図1は、本発明の実施形態に係る携帯電話機1の外観を開状態で示す斜視図である。図2は、携帯電話機1の外観を閉状態で示す斜視図である。携帯電話機1は、いわゆる折り畳み式の携帯電話機として構成されており、開状態と閉状態との間で回転軸RA回りに互いに回動可能に連結された操作側筐体3及び表示側筐体5を備えている。
操作側筐体3及び表示側筐体5は、それぞれの端部が回動の中心となる連結部6により連結されることにより携帯電話機1全体の筐体を構成するようになっている。操作側筐体3及び表示側筐体5は、それぞれ概ね薄型直方体状に形成されており、閉状態では互いに重ねあわされて互いの輪郭が略一致する。
なお、以下では、操作側筐体3及び表示側筐体5の閉状態において互いに対向する面及びその背面を対向面及び背面ということがある。また、操作側筐体3及び表示側筐体5において、対向面及び背面を貫通する方向を筐体の厚さ方向ということがある。
操作側筐体3には、例えば、通話用のマイクロフォン87(図13参照)、通信のための内蔵アンテナ81(図13参照)、報知用のスピーカ85(図13参照)、撮像部89(図13参照)、ユーザの操作を受け付ける操作部7(図1)が設けられている。
表示側筐体5には、例えば、通話用のスピーカ83(図13参照)、表示側筐体5の対向面に画像や文字を表示する表示部9(図1)が設けられている。
表示側筐体5は、表示側筐体5の対向面側に配置されるフロントケース11と、表示側筐体5の背面側に配置されるリアケース13(図2)とを有している。フロントケース11とリアケース13とは、互いに対向した状態でネジなどにより互いに固定される。フロントケース11とリアケース13との間には、種々の電子部品が収納される。
図3は、表示側筐体5からリアケース13を取り外して表示側筐体5の内部を背面側から示す斜視図である。また、図4は、図3の状態からフレキシブルプリント基板(FPC)17を取り外して示す分解斜視図である。
表示側筐体5内部には、表示側回路基板15と、表示側回路基板15に接続されたFPC17とが設けられている。
表示側回路基板15は、例えば、硬質の樹脂をベースとしたリジッド式のプリント基板により構成されている。表示側回路基板15には、IC等の電子部品が実装されて、電子回路が構成されている。表示側回路基板15は、表示側筐体5の正面及び背面に平行に配置されている。
FPC17は、操作側筐体3の電子回路(電子部品)と、表示側筐体5の電子回路(電子部品)とを接続するためのものである。FPC17は、連結部6に挿通されることにより、第1接続部19(図4)が操作側筐体3内に、第2接続部21が表示側筐体5内に配置される。第1接続部19は、操作側筐体3内の操作側回路基板23(図4において一部のみ示す)に接続される。なお、操作側回路基板23は、例えば、操作側筐体3の対向面及び背面に平行に配置されている。また、第2接続部21は、表示側回路基板15に接続される。FPC17の連結部6に挿通された部分は、携帯電話機1の開閉に伴って屈曲又は伸長する。
FPC17は、連結部6に挿通される際に、操作側筐体3に形成された不図示の第1開口部及び表示側筐体5に形成された第2開口部25に挿通される。第1開口部は、FPC17が挿通された第1閉塞部材27(図4)が圧入されることにより閉塞される。第2開口部25は、FPC17が挿通された第2閉塞部材29が圧入されることにより閉塞される。
図5は、図3のV−V線における断面図である。図5の紙面上方側が、表示部9側である。
表示側筐体5には、表示側回路基板15等の種々の電子部品を収容する収容空間S1と、収容空間S1の連結部6側に形成される連通空間S2と、収容空間S1の対向面側に形成される凹部S3とが形成されている。
収容空間S1は、フロントケース11とリアケース13との間に形成されている。収容空間S1は密閉されている。具体的には、フロントケース11には、リアケース13側に突出し、外周に沿って延びるリブ11r(図3も参照)が形成されている。リアケース13には、リブ11rと同一形状に延びる溝部13gが形成されている。溝部13gには、リブ11r及び溝部13gと同一形状で延びる環状のパッキン37が配置される。そして、リブ11rが溝部13g内に配置されたパッキン37を押し潰すことにより、フロントケース11とリアケース13との間の空間は密閉される。
