JP5326566B2 - リチウムイオン二次電池 - Google Patents

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Description

本発明はリチウムイオン二次電池に関する。より詳しくは、電解液を含むことでリチウムイオン伝導性を示す重合体粒子を結着剤として含有し、内部抵抗が小さく負荷特性に優れ、繰り返し充放電による容量減が少ないリチウムイオン二次電池に関する。
近年普及が著しいノート型パソコンや携帯電話、PDAなどの携帯端末の電源には、リチウムイオン二次電池などの非水電解質二次電池が多用されている。また、近年では環境問題や資源問題から電気自動車用大型電源や電力貯蔵用としても非水電解質二次電池が注目されている。電気自動車用大型電源としては高い負荷特性が要求され、電力貯蔵用としては高い寿命特性が要求されている。
リチウムイオン二次電池において、電極活物質同士、および電極活物質と集電体とを結着するための結着剤が用いられるが、結着剤は非導電性であり非イオン伝導性であるため、その使用量が多いと、内部抵抗の増大や容量の低下が生じていた。使用量が少なくても結着力の高い結着剤として、合成ゴム系重合体粒子型結着剤を用いる方法も提案されている(特許文献1)。そして、合成ゴム系重合体粒子型結着剤としては、スチレンブタジエンゴム重合体粒子、ニトリルブタジエンゴム重合体粒子、メチルメタクリレートブタジエンゴム重合体粒子などが開示されている。これらの合成ゴム系重合体粒子型結着剤では内部抵抗・容量低下に関して改善が見られているが十分な負荷特性が得られていない。
また、有機電解液を含有する高分子(ポリマー)ゲル状電解質を用いたリチウム高分子電池も薄型・軽量の新電池系として開発されつつある。高分子電解質電池はArmandらによってポリエチレンオキサイドと電解質塩から成る高分子電解質を用いた電池が提案されて以来、種々の研究が行われている(特許文献2,3)。しかしこれらのゲル電解質用高分子を結着剤として用いた際、十分な結着強度を出すことが出来ずサイクル特性が低下し、加えて活物質層の剥離による短絡等の安全性にも問題があった。
特開2004−55493号公報 特開2000−173608号公報 WO97/48106号パンフレット
本発明は、上記現状の問題点を改善するために提案されるもので、その目的は、内部抵抗が小さく負荷特性に優れ、繰り返し充放電による容量減が少ないリチウムイオン二次電池を提供することにある。
本発明者は鋭意検討の結果、正極、負極および電解液を含有してなるリチウムイオン二次電池において、正極または負極の少なくとも一方に用いられる結着剤として、該電解液に対する膨潤度が特定範囲であり、かつ該電解液を含むことでリチウムイオン伝導度を示す重合体粒子を用いることで上記課題を達成できることを見出し、この知見に基づき本発明を完成するに到った。
かくして本発明の第一によれば、正極、負極、および電解液を有してなり、前記正極および負極が、電極活物質および結着剤を含む活物質層と集電体とを結着して構成されてなるリチウムイオン二次電池であって、
該正極または負極の少なくとも一方に用いられる結着剤が重合体粒子を含有し、かつ該重合体粒子が下記物性を充足することを特徴とするリチウムイオン二次電池が提供される。
すなわち、該重合体粒子は、該重合体粒子のみを加圧成形して得られるシート状成形体の、該電解液に対する膨潤度が5〜50%であり、かつ該電解液により膨潤したシート状成形体のリチウムイオン伝導度が1×10−4S・cm以上である。
上記重合体粒子の個数平均粒子径は0.01〜10μmであることが好ましい。
上記重合体粒子は、加熱またはエネルギー線照射により架橋された架橋重合体であることが好ましい。
上記重合体は、孤立電子対を有する構造を含むものであることが好ましく、該孤立電子対を有する構造は、ニトリル基またはエーテル結合であることが好ましい。
上記電解液は、リチウム塩をカーボネート類に溶解してなる有機電解液であることが好ましい。
本発明のリチウムイオン二次電池は、結着力およびイオン伝導性に優れる結着剤を用いているので、内部抵抗が小さく負荷特性に優れ、繰り返し充放電による容量減が少ない。本発明のリチウムイオン二次電池は、各種携帯端末の電源などの小型電池や、電気自動車用電源や電力貯蔵用途などの大型電池にも使用できる。特に、負荷特性に優れ繰り返し充放電による容量減が少ないので大型電池用途に好適である。
本発明のリチウムイオン二次電池は、正極、負極および電解液を含有してなり、前記正極および負極が、電極活物質および結着剤を含む活物質層と集電体とを結着して構成されてなるリチウムイオン二次電池であって、該正極または負極の少なくとも一方に用いられる結着剤が重合体粒子を含有し、かつ該重合体粒子が、それのみを加圧成形して得られるシート状成形体を該電解液に浸漬したときの長さの増加分として表される、該電解液に対する膨潤度が5〜50%であり、かつ該シート状成形体を該電解液で膨潤させたときのリチウムイオン伝導度が1×10−4S・cm以上を示すものであることを特徴とする。
ここで、重合体粒子の膨潤度は、以下のようにして求められる値である。まず、該重合体を加圧成形することにより縦20mm×横20mm、厚さ100μmのシート状成形体を得る。このシート状成形体を60℃の電解液に72時間浸漬した後に引き上げ、成形体表面に付着した電解液を拭き取る。そして、該成形体の、電解液への浸漬前後の長さの増加分(%)として膨潤度が求められる。
また、該電解液で膨潤させたときのリチウムイオン伝導度は、以下のようにして求められる値である。まず、上記と同様にして得られたシート状成形体を25℃の電解液に10時間浸漬した後に引き上げ、成形体表面に付着した電解液を拭き取る。これを金属電極で挟み込むことにより電気化学セルを構成し、該電気化学セルの電極間に交流電圧を印可し交流インピーダンス法により測定した複素数インピーダンスのコールコールプロットにおける実数インピーダンス切片、該シート状成形体の厚さ、ならびに該金属電極の面積から計算してリチウムイオン伝導度が求められる。リチウムイオン伝導度測定についての詳細は、”In Electrochemical Methods, Fundamentals and Applications; Bard, A.J., Faulker, L.R., Eds.; John Wiley & Sons; New York, 2001”および”In Impedance Spectroscopy, Emphasizing Solid materials and systems; Macdonald, J.R., Ed.; John Wiley & Sons; New York, 1987”などに記載されている。
