以下の実施の形態においては便宜上その必要があるときは、複数のセクションまたは実施の形態に分割して説明するが、特に明示した場合を除き、それらはお互いに無関係なものではなく、一方は他方の一部または全部の変形例、詳細、補足説明等の関係にある。また、以下の実施の形態において、要素の数等(個数、数値、量、範囲等を含む)に言及する場合、特に明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でも良い。さらに、以下の実施の形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。同様に、以下の実施の形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に明らかにそうでないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似または類似するもの等を含むものとする。このことは、上記数値および範囲についても同様である。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。また、以下の実施の形態では、特に必要なとき以外は同一または同様な部分の説明を原則として繰り返さない。
また、実施の形態で用いる図面においては、断面図であっても図面を見易くするためにハッチングを省略する場合もある。また、平面図であっても図面を見易くするためにハッチングを付す場合もある。
(実施の形態1)
本発明の一実施の形態の半導体装置およびその製造方法(製造工程)を図面を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施の形態の半導体装置である半導体チップ(半導体装置)CP1の要部断面図であり、図2は半導体チップ(半導体装置)CP1の要部平面図(要部上面図)である。図2のA−A線の断面図が、図1に対応する。
図1および図2には、半導体チップCP1のうち、バンプ電極形成領域(バンプ電極BP1が形成された領域およびその近傍)が示されている。半導体チップCP1は、その上面において複数のバンプ電極BP1が形成されているが、図1および図2には、そのうちの1つが示されている。図2では、バンプ電極BP1の下にあるパッドPD1の位置を点線で示してある。また、図1では、最上層配線である配線MHよりも下の構造については、図示を省略している。実際には、半導体基板SW1の主面に、種々の半導体素子(素子)が形成され、その上に層間絶縁膜および配線層が複数積層されて多層配線構造が形成されており、この多層配線構造の最上層の配線が、図1に示される配線MHである。半導体基板SW1の主面に形成する半導体素子(素子)の例については、後述する半導体チップCP1の製造工程で説明する。
半導体チップCP1を構成する半導体基板SW1は、例えばp型の単結晶シリコンなどにより形成されている。半導体基板SW1の上部に、絶縁膜(層間絶縁膜)2,3が下から順に形成されている。絶縁膜3は絶縁膜2上に積層されている。絶縁膜2,3は、そこに最上層配線である配線(配線層、最上層配線)MHが形成された絶縁膜である。絶縁膜2,3は、例えば酸化シリコン膜などにより形成されている。絶縁膜2,3として、酸化シリコン(SiO2)の比誘電率よりも低い比誘電率を有する絶縁膜(低誘電率膜、Low−k膜)を用いることもできる。
配線MHは、絶縁膜3に形成された配線溝(開口部)4a内およびその配線溝4aの底部の絶縁膜2に形成されたスルーホール(接続孔)4b内に導体膜が埋め込まれることで形成されており、いわゆる埋込配線またはデュアルダマシン配線である。すなわち、配線MHは、絶縁膜3の配線溝4a内に形成される配線部分と、絶縁膜2のスルーホール4b内に形成されるプラグ部分(接続部)とが一体形成されている。また、絶縁膜2,3全体を同じ膜(1つの膜)で形成することもでき、また、絶縁膜2,3の一方または両方を複数の絶縁膜を積層した積層膜とすることもできる。また、配線部分とプラグ部分とを別々に形成したシングルダマシン配線により、配線MHを形成することもできる。また、他の形態として、埋込配線ではなく、パターニングされた導体膜により配線MHを形成することもできる。
配線MHを形成する導体膜は、主導体膜(主配線部材)5bと、導電性バリア膜(バリアメタル膜)5aとを有している。主導体膜5bは、例えば銅(Cu)のような金属により形成されており、マイグレーション対策のために、例えばアルミニウム、銀(Ag)または錫(Sn)などが添加される場合もある。導電性バリア膜5aは、主導体膜5bと、その外周(側面側および底面側)の絶縁膜2,3との間に、それらに接した状態で設けられている。導電性バリア膜5aは、主導体膜5bの銅の拡散を抑制または防止する機能、配線と絶縁膜との密着性を向上させる機能を有している。また、導電性バリア膜5aは、主導体膜5bよりも薄く形成されており、例えば窒化タンタル(TaN)膜とその上のタンタル(Ta)膜との積層膜などにより形成されている。この場合、窒化タンタル膜は絶縁膜に接し、タンタル膜は主導体膜5bと接している。
配線MHは、そのプラグ部分を通じて、配線MHよりも下層の配線(図示せず)に電気的に接続されている。
配線MHが埋め込まれた絶縁膜3上には、層間絶縁膜として絶縁膜(第1絶縁膜)6が形成されている。従って、絶縁膜3は、半導体基板SW1の上部に形成されている。絶縁膜6は、例えば酸化シリコン膜などにより形成されている。
絶縁膜6には、スルーホール(接続孔、開口部)7が形成され、このスルーホール7内に導体膜が埋め込まれることでプラグ(接続用導体)8が形成されている。プラグ8を形成する導体膜は、主導体膜(主部材)8bと、導電性バリア膜(バリアメタル膜)8aとを有している。主導体膜8bは、例えばタングステン(W)膜により形成されており、導電性バリア膜8aは、例えば窒化チタン(TiN)膜により形成されている。導電性バリア膜8aは、主導体膜8bとその外周の絶縁膜6との間および主導体膜8bとその底部の配線MHとの間に、それらに接した状態で設けられている。導電性バリア膜8aは、主導体膜8bと絶縁膜6との密着性を向上させる機能などを有している。プラグ8が埋め込まれた絶縁膜6の上面(すなわちプラグ8の上面および絶縁膜6の上面)は平坦面とされている。
