JP5332032B2 - ホログラム表示装置 - Google Patents
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Description
たとえば、図5に示すホログラム表示装置7では、SLM71に光の波長オーダの干渉縞Iを表示し、この干渉縞Iに、レーザ光LBを照射することで、再生波Xを発生させ、観察者の眼Eに、理論上、立体像を再現することができる。SLM71は、入射した光に空間的な変調を与える光学装置であり、光の振幅、位相、あるいはその両方を電気的入力情報Aにより任意にコントロールすることができる。
また、図6のホログラム表示装置8では、立体像表示のフレームレートと水平走査線数の積で水平走査周波数が与えられるが、これが非常に高い周波数になることが問題である。これに加え、図6のホログラム表示装置8では、水平走査および垂直走査の2次元的な機械走査機構を必要とするため、装置が複雑になるなどの問題がある。
さらに、図7のホログラム表示装置9では、複雑な構成をもつ多重結像系を用いる必要がある、シャッタアレイ94のうち開いていのは常に1個のシャッタだけであるため光の利用効率が低い、という問題がある。
本発明の他の目的は、機械走査周波数を低く抑え、複雑な光学系を必要としないホログラム表示技術を提供することにある。
(1)
レーザ光を入射し当該レーザ光をホログラムの干渉縞情報に基づき順次変調する空間光変調器と、
前記空間光変調器からの変調光を順次入射し、当該変調光を、光軸に垂直でかつ相互に交差する二方向の倍率が異なるようにスケール変更して順次出力するアナモルフィック光学系と、
前記アナモルフィック光学系内に設置されスケール変更された変調光を、前記二方向のうちスケール変更の倍率が小さい方向に、要素ホログラムとして順次並べる要素ホログラム走査系と、
を備えたホログラム装置において、
前記アナモルフィック光学系は、スケール変更された前記変調光を前記二方向のうちスケール変更の倍率が大きい方向に拡散する一方向拡散板を備え、
スケール変更の倍率が小さい方向の結像位置を前記要素ホログラムの表示位置とし、スケール変更の倍率が大きい方向の結像位置を前記一方向拡散板の位置としたことを特徴とするホログラム表示装置。
光軸に垂直でかつ相互に交差する二方向は、直交する二方向とすることができる。
空間光変調器からの変調光は、二方向での倍率(典型的には水平方向と垂直方向との倍率)が、一方向では縮小、他方向では拡大となるようにスケール変更することができる。
本発明における、ホログラムの干渉縞情報は、物体で拡散・反射された物体波と参照波を光学的に干渉させてイメージセンサで撮影する、あるいは、コンピュータで干渉をシミュレーションすることで生成できる。干渉縞を空間光変調器に表示し、レーザ光を空間光変調器で変調して生じる再生波が立体像を発生する。
アナモルフィック光学系は、光軸に垂直でかつ相互に直交する方向の、一方向について拡大、他方向について縮小するように構成できる。この場合には、変調光は拡大後に縮小されてもよいし、縮小後に拡大されてもよい。
一方向のスケール変更の倍率を大きくし、スケール変更の倍率が小さい方向へ走査することで、画面サイズの拡大と、スケール変更の倍率の小さい方向の画素ピッチの縮小による視域角拡大が可能になる。
前記一方向拡散板として、多数のシリンドリカルレンズで構成されるレンチキュラシート、あるいはホログラフィックデフューザなどを使用することができる。
前記一方向拡散板を用いることで、スケール変更の倍率が大きい方向の視域を拡大することができる。
このホログラム表示では、アナモルフィック光学系の水平方向と垂直方向の結像位置が一致していてもよい。また、このホログラム表示は、アナモルフィック光学系の光軸に垂直でかつ相互に直交する方向の結像位置を異なる位置にすることでも実現できる。
水平視差型のホログラム表示では、水平方向(スケール変更の倍率が小さい方向)には光が立体像の位置に集光しシャープな立体像となるが、垂直方向(スケール変更の倍率が大きい方向)には一方向拡散板で光が拡散されるので垂直方向の結像位置を立体像の表示位置付近としてここに一方向拡散板を設置することで垂直方向にもシャープな立体像を得ることができる。
前記アナモルフィック光学系が、前記空間光変調器からの前記変調光を、垂直方向に拡大して出射する垂直方向拡大系と、水平方向に縮小して出射する水平方向縮小系とを備えたことを特徴とする(1)に記載のホログラム表示装置。
アナモルフィック光学系は、上記のように典型的には垂直方向拡大系と水平方向縮小系とにより構成される。垂直方向拡大系および水平方向縮小系は、ともに、シリンドリカルレンズ系(1つまたは複数のレンズ系)により構成することができる。
