<実施形態1>
本発明の実施形態1を図1〜図23によって説明する。本実施形態では、自動車に搭載されたバッテリ10に接続されるバッテリ端子20と、バッテリ端子20に取り付けられる回動規制部材40とからなるバッテリ端子ユニットUを例示する。なお、以下では、上下方向については図3〜図5,図7〜図10,図12,図14,図16,図19,図21,図23を基準とする。また、各図面の一部にはX軸、Y軸及びZ軸を示しており、各軸方向が各図面で示した方向となるように描かれている。また、図15においては、係合部品57の図示を省略している。
バッテリ10は、図18〜図20に示すように、略箱型をなすバッテリ本体11と、その上面11aから立設される略円柱状のバッテリポスト12とを備えている。バッテリポスト12は、鉛などからなるとともにバッテリ本体11の上面11aのうち角位置付近に設置されており、バッテリ本体11の上面11aと共にバッテリ本体11の角部を構成する一対の側面11b,11cとの間にそれぞれ所定の距離が空けられている。このバッテリポスト12に対して次述するバッテリ端子20が接続されるようになっている。
バッテリ端子20は、金属板をプレス成形することで、所望の形状に形成されており、図1〜図3に示すように、バッテリポスト12に対して嵌合接続されるポスト嵌合部21と、図示しない電線の端末に設けられた端子金具70(図11)などが接続されるスタッドボルト24を立設状態に保持するボルト保持部22とが繋ぎ部23によって一体に繋がれた構成となっている。端子金具70の構成については後に詳しく説明するものとする。ポスト嵌合部21、繋ぎ部23及びボルト保持部22は、X軸方向(バッテリ端子20に対する回動規制部材40の取付方向)に沿って直線的に並んで配されている。このうち、ボルト保持部22に対してポスト嵌合部21側とは反対側から回動規制部材40が取り付けられるようになっており、取付状態ではバッテリポスト12側からポスト嵌合部21、繋ぎ部23、ボルト保持部22、回動規制部材40の順でX軸方向に沿って並ぶことになる(図11)。なお、ポスト嵌合部21がバッテリポスト12に嵌合された状態では、ボルト保持部22は、バッテリ本体11におけるZ軸方向及びY軸方向に沿った側面11bから外部に突出することがなく、側面11bとの間に所定の間隔(後述する回動規制部材40の横壁41bの長さ寸法分程度の間隔)を空けた位置に配される(図18,図19)。
ポスト嵌合部21は、バッテリポスト12に外嵌される略円弧状の締付部25と、締付部25の両端部からバッテリポスト12の径方向外向きに延出する一対の延出部26とからなる。締付部25は繋ぎ部23から立ち上げた片部を回曲させることで形成され、延出部26はその片部の両先端部を外向きに屈曲させることで形成される。締付部25は、その内径を増減させるように径方向に弾性撓みし得るようになっており、自由状態における内径寸法がバッテリポスト12の外径寸法よりも大きく設定されることで、バッテリポスト12に対して遊嵌可能とされる。両延出部26は、略方形の平板状をなし、自由状態においては、延出端側ほど間隔が広がるよう傾いた姿勢とされる。両延出部26には、ボルト27を挿通可能なボルト挿通孔26aが貫通形成されており、一方の延出部26の外側から両ボルト挿通孔26aにボルト27を挿通させ、その先端部を他方の延出部26の外側に突出させた状態でそこにナット28が締め付けられる。このボルト27及びナット28の締め付け状態を調整することで、両延出部26間の間隔を増減でき、それに連動して締付部25の内径寸法が増減される(縮径または拡径される)ので、バッテリポスト12に対してポスト嵌合部21を所望の保持力でもって接続状態に保持することができる。
ボルト保持部22は、図4及び図5に示すように、ポスト嵌合部21よりも低い略箱状をなしており、その内部にスタッドボルト24の頭部24aを収容するとともに、スタッドボルト24をその軸部24bが上方外部に突き出した立設状態に保持可能とされる。スタッドボルト24は、頭部24aが平面視四角形状をなすのに対し、軸部24bが外周面にねじ山が螺刻形成された略円柱状をなしている。スタッドボルト24の軸部24bには、電線の端末に設けられた端子金具70などが取り付けられた状態でナット(図示せず)が締め回されることで、上記端子金具70などが締め付けられて固定されるようになっている。
ここで、ボルト保持部22に取り付けられる端子金具70の構成について詳しく説明する。端子金具70は、導電性に優れる金属板をプレス加工することで所定形状に成形されており、図11に示すように、側方視略L字型をなす基部71と、基部71の一端側に設けられるとともにボルト保持部22に対して取り付けられるバッテリ取付部72と、基部71の他端側に設けられるとともに電線(図示せず)の端末にかしめ付けられる電線接続部73とから構成される。基部71は、バッテリ本体11の上面11aに沿った主板部71a(X軸方向及びY軸方向と並行する部分)と、バッテリ本体11の側面11bに沿った側板部71b(Y軸方向及びZ軸方向と並行する部分)とからなり、主板部71aにバッテリ取付部72が、側板部71bに電線接続部73がそれぞれ設けられている。バッテリ取付部72には、スタッドボルト24の軸部24bに対して挿通可能なボルト挿通孔72aが貫通形成されている。バッテリ取付部72は、ボルト挿通孔72aにスタッドボルト24の軸部24bを挿通させつつボルト保持部22に対して上方からZ軸方向に沿って取り付けられる。バッテリ取付部72における両側縁からは、ボルト保持部22(スタッドボルト24)に対する取付角度を規制可能な回り止め片74が一対設けられている。回り止め片74は、バッテリ取付部72の先端部から下方へ向けて突出する片持ちの板片状をなしており、その内面がボルト保持部22の外側面などに係合することで、端子金具70がスタッドボルト24の軸線周りに不用意に回動変位するのを規制でき、もって端子金具70の回り止めを図ることができるようになっている。なお、以下では、両回り止め片74のうち、図11に示す奥側のものを第1回り止め片とし、同図手前側のものを第2回り止め片とするとともに、両回り止め片を区別する場合には、第1回り止め片の符号に添え字Aを、第2回り止め片の符号に添え字Bを付し、区別せずに総称する場合には、符号に添え字を付さないものとする。
ボルト保持部22は、図4〜図6に示すように、繋ぎ部23に連なりY軸方向に延びる片部を屈曲させることで略箱状に形成されている。詳しくは、ボルト保持部22は、繋ぎ部23に連なって並行する底壁22aと、底壁22aにおけるY軸方向の一端側からZ軸方向に沿って立ち上がる第1側壁22bと、第1側壁22bの立ち上がり端から底壁22aと対向するようY軸方向に沿って延びる天井壁22cと、天井壁22cの延出端から底壁22aのY軸方向の他端に向けてZ軸方向に沿って突出して第1側壁22bと対向する第2側壁22dとから構成されており、各壁22a〜22dによって囲まれてなる内部の収容空間にスタッドボルト24の頭部24aが収容される。
底壁22aにおけるY軸方向の両端部及びX軸方向の一端部(繋ぎ部23側とは反対側の端部)を除いた部分には、図5及び図6に示すように、スタッドボルト24の頭部24aを持ち上げる持ち上げ部29が上記各端部よりも上方へ張り出す形態で形成されており、この持ち上げ部29が繋ぎ部23にも引き続いて形成されている。天井壁22cの略中央位置には、スタッドボルト24の軸部24bを通すボルト挿通孔30が貫通形成されている。また、第2側壁22dの突出端における略中央位置には、持ち上げ部29の外面に係合することで、ボルト保持部22を箱形状に保持可能な保持片31が形成されている(図1及び図3)。