連通空間S2は、フロントケース11とリアケース13との間に形成されている。連通空間S2は、フロントケース11及びリアケース13の互いに対向する面に沿う方向において収容空間S1に隣接している。連通空間S2においては、フロントケース11とリアケース13との合せ目にパッキン等は配置されていない。すなわち、連通空間S2は、密閉されていない。
凹部S3は、フロントケース11の正面側に形成されている。凹部S3には、表示部9を構成する表示装置31が収容されている。表示装置31は、例えば、液晶表示装置や有機EL表示装置により構成されている。凹部S3は、透光板33が接着剤や両面テープ等の両面テープ35を介してフロントケース11に固定されることにより、密閉されている。なお、透光板33は、表示側筐体5の一部として捉えられてもよいし、表示側筐体5とは別個の部材として捉えられてもよい。
凹部S3と収容空間S1とは第3開口部39により連通されている。具体的には、第3開口部39は、フロントケース11に形成され、また、フロントケース11及びリアケース13の対向方向(筐体の厚さ方向)に開口している。また、第3開口部39は、パッキン37に囲まれる領域(収容空間S1)の内側に配置されている(図3も参照)。
第2開口部25は、連通空間S2と凹部S3とを連通している。具体的には、第2開口部25は、フロントケース11に形成され、また、フロントケース11及びリアケース13の対向方向(筐体の厚さ方向)に開口している。また、第2開口部25は、パッキン37に囲まれる領域(収容空間S1)の外側に配置されている(図3も参照)。
以上のように、第3開口部39を介して連通された凹部S3及び収容空間S1により密閉空間が形成されており、当該密閉空間と連通空間S2とを連通する第2開口部25は、第2閉塞部材29によって閉塞される。
FPC17は、操作側筐体3から連結部6を介して表示側筐体5側へ延出すると、連通空間S2、第2開口部25、凹部S3及び第3開口部39を順に経由して、収容空間S1に到達する。そして、FPC17の第2接続部21は、収容空間S1に収容された表示側回路基板15に接続されている。
FPC17は、第2開口部25の開口方向に対して斜めに第2開口部25(第2閉塞部材29)を貫通している。FPC17の第2閉塞部材29から凹部S3側へ延出した部分は、透光板33に近接又は当接しつつ、透光板33に沿う方向(第2閉塞部材29の圧入方向に直交する方向)に屈曲して延びている。さらに、そのFPC17の延出部分は、第3開口部39を貫通した後、リアケース13のフロントケース11に対向する面に沿って延びている。FPC17の第2閉塞部材29から連通空間S2側に延出した部分は、リアケース13のフロントケース11に対向する面に近接又は当接しつつ、当該面に沿う方向(第2閉塞部材29の圧入方向に直交する方向)へ屈曲して延びている。
第2閉塞部材29は、第2グロメット45と、第2グロメット45の外周面(第2開口部25の内周面に対向する面)に嵌められる第2パッキン47とを有している。
第2グロメット45は、例えば、樹脂により形成されている。第2グロメット45は、概ね、扁平な柱状に形成されており、外周面には、第2パッキン47が嵌合する溝部49が形成されている。第2パッキン47は、例えば、ゴムにより形成されたOリングにより構成されている。第2パッキン47が弾性変形することにより、第2閉塞部材29は、第2開口部25に圧入される。
第2閉塞部材29は、第2開口部25に対して第2開口部25の開口方向(貫通方向)に圧入される。一方、FPC17は、第2グロメット45の圧入方向に対して斜めに第2グロメット45に挿通されている。従って、上述のように、FPC17は、第2開口部25の開口方向に対して斜めに第2開口部25に挿通されている。
第1閉塞部材27も第2閉塞部材29の構成と同様であり、第1グロメット44(図6)と第1グロメット44に嵌められる不図示の第1パッキンとを有している。ただし、FPC17は、第1閉塞部材27の圧入方向に対して平行に第1閉塞部材27に挿通されている(図6参照)。
図6は、FPC17を展開して示す斜視図である。
FPC17は、帯状に長く形成されており、一端に第1接続部19が、他端に第2接続部21が設けられている。また、第1グロメット44はFPC17の第1接続部19側の部分に設けられている。第2グロメット45はFPC17の第2接続部21側の部分に設けられている。
