JP5334360B2 - 金属触媒の含有量が少ない生体内分解吸収性高分子の製法 - Google Patents

金属触媒の含有量が少ない生体内分解吸収性高分子の製法 Download PDF

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Description

本発明は金属触媒の含有量(残存量)が少ない生体内分解吸収性高分子の製法に関する。具体的には、金属触媒を用いて生体内分解吸収性高分子を合成した後、得られた生体内分解吸収性高分子中の金属触媒の含有量を低減化する技術に関する。
従来、生体内分解吸収性高分子としては、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリカプロラクトン、トリメチレンカーボネート、ポリジオキサン及びこれらの共重合体などが知られている。これらは、生体内で分解・吸収されることから、縫合糸、骨接合材などの医療用インプラントとして利用されている。
こうした高分子化合物の合成には、例えば、オクチル酸スズなどの重金属系の触媒が多用されるため、合成された高分子化合物中には金属触媒が残存することになる。この高分子化合物を、医療用インプラントとして用いた場合、高分子の分解とともに金属触媒が体内に暴露される。金属触媒は、その種類によって異なるが、一定以上の濃度であると人体に対し免疫毒性、遺伝毒性、神経毒性等の悪影響を引き起こす恐れがある。従って、これらの高分子を医療用インプラントとして用いる場合は、出来るだけ金属触媒の残存量を少なくすることが必要である。
その一方、インプラント用途の高分子では、一定以上の分子量、強度等の特性が要求される。このような高分子を得るためには、重合過程において、ある程度以上の金属触媒の添加を要するため、重合反応後に高分子に残存する金属触媒を除去することが必要となる。しかしながら、この方法では、金属触媒の除去が容易ではなく工業的に困難を伴う場合が多い。
例えば、高分子化合物を有機溶媒に溶解した後、金属触媒を再沈殿させて除去する方法がある(例えば、特許文献1)。しかし、この方法は、大量の溶媒を必要とすることに加え、高分子の溶解による分子量の大幅な低下をきたしてしまうため、医療用具のように一定以上の強度が必要とされる材料の製造には適していない。また、再沈殿の際に高分子は多くの気泡を含有する形状になってしまうため成形後気泡を有しやすくなる等の問題があり、工業生産には向いていない。
また、特許文献2には、ラクチドとε−カプロラクトンとの共重合体の製造法が示されており、最終的な金属触媒の含有量については記載されていない。この公報において、モノマーと相対的に10−7〜10−3mol/molの触媒を用いると記載されているが、その実施例では、触媒量を単量体のモルあたり10−5mol/mol(金属含有量で22ppm)を加えると記載されるのみであり、金属触媒の含有量をより少なくすることについて具体的な開示はない。
また、特許文献3では、ラクチドとカプロラクトンに金属触媒を1〜20ppm、高級アルコールを0.01〜0.5wt%添加して、減圧下で10〜40日間重合させ、高分子量の生体内分解吸収性高分子を得る方法が記載されている。しかし、この方法で得られる高分子は、末端が高級アルコールで修飾されているため、現在まで使用されてきた生体内吸収性高分子と異なる物性(例えば、吸収性、安全性)を有すると考えられ、多くの検証が必要である。また、金属触媒量の使用量が少なすぎるため、重合時間も長く工業的には適していない。
特表昭60-501217号公報の実施例I等 特表平6-501045号公報 特開2000-191753号公報