プラグ8が埋め込まれた絶縁膜6上には、パッド電極としてパッド(パッド電極、電極パッド、パッド部、アルミニウムパッド、導体膜、導体膜パターン)PD1が形成されている。パッドPD1は、導電性バリア膜としての窒化チタン(TiN)膜9と、窒化チタン膜9上に形成された主導体膜としてのアルミニウム膜(第2導電体膜)10との積層膜(積層導体膜)からなる。アルミニウム膜10は、アルミニウム(Al)単体膜またはアルミニウム(Al)合金膜などのアルミニウムを主成分とする導電体膜(主導体膜)であり、Si(シリコン)またはCu(銅)を含有することもできる(すなわちアルミニウム膜10を、アルミニウムを主成分とし、SiまたはCuを含有するアルミニウム合金膜とすることもできる)。窒化チタン膜9は、絶縁膜6とアルミニウム膜10との密着性を向上するように機能することができる。窒化チタン膜9の膜厚は、アルミニウム膜10よりも薄く、例えば、アルミニウム膜10を500〜2000nm程度とし、窒化チタン膜9を30〜80nm程度とすることができる。
プラグ8は、パッドPD1の下方に配置されており、プラグ8の上面がパッドPD1の下面(すなわちパッドPD1を構成する窒化チタン膜9の下面)と接して、電気的に接続されている。また、プラグ8は、その底部(下面)で、配線MHと接して電気的に接続されている。このため、パッドPD1は、プラグ8を介して、配線MHと電気的に接続されている。
また、絶縁膜6上には、絶縁膜(第2絶縁膜、保護膜、パッシベーション膜、表面保護膜、保護絶縁膜)11が形成されている。絶縁膜11は、パッシベーション膜として機能し、例えば窒化シリコン膜により形成されている。絶縁膜11を窒化シリコン膜とすることで、水分などの侵入を的確に防止でき、半導体装置(半導体チップCP1)の信頼性を向上することができる。
絶縁膜11(第2絶縁膜)は、絶縁膜6上に、パッドPD1に平面的に重ならないように形成されており、パッドPD1の側面PD1bが絶縁膜11で覆われている。すなわち、絶縁膜11は、パッドPD1が無い領域の絶縁膜6上に、パッドPD1の周囲(側面PD1b)に接するように形成されており、パッドPD1の周囲が絶縁膜11で囲まれた状態になっている。換言すれば、絶縁膜11の開口部内にパッドPD1が埋め込まれたような状態となっている。これにより、完成した半導体装置(半導体チップCP1)を、チップ搭載用基板(基板、実装基板)に荷重を掛けて実装したとしても、半導体装置のパッドPD1が押しつぶされ、更に横方向(水平方向)に膨張することはないため、バンプ電極BP1とチップ搭載用基板(基板、実装基板)の導体部であるリード(電極、端子、後述のリードLD1,LD101に対応)との接合不良を抑制することができる。
パッド電極PD1の上面PD1aおよび絶縁膜11の上面11aは、平坦面とされている。すなわち、パッド電極PD1の上面PD1aと絶縁膜11の上面11aとは、連続的な平坦な面(平面)FS1を形成している。これは、パッドPD1の厚み(絶縁膜6の上面に対して垂直な方向の厚み)と絶縁膜11の厚み(絶縁膜6の上面に対して垂直な方向の厚み)とが実質的に同じであり、絶縁膜11の上面11aとパッドPD1の上面PD1aとが同じ高さ位置(絶縁膜6の上面を基準にしてそこから同じ高さ位置)にあるためである。換言すれば、パッドPD1の上面PD1aは、絶縁膜11の上面11aと連続しており(つながっており)、実質的に同一面上にある。平坦な面FS1は、パッド電極PD1の上面PD1aと、その周囲の絶縁膜11の上面11aとからなる。なお、パッドPD1の最上層はアルミニウム膜10であるので、パッドPD1の上面PD1aは、アルミニウム膜10(第2導電体膜)の上面により形成されている。
パッドPD1上には、バンプ電極(バンプ、金バンプ、金バンプ電極、突起電極)BP1が形成されている。上述のように、パッド電極PD1の上面PD1aと絶縁膜11の上面11aとが平坦な面FS1を形成しているので、この平坦な面FS1上にバンプ電極BP1が形成されている。バンプ電極BP1は、厚い導電体膜(めっき膜、電解めっき膜、金めっき膜)13と、この導電体膜13と上記平坦な面FS1との間に介在するUBM(Under Bump Metal)膜(電極下地膜、導電体膜)12とにより形成されている。すなわち、パッド電極PD1の上面PD1aと絶縁膜11の上面11aとからなる平坦な面FS1上にUBM膜12を介して、厚い導電体膜13が形成されており、これらUBM膜12および導電体膜13によってバンプ電極BP1が形成されている。
バンプ電極BP1を構成する導電体膜13は、好ましくは金膜(金めっき膜)からなる。バンプ電極BP1を構成するUBM膜12(第1導電体膜)は、導電体膜からなり、例えば、チタン(Ti)膜とその上のパラジウム(Pd)膜との積層膜、あるいはチタンタングステン(TiW)膜とその上の金(Au)膜との積層膜などから形成されている。導電体膜13はめっき膜(電解めっき膜)からなり、UBM膜12は、導電体膜13を電解めっき法で形成する際に、電極として使用した導電体膜である。導電体膜13は、UBM膜12よりも厚く、例えば、導電体膜13の厚みを10〜20μm程度とし、UBM膜12の厚みを200〜800nm程度とすることができる。
パッド電極PD1の上面PD1aと絶縁膜11の上面11aとからなる平坦な面FS1上にバンプ電極BP1が形成されているので、バンプ電極BP1の下面BP1b(すなわちUBM膜12の下面)は平坦である。また、バンプ電極BP1の上面BP1a(すなわち導電体膜13の上面)も平坦である。
また、バンプ電極BP1の下面BP1b(すなわちUBM膜12の下面)は、パッド電極PD1の上面PD1a全面(すなわちアルミニウム膜10の上面全面)と絶縁膜11の上面11aの一部とに接している。これは、バンプ電極BP1の下面BP1bが、パッド電極PD1の上面PD1aを平面的に内包している(含んでいる)ためである。このため、パッドPD1の上面PD1aの全部がバンプ電極BP1の下面BP1b(すなわちUBM膜12の下面)に接し、更に、パッドPD1の周囲近傍の絶縁膜11の上面11aも、バンプ電極BP1の下面BP1b(すなわちUBM膜12の下面)に接した状態となっている。
