JP5324866B2 - 3,4−エチレンジオキシチオフェンの重合用酸化剤 - Google Patents

3,4−エチレンジオキシチオフェンの重合用酸化剤 Download PDF

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Description

本発明は、3,4−エチレンジオキシチオフェンを化学酸化重合する際に使用される新規な重合用酸化剤に関する。
導電性高分子は、一般的に単結合と二重結合が交互に繰り返された構造(共役系)を基本骨格として持ち、その繰り返し単位の種類によって、脂肪族共役系、芳香族共役系、複素環式共役系、含ヘテロ原子共役系、混合型共役系などの種類に分けられる。
これらのうち、複素環式共役系導電性高分子は、導電性が高く、安定性も高いなどの特徴を有しており、電子部品用途や帯電防止用途など、種々の分野で使用され、また用途開発が行われている。
複素環式共役系導電性高分子が実用化されている具体例としては、固体電解コンデンサの陰極としての使用が挙げられる。複素環式共役系導電性高分子は、これまで用いられてきた二酸化マンガンよりも導電性が高く、TCNQ錯塩よりも耐熱性に優れるという特性があり、固体電解コンデンサの特性向上に大きく貢献している。
複素環式共役系導電性高分子のなかでも、ポリ−3,4−エチレンジオキシチオフェン(PEDT)は電導度、耐熱性共に優れていており広く使用されている。
このポリ−3,4−エチレンジオキシチオフェンを得る方法としては、3,4−エチレンジオキシチオフェン(モノマー、EDT)を塩化第2鉄や過硫酸アンモニウムなどを含む酸化剤を用いて化学酸化重合する方法が特許文献1に報告されている。なかでも、p−トルエンスルホン酸第2鉄のアルコール溶液が良好な特性を示す酸化剤として使用されている。
上記p−トルエンスルホン酸第2鉄溶液を重合用酸化剤として使用する場合、製造される導電性高分子である、ポリ−3,4−エチレンジオキシチオフェンの特性は、重合用酸化剤の特性により大きく影響を受けるために、従来から幾つかのものが検討され、提案されている。
例えば、特許文献2では、p−トルエンスルホン酸第2鉄における、p−トルエンスルホン酸と第2鉄との含有比率を酸過剰にした酸化剤が提案され、また、特許文献3では、逆に、p−トルエンスルホン酸第2鉄における、p−トルエンスルホン酸と第2鉄の含有比率を第2鉄過剰にした酸化剤が提案されている。
また、特許文献4では、芳香族ジカルボン酸若しくはその塩を添加した重合用酸化剤が提案され、特許文献5では、有機スルホン酸の1種と、該有機スルホン酸とは酸性度が異なる有機スルホン酸や硫酸などとからなる2種類の酸の遷移金属塩からなる酸化剤が提案され、更に、特許文献6では、溶質濃度を44重量%以上とした酸化剤が提案されている。
更に、特許文献7では、目的とする導電性高分子がポリピロールの場合、高い導電性と優れた耐熱性を示すポリピロールを得るための酸化剤として、芳香族スルホン酸第2鉄と芳香族スルホン酸第2銅からなる酸化剤が提案されている。
特許第2721700号公報 特開平11−97296号公報 特開2002−138137号公報 特開2008−34440号公報 特開2002−138136号公報 特許第3978544号公報 特開2003−147055号公報
近年の電子機器の高速化・高性能化に伴い、固体電解コンデンサの等価直列抵抗(ESR)も低減が求められており、固体電解コンデンサの陰極として使用されるポリ−3,4−エチレンジオキシチオフェンに対しても、さらなる高電導度化が要求されている。しかし、従来提案されている酸化剤を用いて重合されたポリ−3,4−エチレンジオキシチオフェンは、その要求を十分に満足するものではなかった。
また、高電導度のポリ−3,4−エチレンジオキシチオフェンを得る1つの手段として、酸化剤中の溶質の含有量を高くし、高濃度化することが挙げられるが、酸化剤中の溶質の含有量を単に高くすると酸化剤の粘度が上昇する。この粘度上昇のために、酸化剤とモノマーである3,4−エチレンジオキシチオフェンとの均一混合が難しくなったり、また、得られるモノマーと酸化剤との混合物をコンデンサ素子の内部まで十分に含浸できなかったりするため、コンデンサ内にポリ−3,4−エチレンジオキシチオフェンが十分かつ均一に形成されないという問題点もあった。
本発明の目的は、固体電解コンデンサにおける等価直列抵抗(ESR)の低減をもたらす高電導度のポリ−3,4−エチレンジオキシチオフェンを製造でき、かつコンデンサ素子への含浸性を向上させる、粘度の小さい3,4−エチレンジオキシチオフェンの重合用酸化剤を提供することにある。
本発明者らは、上記の目的を達成するために鋭意研究を進めたところ、3,4−エチレンジオキシチオフェンの重合用酸化剤において、それぞれ、第1の溶質として芳香族スルホン酸の第2鉄塩を選択し、かつ第2の溶質として、芳香族スルホン酸のアミン塩、4級アンモニウム塩又はアルミニウム塩の特定の塩を選択し、これらの溶質を溶媒中に含有させて得られる重合用酸化剤は、これを用いて得られるポリ−3,4−エチレンジオキシチオフェンの電導度が顕著に向上するとともに、その酸化剤の粘度は、第1の溶質のみからなる、同じ含有量の酸化剤と比較して、顕著に減少させることが可能である現象を見出した。