本発明は、医療用インプラント等に適した所望の物性を保持しつつ、金属触媒含有量の極めて低い安全な生体内分解吸収性高分子の製法を提供することを目的とする。本発明は、また、工業規模で利用可能な、生体内分解吸収性高分子中の金属触媒含有量の低減化方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上記の課題を解決するために鋭意研究を行った結果、金属触媒を用いて、モル比で40/60〜60/40のラクチド(乳酸環状二量体)とε−カプロラクトンを共重合させて共重合体を得て、この共重合体を、酢酸とイソプロパノールを体積比25/75〜45/55で含む混合溶媒で洗浄し、乾燥することにより、分子量を大幅に低下させることなく、金属触媒を効果的に除去できることを見出した。本発明者は、かかる知見に基づき、さらに研究を重ねた結果、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、金属触媒の残存量が少ない生体内分解吸収性高分子の製法、生体内分解吸収性高分子中の金属触媒含有量の低減化方法、及び該生体内分解吸収性高分子を用いた医療用インプラントの製法を提供する。
項1. 金属触媒の含有量が金属換算で1ppm未満である生体内分解吸収性高分子の製法であって、(1)モル比40/60〜60/40の範囲のラクチドとε−カプロラクトンを、金属触媒の存在下共重合させて共重合体を製造する工程、及び(2)該共重合体を、40℃未満の温度で、酢酸とイソプロパノールを体積比25/75〜45/55の範囲で含む混合溶媒で洗浄及び乾燥する工程を有することを特徴とする製法。
項2. 工程(1)において、ラクチドを構成する乳酸がL体、D体又はDL体である項1に記載の製法。
項3. 工程(2)において、洗浄時の混合溶媒の温度が15〜30℃程度である項1又は2に記載の製法。
項4. 工程(2)において、混合溶媒の交換回数が5回以上であり、トータルの洗浄時間が48時間以上である項1〜3のいずれかに記載の製法。
項5. 金属触媒が、オクチル酸スズ(II)、2−エチルヘキサン酸スズ、トリフェニルスズアセテート、酸化スズ、酸化ジブチルスズ、シュウ酸スズ、塩化スズ及びジブチルスズジラウレートからなる群より選ばれる少なくとも1種である項1〜4のいずれかに記載の製法。
項6. 工程(2)において、洗浄後の共重合体を20〜35℃程度で10〜30時間程度真空乾燥した後、35〜50℃程度で40〜100時間程度真空乾燥することを特徴とする項1〜5のいずれかに記載の製法。
項7. 生体内分解吸収性高分子中の金属触媒の含有量を金属換算で1ppm未満に低減化する方法であって、(1)モル比40/60〜60/40の範囲のラクチドとε−カプロラクトンを、金属触媒の存在下共重合させて共重合体を製造する工程、及び(2)該共重合体を、40℃未満の温度で、酢酸とイソプロパノールを体積比25/75〜45/55の範囲で含む混合溶媒で洗浄及び乾燥する工程を有することを特徴とする方法。
項8. 医療用インプラントの製法であって、(1)モル比40/60〜60/40の範囲のラクチドとε−カプロラクトンを、金属触媒の存在下共重合させて共重合体を製造する工程、(2)該共重合体を、40℃未満の温度で、酢酸とイソプロパノールを体積比25/75〜45/55の範囲で含む混合溶媒で洗浄及び乾燥して、金属触媒の含有量が金属換算で1ppm未満にする工程、及び(3)上記(2)で得られた共重合体を医療用インプラントに成形する工程を有することを特徴とする製法。
項9. 医療用インプラントが、縫合糸、骨接合材、骨折用固定材、組織補填材、組織補強材、組織被覆材、組織再生用基材、組織補綴材、癒着防止材、人工血管、人工弁、ステント、クリップ、繊維布、止血材、接着剤及びコーティング剤からなる群より選ばれる1つである項8に記載の製法。
以下、本発明を詳述する。
I.生体内分解吸収性高分子
本発明における生体内分解吸収性高分子は、ラクチド/ε−カプロラクトン共重合体であり、ラクチドとカプロラクトンのモル比が40/60〜60/40、好ましくは45/55〜55/45の範囲からなる共重合体である。
本発明における生体内分解吸収性高分子の重量平均分子量(Mw)は、50000〜800000程度、特に100000〜500000程度である。かかる範囲であれば、強度、分解性、加工性等の物性の点で、医療用インプラントに適したものとなる。