第1接続部19には、操作側回路基板23に接続される第1コネクタ41が設けられている。第2接続部21には、表示側回路基板15に接続される第2コネクタ43が設けられている。第1コネクタ41及び第2コネクタ43は、FPC17において同一の主面に実装されている。図4に示すように、第1コネクタ41は、第1接続部19を操作側回路基板23に対向させた状態で操作側回路基板23に接続される。図3に示すように、第2コネクタ43は、第2接続部21を表示側回路基板15に対向させた状態で表示側回路基板15に接続される。
図7は、図6の領域VIIにおける拡大図、換言すれば、第2グロメット45周辺の斜視図である。また、図8は、第2グロメット45周辺の側面図である。
第2グロメット45は、例えば、第2開口部25の圧入方向に見て、概ね角部が面取りされた矩形状(若しくは長円形)に形成されている。なお、第2開口部25の平面形状も第2グロメット45と同様である。
第2パッキン47を嵌め込むための溝部49は、第2グロメット45の外周側に突出し、互いに対向する第1フランジ51と第2フランジ53とにより構成されている。第1フランジ51及び第2フランジ53の対向方向、換言すれば、溝部49の環の軸方向は、第2グロメット45の圧入方向に対して平行であり、FPC17に対して傾斜している。
図9は、第1グロメット44及び第2グロメット45の形成方法を説明する斜視図である。
第1グロメット44及び第2グロメット45は、金型151内にFPC17が配置された状態において、金型151内に溶融状態の樹脂が充填されることにより形成される。なお、図9では、一の金型により、2組の第1グロメット44及び第2グロメット45が形成される場合における金型を例示している。また、図9では、2組のFPC17等のうち1組の図示を省略している。
金型151は、第1分割金型153(図11参照)と、第2分割金型155とを有している。第1グロメット44及び第2グロメット45を形成するキャビティ157は、第1分割金型153と第2分割金型155との間に形成される。金型151を第1分割金型153及び第2分割金型155に分割する分割面151aは、平面状に設定されている。
キャビティ157は、FPC17を配置するための基板配置部159と、第1グロメット44を形成するための第1グロメット形成部161と、第2グロメット45を形成するための第2グロメット形成部163とを有している。
図10は、図9の領域Xの拡大図、換言すれば、第2グロメットの周辺を示す斜視図である。
図9及び図10に示すように、FPC17は、基板配置部159において、分割面151aに平行に平面状に配置されている。従って、上述のように、FPC17を第2グロメット45の圧入方向に対して斜めに挿通させるためには、図10に示すように、第2グロメット45は、分割面151aに対して圧入方向が傾斜するように形成される。
図11は、図10のXI−XI線における断面図、換言すれば、金型151の図8に対応する断面図である。
基板配置部159は、第1分割金型153の分割面151aに形成された凹部及び第2分割金型155の分割面151aに形成された凹部により構成されている。なお、基板配置部は、第1分割金型及び第2分割金型の一方に形成された凹部により形成されてもよい。
第2グロメット形成部163は、第1分割金型153の凹部及び第2分割金型155の凹部により構成されている。第2グロメット形成部163は、FPC17が第2グロメット45に挿通されるように、基板配置部159の延びる方向において基板配置部159の一部を包含して(拡径して)構成されている。
上述のように、第2グロメット45の溝部49は、その環の軸方向がFPC17の主面に対して傾斜している。また、基板配置部159は、FPC17の主面を分割面151aに平行に配置可能に構成されている。従って、溝部49の環の軸方向は、分割面151aに対して傾斜している。換言すれば、溝部49の凹み方向は、成形品の金型からの押出方向に対して傾斜する。従って、第2グロメット45を、溝部49の軸方向がFPC17の主面に平行なグロメットと同様の形状としてしまうと、溝部49において、成形品が金型に引っ掛かるアンダーカット部が形成されてしまう。そこで、本実施形態では、第2グロメット45の形状をアンダーカット部が形成されない形状としている。具体的には、以下のとおりである。
図8に示すように、溝部49は、FPC17の主面の一方側及び他方側にそれぞれ、第1分割溝部49a及び第2分割溝部49bを有している。第1分割溝部49a及び第2分割溝部49bは、FPC17の第2グロメット45への挿通方向において互いにずれた位置に配置されている。