ボルト保持部22は、既述したようにY軸方向に連なる各壁22a〜22dによって構成されていて、X軸方向に沿って2側面が外部に開口している。ボルト保持部22の両側面にそれぞれ形成された一対の開口部32,33のうち、ポスト嵌合部22側とは反対側(バッテリ端子20全体におけるX軸方向の外端部)の開口部32の口縁には、スタッドボルト24の頭部24aに係合することでスタッドボルト24の回動を規制可能なボルト回動規制片34が立設されている。ボルト回動規制片34は、図4及び図5に示すように、開口部32の口縁を構成する底壁22aの側縁(開口部32の口縁のうち下縁)からZ軸方向に沿って立ち上がる立ち上がり部34aと、立ち上がり部34aの先端からX軸方向に沿って内向きに突出し底壁22aと天井壁22cとの間に配されるボルト係合部34bとから構成されており、全体として略L字形状となっている。ボルト回動規制片34のボルト係合部34bにおける先端面がスタッドボルト24の頭部24aの側面に係合されるようになっている。ボルト係合部34bの先端部は、Y軸方向について底壁22aにおける持ち上げ部29の側端位置とほぼ同じ位置とされる。また、ボルト係合部34bと天井壁22cとの間には、僅かなクリアランスが確保されている。
このボルト回動規制片34は、図4に示すように、幅寸法が開口部32の間口よりも小さくて約半分程度の大きさとされるとともに、ボルト保持部22におけるY軸方向の略中央位置に配され、開口部32を部分的に塞いでいる。従って、開口部32は、その入り口に設置されたボルト回動規制片34によって左右にほぼ均等に分割されており、一対の分割開口部32aを備えていると言える。そして、各分割開口部32aの奥側に連なる空間であって、ボルト保持部22の両側壁22b,22dとボルト回動規制片34との間の空間は、スタッドボルト24が存在しないデッドスペースとなっている。本実施形態では、このデッドスペースとなった空間を利用して次述する回動規制部材40を取付状態に保持するようにしている。
回動規制部材40は、合成樹脂製とされ、バッテリ端子20に取り付けられて一体化された状態で、バッテリ10に対して当接することでバッテリ10に対するバッテリ端子20の取付角度を規制できるようになっている(図18)。詳しくは、回動規制部材40は、図1及び図6に示すように、バッテリ10に対して当接可能な本体部41と、本体部41から突出してバッテリ端子20に対して圧入可能な圧入部42とを備える。回動規制部材40は、バッテリ端子20に対してX軸方向に沿って取り付けられるようになっている。なお、以下では、バッテリ端子20に対する本体部41の取付方向(図6の左方)を前方とし、その逆方向(図6の右方)を後方とする。
本体部41は、図7に示すように、側方(Y軸方向の正面)から視て断面形状が略クランク状をなしており、バッテリ端子20を受ける端子受け部43を含むZ軸方向に沿った縦壁41aと、バッテリ本体11の上面11aに宛われるX軸方向に沿った横壁41bと、バッテリ本体11におけるZ軸方向及びY軸方向に沿った側面11bに当接されるZ軸方向に沿った回動規制壁41cとを備える。本体部41におけるY軸方向の寸法は、バッテリ端子20よりも大きく、約2倍程度となっている。
縦壁41aは、図1及び図6に示すように、全域がZ軸方向に沿ってほぼ真っ直ぐであるものの、同図手前側部分がY軸方向に沿ってほぼ真っ直ぐに形成されるのに対し、同図奥側部分がY軸方向に対して傾いて形成されている。この縦壁41aのうちY軸方向に沿う真直部分が、バッテリ端子20のうちボルト保持部22の側端面(開口部32の開口縁)に宛われる端子受け部43を構成している。なお、縦壁41aのうち傾斜部分は、バッテリ端子20からは引っ込む形態とされており、その引っ込んだ分だけ横壁41bのY軸方向の寸法も図1及び図6の奥側ほど小さくなっている。横壁41bは、全域にわたってX軸方向及びY軸方向に沿ってほぼ真っ直ぐな形態とされ、当接対象であるバッテリ本体11の上面11aとほぼ平行をなす。この横壁41bには、図6に示すように、横長な孔部48が貫通形成されている。孔部48は、X軸方向に離間した位置に一対配されている。この孔部48により、バッテリ10から発せられる熱を逃がすことができるようになっている。回動規制壁41cは、全域にわたってY軸方向及びZ軸方向に沿ってほぼ真っ直ぐな形態とされ、当接対象であるバッテリ本体11の側面11bとほぼ平行をなす。
また、本体部41を構成する各壁41a〜41cの外面、つまりバッテリ10やバッテリ端子20とは反対側の面には、図6及び図9に示すように、Z軸方向及びX軸方向に沿った縦型補強壁44が、Y軸方向について所定の間隔を空けて5本(複数)形成されている。各縦型補強壁44のうち、Y軸方向の両端位置のものと、中央のものとが、X軸方向またはZ軸方向について縦壁41a、横壁41b及び回動規制壁41cの全長にわたる範囲に形成されているのに対し、残りの2つは、X軸方向またはZ軸方向について縦壁41a及び横壁41bの全長にわたるものの、回動規制壁41cについて途中まで(次述する横型補強壁45まで)の範囲に形成されている。また、各縦型補強壁44におけるX軸方向の先端部には、各縦型補強壁44を横切りつつX軸方向及びY軸方向に沿う横型補強壁45が繋がれている。横型補強壁45と、回動規制壁41cの外面との間には、Z軸方向に開口する所定の空間が確保されている。
回動規制壁41cにおける内面、つまりバッテリ本体11の側面11bとの対向面のうち、外側の所定の縦型補強壁44と重畳する領域を除いた領域には、図1及び図8に示すように、僅かな深さの凹部46が複数形成されており、この凹部46の面積分だけ回動規制壁41cのバッテリ本体11の側面11bに対する接触面積が低減されている。逆に言うと、回動規制壁41cの内面のうち、所定の縦型補強壁44と重畳する領域に縦長なリブ状をなす凸部47が形成されており、この凸部47のみがバッテリ本体11の側面11bに当接される。なお、ここで言う「所定の縦型補強壁44」は、Y軸方向の両端位置の両縦型補強壁44と、Y軸方向の中央の縦型補強壁44とを指す。
続いて、圧入部42について詳しく説明する。圧入部42は、図1及び図6に示すように、本体部41のうち端子受け部43の内面(バッテリ端子20側を向いた面)に一対設けられている。一対の圧入部42は、端子受け部43の内面において、Y軸方向、つまりZ軸方向(バッテリポスト12の軸線方向)及びX軸方向(バッテリ端子20に対する回動規制部材40の取付方向)と直交する方向に並んで配されている。両圧入部42間には、所定の間隔が空けられており、その寸法はバッテリ端子20における両分割開口部32a間の間隔とほぼ一致している。なお、端子受け部43の内面のうち、両圧入部42に対してY軸方向について外側に隣接する位置には、バッテリ端子20の端面に突き当てられる受け突部49が一対設けられている。
圧入部42は、端子受け部43の内面(バッテリ端子20との対向面)からX軸方向(バッテリ端子20に対する取付方向)に沿って突出する挿入突部50と、挿入突部50の周面からY軸方向またはZ軸方向(バッテリ端子20に対する取付方向と交差する方向)に沿って突出して開口部32の口縁によって圧潰可能な複数のリブ51〜53と、挿入突部50の周面からY軸方向に沿って突出してボルト回動規制片34に係止可能な抜け止め突起54とを備える。
挿入突部50は、全体として略ブロック状をなしており、図8に示すように、X軸方向の正面から視てやや縦長な四角形状とされる。挿入突部50は、バッテリ端子20における分割開口部32aに対して挿入可能とされており、その高さ寸法(Z軸方向の寸法)及び幅寸法(Y軸方向の寸法)が分割開口部32aのそれよりも少し小さく設定されている。挿入突部50における端子受け部43からの突出寸法(X軸方向の寸法)は、バッテリ端子20におけるボルト回動規制片34のX軸方向の寸法とほぼ同じとされる(図6)。
リブ51〜53は、図1及び図8に示すように、挿入突部50の周面のうち上面からZ軸方向に沿う上方(第1の方向)へ向けて突出する第1リブ51と、挿入突部50の周面のうち下面からZ軸方向に沿う下方(上記第1の方向とは正反対の第2の方向)へ向けて突出する第2リブ52と、挿入突部50の周面のうち外側の側面(もう片方の挿入突部50との対向面とは反対側の面)からY軸方向に沿う外方(もう片方の挿入突部50側とは逆向きの第3の方向)へ向けて突出する第3リブ53とからなる。各リブ51〜53は、X軸方向の正面から視て略半円形状をなすとともに、X軸方向に沿って延びる形態とされ、X軸方向について挿入突部50のほぼ全長にわたる長さを有する。また各リブ51〜53における前端面(取付方向の先端面)には、開口部32への円滑な進入を担保するためのテーパ面が面取り形成されている。
