JP5324866B2 - 3,4−エチレンジオキシチオフェンの重合用酸化剤 - Google Patents
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Description
これらのうち、複素環式共役系導電性高分子は、導電性が高く、安定性も高いなどの特徴を有しており、電子部品用途や帯電防止用途など、種々の分野で使用され、また用途開発が行われている。
複素環式共役系導電性高分子のなかでも、ポリ−3,4−エチレンジオキシチオフェン(PEDT)は電導度、耐熱性共に優れていており広く使用されている。
(1)3,4−エチレンジオキシチオフェンの重合用酸化剤であって、芳香族スルホン酸の第2鉄塩からなる第1の溶質と、芳香族スルホン酸のアミン塩、4級アンモニウム塩及びアルミニウム塩からなる群から選ばれる少なくとも1種からなる第2の溶質とを、第1の溶質が15〜65重量%であり、かつ第2の溶質が0.5〜40重量%であるように溶媒中に含有することを特徴とする重合用酸化剤。
(2)重合用酸化剤中に含有される、第1の溶質:第2の溶質の比率(重量比)が、2:1〜20:1である上記(1)に記載の重合用酸化剤。
(3)重合用酸化剤中に含有される、芳香族スルホン酸:第2鉄の比率(モル比)が、2.2:1〜5:1である上記(1)又は(2)に記載の重合用酸化剤。
(5)芳香族スルホン酸の4級アンモニウム塩を構成する4級アンモニウムが、一般式、R1R2R3R4N+(但し、R1、R2、R3、R4は、それぞれ独立して、炭素数1〜7の脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、又は芳香族炭化水素基であり、R1、R2、R3、R4の2つ以上が一緒になって環を形成していてもよい。)で表される上記(1)〜(3)のいずれかに記載の重合用酸化剤。
(6)溶媒が、炭素数1〜5のアルキルアルコールである上記(1)〜(5)のいずれかに記載の重合用酸化剤。
(7)第1の溶質を構成する芳香族スルホン酸と、第2の溶質を構成する芳香族スルホン酸とが、同じ芳香族スルホン酸である上記(1)〜(6)のいずれかに記載の重合用酸化剤。
(8)第1の溶質及び第2の溶質を構成する芳香族スルホン酸が、いずれもp−トルエンスルホン酸である上記(1)〜(7)のいずれかに記載の重合用酸化剤。
(9)上記(1)〜(8)のいずれかに記載の重合用酸化剤を用いて重合されたポリ−3,4−エチレンジオキシチオフェン。
なお、芳香族スルホン酸の含有量を増大させるために、本発明の重合用酸化剤における第2の溶質である芳香族スルホン酸の特定の塩の代りに、芳香族スルホン酸を遊離酸として含有させた場合は、3,4−エチレンジオキシチオフェンモノマーの重合速度が増大し、モノマーと重合用酸化剤との混合物のコンデンサ素子内部への含浸性が悪化してしまうという現象が見られるが、本発明の重合用酸化剤にはこのような問題は無い。
加えて、コンデンサ素子に均一に含浸しやすく、また、コンデンサ素子のより内部まで3,4−エチレンジオキシチオフェンモノマーと酸化剤の混合物が含浸してポリマーを形成することとなる。この優れた含浸性によって、均一でかつ十分な量のポリマーをコンデンサの素子内部に素早く形成できるためコンデンサを製造する際の不良率や含浸に要する時間の低減も可能になり、より効率的にコンデンサを製造することもできる。
本発明において、3,4−エチレンジオキシチオフェンの重合用酸化剤に含有される第1の溶質である、芳香族スルホン酸第2鉄を構成する芳香族スルホン酸の例としては、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、エチルベンゼンスルホン酸、キシレンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、アントラキノンスルホン酸などが挙げられる。