かかる現象は、上記第1の溶質と第2の溶質との組合わせに特有のものであり、第1の溶質のみの場合には、溶媒中に含まれる溶質の含有量(濃度)の増大につれて粘度が上昇するが、上記第1の溶質に対して第2の溶質を加えて溶質の含有量を増大した場合には、粘度は上昇せず逆に顕著に減少するものであり、予想外のものである。この知見によれば、溶質が高含有量であるにも拘わらず、低粘度の重合用酸化剤が得られることから、含浸性に優れた3,4−エチレンジオキシチオフェンの重合用酸化剤が得られ、コンデンサ素子への均一、かつ十分な含浸が可能になり、かつ得られるポリ−3,4−エチレンジオキシチオフェンが高電導度を有する結果、特性の優れたポリ−3,4−エチレンジオキシチオフェンを含む固体電解コンデンサの製造を可能にするものである。
なお、本発明者らの知見によれば、特許文献7で提案されている芳香族スルホン酸第2鉄と芳香族スルホン酸第2銅からなる、ポリピロールの重合用酸化剤をポリ−3,4−エチレンジオキシチオフェンの重合用酸化剤として用いた場合には、後記する比較例から明らかにされるように、得られるポリ−3,4−エチレンジオキシチオフェンの電導度は、上昇するどころか逆に低下するという現象が確認されており、対象とする導電性ポリマーによって重合用酸化剤の挙動が異なるものである。
本発明は、上記の新規な知見に基づくものであり、下記の要旨を有する。
(1)3,4−エチレンジオキシチオフェンの重合用酸化剤であって、芳香族スルホン酸の第2鉄塩からなる第1の溶質と、芳香族スルホン酸のアミン塩、4級アンモニウム塩及びアルミニウム塩からなる群から選ばれる少なくとも1種からなる第2の溶質とを、第1の溶質が15〜65重量%であり、かつ第2の溶質が0.5〜40重量%であるように溶媒中に含有することを特徴とする重合用酸化剤。
)重合用酸化剤中に含有される、第1の溶質:第2の溶質の比率(重量比)が、2:1〜20:1である上記(1)に記載の重合用酸化剤。
)重合用酸化剤中に含有される、芳香族スルホン酸:第2鉄の比率(モル比)が、2.2:1〜5:1である上記(1)又は(2)に記載の重合用酸化剤。
)芳香族スルホン酸のアミン塩を構成するアミンが、一般式、RN(但し、R、R、Rは、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜7の脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、又は芳香族炭化水素基であり、R、R、Rの2つ以上が一緒になって環を形成していてもよい。)で表される、1級アミン、2級アミン、又は3級アミンである上記(1)〜()のいずれかに記載の重合用酸化剤。
)芳香族スルホン酸の4級アンモニウム塩を構成する4級アンモニウムが、一般式、R(但し、R、R、R、Rは、それぞれ独立して、炭素数1〜7の脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、又は芳香族炭化水素基であり、R、R、R、Rの2つ以上が一緒になって環を形成していてもよい。)で表される上記(1)〜()のいずれかに記載の重合用酸化剤。
)溶媒が、炭素数1〜5のアルキルアルコールである上記(1)〜()のいずれかに記載の重合用酸化剤。
)第1の溶質を構成する芳香族スルホン酸と、第2の溶質を構成する芳香族スルホン酸とが、同じ芳香族スルホン酸である上記(1)〜()のいずれかに記載の重合用酸化剤。
)第1の溶質及び第2の溶質を構成する芳香族スルホン酸が、いずれもp−トルエンスルホン酸である上記(1)〜()のいずれかに記載の重合用酸化剤。
)上記(1)〜()のいずれかに記載の重合用酸化剤を用いて重合されたポリ−3,4−エチレンジオキシチオフェン。
本発明の重合用酸化剤によれば、高電導度で特性の優れたポリ−3,4−エチレンジオキシチオフェンが得られ、このポリマーをコンデンサの固体電解質として使用することにより、コンデンサのESRを十分に低減させることが可能となる。これは、本発明の重合用酸化剤には、3,4−エチレンジオキシチオフェンモノマーを重合する酸化剤として機能する第2鉄が、第1の溶質のみに含まれるのに対し、ドーパントとして機能する芳香族スルホン酸は、第1の溶質と第2の溶質の両方に含まれていることから、第1の溶質のみからなる酸化剤に比べて、第2鉄に対する芳香族スルホン酸の比率が高くなり、その結果、より多くの芳香族スルホン酸がポリ−3,4−エチレンジオキシチオフェンの分子鎖内に取り込まれることで、発現するものと思われる。
なお、芳香族スルホン酸の含有量を増大させるために、本発明の重合用酸化剤における第2の溶質である芳香族スルホン酸の特定の塩の代りに、芳香族スルホン酸を遊離酸として含有させた場合は、3,4−エチレンジオキシチオフェンモノマーの重合速度が増大し、モノマーと重合用酸化剤との混合物のコンデンサ素子内部への含浸性が悪化してしまうという現象が見られるが、本発明の重合用酸化剤にはこのような問題は無い。
更に、本発明の重合用酸化剤は、第2の溶質を含有しない第1の溶質の芳香族スルホン酸第2鉄のみからなる溶質の含有量(濃度)が同じ重合用酸化剤と比較して、後記する実施例から実証されるように、粘度が顕著に低く、3,4−エチレンジオキシチオフェンと混和しやすいことから、高電導度で特性が優れ、かつ特性のバラつきの小さいポリ−3,4−エチレンジオキシチオフェンが得られる。
加えて、コンデンサ素子に均一に含浸しやすく、また、コンデンサ素子のより内部まで3,4−エチレンジオキシチオフェンモノマーと酸化剤の混合物が含浸してポリマーを形成することとなる。この優れた含浸性によって、均一でかつ十分な量のポリマーをコンデンサの素子内部に素早く形成できるためコンデンサを製造する際の不良率や含浸に要する時間の低減も可能になり、より効率的にコンデンサを製造することもできる。