第1リブ51及び第2リブ52は、互いに幅寸法がほぼ同じで且つ第3リブ53よりも大きく設定されている。第1リブ51は、挿入突部50におけるY軸方向の略中央位置に配されるのに対し、第2リブ52は、挿入突部50におけるY軸方向の中央位置から所定の距離を空けた位置に一対、Y軸方向に並んで配されている。言い換えると、第1リブ51は、挿入突部50においてY軸方向に並んだ一対の第2リブ52のほぼ中間位置に配されており、逆に言うと両第2リブ52は、挿入突部50においてY軸方向について第1リブ51を挟んだ位置に配されている。つまり、第1リブ51と第2リブ52とは、Y軸方向について互いにオフセットした位置(ずれた位置)に配されている。詳しくは、第1リブ51及び第2リブ52のうち、幅方向の端部同士についてはY軸方向に重なり合うものの、幅方向の中心同士についてはY軸方向に重なることなく、互いにずれた配置となっている。また、両第2リブ52は、挿入突部50においてY軸方向の中央位置を中心にして対称位置に配されていると言える。
第1リブ51及び第2リブ52は、挿入突部50の周面からの突出寸法がほぼ同じとされる。第1リブ51の突出寸法と第2リブ52の突出寸法とを足し合わせた寸法は、挿入突部50と分割開口部32aとのZ軸方向についての寸法差よりも大きくなっている。さらに言うと、第1リブ51の突出寸法または第2リブ52の突出寸法単独でも、上記寸法差よりも大きくなっている。従って、挿入突部50を分割開口部32a内に挿入すると、第1リブ51及び第2リブ52が開口部32の開口縁によって圧潰され、もって所望の保持力が得られるようになっている(図14)。
第3リブ53は、挿入突部50の外側の側面におけるZ軸方向の中央位置から下方へ所定の距離を空けた位置に配されている。第3リブ53の突出寸法は、第1リブ51及び第2リブ52の突出寸法よりも小さくなっている。抜け止め突起54は、挿入突部50の周面のうち内側の側面(もう片方の挿入突部50との対向面)、つまり第3リブ53の設置面とは反対側の側面から、Y軸方向に沿う内方(上記第3の方向とは正反対の第4の方向)へ向けて突出している。第3リブ53と抜け止め突起54とは、挿入突部50におけるZ軸方向の設置位置がほぼ同じとされている。
抜け止め突起54は、全体として略ブロック状をなすとともに、X軸方向の正面から視て略台形状、つまり突出端側ほど幅狭になる先細り状に形成されている。抜け止め突起54における突出基端部の幅寸法は、第1リブ51及び第2リブ52よりも大きくなっている。抜け止め突起54における突出寸法は、各リブ51〜53のいずれよりも大きくなっている。抜け止め突起54は、挿入突部50の側面における下端位置に配されており、Z軸方向について下側の第3リブ53と重なり合う位置に配されている。抜け止め突起54は、X軸方向について挿入突部50における先端位置に配されている。また抜け止め突起54における前端面(取付方向の先端面)には、開口部32への円滑な進入を担保するためのテーパ面が面取り形成されている(図6)。
第3リブ53における挿入突部50の側面からの突出寸法(Y軸方向の寸法)と、抜け止め突起54における同突出寸法とを足し合わせた寸法は、図6に示すように、挿入突部50と分割開口部32aとのY軸方向についての寸法差よりも大きくなっている。さらに言うと、抜け止め突起54の突出寸法単独でも、上記寸法差よりも大きくなっている。従って、挿入突部50を分割開口部32a内に挿入すると、第3リブ53及び抜け止め突起54が開口部32の開口縁によって圧潰されるようになっている(図14)。特に、抜け止め突起54については、開口部32の開口縁を構成するボルト回動規制片34の立ち上がり部34aによって多少削られるものの、無理嵌めされて立ち上がり部34aの奥側へ進入できるようになっている(図15)。そして、抜け止め突起54のうち、バッテリ端子20に対する取付方向とは逆側を向いた後端面、つまり端子受け部43側を向いた面が、ボルト回動規制片34における立ち上がり部34aに対して係止される係止面54aとなっている。係止面54aは、Y軸方向及びZ軸方向に沿ってほぼ真っ直ぐに形成されている。
以上のように回動規制部材40は、バッテリ端子20に対して取り付けられると、圧入部42の各リブ51〜53及び抜け止め突起54によって取り外し不能な状態、いわゆる嵌め殺し状態でがたつきなく保持されるようになっている。
ところで、上記した圧入部42を構成する挿入突部50には、図6及び図8に示すように、肉抜き部55が設けられている。肉抜き部55は、挿入突部50の周面のうち上面、つまり第1リブ51の設置面に開口する形態とされるとともに、第1リブ51を挟んだ位置に一対配されている。従って、両肉抜き部55は、第1リブ51とはY軸方向についてオフセットした位置に配されていると言える。両肉抜き部55は、その中心が両第2リブ52の中心に対してY軸方向について僅かに外寄りにずれた位置に配されている。肉抜き部55は、X軸方向の正面から視て縦長な四角形状をなしている。また、肉抜き部55は、挿入突部50の前端部を所定厚さ分残して形成され、上方にのみ開口する形態とされている。この肉抜き部55により、回動規制部材40を樹脂成形する際に挿入突部50にひけが生じ難くなっている。
そして、肉抜き部55における幅寸法及び深さ寸法(高さ寸法)は、図8に示すように、挿入突部50をX軸方向の正面から視て、第1リブ51の突出端と第2リブ52との突出端とを結んだ2本の線L1とはずれる(交差しない、重畳しない)ような大きさに設定されている。さらには、肉抜き部55の深さ寸法は、挿入突部50をX軸方向の正面から視て、Y軸方向に沿い且つ第3リブ53及び抜け止め突起54の突出端を通る線L2とはずれるような大きさに設定されている。
さて、本実施形態に係る回動規制部材40は、バッテリ端子20に対する取付構造として上記した圧入部42に加えて、繋ぎ片56及び係合部品57を備えている。係合部品57は、図1に示すように、本体部41との間にボルト保持部22を挟んだ状態でボルト保持部22に係合可能とされるのに対し、繋ぎ片56は、係合部品57及び本体部41の双方を機械的に中継して繋ぐ機能を有する。繋ぎ片56は、圧入部と同様に本体部41に一対、一体に設けられているのに対し、係合部品57は、本体部41、圧入部42及び繋ぎ片56に対して別体とされていて両繋ぎ片56に対して組み付けられることで一体化されるようになっている。
先に、繋ぎ片56について詳しく説明する。繋ぎ片56は、図1及び図6に示すように、本体部41を構成する縦壁41aのうち、端子受け部43の側方位置からX軸方向に沿って圧入部42と同方向、すなわちバッテリ端子20に対する回動規制部材40の取付方向(本体部41の圧入方向)に突出する形態とされ、本体部41と一体成形されている。繋ぎ片56は、片持ち状をなしており、その長さ寸法(X軸方向の寸法)は、ボルト保持部22の同寸法よりも大きく設定されている。従って、バッテリ端子20に本体部41を取り付けた状態では、繋ぎ片56の先端部は、ボルト保持部22よりも前方、つまりボルト保持部22に対してX軸方向について本体部41とは反対側に突出した位置に配される(図13)。この繋ぎ片56の先端部には、係合部品57を取付状態に保持するための保持構造を構成する保持突起58が設けられている。繋ぎ片56は、本体部41の縦壁41aにおいて両圧入部42を挟んだ位置に一対配設されており、両繋ぎ片56間の間隔は、ボルト保持部22の幅寸法(Y軸方向の寸法)とほぼ等しくなっている。なお、以下では、両繋ぎ片56のうち、図6に示す奥側のものを第1繋ぎ片とし、同図手前側のものを第2繋ぎ片とするとともに、両繋ぎ片を区別する場合には、第1繋ぎ片の符号に添え字Aを、第2繋ぎ片の符号に添え字Bを付し、区別せずに総称する場合には、符号に添え字を付さないものとする。