本発明で用いる重合体粒子は、電解液により膨潤することで電極内部の空隙に効率的に電解液を保持することができ、それにより液保持性が向上し、サイクル特性に優れたリチウムイオン二次電池を得ることができる。重合体粒子の膨潤度は、5〜50%、好ましくは5〜20%である。膨潤度が低すぎると液保持性が低すぎるためにサイクル特性が悪化し、高すぎると電解液内での結着強度が低くなり同じくサイクル特性が悪化する傾向にある。また、重合体粒子を電解液で膨潤させたときのリチウムイオン伝導度は、1×10−4S・cm以上、好ましくは1×10−3S・cm以上である。リチウムイオン伝導度は高ければ高いほど負荷特性が向上する傾向にある。
電解液としては、有機溶媒に支持電解質を溶解した有機電解液が用いられる。支持電解質としては、リチウム塩が用いられる。リチウム塩としては、特に制限はないが、LiPF、LiAsF、LiBF、LiSbF、LiAlCl、LiClO、CFSOLi、CSOLi、CFCOOLi、(CFCO)NLi、(CFSONLi、(CSO)NLiなどが挙げられる。中でも、溶媒に溶けやすく高い解離度を示すLiPF、LiClO、CFSOLiが好ましい。これらは、二種以上を併用してもよい。解離度の高い支持電解質を用いるほどリチウムイオン伝導度が高くなるので、支持電解質の種類によりリチウムイオン伝導度を調節することができる。
電解液に使用する有機溶媒としては、支持電解質を溶解できるものであれば特に限定されないが、ジメチルカーボネート(DMC)、エチレンカーボネート(EC)、ジエチルカーボネート(DEC)、プロピレンカーボネート(PC)、ブチレンカーボネート(BC)、メチルエチルカーボネート(MEC)などのカーボネート類;γ−ブチロラクトン、ギ酸メチルなどのエステル類;1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフランなどのエーテル類;スルホラン、ジメチルスルホキシドなどの含硫黄化合物類;が好適に用いられる。またこれらの溶媒の混合液を用いてもよい。中でも、誘電率が高く、安定な電位領域が広いのでカーボネート類が好ましい。用いる溶媒の粘度が低いほどリチウムイオン伝導度が高くなるので、溶媒の種類によりリチウムイオン伝導度を調節することができる。
電解液中における支持電解質の濃度は、通常1〜30重量%、好ましくは5重量%〜20重量%である。また、支持電解質の種類に応じて、通常0.5〜2.5モル/Lの濃度で用いられる。支持電解質の濃度が低すぎても高すぎてもイオン導電度は低下する傾向にある。用いる電解液の濃度が低いほど重合体粒子の膨潤度が大きくなるので、電解液の濃度によりリチウムイオン伝導度を調節することができる。
本発明で用いる重合体粒子は、用いる電解液に応じて膨潤度およびリチウムイオン伝導度が上記範囲となるものが適宜選択される。重合体粒子を得る方法は特に限定されず、重合反応と同時に架橋を行い粒子形状の重合体を得る方法、および架橋可能な重合体をまず製造し、次いでこれを架橋して重合体粒子を得る方法のいずれも採用できる。また、架橋後の重合体を粉砕等により所望の粒子径の重合体粒子を得てもよい。具体的には、ビーズミル、ジェットミル、せん断粉砕法等により重合体を粉砕することで、重合体を粒子形状とすることができる。
特に、本発明で用いる重合体粒子は、加熱またはエネルギー線照射により架橋可能な重合体を架橋して得られた重合体粒子であることが好ましい。加熱またはエネルギー線照射により架橋可能な重合体を架橋して用いることで、加熱やエネルギー線照射の強度により架橋密度を調節できる。架橋密度が高いほど膨潤度が小さくなるので、架橋密度を変えることで膨潤度を調節することができる。中でも、架橋密度の調節が容易なので、加熱により架橋可能な重合体を架橋して得られた重合体粒子であることがより好ましい。
本発明で用いる重合体粒子の個数平均粒子径は、通常0.01〜10μm、好ましくは0.05〜1μmである。粒子径が大きすぎると結着剤として必要な量が多くなりすぎ、得られる電池の内部抵抗が増加する場合がある。逆に、粒子径が小さすぎると電極活物質の表面を覆い隠して反応を阻害してしまう場合がある。ここで、個数平均粒子径は、走査型電子顕微鏡で300個の重合体粒子を観察して、その長径の算術平均値として算出される。
本発明で用いる重合体としては、孤立電子対を有する構造を含むものが好ましい。孤立電子対を有する構造を含むことで、比較的低い膨潤度でも高いリチウムイオン伝導性を有する重合体粒子を得ることができる。その中でもリチウムイオンの運動性が高いという点からエーテル結合が、電解液の液保持性が高く得られた電極の結着性が高いという点からニトリル基が好ましい。
中でも、ニトリル基を含有する単量体単位を有する重合体(以下、単に「ニトリル基含有重合体」という)、およびエーテル結合を有する重合体が、特にリチウムイオン伝導性に優れるので、好ましい。重合体中の、ニトリル基およびエーテル結合の割合が多いほど、リチウムイオン伝導性が高くなる。
ニトリル基含有重合体は、ニトリル基を含有する単量体と、これと共重合可能な他の単量体との共重合体であることが好ましい。ニトリル基を含有する単量体としては、アクリロニトリルおよびメタクリロニトリルなどのα,β−不飽和ニトリル化合物が挙げられ、アクリロニトリルが好ましい。ニトリル基含有重合体中における、ニトリル基を含有する単量体単位の割合は、好ましくは30〜95重量%、より好ましくは40〜90重量%である。ニトリル基を上記の割合で含有することで電解液の液保持性が高く電解液膨潤性を制御することができるようになり、加えて得られる電極の結着性が高いのでサイクル特性が向上する。
