JP6225018B2 - プレス装置及びそれを用いたローラーの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明はプレス装置及びそれを用いたローラーの製造方法に係り、より詳しくは、有底筒状の各種ローラーをインパクトプレスにより製造するためのプレス装置及びそれを用いて有底筒状のローラーを製造する方法に関する。
周知のように、プリンターやコピー機においては、感光体として金属製円筒状のローラーが用いられている。またその他、各種製品において、金属製円筒状のローラーが用いられている。
そして従来このローラーは、一般的に、丸材からの切削加工やアルミの押し出し成形を切削しで製造されていたが、近年になり、コスト削減を目的として、インパクトプレスの方法によってローラー又はローラーの原型(以下「ローラー」という。)を製造する方法が試みられてきている。
ここで、前記インパクトプレスの方法によりローラーを製造する方法について図面を参照して説明すると、図7及び図8は、インパクトプレスの方法によりローラーを製造するためのプレス装置を説明するための図である。そして、インパクトプレスによりローラーを製造するためのプレス装置は、下型とパンチを有している。即ち、図において41が下型であり、この下型41はキャビティー42を有しており、このキャビティー42の中には、材料としてのスラグ43が配置される。
また、図において44がパンチであり、このパンチ44は、下型に対して相対移動可能に配置され、下型に対して下降することで、先端部分を前記キャビティー42内に挿入可能としている。
そして、このように構成されるプレス装置を用いて、インパクトプレスの方法によりローラーを製造する場合には、まず、ローラーの素材となるアルミ等の金属の塊であるスラグ43を前記キャビティー42内に配置する。そして、その状態で、パンチ44を下降させ、パンチ44の先端部分を前記キャビティー42内に挿入することで、前記スラグ43を衝撃的に押圧する。そうすると、図8に示すように、キャビティー42内のスラグ43は、パンチ44の外周に沿うようにして塑性的に上方に変形して、これによって、スラグがローラーの形状に成型される。
従って、このインパクトプレスの方法によりローラーを製造した場合には、前述したような押し出し成形により製造した場合と比較して、金型が少なくて済み、また材料ロスも少なく、それにより製造コストを抑えることができるという利点がある。
特開平06−285579号公報 特開2000−10318号公報 特開2000−10306号公報 特表平10−508254号公報 特開平10−24343号公報 特開平6269891号公報
しかしながら、前述のインパクトプレスの方法によりローラーを製造する場合には、肉厚を均一にすることが困難であるという問題点が指摘されている。即ち、前述のインパクトプレスの方法によりローラーを製造する場合には、パンチによる衝撃でパンチ外周に沿いながらスラグが上方に塑性変形していくために、製造されたローラーの肉厚を均一にするためには、スラグをキャビティー内の中心部分に載置しておき、パンチがスラグの中心部分を押圧するようにしておく必要がある。
しかし、インパクトプレスにおいては、スラグをキャビティーにスムーズに入れるために、キャビティーの内径よりもスラグの外径が小さくされており、従って、スラグをキャビティー内に配置した際には、スラグの周囲とキャビティーの内壁との間に隙間が生じることになる。
そのために、キャビティーにスラグを入れたときに、スラグをキャビティーの中央部分に配置することができず、スラグが横方向にずれた状態で配置されてしまうことがあり、かかる場合には、スラグがキャビティー内の中心部分からずれてしまう。
そうすると、パンチを下降させて、パンチの先端部分をキャビティー内に挿入してスラグを押圧したときに、パンチがスラグの中心部分を押圧することができずに、ローラーの周方向の肉厚を均一にすることができないという問題点が発生してしまう。
そこで本発明は、インパクトプレスによって各種ローラーを製造する方法において、スラグがキャビティーの中央部分からずれて配置された場合でも、そのずれを是正することでスラグをキャビティーの中央部分に配置し、それにより、肉厚を均一にしたローラーを製造することを可能にしたプレス装置及びそれを用いたローラーの製造方法を提供することを課題としている。
本発明のプレス装置は、
キャビティーを有する下型と、
材料として前記キャビティー内に配置されるスラグと、
