本発明は容器の口部に装着されるキャップに関し、特に、容器の内部に空気が入ることを防止しながら、内容物を良好に出すことができるキャップに関するものである。
例えば特許文献1、2には、液体などからなる内容物が内部に収容される容器の口部に装着されるキャップにおいて、容器内に空気が入ることを防止しながら、内容物を良好に出すことができる構造が開示されている。
特許文献1に開示されたキャップは、図14に示すように、変形可能な容器(この特許文献1では変形可能な二重容器)60の口部61に装着される内蓋体(キャップ本体)62と、この内蓋体62の上面に着脱自在とされた上蓋体63と、から構成されている。内蓋体62には、容器60の口部61内に嵌入してこの口部61を密封する密封栓64が設けられ、この密封栓64の頂部に、液体(内容物)を注出する注出筒部65が形成されている。
内蓋体62の内側には、密封栓64の開口した底部を開閉自在に密封する開閉弁体66が昇降自在に設けられている。内蓋体62は、密封栓64の上面部外周から下方に太径の筒状に垂下するように形成されて容器60の口部61の内壁面に嵌合する嵌合壁部68と、密封栓64の上面部における嵌合壁部68より内側の内周部分から下方に中太径の筒状に垂下するように形成されて底部が開口されている通過壁部69と、密封栓64の上面部にける密封栓64の中央部から下方に細径の筒状に垂下するように形成されて下面に小径の孔部が開口されている支持筒腕部67と、が一体形成されている。また、密封栓64の開口した底部に臨む通過壁部69の内周下端部は、開閉弁体66に密着可能とされて、内部を密封するよう構成されている一方、通過壁部69の内周における下端部よりも上方箇所には、内容物である液体を上方に通過させることができる通過溝部(特許文献1の図1など参照)が形成されている。
図15に示すように、開閉弁体66には、中央円板部66aと、この中央円板部66aの中央部から上方に延びて密封栓64の支持筒腕部67内に下方から突入される支持軸部66bと、中央円板部66aの外周部から上方に筒状に延びて密封栓64の支持筒腕部67に外周から嵌合可能とされた保持筒部66cと、保持筒部66cより外周円板状に延びて、密封栓64の開口した底部を開閉する逆止弁部66dと、保持筒部66cの上面外周から周方向に沿って斜め上方に延びて、当該開閉弁体66を下方に付勢する複数の弾性部66fと、が一体的に形成されている。なお、図15に示すように、保持筒部66cは上面部に切欠かれた隙間などは有しておらず、この保持筒部66cの上面部から、弾性部66fが周方向に沿いながら斜め上方に延びる形状で形成されている。
このキャップを組立てて製造する際には、内蓋体62の密封栓64の内部に開閉弁体66を嵌め込む必要がある。すなわち、ロボットなどの組立用装置を用いて開閉弁体66を把持した状態で、密封栓64の支持腕部67内に開閉弁体66の支持軸部66bが嵌り合い、かつ、密封栓64の通過壁部69の内周面に開閉弁体66の中央円板部66aの外周部が嵌り合うように正確に位置決めして、内蓋体62の密封栓64の内部に開閉弁体66を嵌め込むことでキャップを組立てる。
このキャップが装着されている容器60を外側から押圧していわゆるスクイズすると、容器60内の圧力によって、弾性部66fの付勢力に抗しながら、開閉弁体66が上昇し、通過溝部を通って注出筒部65から内容物の液体を注出できるよう構成されている。また、容器60を外側から押圧する(スクイズする)ことを止めると、弾性部66fの付勢力により開閉弁体66の逆止弁部66dが通過壁部69の内周下端部に密着して密封栓64の開口した底部が閉鎖され、液漏れしない状態に密封される。なお、このキャップが装着される容器60は二重容器である。この二重容器は、外側の容器に空気を吸入できる吸気弁が設けられており、容器60を外側から押圧する(スクイズする)ことを止めた際には、前記吸気弁を通して外側の容器と内側の容器との間に空気が流入されるよう構成されている。