共重合可能な他の単量体としては、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酢酸イソプロペニル、バレリン酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、安息香酸ビニル、バーサティック酸ビニル、ピバリン酸ビニルなどのビニルエステル類;N−ビニルピロリドン;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−アミル、アクリル酸イソアミル、アクリル酸n−ヘキシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ヒドロキシプロピル、アクリル酸ラウリルなどのアクリル酸エステル類;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n−アミル、メタクリル酸イソアミル、メタクリル酸n−ヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ヒドロキシプロピル、メタクリル酸ラウリルなどのメタクリル酸エステル類;エチレン、プロピレン、1−ブテン等の1−オレフィン類;1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン(イソプレン)、2、3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエンなどの共役ジエン類;アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イソクロトン酸などの不飽和モノカルボン酸;マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、メサコン酸、グルタコン酸、イタコン酸などの不飽和ジカルボン酸およびその酸無水物;などが挙げられる。
ニトリル基含有重合体の製法は特に限定されない。例えばニトリル基を含有する単量体と、これと共重合可能な他の単量体とを、乳化重合法、懸濁重合法、分散重合法、溶液重合法または塊状重合法などの公知の重合法により共重合して得ることができる。
エーテル結合を有する重合体は、たとえばポリアルキレンオキシド鎖を主鎖または側鎖に有する重合体である。得られる重合体のリチウムイオン伝導性に優れるとの観点から、ポリアルキレンオキシド鎖を主鎖に有することが好ましい。ポリアルキレンオキシド鎖を主鎖に有する重合体(以下、単に「ポリエーテル重合体」という)は、エポキシ基を有する単量体を開環重合することで得られる。
エポキシ基を有する単量体としては、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、1,2−エポキシブタン、1,2−エポキシ−イソブタン、2,3−エポキシブタン、1,2−エポキシヘキサン、1,2−エポキシオクタン、1,2−エポキシデカン、1,2−エポキシテトラデカン、1,2−エポキシヘキサデカン、1,2−エポキシオクタデカン、1,2−エポキシエイコサン、1,2−エポキシシクロペンタン、1,2−エポキシシクロヘキサン、1,2−エポキシシクロドデカンなどのアルキレンオキシド;シクロヘキセンオキシドなどの環式脂肪族エポキシド;メチルグリシジルエーテル、エチルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテルなどのアルキルグリシジルエーテル;スチレンオキシド、フェニルグリシジルエーテルなどの非エチレン性不飽和エポキシド;2−((2−メトキシエトキシ)メチル)オキシラン、2−((2−(メトキシエトキシ)エトキシ)メチル)オキシランなどのオリゴオキシエチレン鎖を有するオキシラン単量体;が挙げられる。これらは2種以上を併用してもよい。上記各化合物の中でも、重合反応性の高いエチレンオキシド、プロピレンオキシドおよび1,2−エポキシブタンが好ましく、リチウムイオン伝導性が高いので、エチレンオキシドが特に好ましい。
さらに、架橋性基およびエポキシ基を有する単量体を共重合させると、架橋可能な重合体を容易に得ることができるので好ましい。架橋性基としては炭素−炭素二重結合およびハロゲン原子が挙げられ、架橋および架橋密度の調節が容易なので炭素−炭素二重結合が好ましい。炭素−炭素二重結合およびエポキシ基を有する単量体としては、たとえば、ビニルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、ブテニルグリシジルエーテル、o−アリルフェニルグリシジルエーテルなどの不飽和グリシジルエーテル;ブタジエンモノエポキシド、クロロプレンモノエポキシド、4,5−エポキシ−2−ペンテン、3,4−エポキシ−1−ビニルシクロヘキセン、1,2−エポキシ−5,9−シクロドデカジエンなどのジエンまたはポリエンのモノエポキシド;3,4−エポキシ−1−ブテン、1,2−エポキシ−5−ヘキセン、1,2−エポキシ−9−デセンなどのアルケニルエポキシド;グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、グリシジルクロトネート、グリシジル−4−ヘプテノエート、グリシジルソルベート、グリシジルリノレート、グリシジル−4−メチル−3−ペンテノエート、3−シクロヘキセンカルボン酸のグリシジルエステル、4−メチル−3−シクロヘキセンカルボン酸のグリシジルエステル、などの、不飽和カルボン酸のグリシジルエステル類;が挙げられる。
ハロゲン原子およびエポキシ基を有する単量体としては、たとえば、エピクロロヒドリン、エピブロモヒドリン、エピヨードヒドリン、エピフルオロヒドリン、β−メチルエピクロルヒドリンなどのエピハロヒドリン;p−クロロスチレンオキシド;ジブロモフェニルグリシジルエーテル;が挙げられる。
ポリエーテル重合体中のエチレンオキシド単量体単位量は、好ましくは70〜99モル%、より好ましくは75〜97モル%、特に好ましくは80〜96モル%である。また、架橋性基およびエポキシ基を有する単量体単位量は、好ましくは1〜15モル%、より好ましくは2〜11モル%である。ポリエーテル重合体中のエチレンオキシド単量体単位量がこの範囲であると、リチウム伝導度が良好で、かつ架橋性基およびエポキシ基を有する単量体単位量がこの範囲であると電解液に対する膨潤度が良好となる。