前記下型に対して相対移動可能に配置されて、下降することで先端部分が前記キャビティー内に挿入されるパンチと、を具備して、
前記キャビティー内に前記スラグを配置した状態で、前記パンチを下降させて前記キャビティー内に前記パンチの先端部分を挿入することで前記パンチによって前記スラグを衝撃的に押圧して、前記スラグを前記パンチの外周に沿って塑性変形させることで、有底筒状の各種ローラーを製造するためのプレス装置であって、
前記スラグの上面には、
スラグ側底部と、該スラグ側底部の周縁部から外周側の斜め上方に向けて連設されたスラグ側テーパー部と、を有した凹部と、が形成され、
前記キャビティー内に挿入されて前記スラグを衝撃的に押圧する前記パンチの先端には、
パンチ側底部と、このパンチ側底部の周縁部から外周側の斜め上方に向けて連設されたパンチ側テーパー部とを有するとともに前記凹部内に挿入可能とした押圧部が形成され、
前記スラグ側底部の面に対するスラグ側テーパー部の立ち上がり角度を、前記パンチ側底部の面に対するパンチ側テーパー部の立ち上がり角度よりも大きくした、ことを特徴としている。
そして、このように構成される本発明のプレス装置を用いて有底筒状のローラーを製造するための本発明のローラーの製造方法は、
前記キャビティー内に前記スラグを配置し、
前記パンチを下降させて前記キャビティー内に前記パンチの先端部分を挿入し、
前記パンチにおけるパンチ側テーパー部を前記スラグ側テーパー部に当接させてスラグの位置調整を行いながら、前記パンチによって前記スラグを衝撃的に押圧して、前記スラグを前記パンチの外周に沿って塑性変形させることでローラーを製造する、ことを特徴としている。
本発明のプレス装置では、キャビティーを有する下型と、材料としてキャビティー内に配置されるスラグと、先端部分がキャビティー内に挿入されて、スラグを衝撃的に押圧し、その衝撃によって、パンチの外周に沿ってスラグを塑性変形させて有底筒状のローラーにするパンチを有するプレス装置において、スラグの上面に、スラグ側底部とこの該スラグ側底部の周縁部から外周側の斜め上方に向けて連設されたスラグ側テーパー部を有した凹部を形成し、パンチの先端には、パンチ側底部とこのパンチ側底部の周縁部から外周側の斜め上方に向けて連設されたパンチ側テーパー部とを有するとともに前記凹部内に挿入可能とした押圧部を形成し、スラグ側底部の面に対するスラグ側テーパー部の立ち上がり角度を、パンチ側底部の面に対するパンチ側テーパー部の立ち上がり角度よりも大きくして、これにより、キャビティー内に前記スラグを配置して、パンチを下降させてキャビティー内に前記パンチの先端部分を挿入した際に、スラグの位置調整を可能としている。
即ち、前述したように、本発明では、スラグ側底部の面に対するスラグ側テーパー部の立ち上がり角度を、パンチ側底部の面に対するパンチ側テーパー部の立ち上がり角度よりも大きくしているために、パンチを下降させてキャビティー内に前記パンチの先端部分を挿入すると、図3に示すように、パンチ側テーパー部の上端部分がスラグ側テーパー部に当接することになる。
そしてこのとき、スラグがキャビティーの中央部分に正確に配置されている場合には、パンチ側テーパー部の全域がスラグ側テーパー部に当接するが、スラグがキャビティー内でずれて位置に配置されている場合には、図6に示すように、パンチ側テーパー部の全域がスラグ側テーパー部に当接することは無い。そうすると、パンチを下降していく過程において、スラグは、パンチとの当接箇所においてパンチに横方向に押されていき、それにより、押圧方向へ移動していく。そして、この横方向への押圧は、スラグがキャビティー内の中央部分まで移動してパンチのエッヂ部分の全域がスラグ側テーパー部の内壁に当接するまで継続し、スラグがキャビティー内の中央部分に配置された後は、パンチによる押圧はスラグの下方側にのみ向かい、それにより、スラグはパンチによって衝撃的に押圧されてパンチの外周に沿って塑性変形してローラーが製造されていくことになる。即ち、本発明のプレス装置では、スラグがキャビティーの中央部分に配置されていない場合でも、スラグの位置調整を行うことでスラグをキャビティーの中央部分に移動させることができるために、肉厚を均一にしたローラーを製造することが可能である。