本発明の重合用酸化剤に含有される第2の溶質は、芳香族スルホン酸のアミン塩、4級アンモニウム塩及びアルミニウム塩からなる群から選ばれる少なくとも1種の芳香族スルホン酸塩である。第2の溶質の芳香族スルホン酸は、第1の溶質の芳香族スルホン酸と同じでもよいし、異なっていてもよい。しかし、第1の溶質と第2の溶質は同じ芳香族スルホン酸、特にp−トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、2−ナフタレンスルホン酸を使用することが好ましい。これは、同じ芳香族スルホン酸を使用することで、得られるポリ−3,4−エチレンジオキチオフェンの電導度の向上効果がより大きくなるためである。その理由は必ずしも明確でないが、芳香族スルホン酸が同じものである場合は、ドーパントとして、3,4−エチレンジオキシチオフェンのポリマーに取り込まれやすくなるためであると思われる。
また、上記芳香族スルホン酸の4級アンモニウム塩を構成する4級アンモニウムは、一般式、R1R2R3R4N+で表される。式中、R1、R2、R3、R4は、それぞれ独立して、炭素数1〜7、好ましくは1〜4の脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、又は芳香族炭化水素基である。R1、R2、R3、R4の2つ以上が一緒になって脂環若しくは芳香環などの環を形成していてもよい。
上記一般式、R1R2R3N、及び一般式、R1R2R3R4N+における、脂肪族炭化水素基は、直鎖状又は分岐状でもよく、また、不飽和結合を含有していてもよく、一部の水素が水酸基、アルコキシ基などで置換されていてもよい。また、脂環式炭化水素基は、好ましくは4〜6の環式が好ましく、また、芳香族炭化水素基は、フェニル基、ベンジル基、ナフタレン基、又はアントラセン基が好ましく、これらの脂環式炭化水素基及び芳香族炭化水素基の有する一部の水素が水酸基、アルコキシ基などで置換されていてもよい。
また、上記芳香族スルホン酸の4級アンモニウム塩を構成する4級アンモニウムである、R1R2R3R4N+の例としては、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、テトラプロピルアンモニウム、テトライソプロピルアンモニウム、テトラ−n−ブチルアンモニウム、トリエチルメチルアンモニウム、テトラアリルアンモニウム、シクロヘキシルトリメチルアンモニウム、フェニルトリメチルアンモニウム、ベンジルトリメチルアンモニウム、1−メチルピリジニウム、1,1−ジメチルピロリジニウム、1,1−ジメチルピペリジニウム、1,1−スピロビピロリジニウム、1,1−スピロビピペリジニウムなどが挙げられる。
本発明の重合用酸化剤における溶媒は、第1の溶質及び第2の溶質を溶解しうるものであれば特に制限されずに使用することができるが、低級アルコール、イオン交換水などの不純物を低減させた水、エチレングリコールなどの多価アルコールなどの使用が好ましい。
なかでも、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノールなどの炭素数が好ましくは1〜5、特に好ましくは2〜4のアルキルアルコールが好適である。特に、第1の溶質及び第2の溶質の溶解性や、重合用酸化剤としての扱いやすさなどから、エタノール若しくは1−ブタノールの使用が好ましい。これらのアルコールは、1種類のみでなく、数種類を混合して用いることもできる。
本発明の重合用酸化剤は、上記の溶媒中に上記第1の溶質及び第2の溶質を添加して溶解することにより好ましくは製造される。この場合、第1の溶質及び第2の溶質は、溶媒中に同時に添加してもよく、順次添加してもよい。また、別々に溶媒中に溶解した溶液を混合することもできる。溶解は、温度20〜80℃にて行い、必要に応じて減圧又は加圧状態でも実施できるが、40〜60℃、大気中で行うのが好ましい。また、攪拌機を使用し溶解を促進することができる。さらに、一旦低濃度の溶液を調製した後に、濃縮を行い所望の濃度の重合用酸化剤を製造することもできる。
また、本発明の重合用酸化剤は、上記第1の溶質及び第2の溶質を構成する成分である芳香族スルホン酸、及び第2鉄原料、アミンなどを溶媒中に添加し、溶媒中で上記第1の溶質及び第2の溶質を形成してもよい。
