば、反応容器に原料ポリエチレンを入れ、窒素で置換したのちに窒素ガスを一定流量で、反応容器に供給しながら熱分解温度まで昇温し、保持する手法が挙げられる。反応容器についても特に制限はないが、一般に用いているものであればいずれでもよく、ホットプレート型加熱器、電気炉、管状電気炉、石英製マントルヒーター、ガス炉、ガス加熱式キルン、電気加熱式キルンなどのキルン型反応炉、単軸あるいは2軸のスクリュー型押出機、攪拌機付きステンレス製オートクレーブ、石英フラスコ、流動層式反応炉、固低床式反応炉、管状反応炉、マイクロ波式加熱炉などが挙げられる。中でも揮発成分の除去が容易なことからホットプレート型加熱器、電気炉、スクリュー型押出機、キルン型の反応炉を挙げることができる。
低密度ポリエチレンと低密度ポリエチレンの熱分解物の組成物は、前述の低密度ポリエチレンと、低密度ポリエチレンの熱分解物の組成物を、従来公知の方法、例えばヘンシェルミキサー、V-ブレンダー、リボンブレンダー、タンブラーブレンダー等で混合する方法、あるいはこのような方法で得られた混合物をさらに一軸押出機、二軸押出機、ニーダー、バンバリーミキサー等で溶融混練した後、造粒することによって得ることができる。
ゲル化物抑制剤には、本発明の効果を著しく損なわない範囲において、通常用いられる公知の添加剤、例えば酸化防止剤、中和剤、帯電防止剤、滑剤、アンチブロッキング剤、防曇剤、有機系あるいは無機系の顔料、紫外線吸収剤、分散剤等を適宜必要に応じて配合することができる。ゲル化物抑制剤に前記の添加剤を配合する方法は特に制限されるものではないが、例えば、重合後のペレット造粒工程で直接添加する方法、また、予め高濃度のマスターバッチを作製し、これを成形時にドライブレンドする方法等が挙げられる。
本発明の一態様であるゲル化物抑制剤を含むペレットの形状は特に限定されず、真球、半球、楕円球状などの球状、円柱、楕円柱、四角柱などの柱状、又は円盤状、直方体、立方体などの角型などのものが用いられる。ペレットのサイズは、本発明の効果が阻害されない範囲で制限されないが、通常、平均粒径が2~7mmであると、環状オレフィン系樹脂ペレットと混合した後に押出機で加熱可塑化させ、所望の形状に押出成形する際に、得られる成形体のゲル化物抑制効果に優れ、押出量の脈動が防げることから好ましい。
<エチレン―ノルボルネン共重合体(ENB)>
本発明に用いられるENBは、環状オレフィン成分を共重合成分として含むものであり、環状オレフィン成分としてノルボルネンを主鎖に含むポリエチレン系樹脂であれば、特に限定されるものではない。例えば下記式(1)で表される繰り返し単位を有するポリマーが挙げられる。
ポリマーに含まれる単量体成分としてのエチレンとノルボルネン系モノマーの割合は、エチレン/ノルボルネン系モノマーのモル比として、エチレン/ノルボルネン系モノマーが80/20~30/70の範囲であることが好ましい。この範囲においてエチレンが少ないほどポリマーのガラス転移温度が高くなり耐熱性に優れたものとなる傾向にあり、また、この範囲においてエチレンが多いほどポリマーの成形性が良好となる傾向にあり、また靭性が優れたものとなる傾向にある。上記の範囲のモノマーのモル比となるENBのガラス転移点は特に限定されないが、60から150℃であることが好ましい。なお、ガラス転移点(Tg)は、DSC法(JIS K7121記載の方法)によって昇温速度10℃/分の条件で測定した値を採用する。係るガラス転移点のENBを用いて、Tダイを用いた溶融押出によるフィルム製造等を行った場合には、特にゲル化が生じやすい傾向があり、本発明の効果が顕著に現れるためである。また、上記のENBのメルトボリュームフローレートは特に限定されないがISO1133に従い、230℃で2.16Kgの荷重下に測定する場合は、1~20cm/10分であることが好ましく、ISO1133に従い、230℃で2.16Kgの荷重下に測定する場合は、5~50cm/10分の範囲であることが好ましい。
ENBの製造方法は特に限定されることなく、公知の種々の製造方法を採用することができる。ポリマーは、例えば、エチレン及びノルボルネンモノマーを、液相で共重合させることによって製造することができる。該液相での共重合は、例えば、可溶性バナジウム化合物と有機アルミニウム化合物とからなる触媒の存在下、シクロヘキサン等の炭化水素溶媒中で、-50℃~100℃の範囲内の温度、0.01~50kg/cmGの範囲内の圧力で行うことができる。