上記の単量体を重合する重合触媒は特に限定されず、例えば、有機アルミニウムに水とアセチルアセトンとを反応させた触媒、トリイソブチルアルミニウムにリン酸とトリエチルアミンとを反応させた触媒、トリイソブチルアルミニウムにジアザビアシクロウンデセンの有機酸塩とリン酸とを反応させた触媒、アルミニウムアルコキサイドの部分加水分解物と有機亜鉛化合物とからなる触媒、有機亜鉛化合物と多価アルコールとからなる触媒、ジアルキル亜鉛と水とからなる触媒などの、エポキシ基を有する単量体の開環重合触媒として従来公知の重合触媒を用いることができる。
重合方法としては、生成重合体が溶解する有機溶媒を用いる溶液重合法、又は、生成重合体が不溶な有機溶媒を用いる溶媒スラリー重合法などの重合法を用いることができるが、n−ペンタン、n−ヘキサン、シクロペンタンなどの
溶媒を用いる溶媒スラリー重合法が好ましい。また、溶媒スラリー重合法の中でも、予め種子(シード)の重合をした後に該シードの粒子を肥大化する重合を行う二段階重合法が、反応器の内壁へのスケール付着量が少ないので好ましい。
ニトリル基含有重合体およびポリエーテル重合体の架橋に用いられる架橋剤としては、熱により効果を発揮する架橋剤およびエネルギー線照射により効果を発揮する架橋剤が挙げられ、熱により効果を発揮する架橋剤が好ましい。熱により効果を発揮する架橋剤は特に限定されないが、有機過酸化物やアゾ化合物等のラジカル開始剤が好適に用いられる。
有機過酸化物としては、例えば、メチルエチルケトンペルオキシド、メチルイソブチルケトンペルオキシド、シクロヘキサノンペルオキシド、メチルシクロヘキサノンペルオキシド等のケトンペルオキシド類;プロピオニルペルオキシド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルデカノイルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、ベンゾイルペルオキシド等のアシルペルオキシド類;tert−ブチルヒドロペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド、ジイソプロピルベンゼンヒドロペルオキシド、p−メンタンヒドロペルオキシド等のヒドロペルオキシド類;ジ−tert−ブチルペルオキシド、tert−ブチルクミルペルオキシド、ジクミルペルオキサイド等のジアルキルペルオキシド類;1,4−ビス(t−ブチルペルオキシジイソプロピル)ベンゼン、1,1−ビス(t−ブチルペルオキシ)−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン、n−ブチル−4,4’−ビス(tert−ブチルペルオキシ)ブタン等のペルオキシケタール類;tert−ブチルペルオキシアセテート、tert−ブチルペルオキシイソブチレート、tert−ブチルペルオキシオクトエート、2,5−ジメチル−2,5−ジベンゾイルペルオキシヘキサン等のアルキルペルエステル類;ジ−2−エチルヘキシルペルオキシジカーボネート、ジイソプロピルペルオキシジカーボネート等のペルオキシカーボネート類;コハク酸ペルオキシド等の水溶性ペルオキシド類;t−ブチルトリメチルシリルペルオキシド等のアルキルシリルペルオキシド類;等が挙げられる。
ジアゾ化合物としては、4,4’−ビスアジドベンザル(4−メチル)シクロヘキサノン、4,4’−ジアジドカルコン、2,6−ビス(4’−アジドベンザル)シクロヘキサノン、2,6−ビス(4'−アジドベンザル)−4−メチルシクロヘキサノン、4,4’−ジアジドジフェニルスルホン、4,4’−ジアジドジフェニルメタン、2,2'−ジアジドスチルベン等が挙げられる。
これらの中でも、架橋度が高く架橋密度を制御しやすいという点で有機過酸化物が好ましい。架橋剤の量と架橋時間、架橋温度によって架橋密度と膨潤度を制御することができる。架橋剤の使用量は、重合体100重量部に対して、通常0.1〜10重量部、好ましくは0.2〜7重量部、より好ましくは0.3〜5重量部である。架橋剤の使用量がこの範囲であると、電解液に対する膨潤度を上記の範囲に制御することが容易になる。
本発明に用いる結着剤は、本発明の効果に影響を及ぼさない範囲で上記の重合体粒子以外の重合体を含有していてもよい。そのような重合体としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレンやポリフッ化ビニリデン等のフッ素樹脂が挙げられる。
本発明に用いられる電極活物質は、リチウムイオンを吸蔵および放出可能な化合物である。正極用の電極活物質(正極活物質)は、無機化合物からなるものと有機化合物からなるものとに大別される。無機化合物からなる正極活物質としては、遷移金属酸化物、リチウムと遷移金属との複合酸化物、遷移金属硫化物などが挙げられる。上記の遷移金属としては、Fe、Co、Ni、Mn等が使用される。正極活物質に使用される無機化合物の具体例としては、MnO、V、V13、TiO等の遷移金属酸化物、ニッケル酸リチウム、コバルト酸リチウム、マンガン酸リチウム等のリチウムと遷移金属との複合酸化物、TiS、FeS、MoS等の遷移金属硫化物が挙げられる。これらの化合物は、部分的に元素置換したものであってもよい。
有機化合物からなる正極活物質としては、例えば、ポリアニリン、ポリピロール、ポリアセン、ジスルフィド系化合物、ポリスルフィド系化合物、N−フルオロピリジニウム塩などが挙げられる。正極活物質は、上記の無機化合物と有機化合物の混合物であってもよい。本発明で用いる正極活物質の粒子径は、電池の他の構成要件との兼ね合いで適宜選択されるが、負荷特性、サイクル特性などの電池特性の向上の観点から、50%体積累積径が、通常0.1〜50μm、好ましくは1〜20μmである。50%体積累積径がこの範囲であると、充放電容量が大きい二次電池を得ることができ、かつ後述する電極用スラリーおよび電極を製造する際の取扱いが容易である。50%体積累積径は、レーザー回折で粒度分布を測定することにより求めることができる。
