JP5333611B2 - 飲料用容器 - Google Patents

Description

本発明は、飲料用筒部材を備えた飲料用容器に関するものである。

従来、密封構造をなした容器本体の栓体に飲み口部を上向きに設けると共に、この飲み口部を覆う蓋を栓体に回動自在に設け、前記飲み口部に先端を連通して容器本体に下向きに飲料用筒部材を内蔵した飲料用容器では、例えば開蓋した飲み始めにおいて容器本体の内圧が大気圧より高い状態になっていると、内容液が筒部材を介して飲み口部より飛び出してしまう。

このようなおそれをなくすために、蓋とは別に配置されたレバーの回動やスライド部材の動き等により通気孔を開閉させるものであって、レバー操作により通気孔を閉、開、閉とすることで、内圧開放及び飲料用筒部材内の液と空気との置換現象をなくし、飲み口部からの内容液の飛び散りをなくしたものが知られている。

また、液体収容容器の開口部に取付けられた弁が、容器を握る等変形された場合に開状態となり、内容液が吐出されることができ、容器が無負荷状態になると閉状態となるパッケージの分配弁も知られている。

特開2004-345742号公報 米国特許第5213236号公報

従来技術では、飲料用容器はその形状から開口部が小さく、内容液を飲むために蓋を開ける際、内部の空気層の圧力を解放しなければ、内圧によって内容液の深部、すなわち容器の底部側まで挿入している飲料用筒部材からの内容液が飛び出すおそれがある。そのため飲料用筒部材を備え密閉構造をなした容器は一般的に開口部、すなわち飲み口を開放する前に、空気層と連通している通気孔を開放し内圧を下げる工夫がなされている。

さらに飲料用筒部材を備えた容器の開操作時、飲み口を閉のまま通気孔を開け、内圧を下げた後に通気孔を再び閉じなければ、飲料用筒部材の内部に空気と内容液が残されていた場合、飲料用筒部材内部に内容液が置換され、元々飲料用筒部材内部に残されていた内容液が飲み口の開時に飲み口から飛び出すおそれがある。

このため、飲み口からの内容液の飛び散りをなくすため、飲料用筒部材を備えた飲料容器では、飲み口が閉の状態のまま通気孔は閉、開、閉の動作を行い、その後に飲み口が開となるように工夫がなされているものがある。

さらに、容器内に配置される飲料用筒部材が硬質である場合、取付が不十分であったり、容器の寸法ばらつきにより、容器の内底部が硬質である場合、取り付けが不十分であったり、容器の寸法ばらつきにより、容器内底部に接触し栓体を容器に取付けられない可能性がある。このため、飲料用筒部材と容器内底面にはある程度の隙間を設ける必要があり、これにより容器内の内容液を最後まで飲み干せない問題がある。

解決しようとする問題点は、飲料用筒部材を備えた密閉型の容器において、飲み口部を開いた際の、内容液の飛び出しと残液を比較的少ない部品を追加することで解決させる点である。

請求項１の発明の飲料用容器は、容器本体と、前記容器本体の開口に被着され通気部を有する栓体と、前記栓体の一端にヒンジを介して開閉自在に設けられた蓋と、前記栓体に設けられ先端に飲み口を有する弾性材料からなる飲み口部と、前記飲み口部の下方に嵌め込まれる筒部材と、前記筒部材の下端に接続される弾性材料からなる弁ユニットと、を備える飲料用容器において、前記弁ユニットは、円筒部と、該円筒部内に設けられたフランジ部と、該フランジ部の内周下方に接続する接続用円筒部と、該接続用円筒部の下端に接続する弁膜とからなり、前記弁膜に放射状切れ目を形成したことを特徴とする。

本発明によれば、加圧時に蓋を開く際は容器内からの飲料の飛び出しを押さえることができ、手動などではなく液通路に吸込み力に応動する弁によって開弁、閉弁することで飲み口を開いた際の、内容液の飛び出しなどを比較的少ない部品で解決することができる。