第1繋ぎ片56Aは、本体部41の縦壁41aにおける前面(バッテリ端子20側を向いた面)から前方へ向けて延出する形態とされる。第1繋ぎ片56Aは、概ね全長にわたって同一幅とされるとともに、その幅寸法は第2繋ぎ片56Bと比べて相対的に大きく設定されている。第1繋ぎ片56Aの先端部の内側面(第2繋ぎ片56Bとの対向面)には、係合部品57を受け入れる係合部品受け凹部59が内向きに開口する形態で凹み形成されている。この係合部品受け凹部59の周縁のうち、先端側の前縁部は、係合部品57が正規とは逆向きで取り付けられようとした場合に係合部品57に干渉することでその取り付けを規制可能とされる。さらには、第1繋ぎ片56Aの先端部には、第1繋ぎ片56AをZ軸方向、つまり厚さ方向(上下方向)に貫通することで、後述する係合部品57の保持片66を挿入可能な保持片挿入孔60が設けられている。保持片挿入孔60は、X軸方向に沿って細長い平面視矩形状をなしている。保持片挿入孔60の内周面のうち、内寄り(バッテリ端子20に近い側)の壁面には、保持片66が係止可能な保持突起58が外向きに突出して設けられている。また、保持片挿入孔60における下端部には、保持片66の先端を受ける受け壁61が設けられている。
一方、第2繋ぎ片56Bは、本体部41の外側面から前方へ向けて延出する形態とされ、突出基端部についてはX軸方向に対してやや斜め外向きに延びている。第2繋ぎ片56Bの突出基端部の外側面には、補強のための補強リブ62が設けられている。第2繋ぎ片56Bの先端部における外側面には、係合部品57の保持片66を挿入可能な保持片挿入凹部63が外向きに開口する形態で凹み形成されている。保持片挿入凹部63の外側面には、保持片66が係止可能な保持突起58が外向きに突出して設けられている。また、保持片挿入凹部63における下端部には、保持片66を受ける受け壁61が設けられている。
本体部41をボルト保持部22に対して取り付けた状態では、本体部41がボルト保持部22に対してX軸方向に並んで配されるのに対し、両繋ぎ片56は、ボルト保持部22を間に挟み込むとともにボルト保持部22に対してY軸方向、つまりスタッドボルト24やバッテリポスト12の軸線方向(Z軸方向)と直交する方向に並んで配されている。言い換えると、両繋ぎ片56は、ボルト保持部22に対してY軸方向について重畳するものの、Z軸方向について重畳することがない位置に配されている。両繋ぎ片56における内側面は、ボルト保持部22の外側面と近接した状態または当接した状態とされる(図13)。なお、第1繋ぎ片56Aの内側面は、ほぼ全域にわたってボルト保持部22の外側面に対して近接した状態または当接した状態とされるのに対し、第2繋ぎ片56Bの内側面は、後述する第2受入部68Bを形成する都合上、基端側の一部のみがボルト保持部22の外側面に対して近接した状態または当接した状態とされる。
続いて、係合部品57について詳しく説明する。係合部品57は、本体部41と同じく合成樹脂製とされており、図1及び図6〜図10に示すように、両繋ぎ片56の先端部間に配される基部64と、基部64の両側端から側方へ突出する一対の側板部65と、両側板部65からそれぞれ垂設される一対の保持片66と、基部64からボルト保持部22側へ突出するとともにボルト保持部22に対して係合される係合部67とから構成される。
基部64は、図6に示すように、Y軸方向に沿って細長い略ブロック状をなしており、その長さ寸法が両繋ぎ片56の先端部間の間隔よりも所定寸法(係合部品受け凹部59の凹み寸法)大きくなっている。基部64のうち、本体部41とは反対側を向いた面(ポスト嵌合部21側を向いた面)は、ポスト嵌合部21の締付部25の外形に沿って略円弧状に切り欠かれている。基部64は、両繋ぎ片56の先端部に取り付けられ且つバッテリ端子20に取り付けられた状態では、ボルト保持部22とポスト嵌合部21との間の空間に嵌入されるようになっている(図13)。また、基部64の下面には、肉抜き部が開口して設けられている。両側板部65は、図6及び図8に示すように、基部64の両外側面における上端位置からY軸方向に沿って外向きにそれぞれ突出する形態とされ、その前後両端面が基部64と面一状をなす。
両保持片66は、図7及び図8に示すように、両側板部65の下面からそれぞれZ軸方向に沿って下方、つまり両繋ぎ片56に対する係合部品57の取付方向に沿って突出する片持ち状をなしている。両保持片66は、突出基端部を支点にして弾性変形可能とされ、弾性変形に伴ってY軸方向、つまり上記取付方向と直交する方向に沿って外向きに変位されるようになっている。両保持片66における幅方向の中央には、上方へ開口する溝部66aが形成されている。係合部品57を両保持片66に取り付けると、上記溝部66a内に保持突起58が進入可能とされ、その溝縁のうち下縁部に対して保持突起58が係止されるようになっている(図16)。言い換えると、両保持片66は、側方視略チャンネル型をなしており、その先端部が保持突起58に対して係止される(図12)。
係合部67は、図6及び図9に示すように、基部64のうち本体部41側を向いた面(ボルト保持部22側を向いた面)から本体部41側に向けて突出して設けられている(図6)。係合部67は、Y軸方向に沿って細長い板状をなし、その長さ寸法は、両繋ぎ片56間の間隔、つまりボルト保持部22の幅寸法とほぼ等しくなっている。係合部67は、基部64に対して部分的に連結されており、詳しくは係合部67における長さ方向の両端位置と、両端位置から所定寸法内側に離間した2位置との計4箇所が、それぞれ連結部67aによって基部64に対して連結されている。従って、係合部67のうち各連結部67a間に配される部分は、ブリッジ状(両持ち状)をなすブリッジ部67bとなっており、各ブリッジ部67bがX軸方向、つまり基部64に対して接離する方向に僅かながらも弾性変形可能とされる。言い換えると、各ブリッジ部67bと基部64との間には、肉抜きが介在しており、それにより成形時における各ブリッジ部67bの厚さ寸法の寸法精度が高められている。係合部67のうち、両端に位置する一対のブリッジ部67bにおける外面(ボルト保持部22との対向面)には、ボルト保持部22を構成する天井壁22cの端面に対して係合される係合突起67cが一対ずつ設けられている。係合部品57を両繋ぎ片56の先端部に組み付けた状態では、本体部41と係合部67との間に所定の間隔が空けられ、その間隔はボルト保持部22の長さ寸法(X軸方向の寸法)とほぼ等しくなっている(図13)。
そして、上記した両繋ぎ片56には、既述したボルト保持部22に取り付けられる端子金具70が係合可能とされる。詳しくは、両繋ぎ片56には、端子金具70のバッテリ取付部72から下方、つまり繋ぎ片56に向けて突出する回り止め片74を受け入れる受入部68がそれぞれ設けられている。そして、端子金具70におけるバッテリ取付部72がボルト保持部22上に積層配置された状態では、受入部68内に回り止め片74が進入されるとともに受入部68の壁面に対して回り止め片74が係合することで、繋ぎ片56と一体の本体部41が、端子金具70と一体化されたボルト保持部22から抜け方向、言い換えると本体部41の取付方向(圧入方向)とは反対方向へ移動するのが規制されるようになっている。なお、以下では、第1繋ぎ片56Aに設けられたものを第1受入部とし、第2繋ぎ片56Bに設けられたものを第2受入部とするとともに、両受入部68を区別する場合には、第1受入部の符号に添え字Aを、第2受入部の符号に添え字Bを付し、区別せずに総称する場合には、符号に添え字を付さないものとする。
第1受入部68Aは、第1繋ぎ片56Aのうち先端部と基端部との間の中間部分(ボルト保持部22に対応した部分)を、その厚さ方向(Z軸方向)に貫通する孔状に形成されている(図21)。第1受入部68Aは、第1回り止め片74Aの断面形状に適合した形状とされ、平面に視てX軸方向(第1繋ぎ片56Aの長さ方向)に細長い矩形状をなしている(図22)。従って、この第1受入部68Aの孔縁68Aaは、横長な枠型、つまり無端環状をなしている。そして、第1受入部68Aの内周壁面のうち、X軸方向について本体部41とは反対側に位置し且つY軸方向(本体部41の圧入方向と直交する方向)に沿った壁面が、第1回り止め片74Aにおける本体部41とは反対側を向いた端面に対して係合されることで、本体部41並びに回動規制部材40の抜け止めが図られるようになっている(図22)。この壁面が第1回り止め片74Aに対する抜け規制係合面68Abとなっている。また、言い換えると、第1繋ぎ片56Aは、長さ方向の中間部分が第1受入部68Aによって内外の一対のアーム部に分けられていると言える。