ENBの数平均分子量又は極限粘度数は、特に限定されることなく目的等に応じて適宜好適なものを採用することができるが、一般的には、数平均分子量が10000~500000の範囲内であるか、又はデカリン中135℃で測定した極限粘度数が0.01~20dL/gの範囲内であることが好ましい。ENBの数平均分子量又は極限粘度数が上記上限値以下であると成形性の観点から好ましく、上記下限値以上であると靭性の観点から好ましい。
このようなポリマーとしては、例えばTOPAS Advanced Polymers社製の「TOPAS(登録商標)」等が挙げられる。
本発明において、ENBには、本発明の目的を阻害しない範囲の種類及び量の、酸化防止剤、耐候安定剤、紫外線吸収剤、抗菌剤、難燃剤、着色剤等の種々の添加剤を含むものを用いてもよい。ENBが添加剤を含むものである場合、例えば、ENBと添加剤を、重合時に内添したもの、もしくはENB製品ペレットに添加剤を外添したものを用いればよい。
<ペレット混合物>
本発明の一態様であるペレットの混合物は、ENBペレット99.5~90.0重量部と、低密度ポリエチレン、その熱分解物、またはこれらの組成物のペレット0.5~10.0重量部(これらの合計は100重量部)を、従来公知の方法、例えばヘンシェルミキサー、V-ブレンダー、リボンブレンダー、タンブラーブレンダー等で混合することにより得られる。この範囲の混合比率の場合、押出機で加熱可塑化させ、所望の形状に押出成形する際に、得られる成形体のゲル化物抑制効果に優れ、押出量の脈動が防ぐことができる。
<成形体>
前記ペレット混合物を成形して得られる成形体の種類は特に限定されず、例えば、射出成形体、フィルム、シート、チューブ、パイプ、ボトル等に成形することができる。また得られる成形体は単層であってもよく、多層成形体、積層体の一層として含まれてもよい。通常、ゲル発生等の問題解決のために環状オレフィン系樹脂に添加剤を配合すると、成形体の物性が低下してしまうことが知られている。しかしながら、本発明の一態様である成形体は、物性がほとんど低下しないことが特徴である。例えば、引張物性が低下しないこと、耐熱性が低下しないこと等が挙げられる。特に引張物性における破断伸度については、ENBペレット99.5~90.0重量部、低密度ポリエチレン、その熱分解物、またはこれらの組成物のペレット0.5~10.0重量部(これらの合計は100重量部)をドライブレンドした後に、押出フィルム成形することによって、引取方向の破断伸度が50%以上の靭性に優れるフィルムが得られる。さらに得られたフィルムは、0.04~0.1mmの微細なフィッシュアイ(透明な欠陥部)が4mmあたり10個以下となり、外観に優れる。尚、一般的なENB成形フィルムの破断伸度は5%未満であり、非常に脆いと認識されている。尚、ここでフィルムとは、100μm以下の厚みの成形体のことであり、一般的なフィルム成形方法で製造されたものであれば、特に限定されない。
<成形体の製造方法>
本発明の一態様であるENBを含む成形体の製造方法は、ENBペレット99.5~90.0重量部と、低密度ポリエチレン、その熱分解物、またはこれらの組成物のペレット0.5~10.0重量部(これらの合計は100重量部)、をドライブレンドして使用する。ドライブレンドした原料を用いて成形体を製造することにより、ENBの持つ様々な物性を保持し、様々な場面で使用可能でありながら、ゲル化物の発生を効果的に抑えることができる。
上記の通り、ドライブレンドする工程を備えるものであれば、成形条件、成形方法等は特に限定されず、使用するENBの種類(ノルボルネン含有量)、低密度ポリエチレンの種類、所望の成形体の形状等に応じて、成形条件、成形方法は適宜変更することができる。
従来公知の成形方法としては、例えば、水冷式または空冷式インフレーション成形、キャスト(Tダイ)成形、ブロー成形、シート成形、射出(2軸延伸)ブロー成形、射出成形、チューブ成形、ドライラミネーション成形、押出ラミネーション成形等の押出成形法が用いられ、これらは単層または多層で用いられる。一般に、フィルム、シート、チューブ、繊維等を連続的に成形加工する方法が押出成形と総称され、単軸押出機が成形加工によく用いられる。単軸押出機を使用した場合に本願発明のペレットブレンドは特に有効である。