また、弁部材は取り外しが出来て洗浄性が良い。

本発明によれば、弁形状を容易に作成することができる。

本発明によれば、弁が凹形状となって加圧に対しての抑える力が強くなって飲料の飛び出しがしにくい。

本発明の実施例１を示す縦断面図である。 同閉弁状態の要部の拡大斜視図である。 同閉弁状態の要部の拡大断面図である。 同開弁状態の要部の拡大斜視図である。 同開弁状態の要部の拡大断面図である。 同上向きの開弁状態の要部の拡大断面図である。 本発明の実施例２を示す縦断面図である。 同要部の拡大平面図である。 同要部の拡大断面図である。

本発明における好適な実施の形態について、添付図面を参照して説明する。尚、以下に説明する実施の形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を限定するものではない。また、以下に説明される構成の全てが、本発明の必須要件であるとは限らない。

図１〜７において、１は全体として本発明による携帯用の飲料用容器を示し、この飲料用容器１は金属製の容器本体２と、容器本体２の容器開口３に被着される合成樹脂製の栓体４とを備えて密閉構造となっている。栓体４にはその天部５の一端側に設けられたヒンジ部６を介してコップ状の蓋７が開閉自在に設けられ、該ヒンジ部６の対向側に設けたロック機構24によって蓋７を閉状態で保持し得るようになされている。

栓体４は、容器本体２の上部開口を覆う天部５を設けた逆有底筒状からなる栓体本体10を有し、この栓体本体10の内周面に形成された雌ねじ11によって、容器本体２の上部外周面に設けた筒状の雄ねじ12に螺着し得るようになされている。

栓体本体10の裏面には、例えばシリコンゴムやエラストマー樹脂等の弾性部材によって環状に形成され容器開口３の頂部が当接する液密用の閉塞部材13が設けられている。

内容液（図示せず）を飲むための飲料用ストローユニット14は、天部５の上方に設けられ先端を飲み口15Ａとした飲み口部15と、飲み口部15と連通して天部５の下方に設けられ容器本体２に内蔵される飲料用筒部材16とを備える。飲み口部15の根元側には天部５の下面側に嵌着して位置決めする位置決め部17と、位置決め部17から下方に延びた円筒状の拡幅部18を有し、そして拡幅部18に飲料用筒部材16を接続している。飲料用筒部材16は、円筒状の筒本体19の上端が拡幅部18に着脱自在に嵌め込まれている。また筒本体19の下端には後述する弁を内蔵した弁ユニット20が接続されている。

ここで飲み口部15側は、例えばシリコンゴムやエラストマー樹脂等の弾性部材によって全体が形成され、適度な硬さを備えつつ外部から力が与えられると、僅かに変形し得るようになされている。

かくして使用者は、蓋７を開状態とし、栓体本体10の外表面から露出した飲み口部15の飲み口15Ａを口に含み、弁ユニット20の下端から飲み口部15に至る液通路21を介して容器本体２内の飲料を吸引して飲むことができるようになされている。

かかる構成に加えて、栓体４におけるヒンジ部６側に突起通気部22が設けられている。これは飲み口部15から飲料が吸引された分、突起通気部22から容器本体２内に空気を流入させ得るように形成されており、容器本体２内の飲料が飲み口部15から吸引し易くなるようになされている。尚、蓋７には閉蓋時に突起通気部22の上端を閉塞する閉塞用突起23が設けられている。

さらに、栓体本体10の天部５において、ヒンジ部６と対向する他側部側には、蓋７のロック機構24が設けられている。ロック機構24は、栓体本体10の天部５に設け栓体本体10の中心部側へ向けてスライド可能に設けられ、栓体本体10の外周側に断面Ｌ字状の係止片25を有するロックボタン26と、当該ロックボタン26を栓体本体10の外周側へ常に付勢する例えば圧縮コイルばね等からなる弾性部材27とから構成されている。