また、垂直方向拡大系および/または水平方向縮小系を、1つまたは複数のシリンドリカルレンズと1つまたは複数の球面レンズとの複合系とすることもできる。たとえば、垂直方向拡大系を複数のシリンドリカルレンズと1つの球面レンズにより構成し、水平方向拡大系を1つの球面レンズにより構成することができる。
垂直方向に拡大することで画面の垂直幅の拡大と、水平方向に縮小することで水平画素ピッチの縮小による水平視域角拡大が可能になる。
前記要素ホログラム走査系が、スケール変更された前記変調光を順次並列させるミラースキャナーを備えたことを特徴とする(1)または(2)に記載のホログラム表示装置。
ミラースキャナーとして、振動ミラーや回転ミラーなどを使用することができる。ミラーの振動の行きと帰りの両方で変調光を並列させることで、ミラーの振動周波数を立体像の表示周波数の半分にできる。
要素ホログラムを走査することで、走査方向への画面サイズの拡大が可能になる。
前記アナモルフィック光学系が、前記変調光が並列される方向に当該変調光を偏向する出射レンズを備えたことを特徴とする(1)から(3)の何れかに記載のホログラム表示装置。
出射レンズとして、シリンドリカルレンズあるいは球面レンズを使用することができる。
出射レンズを用いることで、前記ミラースキャナーや回転ミラーなどで外向きに偏向させた変調光を観察者側に向けることができる。
前記アナモルフィック光学系が、前記変調光の光路上に、少なくとも光軸を含んで前記変調光のほぼ半分を遮蔽する遮光板を備えていることを特徴とする(1)から(4)の何れかに記載のホログラム表示装置。
アナモルフィック光学系が、垂直方向拡大系と、水平方向縮小系とを備えている場合には、垂直方向拡大系,水平方向縮小系の何れかにおいて、光路の、上半分または下半分の領域、あるいは右半分または左半分の領域を光軸を含んで遮蔽することができる。
この遮蔽により、ホログラム画像の表示に不要な共役像とゼロ次光を除去することができる。
前記アナモルフィック光学系が、前記変調光の光路上に、前記変調光の中心部分を透過し周辺部分を遮蔽する遮光板を備えていることを特徴とする(1)から(5)の何れかに記載のホログラム表示装置。
アナモルフィック光学系内に、水平方向と垂直方向に光が透過する部分を限定することができる。
この光の透過部分の限定により、空間光変調器の画素構造に起因して発生する高次回折光を除去することができる。
前記レーザ光が、前記空間光変調器の順次変調に同期したパルス光であることを特徴とする(1)から(6)の何れかに記載のホログラム表示装置。
前記パルス光の発生は、レーザに半導体レーザを用いた場合には電流変調による直接変調で、気体レーザや固体レーザを用いた場合には光強度変調器による外部変調で実現できる。
このパルス光の発生により、要素ホログラム走査系による要素ホログラムの走査方向へのボケを低減できる。
前記レーザ光が、前記空間光変調器の順次変調に同期して光強度が変化するあるいはパルス幅が変化することを特徴とする(1)から(7)の何れかに記載のホログラム表示装置。
光強度の変化は、レーザに半導体レーザを用いた場合には電流変調による直接変調で、気体レーザや固体レーザを用いた場合には光強度変調器による外部変調で実現できる。また、光強度を変える代りに、レーザ光のパルス幅を変えることで、光強度変調したのと同等の効果が得られる。
要素ホログラムを並列させる際に、要素ホログラム間に重なりがある場合には、それぞれの要素ホログラム表示時のレーザ光の光強度あるいはレーザ光のパルス幅を変えることで、要素ホログラムの重なり部分での表示階調数を増やすことができ、立体像の表示階調数を増やすことができる。
すなわち、本発明では、直交方向に異なる倍率でスケール変更された変調光(光軸に垂直な断面が細長い光)を発生し、この変調光を走査するようにした。したがって、汎用の空間光変調器(画素数がSVGA(800×600pixels)程度、画素密度20μm/pix程度)を使用して鮮明ながホログラム画像を得ることができる。
本発明では、空間光変調器からの変調光を、垂直方向に拡大しているので、要素ホログラムの垂直幅を大きくでき、これを水平走査することで、ホログラム画像の大画面化が可能となる。
空間光変調器11は、レーザ光LBを入射し、レーザ光LBをホログラムの干渉縞情報に基づき順次変調する。空間光変調器11は、MEMSを使用したもの、液晶を使用したものが使用できるがこれには限定されない。
図1では、アナモルフィック光学系12は、垂直方向拡大系121と水平方向縮小系122と出射レンズ123と一方向拡散板124とから構成されている。