以下に、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
<ENB>
COC1:TOPAS8007S-04(ポリプラスチックス株式会社製)、ガラス転移点78℃、メルトボリュームフローレート32cm/10分(260℃測定)
製品ペレットをそのまま用いた。
COC2:TOPAS6013F-04(ポリプラスチックス株式会社製)、ガラス転移点138℃、メルトボリュームフローレート1cm/10分(230℃測定)
製品ペレットをそのまま用いた。
<エチレン―テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]-3-ドデセン共重合体>
COC3:APL6509T(三井化学株式会社製)、ガラス転移点80℃、メルトボリュームフローレート30cm/10分(260℃測定)
製品ペレットをそのまま用いた。
<低密度ポリエチレン>
高圧法低密度ポリエチレン
LDPE1:ペトロセン353(東ソー株式会社製)、メルトマスフローレート145g/10分、密度915kg/m
LDPE2:ペトロセン202K(東ソー株式会社製)、メルトマスフローレート24g/10分、密度918kg/m
製品ペレットをそのまま用いた。
直鎖状低密度ポリエチレン
LLDPE1:二ポロンZHL610K(東ソー株式会社製)、メルトマスフローレート21g/10分、密度910kg/m
製品ペレットをそのまま用いた。
直鎖状低密度ポリエチレンWAX
LLDPEWAX:ハイワックス720P(三井化学株式会社製)、メルトマスフローレート5g/10分、密度920kg/m
製品パウダーを、下記条件にて圧縮成形して得られたシートを裁断し短径3mm、長径5mmの角型ペレット化し、用いた。圧縮成形は、神藤金属工業所製シントー式AWFA-50型複動油圧2段成形機、縦200mm、横200mm、厚み3mmの金枠を使用し、成形温度180℃、冷却温度30℃、予熱圧力0.1MPa、予熱時間5分、加熱加圧10MPa、加圧時間5分、冷却加圧10MPa、加圧時間5分の条件にて実施した。
高密度ポリエチレンWAX
HDPEWAX1:ハイワックス100P(三井化学株式会社製)、メルトマスフローレート>10000g/10分、密度950kg/m
HDPEWAX2:ハイワックス400P(三井化学株式会社製)、メルトマスフローレート9500g/10分、密度970kg/m
製品パウダーを、下記条件にて圧縮成形して得られたシートを裁断し短径3mm、長径5mmの角型ペレット化し、用いた。圧縮成形は、神藤金属工業所製シントー式AWFA-50型複動油圧2段成形機、縦200mm、横200mm、厚み3mmの金枠を使用し、成形温度180℃、冷却温度30℃、予熱圧力0.1MPa、予熱時間5分、加熱加圧10MPa、加圧時間5分、冷却加圧10MPa、加圧時間5分の条件にて実施した。
<低密度ポリエチレンの熱分解物>
LDPEWAX1:サンワックス(三洋化成工業株式会社製)、161P、メルトマスフローレート8990g/10分、密度930kg/m
LDPEWAX2:サンワックス(三洋化成工業株式会社製)、171P、メルトマスフローレート>10000g/10分、密度930kg/m
製品パウダーを、下記条件にて圧縮成形して得られたシートを裁断し短径3mm、長径5mmの角型ペレット化し、用いた。圧縮成形は、神藤金属工業所製シントー式AWFA-50型複動油圧2段成形機、縦200mm、横200mm、厚み3mmの金枠を使用し、成形温度180℃、冷却温度30℃、予熱圧力0.1MPa、予熱時間5分、加熱加圧10MPa、加圧時間5分、冷却加圧10MPa、加圧時間5分の条件にて実施した。
<低密度ポリエチレンと低密度ポリエチレンの熱分解物の組成物>
ペトロセン353の製品ペレットとサンワックス161Pの製品パウダーを、下記条件にてミキサー混練して得られた塊状物を、下記条件にて圧縮成形して得られたシートを裁断し短径3mm、長径5mmの角型ペレット化し、用いた。ミキサー混練は、東洋精機製作所製の100ccバッチ式ミキサーR100を使用し、ミキサー温度160℃、回転数40rpmの条件にて実施した。ペトロセン353の製品ペレットとサンワックス161Pはそれぞれ30gを予めドライブレンドした後に、ミキサーに投入して混練を行った。圧縮成形は、神藤金属工業所製シントー式AWFA-50型複動油圧2段成形機、縦200mm、横200mm、厚み3mmの金枠を使用し、成形温度180℃、冷却温度30℃、予熱圧力0.1MPa、予熱時間5分、加熱加圧10MPa、加圧時間5分、冷却加圧10MPa、加圧時間5分の条件にて実施した。