これにより、係止部としてのロック機構24は、蓋７をヒンジ部６を介して閉状態にした際、蓋７に形成した断面Ｌ字状の係止受け片28が、ロックボタン26の係止片25に係止することによって蓋７の全閉状態が保持させ得る。このとき蓋７は、裏面に下向きに設けた板状突起部29で飲み口部15を２箇所で折り曲げてＳ字状にすることにより、蓋７の内部空間に飲み口部15を収納し得るとともに、飲み口部15の液通路21を潰して飲み口部15から飲料が漏れ出ることを防止し得るようになされている。

次に前記弁ユニット20について説明する。弁ユニット20は筒本体19の軸線30と同軸線状となって連通接続するケーシングとなる円筒部31と、この円筒部31内の液通路21の途中に、液通路21を遮るように軸線30と直交し液通路21内の圧力差で開弁作動する弁たる弁膜32と、円筒部31の内周と弁膜32の外縁間に介在する接続用円筒部（コネクタースリーブ）33を備えている。この接続用円筒部33によって弁膜32は円筒部31内において凹状に配置されている。

円筒部31の上部は筒本体19の下端に外嵌して接続できるようになっており、円筒部31の下部31Ｄの外径は上部31Ｕの外径よりも径大であって容器本体２の内底部34に取り付け状態で接触可能な下縁31Ｅが設けられている。そしてこれら上部31Ｕと下部31Ｄの間の中間部31Ｍは下方へ次第に径大となる裁頭円錐形状であって、弁膜32は下部31Ｄと中間部31Ｍとの境界よりわずかに下方にある下部内に配置されている。そして、上部31Ｕの内周面には筒本体19の下端が係止する位置決め用段部35が形成されている。

弁膜32は平面が円筒部31の下部31Ｄの内周面よりもわずかに径小な平面視円形であって、シリコンゴムやエラストマー樹脂等のゴム状弾性材料によって円筒部31、接続用円筒部33と共に一体成型されている。そして、弁膜32、接続用円筒部33は薄いシート（或いはフィルム）状のようになっており、その第１の肉厚Ａは、円筒部31の第２の肉厚Ｂより薄く形成されている（Ａ＜Ｂ）。そして、この弁膜32には上下方向を連通可能な切れ目（スリット）36が形成されている。この切れ目36は軸線30を中心として放射状に配置されて、複数の弁膜分割部37が中心軸線30を中心として放射状に配置されており、弁膜分割部37における上下方向の中心軸線30側の第３の肉厚Ｃはその外側の第４の肉厚Ｄより中心軸線30に向かって次第に薄くなるように形成されている（Ｃ＜Ｄ）。尚、切れ目36は例えば平面視で十字状、一字状、Ｙ字、＊形状などに配置されている。この切れ目は弾性部材を成形後、後加工としてとても鋭利な刃で作られることが多い。

そして、接続用円筒部33は円筒部31の下部の内周面と弁膜32の外縁との間に一体的に介在しており、円筒部31での液通路21内の圧力差に弁膜32が応動しやすいようになっている。この接続用円筒部33は、その中心軸線を中心軸線30と同一に配置したもので、その下端を弁膜32の外縁に接続すると共に、上端は平面視円環状のフランジ部38の内周に接続し、さらにフランジ部38の外周は下部31Ｄと中間部31Ｍとの境界の内周に接続している。

また、飲料用筒部材16の下端、実施例では円筒部31の下縁31Ｅに上向きの切り欠き部40を設けることで、円筒部31の周囲方向において内外を連通できるようになっている。

次に前記構成についてその作用を説明する。図１に示すように、容器本体２に飲料が収容されている閉蓋状態にあっては板状突起部29で飲み口部15を２箇所で折り曲げてＳ字状にすることで飲み口部15は飲料の漏れを防止している。また閉塞用突起23の先端を突起通気部22の先端に押し付けている。そして、ロックボタン26を押圧することで係止受け片28との係止状態が解除され、ヒンジ部６を中心として蓋７が開き、飲み口部15が立って開口し、また開蓋することで突起通気部22が開口して、容器本体２内は大気圧となる。