また、重合用酸化剤における、第2の溶質である、芳香族スルホン酸塩の含有量は、0.5〜40重量%であり、好ましくは1〜30重量%であり、特に好ましくは5〜20重量%である。第2の溶質の含有量が大きいと得られるポリ−3,4−エチレンジオキシチオフェンが少なくなり、逆に小さいと粘度の低減効果やポリ−3,4−エチレンジオキシチオフェンの電導度の向上効果が十分に得られないため好ましくない。
また、第1の溶質及び第2の溶質を含有する本発明の重合用酸化剤中の芳香族スルホン酸:第2鉄の比率(モル比)としては、好ましくは2.2:1〜5:1であり、より好ましくは2.5:1〜4:1であり、特に好ましくは2.7:1〜3.5:1である。上記の範囲に芳香族スルホン酸:第2鉄の比率を選択することにより、3,4−エチレンジオキシチオフェンの重合速度を好適にせしめることができるとともに、高い電導性の有する特性の優れたポリ−3,4−エチレンジオキシチオフェンを得ることができる。
本発明の重合用酸化剤を使用して3,4−エチレンジオキシチオフェンを重合し、導電性高分子を製造する方法は既知の手段が使用される。すなわち、第1の溶質及び第2の溶質を溶媒中に含有する本発明の重合用酸化剤と、モノマーである3,4−エチレンジオキシチオフェンとを混合することにより、ポリ−3,4−エチレンジオキシチオフェンを製造することができる。得られる混合物は、固体電解コンデンサを形成するコンデンサ素子に含浸せしめられる。
音叉型粘度計(エー・アンド・ディ社製、商品名:SV−10)を使用し、温度25℃にて大気中にて測定した。
振動型密度計(京都電子工業社製、商品名:DA−100)を使用し、温度25℃にて大気中にて測定した。
電導度計(三菱化学社製、商品名:MCP−T410)を使用し、4探針法にて温度25℃にて大気中にて測定した。
45gの1−ブタノ−ル中に、p−トルエンスルホン酸第2鉄(p−トルエンスルホン酸:第2鉄のモル比=2.8:1)15〜52.5gと、表1に示される第2の溶質2.5g〜40gとを合計で55gになるようにして室温(25℃)、大気中にて添加し、十分に攪拌して溶解することにより、表1に示される、第1の溶質であるp−トルエンスルホン酸第2鉄を15〜52.5%、第2の溶質を2.5〜40%、合計で溶質を55%含有する各種の3,4−エチレンジオキシチオフェン重合用酸化剤を製造した。また、得られた各種の重合用酸化剤の有する粘度及び密度も表1に示す。
実施例1において、p−トルエンスルホン酸第2鉄(p−トルエンスルホン酸:第2鉄のモル比=2.8:1)を55g添加し、第2の溶質を添加しなかった他は同様に実施して、3,4−エチレンジオキシチオフェン重合用酸化剤を製造した。得られた重合用酸化剤の有する粘度及び密度を表1に示す。
実施例1において、第2の溶質として、p−トルエンスルホン酸第2銅5gを使用した他は同様に実施して、3,4−エチレンジオキシチオフェン重合用酸化剤を製造した。得られた重合用酸化剤の有する粘度及び密度を表1に示す。
それぞれ、実施例1〜12及び比較例1、2で得られた各種の重合用酸化剤18.2gをシャーレに取り、マグネティックスターラーを用いて撹拌しながら、3,4−エチレンジオキシチオフェン1gをゆっくりと加え、温度25℃、大気圧下にて酸化重合を行った。
実施例1において、第1の溶質として、p−トルエンスルホン酸第2鉄(p−トルエンスルホン酸:第2鉄のモル比=3.0:1)30g(実施例25)又は32.5g(実施例26)又は、34g(実施例27)を使用し、第2の溶質として、p−トルエンスルホン酸ジエチルアミン5g(実施例25)又はp−トルエンスルホン酸アルミニウム2.5g(実施例26)又はベンゼンスルホン酸モノ−n−ブチルアミン1g(実施例27)を使用して、かつ、1−ブタノールの代わりに65gのエタノールを使用したほかは、実施例1と同様に実施することにより、溶質を合計で35%含有する3,4−エチレンジオキシチオフェン重合用酸化剤を製造した。得られた重合用酸化剤の有する粘度及び密度を表3に示す。