本発明のプレス装置の実施例の構成を説明するための図である。 本発明のプレス装置の実施例を用いてローラーを製造する過程を説明するための図である。 本発明のプレス装置の実施例を用いてローラーを製造する過程を説明するための図である。 本発明のプレス装置の実施例を用いてローラーを製造する過程を説明するための図である。 本発明のプレス装置の実施例を用いてローラーを製造する過程を説明するための図である。 本発明のプレス装置の実施例の作用説明するための図である。 一般的なインパクトプレスの方法を説明するための図である。 一般的なインパクトプレスの方法を説明するための図である。
本発明のプレス装置は、キャビティーを有する下型と、材料としてのスラグを有しており、スラグはキャビティー内に配置される。また、本発明のプレス装置では、パンチを有しており、このパンチは、下型に対して相対移動可能に配置されて、下降することで先端部分がキャビティー内に挿入されて、キャビティー内のスラグを衝撃的に押圧し、それにより、スラグをパンチの外周に沿って塑性変形させて有底筒状のローラーを製造するために用いられる。
そして、スラグの上面には凹部が形成されており、本発明においてこの凹部は、スラグ側底部と、このスラグ側底部の周縁部から外周側の斜め上方に向けて連設されたスラグ側テーパー部を有して構成されている。
また、パンチの先端部分には、凹部内に挿入可能とした押圧部が形成されており、本発明においてこの押圧部は、パンチ側底部と、このパンチ側底部の周縁部から外周側の斜め上方に向けて連設されたパンチ側テーパー部を有して構成されている。そして、本発明においては、パンチ側底部に対するパンチ側テーパー部のテーパー角は、スラグ側底部に対するスラグ側テーパー部のテーパー角度よりも小さくしている。
そして、このように構成される本発明のプレス装置を用いて有底筒状の各種ローラーを製造する場合には、まず、キャビティー内にスラグを配置し、次に、パンチを下降させて、キャビティー内にパンチの先端部分を挿入する。そして、パンチにおけるパンチ側テーパー部の上端部分をスラグ側テーパー部の内周側上方部分に当接させ、スラグがキャビティーの中央部分に配置されていないときにはて、スラグの位置調整を行いながら、パンチによってスラグを衝撃的に押圧し、それによって、スラグをパンチの外周に沿って塑性変形させることで、有底筒状のローラーを製造する。
本発明のプレス装置の実施例について説明すると、図1は、本実施例のプレス装置を示した断面図であり、図において1が本実施例のプレス装置である。そして、本実施例のプレス装置は、キャビティーを有する下型と、材料としてのスラグと、キャビティー内に配置されたスラグを衝撃的に押圧するためのパンチを有している。即ち、図において2が下型であり、本実施例において前記下型2は、材料としてのスラグを配置するためのキャビティー3を有しており、このキャビティー3は、本実施例のプレス装置1で製造するローラーの外径と同じ内径寸法の円柱状の孔としている。なお、本実施例のプレス装置1で製造するローラーは、完成品としてのローラーに限定されず、完成品としてのローラーを製造する前段階のローラーの原型も含まれる。また完成品としてのローラーには有底筒状のローラーの原型の底部分をカットして製造される筒状のものも存在するが、本実施例のプレス装置1で製造するローラーは、底部分をカットして筒状のローラーを製造する前の有底筒状のローラーの原型も含まれる。従って、以下において「ローラー」とは、本実施例のプレス装置1によって製造されるローラー又はローラーの原型、あるいは、底部分をカットして筒状のローラーを製造する前の有底筒状のローラーの原型を言う。
次に、前記パンチについて説明すると、図において8が前記パンチであり、本実施例において前記パンチ8は、前記下型2に対して相対移動可能に配置されて、下降することで先端部分を前記キャビティー3内に挿入することを可能としている。そして、キャビティー3内にスラグ4を配置した状態で、パンチ8の先端部分を前記キャビティー3内に挿入することで、前記キャビティー3内のスラグ4を衝撃的に押圧し、それにより、スラグ4をパンチ8の外周に沿って塑性変形させてローラーを製造することとしている。
従って、本実施例において前記パンチ8は、本実施例のプレス装置1で製造するローラーの内径と同様の外径の円柱状の外形としており、先端部分における先端の外形状は、製造するローラーの底部内壁と同様の形状寸法としている。従って、本実施例においては、パンチの先端部分をキャビティー3内に挿入した際にパンチの先端部分9の外周とキャビティー3の内壁との間の隙間が、本実施例のプレス装置1で製造するローラーの肉厚になる。