垂直方向拡大系121は入射光を垂直方向に拡大して、水平方向縮小系122は入射光を水平方向に縮小して要素ホログラムHE(k)として出射する。
また、出射レンズ123には、変調光を、スケール変更に際して変調光が拡大する向きに拡散させるための一方向拡散板124が貼り着けられている。これにより、垂直方向の視域を拡大することができる。
画像更新が高速な空間光変調器11を用いた場合には、表示する要素ホログラムの間に重なりが生じる。この場合には、それぞれの要素ホログラム表示時のレーザ光の光強度を変えることで、あるいは、レーザ光のパルス幅を変化させることで、要素ホログラムの重なり部分での表示階調数を増やすことができる。そのため、立体像の表示階調数を増やすことができる。
図2の平面図に示すように、観察者(眼E)により、瞳Pを通して再生された立体像Gを見ることを考える。立体像Gの各点の形成に寄与するのは出射レンズ123の出射面S上の限られた範囲(要素ホログラムHE(k)の範囲)であり、この範囲でコヒーレンスが保たれていればよく、出射面S全体でコヒーレンスが保たれている必要はない。
以上のように、人間が観察する際に必要なコヒーレントな領域を確保するホログラム表示を、ここでは、疑似コヒーレント表示と呼ぶことにする。
球面レンズ125の位置に垂直スリット142を設置した。これは、空間光変調器の画素構造に起因して発生する高次回折光の水平方向成分を除去する役割をもつ。
(表1)
画面サイズ 73.1×52.5mm2(3.5”)
水平視域角 14.6°
フレームレート 60Hz
要素ホログラムサイズ 2.56×52.5mm2
要素ホログラム数 222
要素ホログラム水平ピッチ 0.32mm
図4(A),(B),(C)から、見る方向によって、視差が得られていることがわかる。すなわち、再生像は両眼で立体視可能であった。
11 空間光変調器
12 アナモルフィックレンズ系
13 要素ホログラム走査系
121 垂直方向拡大系
122 水平方向縮小系
123 出射レンズ
124 一方向拡散板
131 振動ミラー
141 水平スリット
142 垂直スリット
Claims (8)
- レーザ光を入射し当該レーザ光をホログラムの干渉縞情報に基づき順次変調する空間光変調器と、
前記空間光変調器からの変調光を順次入射し、当該変調光を、光軸に垂直でかつ相互に交差する二方向の倍率が異なるようにスケール変更して順次出力するアナモルフィック光学系と、
前記アナモルフィック光学系内に設置されスケール変更された変調光を、前記二方向のうちスケール変更の倍率が小さい方向に、要素ホログラムとして順次並べる要素ホログラム走査系と、
を備えたホログラム装置において、
前記アナモルフィック光学系は、スケール変更された前記変調光を前記二方向のうちスケール変更の倍率が大きい方向に拡散する一方向拡散板を備え、
スケール変更の倍率が小さい方向の結像位置を前記要素ホログラムの表示位置とし、スケール変更の倍率が大きい方向の結像位置を前記一方向拡散板の位置としたことを特徴とするホログラム表示装置。 - 前記アナモルフィック光学系が、前記空間光変調器からの前記変調光を、垂直方向に拡大して出射する垂直方向拡大系と、水平方向に縮小して出射する水平方向縮小系とを備えたことを特徴とする請求項1に記載のホログラム表示装置。
- 前記要素ホログラム走査系が、スケール変更された前記変調光を順次並列させるミラースキャナーを備えたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のホログラム表示装置。
- 前記アナモルフィック光学系が、前記変調光が並列される方向に当該変調光を偏向する出射レンズを備えたことを特徴とする請求項1から請求項3の何れかに記載のホログラム表示装置。
- 前記アナモルフィック光学系が、前記変調光の光路上に、少なくとも光軸を含んで前記変調光のほぼ半分を遮蔽する遮光板を備えていることを特徴とする請求項1から請求項4の何れかに記載のホログラム表示装置。
- 前記アナモルフィック光学系が、前記変調光の光路上に、前記変調光の中心部分を透過し周辺部分を遮蔽する遮光板を備えていることを特徴とする請求項1から請求項5の何れかに記載のホログラム表示装置。
- 前記レーザ光が、前記空間光変調器の順次変調に同期したパルス光であることを特徴とする請求項1から請求項6の何れかに記載のホログラム表示装置。
- 前記レーザ光が、前記空間光変調器の順次変調に同期して光強度が変化するあるいはパルス幅が変化することを特徴とする請求項1から請求項7の何れかに記載のホログラム表示装置。
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