バンプ電極BP1が形成されていない領域の絶縁膜11上には、ポリイミド樹脂などの樹脂膜からなる保護膜(絶縁膜、樹脂膜、最上層保護膜)14が形成されている。保護膜14の上面14aの高さ位置(平坦な面FS1を基準にしてそこから保護膜14の上面14aまでの高さ)は、バンプ電極BP1の上面BP1aの高さ位置(平坦な面FS1を基準にしてそこからバンプ電極BP1の上面BP1aまでの高さ)よりも低い。保護膜14は、バンプ電極BP1とは接しないように、バンプ電極BP1から所定の間隔を空けて配置されている。すなわち、保護膜14には開口部14bが設けられており、この開口部14b内に、開口部14bの内壁に接しないように、バンプ電極BP1が配置されている。換言すれば、絶縁膜14の開口部14bはバンプ電極BP1を平面的に内包している。ポリイミド樹脂のような樹脂膜からなる保護膜14を設けることで、半導体チップCP1の取り扱いが容易になる。不要であれば、保護膜14は省略することもでき、この場合、絶縁膜11が保護膜(最上層保護膜)として機能する。
次に、本実施の形態の半導体チップCP1の製造方法(製造工程)について説明する。
図3〜図18は、本実施の形態の半導体チップ(半導体装置)CP1の製造工程中の要部断面図である。
図3に示されるように、まず、例えば1〜10Ωcm程度の比抵抗を有するp型の単結晶シリコンなどからなる半導体基板(ウエハ、半導体ウエハ)SW1を準備する。それから、半導体基板SW1の主面に素子分離領域21を形成する。素子分離領域21は酸化シリコンなどの絶縁体からなり、例えばSTI(Shallow Trench Isolation)法またはLOCOS(Local Oxidization of Silicon)法などにより形成される。
次に、半導体基板SW1に形成された素子分離領域21によって分けられた活性領域、すなわち半導体基板SW1のnチャネル型MISFETを形成する領域に、ホウ素(B)などのp型の不純物をイオン注入することなどによってp型ウエル22を形成し、pチャネル型MISFETを形成する領域に、リン(P)や砒素(As)などのn型の不純物をイオン注入することなどによってn型ウエル23を形成する。
次に、半導体基板SW1(p型ウエル22およびn型ウエル23)の表面にゲート絶縁膜24を形成する。ゲート絶縁膜24は、例えば薄い酸化シリコン膜などからなり、例えば熱酸化法などによって形成することができる。
次に、p型ウエル22のゲート絶縁膜24上にゲート電極25aを形成し、n型ウエル23のゲート絶縁膜24上にゲート電極25bを形成する。例えば、半導体基板SW1の主面上に多結晶シリコン膜を形成し、その多結晶シリコン膜をドライエッチングによってパターニングすることにより、パターニングされた多結晶シリコン膜からなるゲート電極25a,25bを形成することができる。
次に、p型ウエル22のゲート電極25aの両側の領域にリン(P)またはヒ素(As)などのn型の不純物をイオン注入することにより、n−型半導体領域26を形成し、n型ウエル23のゲート電極25bの両側の領域にホウ素(B)などのp型の不純物をイオン注入することにより、p−型半導体領域27を形成する。
次に、ゲート電極25a,25bの側壁上に、例えば酸化シリコンなどからなる側壁スペーサまたはサイドウォール28を形成する。サイドウォール28は、例えば、半導体基板SW1上に酸化シリコン膜を堆積し、この酸化シリコン膜を異方性エッチングすることによって形成することができる。
サイドウォール28の形成後、n+型半導体領域29を、例えば、p型ウエル22のゲート電極25aおよびサイドウォール28の両側の領域にリン(P)またはヒ素(As)などのn型の不純物をイオン注入することなどにより形成し、p+型半導体領域30を、例えば、n型ウエル23のゲート電極25bおよびサイドウォール28の両側の領域にホウ素(B)などのp型の不純物をイオン注入することなどにより形成する。イオン注入後、導入した不純物の活性化のためのアニール処理を行うこともできる。n+型半導体領域29は、n−型半導体領域26よりも不純物濃度が高く、p+型半導体領域30は、p−型半導体領域27よりも不純物濃度が高い。これにより、nチャネル型MISFETのソース・ドレインとして機能するn型の半導体領域が、n+型半導体領域29およびn−型半導体領域26により形成され、pチャネル型MISFETのソース・ドレインとして機能するp型の半導体領域が、p+型半導体領域30およびp−型半導体領域27により形成される。
次に、ゲート電極25a,25b、n+型半導体領域29およびp+型半導体領域30の表面を露出させ、金属膜(例えばコバルト膜またはニッケル膜)を堆積して熱処理することによって、ゲート電極25a,25b、n+型半導体領域29およびp+型半導体領域30の表面に、それぞれ金属シリサイド層31(例えばコバルトシリサイド層またはニッケルシリサイド層)を形成する。これにより、n+型半導体領域29およびp+型半導体領域30などの拡散抵抗と、コンタクト抵抗とを低抵抗化することができる。その後、未反応の金属膜は除去する。
このようにして、図3の構造が得られ、p型ウエル22にnチャネル型のMISFET(Metal Insulator Semiconductor Field Effect Transistor)Qnが形成され、n型ウエル23にpチャネル型のMISFETQpが形成される。これにより、CMISFET(Complementary Metal Insulator Semiconductor Field Effect Transistor)が形成される。本実施の形態では、半導体基板SW1の主面に半導体素子としてCMISFETを形成する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、必要に応じて種々の半導体素子(素子)を半導体基板SW1の主面に形成することができる。
次に、配線工程が行われる。図4に示されるように、半導体基板SW1上にゲート電極25a,25bを覆うように絶縁膜(層間絶縁膜)32を形成する。絶縁膜32は、例えば、相対的に薄い窒化シリコン膜とその上の相対的に厚い酸化シリコン膜との積層膜または酸化シリコン膜の単体膜などからなり、例えばCVD法などを用いて形成することができる。絶縁膜32の形成後、必要に応じてCMP処理を行って絶縁膜32の表面を平坦化する。