(第1の溶質)
本発明において、3,4−エチレンジオキシチオフェンの重合用酸化剤に含有される第1の溶質である、芳香族スルホン酸第2鉄を構成する芳香族スルホン酸の例としては、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、エチルベンゼンスルホン酸、キシレンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、アントラキノンスルホン酸などが挙げられる。
芳香族スルホン酸の有するスルホン酸基の数や位置は本発明の目的を阻害しない限り限定されない。また、置換基を有していてもよく、その種類、数や位置も限定されない。芳香族スルホン酸は、単独でも、複数種を混合して使用してもよい。上記のうち、好ましいものとしてトルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、2−ナフタレンスルホン酸、特に好ましいものとしてはp−トルエンスルホン酸が挙げられる。
本発明で用いられる芳香族スルホン酸第2鉄における第2鉄と芳香族スルホン酸の比率としては、鉄過剰(第2鉄1モルに対して芳香族スルホン酸が3モルより少ない)でも、正塩(第2鉄1モルに対して芳香族スルホン酸が3モル)でも、酸過剰(第2鉄1モルに対して芳香族スルホン酸が3モルより多い)でもよい。後記される実施例に示されるようにいずれの場合にも有用な顕著な効果が得られる。
本発明で用いられる上記の芳香族スルホン酸第2鉄は、好ましくは芳香族スルホン酸と水酸化第2鉄とを反応させるなどの既知の方法で製造されるが、市販のものを使用することもできる。芳香族スルホン酸第2鉄は、高純度のものが好ましく、例えば、第1鉄の含有量は、好ましくは0.1重量%以下、特に好ましくは0.05重量%以下であり、硝酸根や硫酸根は、好ましくは0.2重量%以下、特に好ましくは0.1重量%以下が好適である。
(第2の溶質)
本発明の重合用酸化剤に含有される第2の溶質は、芳香族スルホン酸のアミン塩、4級アンモニウム塩及びアルミニウム塩からなる群から選ばれる少なくとも1種の芳香族スルホン酸塩である。第2の溶質の芳香族スルホン酸は、第1の溶質の芳香族スルホン酸と同じでもよいし、異なっていてもよい。しかし、第1の溶質と第2の溶質は同じ芳香族スルホン酸、特にp−トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、2−ナフタレンスルホン酸を使用することが好ましい。これは、同じ芳香族スルホン酸を使用することで、得られるポリ−3,4−エチレンジオキチオフェンの電導度の向上効果がより大きくなるためである。その理由は必ずしも明確でないが、芳香族スルホン酸が同じものである場合は、ドーパントとして、3,4−エチレンジオキシチオフェンのポリマーに取り込まれやすくなるためであると思われる。
上記芳香族スルホン酸のアミン塩を構成するアミンは、一般式、RNで表される、1級アミン、2級アミン、又は3級アミンである。式中、R、R、Rは、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜7、好ましくは1〜4の脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、又は芳香族炭化水素基である。R、R、Rの2つ以上が一緒になって脂環若しくは芳香環などの環を形成していてもよい。
また、上記芳香族スルホン酸の4級アンモニウム塩を構成する4級アンモニウムは、一般式、Rで表される。式中、R、R、R、Rは、それぞれ独立して、炭素数1〜7、好ましくは1〜4の脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、又は芳香族炭化水素基である。R、R、R、Rの2つ以上が一緒になって脂環若しくは芳香環などの環を形成していてもよい。
上記一般式、RN、及び一般式、Rにおける、脂肪族炭化水素基は、直鎖状又は分岐状でもよく、また、不飽和結合を含有していてもよく、一部の水素が水酸基、アルコキシ基などで置換されていてもよい。また、脂環式炭化水素基は、好ましくは4〜6の環式が好ましく、また、芳香族炭化水素基は、フェニル基、ベンジル基、ナフタレン基、又はアントラセン基が好ましく、これらの脂環式炭化水素基及び芳香族炭化水素基の有する一部の水素が水酸基、アルコキシ基などで置換されていてもよい。
上記芳香族スルホン酸のアミン塩を構成するアミンである、RNの例としては、モノメチルアミン、モノエチルアミン、モノプロピルアミン、モノイソプロピルアミン、モノ−n−ブチルアミン、s−ブチルアミン、t−ブチルアミン、イソブチルアミン、モノアミルアミン、モノヘキシルアミン、モノヘプチルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ジ−n−ブチルアミン、ジイソブチルアミン、エチルメチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、ジエチルメチルアミン、エチルジメチルアミン、アリルアミン、ジアリルアミン、トリアリルアミン、シクロプロピルアミン、シクロブチルアミン、シクロペンチルアミン、シクロヘキシルアミン、アニリン、メチルアニリン、エチルアニリン、o−トルイジン、m−トルイジン、p−トルイジン、ベンジルアミン、ピリジン、ピロリジン、ピペリジンなどが挙げられる