負極用の電極活物質(負極活物質)としては、グラファイトやコークス等の炭素の同素体が挙げられる。前記炭素の同素体からなる活物質は、金属、金属塩、酸化物などとの混合体や被覆体の形態で利用することも出来る。また、負極活物質としては、ケイ素、錫、亜鉛、マンガン、鉄、ニッケル等の酸化物や硫酸塩、金属リチウム、Li−Al、Li−Bi−Cd、Li−Sn−Cd等のリチウム合金、リチウム遷移金属窒化物、シリコン等を使用できる。負極活物質の粒径は、電池の他の構成要件との兼ね合いで適宜選択されるが、初期効率、負荷特性、サイクル特性などの電池特性の向上の観点から、50%体積累積径が、通常1〜50μm、好ましくは15〜30μmである。
電極活物質と上記の結着剤の量の割合は、電極活物質100重量部に対し、結着剤が、通常0.1〜30重量部、好ましくは0.2〜20重量部、より好ましくは0.5〜10重量部である。結着剤の量がこの範囲であると、得られる電極は集電体と活物質層と、および活物質層内部での結着力に優れ、かつ、内部抵抗が小さくサイクル特性の優れる電池を得ることができる。
本発明のリチウムイオン二次電池の正極および負極は、上記の電極活物質および結着剤を含む活物質層と集電体とを結着して構成される。活物質層には、電極活物質および結着剤の他に、必要に応じ、増粘剤、導電材、補強材などの各種の機能を発現する添加剤を含有させることができる。増粘剤としては、後述する電極用スラリーに用いる分散媒に可溶な重合体が用いられる。具体的には、分散媒が水である場合にはカルボキシメチルセルロースやメチルセルロースなどのセルロース系ポリマー、ならびにこれらのアンモニウム塩またはアルカリ金属塩が挙げられる。また、分散媒が有機溶媒である場合には、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体水素化物などが用いられる。導電材としては、導電性を付与できるものであれば特に制限されないが、通常、アセチレンブラック、カーボンブラック、黒鉛などの炭素粉末、各種金属のファイバーや箔などが挙げられる。補強材としては、各種の無機および有機の球状、板状、棒状または繊維状のフィラーが使用できる。
さらに、本発明のリチウムイオン二次電池には、電池の安定性や寿命を高めるため、トリフルオロプロピレンカーボネート、ビニレンカーボネート、カテコールカーボネート、1,6−ジオキサスピロ[4,4]ノナン−2,7−ジオン、12−クラウン−4−エーテル等が使用でき、これらは活物質層または電解液に含有せしめて用いられる。
活物質層の形成方法は特に限定されないが、上記の電極活物質、結着剤および必要に応じ添加される添加剤を、分散媒に溶解または分散させて電極用スラリーを調製し、得られた電極用スラリーを集電体に塗布し、乾燥して活物質層を形成することが好ましい。
分散媒としては水または有機溶媒が使用できる。有機溶媒の種類は特に限定されない。かかる有機溶媒の例としては、n−ヘキサン、n−ドデカン、デカヒドロナフタレンおよびテトラリンなどの炭化水素類;2−エチル−1−ヘキサノールなどのアルコール類;ホロンおよびアセトフェノンなどのケトン類;酢酸ベンジル、酪酸イソペンチル、γ−ブチロラクトン、乳酸メチル、乳酸エチルおよび乳酸ブチルなどのエステル類;トルイジンなどのアミン類;N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、N,N−ジメチルアセトアミドおよびジメチルホルムアミドなどのアミド類;ジメチルスルホキシドおよびスルホランなどのスルホキシド・スルホン類;などが挙げられる。
分散媒の量は、電極活物質や結着剤などの種類に応じ、塗工に好適な粘度になるように調整して用いる。具体的には、電極活物質、結着剤および他の添加剤を合わせた固形分の濃度が、好ましくは30〜90重量%、より好ましくは40〜80重量%となる量に調整して用いられる。
電極用スラリーは、電極活物質、結着剤、必要に応じ添加される添加剤、および分散媒を、混合機を用いて混合して得られる。混合は、上記の各成分を一括して混合機に供給し、混合、分散してもよいが、導電材および増粘剤を分散媒中で混合して導電材を微粒子状に分散させ、次いで電極活物質および結着剤を分散媒に分散させた分散液を添加してさらに混合することが好ましい。混合機としては、ボールミル、サンドミル、顔料分散機、擂潰機、超音波分散機、ホモジナイザー、プラネタリーミキサー、ホバートミキサーなどを用いることができるが、ボールミルを用いると電極活物質の凝集を抑制できるので好ましい。
集電体は、導電性を有するものであれば限定されないが、通常、アルミ箔や銅箔などの金属箔が使用される。金属箔の厚さは特に限定されないが、通常1〜50μm好ましくは1〜30μmである。集電体の厚さが薄過ぎる場合は、機械的強度が弱くなり、破断、皺よりが発生しやすいといった生産上の問題を生じる場合があり、厚過ぎる場合は、電池全体としての容量が低下する傾向となる。集電体は、活物質層との接着強度を高めるため、その表面が粗面化処理されたものが好ましい。粗面化方法としては、機械的研磨法、電解研磨法、化学研磨法などが挙げられる。機械的研磨法においては、研磨剤粒子を固着した研磨布紙、砥石、エメリバフ、鋼線などを備えたワイヤーブラシ等が使用される。また、活物質層との接着強度や導電性を高めるために、集電体表面に中間層を形成してもよい。
本発明のリチウムイオン二次電池は、上記の正極、負極および電解液と、従来公知のセパレータおよび電池容器等の部品とを組み合わせて得られる。具体的な製造方法としては、例えば、正極と負極とをセパレーターを介して重ね合わせ、これを電池形状に応じて巻く、折るなどして電池容器に入れ、電池容器に電解液を注入して封口する方法が挙げられる。また必要に応じてエキスパンドメタルや、ヒューズ、PTC素子などの過電流防止素子、リード板などを入れ、電池内部の圧力上昇、過充放電の防止をする事もできる。電池の形状は、コイン型、ボタン型、シート型、円筒型、角形、扁平型など何れであってもよい。