そして、本実施例のプレス装置1では、製造されるローラーの先端部の内壁と同様の形状寸法の外形状としたパンチの先端を、押圧部としている。即ち、図において9が、キャビティー3内に挿入されるパンチ8の先端部分であり、10はこの先端部分9の先端に形成された押圧部である。
ここで、前記押圧部10について説明すると、本実施例において前記押圧部10はパンチ側底部11を有しており、このパンチ側底部11の外周には、パンチ側底部11の周縁部から外周側の斜め上方に向けて形成されたパンチ側テーパー部12を有し、このパンチ側テーパー部12の上端が、パンチの先端部分9の下端に連設された構成としている。従って、本実施例におけるプレス装置は、底部と、この底部の周縁部から外周側の斜め上方に向けて形成されたテーパー部を底部分に有したローラーを製造するプレス装置としている。
そして、パンチ側底部11は、製造するローラーの底部の外径と同じ形状寸法としており、パンチ側テーパー部12は、製造するローラーのテーパー部と同じ傾斜角度を持って前記パンチ側底部11の周縁部に連設されている。
次に、材料として前記キャビティー3内に配置されるスラグについて説明すると、図1において4がスラグであり、本実施例において前記スラグ4は、全体として円柱形状としており、アルミにより形成している。そして、本実施例において前記スラグ4は、前記キャビティー3の内径よりもわずかに小さく、前記パンチ8における押圧部10の外径よりも大きい外径としており、具体的には、キャビティー3の中央部分に配置した際に、スラグ4の側壁とキャビティー3の内壁間の隙間が0.1〜0.2mm程度になるような外径としており、これによって、キャビティー3内への挿入配置を容易にしている。
そして、本実施例において前記スラグ4の上面には凹部が形成されている。即ち、図において5が凹部であり、本実施例において前記凹部5は、本実施例のプレス装置で製造するローラーの底部の外径と同じ形状寸法としたスラグ側底部6を有しており、このスラグ側底部6の周縁部には、外周側の斜め上方に向けて、所定角度としたスラグ側テーパー部7が形成されている。また、本実施例においては、前記スラグ側テーパー部7の上端部分の内径を前記パンチの先端部分9の外径よりも大きい寸法としており、これにより、前記パンチ8における押圧部10は、パンチ8を下降することで、前記凹部5内に挿入可能としている。
ここで、前記スラグ側テーパー部7について説明すると、本実施例において、前記スラグ側テーパー部7がスラグ側底部6の面に対して立ち上がる角度は、前記パンチ側底部11の面に対するパンチ側テーパー部11の立ち上がり角度よりも大きい角度としている。即ち、スラグ側底部6の面とスラグ側テーパー部7の面で形成される角度は、90度を越える側の角度と、90度を越えない側の角度があるが、このうち、90度を越えない方の角度を比較した場合に、前記スラグ側テーパー部7がスラグ側底部6の面に対して立ち上がる角度を、パンチ側テーパー部11が前記パンチ側底部11の面に対して立ち上がる角度よりも、大きくしている。
そのために、本実施例のプレス装置1では、スラグ側底部6とパンチ側底部11のいずれも、本実施例のプレス装置で製造するローラーの底部の外径と同じ形状寸法にするとともに、それぞれの底部6、11の周縁部にそれぞれのテーパー部7、12を連設しているために、パンチ8を下降して押圧部10を凹部5内に挿入させていくと、パンチ側テーパー部12、より詳しくは、パンチ側テーパー部12とパンチの先端部分9の境のエッヂ部分13がスラグ側テーパー部12の内壁に当接し、その後、パンチ8のキャビティー3内への挿入を継続していくと、前記エッヂ部分13がスラグ側テーパー部12を外周側に押し開いていき、更に挿入を継続すると、パンチ側底部11がスラグ側底部6に当接しながら、スラグ4をキャビティー3の底部近傍まで衝撃的に押圧していき、それにより、スラグ4をパンチ8の外周に沿って塑性変形させて、スラグ4をローラーの形状に成型していくことになる。この状態を示した図が図3〜図5である。即ち、図3は、前記エッヂ部分13がスラグ側テーパー部12の内壁に当接した状態を示しており、図4は、前記エッヂ部分13がスラグ側テーパー部12を外周側に押し開いている状態を示し、図5は、スラグ4がパンチ8の外周に沿って塑性変形してローラーの形状に成型されている状態を示している。
このように、本実施例のプレス装置1では、スラグ側テーパー部7がスラグ側底部6の面に対して立ち上がる角度をパンチ側底部11の面に対するパンチ側テーパー部11の立ち上がり角度よりも大きくすることで、パンチ8を下降して押圧部10を凹部5内に挿入させた場合に、パンチ側底部11がスラグ側底部6に当接する前に、まず、パンチ側テーパー部12とパンチの先端部分9の境のエッヂ部分13がスラグ側テーパー部12の内壁に当接するために、スラグ4がキャビティー3内の中央部分に配置されていないときには、スラグ4の位置調整を行うことが可能である。