また、上記芳香族スルホン酸の4級アンモニウム塩を構成する4級アンモニウムである、Rの例としては、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、テトラプロピルアンモニウム、テトライソプロピルアンモニウム、テトラ−n−ブチルアンモニウム、トリエチルメチルアンモニウム、テトラアリルアンモニウム、シクロヘキシルトリメチルアンモニウム、フェニルトリメチルアンモニウム、ベンジルトリメチルアンモニウム、1−メチルピリジニウム、1,1−ジメチルピロリジニウム、1,1−ジメチルピペリジニウム、1,1−スピロビピロリジニウム、1,1−スピロビピペリジニウムなどが挙げられる。
なかでも、芳香族スルホン酸アミン又は4級アンモニウムの好ましい例としては、p−トルエンスルホン酸モノメチルアミン、p−トルエンスルホン酸ジメチルアミン、p−トルエンスルホン酸トリメチルアミン、p−トルエンスルホン酸テトラメチルアンモニウム、p−トルエンスルホン酸モノエチルアミン、p−トルエンスルホン酸ジエチルアミン、p−トルエンスルホン酸トリエチルアミン、p−トルエンスルホン酸テトラエチルアンモニウム、p−トルエンスルホン酸トリエチルメチルアンモニウム、p−トルエンスルホン酸ピロリジン、p−トルエンスルホン酸ピペリジンが挙げられる。
本発明の第2の溶質としては、上記の芳香族スルホン酸のアミン塩、又は4級アンモニウム塩の他にアルミニウム塩を使用することができる。なお、本発明において、第2の溶質として、芳香族スルホン酸の銅塩、ナトリウム塩、カルシウム塩、カリウム塩などの金属塩を使用した場合、得られるポリ−3,4−エチレンジオキシチオフェンの電導度は、本発明の第2の溶質を使用しない場合よりもかえって低下したり、効果が十分でなかったりするため、本発明の目的を達成することができない。また、固体電解コンデンサのうちアルミニウム箔を用いる素子の場合、上記のような金属塩が酸化剤中に含まれていると、コンデンサ素子に3,4−エチレンジオキシチオフェンモノマーと酸化剤の混合物を含浸する際に、アルミニウム箔を腐食し、素子に損傷を与えることなどから、結果として特性の良いコンデンサを得ることが困難である。
(溶媒)
本発明の重合用酸化剤における溶媒は、第1の溶質及び第2の溶質を溶解しうるものであれば特に制限されずに使用することができるが、低級アルコール、イオン交換水などの不純物を低減させた水、エチレングリコールなどの多価アルコールなどの使用が好ましい。
なかでも、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノールなどの炭素数が好ましくは1〜5、特に好ましくは2〜4のアルキルアルコールが好適である。特に、第1の溶質及び第2の溶質の溶解性や、重合用酸化剤としての扱いやすさなどから、エタノール若しくは1−ブタノールの使用が好ましい。これらのアルコールは、1種類のみでなく、数種類を混合して用いることもできる。
(重合用酸化剤)
本発明の重合用酸化剤は、上記の溶媒中に上記第1の溶質及び第2の溶質を添加して溶解することにより好ましくは製造される。この場合、第1の溶質及び第2の溶質は、溶媒中に同時に添加してもよく、順次添加してもよい。また、別々に溶媒中に溶解した溶液を混合することもできる。溶解は、温度20〜80℃にて行い、必要に応じて減圧又は加圧状態でも実施できるが、40〜60℃、大気中で行うのが好ましい。また、攪拌機を使用し溶解を促進することができる。さらに、一旦低濃度の溶液を調製した後に、濃縮を行い所望の濃度の重合用酸化剤を製造することもできる。
また、本発明の重合用酸化剤は、上記第1の溶質及び第2の溶質を構成する成分である芳香族スルホン酸、及び第2鉄原料、アミンなどを溶媒中に添加し、溶媒中で上記第1の溶質及び第2の溶質を形成してもよい。
重合用酸化剤における、第1の溶質である、芳香族スルホン酸第2鉄の含有量は、15〜65重量%であり、好ましくは20〜65重量%であり、より好ましくは25〜60重量%であり、特に好ましくは30〜50重量%である。第1の溶質の含有量が大きいと、芳香族スルホン酸第2鉄の結晶が析出しやすいため重合用酸化剤として使いにくくなり、逆に小さいと得られるポリ−3,4−エチレンジオキシチオフェンが少なくなってしまうため好ましくない。
また、重合用酸化剤における、第2の溶質である、芳香族スルホン酸塩の含有量は、0.5〜40重量%であり、好ましくは1〜30重量%であり、特に好ましくは5〜20重量%である。第2の溶質の含有量が大きいと得られるポリ−3,4−エチレンジオキシチオフェンが少なくなり、逆に小さいと粘度の低減効果やポリ−3,4−エチレンジオキシチオフェンの電導度の向上効果が十分に得られないため好ましくない。

また、重合用酸化剤中における、上記第1の溶質と第2の溶質の含有量の比率は目的に応じて広範囲に選択しうるが、酸化剤として機能する第2鉄を好適な範囲内で多く含んでいるほうが、より多くのポリ−3,4−エチレンジオキシチオフェンが得られ、電導度も高くなることから、第1の溶質が第2の溶質よりも多い方が好ましい。そして、第1の溶質:第2の溶質の含有比率(重量比)としては、好ましくは2:1〜20:1であり、より好ましくは5:1〜20:1であり、特に好ましくは10:1〜20:1が好適である。
また、第1の溶質及び第2の溶質を含有する本発明の重合用酸化剤中の芳香族スルホン酸:第2鉄の比率(モル比)としては、好ましくは2.2:1〜5:1であり、より好ましくは2.5:1〜4:1であり、特に好ましくは2.7:1〜3.5:1である。上記の範囲に芳香族スルホン酸:第2鉄の比率を選択することにより、3,4−エチレンジオキシチオフェンの重合速度を好適にせしめることができるとともに、高い電導性の有する特性の優れたポリ−3,4−エチレンジオキシチオフェンを得ることができる。