生体内分解吸収性高分子に含まれる金属は、後述の生体内分解吸収性高分子を製造する重合反応に用いられる金属触媒に由来する。かかる金属としては、ナトリウム、カリウム、アルミニウム、チタン、亜鉛、スズなどが例示される。例えば、重合反応において、オクチル酸スズを用いた場合、主な含有金属はスズとなる。
本発明の生体内分解吸収性高分子は、該高分子中の金属触媒の含有量が金属換算で1 ppm未満ときわめて少ない。高分子中の金属触媒の含有量(金属換算)は、好ましくは0.1〜0.95 ppm、より好ましくは0.1〜0.7 ppm、特に好ましくは0.1〜0.5 ppmである。これにより本発明の生体内分解吸収性高分子を医療用インプラントとして用いた場合でも、人体に免疫毒性、遺伝毒性、神経毒性等を引き起こす恐れはほとんどない。
金属触媒の含有量(金属換算)の測定は、高分子に硫酸/硝酸混液(1:1、体積比)を加え、これを加熱して有機成分を分解した後、金属標準液を基準として、該溶液中に含有する金属をプラズマ発光分析機で定量することにより実施する。オクチル酸スズを触媒として用いた場合の測定例を、試験例1に示す。
II.生体内分解吸収性高分子の製造
本発明の金属触媒の含有量が少ない生体内分解吸収性高分子は、金属触媒の存在下、ラクチドとε−カプロラクトンを重合させて共重合体を製造し、該共重合体を酢酸とイソプロパノールを体積比25/75〜45/55の範囲で含む混合溶媒で洗浄及び乾燥することにより製造される。この製造方法を用いると、生体内分解吸収性高分子中の金属触媒の含有量(金属換算)を1 ppm未満に低減することができる。
以下、具体的な製法を以下に説明する。
(1)共重合体の製造
まず、共重合体は、ラクチドとε−カプロラクトンとを金属触媒の存在下共重合させて製造される。
ラクチドを構成する乳酸は、L体、D体又はDL体のいずれであっても良い。好ましくはL体である。
金属触媒としては、ナトリウム、カリウム、アルミニウム、チタン、亜鉛、スズ等の属を含む金属触媒であり、具体的には、ナトリウムエトキシド、カリウム−t−ブトキシド、トリエチルアルミニウム、チタン酸テトラブチル、オクチル酸スズ(II)、2−エチルヘキサン酸スズ、トリフェニルスズアセテート、酸化スズ、酸化ジブチルスズ、シュウ酸スズ、塩化スズ、ジブチルスズジラウレートなどが挙げられる。このうち、重合反応の反応性、安全性等の点で、オクチル酸スズ(II)が好適である。
金属触媒の使用量は、ラクチドとε−カプロラクトンの混合重量に対し、100〜1000 ppm程度(金属換算で29〜290 ppm程度)、好ましくは200〜700 ppm程度(金属換算で48〜203 ppm)を用いる。
かかる範囲で金属触媒を使用することにより、インプラント用途に適した分子量、強度等の特性を有する共重合体を、より短時間で製造することができる。添加する金属触媒が少なすぎると、未反応のモノマーが多く残存したり、反応に時間がかかりすぎるため、工業的生産に不向きとなり、また、重合度の大きい(高分子量の)高分子が得られないという点からも好ましくない。
共重合体は、金属触媒の存在下、ラクチドとε−カプロラクトンを塊状重合等の公知の重合反応に付して製造することができる。具体的には、ラクチドとε−カプロラクトンを反応容器に入れて、これに金属触媒を200〜700 ppm程度(金属換算で48〜203 ppm)の含有量になるように添加して、窒素雰囲気下、もしくは、常法により減圧下で110〜180 ℃で2〜20日間塊状重合させる。
得られる乳酸−ε−カプロラクトン共重合体の重量平均分子量(Mw)は、50000〜800000程度、好ましくは100000〜500000程度となる。
なお、この時点で共重合体中の金属触媒の含有量(金属換算)は、重合反応で用いた金属触媒に由来する金属の含有量に相当し、48〜203 ppmとなる。
(2)共重合体の洗浄
上記(1)で得られた共重合体を、40℃未満の温度で、酢酸とイソプロパノールを体積比25/75〜45/55の範囲で含む混合溶媒で洗浄することにより、金属触媒の含有量(金属換算)が1 ppm未満に低減される。
まず、金属含有量の高い共重合体の洗浄効率を良くするために、共重合体を、粉砕機等を用いて平均粒子径が0.3〜4mm程度に粉砕して粒状にしておくことが好ましい。なお、平均粒子径は種々のメッシュサイズのふるいにかけ、重量比から算出する方法、或いは、抜き取って顕微鏡で観察して算出する方法による。