第1分割溝部49aは、FPC17の第2グロメット45への挿通方向において第2グロメット45の中央側(第2分割溝部49b側)となる第1内側内壁51aと、その反対側となる第1外側内壁53aとにより構成されている。仮に、第1内側内壁51aが第1外側内壁53aと同様に、第2グロメット45の圧入方向に対して直交していると、第1分割金型153(図11)が引っ掛かるアンダーカット部が形成されてしまう。そこで、第1内側内壁51aは、FPC17の第2グロメット45に挿通された部分の主面に直交するように形成されている。
同様に、第2分割溝部49bは、FPC17の第2グロメット45への挿通方向において第2グロメット45の中央側(第1分割溝部49a側)となる第2内側内壁53bと、その反対側となる第2外側内壁51bとにより構成されている。そして、第2内側内壁53bは、第1内側内壁51aと同様に、アンダーカット部が形成されないように、FPC17の第2グロメット45に挿通された部分の主面に直交するように形成されている。
なお、第1内側内壁51a及び第2内側内壁53bは、FPC17の第2グロメット45に挿通された部分の主面に直交する角度から更に、溝部49の開口が拡幅する側へ傾斜されることも可能である。ただし、この場合、第2パッキン47が溝部49から外れやすくなることから、上述のように、FPC17の第2グロメット45に挿通された部分の主面に直交する角度が好ましい。
また、第1外側内壁53a及び第2外側内壁51bの角度は、アンダーカット部が形成されない範囲で適宜に設定されてよい。図8では、第1外側内壁53a及び第2外側内壁51bが、第2グロメット45の圧入方向に直角に形成された場合を例示している。
上記のような第1内側内壁51a及び第2内側内壁53bに対応して、金型151は、以下のように形成されている。
図11に示すように、第1分割金型153の第2グロメット形成部163を構成する面には、第1分割溝部49a(図8)を形成する第1突条部165が形成されている。第1突条部165は、分割面151a側へ突出し、分割面151aの平面視において基板配置部159の延びる方向に交差する方向(より詳細には直交する方向)に延びている。
同様に、第2分割金型155の第2グロメット形成部163を構成する面には、第2分割溝部49b(図8)を形成する第2突条部167が形成されている。第2突条部167は、分割面151a側へ突出し、分割面151aの平面視において基板配置部159の延びる方向に交差する方向(より詳細には直交する方向)に延びている。
第1突条部165及び第2突条部167は、基板配置部159の延びる方向において互いにずれた位置に配置されている。これは、第1分割溝部49a及び第2分割溝部49bが、FPC17の第2グロメット45への挿通方向において互いにずれた位置に配置されることに対応している。
第1突条部165は、基板配置部159の延びる方向において第2グロメット形成部163の中央側(第2突条部167側)となる第1内側外壁165aと、その反対側の第1外側外壁165bとを有している。第1内側外壁165aは、第1分割溝部49aの第1内側内壁51aに対応し、第1外側外壁165bは、第1分割溝部49aの第1外側内壁53aに対応している。
そして、第1内側外壁165aは、基板配置部159の延びる方向において分割面151aに直交している。これは、第1内側内壁51aがFPC17の第2グロメット45に挿通された部分の主面に対して直交していたことに対応する。
同様に、第2突条部167は、基板配置部159の延びる方向において第2グロメット形成部163の中央側(第1突条部165側)となる第2内側外壁167aと、その反対側の第2外側外壁167bとを有している。第2内側外壁167aは、第2分割溝部49bの第2内側内壁53bに対応し、第2外側外壁167bは、第2分割溝部49bの第2外側内壁51bに対応している。
そして、第2内側外壁167aは、基板配置部159の延びる方向において分割面151aに直交している。これは、第2内側内壁53bがFPC17の第2グロメット45に挿通された部分の主面に対して直交していたことに対応する。