実施例25において、第1の溶質として、p−トルエンスルホン酸第2鉄(p−トルエンスルホン酸:第2鉄のモル比=3.0:1)を35g使用し、第2の溶質を添加しなかった他は同様に実施して重合用酸化剤を製造した。得られた重合用酸化剤の有する粘度及び密度は表3に示す。
実施例25において、p−トルエンスルホン酸第2鉄(p−トルエンスルホン酸:第2鉄のモル比=3.0:1)を32.5gに変更し、第2の溶質としてp−トルエンスルホン酸第2銅2.5gを使用した他は同様に実施して、3,4−エチレンジオキシチオフェン重合用酸化剤を製造した。得られた重合用酸化剤の有する粘度及び密度を表3に示す。
実施例25〜27及び比較例5、6のそれぞれの重合用酸化剤28.6gを使用したほかは、実施例1〜12の重合用酸化剤と同様にして、3,4−エチレンジオキシチオフェンの酸化重合を行った。それぞれで得られた実施例28〜30及び比較例7,8のポリ−3,4−エチレンジオキシチオフェンについて電気電導度の測定を行った結果を表4に示す。
実施例1において、第1の溶質として、p−トルエンスルホン酸第2鉄(p−トルエンスルホン酸:第2鉄のモル比=3.3:1)30g(実施例31)又は32.5g(実施例32)又は25g(実施例33)を使用し、第2の溶質として、p−トルエンスルホン酸トリメチルアミン5g(実施例31)、又はp−トルエンスルホン酸アルミニウム2.5g(実施例32)、又は2−ナフタレンスルホン酸1−メチルピリジニウム10g(実施例33)を使用して、かつ、1−ブタノールの代わりに65gのエタノールを使用したほかは、実施例1と同様に実施することにより、溶質を合計で35%含有する3,4−エチレンジオキシチオフェン重合用酸化剤を製造した。得られた重合用酸化剤の有する粘度及び密度は表5に示すとおりである。
実施例31において、第1の溶質としてp−トルエンスルホン酸第2鉄(p−トルエンスルホン酸:第2鉄のモル比=3.3:1)を35g使用し、第2の溶質を添加しなかった他は同様に実施して重合用酸化剤を製造した。得られた重合用酸化剤の有する粘度及び密度は表5に示す。
実施例31において、p−トルエンスルホン酸第2鉄(p−トルエンスルホン酸:第2鉄のモル比=3.3:1)を25gに変更し、第2の溶質としてp−トルエンスルホン酸ナトリウムを10gを使用した他は同様に実施して、3,4−エチレンジオキシチオフェン重合用酸化剤を製造した。得られた重合用酸化剤の有する粘度及び密度を表5に示す。
実施例31〜33及び比較例9、10のそれぞれの重合用酸化剤28.6gを使用したほかは、実施例1〜12の重合用酸化剤と同様にして、3,4−エチレンジオキシチオフェンの酸化重合を行った。それぞれで得られた実施例34〜36及び比較例11、12のポリ−3,4−エチレンジオキシチオフェンについて電気電導度の測定を行った結果を表6に示す。
実施例1において、第1の溶質として、p−トルエンスルホン酸第2鉄(p−トルエンスルホン酸:第2鉄のモル比=2.3:1)50g(実施例37、実施例39、及び実施例40)又は45g(実施例38)を使用し、第2の溶質として、p−トルエンスルホン酸ジイソプロピルアミン5g(実施例37)又はp−トルエンスルホン酸ピロリジン10g(実施例38)又はp−トルエンスルホン酸ピペリジン5g(実施例39)又はベンゼンスルホン酸アルミニウム5g(実施例40)を使用したほかは、実施例1と同様に実施することにより、溶質を合計で55%含有する3,4−エチレンジオキシチオフェン重合用酸化剤を製造した。得られた重合用酸化剤の有する粘度及び密度を表7に示す。
実施例37において、第1の溶質としてp−トルエンスルホン酸第2鉄(p−トルエンスルホン酸:第2鉄のモル比=2.3:1)を55g使用し、第2の溶質を添加しなかった他は同様に実施して重合用酸化剤を製造した。得られた重合用酸化剤の有する粘度及び密度は表7に示す。
実施例37において、p−トルエンスルホン酸第2鉄(p−トルエンスルホン酸:第2鉄のモル比=2.3:1)を54gに変更し、第2の溶質としてp−トルエンスルホン酸第2銅を1g使用した他は同様に実施して、3,4−エチレンジオキシチオフェン重合用酸化剤を製造した。得られた重合用酸化剤の有する粘度及び密度を表7に示す。