第1受入部68A内に挿入された第1回り止め片74Aの内面は、第1受入部68Aの内周壁面のうち、Y軸方向についてボルト保持部22寄り(内側)に位置し且つX軸方向(本体部41の圧入方向)に沿った壁面に対して当接可能とされる(図21)。この壁面が第1回り止め片74Aに対する回り止め当接面68Acとなっている。なお、取付状態では、ボルト保持部22と第1回り止め片74Aとの間に、第1受入部68Aの孔縁68AaのうちY軸方向について内側の縁部が挟み込まれることになる。
一方、第2受入部68Bは、第2繋ぎ片56Bのうち先端部と基端部との間の中間部分(ボルト保持部22に対応した部分)を、その厚さ方向(Z軸方向)に貫通するとともにY軸方向に沿って内側(圧入部42、ボルト保持部22側)にも開口する形態とされている。つまり、第2繋ぎ片56Bは、内側面(圧入部42との対向面、ボルト保持部22側を向いた面)が部分的に凹んだ形状となっている。従って、第2受入部68Bの孔縁68Baは、平面に視て横長な略チャンネル型をなしており、有端環状となっている。そして、第2受入部68Bの内周壁面のうち、X軸方向について本体部41とは反対側に位置し且つY軸方向(本体部41の圧入方向と直交する方向)に沿った壁面が、第2回り止め片74Bにおける本体部41とは反対側を向いた端面に対して係合されることで、本体部41並びに回動規制部材40の抜け止めが図られるようになっている(図22)。この壁面が第2回り止め片74Bに対する抜け規制係合面68Bbとなっている。
回動規制部材40をバッテリ端子20に取り付けた状態では、第2受入部68Bの孔縁68BaにおけるY軸方向への開口部分が、ボルト保持部22を構成する第1側壁22bによってほぼ全長にわたって閉塞されるようになっている(図13)。そして、スタッドボルト24に端子金具70を取り付けた状態では、第2回り止め片74が第2受入部68B内に進入されるとともに、ボルト保持部22の第2側壁22dの外側面に対して直接当接可能とされる。従って、この取付状態では、この第2回り止め片74Aと既述した第1回り止め片74Bとによって、ボルト保持部22(スタッドボルト24)に対する端子金具70の回り止め機能を十分に発揮することができる。また、両回り止め片74の内面間の間隔は、ボルト保持部22の幅寸法と、第1受入部68Aの孔縁68AaのうちY軸方向について内側の縁部の幅寸法とを足し合わせた大きさとほぼ等しくなっている。なお、両回り止め片74は、端子金具70の回り止め機能と、第1繋ぎ片56Aの抜け止め機能とを併せ持っていると言える。
本実施形態は以上のような構造であり、続いてその作用を説明する。まず、ボルト保持部22内にスタッドボルト24を収容した状態のバッテリ端子20に対して回動規制部材40を取り付ける作業を行う。
取り付けにあたっては、本体部41の両繋ぎ片56間にバッテリ端子のボルト保持部22を位置合わせしつつ、X軸方向に沿ってバッテリ端子20に対して本体部41を相対的に接近させるようにする。所定深さまで本体部41を押し込むと、両繋ぎ片56間にボルト保持部22が挟み込まれ、続いて両圧入部42がボルト保持部22の開口部32を構成する両分割開口部32a内に進入される。各圧入部42の挿入突部50が各分割開口部32a内に挿入されると、それに伴って第1リブ51、第2リブ52及び第3リブ53がそれぞれ分割開口部32aの開口縁における上縁、下縁、外側の側縁に干渉することで、圧潰される。このとき、抜け止め突起54は、分割開口部32aの開口縁における内側の側縁を構成するボルト回動規制片34の立ち上がり部34aに干渉することで、多少削られつつも無理嵌めされ、本体部41側から視て立ち上がり部34aの奥側へと進入する。
そして、各圧入部42が各分割開口部32a内に正規深さまで圧入されると、端子受け部43における両受け突部49がボルト保持部22の側端面に突き当てられることで、それ以上の押し込みが規制される(図11〜図13)。この取付状態では、図14及び図15に示すように、各リブ51〜53が圧潰されることで得られる摩擦抵抗力と、抜け止め突起54の係止面54aがボルト回動規制片34の立ち上がり部34aに係止することで得られる係止力とによって、本体部41は、バッテリ端子20に対してほぼ取り外し不能な状態で保持される。詳しくは、本体部41は、第1リブ51及び第2リブ52によってZ軸方向に、第3リブ53によってY軸方向にそれぞれバッテリ端子20に対して相対変位不能に保持されるとともに、抜け止め突起54によってX軸方向について取り外し方向へ相対変位不能(抜け止め状態)に保持される。しかも、この状態では、両繋ぎ片56間にボルト保持部22が挟み込まれているので、本体部41はバッテリ端子20に対してY軸方向について相対変位不能とされる。もって、本体部41は、バッテリ端子20に対してX軸方向,Y軸方向及びZ軸方向のいずれの方向にもがたつきが生じることが防がれている。しかも、第2リブ52は、挿入突部50においてそれぞれ一対ずつ所定の間隔を空けて配置されているから、挿入突部50が分割開口部32a内にてその軸線(X軸)周りに傾くような事態が生じ難くなっている。さらには、圧入部42は、本体部41においてY軸方向に一対並んで配されているから、バッテリ端子20に対して本体部41がZ軸周りに傾いたり、X軸周りに傾くような事態が極めて生じ難くなっている。また、この取付状態では、両繋ぎ片56の先端部が、ボルト保持部22に対してX軸方向について本体部41とは反対側、つまりポスト嵌合部21側に突出した位置に配される。
上記したようにバッテリ端子20に対して本体部41を圧入保持させたら、続いて両繋ぎ片56に対して係合部品57を組み付ける作業を行う。係合部67をボルト保持部22側に向けた姿勢の係合部品57を、バッテリ端子20におけるボルト保持部22とポスト嵌合部21との間の空間に向けて上方から押し込み、両繋ぎ片56の先端部に対して取り付ける。すると、係合部品57がボルト保持部22とポスト嵌合部21との間に入り込むとともに、そのうちの基部64が両繋ぎ片56の先端部間に嵌め込まれ、さらには両保持片66がそれぞれ対応する保持片挿入孔60または保持片挿入凹部63に挿入される。この過程では、係合部67の各係合突起67cがボルト保持部22のうち天井壁22cの端面に摺接されるのであるが、このとき係合部67における各ブリッジ部67bがボルト保持部22から離間する方向へ僅かながらも弾性変形可能とされているので、バッテリ端子20に対する組み付け誤差などを吸収することができ、もって係合部67をボルト保持部22に対してほぼ密接状態とすることができる。また、組付過程では、各保持片66が対応する各保持突起58に乗り上げることで、外向きに弾性変形される。
係合部品57が両繋ぎ片56の先端部に対して正規深さまで押し込まれると、図16に示すように、各保持片66が各保持突起58を乗り越えるとともに復元し、各溝部66aの溝縁が各保持突起58に係止することで、係合部品57が両繋ぎ片56に対して組み付け状態に保持される。このとき、図17に示すように、係合部品57の係合部67における各係合突起67cがボルト保持部22の天井壁22cにおける端面に係合されているので、仮に本体部41をバッテリ端子20から引っ張り抜くような力が作用した場合でも、係合部品57に対して両繋ぎ片56を介して一体的に繋がれた本体部41がバッテリ端子20に対して圧入方向とは反対の抜け方向へ移動するのが規制される。この組付状態では、ボルト保持部22は、X軸方向について係合部品57と本体部41との間に挟み込まれるとともに、Y軸方向について既述した両繋ぎ片56によっても挟み込まれているので、全周が取り囲まれた状態とされる。従って、ボルト保持部22は、本体部41に対してスタッドボルト24の軸線方向(Z軸方向)と直交する全方位について相対変位するのが規制される。