次に、フォトリソグラフィ法およびドライエッチング法を用いて、絶縁膜32において、n+型半導体領域(ソース、ドレイン)29やp+型半導体領域(ソース、ドレイン)30の上部などにコンタクトホール(接続孔、開口部)33を形成する。コンタクトホール33の底部では、半導体基板SW1の主面の一部、例えばn+型半導体領域29(の表面上の金属シリサイド膜31)の一部やp+型半導体領域30(の表面上の金属シリサイド層31)の一部、あるいはゲート電極25a,25b(の表面上の金属シリサイド膜31)の一部などが露出される。
次に、コンタクトホール33内に、タングステン(W)などからなるプラグ34を形成する。プラグ34は、例えば、コンタクトホール33の内部を含む絶縁膜32上に導電性バリア膜(上記導電性バリア膜8aに相当するもの)をスパッタリング法などで形成した後、主導体膜(上記主導体膜8bに相当するもの)をCVD法などによって導電性バリア膜上にコンタクトホール33を埋めるように形成し、絶縁膜32上の不要な主導体膜および導電性バリア膜をCMP法などによって除去することにより、形成することができる。なお、図面の簡略化のために、図4では、プラグ34について、主導体膜と導電性バリア膜を一体化して図示している。
次に、プラグ34が埋め込まれた絶縁膜32上に絶縁膜(層間絶縁膜)35を形成する。
次に、絶縁膜35に配線溝(開口部、配線開口部)36を形成する。それから、配線溝36内に配線(第1層配線)M1を形成する。例えば、絶縁膜32上に、配線溝36内を埋め込むように、導電性バリア膜(上記導電性バリア膜5aに相当するもの)および主導体膜(上記主導体膜5bに相当するもの)を下から順に堆積し、主導体膜および導電性バリア膜のうちの配線溝36の外部の部分をCMP法などによって除去することにより、配線M1を形成することができる。導電性バリア膜はスパッタリング法などにより形成でき、主導体膜(銅膜)は、スパッタリング法およびメッキ法などにより形成することができる。すなわち、最初、例えば銅により形成される薄いシード層をスパッタリング法などにより堆積した後、そのシード層上に、例えば銅により形成される導体膜をメッキ法などにより堆積することで、銅の主導体膜を形成することができる。このように、配線M1は、シングルダマシン法により形成することができる。なお、図面の簡略化のために、図4では、配線M1について、主導体膜と導電性バリア膜を一体化して図示している。
次に、図5に示されるように、配線M1が埋め込まれた絶縁膜35上に、絶縁膜(層間絶縁膜)38,39を下から順に形成する。
次に、フォトリソグラフィ法およびドライエッチング法を用いて、絶縁膜39に配線溝(開口部、配線開口部)40aを形成し、絶縁膜38に配線溝40aの底部から配線M1の上面に達するスルーホール(接続孔)40bを形成する。それから、配線溝40aおよびスルーホール40bからなる配線開口部内に配線(第2層配線)M2を形成する。例えば、絶縁膜39上に、配線溝40aおよびスルーホール40b内を埋め込むように、導電性バリア膜(上記導電性バリア膜5aに相当するもの)および主導体膜(上記主導体膜5bに相当するもの)を下から順に堆積し、主導体膜および導電性バリア膜のうちの配線溝40aおよびスルーホール40bの外部の部分をCMP法などによって除去することにより、配線M2を形成することができる。このように、配線M2は、デュアルダマシン法により形成することができ、配線M2は、配線溝40a内に形成される配線部分(導体パターン)と、スルーホール40b内に形成されるプラグ部分(接続部)とが一体的に形成されている。配線M2およびそれよりも上層の配線を、シングルダマシン法により形成することもできる。なお、図面の簡略化のために、図5および後述の図6では、配線M2,M3,M4について、主導体膜と導電性バリア膜を一体化して図示している。
次に、図6に示されるように、配線M2が埋め込まれた絶縁膜39上に、絶縁膜38,39と同様にして絶縁膜(層間絶縁膜)41,42を形成し、絶縁膜42,41に配線溝40aおよびスルーホール40bと同様にして配線溝およびスルーホールを形成し、その配線溝およびスルーホール内に配線M2と同様にして配線(第3層配線)M3を形成する。更に、配線M3が埋め込まれた絶縁膜42上に、絶縁膜38,39と同様にして絶縁膜(層間絶縁膜)44,45を形成し、絶縁膜45,44に配線溝40aおよびスルーホール40bと同様にして配線溝およびスルーホールを形成し、その配線溝およびスルーホール内に配線M2と同様にして配線(第4層配線)M4を形成する。これを繰り返すことで、配線M4よりも更に上層の配線構造(第5層配線以降)を必要に応じて形成する。このようにして、多層配線構造が形成される。形成された多層配線構造の最上層の配線が、上記配線MHに対応する。
図7は、最上層の配線MHが形成された状態が示されており、絶縁膜2よりも下の構造(図6のような構造)は、図面の簡略化のために、図示を省略している。例えば、多層配線構造を、図6の段階まで、すなわち配線M4までしか形成しなかった場合は、図6の配線M4が図7の配線MHに対応し、絶縁膜44,45が絶縁膜2,3に対応する。多層配線構造を、配線M4よりも1層上の第5層配線まで形成した場合は、その第5層配線が図7の配線MHに対応し、第5層配線を形成した層間絶縁膜が絶縁膜2,3に対応する。なお、図面の簡略化のために、図7〜図18では、配線MHについて、主導体膜5bと導電性バリア膜5aを一体化して図示している。
配線MHは、そのプラグ部分(絶縁膜2に形成されたスルーホール4b内に埋め込まれた部分)を通じて、配線MHよりも下層の配線に電気的に接続され、配線M1〜M4などを通じて、半導体基板SW1の主面に形成された半導体素子(例えばMISFETQn,Qpなど)と電気的に接続されている。
最上層の配線MHを形成した後、図8に示されるように、配線MHが埋め込まれた絶縁膜3上に、絶縁膜6を形成する。それから、フォトリソグラフィ法およびドライエッチング法を用いて、絶縁膜6にスルーホール7を形成する。
次に、スルーホール7内に、プラグ8を形成する。プラグ8は、上記プラグ34と同様にして形成することができる。なお、図面の簡略化のために、図8〜図18では、プラグ8について、主導体膜8bと導電性バリア膜8aを一体化して図示している。