なお、第1内側外壁165aは、分割面151aに直交する角度から、第1突条部165の根元が拡幅する側へ更に傾斜していてもよい。同様に、第2内側外壁167aは、分割面151aに直交する角度から、第2突条部167の根元が拡幅する側へ更に傾斜していてもよい。
また、第1外側外壁165b及び第2外側外壁167bの角度は、アンダーカット部が形成されない範囲で適宜に設定されてよい。図11では、第1外側外壁165b及び第2外側外壁167bが、第2グロメット45の圧入方向に直角に形成された場合を例示している。
さらに、第2グロメット45は、FPC17の側方においてもアンダーカット部が形成されないように形成されている。具体的には、以下のとおりである。
図7に示すように、第1フランジ51は、第1分割溝部49a側であってFPC17の側方となる部分が切り欠かれて切り欠き部51cが形成されている。換言すれば、図8に示すように、第2分割溝部49bの第2外側内壁51bは、FPC17の側方において第1分割溝部49a側へ延長されているが、第1分割溝部49aには到達しない。
同様に、図7及び図8に示すように、第2フランジ53は、第2分割溝部49b側であってFPC17の側方となる部分が切り欠かれて切り欠き部53cが形成されている。換言すれば、図8に示すように、第1分割溝部49aの第1外側内壁53aは、FPC17の側方において第2分割溝部49b側へ延長されているが、第2分割溝部49bには到達しない。
そして、第2外側内壁51bの、第1分割溝部49a側へ延長された部分と、第1外側内壁53aの第2分割溝部49b側へ延長された部分とは、FPC17の第2グロメット45に挿通された部分の主面に直交する方向において互いに重ならない。
このような形状にすることにより、以下のように、アンダーカット部が生じない金型を構成することができる。
図12は、図10のXII−XII線における金型151の断面図である。すなわち、金型151のうち、第1フランジ51及び第2フランジ53の、FPC17の側方部分に対応する部分の断面図である。
図11と図12との対比から理解されるように、第1突条部165の第1外側外壁165bは、基板配置部159の側方において第2突条部167側へ延長されている。これは、図8において、第1分割溝部49aの第1外側内壁53aがFPC17の側方において第2分割溝部49b側へ延長されたことに対応している。
また、同様に、第2突条部167の第2外側外壁167bは、基板配置部159の側方において第1突条部165側へ延長されている。これは、図8において、第2分割溝部49bの第2外側内壁51bがFPC17の側方において第1分割溝部49a側へ延長されたことに対応している。
そして、第1外側外壁165bの、第2突条部167側へ延長された部分と、第2外側外壁167bの第1突条部165側へ延長された部分とは、分割面151a(図11)に直交する方向において互いに重ならない。
従って、第1分割金型153において、第1外側外壁165bの分割面151aとは反対側には、成形材料が充填される空間が形成されていない。また、第2分割金型155において、第2外側外壁167bの分割面151aとは反対側には、成形材料が充填される空間が形成されていない。すなわち、第1分割金型153及び第2分割金型155は、アンダーカット部が形成されていない。
図13は、携帯電話機1の信号処理系の構成の一例を示すブロック図である。
携帯電話機1は、CPU71、メモリ73、通信処理部75、音響処理部77及び画像処理部79を有している。これら各部は、操作側筐体3及び表示側筐体5内に設けられたIC等により構成されている。そして、操作側筐体3内に配置された電子部品と、表示側筐体5内に配置された電子部品とは、FPC17を介して互いに接続されている。
CPU71及びメモリ73は、操作部7等の各種手段からの信号に基づいて所定の演算を行い、画像処理部79等の各種手段の制御を実行する制御部として機能する。
通信処理部75は、電波を利用した無線通信により、通信システム(電話網やインターネット)を介した他の携帯端末装置やサーバとの通信を行う。具体的には、通信処理部75は、CPU71で処理された音響データ、画像データ等の各種データを変調して、変調された信号をアンテナ81を介して送信する。また、通信処理部75は、アンテナ81を介して受信した信号を復調し、復調したデータをCPU71に出力する。