実施例37〜40及び比較例13、14のそれぞれの重合用酸化剤18.2gを使用したほかは、実施例1〜12の重合用酸化剤と同様にして、3,4−エチレンジオキシチオフェンの酸化重合を行った。それぞれで得られた実施例41〜44及び比較例15、16のポリ−3,4−エチレンジオキシチオフェンについて電気電導度の測定を行った結果を表8に示す。
実施例1において、第1の溶質として、ベンゼンスルホン酸第2鉄(ベンゼンスルホン酸:第2鉄のモル比=2.5:1)55g(実施例45)又は62.5g(実施例46)又は60g(実施例47)を使用し、第2の溶質として、ベンゼンスルホン酸モノ−n−ブチルアミン10g(実施例45)又はベンゼンスルホン酸アルミニウム2.5g(実施例46)又は2−ナフタレンスルホン酸1−メチルピリジニウム5g(実施例47)を使用し、かつ35gの1−ブタノールを使用したほかは、実施例1と同様に実施することにより、溶質を合計で65%含有する3,4−エチレンジオキシチオフェン重合用酸化剤を製造した。得られた重合用酸化剤の有する粘度及び密度を表9に示す。
実施例45において、第1の溶質として、ベンゼンスルホン酸第2鉄(ベンゼンスルホン酸:第2鉄のモル比=2.5:1)65gを使用し、第2の溶質を添加しなかった他は同様に実施して重合用酸化剤を製造した。得られた重合用酸化剤の有する粘度及び密度は表9に示す。
実施例45において、ベンゼンスルホン酸第2鉄(ベンゼンスルホン酸:第2鉄のモル比=2.5:1)を60gに変更し、第2の溶質としてベンゼンスルホン酸第2銅を5g使用した他は同様に実施して、3,4−エチレンジオキシチオフェン重合用酸化剤を製造した。得られた重合用酸化剤の有する粘度及び密度を表9に示す。
実施例45〜47及び比較例17、18のそれぞれの重合用酸化剤14.3gを使用したほかは、実施例1〜12の重合用酸化剤と同様にして、3,4−エチレンジオキシチオフェンの酸化重合を行った。それぞれで得られた実施例48〜50及び比較例19、20のポリ−3,4−エチレンジオキシチオフェンについて電気電導度の測定を行った結果を表10に示す。
実施例1において、第1の溶質として、2−ナフタレンスルホン酸第2鉄(2−ナフタレンスルホン酸:第2鉄のモル比=2.8:1)40g(実施例51)又は35g(実施例52)又は42.5g(実施例53)を使用し、第2の溶質として、2−ナフタレンスルホン酸1−メチルピリジニウム5g(実施例51)又は2−ナフタレンスルホン酸アルミニウム10g(実施例52)、又はベンゼンスルホン酸アルミニウム2.5g(実施例53)を使用し、かつ55gの1−ブタノールを使用したほかは、実施例1と同様に実施することにより、溶質を合計で45%含有する3,4−エチレンジオキシチオフェン重合用酸化剤を製造した。得られた重合用酸化剤の有する粘度及び密度を表11に示す。
実施例51において、第1の溶質として、2−ナフタレンスルホン酸第2鉄(2−ナフタレンスルホン酸:第2鉄のモル比=2.8:1)45gを使用し、第2の溶質を添加しなかった他は同様に実施して重合用酸化剤を製造した。得られた重合用酸化剤の有する粘度及び密度は表11に示す。
実施例51において、2−ナフタレンスルホン酸第2鉄(2−ナフタレンスルホン酸:第2鉄のモル比=2.8:1)を44gに変更し、第2の溶質として2−ナフタレンスルホン酸ナトリウムを1g使用した他は同様に実施して、3,4−エチレンジオキシチオフェン重合用酸化剤を製造した。得られた重合用酸化剤の有する粘度及び密度を表11に示す。
実施例51〜53及び比較例21、22のそれぞれの重合用酸化剤26.5gを使用したほかは、実施例1〜12の重合用酸化剤と同様にして、3,4−エチレンジオキシチオフェンの酸化重合を行った。それぞれで得られた実施例54〜56及び比較例23、24のポリ−3,4−エチレンジオキシチオフェンについて電気電導度の測定を行った結果を表12に示す。