特許文献2に開示されたキャップは、図16に示すように、変形可能な容器70の口部71に装着されるキャップ本体72と、このキャップ本体72の天面部74に着脱自在とされた蓋体73とを備えている。キャップ本体72には、天面部74と、この天面部74の中央部から上方にノズル状に突出して液体を注出する注出筒部75と、天面部74の外周寄り箇所から筒状に垂下して容器70の口部71に外周側から嵌合する内筒状嵌合部76と、天面部74の中央寄り箇所から筒状に垂下して容器70の口部71の開口部71aに内周側から嵌合する下側筒状壁部77とが一体形成されている。さらに、下側筒状壁部77の内部に、吐出孔78aを有する円形ベース部78と吐出孔78aを開閉自在な弁部材79aを有する逆止弁79が配設されている。
図16に示すように、円形ベース部78は中央に吐出孔78aが形成され、円形ベース部78の外周部は下側筒状壁部77の内壁部における下端部近傍箇所に密接された状態で配設される。図17、図18に示すように、逆止弁79は、高さが短い筒状とされて下側筒状壁部77の内壁部に密接された状態で配設される円筒部79bと、この円筒部79bから略半径方向の中心に向けて延びる複数の横弾性片79cと、これらの横弾性片79cの中心部に接続されて円形ベース部78の吐出孔78aを開閉自在な弁部材79aとが一体的に形成されている。なお、逆止弁79における横弾性片79cの間には、弁部材79aが開いた際に、内容物の液体が通過する隙間79dが形成されている。また、横弾性片79cは、略半径方向だけでなく中心側が下方に延びた状態で弁部材79aに接続されており、これらの横弾性片79cは、弁部材79aを下方に付勢して円形ベース部78の吐出孔78aの周囲に密着させるよう構成されている。
このキャップを組立てて製造する際には、キャップ本体72の下側筒状壁部77の内部に、まず、逆止弁79を嵌め込み、さらに、円形ベース部78を嵌め込むことで、キャップを完成させる。すなわち、ロボットなどの組立用装置を用いて、逆止弁79を把持した状態で、キャップ本体72の下側筒状壁部77の内周面と逆止弁79の円筒部79bの外周部とが嵌り合うように正確に位置決めして、キャップ本体72の下側筒状壁部77の内部にまず、逆止弁79を嵌め込む。次に、円形ベース部78を把持した状態で、キャップ本体72の下側筒状壁部77の内周面と円形ベース部78の外周部とが嵌り合うように正確に位置決めして、キャップ本体72の下側筒状壁部77の内部にさらに円形ベース部78を嵌め込むことでキャップを組立てる。
このキャップが装着されている容器70を外側から押圧していわゆるスクイズすると、容器70内の圧力によって、横弾性片79cの付勢力に抗しながら、弁部材79aが上昇し、吐出孔78aおよび隙間79dを通って注出筒部75から内容物の液体が注出される。また、容器70を外側から押圧する(スクイズする)ことを止めると、横弾性片79cの付勢力により逆止弁79の弁部材79aが円形ベース部78の吐出孔78aの周囲に密着して吐出孔78aが閉鎖され、液漏れしない状態に密封される。
しかしながら、前記特許文献1のキャップは構造が(特に、開閉弁体66の構造が)極めて複雑であるため、製造コストが高価となる課題を有する。また、組立てて製造する際に、ロボットなどの組立用装置を用いて開閉弁体66を把持した状態で、密封栓64の支持腕部67内に開閉弁体66の支持軸部66bが嵌り合い、かつ、密封栓64の通過壁部69の内周面に開閉弁体66の中央円板部66aの外周部が嵌り合うように正確に位置決めしなければならない。したがって、位置決め精度を出すために時間がかかるなど、製造能率が低下するとともに、組立用装置として極めて高価なものが必要となるという課題を有する。
また、前記特許文献2のキャップでも、組立てて製造する際に、ロボットなどの組立用装置を用いて、逆止弁79を把持した状態で、キャップ本体72の下側筒状壁部77の内周面と逆止弁79の円筒部79bの外周部とが嵌り合うように正確に位置決めしなければならない。また、この後に、円形ベース部78を把持した状態で、キャップ本体72の下側筒状壁部77の内周面と円形ベース部78の外周部とが嵌り合うように正確に位置決めしなければならない。したがって、このキャップの組立工程でも、位置決め精度を出すために時間がかかるなど、製造能率が低下するとともに、組立用装置として極めて高価なものが必要となるという課題を有する。