音響処理部77は、CPU71からの音響データを電気信号に変換して、その信号を、通話用のスピーカ83、又は、報知音等を出力するスピーカ85に出力する。スピーカ83及びスピーカ85は、音響処理部77からの電気信号を音響に変換し、その音響を出力する。一方、マイクロフォン87は、入力された音響を電気信号に変換し、その信号を音響処理部77に出力する。音響処理部77は、マイクロフォン87からの電気信号を音響データに変換し、その音響データをCPU71に出力する。
画像処理部79は、CPU71からの画像データを画像信号に変換し、その信号を表示部9へ出力する。また、画像処理部79は、撮像部89から出力される撮像信号(画像データ)を所定のフォーマットの画像データに変換し、その画像データをCPU71へ出力する。
以上の実施形態によれば、携帯電話機1は、第2開口部25が形成された表示側筐体5と、第2開口部25に圧入されて第2開口部25を閉塞する第2閉塞部材29と、第2閉塞部材29に挿通されることにより第2開口部25に挿通されたFPC17と、を有する。そして、FPC17は、第2閉塞部材29の内部において第2閉塞部材29の圧入方向に対して傾斜している。
従って、FPC17は、第2閉塞部材29の圧入方向に対して傾斜した状態で第2閉塞部材29から延出されやすい。その結果、例えば、FPC17を屈曲させなくても、第2閉塞部材29の圧入方向とは異なる方向へFPC17を延出させることができる。また、例えば、FPC17の第2閉塞部材29から延出した部分を圧入方向に対して傾斜した方向や直交する方向へ屈曲させる場合において、屈曲部の屈曲角度は、FPC17が第2閉塞部材29から圧入方向に平行に延出する場合に比較して小さくなる。そして、屈曲部の周辺において必要な空間が縮小される。屈曲部が不要となり、若しくは、屈曲部の周辺において必要な空間が縮小されることにより、筐体内側面又は他の部材を第2閉塞部材29に近接させることができ、携帯電話機1の小型化が図られる。
携帯電話機1は、第2開口部25の開口方向に配置された透光板33(又はリアケース13)を有する。FPC17は、第2閉塞部材29から延出した後、透光板33に当接しつつ圧入方向に対して直交する方向へ屈曲している。従って、所定の被当接部材を第2開口部25に近接させて、表示側筐体5の小型化若しくは表示側筐体5の内部空間の有効活用が図られる。
上記の被当接部材は、第2開口部25を表示側筐体5の外部から被覆する透光板33である。透光板33は、FPC17の屈曲状態から直線状態に戻ろうとする復元力を受けるが、FPC17の屈曲角度が小さくなることにより、この復元力は小さくなる。従って、透光板33のフロントケース11からの剥がれを抑制しつつ、表示側筐体5の小型化を図ることができる。
なお、凹部S3を構成するフロントケース11及び透光板33を筐体と捉え、リアケース13を当該筐体の外部から第2開口部25を被覆する被覆部材であると捉えることもできる。この場合、第2開口部25は、近接配置されたリアケース13によって被覆されるから、凹部S3内に水分等が侵入することが抑制される。
携帯電話機1は、表示側筐体5に対して相対移動可能に連結された操作側筐体3と、表示側筐体5に配設された表示側回路基板15と、操作側筐体3内に配設された操作側回路基板23とを有する。FPC17は、第2閉塞部材29を境とする一方側の部分が表示側回路基板15に接続され、他方側の部分が操作側回路基板23に接続されている。従って、表示側筐体5は、第2開口部25を介して操作側筐体3と連通されつつ、操作側筐体3とは独立に防水される。また、FPC17は、第2閉塞部材29の延出部分において大きな屈曲角度で曲げられていると、筐体の開閉に伴う屈曲によって更に変形を受けるから、FPC17の負担が大きくなる。しかし、本実施形態では、屈曲部を伴わずに、又は、屈曲角度を小さくしつつFPC17を第2閉塞部材29から延出させることができるから、FPC17の負担を小さくしつつ、連結部6周辺を小型化することができる。
表示側筐体5は、フロントケース11と、フロントケース11の内面(一方側の面)に対向して配置されるリアケース13とを有する。リアケース13は、フロントケース11との間に、密閉された収容空間S1と、フロントケース11の内面に沿う方向において収容空間S1に隣接する連通空間S2とを構成する。また、表示側筐体5は、フロントケース11の外面(他方側の面)に対向して配置され、フロントケース11との間に、密閉された凹部S3を構成する透光板33を有する。収容空間S1と凹部S3とは連通されている。第2開口部は、フロントケース11において形成され、フロントケース11及びリアケース13の対向方向に開口し、収容空間S1と連通空間S2とを連通する。FPC17は、第2閉塞部材29から延出した後、フロントケース11、リアケース13乃至透光板13の互いに対向する面に沿う方向に延びるように屈曲している。