(ポリ−3,4−エチレンジオキシチオフェンの製造)
本発明の重合用酸化剤を使用して3,4−エチレンジオキシチオフェンを重合し、導電性高分子を製造する方法は既知の手段が使用される。すなわち、第1の溶質及び第2の溶質を溶媒中に含有する本発明の重合用酸化剤と、モノマーである3,4−エチレンジオキシチオフェンとを混合することにより、ポリ−3,4−エチレンジオキシチオフェンを製造することができる。得られる混合物は、固体電解コンデンサを形成するコンデンサ素子に含浸せしめられる。
上記のように、本発明の重合用酸化剤は、溶媒中に高濃度の溶質が含有されるにも拘わらず、粘度が小さいためにコンデンサ素子に良好にかつ均一に含浸される。含浸後に所定時間重合させ、ポリ−3,4−エチレンジオキシチオフェンの重合を完了させる。この際に、加熱や減圧をすることにより重合時間を短縮することもできる。また、必要であれば重合完了後に、洗浄・乾燥を行うこともできる。
本発明の重合用酸化剤中に高濃度で含有される芳香族スルホン酸成分は、製造されたポリ−3,4−エチレンジオキシチオフェンのマトリックス中にドーパントとして高濃度に含有されるため、本発明の重合用酸化剤を使用して得られるポリ−3,4−エチレンジオキシチオフェンは、電導度が高く優れた特性を有する。
以下に、本発明について実施例を用いて、さらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定して解釈されないことはもちろんである。以下、パーセントは特に断りのない限り、重量%を意味する。なお、以下の実施例(比較例)における3,4−エチレンジオキシチオフェン重合用酸化剤の粘度、密度、及び得られるポリ−3,4−エチレンジオキシチオフェンの電導度の測定法は以下のとおりである。
1.粘度(mPa・s)
音叉型粘度計(エー・アンド・ディ社製、商品名:SV−10)を使用し、温度25℃にて大気中にて測定した。
2.密度(g/cm
振動型密度計(京都電子工業社製、商品名:DA−100)を使用し、温度25℃にて大気中にて測定した。
3.電導度
電導度計(三菱化学社製、商品名:MCP−T410)を使用し、4探針法にて温度25℃にて大気中にて測定した。
実施例1〜12
45gの1−ブタノ−ル中に、p−トルエンスルホン酸第2鉄(p−トルエンスルホン酸:第2鉄のモル比=2.8:1)15〜52.5gと、表1に示される第2の溶質2.5g〜40gとを合計で55gになるようにして室温(25℃)、大気中にて添加し、十分に攪拌して溶解することにより、表1に示される、第1の溶質であるp−トルエンスルホン酸第2鉄を15〜52.5%、第2の溶質を2.5〜40%、合計で溶質を55%含有する各種の3,4−エチレンジオキシチオフェン重合用酸化剤を製造した。また、得られた各種の重合用酸化剤の有する粘度及び密度も表1に示す。
比較例1
実施例1において、p−トルエンスルホン酸第2鉄(p−トルエンスルホン酸:第2鉄のモル比=2.8:1)を55g添加し、第2の溶質を添加しなかった他は同様に実施して、3,4−エチレンジオキシチオフェン重合用酸化剤を製造した。得られた重合用酸化剤の有する粘度及び密度を表1に示す。
比較例2
実施例1において、第2の溶質として、p−トルエンスルホン酸第2銅5gを使用した他は同様に実施して、3,4−エチレンジオキシチオフェン重合用酸化剤を製造した。得られた重合用酸化剤の有する粘度及び密度を表1に示す。
Figure 0005324866
表1に示すように、実施例1〜12の重合用酸化剤は、溶質の含有量が変わらず、密度もほとんど同じにもかかわらず、粘度を顕著に低減することが可能となる。
実施例13〜24及び比較例3、4
それぞれ、実施例1〜12及び比較例1、2で得られた各種の重合用酸化剤18.2gをシャーレに取り、マグネティックスターラーを用いて撹拌しながら、3,4−エチレンジオキシチオフェン1gをゆっくりと加え、温度25℃、大気圧下にて酸化重合を行った。
重合完了後、使用されなかった酸化剤や未反応の3,4−エチレンジオキシチオフェンを除去するために、メタノールを用いて洗浄を行った後、温度25℃、圧力3mmHgにて真空乾燥を行った。乾燥後のポリ−3,4−エチレンジオキシチオフェンを、圧縮成型器を用いてディスク状に成型した後、電気電導度の測定を行った。測定された実施例13〜24及び比較例3、4のポリ−3,4−エチレンジオキシチオフェンの電気電導度を下記の表2に示す。
Figure 0005324866
表2に示すように、実施例1〜12の重合用酸化剤を用いた場合に得られる、ポリ−3,4−エチレンジオキシチオフェンは、比較例1に比べて高い電導度を有することから、コンデンサとしての特性も向上させることが可能となる。比較例2の重合用酸化剤は粘度の低減は可能であったが、ポリマーの電導度は減少した。
実施例25〜27
実施例1において、第1の溶質として、p−トルエンスルホン酸第2鉄(p−トルエンスルホン酸:第2鉄のモル比=3.0:1)30g(実施例25)又は32.5g(実施例26)又は、34g(実施例27)を使用し、第2の溶質として、p−トルエンスルホン酸ジエチルアミン5g(実施例25)又はp−トルエンスルホン酸アルミニウム2.5g(実施例26)又はベンゼンスルホン酸モノ−n−ブチルアミン1g(実施例27)を使用して、かつ、1−ブタノールの代わりに65gのエタノールを使用したほかは、実施例1と同様に実施することにより、溶質を合計で35%含有する3,4−エチレンジオキシチオフェン重合用酸化剤を製造した。得られた重合用酸化剤の有する粘度及び密度を表3に示す。