洗浄溶媒は、酢酸とイソプロパノールを含む混合溶媒である。この混合溶媒は、高分子中に浸潤して酢酸と金属触媒とがキレートを生成し溶液中に抽出する働きを有している。混合溶媒中の酢酸とイソプロパノールの体積比は、25/75〜45/55の範囲であり、27/73〜43/57の範囲が好ましい。なお、必要に応じイソプロパノールに加え酢酸エチルを少量添加しても良く、その場合イソプロパノールと酢酸エチルの体積比は99/1〜70/30程度であればよい。また、混合溶媒のpHは2〜6程度になるように調整すればよい。
洗浄に用いる混合溶媒の量(浴比)は、例えば、1回の洗浄あたり、高分子の乾燥重量1kgに対し1L以上、好ましくは3L以上、より好ましくは3〜10L程度である。洗浄方法は、洗浄時の混合溶媒の温度を40℃未満、好ましくは15〜30℃程度として、これに高分子を浸漬し撹拌する方法が採用される。混合溶媒の交換回数は、5回以上、好ましくは6〜12回程度とし、トータルの洗浄時間が48時間以上、好ましくは48〜96時間程度とする。
洗浄の初期においては、高分子中の金属触媒の残存量が多いため、溶媒の浴比を比較的大きくし(例えば、高分子の乾燥重量1kgに対し4〜8L程度)、及び/又は、1回当たりの洗浄溶媒の交換時間を短くすることが好ましい。洗浄の後半においては、溶媒の浴比を小さくし高分子の乾燥重量1kgに対し3〜6L程度)、及び/又は、洗浄時間を長くすることが好ましい。
更に、この後イソプロパノールにて適宜洗浄することにより酢酸を除去することが長期保存における分子量低下の懸念を解消できるため好ましい。
洗浄後の高分子は、乾燥工程に供される。乾燥は15〜60℃程度、好ましくは20〜50℃程度で、6時間以上、好ましくは10〜150時間程度乾燥して有機溶媒を除去する。好ましくは、一旦、20〜35℃程度で10〜30時間程度予備乾燥してイソプロパノールを除去した後、35〜50℃程度で40〜100時間程度乾燥するのが好ましい。いずれも、乾燥は常圧〜減圧(例えば、0.01〜0.1Pa程度)の条件であればよく、特に、0.01〜0.05Pa程度で真空乾燥するのが好ましい。かかる乾燥条件を採用することにより、高分子の分子量の低減を極力抑えることができる。
本発明の生体内分解吸収性高分子は、上記の工程で製造されるが、該生体内分解吸収性高分子の金属触媒の含有量(金属換算)は、1ppm未満であり、好ましくは0.1〜0.95ppm、より好ましくは0.1〜0.7ppm、特に好ましくは0.1〜0.5ppmである。
また、生体内分解吸収性高分子の重量平均分子量(Mw)は、50000〜800000程度であり、好ましくは100000〜650000程度、より好ましくは210000〜500000程度である。特に、洗浄前に対する洗浄後の共重合体の重量平均分子量の保持率が75%以上、さらに80%以上であり、洗浄工程における分子量の低下を極力抑制することができる。
III.用途
本発明の生体内分解吸収性高分子は、金属触媒の含有量(金属換算)が1 ppm未満と極めて低く、生体内に埋入しても安全であり、一般的な成形加工が容易であるという特徴を有している。そのため、医療用具原料(医療用インプラント等)として好適に用いられる。医療用インプラントとしては、縫合糸、骨接合材、骨折用固定材、組織補填材、組織補強材、組織被覆材、組織再生用基材、組織補綴材、癒着防止材、人工血管、人工弁、ステント、クリップ、繊維布、止血材、接着剤及びコーティング剤等が例示され、これらはいずれも公知の成形方法により成形することができる。
本発明によれば、ラクチドとε−カプロラクトンの共重合反応後の高分子を、所定の割合の酢酸とイソプロパノール混合溶媒で洗浄及び乾燥することにより、重合反応時の金属触媒に由来する金属の含有量を低減し、かつ、分子量の低下が少ない生体内分解吸収性高分子を製造することができる。得られた生体内分解吸収性高分子は、従来のものと物理化学的特性において遜色なく、しかも一般的な工業的方法により加工が出来ることから、特に医療用具原料(医療用インプラント等)として好適に利用できる。