従って、第2閉塞部材29をフロントケース11及びリアケース13の対向方向に圧入する構成が実現され、表示側筐体5の薄型化が図られる。また、実施形態のように凹部S3と収容空間S1とを連通する第3開口部39を介してFPC17を収容空間S1に延出させることが可能である。従って、フロントケース11の一方側及び他方側のいずれにFPC17を配置してもよく、設計の自由度が高い。その結果、例えば、本実施形態のように、FPC17の片面のみに第1コネクタ41及び第2コネクタ43を実装することも容易化される。
なお、以上の実施形態において、携帯電話機1は本発明の携帯電子機器の一例であり、第2開口部25は本発明の開口部の一例であり、表示側筐体5は本発明の第1の筐体の一例であり、FPC17は本発明のフレキシブル基板の一例であり、透光板33又はリアケース13は本発明の被当接部材及び被覆部材の一例であり、両面テープ35は本発明の両面接着部材の一例であり、操作側筐体3は本発明の第2の筐体の一例であり、表示側回路基板15は本発明の第1の電子部品の一例であり、操作側回路基板23は本発明の第2の電子部品の一例であり、第2グロメット45は本発明のグロメットの一例であり、第2パッキン47は本発明のパッキンの一例であり、第1分割溝部49a及び第2分割溝部49bは本発明の第1の溝部及び第2の溝部の一例であり、フロントケース11は本発明の第1ケース部材の一例であり、リアケース13は本発明の第2ケース部材の一例であり、透光板33は本発明の第3ケース部材の一例であり、収容空間S1は本発明の第1空間の一例であり、連通空間S2は本発明の第2空間の一例であり、凹部S3は本発明の第3空間の一例である。
本発明は、以上の実施形態に限定されず、種々の態様で実施されてよい。
携帯電子機器は、携帯電話機に限定されない。例えば、携帯電子機器は、ノートパソコン、PDA、ゲーム機、カメラであってもよい。また、携帯電子機器の筐体は、折り畳み式のものに限定されない。
筐体は、一体的に構成されたもの(1つのみの筐体)であってもよいし、2以上の筐体が折り畳み式以外の方式(スライド式等)により相対移動可能に連結されたものであってもよい。また、筐体は、電子機器の外観を構成する筐体に限定されず、筐体内に包含される筐体であってもよい。例えば、筐体は、外観を構成する筐体と、その内部に包含される防水性の高い筐体とを有する携帯電子機器における、内部に包含された筐体であってもよい。開口部は、筐体の内外を連通するものであってもよいし、筐体内の2つの空間を連通するものであってもよい。
図14(a)は、本発明の第1の変形例に係る第2閉塞部材229を示す模式的な断面図である。
第2閉塞部材229の第2グロメット245は、圧入における側面の透光板33側部分及びリアケース13側部分が第2開口部25から露出している。そして、FPC217は、第2グロメット245内において屈曲し、第2グロメット245の側面の第2開口部25から露出する部分から延出している。フロントケース11と透光板33とを接着する両面テープ235は、透光板33と第2グロメット245との間において、第2グロメット245の透光板33側の面にも接着されている。
この変形例によれば、FPC17は、第2閉塞部材229内において、圧入方向に対して直交する方向へ屈曲し、第2閉塞部材229外へ延出している。従って、FPC17の屈曲状態から直線状態に戻ろうとする復元力は、第2閉塞部材229外へは伝達されない。その結果、FPC17の復元力による透光板33の脱落等の不都合が解消される。
また、FPC17は、第2閉塞部材229の側面の第2開口部25から露出する部分から延出する。従って、第2閉塞部材229の端面には、透光板33を間接的に当接させたり、リアケース13を当接させることができる。その結果、第2閉塞部材229の固定を確実に行うことができる。さらには、両面テープ235を第2閉塞部材229の透光板33側の面に接着し、透光板33の固定を確実に行うこともできる。
以上の変形例で示したように、フレキシブル基板は、閉塞部材内で屈曲してもよいし、閉塞部材の側面から延出してもよいし、閉塞部材の圧入方向に対して直交する状態で閉塞部材から延出してもよい。
