JP5339043B2 - シュー - Google Patents
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Description
上記シューとして、ピストンの半球状の摺動面に摺接する球面部と、斜板に摺接する平坦状の端面部とを備え、上記球面部および端面部を薄肉状に形成することで、シューの内部に内部空間を形成したものが知られている(特許文献1、2)。
特許文献1のシューでは、上記球面部の肉厚が一定となっており、また特許文献2のシューでは、上記球面部の肉厚は頂部から端面部側に向けて徐々に厚くなるように形成されている。
その結果、特許文献1のシューでは、図3(a)(b)に示すように、球面部と端面部との境界部分で球面部全体が内部空間側に倒れ込み、球面あたり部よりも端面部側の外側端部とピストンの摺動面との間に形成されていた略楔形の空間が変形してしまう。
これと同様、特許文献2の形状を有するシューの場合、図3(c)に示すように、球面部の内周面と端面部の内周面との境界部分で球面部全体が内部空間側に倒れ込んでしまい、上記楔形の空間が変形してしまう。
上記楔形の空間は、その広い方から狭い方に潤滑油を引き込む作用があるので、このように上記楔形の空間が変形してしまうと、球面部とピストンの摺動面との間に潤滑油を供給することができず、その結果ピストンとシューとの摺動性能が低下してしまうおそれがある。
このような問題に鑑み、球面部および端面部を薄肉状にしたシューであって、上記球面部とピストンの摺動面との間の摺動性能を維持することの可能なシューを提供するものである。
上記球面部および端面部を薄肉状に形成して内部空間を形成するとともに、上記球面部に、上記ピストンの摺動面に摺接する球面あたり部と、該球面あたり部よりも上記端面部側に形成された摺動面に摺接しない外側端部とを形成したシューにおいて、
上記球面あたり部の肉厚を均一とし、かつ、外側端部の肉厚を球面あたり部の肉厚よりも厚くし、
さらに上記外側端部の肉厚を、該外側端部と球面あたり部との境界から端面部側に向けて徐々に厚くすることを特徴としている。
上記球面部および端面部を薄肉状に形成して内部空間を形成するとともに、上記球面部に、上記ピストンの摺動面に摺接する球面あたり部と、該球面あたり部よりも上記端面部側に形成された摺動面に摺接しない外側端部とを形成したシューにおいて、
上記あたり部の肉厚を均一とし、かつ上記外側端部の内周面から上記端面部の内周面にかけて補強手段を設けたことを特徴としている。
このため、上記外側端部とピストンの摺動面との間に形成された楔形の空間を維持することができ、該空間から球面あたり部と摺動面との間に潤滑油を供給することができるので、これらの摺動性能を維持することができる。
このため、上記外側端部とピストンの摺動面との間に形成された楔形の空間を維持することができ、該空間から球面あたり部と摺動面との間に潤滑油を供給することができるので、これらの摺動性能を維持することができる。
上記斜板3は回転軸2に対して斜めに固定されているか、もしくは斜板3の傾角を変化させることができるようになっており、各ピストン4ごとに2つのシュー5によって挟持されている。そして斜板3の上記シュー5と摺接する部分には所要の溶射層、めっき層や樹脂コーティングなどのコーティングが施されている。
上記ピストン4には、相互に向き合うように半球状の摺動面4aが形成されており、上記シュー5はこの摺動面4aに対して揺動しながら、上記斜板3の回転をピストン4の進退動に変換するようになっている。
なお、このような構成を有する斜板式コンプレッサ1は従来公知であり、これ以上の詳細な説明は省略する。
本実施例のシュー5は鉄系、銅系、アルミニウム系材料のほか、焼結材料、樹脂材料等で製造することが可能であり、好ましくはSUJ2で製造されている。
上記球面部11は、頂部に形成された貫通孔11aと、貫通孔11aの周囲にリング状に形成された球面あたり部11bと、該球面あたり部11bよりも端面部12側に形成された外側端部11cとから構成されている。
上記球面あたり部11bは上記ピストン4の摺動面4aと同一の曲率で形成されており、斜板式コンプレッサ1の作動時には上記摺動面4aと摺接するようになっている。
また、上記球面あたり部11bの板厚は均一となっており、剛性やばね性を確保する観点から、0.1〜2mmとするのが望ましく、0.2〜1.5mmとするのがより望ましい。
上記外側端部11cの外周面は上記球面あたり部11bと異なる曲率で製造されており、斜板式コンプレッサ1の作動時には上記摺動面4aと摺接しないようになっている。
また、上記外側端部11cは上記球面あたり部11bよりも厚肉となっており、具体的には外側端部11cと球面あたり部11bとの境界から端面部12にむけて徐々に内周面が厚くなるように成形されている。