比較例5
実施例25において、第1の溶質として、p−トルエンスルホン酸第2鉄(p−トルエンスルホン酸:第2鉄のモル比=3.0:1)を35g使用し、第2の溶質を添加しなかった他は同様に実施して重合用酸化剤を製造した。得られた重合用酸化剤の有する粘度及び密度は表3に示す。
比較例6
実施例25において、p−トルエンスルホン酸第2鉄(p−トルエンスルホン酸:第2鉄のモル比=3.0:1)を32.5gに変更し、第2の溶質としてp−トルエンスルホン酸第2銅2.5gを使用した他は同様に実施して、3,4−エチレンジオキシチオフェン重合用酸化剤を製造した。得られた重合用酸化剤の有する粘度及び密度を表3に示す。
Figure 0005324866
表3に示すように、実施例25〜27の重合用酸化剤は、溶質の含有量が変わらず、密度もほとんど同じにもかかわらず、粘度を低減することが可能となる。
実施例28〜30及び比較例7、8
実施例25〜27及び比較例5、6のそれぞれの重合用酸化剤28.6gを使用したほかは、実施例1〜12の重合用酸化剤と同様にして、3,4−エチレンジオキシチオフェンの酸化重合を行った。それぞれで得られた実施例28〜30及び比較例7,8のポリ−3,4−エチレンジオキシチオフェンについて電気電導度の測定を行った結果を表4に示す。
Figure 0005324866
表4に示すように、実施例25〜27の重合用酸化剤を使用することで、得られるポリ−3,4−エチレンジオキシチオフェンの電導度が向上することから、コンデンサとしての特性も向上させることが可能となる。比較例6の重合用酸化剤は粘度の低減は可能であったが、ポリマーの電導度は減少した。
実施例31〜33
実施例1において、第1の溶質として、p−トルエンスルホン酸第2鉄(p−トルエンスルホン酸:第2鉄のモル比=3.3:1)30g(実施例31)又は32.5g(実施例32)又は25g(実施例33)を使用し、第2の溶質として、p−トルエンスルホン酸トリメチルアミン5g(実施例31)、又はp−トルエンスルホン酸アルミニウム2.5g(実施例32)、又は2−ナフタレンスルホン酸1−メチルピリジニウム10g(実施例33)を使用して、かつ、1−ブタノールの代わりに65gのエタノールを使用したほかは、実施例1と同様に実施することにより、溶質を合計で35%含有する3,4−エチレンジオキシチオフェン重合用酸化剤を製造した。得られた重合用酸化剤の有する粘度及び密度は表5に示すとおりである。
比較例9
実施例31において、第1の溶質としてp−トルエンスルホン酸第2鉄(p−トルエンスルホン酸:第2鉄のモル比=3.3:1)を35g使用し、第2の溶質を添加しなかった他は同様に実施して重合用酸化剤を製造した。得られた重合用酸化剤の有する粘度及び密度は表5に示す。
比較例10
実施例31において、p−トルエンスルホン酸第2鉄(p−トルエンスルホン酸:第2鉄のモル比=3.3:1)を25gに変更し、第2の溶質としてp−トルエンスルホン酸ナトリウムを10gを使用した他は同様に実施して、3,4−エチレンジオキシチオフェン重合用酸化剤を製造した。得られた重合用酸化剤の有する粘度及び密度を表5に示す。
Figure 0005324866
表5に示すように、実施例31〜33の重合用酸化剤は、溶質の含有量が変わらず、密度もほとんど同じにもかかわらず、粘度を低減することが可能となる。
実施例34〜36及び比較例11、12
実施例31〜33及び比較例9、10のそれぞれの重合用酸化剤28.6gを使用したほかは、実施例1〜12の重合用酸化剤と同様にして、3,4−エチレンジオキシチオフェンの酸化重合を行った。それぞれで得られた実施例34〜36及び比較例11、12のポリ−3,4−エチレンジオキシチオフェンについて電気電導度の測定を行った結果を表6に示す。
Figure 0005324866
表6に示すように、実施例31〜33の重合用酸化剤を使用することで、得られるポリ−3,4−エチレンジオキシチオフェンの電導度が向上することから、コンデンサとしての特性も向上させることが可能となる。比較例10の重合用酸化剤は粘度の低減は可能であったが、ポリマーの電導度は減少した。
実施例37〜40
実施例1において、第1の溶質として、p−トルエンスルホン酸第2鉄(p−トルエンスルホン酸:第2鉄のモル比=2.3:1)50g(実施例37、実施例39、及び実施例40)又は45g(実施例38)を使用し、第2の溶質として、p−トルエンスルホン酸ジイソプロピルアミン5g(実施例37)又はp−トルエンスルホン酸ピロリジン10g(実施例38)又はp−トルエンスルホン酸ピペリジン5g(実施例39)又はベンゼンスルホン酸アルミニウム5g(実施例40)を使用したほかは、実施例1と同様に実施することにより、溶質を合計で55%含有する3,4−エチレンジオキシチオフェン重合用酸化剤を製造した。得られた重合用酸化剤の有する粘度及び密度を表7に示す。
比較例13
実施例37において、第1の溶質としてp−トルエンスルホン酸第2鉄(p−トルエンスルホン酸:第2鉄のモル比=2.3:1)を55g使用し、第2の溶質を添加しなかった他は同様に実施して重合用酸化剤を製造した。得られた重合用酸化剤の有する粘度及び密度は表7に示す。
比較例14
実施例37において、p−トルエンスルホン酸第2鉄(p−トルエンスルホン酸:第2鉄のモル比=2.3:1)を54gに変更し、第2の溶質としてp−トルエンスルホン酸第2銅を1g使用した他は同様に実施して、3,4−エチレンジオキシチオフェン重合用酸化剤を製造した。得られた重合用酸化剤の有する粘度及び密度を表7に示す。