この関係を説明すると、前記スラグ4がキャビティー3の中央部分に正確に配置されている場合には、図3に示したように、前記エッヂ部分13の全域がスラグ側テーパー部7の内壁に当接する。
しかし、スラグ4がキャビティー3内でずれて位置に配置されている場合には、図6に示すように、前記エッヂ部分13の全域がスラグ側テーパー7部の内壁に当接することは無い。
そのために、この図6に示す状態でパンチ8を下降していくと、下降していく過程においてスラグ4は、前記エッヂ部分13との当接箇所においてパンチ8に横方向に押されていき、押圧方向へ移動していく。そして、この横方向への押圧は、スラグ4がキャビティー3内の中央部分まで移動して前記エッヂ部分13の全域がスラグ側テーパー部7の内壁に当接するまで継続する。
従って、本実施例のプレス装置1では、スラグ4がキャビティー3内の中央部分に配置されていない場合でも、パンチ8を下降してスラグ4を衝撃的に押圧する過程で、スラグ4の位置を正確な位置に調整することができ、それにより、均一な肉厚なローラーを製造することが可能である。
次に、このように構成される本実施例のプレス装置1を用いて有底筒状のローラーを製造する方法について説明すると、本実施例の方法でローラーを製造する場合には、まず、図2に示すように、下型2のキャビティー3の中央部分にスラグ4を配置する。
そして、その状態で、前記パンチ8を下降させて、前記キャビティー3内に前記パンチの先端部分9を挿入していき、それにより、押圧部10をスラグ4の凹部5内に挿入していく。
そうすると、前述したように、本実施例のプレス装置1では、前記スラグ側テーパー部7がスラグ側底部6の面に対して立ち上がる角度を、前記パンチ側底部11の面に対するパンチ側テーパー部11の立ち上がり角度よりも大きくしており、更に、スラグ側底部6とパンチ側底部11のいずれも本実施例のプレス装置で製造するローラーの底部の外径と同じ形状寸法にするとともに、それぞれの底部6、11の周縁部にそれぞれのテーパー部7、12を連設しているために、スラグ4がキャビティー3の中央部分に配置されている場合には、まず、図3に示すように、パンチ側テーパー部12とパンチの先端部分9の境のエッヂ部分13がスラグ側テーパー部12の内壁に当接する。
そしてその後、パンチ8のキャビティー3内への挿入を継続していくと、図4に示すように、前記エッヂ部分13がスラグ側テーパー部12を外周側に押し開いていき、更に挿入を継続すると、パンチ側底部11がスラグ側底部6に当接しながら、スラグ4をキャビティー3の底部近傍まで衝撃的に押圧していき、それによって、図5に示すように、スラグ4をパンチ8の外周に沿って塑性変形させて、スラグ4をローラーの形状に成型していく。
一方、前記スラグ4がキャビティー3内でずれて位置に配置されている場合には、パンチ8を下降していくと、図6に示すように、前記エッヂ部分13の全域がスラグ側テーパー部7の内壁に当接することが無いために、パンチ8を下降していく過程において、スラグ4は、前記エッヂ部分13との当接箇所においてパンチ8に横方向に押されていき、押圧方向へ移動していく。
そして、この横方向への押圧は、スラグ4がキャビティー3内の中央部分まで移動して前記エッヂ部分13の全域がスラグ側テーパー部7の内壁に当接するまで継続し、これにより、スラグ4が正確な位置に調整され、その後は前述と同様に、図4に示すように前記エッヂ部分13がスラグ側テーパー部12を外周側に押し開いていき、更に挿入を継続することで、パンチ側底部11がスラグ側底部6に当接しながら、スラグ4をキャビティー3の底部近傍まで衝撃的に押圧していき、それにより、図5に示すように、スラグ4をパンチ8の外周に沿って塑性変形させて、スラグ4をローラーの形状に成型していくことが可能となる。
このように本実施例のプレス装置1では、スラグ4の上面に形成した凹部5を構成するスラグ側底部6とパンチ8の先端に形成した押圧部10を構成するパンチ側底部11の双方を本実施例のプレス装置で製造するローラーの底部の外径と同じ形状寸法にし、それぞれの底部6、11の周縁部に、外周側の斜め上方に向けてスラグ側テーパー部7、パンチ側テーパー部12を連設するとともに、スラグ側テーパー部7がスラグ側底部6の面に対して立ち上がる角度を、パンチ側底部11の面に対するパンチ側テーパー部11の立ち上がり角度よりも大きくし、キャビティー3内に配置されたスラグ4の位置の調整を自動的に行うことを可能としている。