<成形方法>
開口幅250mm、ダイリップクリアランス1mmのTダイおよびフルフライトスクリュー(直径30mmφ、L/D=32、圧縮比=3)を備え付けたアイ・ケー・ジー(株)製単軸押出機PMS30-32と巻取り機を用いて、後述の実施例、比較例に記載の条件にて、キャストフィルム成形を行った。
<成形体特性評価方法>
~ゲル化物の評価~
成形したキャストフィルムのゲル化物は、フィルムのフィッシュアイ(透明な欠陥部:以下、F.E.)として、下記の方法で評価した。
直径0.04~0.10mm未満のF.E.については、成形フィルムの任意の場所から10mm四方のフィルム片を切り出し、ニコン株式会社製光学顕微鏡LV100NDを用いて、倍率110倍、透過照明モードにて観察し、観察視野4mm内のF.E.の数を目視で数えた。
直径0.10mm以上のF.E.については、成形フィルムから、縦(成形フィルムの引取方向)100mm、横(引取方向と直交した方向)100mmの試験片を切り出し、目視にて、F.E.の数をカウントした。
~引張物性の評価~
成形したキャストフィルムから縦(成形フィルムの引取方向)60mm、横(引取方向と直交した方向)3.3mmの短冊片を切出し、オリエンテック(株)製引張試験機テンシロンRTE-1210を用いて、引張速度100mm/min、チャック間距離30mmの条件で引張試験を実施し、得られた応力-歪曲線より、降伏応力、破断強度、破断伸度を測定した。なお、降伏応力は、降伏点での応力、破断強度は、破断時の応力、破断伸度は、破断時の伸びをチャック間距離30mmで除した値に100を乗じてパーセント表示した値である。また、歪1%における応力-歪曲線の傾きを引張弾性率とした。
<実施例1~12>
表1に記載する樹脂ペレット、混合比率にて、COCペレットと、低密度ポリエチレン、または、低密度ポリエチレンの熱分解物、低密度ポリエチレンと低密度ポリエチレンの熱分解物の組成物とを株式会社誠和鉄工所製回転式タンブラーSD-25にて混合し、このペレット混合物を押出機ホッパーに投入し、表1に示す成形条件(押出機設定温度180~220℃、押出機設定回転数30~50rpm)で押出し、巻取り機を用いて引取り、フィルムを作製した。得られたフィルムの幅は150mm、厚み40μmであった。なお、ダイ出口から押出される溶融フィルムの状態を目視観察し、押出量の不安定化の有無を判断した。尚、押出量の不安定化とは押出量が一定ではなくなることであり、一般的にサージングとして認識される押出成形における不良現象のことである。
押出量の不安定あり=フィルムの幅が大きくなったり、小さくなったりを繰り返す。
押出量の不安定なし=フィルムの幅が一定で安定。
<比較例1~13>
樹脂ペレットの種類、混合比率、および成形条件を表2のように変えた以外は実施例1と同様に行った。結果を表2に示す。

Claims (8)

  1. 低密度ポリエチレン、その熱分解物、またはこれらの組成物であって、下記特性(a)~(b)を満足する、エチレン―ノルボルネン共重合体(ENB)を含む押出成形体の成形用ゲル化物抑制剤。
    (a)JIS K 6922-1に準拠し、190℃、荷重21.18Nで測定したメルトマスフローレートが120~10000g/10分である。
    (b)JIS K 6922-1に準拠して密度勾配管法で測定した密度が910~935kg/mである。
  2. 請求項1に記載のゲル化物抑制剤を含むペレット。
  3. ENBペレット99.5~90.0重量部と、請求項2記載のペレット0.5~10.0重量部(これらの合計は100重量部)を含むペレット混合物。
  4. 請求項3に記載のペレット混合物を成形してなる成形体。
  5. 請求項3に記載のペレット混合物を成形してなるフィルム。
  6. フィルムの破断伸度が50%以上である、請求項5に記載のフィルム。
  7. フィルムのフィッシュアイが4mmあたり10個以下である、請求項5に記載のフィルム。
  8. ENBペレットと、請求項2のペレットと、をドライブレンドする工程後に押出成形する、ENBを含む成形体の製造方法。
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