Figure 0005324866
表7に示すように、実施例37〜40の重合用酸化剤は、溶質の含有量が変わらず、密度もほとんど同じにもかかわらず、粘度を低減することが可能となる。
実施例41〜44及び比較例15、16
実施例37〜40及び比較例13、14のそれぞれの重合用酸化剤18.2gを使用したほかは、実施例1〜12の重合用酸化剤と同様にして、3,4−エチレンジオキシチオフェンの酸化重合を行った。それぞれで得られた実施例41〜44及び比較例15、16のポリ−3,4−エチレンジオキシチオフェンについて電気電導度の測定を行った結果を表8に示す。
Figure 0005324866
表8に示すように、実施例37〜40の重合用酸化剤を使用することで、得られるポリ−3,4−エチレンジオキシチオフェンの電導度が向上することから、コンデンサとしての特性も向上させることが可能となる。比較例14の重合用酸化剤は粘度の低減は可能であったが、ポリマーの電導度は減少した。
実施例45〜47
実施例1において、第1の溶質として、ベンゼンスルホン酸第2鉄(ベンゼンスルホン酸:第2鉄のモル比=2.5:1)55g(実施例45)又は62.5g(実施例46)又は60g(実施例47)を使用し、第2の溶質として、ベンゼンスルホン酸モノ−n−ブチルアミン10g(実施例45)又はベンゼンスルホン酸アルミニウム2.5g(実施例46)又は2−ナフタレンスルホン酸1−メチルピリジニウム5g(実施例47)を使用し、かつ35gの1−ブタノールを使用したほかは、実施例1と同様に実施することにより、溶質を合計で65%含有する3,4−エチレンジオキシチオフェン重合用酸化剤を製造した。得られた重合用酸化剤の有する粘度及び密度を表9に示す。
比較例17
実施例45において、第1の溶質として、ベンゼンスルホン酸第2鉄(ベンゼンスルホン酸:第2鉄のモル比=2.5:1)65gを使用し、第2の溶質を添加しなかった他は同様に実施して重合用酸化剤を製造した。得られた重合用酸化剤の有する粘度及び密度は表9に示す。
比較例18
実施例45において、ベンゼンスルホン酸第2鉄(ベンゼンスルホン酸:第2鉄のモル比=2.5:1)を60gに変更し、第2の溶質としてベンゼンスルホン酸第2銅を5g使用した他は同様に実施して、3,4−エチレンジオキシチオフェン重合用酸化剤を製造した。得られた重合用酸化剤の有する粘度及び密度を表9に示す。
Figure 0005324866
表9に示すように、実施例45〜47の重合用酸化剤は、溶質の含有量が変わらず、密度もほとんど同じにもかかわらず、粘度を低減することが可能となる。
実施例48〜50及び比較例19、20
実施例45〜47及び比較例17、18のそれぞれの重合用酸化剤14.3gを使用したほかは、実施例1〜12の重合用酸化剤と同様にして、3,4−エチレンジオキシチオフェンの酸化重合を行った。それぞれで得られた実施例48〜50及び比較例19、20のポリ−3,4−エチレンジオキシチオフェンについて電気電導度の測定を行った結果を表10に示す。
Figure 0005324866
表10に示すように、実施例45〜47の重合用酸化剤を使用することで、得られるポリ−3,4−エチレンジオキシチオフェンの電導度が向上することから、コンデンサとしての特性も向上させることが可能となる。比較例18の重合用酸化剤は粘度の低減は可能であったが、ポリマーの電導度は減少した。
実施例51〜53
実施例1において、第1の溶質として、2−ナフタレンスルホン酸第2鉄(2−ナフタレンスルホン酸:第2鉄のモル比=2.8:1)40g(実施例51)又は35g(実施例52)又は42.5g(実施例53)を使用し、第2の溶質として、2−ナフタレンスルホン酸1−メチルピリジニウム5g(実施例51)又は2−ナフタレンスルホン酸アルミニウム10g(実施例52)、又はベンゼンスルホン酸アルミニウム2.5g(実施例53)を使用し、かつ55gの1−ブタノールを使用したほかは、実施例1と同様に実施することにより、溶質を合計で45%含有する3,4−エチレンジオキシチオフェン重合用酸化剤を製造した。得られた重合用酸化剤の有する粘度及び密度を表11に示す。
比較例21
実施例51において、第1の溶質として、2−ナフタレンスルホン酸第2鉄(2−ナフタレンスルホン酸:第2鉄のモル比=2.8:1)45gを使用し、第2の溶質を添加しなかった他は同様に実施して重合用酸化剤を製造した。得られた重合用酸化剤の有する粘度及び密度は表11に示す。
比較例22
実施例51において、2−ナフタレンスルホン酸第2鉄(2−ナフタレンスルホン酸:第2鉄のモル比=2.8:1)を44gに変更し、第2の溶質として2−ナフタレンスルホン酸ナトリウムを1g使用した他は同様に実施して、3,4−エチレンジオキシチオフェン重合用酸化剤を製造した。得られた重合用酸化剤の有する粘度及び密度を表11に示す。
Figure 0005324866
表11に示すように、実施例51〜53の重合用酸化剤は、溶質の含有量が変わらず、密度もほとんど同じにもかかわらず、粘度を低減することが可能となる。
実施例54〜56及び比較例23、24
実施例51〜53及び比較例21、22のそれぞれの重合用酸化剤26.5gを使用したほかは、実施例1〜12の重合用酸化剤と同様にして、3,4−エチレンジオキシチオフェンの酸化重合を行った。それぞれで得られた実施例54〜56及び比較例23、24のポリ−3,4−エチレンジオキシチオフェンについて電気電導度の測定を行った結果を表12に示す。