次に、上記のようにして一体化したバッテリ端子20及び回動規制部材40のうち、バッテリ端子20のボルト保持部22に対して、電線に接続された端子金具70を取り付ける作業を行う。端子金具70のボルト挿通孔72aにスタッドボルト24の軸部24bを位置合わせしつつ挿通するとともに、基部71の主板部71aをボルト保持部22の上面に当接させる。この過程では、第1回り止め片74Aが第1繋ぎ片56Aにおける孔状の第1受入部68A内に挿入されるとともに、第2回り止め片74Bが第2繋ぎ片56Bにおける内向きにも開口した孔状の第2受入部68B内に挿入される。
端子金具70がボルト保持部22に取り付けられた状態では、図18〜図22に示すように、端子金具70の主板部71aがボルト保持部22の上面に当接されるとともに、両回り止め片74が対応する各繋ぎ片56の受入部68内に進入してその内周壁面に当接または近接して配される。この状態では、両回り止め片74のうちX軸方向について本体部41とは反対側の端面と、両受入部68の抜け規制係合面68bとが互いに対向して配されているので、仮に本体部41に圧入方向とは反対方向に引っ張るような力が作用した場合でも、両抜け規制係合面68bが両回り止め片74に係合することで、既述した圧入部42による圧入及び係合部品57による係合とも相まって、本体部41が端子金具70並びにボルト保持部22に対して抜け方向に相対変位するのが規制される(図22)。もって、バッテリ端子20に対して端子金具70を介して回動規制部材40を高い保持力でもって保持させることができる。しかも、第1回り止め片74Aが第1繋ぎ片56Aの第1受入部68Aにおける回り止め当接面68Acに当接されるとともに、第2回り止め片74Bがボルト保持部22における第2側壁22dの外側面に直接当接されることで、スタッドボルト24に対する端子金具70の回り止めを図ることができる(図21)。
続いて、上記のようにして得られたバッテリ端子ユニットUをバッテリ10に対して取り付ける作業を行う。まず、バッテリ10のバッテリポスト12に対してバッテリ端子20のポスト嵌合部21を嵌合させる。このとき、図18〜図20に示すように、回動規制部材40の本体部41を構成する回動規制壁41cを、バッテリ本体11の側面11bに対して当接させるようにする。バッテリ端子20がバッテリ本体11の上面11aに載置されたところで、ポスト嵌合部21のボルト27及びナット28を適宜に工具を用いて締め付けるようにする。すると、ポスト嵌合部21の締付部25がその内径を縮径させるよう弾性変形するとともにその内周面がバッテリポスト12の外周面に対して圧接され、もってバッテリ端子20がバッテリポスト12に対して取付状態に保持される。
このとき、ボルト27の締め付けに伴って発生するトルクによって、バッテリ端子20がバッテリポスト12を中心にしてその軸線(Z軸)周りに回動変位するおそれがある。ところが、図18及び図19に示すように、バッテリ端子20に一体化された回動規制部材40のうちY軸方向及びZ軸方向に沿った回動規制壁41cの凸部47が、並行するバッテリ本体11の側面11bに対して当接されているので、上記のようなバッテリ端子20の回動動作が未然に規制される。これにより、バッテリポスト12に対するバッテリ端子20の取付角度を図20に示す状態に維持することができる。
ところで、上記したバッテリ端子ユニットUが取り付けられるバッテリ10は、例えば搭載される車種やグレードに応じて種類が変更される場合があって、それに伴ってバッテリ本体11におけるバッテリポスト12の設置位置が変更される場合がある。そうなると、バッテリ本体11のうち回動規制部材40の回動規制壁41cが当接される箇所である側面11b(バッテリ10側の当接箇所)とバッテリポスト12との相対的な位置関係が変更されることになる。これに対して、バッテリ端子ユニットUは、ポスト嵌合部21と回動規制壁41cとの位置関係が一定であるから、上記バッテリ10側の変更に対応できない。そこで、本実施形態では、本体部41が上記バッテリ10側の変更に適合した形状とされる回動規制部材40を別途に製造しておき、その回動規制部材40をバッテリ端子20に取り付けて使用するようにしている。つまり、金属製で相対的に製造コストが高価なバッテリ端子20については、共用品を用いるのに対し、合成樹脂製で相対的に製造コストが安価な回動規制部材40については、各種条件に合致した専用品を多品種製造して用いるのである。
具体的には、バッテリ10におけるバッテリポスト12とバッテリ本体11の側面11bとの間のX軸方向についての距離が図19に示すものよりも大きい場合には、図23に示すように、回動規制部材40′として本体部41′を構成する横壁41b′のX軸方向の長さ寸法L′が、図19に示すものの長さ寸法Lよりも上記距離の増加分だけ大きくなったものを製造する。なお、この回動規制部材40′では、横壁41b′と共に縦型補強壁44′についても延長しているが、それ以外の構成は変更されていない。そして、この回動規制部材40′をバッテリ端子20に取り付けることでバッテリ端子ユニットU′を製造したら、そのバッテリ端子ユニットU′をバッテリ10に対して取り付ける。すると、バッテリポスト12にポスト嵌合部21が嵌合した状態で、回動規制壁41c′がバッテリ10の側面11bに対して当接され、もってバッテリ端子20の回動規制機能を良好に発揮することができる。
なお、バッテリ10におけるバッテリポスト12とバッテリ本体11の側面11bとの間のX軸方向についての距離が図19に示すものよりも小さい場合には、上記とは逆に回動規制部材40として本体部41を構成する横壁41bのX軸方向の長さ寸法が、図19に示すものの長さ寸法Lよりも上記距離の減少分だけ小さくなったものを製造すればよい。また、上記のようにバッテリ10の種類が変更される場合以外にも、例えばバッテリポスト12に対するバッテリ端子20の取付角度が変更され、それに伴って回動規制部材40における回動規制壁41cが当接されるバッテリ本体11側の部位が、Z軸方向及びX軸方向に沿った側面11cに変更される場合もあり得るが、その場合でもそれに対応した形状の回動規制部材40を製造しておくことで、容易に対応することが可能となっている。
以上説明したように本実施形態のバッテリ端子ユニットUは、バッテリ10に立設されたバッテリポスト12に対して接続されるポスト嵌合部21及びこのポスト嵌合部21に一体に設けられスタッドボルト24の頭部24aを収容するとともにスタッドボルト24を立設状態に保持するボルト保持部22を有するバッテリ端子20と、このバッテリ端子20に取り付けられた合成樹脂製の回動規制部材40とを備えており、回動規制部材40は、バッテリ端子20がバッテリポスト12に接続された状態でバッテリ10に当接することでバッテリポスト12に対するバッテリ端子20の取付角度を規制可能な本体部41と、本体部41に一体に設けられ、ボルト保持部22の側面に形成された開口部32に対して圧入されることで回動規制部材40をバッテリ端子20に対して固定状態とする圧入部42と、本体部41との間でボルト保持部22を挟んだ位置に配されるとともにボルト保持部22に係合する係合部品57と、ボルト保持部22の側方に配されるとともに本体部41及び係合部品57の双方に対して繋がる繋ぎ片56とを備える。
このようにすれば、本体部41に対するバッテリ10側の当接箇所とバッテリポスト12との位置関係などの条件が異なる場合でも、バッテリ端子20と比べて製造コストが相対的に安価な回動規制部材40について上記条件に適合したものを用意しておけば、製造コストが相対的に高価なバッテリ端子20については共用品を使用でき、全体として低コストでの対応が可能となる。しかも、回動規制部材40は、バッテリ端子20のうちボルト保持部22の側面に形成された開口部32に圧入される圧入部42によってバッテリ端子20に対して固定されるから、両者間でがたつきが生じ難く、もって高い回動規制機能を発揮することができる。さらには、繋ぎ片56によって本体部41に対して繋げられる係合部品57が、本体部41との間でボルト保持部22を挟んだ位置にてボルト保持部22に係合することで、本体部41の圧入方向とは反対方向への移動が規制されるから、バッテリ端子20に対して取り付けた回動規制部材40をしっかりと保持させることができる。これにより、一層高い回動規制機能を発揮することができる。