次に、図9に示されるように、プラグ8が埋め込まれた絶縁膜6上に、例えばスパッタリング法などを用いて、窒化チタン(TiN)膜9、アルミニウム(Al)膜10および窒化チタン(TiN)膜9aを下から順に形成する。窒化チタン膜9は、絶縁膜6とアルミニウム膜10との密着性(接着性)を向上するように機能することができる。窒化チタン膜9aは、アルミニウム膜10の上面上に重なるように密着して形成された重ね膜であり、後述するように、アルミニウム膜10をパターニングする際の露光工程で反射防止膜として機能することができる。窒化チタン膜9aの代わりに、チタンタングステン(TiW)膜またはモリブデンシリサイド(MoSi)膜を用いることもできる。窒化チタン膜9,9aのそれぞれの堆積膜厚は、アルミニウム膜10の堆積膜厚よりも薄く、例えば、アルミニウム膜10の堆積膜厚を500〜2000nm程度とし、窒化チタン膜9,9aの堆積膜厚を、それぞれ30〜80nmnm程度とすることができる。
次に、窒化チタン膜9a上にフォトレジスト膜を形成し、このフォトレジスト膜をフォトリソグラフィ技術を用いて露光、現像処理してパターニングすることで、フォトレジストパターンRP1を形成する。窒化チタン膜9aは、上記フォトレジスト膜(フォトレジストパターンRP1形成用のフォトレジスト膜)を露光する際の反射防止膜として機能することができる。アルミニウム膜10上に窒化チタン膜9aを形成しているので、露光工程におけるアルミニウム膜10での反射を防止し、所望のパターン形状のフォトレジストパターンRP1を的確に形成することができる。
次に、図10に示されるように、フォトレジストパターンRP1をエッチングマスクとして用いて、窒化チタン膜9a、アルミニウム膜10および窒化チタン膜9からなる積層膜をドライエッチングしてパターニングすることにより、パッド用の積層パターン(導体膜パターン、積層膜パターン)LP1を形成する。この段階では、パッド用の積層パターンLP1は、下から順に窒化チタン膜9、アルミニウム膜10および窒化チタン膜9aの積層膜(積層膜パターン)からなる。その後、フォトレジストパターンRP1を除去する。図10には、フォトレジストパターンRP1を除去した段階が示されている。このようにして、後でパッドPD1となるパッド用の積層パターンLP1が絶縁膜6上に形成される。
次に、図11に示されるように、絶縁膜6上にパッド用の積層パターンLP1を覆うように、絶縁膜11を形成する。絶縁膜11は、好ましくは窒化シリコン膜(プラズマ窒化シリコン膜)などからなり、プラズマCVD法などにより形成することができる。絶縁膜11を窒化シリコン膜とすることで、水分などの侵入を的確に防止でき、半導体装置の信頼性を向上することができる。また、絶縁膜11の膜厚(堆積膜厚)T2は、パッド用の積層パターンLP1の膜厚T1よりも大きくしておく(T2>T1)。
次に、図12に示されるように、絶縁膜11の上面をCMP(Chemical Mechanical Polishing:化学的機械的研磨)法などで研磨することにより、パッド用の積層パターンLP1の上部の絶縁膜11を除去して、絶縁膜11からパッド用の積層パターンLP1を露出させる。この絶縁膜11の研磨工程(CMP工程)では、積層パターンLP1を構成する窒化チタン膜9aも除去されるまでCMP処理を継続し、積層パターンLP1を構成するアルミニウム膜10の上面が露出された段階で、CMP処理を終了する。このため、CMP工程前のパッド用の積層パターンLP1は、窒化チタン膜9、アルミニウム膜10および窒化チタン膜9aの積層膜で構成されていたが、CMP工程後のパッド用の積層パターンLP1は、窒化チタン膜9およびアルミニウム膜10の積層膜で構成された状態となり、これがパッドPD1となる。すなわち、パッドPD1は、窒化チタン膜9とその上のアルミニウム膜10の積層膜(積層膜パターン)からなり、パッドPD1の上面PD1a(すなわちパッドPD1を構成するアルミニウム膜10の上面)が、絶縁膜11の上面11aから露出される。
窒化チタン膜9aは、フォトレジスト膜(フォトレジストパターンRP1形成用のフォトレジスト膜)を露光する際の反射防止膜として機能したが、それ以降の工程では反射防止膜として機能する必要が無いので、絶縁膜11のCMP工程で、一緒に除去しても問題は生じない。また、窒化チタン膜9aが残っていると、後で形成されるUBM膜12とパッドPD1との密着性(接着性)が低下する可能性がある。本実施の形態では、絶縁膜11のCMP工程で、窒化チタン膜9aも一緒に除去してアルミニウム膜10を露出させることで、後で形成されるUBM膜12はアルミニウム膜10に接して形成されることになり、UBM膜12とパッドPD1との密着性(接着性)を向上させることができる。
CMP法などで絶縁膜11を研磨することにより、パッドPD1の上面を露出させたので、絶縁膜11の上面11aおよびパッドPD1の上面PD1aは平坦化されている。すなわち、パッド電極PD1の上面PD1aと絶縁膜11の上面11aとが、連続的な平坦な面(平面)FS1を形成することになる。これにより、絶縁膜11の開口部内にパッドPD1が埋め込まれたような状態となり、絶縁膜11の厚みT3とパッドPDの厚みT4とが同じ(T3=T4)になり、絶縁膜11の上面11aとパッドPD1の上面PD1aとは同じ高さ位置になり、絶縁膜11の上面11aとパッドPD1の上面PD1aとは、実質的に同一面上にある。
また、絶縁膜に開口部を形成してから、その開口部内を埋めるように導体膜を形成し、この導体膜を研磨することでパッド電極を形成することも考えられる。しかしながら、本実施の形態のように、パターニングした導体膜(積層パターンLP1)を先に形成してから、これを覆うように絶縁膜11を形成し、この絶縁膜11を研磨することで、パッドPD1の上面を露出させるとともに、パッドPD1および絶縁膜11の上面を平坦化することが、より好ましい。
また、上述のように絶縁膜11の膜厚(堆積膜厚)T2をパッド用の積層パターンLP1の膜厚T1よりも大きく(T2>T1)しておけば、絶縁膜11を研磨してアルミニウム膜10の上面を露出させることで、絶縁膜11との上面11aとパッドPD1の上面PD1aで平坦面を形成することができるようになる。