次に本発明を、以下の製造例、実施例及び試験例によって更に詳述する。
[製造例1]
ガラス反応管に、ラクチド及びε-カプロラクトン(50:50、モル比)を入れ、これにオクチル酸スズ300 ppm(スズ金属換算:87 ppm)加えて、窒素雰囲気下、常法により重合することにより、重量平均分子量40万の高分子を得た。その高分子を粉砕機で粉砕し、平均粒子径3.0mmの粒状の高分子を得た。この高分子中の残存スズ量は、80 ppmであった。
なお、平均粒子径は種々のメッシュサイズのふるいにかけ、重量比から算出した。
[試験例1]
製造例1で得られた高分子を、高分子の重量1kgに対して5Lの表1に示す混合溶液に浸漬して、撹拌装置を用いて20℃にて4時間撹拌し、溶液を入れ換えて4時間撹拌し、さらに溶液を入れ換えて16時間撹拌洗浄した。この一連の操作を3回繰り返した。即ち、トータル72時間、同一組成の溶液で計9回洗浄した。次いで、5Lのイソプロパノールに浸漬し、20℃にて1時間、更に液を入れ換え1時間、イソプロパノールによる攪拌洗浄を行った。
得られた高分子を、30℃で24時間真空乾燥(0.01Pa)し、次いで40℃で48時間真空乾燥(0.01Pa)して溶媒を除去した。
得られた高分子について、金属触媒の含有量(残存スズ量)と分子量保持率を測定した。その結果を、表1に示す。なお、測定方法は以下の通りである。
(1)金属触媒の含有量の測定
得られた高分子を、硫酸/硝酸混液(1:1、体積比)に添加し、緩やかに加熱して有機分を分解した後、市販のスズ標準液(塩化スズ二水和物、和光純薬製)をスタンダードとして用いて、プラズマ発光分析機(CID−AP型、日本ジャーレル・アッシュ製)にて定量を行った。
(2)分子量の測定
高分子をクロロホルムに溶解し、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)にてポリスチレン標準品をスタンダードとして用いて、重量平均分子量(Mw)を測定した。分子量保持率(%)は下記の式で示される。
分子量保持率(%)=(洗浄後の高分子の重量平均分子量)/(洗浄前の高分子の重量平均分子量)×100
Figure 0005334360
表1より、実施例1〜3の高分子は、金属触媒に由来するスズの残存量が1ppm未満に低減されるとともに、洗浄後の分子量保持率が高く外観も問題はなく、しかも洗浄前後で物理的特性にほとんど変化はなかった。
これに対し、比較例1、2では分子量保持率は良好であるがスズの残存量が大きくなった。また、比較例3では酢酸の割合が大きいため高分子が溶解してしまった。
[試験例2]洗浄温度と残存スズ量及び分子量保持率の関係
製造例1で得られた高分子を、高分子の重量1kgに対して5Lの表1の実施例1に示す混合溶液に浸漬して、それぞれ20℃、30℃、40℃にて撹拌装置を用いて4時間撹拌し、溶液を入れ換えて4時間撹拌し、さらに溶液を入れ換えて16時間撹拌洗浄した。この一連の操作を3回繰り返した。即ち、トータル72時間、同一組成の溶液で計9回洗浄した。
この洗浄操作の途中、3回目、5回目、6回目、8回目、9回目の洗浄終了時に20gサンプリングした。サンプリングした高分子を、100mLのイソプロパノールに浸漬して、撹拌装置を用いて20℃にて1時間撹拌し、溶液を入れ換えて1時間撹拌した。即ち、トータル2時間イソプロパノールのみで洗浄した。得られた高分子を、30℃で24時間真空乾燥(0.01Pa)し、次いで40℃で48時間真空乾燥(0.01Pa)して溶媒を除去した。
得られた高分子について、金属触媒の含有量(残存スズ量)と分子量保持率を測定した。その結果を、表2に示す。なお、測定方法は試験例1に記載されている方法と同様である。
表2に洗浄温度と残存スズ量の経時変化を、表3に洗浄温度と分子量保持率の経時変化を示す。
Figure 0005334360
Figure 0005334360