以下、実施例および比較例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、実施例および比較例における部および%は、特に断りのない限り重量基準である。実施例および比較例における各特性は、下記の方法に従い測定した。
(1)平均粒子径
重合体粒子の平均粒子径(個数平均粒子径)は、走査型電子顕微鏡で300個の粒子を観察して、その長径の平均を個数平均粒子径とした。
(2)膨潤度
重合体粒子を70℃、30MPaの圧力で1分間プレス成型し、厚み100μmのシート状成形体を得る。このシート状成形体を縦20mm×横20mmとなるように切り出し、これを60℃の電解液に72時間浸漬した後に引き上げ、成形体表面に付着した電解液を拭き取る。そして、該成形体の、電解液への浸漬前後の縦方向および横方向の長さの変化率の平均(%)として重合体粒子の膨潤度を求めた。
(3)リチウムイオン伝導度(Li伝導度)
(2)と同様にして得られたシート状成形体を25℃の電解液に10時間浸漬した後に引き上げ、成形体表面に付着した電解液を拭き取る。これを金属電極(SUS製10mmφの円柱状)で挟み込むことにより電気化学セルを構成し、該電気化学セルの電極間に交流電圧を印可し交流インピーダンス法により測定した複素数インピーダンスのコールコールプロットにおける実数インピーダンス切片、該シート状成形体の厚さ、ならびに該金属電極の面積から計算してリチウムイオン伝導度を求め、下記の基準で判定した。なお、測定装置は、Solarton製、1287 potentiogalvanostat, 1255B frequency response analyzerを使用した。
A:10−3S・cm以上
B:10−4S・cm以上10−3S・cm未満
C:10−5S・cm以上10−4S・cm未満
D:10−5S・cm未満
(4)ピール強度
電極を幅2.5cm×長さ10cmの矩形に切って試験片とし、活物質層面を上にして固定する。試験片の活物質層表面にセロハンテープを貼り付けた後、試験片の一端からセロハンテープを50mm/分の速度で180°方向に引き剥がしたときの応力を測定した。測定を10回行い、その平均値を求めてこれをピール強度とし、下記の基準で判定した。ピール強度が大きいほど活物質層の集電体への結着力が大きいことを示す。
A:0.65N/cm以上
B:0.50N/cm以上0.65N/cm未満
C:0.40N/cm以上0.50N/cm未満
D:0.20N/cm以上0.40N/cm未満
E:0.20N/cm未満
(5)充放電サイクル特性
実施例および比較例で得られたコイン型電池を用いて、それぞれ20℃で0.1Cの定電流で4.3Vまで充電し、0.1Cの定電流で3.0Vまで放電する充放電サイクルを行った。充放電サイクルは100サイクルまで行い、初期放電容量に対する100サイクル目の放電容量の比を容量維持率とし、下記の基準で判定した。この値が大きいほど繰り返し充放電による容量減が少ないことを示す。
A:85%以上
B:75%以上85%未満
C:70%以上75%未満
D:50%以上70%未満
E:50%未満
(6)充放電レート特性(負荷特性)
測定条件を、定電流量を2.0Cに変更したほかは、充放電サイクル特性の測定と同様にして、各定電流量における放電容量を測定した。上記の電池容量に対する本条件での放電容量の割合を百分率で算出して充放電レート特性とし、下記の基準で判定した。この値が大きいほど、内部抵抗が小さく、高速充放電が可能であることを示す。
A:60%以上
B:50%以上60%未満
C:40%以上50%未満
D:40%未満
参考例1
攪拌機付きの反応容器に、トリイソブチルアルミニウム100部、トルエン1,000部およびジエチルエーテル300部を供給し、攪拌しながらリン酸25部を添加した。これにトリエチルアミン10部を添加し、触媒溶液を得た。これとは別の攪拌機付きの反応容器に、n−ヘキサン2,000部と上記触媒溶液80部を供給し、攪拌しながら、エチレンオキシドを5部加えて反応させ、次いで、エチレンオキシドとプロピレンオキシドの等重量混合単量体を10部加えて反応させ、シードを形成した。
シードを形成した重合反応液に、エチレンオキシド280部(75モル%)、プロピレンオキシド25部(5モル%)、グリシジルメタクリレート195部(20モル%)、およびn−ヘキサン300部からなる混合溶液を添加して60℃で8時間反応させ、析出させた後、常温にて真空乾燥して、ポリアルキレンオキシド鎖を有する重合体Aを得た。
得られた重合体A100部に、クメンハイドロパーオキサイド(架橋剤)10部を混合して得られた組成物を、二軸押出機に供給し、スクリュー温度80℃、回転数150rpm、ダイ温度155℃で、架橋させながらフィルム状に押し出した。得られたフィルムを30℃でジェットミルを用いて粉砕した後、ヘキサンに分散させた。得られた分散液を35℃にて0.4nmのビーズを用いたビーズミルによりさらに粉砕させた後、0.5μmのフィルターを用いてろ過した。得られた固形分を真空乾燥して重合体粒子Aを得た。重合体粒子Aの平均粒子径は153nmであった。この重合体粒子Aについて膨潤度およびリチウムイオン伝導度を測定した結果を表1に示す。なお、電解液としては、エチレンカーボネート(EC)とジエチルカーボネート(DEC)とをEC:DEC=1:2(20℃での容積比)で混合してなる混合溶媒にLiPFを1モル/リットルの濃度で溶解させた溶液を用いた。
次いで、重合体粒子A2部、正極活物質として平均粒径10μmのLiCoO粉末100部および導電材としてアセチレンブラック2部を混合し、ヘキサンを溶媒として30部加えてプラネタリーミキサーで混合して電極用スラリーAを得た。得られた電極用スラリーAを厚さ20μmのアルミニウム箔にドクターブレード法によって均一に塗布し、120℃、15分間乾燥機で乾燥した。次いで2軸のロールプレスで圧縮し、さらに真空乾燥機にて0.6kPa、250℃で10時間減圧乾燥して活物質層の厚みが110μmの正極用電極(正極)を得た。