そして飲料を飲むため、飲み口15Ａに口をつけて吸引すると、液通路21が負圧となり、このため液通路21における弁膜32より上方の圧力Ｐｕが、下方の圧力Ｐｄより小さくなり、両者間に差圧（ΔＰ＝Ｐｕ―Ｐｄ）が生ずると、この差圧に応動して弁膜分割部37は図４，５に示すように上方に向かうように突設する。この結果密着していた切れ目36に隙間39が形成されて開弁し、この隙間39を通って内容液は下縁31Ｅから液通路21に沿って隙間39を通って上昇し、飲み口部15に至ることができるようになっている。さらに、前記差圧が大きくなると図６に示すように接続用円筒部33が上向きとなって弁膜分割部37間に隙間39が形成されて開弁状態が維持される。

このような蓋開時においては、容器本体２の圧力上昇による圧力は、飲み口15Ａに口をつけて吸引する吸引時の負荷よりも小さいため、弁膜32は閉状態を維持するため、開蓋の際の飲み口15Ａからの内容液の飛散は防止される。

尚、弁ユニット20が弾性部材で成型されているので、内底部34に円筒部31を密着させることができるため、円筒部31と内底部34の隙間を小さくすることができる。したがって、円筒部31の下縁31Ｅに液通路21と外側を連通する切り欠き部40を設けることで、内容液が内底部34に少量残っていた場合においても、内容液を切り欠き部40を通して液通路21内に吸引することで、内容液を飲み干すことができる。

一方、飲み口15Ａから口を外すと差圧はなくなり、弁膜分割部37、接続用円筒部33はそれぞれ弾性材料の復元力によって図２，３の状態に復帰して閉弁状態となる。ただ、この際に飲み口15や筒本体19に残された飲料の重さで弁が少し開き、飲み口先端まで残っていた飲料の水位は下がってから弁は閉状態となる。このため、蓋7を閉め飲み口15を折り曲げて密閉状態とすることができる。

尚、弁ユニット20の洗浄にあっては、円筒部31を筒本体19より外して洗浄し、洗浄後に弁ユニット20を円筒部31の下縁31Ｅが内底部34に密着するように再度取付ける。この際、弁ユニット20の円筒部31は上部31Ｕが下部31Ｄより径小になっており、上部31Ｕのみが筒本体19に嵌合できるようになっているため、弁ユニット20を上下逆にして取り付けてしまうことを防止できるようになっている。

以上のように、前記実施例では、密封構造をなした容器本体２の栓体４に飲み口部15を上向きに設け、この飲み口部15に先端側を連通して容器本体２に飲料用筒部材16を下向きに内蔵し、筒部材16の液通路21内に該液通路21内の圧力差に基いて可動する弁膜32を設けたことで、手動などではなく液通路21に吸込み力に応動する弁膜32によって開弁、閉弁することで飲み口15Ａを開いた際の、内容液の飛び出しなどを比較的少ない部品を追加することで解決することができる。

また、弁膜32を装着した弁ユニット20における円筒部31の筒本体19が嵌着される部位には径小となる位置決め用段部35が設けられたことで、筒本体19を差し込みすぎることなく、円筒部31に筒本体19を挿入する際に、段部35によって正確に位置決めすることができる。

さらに、内底部34に溜まった内容液を飲み干せるように、円筒部31の下縁31Ｅと内底部34の隙間をできるだけ少なくする必要があるが、部品のばらつきにより接触する可能性がある。そのような場合でも、下縁31Ｅに上向きの切り欠き部40を設けることにより、簡単な構造で飲み干せることができる。