以上の課題を解決する手法として、図19〜図22に示すようなキャップ80が考えられる。このキャップ80は、可撓性を有する容器81の口部81aに装着されるキャップ80であって、容器81の口部81aに装着されるキャップ本体82と、キャップ本体82に形成された注出口83と、注出口83を開閉する蓋84とが設けられている。キャップ本体82の内部に中栓部材85が取付けられ、この中栓部材85には、容器81の内部に通じる吐出孔86が形成されている。また、中栓部材85の吐出孔86を開閉可能な円形の弁体90を有する逆止弁89が、キャップ本体82と中栓部材85との間の空間に収容されており、中栓部材85は、吐出孔86が設けられた底面部87と、この底面部87の外周から筒状上方に延びる筒状側壁部88と、を有する有底筒形状に形成されている。逆止弁89は、弁体90と、この弁体90の外周部から周方向に沿いながら斜め上方に延びて弁体90を中栓部材85の吐出孔86の周壁部に密着させる方向に付勢する複数の弾性腕部91とを有する。
上記構成において、このキャップ80が装着されている容器81を外側から押圧していわゆるスクイズすると、図23に示すように、容器81内の圧力を受けた内容物によって、弾性腕部91の付勢力に抗しながら、逆止弁89の弁体90が中栓部材85の吐出孔86から押し上げられ、弁体90と底面部87との間の隙間や弁体90に設けられた通路兼用隙間92を通って、注出口83から内容物の液体が注出される。また、容器81を外側から押圧する(スクイズする)ことを止めると、弾性腕部92の付勢力により逆止弁89の弁体90が中栓部材85の吐出孔86周壁部およびこの周囲の上面部に密着して吐出孔86が閉鎖され、液漏れしない状態に密封される。
この構成によれば、逆止弁89を有するため、容器81の内部に空気が入ることを防止しながら、内容物を良好に出すことが可能となる。また、比較的簡単な構成とすることができるため、製造コストを抑えることが可能となる。しかも、中栓部材85が有底筒形状であり、逆止弁89には外周側に周方向に沿って延びる複数の弾性腕部91が設けられているため、当該キャップ80の製造組立時には、図24に示すように、弁体90と複数の弾性腕部91とを有する逆止弁89を、有底筒形状の中栓部材85の内部に落下させるなどして移動するだけで、逆止弁89の弾性腕部91が中栓部材85の筒状側壁部88により案内されながら容易に収納させることができ、この後、図25に示すように、逆止弁89が収納された中栓部材85をキャップ本体82に取り付けるだけで済む。
しかしながら、図19〜図25に示すようなキャップでは、逆止弁89を中栓部材85に収納する際に、逆止弁89が中栓部材85に上方に移動可能な自由な状態で収納されており、逆止弁89の上方への移動を規制するものがないため、逆止弁89が中栓部材85の底面部87に強く当接して跳ね上がって、中栓部材85より脱落するおそれがある。このように、逆止弁89が中栓部材85より脱落した場合には、逆止弁89の収納作業をやり直さなければならないため、作業能率が低下してしまう。
また、逆止弁89をキャップに組み付けた状態でも、逆止弁89が中栓部材85の内部で比較的自由に移動できるため、キャップ80が装着されている容器81を外側から強く押圧してスクイズした際に、内容物が中栓部材85の内部に急激に流入して、逆止弁89が中栓部材85の内部で斜めになって、不安定な状態で内容物がキャップ80から出たり、その後の密閉状態が不安定となって、良好には密閉できなくなったりするなど、信頼性が低下する恐れがある。
本発明は上記課題を解決するもので、容器の内部に空気が入ることを防止しながら、内容物を良好に出すことができるとともに、比較的安価に製造できるだけでなく、組立時の製造能率が良好で、さらに、良好な信頼性を維持することができるキャップを提供することを目的とするものである。