ところで、仮に回動規制部材における本体部にヒンジで接続した蓋体を設け、その蓋体と本体部との間にバッテリ端子20を挟み込んで保持するようにしたものでは、バッテリ端子20との間にクリアランスが生じ易く、両者間でがたつきが生じてしまい、回動規制可能な角度の精度が低くなり勝ちとなる。これと比べると、本実施形態では、圧入によって回動規制部材40をバッテリ端子20に対してがたつきなくしっかりと固定しているので、バッテリ端子20を相対的に高い精度で角度規制できるようになっている。
また、繋ぎ片56は、本体部41に一体に設けられている。このようにすれば、仮に繋ぎ片を本体部とは別部品にして組み付けるようにした場合に本体部との間でがたつきが生じ得るのと比べると、本体部41との間でがたつきが生じることがないので、より高い回動規制機能を発揮することができる。
また、繋ぎ片56は、スタッドボルト24に締め付けられる取付部材である端子金具70に係合して本体部41の圧入方向とは反対方向への移動を規制可能とされる。このようにすれば、繋ぎ片56にスタッドボルト24に締め付けられる取付部材である端子金具70が係合することで、上記した係合部品57と併せて、本体部41の圧入方向とは反対方向への移動が二重に規制される。しかも、繋ぎ片56が本体部41に一体に設けられているから、バッテリ端子20に対する回動規制部材40のがたつき抑制機能に特に優れる。以上により、一層高い回動規制機能を発揮することができる。
また、繋ぎ片56には、端子金具70に設けられた回り止め片74を受け入れる受入部68が設けられ、その受入部68の壁面に対して回り止め片74が係合されることで、本体部41の圧入方向とは反対方向への移動が規制されている。このようにすれば、繋ぎ片56の受入部68に受け入れられた端子金具70の回り止め片74が受入部68の壁面に係合されることで、バッテリ端子20に対する回動規制部材40の抜け止めを図ることができる。
また、第1受入部68Aは、第1繋ぎ片56Aを貫通する孔状に形成されており、その孔縁68Aaが無端環状をなしている。このようにすれば、第1受入部68Aを、第1繋ぎ片56Aを貫通する孔状に形成するにあたり、その孔縁68Aaを無端環状としているので、仮に孔縁を有端環状とした場合と比べて、第1繋ぎ片56Aの強度を高く保つことができる。これにより、高い抜け止め力を発揮することができる。
また、第1受入部68Aのうち圧入方向に沿う壁面には、第1回り止め片74Aが当接されることで、スタッドボルト24に対する端子金具70の取付角度が規制される。このようにすれば、スタッドボルト24に対する端子金具70の取付角度を規制することができる。また、第1回り止め片74Aが、バッテリ端子20に対する回動規制部材40の抜け止め機能と、端子金具70の回り止め機能とを兼ね備えているから、構成の簡素化に好適となる。
また、第2受入部68Bは、第2繋ぎ片56Bを貫通する孔状に形成されており、その孔縁68Baが有端環状をなすのに対し、ボルト保持部22には、第2受入部68Bに進入した第2回り止め片74Bが当接されることで、スタッドボルト24に対する端子金具70の取付角度が規制される。このようにすれば、スタッドボルト24に対する端子金具70の取付角度を規制することができる。しかも、第2回り止め片74Bがボルト保持部22に対して直接当接されるので、ボルト保持部22に対して端子金具70ががたつき難くなり、もって高い回り止め機能を発揮することができる。また、第2回り止め片74Bが、バッテリ端子20に対する回動規制部材40の抜け止め機能と、端子金具70の回り止め機能とを兼ね備えているから、構成の簡素化に好適となる。
また、上記取付部材を外部回路に接続される端子金具70としている。このようにすれば、外部回路に接続される端子金具70に抜け止め機能を併せ持たせることができる。
また、繋ぎ片56は、ボルト保持部22に対する本体部41の圧入方向に沿って延びる形態とされるとともに、ボルト保持部22に対してスタッドボルト24の軸線方向と直交する方向に隣り合う位置に配されている。このようにすれば、ボルト保持部22に対してスタッドボルト24の軸線方向に隣り合う位置には、スタッドボルト24に取り付ける部品やバッテリ10の壁面が存在し得るのと比べると、ボルト保持部22に対してスタッドボルト24の軸線方向と直交する方向に隣り合う位置には、繋ぎ片56を設置するためのスペースを容易に確保することができる。
また、繋ぎ片56は、ボルト保持部22を挟んだ位置に一対配され、両繋ぎ片56に対して係合部品57が繋げられている。このようにすれば、ボルト保持部22が本体部41と一対の繋ぎ片56と係合部品57とによって取り囲まれるから、スタッドボルト24の軸線方向と直交する全方位について、バッテリ端子20に対する回動規制部材40のがたつきを規制できる。しかも、一対の繋ぎ片56に係合部品57が繋げられるから、強度上も優れ、より高い抜け規制機能を発揮することができる。
また、係合部品57は、両繋ぎ片56とは別体とされ、両繋ぎ片56に対して組み付けられることで繋げられる。このようにすれば、仮にヒンジにより係合部品を一方の繋ぎ片に一体に設けた場合と比べると、バッテリ端子20に対する組み付け作業性に優れる。特にポスト嵌合部21とボルト保持部22との間の間隔が小さい場合に有効となる。
<実施形態2>
本発明の実施形態2を図24によって説明する。この実施形態2では、繋ぎ片56‐Aの形状を変更したものを示す。なお、この実施形態2では、上記した実施形態1と同様の構造には、同一の符号を用いるとともにその末尾に添え字‐Aを付すものとし、構造、作用及び効果について重複する説明は省略する。
両繋ぎ片56‐Aは、図24に示すように、共に厚さ方向に貫通し且つ内向きにも開口する受入部68‐Aを有しており、互いに対称形状となっている。両受入部68‐Aの孔縁68a‐Aは、平面視略チャンネル型で有端環状をなしている。つまり、本実施形態に係る両繋ぎ片56‐Aは、上記した実施形態1に記載した第2繋ぎ片56Bと同様の構造となっている(図6参照)。従って、端子金具70‐Aの両回り止め片74‐Aは、両受入部68‐A内に進入した状態では、繋ぎ片56‐Aを介在させることなく、ボルト保持部22‐Aの外側面に対して直接当接される。従って、ボルト保持部22‐Aと両回り止め片74‐Aとの間に生じ得るクリアランスに繋ぎ片56‐Aの寸法公差などが含まれることがなく、同クリアランスを極めて小さくすることができる。これにより、ボルト保持部22‐Aに対して端子金具70‐Aががたつき難くなり、もって高い回り止め機能を得ることができる。しかも、両繋ぎ片56‐Aの幅寸法は、上記した実施形態1に記載した第1繋ぎ片56Aよりも小さくなっているので、回動規制部材の小型化を図ることができる。また、両回り止め片74‐Aの内面間の間隔は、ボルト保持部22‐Aの幅寸法とほぼ等しくなっている。
<実施形態3>
本発明の実施形態3を図25によって説明する。この実施形態3では、繋ぎ片56‐Bの形状をさらに変更したものを示す。なお、この実施形態3では、上記した実施形態1と同様の構造には、同一の符号を用いるとともにその末尾に添え字‐Bを付すものとし、構造、作用及び効果について重複する説明は省略する。
両繋ぎ片56‐Bは、図25に示すように、共に厚さ方向に貫通する受入部68‐Bを有しており、互いに対称形状となっている。つまり、本実施形態に係る両繋ぎ片56‐Bは、上記した実施形態1に記載した第1繋ぎ片56Aと同様の構造となっている(図6参照)。両受入部68‐Bの孔縁68a‐Bは、共に無端環状をなしているので、両繋ぎ片56‐Bにおける強度を十分に確保でき且つ同等にすることができる。これにより、本体部に圧入方向とは反対の抜け方向へ引っ張るような力が作用した場合でも、本体部の抜け方向への移動をより確実に規制することができる。以上により、バッテリ端子20‐Bに対する回動規制部材の保持力をより高く且つバランス良くすることができ、もって高い回動規制機能を安定的に発揮させることができる。また、両受入部68‐BにおけるX軸方向に沿った内側の壁面は、端子金具70‐Bにおける両回り止め片74‐Bが当接される回り止め当接面68c‐Bとなっており、それによりスタッドボルト24‐Bに対して端子金具70‐Bを回り止め可能とされる。
