JP5325667B2 - 異形断面条の製造方法及び製造装置 - Google Patents
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Description
このような異形断面条の成形において、大径部の両側面は適宜角度の傾斜面とされている。この場合、この傾斜面と小径部表面との間の角部に材料が十分に充満する必要があるが、幅方向の両端部(条の両側部)では、材料が自由端である端縁に流れ易いため、その端縁に近い位置の厚肉部では、ロールの小径部の表面と大径部の傾斜面とのなす形状と一致せず、幅方向の中央部の厚肉部に比べて、角部がだれた形状になり易いという問題がある。
特許文献1記載の技術は、複数個の大径部を同じ断面形状で並べた段付きロールとし、幅方向の最も両端位置に、中央部の厚肉部とその両側の薄肉部との間の傾斜面と同じ角度の傾斜面で薄肉部から連続する端部側厚肉部を形成することにより、この端部側厚肉部には材料の充満が不十分となるが、製品となる中央部の厚肉部には十分に材料を充満させることができるようにしている。
また、特許文献2に記載の技術では、ロールの幅方向の両端部に、材料のメタルフローを規制するために、端部側の厚肉部の断面積を中央部の厚肉部の断面積のほぼ1/2とする位置に、薄肉部形成用の凸条部(大径部)よりも高いメタルフロー規制用凸条部と、このメタルフロー規制用凸条部に対応する凹条部とを配置することにより、このメタルフロー規制用凸条部と凹条部との間では圧延が行われないようにして、材料の流れ込みが生じないようにしている。
厚肉部が充満不十分となるのは、材料が幅方向の両端方向に逃げるようにメタルフローするからであり、これを解決するために、逃げる分に対応して、材料を逆に両端部から厚肉部に寄せるように流動させてやれば、厚肉部のだれを防止できると考えた。
まず、異形断面条の製造装置の実施形態について説明する。
この製造装置は、図1に示すように、段付きロール1と平ロール2とを備えている。段付きロール1は、半径R1とされた複数の大径部3と、半径R2とされた複数の小径部4とが幅方向に交互に並んだ形状とされ、平ロール2は、幅方向にわたって均一な半径R3とされることにより、外周面が凹凸のない平坦な円周面とされている。これら両ロール1,2は、その間に間隙を開けて両軸線P1,P2を平行にして配置され、図示略の駆動機構によって回転駆動される構成とされている。そして、これら段付きロール1と平ロール2との間に平板状素材5を通すことにより、段付きロール1の大径部3と小径部4とに対応して、薄肉部6と厚肉部7とが幅方向に並んだ異形断面条8が形成されるようになっている。
この場合、凸条部12は、段付きロール1の幅方向内方に位置する側縁部で平板状素材5を押圧加工するようになっており、その部分の側面13は、半径方向内方に向かうにしたがって隣接する大径部3の側面11に近づくように、半径方向に対して所定の角度θ2で傾斜した傾斜面とされ、この側面13と外周面との間の角度が90°よりも大きく形成されている。また、その傾斜面13と外周面との間は0.1〜0.2mmの曲率半径r2で面取り加工されている。
なお、大径部3の側面11の角度θ1、凸条部12の側面13の角度θ2は、特に限定するものではないが、5〜60°が好適であり、その角度範囲内で、両方を同じ角度としてもよいし、異なる角度に設定してもよい。
図1に示すように、段付きロール1と平ロール2との間に平板状素材5を通過させて圧延すると、段付きロール1の大径部3によって薄肉部6が形成され、小径部4によって厚肉部7が形成され、これら薄肉部6と厚肉部7とが幅方向に交互に並んだ異形断面条8が形成される。