上記課題を解決するために、本発明は、可撓性を有する容器の口部に装着されるキャップであって、前記容器の口部に装着されるキャップ本体と、キャップ本体に形成された注出口と、注出口を開閉する蓋と、が設けられ、前記キャップ本体の内部に中栓部材が取付けられ、この中栓部材には、容器の内部に通じる吐出孔が形成され、前記中栓部材の吐出孔を開閉可能な弁体を有する逆止弁が、キャップ本体と中栓部材との間の空間に収容され、前記中栓部材は、吐出孔が設けられた底面部と、この底面部の外周から筒状上方に延びる筒状側壁部と、を有する有底筒形状に形成され、前記逆止弁は、前記弁体と、弁体を中栓部材の吐出孔周壁部に密着させる方向に付勢する複数の弾性腕部とを有し、前記中栓部材の筒状側壁部の内壁に、内側に突出して、前記中栓部材に収納された逆止弁が上方に移動することを規制する規制突部が設けられていることを特徴とする。
この構成によれば、逆止弁を中栓部材に収納する際に、逆止弁が規制突部を乗り越えて中栓部材の内部に一旦収納されると、逆止弁の上方への移動が規制突部により規制され、逆止弁が中栓部材より脱落することを防止できる。
また、前記逆止弁の弁体に、中栓部材の吐出孔に嵌り込む嵌合弁部と、この嵌合弁部の外周側に延びる台座部と、この台座部の外周面に形成されて上方ほど径が大きくなるように傾斜しながら突出する傾斜突出部と、が設けられていると好適である。
この構成によれば、逆止弁を中栓部材に収納する際には、逆止弁における台座部の外周面が規制突部に接触した状態で収納方向に移動されるが、逆止弁における台座部の外周面には、上方ほど径が大きくなるように傾斜する傾斜突出部が形成されているので、この傾斜突出部の傾斜面により逆止弁が規制突部を比較的容易に乗り越えることができる。一方、逆止弁が規制突部を乗り越えて中栓部材の内部に一旦収納されると、逆止弁の上方への移動が規制突部により規制されるので、傾斜突出部の最大径部分を乗り越え可能な大きめの寸法とすることで、逆止弁が中栓部材より脱落することをより確実に防止することができる。
また、前記弁体の台座部に、下方に厚肉状に突出して、中栓部材の吐出孔の周壁部上面に密接可能な厚肉部が形成されていると好適である。この構成によれば、厚肉部の厚さを厚くするほど、中栓部材の内部での逆止弁の移動可能な寸法を減少させることができる。すなわち、厚肉部の厚さの調整により逆止弁の移動量を調整できて、中栓部材の内部で逆止弁が傾かないように比較的簡単に制御できる。
本発明のキャップによれば、中栓部材の筒状側壁部の内壁に、内側に突出して、前記中栓部材に収納された逆止弁が上方に移動することを規制する規制突部を設けることにより、逆止弁を中栓部材に収納する際に、逆止弁が中栓部材より脱落することを防止できて、逆止弁の収納作業をやり直さなくて済むので、作業能率が向上する。また、逆止弁の中栓部材の内部での移動量が規制されるので、中栓部材の内部で逆止弁が斜めになることを防止することが可能となり、内容物がキャップから不安定な状態で出たり、良好には密閉できなくなったりすることを防止できて、良好な信頼性を維持できる。
また、前記逆止弁の弁体に、台座部の外周面に形成されて上方ほど径が大きくなるように傾斜しながら突出する傾斜突出部を設けることにより、逆止弁が中栓部材より脱落することをより確実に防止することができる。
また、弁体の台座部に、下方に厚肉状に突出して、中栓部材の吐出孔の周壁部上面に密接可能な厚肉部を形成することにより、厚肉部の厚さを調整して逆止弁の移動量を調整できるため、中栓部材の内部で逆止弁が傾かないように移動時の姿勢を比較的簡単に制御でき、キャップとしての信頼性を向上させることができる。
以下、本発明の実施の形態に係るキャップを図面に基づき説明する。
図1、図2における1は可撓性を有して変形可能な容器、10はこの容器1の口部1aに装着される本発明の実施の形態に係るキャップである。この実施の形態では、容器1が可撓性を有してそれぞれ変形可能な外容器2と内容器3とからなる二重容器である場合を述べるが、これに限るものではなく、単なる可撓性を有して変形可能な容器であってもよい。また、この実施の形態では、二重容器である容器1の外容器2には、外部の空気を吸入できる吸気弁が設けられており、容器1を外側から押圧する(スクイズする)ことを止めた際には、前記吸気弁を通して外容器2と内容器3との間に空気が流入されるよう構成されている。