<実施形態4>
本発明の実施形態4を図26または図27によって説明する。この実施形態4では、バッテリ端子20‐Cのボルト保持部22‐Cに取り付けるものを変更したものを示す。なお、この実施形態4では、上記した実施形態1と同様の構造には、同一の符号を用いるとともにその末尾に添え字‐Cを付すものとし、構造、作用及び効果について重複する説明は省略する。
本実施形態に係るバッテリ端子20‐Cのボルト保持部22‐Cには、図26及び図27に示すように、電流センサ80が取り付けられている。電流センサ80は、バッテリ10‐Cを電源とした所定の電気回路に対してコネクタなどを介して電気的に接続されるとともに、その電気回路に流れる電流を検出するためのものである。この電流センサ80は、略ブロック状をなす本体部81に対してブラケット82が一体に設けられた構成であり、このブラケット82がスタッドボルト24‐Cに挿通された状態でボルト保持部22‐Cに対して取り付けられる。ブラケット82は、ボルト保持部22‐Cの上面に載置されるとともにボルト挿通孔82aを有するバッテリ取付部83と、バッテリ取付部83の両側縁から下方へ突出する一対の回り止め片84とから構成される。これらバッテリ取付部83及び両回り止め片84の構成、作用及び効果は、上記した実施形態1における端子金具70のバッテリ取付部72及び両回り止め片74と同様である。なお、このブラケット82は、金属製ではあるが、通電のためのものではなく、ボルト保持部22‐Cに対する電流センサ80の単なる機械的な保持を図るためのものである。
以上説明したように本実施形態によれば、ボルト保持部22‐Cに取り付けられる取付部材を、電気部品である電流センサ80に固定されるブラケット82としている。このようにすれば、電流センサ80に固定されるブラケット82に抜け止め機能を併せ持たせることができる。
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記した各実施形態では、一対の繋ぎ片が共に本体部に一体に設けられたものを示したが、一対の繋ぎ片のうちいずれか一方が係合部品に一体に設けられていて、その繋ぎ片が本体部に対して組み付けにより一体化されるようにしたものも本発明に含まれる。その場合でも、係合部品をボルト保持部に係合させるとともに、端子金具や電流センサのブラケットにおける回り止め片を各繋ぎ片の受入部の壁面に係合させることで、二重に本体部の抜け止めを図ることができる。なお、本体部に対する繋ぎ片の保持構造は、上記した各実施形態にて示した各繋ぎ片に対する係合部品の保持構造を適用すればよい。
(2)上記した(1)以外にも、一対の繋ぎ片を共に係合部品に一体に設けるようにし、両繋ぎ片を本体部に対して組み付けにより一体化するようにしたものも本発明に含まれる。
(3)上記した各実施形態では、繋ぎ片が本体部と係合部品との間に延在する1本のアーム状をなすものを示したが、例えば繋ぎ片が、係合部品に一体形成される第1分割繋ぎ片と、本体部に一体形成される第2分割繋ぎ片とに分割されていて、第1分割繋ぎ片及び第2分割繋ぎ片がボルト保持部の側方位置にて互いに保持構造によって一体的に組み付けられるようにしたものも本発明に含まれる。この場合、一対の繋ぎ片のうちいずれか一方のみを上記した分割構造としてもよいし、両繋ぎ片を共に分割構造としてもよい。
(4)上記した(1)〜(3)のように、繋ぎ片の少なくとも一部を係合部品に一体形成した場合、その係合部品側の繋ぎ片に端子金具やブラケットの回り止め片を受け入れる受入部を設けることも可能である。勿論、本体部側の繋ぎ片に受入部を設けることも可能であり、そのようにすれば本体部のがたつき防止効果を一層高めることができて好適である。
(5)上記した各実施形態では、繋ぎ片を一対設けたものを示したが、繋ぎ片を1本のみとしたものも本発明に含まれる。また、繋ぎ片を3本以上設けるようにしてもよい。
(6)上記した各実施形態では、一対の繋ぎ片が共に本体部に一体に設けられたものを示したが、繋ぎ片の少なくともいずれか一方が、本体部及び係合部品の双方に対して別体で設けられ、本体部及び係合部品に対して組み付けにより一体化されるようなものも本発明に含まれる。その場合でも、係合部品をボルト保持部に係合させるとともに、端子金具や電流センサのブラケットにおける回り止め片を各繋ぎ片の受入部の壁面に係合させることで、二重に本体部の抜け止めを図ることができる。なお、本体部に対する繋ぎ片の保持構造は、上記した各実施形態にて示した各繋ぎ片に対する係合部品の保持構造を適用すればよい。
(7)上記した各実施形態では、係合部品側に保持片を、繋ぎ片側に保持突起を設けるようにしたものを示したが、逆に繋ぎ片側に保持片を、係合部品側に保持突起を設けたものも本発明に含まれる。また、保持片と保持突起とによる保持構造以外にも、要は係合部品側と繋ぎ片側とに互いに係止し合う部位を設けるようにすればよく、その形態は適宜に変更可能である。
(8)上記した各実施形態では、一対の繋ぎ片に対して係合部品が別体で組み付けられるものを示したが、繋ぎ片に対して係合部品を一体に設けるようにしてもよい。具体的には、いずれか一方の繋ぎ片に対してヒンジを介して係合部品を開閉可能に一体に繋げるとともに、ヒンジを屈曲させつつ係合部品を閉鎖すると、他方の繋ぎ片に対して係合部品が係止構造により一体的に保持されるようにすればよい。
(9)上記した各実施形態では、受入部が繋ぎ片を厚さ方向に貫通する孔状の場合を示したが、受入部は必ずしも貫通孔である必要はなく、例えば繋ぎ片の上面(外面)を凹ませる(窪ませる)ことで凹状の受入部を設けるようにしたものも本発明に含まれる。
(10)上記した各実施形態では、端子金具やブラケット側に突部である回り止め片を、繋ぎ片側に突部が進入する孔状または凹状の受入部をそれぞれ設けた場合を示したが、逆に繋ぎ片側に突部を、端子金具やブラケット側に突部が進入する孔状または凹状の受入部をそれぞれ設けるようにしたものも本発明に含まれる。
(11)上記した各実施形態では、繋ぎ片がボルト保持部に対してスタッドボルトの軸線方向と直交する方向に隣り合う配置とされたものを示したが、繋ぎ片がボルト保持部に対してスタッドボルトの軸線方向に隣り合う配置としたものも本発明に含まれる。
(12)上記した実施形態1では、ボルト保持部に端子金具が取り付けられるものを、上記した実施形態2では、ボルト保持部に電流センサのブラケットが取り付けられるものをそれぞれ例示したが、ボルト保持部に対して端子金具及び電流センサのブラケットが共に取り付けられるものも本発明に含まれる。その場合、端子金具とブラケットの少なくともいずれか一方を繋ぎ片に係合させるようにすればよい。
(13)上記した各実施形態では、端子金具や電流センサのブラケットにおける回り止め片に繋ぎ片に対する抜け止め機能を併せ持たせたものを示したが、端子金具またはブラケットに対して回り止め片とは別途に抜け止め専用の係合部を設けるようにしてもよい。その場合、回り止め片を省略することもできる。
(14)上記した実施形態4では、電流センサのブラケットを金属製としたものを示したが、ブラケットを例えば合成樹脂製としてもよい。
(15)上記した各実施形態では、ボルト保持部に取り付けられる「取付部材」として、端子金具や電流センサのブラケットを例示したが、これら以外のものを「取付部材」として用いるようにしてもよい。特に、ブラケットが固定される電気部品を、例えば圧力センサなどに変更可能である。
(16)上記した各実施形態に示した圧入部については、設置数や形状や大きさや配置などを適宜に変更可能である。また、圧入部のうち各リブ、抜け止め突起及び肉抜き部の設置数や形状や大きさや配置などを適宜に変更可能である。