次いで、得られた正極を直径15mmの円形に切り抜いた。この正極の活物質層面側に直径18mm、厚さ25μmの円形ポリプロピレン製多孔膜からなるセパレーター、負極として用いる金属リチウム、エキスパンドメタルを順に積層し、これをポリプロピレン製パッキンを設置したステンレス鋼製のコイン型外装容器(直径20mm、高さ1.8mm、ステンレス鋼厚さ0.25mm)中に収納した。この容器中に電解液を空気が残らないように注入し、ポリプロピレン製パッキンを介して外装容器に厚さ0.2mmのステンレス鋼のキャップをかぶせて固定し、電池缶を封止して、直径20mm、厚さ約2mmのリチウムイオン二次電池を製造した。電解液は膨潤度およびリチウムイオン伝導度の測定に用いたものと同じものを用いた。得られた正極および電池の各特性を測定した結果を表1に示す。
Figure 0005326566
実施例1
攪拌機付き反応容器に、イオン交換水1000部、単量体としてアクリロニトリル200部(70モル%)、メタクリル酸46部(10モル%)およびグリシジルメタクリレート140部(20モル%)、架橋剤としてクメンハイドロパーオキサイド5部、乳化剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム5部、および重合開始剤として過硫酸カリウム5部を入れ、十分撹拌した後、80℃に加温し重合した。単量体の消費量が99.0%になった時点で冷却して反応を止め、水に分散した粒子状態のポリアクリロニトリル共重合体Bの水分散物を得た。得られたポリアクリロニトリル共重合体Bの水分散物を還流管付きフラスコ中で100℃に加温し、24時間反応して架橋させた。その後0.5μmのフィルターを用いてろ過して、粗大粒子を除去した後に乾燥して重合体粒子Bを得た。重合体粒子Bの平均粒子径は132nmであった。この重合体粒子Bを用いて参考例1と同様にして電極および電池を得た。重合体粒子B、電極および電池の各特性を測定した結果を表1に示す。
(比較例1)
参考例1で得られた重合体Aを30℃でジェットミルで粉砕した後、n−ヘキサンに分散させた。得られた分散液を35℃でビーズミルで0.4nmのビーズを用いてさらに粉砕させた後、0.5μmのフィルターを用いてろ過して、粗大粒子を除去した後に乾燥して重合体粒子Cを得た。重合体粒子Cの平均粒子径は151nmであった。この重合体粒子Cを用いて参考例1と同様にして電極および電池を得た。重合体粒子C、電極および電池の各特性を測定した結果を表1に示す。
(比較例2)
実施例1で得られたポリアクリロニトリル共重合体Bの水分散物を、架橋反応を行わずにそのまま0.5μmのフィルターを用いてろ過して、粗大粒子を除去した後に乾燥して平均粒子径120nmの重合体粒子Dを得た。この重合体粒子Dを用いて参考例1と同様にして電極および電池を得た。重合体粒子D、電極および電池の各特性を測定した結果を表1に示す。
(比較例3)
実施例1で得られたポリアクリロニトリル共重合体Bの水分散物に対し3倍の質量のNMPを加え、エバポレーターで水分を蒸発させ、10%NMP分散体Eを得た。次いで、NMP分散体E20部(固形分量2部)、上記正極活物質100部および導電材としてアセチレンブラック2部を混合し、ヘキサンを溶媒として20部加えてプラネタリーミキサーで混合して電極用スラリーEを得た。得られた電極用スラリーEを厚さ20μmのアルミニウム箔にドクターブレード法によって均一に塗布し、120℃、15分間乾燥機で乾燥した。次いで2軸のロールプレスで圧縮し、さらに真空乾燥機にて0.6kPa、250℃で10時間減圧乾燥して架橋させ、活物質層の厚みが110μmの正極用電極E(正極)を得た。得られた正極用電極Eを用いて参考例1と同様にして電池を得た。NMP分散体E、正極用電極Eおよび電池の各特性を測定した結果を表1に示す。
(比較例4)
攪拌機付き容器に、スチレン800部、ブタジエン600部、メタクリル酸メチル400部、アクリロニトリル100部、ラウリル硫酸アンモニウム4部、重炭酸ナトリウム10部、イオン交換水1,000部を入れて混合し、モノマーエマルジョンを調製した。攪拌機付き反応容器に、エチレンジアミン四酢酸10部、ラウリル硫酸アンモニウム10部、イオン交換水3,500部および過硫酸カリウム90部を入れ、十分撹拌した後80℃に加温し、上記のモノマーエマルジョン全量を5時間かけて連続的に加え重合反応を行った。モノマーエマルジョンの添加終了後、80℃を維持し、攪拌したまま、さらに4時間反応させて重合体粒子Fの水分散体を得た。この水分散体を0.5μmのフィルターを用いてろ過して、粗大粒子を除去した後に乾燥して重合体粒子Fを得た。その収率は99%で、平均粒子径は140nmであった。この重合体粒子Fを用いて参考例1と同様にして電極および電池を得た。重合体粒子F、電極および電池の各特性を測定した結果を表1に示す。
実施例2
攪拌機付き反応容器に、イオン交換水1000部、単量体としてアクリロニトリル143部(50モル%)、メタクリル酸138部(30モル%)およびグリシジルメタクリレート140部(20モル%)、架橋剤としてクメンハイドロパーオキサイド6部、乳化剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム5部、および重合開始剤として過硫酸カリウム5部を入れ、十分撹拌した後、80℃に加温し重合した。単量体の消費量が99.0%になった時点で冷却して反応を止め、水に分散した粒子状態のポリアクリロニトリル共重合体Gの水分散物を得た。得られたポリアクリロニトリル共重合体Gの水分散物を還流管付きフラスコ中で100℃に加温し、24時間反応して架橋させた。その後0.5μmのフィルターを用いてろ過して、粗大粒子を除去した後に乾燥して重合体粒子Gを得た。重合体粒子Gの平均粒子径は143nmであった。この重合体粒子Gを用いて参考例1と同様にして電極および電池を得た。重合体粒子G、電極および電池の各特性を測定した結果を表1に示す。
参考例2
参考例1で調製した重合体A100部に、クメンハイドロパーオキサイド(架橋剤)10部を混合して得られた組成物を、二軸押出機に供給し、スクリュー温度70℃、回転数150rpm、ダイ温度135℃で、架橋させながらフィルム状に押し出した。得られたフィルムを30℃でジェットミルを用いて粉砕した後、ヘキサンに分散させた。得られた分散液を35℃にて0.4nmのビーズを用いたビーズミルによりさらに粉砕させた後、0.5μmのフィルターを用いてろ過した。得られた固形分を真空乾燥して重合体粒子Hを得た。重合体粒子Hの平均粒子径は145nmであった。この重合体粒子Hを用いて参考例1と同様にして電極および電池を得た。重合体粒子H、電極および電池の各特性を測定した結果を表1に示す。