図1、図2に示すように、本発明の実施の形態に係るキャップ10は、容器1の口部1aに装着されるキャップ本体11と、キャップ本体11に形成された注出口(注出通路)12と、注出口12を開閉する蓋13と、キャップ本体11の内部に取付けられる中栓部材30と、キャップ本体11と中栓部材30との間の空間に収容された逆止弁40と、を備えている。なお、この実施の形態では、キャップ本体11と蓋13とが変形自在なヒンジ部14を介して樹脂などにより一体形成されているとともに接続されているがこれに限るものではない。
キャップ本体11は、注出口12が形成されている注出筒部15と、この注出筒部15が上方に突出して設けられている平面視略円形の天面部16と、この天面部16の外周から下方に筒状に垂下される筒状壁部17と、この筒状壁部17の外周から外周側(径方向外側)に延びる上壁部18と、筒状壁部17と上壁部18との接続部分から下方に筒状に延びて容器1の口部1aの内周面に密接して装着される内周筒状部19と、上壁部18の外周から下方に筒状に延びて容器1の口部1aの外周面に密接して装着される外周筒状部20と、上壁部18の外周寄り箇所から上方に筒状(円環状)に延びて蓋13の下縁部内周面に密接可能な突片部21と、などが一体形成されている。また、キャップ本体11の筒状壁部17の内周面には、中栓部材30を係止するための係止用爪部17aも一体形成されている。蓋13には、蓋13を閉じた際に注出筒部15内の注出口12内に突入可能とされて注出口12を閉鎖可能な突起部13aや、注出筒部15の先端に外周から接触可能な外周突部13bなども一体形成されている。
中栓部材30は、キャップ本体11の内部(容器1の口部1aに通じる吐出用通路)に取付けられている。図1および図3〜図5に示すように、中栓部材30は、容器1の内部に通じる吐出孔31が設けられた底面部32と、この底面部32の外周から筒状上方に延びる筒状側壁部33とを有する有底筒形状に形成されている。筒状側壁部33の上縁部外周には、キャップ本体11の係止用爪部17aに周方向で係合して中栓部材30を係止する係止用爪部33aが形成されている。
また、この実施の形態では、中栓部材30の底面部32は、筒状側壁部33の下縁部に続く円板状の外周底面部32aと、この外周底面部32aの内周部から中央側下方に突出する中央環状部32bとが設けられ、中央環状部32bの中心部に吐出孔31が形成されている。なお、この実施の形態では、中央環状部32bにおける吐出孔31が設けられている箇所は上方ほど若干細くなる(小さくなる)ように形成されているが、これに限るものではない。
図1および図6〜図9に示すように、逆止弁40は、中栓部材30の吐出孔31を開閉可能な略円盤状形の弁体41と、この弁体41の外周部から周方向に沿いながら斜め上方に延びて弁体41を中栓部材30の吐出孔31の周壁部に密着させる方向に付勢する複数(この実施の形態では4つ)の弾性腕部45とを有しており、樹脂などにより一体形成されている。逆止弁40の弁体41には、中栓部材30の吐出孔31に嵌り込む嵌合弁部42と、この嵌合弁部42の外周側に鍔状に延びて中栓部材30の吐出孔31の周壁部上面に密接可能な台座部43と、が形成されている。
この実施の形態では、弁体41の嵌合弁部42は、全体的には弁体41よりも下方に突出され、嵌合弁部42の下面中央部には、上方に窪む窪み部42aが形成されているが、これに限るものではない。また、弁体41の台座部43は、嵌合弁部42の外周縁部の全周より径方向外周に延びる円板状部43aと、この円板状部43aが平面視して所定角度毎にさらに外方に延ばされる外延部43bとが一体形成され、この外延部43bから上方に延びた後に周方向に沿って斜め上方に延びるように弾性腕部45が形成されている。また、図6、図8などに示すように、逆止弁40の台座部43における平面視して弾性腕部45に対応する箇所が切欠かれて容器1内の内容物が通過可能な通路兼用隙間46が形成されている。