また、本実施の形態では、パッドPD1と同層に配線は形成していない。すなわち、窒化チタン膜9a、アルミニウム膜10および窒化チタン膜9からなる積層膜をパターニングして形成するのは、パッド用の積層パターンLP1であり、パッド(その上にバンプ電極BP1を形成するパッド)ではなく配線のみとして使用されるパターンは形成しない。これは、パッドPD1の上面を絶縁膜11から露出させるため、パッドPD1と同層に配線を形成すると、この配線の上面も絶縁膜11から露出してしまうためである。配線は、信頼性向上のために絶縁膜11から露出しないことが好ましい。このため、配線MHを最上層の配線とし、パッドPD1と同層に配線は形成しないことが好ましい。従って、パッドPD1と同層には、その上にバンプ電極BP1が形成されないパッドや配線を形成しないことが好ましい。
次に、図13に示されるように、ポリイミド樹脂などの樹脂膜からなる保護膜14を半導体基板の主面全面上に、すなわちパッドPD1上を含む絶縁膜11上に形成してから、この保護膜14に開口部14bを形成して、パッドPD1およびその周囲の絶縁膜11を露出させる。上記図1からも分かるように、保護膜14の開口部14bは、パッドPD1を平面的に内包しており、パッドPD1上およびパッドPD1の周囲近傍の絶縁膜11上には、保護膜14が配置されていない状態になっている。保護膜14は、不要であれば、その形成を省略することもできる。
次に、図14に示されるように、開口部14bの側壁および底部上を含む保護膜14上にUBM膜12を形成する。すなわち、保護膜14の開口部14bの底部で露出するパッドPD1の上面および絶縁膜11の上面上を含む保護膜14上に、UBM膜12を例えばスパッタリング法によって形成する。UBM膜12は、例えば、チタン(Ti)膜とその上のパラジウム(Pd)膜との積層膜、あるいはチタンタングステン(TiW)膜とその上の金(Au)膜との積層膜などからなる。信頼性の更なる向上のためには、チタン(Ti)膜とその上のパラジウム(Pd)膜との積層膜でUBM膜12を形成することが、最も好ましい。また、保護膜14の形成を省略していた場合には、パッドPD1の上面上を含む絶縁膜11の上面全面に、UBM膜12が形成される。
UBM膜12は、パッドPD1および絶縁膜11と、後で形成する導電体膜13との間の接着性(密着性)を向上させる機能を有している。また、UBM膜12は、後で導電体膜13を電解(電界)めっき法で形成する際に、電極(めっき電極)として機能する。
次に、図15に示されるように、UBM膜12上にフォトレジスト膜(レジスト膜)RP2を形成(塗布)した後、このフォトレジスト膜RP2に対して露光・現像処理することにより、フォトレジスト膜RP2をパターニングし、フォトレジスト膜RP2に開口部RP2aを形成する。すなわち、開口部RP2aを有するフォトレジスト膜RP2からなるフォトレジストパターン(レジストパターン)を、UBM膜12上に形成する。この際、パッドPD1の上面PD1a上が全て開口されるように、フォトレジスト膜RP2に開口部RP2aが形成される。すなわち、フォトレジスト膜RP2の開口部RP2aは、パッドPD1を平面的に内包する(含む)ように形成される。このため、パッドPD1の上方には、フォトレジスト膜RP2が配置されていない状態になる。なお、フォトレジスト膜RP2の開口部RP2aは、バンプ電極BP1が形成される領域に対応するので、上記図1において、開口部RP2aの形成位置(形成領域、平面レイアウト)は図示されていないが、バンプ電極BP1の形成位置(形成領域、平面レイアウト)と同じになる。また、保護膜14を形成した場合には、保護膜14の開口部14bが、フォトレジスト膜RP2の開口部RP2aを平面的に内包する(含む)ように、保護膜14およびフォトレジスト膜RP2が形成される。フォトレジスト膜RP2の膜厚は、形成するバンプ電極BP1の高さに合わせて決定することができる。
次に、図16に示されるように、UBM膜12を電極とした電解(電界)めっき法を使用することにより、フォトレジスト膜RP2の開口部RP2a内を埋める(埋め込む)ように、導電体膜13を形成する。導電体膜13は、バンプ電極用のめっき膜であり、好ましくは金膜(金めっき膜)からなる。パッドPD1の上面と絶縁膜11の上面とで形成される平坦な面FS1上にUBM膜12を介して導電体膜13がめっき法で形成されているので、導電体膜13の上面13a(後でバンプ電極BP1の上面BP1aとなる面)は平坦である。これは、下地(UBM膜12およびその下の平坦な面FS1)に段差がなく平坦であるため、導電体膜13の下面が平坦面になり、導電体膜13の上面13aも平坦になるためである。
次に、図17に示されるように、フォトレジスト膜RP2(レジストパターン)を除去する。これにより、フォトレジスト膜RP2の下に位置していたUBM膜12が露出する。
次に、図18に示されるように、導電体膜13をエッチングマスクとして、露出したUBM膜12(すなわち導電体膜13で覆われていないUBM膜12)をエッチングにより除去する。これにより、導電体膜13の下のUBM膜12は残存するが、導電体膜13で覆われていなかった領域のUBM膜12は除去される。このようにして、UBM膜12およびその上の導電体膜13よりなるバンプ電極BP1が、パッドPD1及び絶縁膜11の一部を覆うように、パッドPD1上に形成される。その後、必要に応じて半導体基板SW1に熱処理(アニール)を施すことにより、バンプ電極BP1を構成する導電体膜13を安定した結晶にすることができる。
保護膜14を形成している場合、バンプ電極BP1の高さ(厚み)H1は、保護膜14の厚みT5よりも大きくしておく(H1>T5)。ここで、バンプ電極BP1の高さ(厚み)H1は、パッドPD1の上面と絶縁膜11の上面とで形成された平坦な面を基準にしてそこからバンプ電極BP1の上面BP1aまでの高さ(寸法、距離)に対応する。バンプ電極BP1の高さH1を保護膜14の厚みT5よりも大きく(H1>T5)しておくことで、保護膜14が邪魔にならずにバンプ電極BP1を端子(半導体チップCP1を搭載する基板の端子)に接続することができるようになる。
その後、必要に応じて半導体基板SW1の裏面研削を行ってから、ダイシングなどにより半導体基板SW1を切断して各半導体チップCP1に分離する。このようにして、個片化された半導体チップCP1が得られる。