そして、上記端面部12は内周面の外周部分で上記外周端部の肉厚が徐々に厚くなるのに応じて徐々に厚くなるように製造され、球面部11と端面部12とは大きなコーナーRで滑らかに連結されている。
上記楔形の空間sは斜板式コンプレッサ1の作動時に、上記球面あたり部11bとピストン4の摺動面4aとの間に潤滑油を入り込ませるようになっている。
また、シュー5の内周面は、上記外側端部11cが端面部に向けて徐々に肉厚となり、かつ端面部12とは大きなコーナーRで滑らかに連結されているため、シュー5の成形時に割れやシワが発生しにくく、量産性が良好となっている。
図3(a)は上記図2に示す本実施例のシュー5を、(b)、(c)は特許文献1に記載されたシュー5を、(d)は特許文献2に記載されたシュー5をそれぞれ示している。
そしてこれらの各図は、斜板式コンプレッサ1が作動してピストン4が往復動し、ピストン4の摺動面4aを介してシュー5に瞬間的にたたき荷重が作用した状態を示している。
このため、上記外側端部11cは球面あたり部11bに引きずられて内部空間S側に変形し、その結果外側端部11cとピストン4の摺動面4aとの間に形成されていた上記楔形の空間sが変形して狭くなっていることがわかる。
他方、図3(d)に示す特許文献2に記載されたシュー5の場合、上記たたき荷重が球面あたり部11bに作用すると、球面部11の肉厚が中心から外周に向けて徐々に厚くなっていることから、球面部11の内周面と端面部12との境界部分に応力が集中し、当該部分を中心に内部空間Sに向けて倒れ込むように変形していることがわかる。
このため、上記外側端部11cは球面あたり部11bに引きずられて内部空間S側に変形し、その結果外側端部11cとピストン4の摺動面4aとの間に形成されていた上記楔形の空間sが変形して狭くなっていることがわかる。
そして、上記楔形の空間sが狭くなると、球面あたり部11bと摺動面4Sとの間に潤滑油が引きこまれにくくなり、球面あたり部11bと摺動面4aとの潤滑状態が悪化してしまうので、ピストン4の摺動面4aが摩耗するなどの問題が発生することとなる。
また、端面部12の外周部分が変形してしまうため、当該部分に斜板3との摺動による摺動発熱が発生したり、斜板3との摺動性能が維持できなくなってしまい、シュー5の耐久性が低下したり、斜板3に形成したコーティングが摩耗してしまうなどの問題が発生することとなる。
このため、上記球面あたり部11bと外側端部11cとの境界部分より外周側の外側端部11cはその形状を維持し、外側端部11cとピストン4の摺動面4aとの間に形成された略楔形の空間sを維持することができる。
これにより、当該楔形の空間sによって潤滑油をシュー5と摺動面4aとの間に入り込ませることができるので、良好な潤滑状態を維持することが可能となる。
また、シュー5の摩耗が抑えられるので、ピストン4とシュー5と斜板3とのクリアランスの許容範囲を広くすることが可能となり、これらの加工コストを低減することができる。
さらに、応力の集中する位置が球面部11における球面あたり部11bと外側端部11cとの境界になるため、上記端面部12の外周部分は変形しにくくなっており、上記シュー5の耐久性を維持し、また斜板3のコーティングが摩耗してしまうのを抑制することができる。
さらに、上記端面部12は外周側から中心に向けて徐々に薄肉となるように形成され、球面部11の内周面と端面部12の内周面とは大きなコーナーRで滑らかに連結されている
このような構成により、上記第1実施例のシュー5に比べて、球面部11と端面部12との境界部分に作用する応力をさらに分散することができ、上記楔形の空間sをより強固に維持することが可能となっている。
そして、球面あたり部11bは板厚が均一となっており、かつ外側端部11cの板厚は上記球面あたり部11bとの境界部分から外周に向けて徐々に厚くなるように形成され、球面部11の内周面と端面部12の内周面とは大きなコーナーRで滑らかに連結されている
このような構成により、上記平坦部11dとピストン4の摺動面4aとの間に潤滑油を保持することができ、良好な潤滑性能を維持することができる。また貫通孔11aが形成されていないことから、上記たたき荷重による球面あたり部11bの変形を抑えることが可能となっている。
上記球面部11および端面部12にはそれぞれ異なる素材を使用することができ、例えば球面部11にはSUJやSK5、高張力鋼などの鋼材を、端面部12には鋼材、焼結材、樹脂材、アルミ系材、銅系材、およびそれらにめっきを施したものを用いることができる。
上記球面部11において、球面あたり部11bは板厚が均一となっており、かつ外側端部11cの板厚は上記球面あたり部11bとの境界部分から外周に向けて徐々に厚くなるように形成されている。
また、上記端面部12の上面外周には上記球面部11の端部が係合する段差部が形成され、球面部11と端面部12とは接着や溶接などの方法によって相互に固着されている。
このような構成により、上記球面部11と端面部12との素材を異ならせることができるので、最適な摺動状態を維持することが可能となっている。