図1に示すように、逆止弁40は、キャップ本体11と中栓部材30との間の空間に収容された状態で配設される。そして、図1などに簡略的に示すように、弾性腕部45が中栓部材30の筒状側壁部33の内周面に沿う形状に形成されている。また、この実施の形態では、図7などに示すように、弾性腕部45の先端部は水平に延ばされている。また、この実施の形態では、図1に示すように、キャップ本体11の天面部16から下方にリング状に突出する第1突条部22が形成され、弾性腕部45の先端部がキャップ本体11の第1突条部22の下面に弾性変形された状態で当接される。そして、弾性腕部45により、弁体41を中栓部材30の吐出孔31の周壁部に密着させる方向(この実施の形態では下方など)に付勢する。
また、この実施の形態では、図1、図4などに示すように、中栓部材30の筒状側壁部33が底面部32から離れるにつれて(すなわち上方ほど)筒状側壁部33間の直径が大きくなる逆円錐台形状に形成されている。また、これに対応して、図1、図7、図9などに示すように、逆止弁40の弾性腕部45が、中栓部材30の筒状側壁部33に沿うように上方ほど逆止弁40の径方向に広がる形状に形成されている。
また、図4などに示すように、中栓部材30の吐出孔31は容器1の内部に連通する下方側ほど直径が小さくなる円錐台形状に形成され、これに対応して、逆止弁40の嵌合弁部42も下方側ほど直径が小さくなる円錐台形状に形成されている。
上記構成に加えて、図4、図5などに示すように、中栓部材30の筒状側壁部33の内壁には、内壁面より内側に突出して、中栓部材30に収納された逆止弁40が上方に移動することを規制する規制突部47が設けられている。なお、この実施の形態では、図5に拡大して示すように、規制突部47は内周側に断面略三角形(山形状)に突出されている。
また、この実施の形態では、図7、図9に示すように、逆止弁40の弁体41における台座部43の外周面に、上方ほど径が大きくなるように傾斜しながら突出する(より詳しくは、逆止弁40を側面視して弾性腕部45よりも径方向(側方)に突出する)傾斜突出部43cが形成されている。
さらに、逆止弁40の弁体41の台座部43には、下方に厚肉状に突出して、中栓部材の吐出孔の周壁部上面に密接可能な厚肉部43dが形成されている。なお、この実施の形態では、厚肉部43dは台座部43における外延部43bに形成されているが、円板状部43aには形成されていない。
また、この実施の形態では、図1などに示すように、逆止弁40により密閉されている場合には、中栓部材30の底面部32に対して、逆止弁40が2か所で当接するようになっている(詳しくは、中栓部材30の底面部32における外周底面部32aと中央環状部32bとの接続部に逆止弁40の嵌合弁部42の外周部分が当接離反自在とされ、また、中栓部材30の底面部32における中央環状部32bの内周先端部に逆止弁40の嵌合弁部42の下面円板状部が当接離反自在とされている)が、これに限るものではなく、内容物の性状などに合わせて、適宜形状を変更してもよい。
上記構成において、当該キャップの製造組立時には、図10に示すように、まず、逆止弁40を有底筒形状の中栓部材30の内部に落下させるなどして相対的に下方に移動し、逆止弁40が中栓部材30の内部に収納させるように相対的に移動(下降)させる。これにより、逆止弁40の弾性腕部45などが中栓部材30の筒状側壁部33により案内されながら、逆止弁40が中栓部材30の内部に収納される(図11参照)。
この場合に、中栓部材30の筒状側壁部33の内壁には規制突部47が設けられているので、図11に示すように、逆止弁40が規制突部47を乗り越えて中栓部材の内部に一旦収納されると、逆止弁40の上方への移動が規制突部47により規制され、逆止弁40が中栓部材30より上方へ飛び出して脱落することが防止される。この結果、逆止弁40の収納作業をやり直さなくて済むので、作業能率が向上する。