表2より、いずれの温度においても本洗浄方法により残存スズ量を1ppm未満に低減することが可能であった。残存スズ量が1ppm未満に低減するのに必要な時間は40℃の場合が最も短かったが、表3より40℃の場合は経時的に分子量が大きく低下してしまった。
一方、洗浄温度が20℃と30℃の場合、表2より残存スズ量が1ppm未満に到達する時間に顕著な違いは見られなかったが、表3より20℃の方が30℃に比べて分子量保持率が高くなるという傾向が見られた。
[試験例3]乾燥温度と分子量保持率の関係
製造例1で得られた高分子を、試験例1の実施例1に示す洗浄方法で乾燥前まで操作を行った。洗浄が終了した高分子を30℃で24時間乾燥した後、40℃で48時間又は70℃で12時間真空乾燥(0.01Pa)して溶媒を除去した。
図1より40℃で乾燥した実施例1の高分子の分子量保持率は82.2%であるが、70℃で乾燥した高分子の分子量保持率は61.0%と大きく低下した。
高分子の乾燥温度と分子量保持率との関係を示すグラフである。

Claims (9)

  1. 重量平均分子量が50000〜800000であり金属触媒の含有量が金属換算で0.1ppm以上1ppm未満である生体内分解吸収性高分子の製法であって、(1)モル比40/60〜60/40の範囲のラクチドとε−カプロラクトンを、金属触媒の存在下で共重合させて共重合体を製造する工程、及び(2)該共重合体を、40℃未満の温度で、酢酸とイソプロパノールを体積比25/75〜45/55の範囲で含む混合溶媒で洗浄及び乾燥する工程を有することを特徴とする製法。
  2. 工程(1)において、ラクチドを構成する乳酸がL体、D体又はDL体である請求項1に記載の製法。
  3. 工程(2)において、洗浄時の混合溶媒の温度が15〜30℃である請求項1又は2に記載の製法。
  4. 工程(2)において、混合溶媒の交換回数が5回以上であり、トータルの洗浄時間が48時間以上である請求項1〜3のいずれかに記載の製法。
  5. 金属触媒が、オクチル酸スズ(II)、2−エチルヘキサン酸スズ、トリフェニルスズアセテート、酸化スズ、酸化ジブチルスズ、シュウ酸スズ、塩化スズ及びジブチルスズジラウレートからなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項1〜4のいずれかに記載の製法。
  6. 工程(2)において、洗浄後の共重合体を20〜35℃で10〜30時間真空乾燥した後、35〜50℃で40〜100時間真空乾燥することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の製法。
  7. 重量平均分子量が50000〜800000である生体内分解吸収性高分子中の金属触媒の含有量を金属換算で0.1ppm以上1ppm未満に低減化する方法であって、(1)モル比40/60〜60/40の範囲のラクチドとε−カプロラクトンを、金属触媒の存在下で共重合させて共重合体を製造する工程、及び(2)該共重合体を、40℃未満の温度で、酢酸とイソプロパノールを体積比25/75〜45/55の範囲で含む混合溶媒で洗浄及び乾燥する工程を有することを特徴とする方法。
  8. 医療用インプラントの製法であって、(1)モル比40/60〜60/40の範囲のラクチドとε−カプロラクトンを、金属触媒の存在下で共重合させて共重合体を製造する工程、(2)該共重合体を、40℃未満の温度で、酢酸とイソプロパノールを体積比25/75〜45/55の範囲で含む混合溶媒で洗浄及び乾燥して、重量平均分子量が50000〜800000であり金属触媒の含有量が金属換算で0.1ppm以上1ppm未満である共重合体を得る工程、及び(3)上記(2)で得られた共重合体を医療用インプラントに成形する工程を有することを特徴とする製法。
  9. 医療用インプラントが、縫合糸、骨接合材、骨折用固定材、組織補填材、組織補強材、組織被覆材、組織再生用基材、組織補綴材、癒着防止材、人工血管、人工弁、ステント、クリップ、繊維布、止血材、接着剤及びコーティング剤からなる群より選ばれる1つである請求項8に記載の製法。
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