また、弁は液通路21を閉塞する膜に切れ目36が設けられた差圧作動式となる弁膜32からなることにより、液通路21内の圧力差に迅速に作用することができる。

しかも、円筒部31材は上部31Ｕが径小で、下部31Ｄが径大であるので、筒本体19と円筒部31とを取付ける際、円筒部31の上下方向を視覚によって判断でき、取付方向を誤ることはない。

また、前記弁ユニット（弁部材）20の弁膜（弁）32が筒部材16と接合された際に凹形状となり、その凹み部に切れ目36があることで、弁膜（弁）32が凹形状となって加圧に対しての抑える力が強くなって飲料の飛び出しがしにくくなる。

さらに、円筒部31の内周と弁膜32の外縁間に接続用円筒部（コネクタースリーブ）33を介在することで、凹状から凸状に大きく変形することができるので、差圧が大きくなったときに対応でき、弁膜32の変形や破損を防止することができる。

次に他の実施例について説明する。尚、前記実施例１と同一部分には同一符号を付し、その詳細な説明を省略する。

図７〜９は実施例２を示しており、飲み口部15の根元側であって栓体４の下面側に配置される位置決め部17´に、弁ユニット20´を介して筒本体19を下向きに接続したもので、実施例では位置決め部17´と弁ユニット20´の円筒部31´との間に下向きの筒部41が介在しており、この筒部41は栓体４と一体に設けられている。

そして、円筒部31´の外周は上部31Ｕ´より径大で下端31Ｄ´が径小で、中間部31Ｍ´から下端31Ｄ´にかけて下方へ次第に径小に形成されている。そして、弁ユニット20´の弁膜32と液通路21の上端開口部との間には筒部41が嵌着したとき位置決めとなる位置決め用上段部42が形成され、同様に弁膜32と液通路21の下端開口部との間には筒本体19が嵌着したとき位置決めとなる位置決め用下段部43が形成されている。

したがって、飲み口15Ａに口をつけて吸引すると、液通路21内の差圧に応動して弁膜分割部37は開弁する。尚、弁ユニット20´の洗浄にあっては、円筒部31を外して洗浄し、洗浄後に弁ユニット20´を再度取付ける。この際、弁ユニット20´の円筒部31は上部31Ｕ´が下端31Ｄ´より径大になっており、取付状態を視覚で区別できるので弁ユニット20´を上下逆にして取り付けてしまうことを防止できるようになっている。

以上のように、前記実施例では実施例１と同様な効果の他に、円筒部31は31Ｕ´が下端31Ｄ´より径大であるので、弁ユニット20´を取付ける際、上下方向を視覚によって判断でき、取付方向を誤ることはない。また、位置決め用上段部42、位置決め用下段部43によって弁ユニット20´を位置決め部17側、実施例では筒部41、筒本体19との位置を正確に設定して取り付けることができる。

以上のように本発明に係る飲料用容器は、各種の用途に適用できる。

２ 容器本体
４ 栓体
15 飲み口部
16 筒部材
19 筒本体
20 弁ユニット（弁部材）
21 液通路
31 円筒部
31Ｅ 下縁
32 弁膜（弁）
35 位置決め用段部
36 切れ目
40 切り欠き部
43 位置決め用下段部

Claims (1)

1. 容器本体と、
   前記容器本体の開口に被着され通気部を有する栓体と、
   前記栓体の一端にヒンジを介して開閉自在に設けられた蓋と、
   前記栓体に設けられ先端に飲み口を有する弾性材料からなる飲み口部と、
   前記飲み口部の下方に嵌め込まれる筒部材と、
   前記筒部材の下端に接続される弾性材料からなる弁ユニットと、を備える飲料用容器において、
   前記弁ユニットは、円筒部と、該円筒部内に設けられたフランジ部と、該フランジ部の内周下方に接続する接続用円筒部と、該接続用円筒部の下端に接続する弁膜とからなり、前記弁膜に放射状切れ目を形成したことを特徴とする飲料用容器。

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