従って、本実施例のプレス装置及びそれを用いたローラーの製造方法では、インパクトプレスによって各種ローラーを製造する方法において、スラグがキャビティーの中央部分からずれて配置された場合でも、それを是正することでスラグをキャビティーの中央部分に配置し、それにより、円周方向に肉厚を均一にしたローラーを製造することが可能である。
本発明は、インパクトプレスの方法によって円筒状の各種ローラー又はローラーの原型を製造するに際して、肉厚を均一にすることを可能にしているために、インパクトプレスによって各種ローラーを製造する装置の全般に適用可能である。
1 プレス装置
2 下型
3 キャビティー
4 スラグ
5 凹部
6 スラグ側底部
7 スラグ側テーパー部
8 パンチ
9 パンチの先端部分
10 パンチの押圧部
11 パンチ側底部
12 パンチ側テーパー部
13 エッヂ部分

Claims (2)

  1. キャビティ(3)を有する下型(2)と、
    材料として前記キャビティー(3)内に配置されるスラグ(4)と、
    前記下型(2)に対して相対移動可能に配置されて、下降することで先端部分が前記キャビティー(3)内に挿入されるパンチ(8)と、を具備して、
    前記キャビティー(3)内に前記スラグ(4)を配置した状態で、前記パンチ(8)を下降させて前記キャビティー(3)内に前記パンチ(8)の先端部分(9)を挿入することで前記パンチ(8)によって前記スラグ(4)を衝撃的に押圧して、前記スラグ(4)を前記パンチ(8)の外周に沿って塑性変形させることで、有底筒状の各種ローラーを製造するためのプレス装置であって、
    前記スラグ(4)の上面には、
    スラグ側底部(6)と、該スラグ側底部(6)の周縁部から外周側の斜め上方に向けて連設されたスラグ側テーパー部(7)と、を有した凹部(5)と、が形成され、
    前記キャビティー(3)内に挿入されて前記スラグ(4)を衝撃的に押圧する前記パンチ(8)の先端には、
    パンチ側底部(11)と、このパンチ側底部(11)の周縁部から外周側の斜め上方に向けて連設されたパンチ側テーパー部(12)とを有するとともに前記凹部(5)内に挿入可能とした押圧部(10)が形成され、
    前記スラグ側底部(6)の面に対するスラグ側テーパー部(7)の立ち上がり角度を、前記パンチ側底部(11)の面に対するパンチ側テーパー部(12)の立ち上がり角度よりも大きくした、ことを特徴とするプレス装置。
  2. キャビティ(3)を有する下型(2)と、材料として前記キャビティー(3)内に配置されるスラグ(4)と、前記下型(2)に対して相対移動可能に配置されて、下降することで先端部分が前記キャビティー(3)内に挿入されるパンチ(8)と、を具備するとともに、
    前記スラグ(4)の上面に、スラグ側底部(6)と、該スラグ側底部(6)の周縁部から外周側の斜め上方に向けて連設されたスラグ側テーパー部(7)と、を有した凹部(5)を形成し、
    前記キャビティー(3)内に挿入されて前記スラグ(4)を衝撃的に押圧する前記用パンチ(8)の先端には、パンチ側底部(11)と、このパンチ側底部(11)の周縁部から外周側の斜め上方に向けて連設されたパンチ側テーパー部(12)とを有するとともに前記凹部(5)内に挿入可能とした押圧部(10)が形成され、
    前記スラグ側底部(6)の面に対するスラグ側テーパー部(7の立ち上がり角度を、前記パンチ側底部(11)の面に対するパンチ側テーパー部(12)の立ち上がり角度よりも大きくした、ことを特徴とするプレス装置を用いた、有底筒状の各種ローラーを製造するためのローラーの製造方法であって、
    前記キャビティー(3)内に前記スラグ(4)を配置し、
    前記パンチ(8)を下降させて前記キャビティー(3)内に前記パンチ(8)の先端部分(9)を挿入し、
    前記パンチ(8)におけるパンチ側テーパー部(12)を前記スラグ側テーパー部(7)に当接させてスラグ(4)の位置調整を行いながら、前記パンチ(8)によって前記スラグ(4)を衝撃的に押圧して、前記スラグ(4)を前記パンチ(8)の外周に沿って塑性変形させることでローラーの形状に成型する、ことを特徴としたローラーの製造方法。
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