本発明は、フレキシブル基板が、閉塞部材の圧入方向に対して傾斜又は直交した状態で閉塞部材の内部から外部へ延出するという第2の観点から捉えられることができる。なお、この観点においては、フレキシブル基板は、閉塞部材の内部において傾斜していてもよいし、傾斜していなくてもよい。
図14(b)は、本発明の第2の変形例の第2閉塞部材329を示す模式的な断面図である。第2の変形例は、第2の観点に係るものである。
第2閉塞部材329では、FPC317は、第2グロメット345内において、大部分が圧入方向に対して平行である。しかし、FPC317は、第2グロメット345から延出する直前に屈曲することにより、圧入方向に対して傾斜した状態で、第2グロメット345から延出している。この第2の変形例においても、FPC317の第2グロメット345から延出した後の屈曲角度を小さくすることができる。
図14(c)は、本発明の第3の変形例の第2閉塞部材429を示す模式的な断面図である。第3の変形例は、第2の観点に係るものである。
第2閉塞部材429では、FPC417は、一端は、圧入方向に対して直交する状態で第2グロメット445から延出するものの、他端は、圧入方向に対して平行な状態で第2グロメット445から延出している。FPC417を開口部の一方側においてのみ屈曲させる必要がある場合には、このような態様も有効である。
図14(d)は、本発明の第4の変形例を示す模式的な断面図である。
この変形例では、第2グロメット45には、複数(図14(d)では2枚を例示)の積層されたFPC517A及び517B(以下、A及びBを省略することがある。)が挿通されている。このように複数枚のFPC517が積層されている場合、第2開口部25を第2閉塞部材29によって閉塞しても、FPC517間の隙間から水分が第2開口部25を通過してしまうおそれがある。
しかし、FPC517は、圧入方向に対して傾斜して第2グロメット45に挿通されていることから、圧入方向にた対して平行に第2グロメット45に挿通された場合に比較して、第2グロメット45内の沿面距離が長い。従って、水分がFPC517間の隙間を介して第2開口部25を通過することが抑制され、防水機能が向上する。
グロメットを形成する金型は、グロメットの形状に応じて適宜に構成されよい。また、実施形態と同様のグロメットを構成する場合においても、当該グロメットを形成する金型は、実施形態の金型に限定されない。
図15(a)は、図14(a)に示した第1の変形例の第2グロメット245を形成する金型の一例を示す模式的な断面図である。
金型251は、第1分割金型252、第2分割金型253、第3分割金型254及び第4分割金型255を有している。FPC217は、これらの金型の分割面に沿って金型間に配置されている。また、これらの金型は、矢印y1〜y4で示される4方向に相対移動される。従って、FPC217を屈曲した状態で金型間に保持することができる。
図15(b)は、実施形態の第2グロメット45を形成する他の金型を示す模式的な断面図である。
金型351では、第1分割金型353及び第2分割金型355の分割面351aが平面状に形成されていない。また、FPC17は、分割面351aに沿って金型間に配置されている。このようにすることにより、第2グロメット45の溝部49の環の軸方向を分割面351aに平行にして、アンダーカット部が形成されるのを避けつつ、FPC17を圧入方向に対して傾斜させることができる。
ただし、実施形態の金型151の方が、FPC17を直線状のまま金型間に保持できることから、FPC17を第2グロメット45に対して正確に位置決めして、精度よく製品を形成することができる。
閉塞部材は、グロメットとパッキンとを有するものに限定されない。例えば、弾性部材によりグロメットが形成され、パッキンが省略されてもよい。
被当接部材及び被覆部材は、筐体を構成したり、携帯電子機器の外観を構成したりするものに限定されない。例えば、筐体の内部に設けられるシールドケースや回路基板等の電子部品であってもよい。
第1の電子部品及び第2の電子部品は回路基板に限定されず、例えば、スピーカ、マイクロフォン、表示装置であってもよい。
1…携帯電話機(携帯電子機器)、5…表示側筐体(第1の筐体)25…第2開口部、29…閉塞部材、33…フレキシブルプリント基板(FPC:フレキシブル基板)。