図19は、第1の比較例の半導体チップ(半導体装置)CP101の要部断面図であり、本実施の形態の半導体チップCP1の上記図1にほぼ相当するものである。図20および図21は、第1の比較例の半導体チップCP101の製造工程中の要部断面図である。図22は、第1の比較例の半導体チップCP101における課題を説明するための説明図(断面図)である。
図19に示される第1の比較例の半導体チップ(半導体装置)CP101では、半導体基板(上記半導体基板SW1に相当するもの)の上部に絶縁膜106(上記絶縁膜6に相当するもの)が形成され、絶縁膜106上にパッドPD101(上記パッドPD1に相当するもの)が形成されている。そして、絶縁膜106上に、パッドPD101を覆うようにパッシベーション膜111(上記絶縁膜11に対応するもの)が形成され、パッシベーション膜111には、その底部でパッドPD101の一部を露出する開口部111bが形成され、開口部111bの底部で露出するパッドPD101上に、バンプ電極BP101(上記バンプ電極BP1に相当するもの)が形成されている。バンプ電極BP101は、UBM膜112(上記UBM膜12に相当するもの)と、その上の金めっき膜113(上記導電体膜13に相当するもの)とで形成されている。第1の比較例の半導体チップCP101では、パッシベーション膜111の厚みは、パッドPD101の厚みよりも薄くなっている。
第1の比較例の半導体チップCP101は、次のようにして形成することができる。図20に示されるように、半導体基板の上部に形成された絶縁膜106上に、窒化チタン膜109、アルミニウム膜110および窒化チタン膜109aの積層膜を形成し、これをパターニングすることで、パッドPD101を形成する。それから、絶縁膜106上に、パッドPD101を覆うように、パッシベーション膜111を形成する。次に、図21に示されるように、パッシベーション膜111に開口部111bを形成し、開口部111bの底部でアルミニウム膜110の上面を露出させる。その後、上記図19に示されるように、パッシベーション膜111の開口部111bから露出するパッドPD101上にバンプ電極BP101を形成する。
本発明者が検討したところ、第1の比較例の半導体チップCP101では、以下のような課題があることが分かった。
バンプ電極BP101を有する半導体チップCP101をボンディングする場合、図22に示されるように、半導体チップCP101のバンプ電極BP101をチップ搭載用基板(基板、実装基板)の導体部であるリード(電極、端子)LD101に接続するが、この際、バンプ電極BP101に荷重(圧力)が印加される。すなわち、図22で矢印151で示される方向の荷重(圧力)が、リードLD101を介してバンプ電極BP101に印加される。バンプ電極BP101に荷重(圧力)が印加されると、バンプ電極BP101の下に位置するパッドPD101には、横方向に変形しようとする応力が発生する、すなわち、パッドPD101において、図22で矢印152で示される方向に変形しようとする応力が発生する。このパッドPD101の応力によって、パッシベーション膜111にクラック153が発生する可能性がある。パッシベーション膜111のこのクラック153は、パッドPD101の上面端部(角部)154を基点として発生しやすい。これは、パッシベーション膜111がパッドPD101に重なっているため、パッシベーション膜111がパッドPD101の上面からの圧力とパッド部の変形を伴うため、角部(パッドPD101の上面端部154)に接している箇所を基点として、パッシベーション膜111にクラック153が発生しやすいためである。
また、第1の比較例の半導体チップCP101では、図22に示されるように、パッドPD101上にパッシベーション膜111が乗り上げた構造であるため、パッドPD101の端部近傍の上部において、バンプ電極BP101とパッドPD101との間にパッシベーション膜111の一部が挟み込まれた構造となっている。この構造だと、バンプ電極BP101に荷重が印加されると、バンプ電極BP101とパッドPD101との間に挟まれたパッシベーション膜111にクラック155が発生する可能性がある。
パッシベーション膜111にクラック(上記クラック153,155)が生じると、半導体装置(半導体チップ)の耐湿性が低下し、半導体装置(半導体チップ)の信頼性を低下させる可能性がある。また、パッシベーション膜111にクラック(上記クラック153,155)が生じると、このクラックを基点として、パッシベーション膜111とパッドPD101との界面や、更にはパッドPD101と絶縁膜106との界面に剥離が進行する可能性がある。これは、パッドPD101の剥離の原因となり、バンプ電極の接続強度が弱くなって、半導体チップCP101の信頼性を低下させる可能性がある。このため、半導体装置(半導体チップ)の信頼性の向上のために、パッシベーション膜111にクラックが生じるのを抑制または防止できる構造が望まれる。
パッシベーション膜111の強度は、厚みを厚くするほど強くなるため、パッシベーション膜111におけるクラックの発生を抑制するためにパッシベーション膜111の厚みを厚くすることが考えられる。
図23は、第2の比較例の半導体チップ(半導体装置)CP201の要部断面図であり、上記第1の比較例の図19に相当するものである。
図23に示される第2の比較例の半導体チップCP201は、上記第1の比較例の半導体チップCP101において、パッシベーション膜111の厚みを厚くしたものに対応する。すなわち、第1の比較例の半導体チップCP101では、パッシベーション膜111の厚みをパッドPD101の厚みよりも薄くしていたが、図23に示される第2の比較例の半導体チップCP201では、パッシベーション膜111の厚みをパッドPD101の厚みよりも厚くしている。
図19に示される第1の比較例の半導体チップCP101に比べて、図23に示される第2の比較例の半導体チップCP201は、パッシベーション膜111の厚みを厚くしたことにより、図22に参照して説明したようなパッシベーション膜111のクラック153,155の発生を抑制している。