実施例1において、第1の溶質として、p−トルエンスルホン酸第2鉄(p−トルエンスルホン酸:第2鉄のモル比=3.0:1)25g(実施例57)又は29.5g(実施例58)又は20g(実施例59)を使用し、第2の溶質として、p−トルエンスルホン酸エチルメチルアミン5g(実施例57)又はトリエチルメチルアンモニウム0.5g(実施例58)又は2−ナフタレンスルホン酸アルミニウム10g(実施例59)を使用し、かつ70gのイオン交換水を使用したほかは、実施例1と同様に実施することにより、溶質を合計で30%含有する3,4−エチレンジオキシチオフェン重合用酸化剤を製造した。得られた重合用酸化剤の有する粘度及び密度を表13に示す。
実施例57において、第1の溶質として、p−トルンスルホン酸第2鉄(p−トルエンスルホン酸:第2鉄のモル比=3.0:1)30gを使用し、第2の溶質を添加しなかった他は同様に実施して重合用酸化剤を製造した。得られた重合用酸化剤の有する粘度及び密度は表13に示す。
実施例57において、第2の溶質としてベンゼンスルホン酸第2銅を5g使用した他は同様に実施して、3,4−エチレンジオキシチオフェン重合用酸化剤を製造した。得られた重合用酸化剤の有する粘度及び密度を表13に示す。
実施例57〜59及び比較例25、26のそれぞれの重合用酸化剤33.4gを使用したほかは、実施例1〜12の重合用酸化剤と同様にして、3,4−エチレンジオキシチオフェンの酸化重合を行った。それぞれで得られた実施例60〜62及び比較例27,28のポリ−3,4−エチレンジオキシチオフェンについて電気電導度の測定を行った結果を表14に示す。
Claims (9)
- 3,4−エチレンジオキシチオフェンの重合用酸化剤であって、芳香族スルホン酸の第2鉄塩からなる第1の溶質と、芳香族スルホン酸のアミン塩、4級アンモニウム塩、及びアルミニウム塩からなる群から選ばれる少なくとも1種からなる第2の溶質とを、第1の溶質が15〜65重量%であり、かつ第2の溶質が0.5〜40重量%であるように溶媒中に含有することを特徴とする重合用酸化剤。
- 重合用酸化剤中に含有される、第1の溶質:第2の溶質の比率(重量比)が、2:1〜20:1である請求項1に記載の重合用酸化剤。
- 重合用酸化剤中に含有される、芳香族スルホン酸:第2鉄の比率(モル比)が、2.2:1〜5:1である請求項1又は2に記載の重合用酸化剤。
- 芳香族スルホン酸のアミン塩を構成するアミンが、一般式、R1R2R3N(但し、R1、R2、R3は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜7の脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、又は芳香族炭化水素基であり、R1、R2、R3の2つ以上が一緒になって環を形成していてもよい。)で表される、1級アミン、2級アミン、又は3級アミンである請求項1〜3のいずれかに記載の重合用酸化剤。
- 芳香族スルホン酸の4級アンモニウム塩を構成する4級アンモニウムが、一般式、R1R2R3R4N+(但し、R1、R2、R3、R4は、それぞれ独立して、炭素数1〜7の脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、又は芳香族炭化水素基であり、R1、R2、R3、R4の2つ以上が一緒になって環を形成していてもよい。)で表される請求項1〜3のいずれかに記載の重合用酸化剤。
- 溶媒が、炭素数1〜5のアルキルアルコールである請求項1〜5のいずれかに記載の重合用酸化剤。
- 第1の溶質を構成する芳香族スルホン酸と、第2の溶質を構成する芳香族スルホン酸とが、同じ芳香族スルホン酸である請求項1〜6のいずれかに記載の重合用酸化剤。
- 第1の溶質及び第2の溶質を構成する芳香族スルホン酸が、いずれもp−トルエンスルホン酸である請求項1〜7のいずれかに記載の重合用酸化剤。
- 請求項1〜8のいずれかに記載の重合用酸化剤を用いて重合されたポリ−3,4−エチレンジオキシチオフェン。
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