実施例3
攪拌機付き反応容器に、イオン交換水1000部、単量体としてアクリロニトリル114部(40モル%)、メタクリル酸184部(40モル%)およびグリシジルメタクリレート140部(20モル%)、架橋剤としてクメンハイドロパーオキサイド2部、乳化剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム5部、および重合開始剤として過硫酸カリウム5部を入れ、十分撹拌した後、80℃に加温し重合した。単量体の消費量が99.0%になった時点で冷却して反応を止め、水に分散した粒子状態のポリアクリロニトリル共重合体Iの水分散物を得た。得られたポリアクリロニトリル共重合体Iの水分散物を還流管付きフラスコ中で90℃に加温し、12時間反応して架橋させた。その後0.5μmのフィルターを用いてろ過して、粗大粒子を除去した後に乾燥して重合体粒子Iを得た。重合体粒子Iの平均粒子径は125nmであった。この重合体粒子Iを用いて参考例1と同様にして電極および電池を得た。重合体粒子I、電極および電池の各特性を測定した結果を表1に示す。
(比較例5)
攪拌機付き反応容器に、イオン交換水1000部、単量体としてアクリロニトリル100部(35モル%)、メタクリル酸207部(45モル%)およびグリシジルメタクリレート140部(20モル%)、架橋剤としてクメンハイドロパーオキサイド4部、乳化剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム5部、および重合開始剤として過硫酸カリウム5部を入れ、十分撹拌した後、80℃に加温し重合した。単量体の消費量が99.0%になった時点で冷却して反応を止め、水に分散した粒子状態のポリアクリロニトリル共重合体Jの水分散物を得た。得られたポリアクリロニトリル共重合体Jの水分散物を還流管付きフラスコ中で100℃に加温し、12時間反応して架橋させた。その後0.5μmのフィルターを用いてろ過して、粗大粒子を除去した後に乾燥して重合体粒子Jを得た。重合体粒子Jの平均粒子径は131nmであった。この重合体粒子Jを用いて参考例1と同様にして電極および電池を得た。重合体粒子J、電極および電池の各特性を測定した結果を表1に示す。
以上の結果より、電解液に対する膨潤度が5〜50%であり、かつ該電解液で膨潤させたときにリチウムイオン伝導度が1×10−4S・cm以上である重合体粒子を結着剤として用いると、結着力、サイクル特性および負荷特性に優れるリチウムイオン二次電池を得ることができた(実施例)。一方、架橋を行わず、膨潤度が高い重合体粒子を結着剤として用いると、結着力、サイクル特性および負荷特性のいずれも劣る結果となった(比較例1,2)。また、活物質層形成後に架橋を行った結果、粒子状ではない結着剤を用いた場合は、膨潤度およびリチウムイオン伝導度が上記範囲であっても、結着力、サイクル特性および負荷特性のいずれも劣るものであった(比較例3)。また、膨潤度は上記範囲であるがリチウムイオン伝導度が低い重合体粒子を結着剤として用いると、結着力には優れるものの、サイクル特性および負荷特性は低い結果となった(比較例4,5)。

Claims (5)

  1. 正極、負極、および電解液を有してなり、前記正極および負極が、電極活物質および結着剤を含む活物質層と集電体とを結着して構成されてなるリチウムイオン二次電池であって、
    前記電解液が、カーボネート類、エステル類、エーテル類および含硫黄化合物類からなる群から選択される少なくとも1種の有機溶媒にリチウム塩からなる支持電解質を溶解してなる有機電解液であり、前記正極または負極の少なくとも一方に用いられる結着剤が重合体粒子を含有し、かつ該重合体粒子が、少なくとも、ニトリル基を含有する単量体と、これと共重合可能な他の単量体と、炭素−炭素二重結合およびエポキシ基を有する単量体と、を共重合してなるニトリル基含有重合体を架橋した重合体からなり、
    前記これと共重合可能な他の単量体が、ビニルエステル類、N−ビニルピロリドン、アクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類、1−オレフィン類、共役ジエン類、不飽和モノカルボン酸類、および不飽和ジカルボン酸類またはその酸無水物からなる群から選択される少なくとも1種の単量体であり、
    下記物性を充足することを特徴とするリチウムイオン二次電池:
    該重合体粒子のみを加圧成形して得られるシート状成形体の、該電解液に対する膨潤度が5〜50%であり、かつ該電解液により膨潤したシート状成形体のリチウムイオン伝導度が1×10−4S・cm以上である。
  2. 前記重合体粒子の個数平均粒子径が0.01〜10μmである請求項1記載のリチウムイオン二次電池。
  3. 前記重合体粒子が、加熱またはエネルギー線照射により架橋された架橋重合体である請求項1または2に記載のリチウムイオン二次電池。
  4. 前記電解液において、有機溶媒がカーボネート類であり、リチウム塩がLiPF、LiAsF、LiBF、LiSbF、LiAlCl、LiClO、CFSOLi、CSOLi、CFCOOLi、(CFCO)NLi、(CFSONLiおよび(CSO)NLiからなる群から選択される少なくとも1種である請求項1〜3のいずれかに記載のリチウムイオン二次電池。
  5. 前記ニトリル基を含有する単量体がアクリロニトリルおよび/またはメタクリロニトリルであり、前記炭素−炭素二重結合およびエポキシ基を有する単量体が不飽和グリシジルエーテル類、ジエンまたはポリエンのモノエポキシド類および不飽和カルボン酸のグリシジルエステル類からなる群から選択される少なくとも1種である請求項1〜4のいずれかに記載のリチウムイオン二次電池。
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