Figure 0005324866
表12に示すように、実施例51〜53の重合用酸化剤を使用することで、得られるポリ−3,4−エチレンジオキシチオフェンの電導度が向上することから、コンデンサとしての特性も向上させることが可能となる。比較例22の重合用酸化剤は粘度の低減は可能であったが、ポリマーの電導度は減少した。
実施例57〜59
実施例1において、第1の溶質として、p−トルエンスルホン酸第2鉄(p−トルエンスルホン酸:第2鉄のモル比=3.0:1)25g(実施例57)又は29.5g(実施例58)又は20g(実施例59)を使用し、第2の溶質として、p−トルエンスルホン酸エチルメチルアミン5g(実施例57)又はトリエチルメチルアンモニウム0.5g(実施例58)又は2−ナフタレンスルホン酸アルミニウム10g(実施例59)を使用し、かつ70gのイオン交換水を使用したほかは、実施例1と同様に実施することにより、溶質を合計で30%含有する3,4−エチレンジオキシチオフェン重合用酸化剤を製造した。得られた重合用酸化剤の有する粘度及び密度を表13に示す。
比較例25
実施例57において、第1の溶質として、p−トルンスルホン酸第2鉄(p−トルエンスルホン酸:第2鉄のモル比=3.0:1)30gを使用し、第2の溶質を添加しなかった他は同様に実施して重合用酸化剤を製造した。得られた重合用酸化剤の有する粘度及び密度は表13に示す。
比較例26
実施例57において、第2の溶質としてベンゼンスルホン酸第2銅を5g使用した他は同様に実施して、3,4−エチレンジオキシチオフェン重合用酸化剤を製造した。得られた重合用酸化剤の有する粘度及び密度を表13に示す。
Figure 0005324866
表13に示すように、実施例57〜59の重合用酸化剤は、溶質の含有量が変わらず、密度もほとんど同じにもかかわらず、粘度を低減することが可能となる。
実施例60〜62及び比較例27、28
実施例57〜59及び比較例25、26のそれぞれの重合用酸化剤33.4gを使用したほかは、実施例1〜12の重合用酸化剤と同様にして、3,4−エチレンジオキシチオフェンの酸化重合を行った。それぞれで得られた実施例60〜62及び比較例27,28のポリ−3,4−エチレンジオキシチオフェンについて電気電導度の測定を行った結果を表14に示す。
Figure 0005324866
表14に示すように、実施例57〜59の重合用酸化剤を使用することで、得られるポリ−3,4−エチレンジオキシチオフェンの電導度が向上することから、コンデンサとしての特性も向上させることが可能となる。比較例26の重合用酸化剤は粘度の低減は可能であったが、ポリマーの電導度は減少した。
本発明で得られる芳香族スルホン酸第2鉄と芳香族スルホン酸のアミン塩、4級アンモニウム塩及びアルミニウム塩からなる群から選ばれる少なくとも1種の溶質を含有する溶液は、固体コンデンサなどに使用される複素環式共役系導電性高分子を製造する際の酸化剤として広範に使用される。

Claims (9)

  1. 3,4−エチレンジオキシチオフェンの重合用酸化剤であって、芳香族スルホン酸の第2鉄塩からなる第1の溶質と、芳香族スルホン酸のアミン塩、4級アンモニウム塩、及びアルミニウム塩からなる群から選ばれる少なくとも1種からなる第2の溶質とを、第1の溶質が15〜65重量%であり、かつ第2の溶質が0.5〜40重量%であるように溶媒中に含有することを特徴とする重合用酸化剤。
  2. 重合用酸化剤中に含有される、第1の溶質:第2の溶質の比率(重量比)が、2:1〜20:1である請求項1に記載の重合用酸化剤。
  3. 重合用酸化剤中に含有される、芳香族スルホン酸:第2鉄の比率(モル比)が、2.2:1〜5:1である請求項1又は2に記載の重合用酸化剤。
  4. 芳香族スルホン酸のアミン塩を構成するアミンが、一般式、RN(但し、R、R、Rは、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜7の脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、又は芳香族炭化水素基であり、R、R、Rの2つ以上が一緒になって環を形成していてもよい。)で表される、1級アミン、2級アミン、又は3級アミンである請求項1〜のいずれかに記載の重合用酸化剤。
  5. 芳香族スルホン酸の4級アンモニウム塩を構成する4級アンモニウムが、一般式、R(但し、R、R、R、Rは、それぞれ独立して、炭素数1〜7の脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、又は芳香族炭化水素基であり、R、R、R、Rの2つ以上が一緒になって環を形成していてもよい。)で表される請求項1〜のいずれかに記載の重合用酸化剤。
  6. 溶媒が、炭素数1〜5のアルキルアルコールである請求項1〜のいずれかに記載の重合用酸化剤。
  7. 第1の溶質を構成する芳香族スルホン酸と、第2の溶質を構成する芳香族スルホン酸とが、同じ芳香族スルホン酸である請求項1〜のいずれかに記載の重合用酸化剤。
  8. 第1の溶質及び第2の溶質を構成する芳香族スルホン酸が、いずれもp−トルエンスルホン酸である請求項1〜のいずれかに記載の重合用酸化剤。
  9. 請求項1〜のいずれかに記載の重合用酸化剤を用いて重合されたポリ−3,4−エチレンジオキシチオフェン。
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