なお、この幅方向両端部の厚肉部7の端縁部には、凸条部12によって押圧加工されることにより、図4(a)に示すように若干窪んだ端縁溝部14が形成されるが、この端縁溝部14の部分は図4(b)に示すように切り落としてもよいし、0〜3mmの範囲で残しておいてもよい。残しておく場合は、後加工の際に、この溝部14を利用して加工機等との位置決めをすることが可能である。
この場合、異形断面条8としては、例えば、薄肉部6の厚さが0.1〜1mm、幅が0.3〜30mm、厚肉部7の厚さが0.3〜3mm、幅が0.5〜5mmのものに適用することができる。また、幅方向両端部の端縁部の加工は、厚肉部7の厚さをT、端縁部の溝状部14の残厚をtとすると、t/Tを0.2〜0.9の範囲に設定することにより、厚肉部7の角部への材料の充満を良くすることができる。端縁溝部14の幅は、厚肉部7の幅によっても異なるが、1〜10mmの範囲で設定すればよい。
例えば、上記実施形態では、凸条部12に、傾斜面となる側面13を形成し、その側面13と外周面との間の角部を若干の曲率半径r2で面取りしたが、図5に示す段付きロール21の凸条部22のように、曲率半径r3をさらに大きくして、小径部4の外周面の端縁から凸条部22の外周面の端縁までの間の全体を凸円弧面とする側面23としてもよい。
要は、凸条部は、段付きロールの幅方向内方に向く側面が、その外周端から半径方向内方に向かうにしたがって隣接する大径部の側面に漸次近づく方向に傾斜している形状であればよく、平坦面、凸円弧面のいずれでもよい。
また、厚肉部と薄肉部との数や寸法等は図示例に限定されるものではなく、複数の厚肉部どうし、薄肉部どうしの厚さや幅をそれぞれ同じ寸法に設定してもよいし、それぞれ異なる寸法に設定したものとしてもよい。
2 平ロール
3 大径部
4 小径部
5 平板状素材
6 薄肉部
7 厚肉部
8 異形断面条
11 側面(傾斜面)
12 凸条部
13 側面(傾斜面)
14 溝状部
21 段付きロール
22 凸条部
23 側面(傾斜面)
Claims (2)
- 複数の大径部と小径部とが交互に並んだ段付きロールと、該段付きロールと平行に配置した平ロールとの間で平板状素材を圧延して、複数の厚肉部と薄肉部とが幅方向に並んだ異形断面条を製造する方法であって、前記段付きロールと平ロールとの間で前記平板状素材を圧延するに際し、該平板状素材の幅方向の両端部に、前記段付きロールの小径部により厚肉部を形成しつつ、該小径部から突出し外周端から半径方向内方に向かうにしたがって前記大径部の側面に漸次近づく方向に傾斜する傾斜面が形成された凸条部により前記厚肉部の端縁部の少なくとも一部を幅方向の内方に向けて押圧加工し、前記厚肉部の端縁部を押圧加工して形成される端縁溝部の深さは、該厚肉部の厚さをTとするとき、0.2×T〜0.9×Tの範囲内に設定されることを特徴とする異形断面条の製造方法。
- 複数の大径部と小径部とが交互に並んだ段付きロールと、該段付きロールと平行に配置した平ロールとの間で平板状素材を圧延して、複数の厚肉部と薄肉部とが幅方向に並んだ異形断面条を製造する装置であって、前記段付きロールの両端部に、前記平板状素材の幅方向両端部に厚肉部を形成する小径部が配置されるとともに、該小径部に、この小径部よりも大きい径を有し、前記厚肉部の端縁部を押圧加工する凸条部が、前記小径部に隣接する大径部の側面から間隔を開けて形成され、前記凸条部に、その外周端から半径方向内方に向かうにしたがって前記大径部の側面に漸次近づく方向に傾斜する傾斜面が形成されており、前記厚肉部の端縁部を押圧加工して形成される端縁溝部の深さは、該厚肉部の厚さをTとするとき、0.2×T〜0.9×Tの範囲内に設定されることを特徴とする異形断面条の製造装置。
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