上記球面部11の外側端部11cの内周面から外側端部の内周面にかけて、リング状で断面略L字型の補強手段としての補強部材13が密着して設けられ、該補強部材13は高張力鋼、高強度チタン、ステンレス、アルミなどの高強度材料や、制震樹脂、制震ゴム、制震複合材などの制震材料などで製造されている。
上記構成とすることで、シュー5にたたき荷重が作用すると、上記補強部材13によって外側端部11cは変形しにくくなっており、球面あたり部11bと外側端部11cとの境界部分に応力が集中し、当該部分を中心に内部空間Sに向けて倒れ込むように変形するようになっている。
その結果、上記外側端部11cはその形状を維持することとなり、外側端部11cとピストン4の摺動面4aとの間に形成された略楔形の空間sを維持して、当該楔形の空間sから球面あたり部11bと摺動面4aとの間に潤滑油を供給して、良好な潤滑状態を維持することが可能となる。
なお、上記該補強部材13を所定間隔で断続的に設けるような構成としてもよい。
上記第5実施例における補強部材13と、本実施例の補強部材13とは、それぞれたたき荷重に対する剛性が異なっており、斜板式コンプレッサ1の性能に合わせて適宜採用することができる。
なお、この実施例においても上記該補強部材13を所定間隔で断続的に設ける構成としてもよい。
本実施例では、上記球面部11の外側端部11cの内周面と端面部12とにかけて、球面部11と端面部12と一体的に補強手段としてのリブ14を形成しており、このリブ14は放射状に所定間隔で複数設けられている。
上記構成とすることで、シュー5にたたき荷重が作用しても、上記リブ14によって外側端部11cは変形しにくくなっているので、球面あたり部11bと外側端部11cとの境界部分に応力が集中し、当該部分を中心に内部空間Sに向けて倒れ込むように変形するようになっている。
その結果、上記外側端部11cはその形状を維持することとなり、外側端部11cとピストン4の摺動面4aとの間に形成された略楔形の空間sを維持して、当該楔形の空間sから球面あたり部11bと摺動面4aとの間に潤滑油を供給して、良好な潤滑状態を維持することが可能となる。
例えば、上記第1実施例のシュー5と第5実施例のシュー5とを組み合わせて、上記外側端部11cの肉厚を球面あたり部11bより厚くすると共に、該外側端部11cの内周面に上記補強部材13を設けるようにしたり、第3実施例のシュー5の内部に第7、第8実施例のような補強部材13を設けてもよい。
4 ピストン 5 シュー
11 球面部 11b 球面あたり部
11c 外側端部 12 端面部
13 補強部材 14 リブ
Claims (8)
- ピストンに形成された半球状の摺動面に摺接する球面部と、斜板に摺接する平坦状の端面部とを備え、
上記球面部および端面部を薄肉状に形成して内部空間を形成するとともに、上記球面部に、上記ピストンの摺動面に摺接する球面あたり部と、該球面あたり部よりも上記端面部側に形成された摺動面に摺接しない外側端部とを形成したシューにおいて、
上記球面あたり部の肉厚を均一とし、かつ、外側端部の肉厚を球面あたり部の肉厚よりも厚くし、
さらに上記外側端部の肉厚を、該外側端部と球面あたり部との境界から端面部側に向けて徐々に厚くすることを特徴とするシュー。 - ピストンに形成された半球状の摺動面に摺接する球面部と、斜板に摺接する平坦状の端面部とを備え、
上記球面部および端面部を薄肉状に形成して内部空間を形成するとともに、上記球面部に、上記ピストンの摺動面に摺接する球面あたり部と、該球面あたり部よりも上記端面部側に形成された摺動面に摺接しない外側端部とを形成したシューにおいて、
上記あたり部の肉厚を均一とし、かつ上記外側端部の内周面から上記端面部の内周面にかけて補強手段を設けたことを特徴とするシュー。 - 上記補強手段は、上記外側端部の内周面と端面部の内周面とに密着した補強部材であることを特徴とする請求項2に記載のシュー。
- 上記補強手段を、上記球面部と端面部との境界に沿ってリング状に設けたことを特徴とする請求項2または請求項3のいずれかに記載のシュー。
- 上記補強手段を、上記球面部と端面部との境界に沿って断続的に設けたことを特徴とする請求項2または請求項3のいずれかに記載のシュー。
- 上記補強手段は、外側端部および端面部に一体的に形成した複数のリブであることを特徴とする請求項2に記載のシュー。
- 上記外側端部の肉厚を、該外側端部と球面あたり部との境界から端面部側に向けて徐々に厚くすることを特徴とする請求項2ないし請求項6のいずれかに記載のシュー。
- 上記端面部の肉厚を、該端面部の外周端から中心に向けて徐々に薄くすることを特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれかに記載のシュー。
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