また、上記構成によれば、逆止弁40を中栓部材30に収納する際には、逆止弁40における台座部43の外周面が規制突部47に接触した状態で収納方向に移動される(相対的に下降される)が、逆止弁40における台座部43の外周面には、上方ほど径が大きくなるように傾斜する傾斜突出部43cが形成されているので、この傾斜突出部43cの傾斜面により逆止弁40が規制突部47を比較的容易に乗り越えることができる。一方、傾斜突出部43cは、上方ほど径が大きくなるように突出しているので、逆止弁40が規制突部47を乗り越えて中栓部材30の内部に一旦収納されると、逆止弁40の上方への移動が規制突部47により規制され、この傾斜突出部43cの最大径部分を乗り越え可能な大きめの寸法とすることで、逆止弁40が中栓部材30より脱落することをより確実に防止することができる。
なお、逆止弁40が中栓部材30の内部に収納させた後には、図12に示すように、逆止弁40が収納された中栓部材30をキャップ本体11の内部に上方へ押し込む(内周筒状部19内から上方に押し込む)。これにより、中栓部材30の係止用爪部33aが、キャップ本体11の筒状壁部17の係止用爪部17aに係合して、中栓部材30および逆止弁40をキャップ本体11の筒状壁部17や内周筒状部19の内側に容易に取り付けることができる。
上記構成において、このキャップ10が装着されている容器1を外側から押圧していわゆるスクイズすると、図13に示すように、容器1内の圧力を受けた内容物によって、弾性腕部45の付勢力に抗しながら、逆止弁40の弁体41が中栓部材30の吐出孔31から押し上げられ、弁体41と底面部32との間の隙間や通路兼用隙間46を通って、注出口12から内容物の液体が注出される。また、容器1を外側から押圧する(スクイズする)ことを止めると、弾性腕部45の付勢力により逆止弁40の弁体41が中栓部材30の吐出孔31周壁部およびこの周囲の上面部に密着して吐出孔31が閉鎖され、液漏れしない状態に密封される。なお、この際、逆止弁40が収納されているキャップ本体11の注出口12(注出筒部15の内部)や、逆止弁40が収納されている天面部16と中栓部材30との間に溜まっていた内容物は、容器1内の陰圧により容器1の内部に戻される。このように、このキャップ10により、容器1の内部に空気が入ることを防止しながら、内容物を良好に出すことが可能となる。また、比較的簡単な構成であるため、製造コストを抑えることが可能となる。
また、容器1が押圧される(スクイズされる)と、注出される内容物により、逆止弁40の弁体41が中栓部材30の内部において押し上げられるが、中栓部材30には規制突部47が設けられて、逆止弁40の中栓部材30の内部での移動量が規制される。この結果、中栓部材30の内部で逆止弁40が斜めになることを防止することが可能となり、内容物がキャップ10から不安定な状態で出たり、良好には密閉できなくなったりすることを防止できて、良好な信頼性を維持できる。
また、上記構成においては、弁体41の台座部43に、下方に厚肉状に突出して中栓部材30の吐出孔31の周壁部上面に密接可能な厚肉部43dを形成しているので、厚肉部43dの厚さを調整して逆止弁40の移動量を調整できる。これにより、中栓部材30の内部で逆止弁40が傾かないように移動時の姿勢を比較的簡単に制御でき、キャップ10としての信頼性を向上させることができる。
また、上記構成においては、厚肉部43dは台座部43における外延部43bに形成されているが、円板状部43aには形成されていないので、逆止弁40が開いた際に、内容物が、厚肉部43dが形成されていない円板状部43aと底面部32との間、および通路兼用隙間46を通って、良好に吐出できる利点がある。
なお、上記の実施の形態では、逆止弁40の弾性腕部45が4つである場合を述べたが、これに限るものではなく、2つまたは3つ、あるいは5つ以上設けてもよいことはもちろんである。
また、上記の実施の形態では、キャップ10として容器1に打栓して装着する形式である場合を図示したが、これに限るものではなく、ねじ込んで容器に装着する、いわゆるスクリュー式のキャップにも適用できる。