しかしながら、パッシベーション膜111の厚みを厚くすると、バンプ電極BP201の上面の段差S1が大きくなってしまう。第1および第2の比較例の半導体チップCP101,CP201および後述の第3の比較例の半導体チップCP301において、バンプ電極BP101,BP201,BP301の上面が平坦ではなく、段差(窪み、凹凸)が生じているのは、パッドPD101の上面とパッシベーション膜111の上面との間に段差があり、この段差に起因して、金めっき膜113の上面に段差が生じてしまうためである。そして、第1の比較例の半導体チップCP101よりも第2の比較例の半導体チップCP201の方が、パッドPD101の上面とパッシベーション膜111の上面との間の段差が大きい分、バンプ電極の上面の段差S1も大きくなる。バンプ電極BP201の上面の段差S1が大きいほど、半導体チップCP201のバンプ電極BP201とチップ搭載用基板のリード(上記リードLD101に対応するもの)との接続が安定しにくくなる。また、バンプ電極の上面の段差S1が大きいと、接続時に、より大きな荷重が必要になるため、バンプ電極に印加される荷重が大きくなり、かえって上記パッシベーション膜111のクラック153,155を発生しやすくする可能性がある。
図24は、第3の比較例の半導体チップ(半導体装置)CP301の要部断面図であり、上記第1の比較例の図19に相当するものである。図25〜図27は、第3の比較例の半導体チップCP301の製造工程中の要部断面図である。
図24に示される第3の比較例の半導体チップ(半導体装置)CP301では、第2の比較例の半導体チップCP201のように厚く形成しているが、この厚いパッシベーション膜111の上面を平坦化している。
図24に示される第3の比較例の半導体チップCP301を製造するには、図25に示されるように、半導体基板の上部に形成された絶縁膜106上にパッドPD101を形成してから、絶縁膜106上に、パッドPD101を覆うように、パッドPD101よりも厚いパッシベーション膜111を形成する。次に、図26に示されるように、CMPでパッシベーション膜111の上面を平坦化する。次に、図27に示されるように、パッシベーション膜111に開口部111bを形成して開口部111bの底部でアルミニウム膜110の上面を露出させる。その後、パッシベーション膜111の開口部111bから露出するパッドPD101上にバンプ電極BP301を形成することで、図24の構造を得ることができる。
図24に示される第3の比較例の半導体チップCP301では、パッシベーション膜111をCMP処理しているが、パッドPD101の上面とパッシベーション膜111の上面との間に段差があるため、それを反映してバンプ電極BP301の上面に段差S2が生じている(すなわちS2>0となっている)。パッシベーション膜111をCMP処理した分、第3の比較例の半導体チップCP301のバンプBP301の上面における段差S2は、上記第2の比較例の半導体チップCP201のバンプ201の上面における段差S1よりも小さくなる(S2<S1)。しかしながら、半導体チップのバンプ電極とチップ搭載用基板のリード(上記リードLD101に対応するもの)との接続をより安定させるためには、バンプ電極の上面における段差を無くす(すなわちS1,S2=0とする)ことが好ましい。
また、図24に示される第3の比較例の半導体チップCP301では、パッシベーション膜111をCMP処理した分、パッドPD101の上面端部154からパッシベーション膜111の上面までの距離が、第2の比較例の半導体チップCP201よりも短くなる。このため、第2の比較例の半導体チップCP201に比べて、図24に示される第3の比較例の半導体チップCP301は、パッドPD101の上面端部154を基点とした上記クラック153が生じやすくなってしまう。
また、図24に示される第3の比較例の半導体チップCP301でも、パッドPD101上にパッシベーション膜111が延在する構造であるため、バンプ電極BP301に荷重が印加されると、バンプ電極BP301とパッドPD101との間に挟まれたパッシベーション膜111に上記クラック155が発生する可能性がある。
このため、パッシベーション膜111における上記クラック153,155の発生を抑制でき、かつバンプ電極の上面における段差を無くせる構造が望まれる。
図28は、第4の比較例の半導体チップ(半導体装置)CP401の要部断面図であり、上記第1の比較例の図19に相当するものである。図29〜図31は、第4の比較例の半導体チップCP401の製造工程中の要部断面図である。
図28に示される第4の比較例の半導体チップCP401では、パッシベーション膜111は、絶縁膜106上に、パッドPD401に平面的に重ならないように形成されており、パッドPD401の上面PD401aとパッシベーション膜111の上面111aとは、連続的な平坦な面を形成している。そして、パッドPD401の上面の一部上にバンプ電極BP401が形成されている。このバンプ電極BP401は、パッドPD401に平面的に内包されるように、パッドPD401の平面寸法よりも小さく形成されている。このため、バンプ電極BP401の下面(すなわちUBM膜112の下面)は、パッドPD401の上面PD401a(すなわちアルミニウム膜110の上面)にのみ接しており、パッシベーション膜111の上面111aとは接しておらず、パッドPD401の上面PD401aの一部(周辺部)は、バンプ電極BP401で覆われずに露出されている。
第4の比較例の半導体チップCP401は、次のようにして形成することができる。本実施の形態とほぼ同様の工程を行って、本実施の形態の上記図12に対応する図29の構造が得られる。図29では、パッシベーション膜111の上面111aおよびパッドPD401の上面PD401aは平坦化されている。
次に、図30に示されるように、パッドPD401の上面上を含むパッシベーション膜111の上面全面に、UBM膜112を形成する。それから、開口部RP402aを有するフォトレジスト膜RP402をUBM膜112上に形成する。この際、パッドPD401の一部のみの上部を開口するように、フォトレジスト膜RP402に開口部RP402aが形成されている。すなわち、パッドPD401が、フォトレジスト膜RP402の開口部RP402aを平面的に内包している。
次に、UBM膜112を電極とした電解(電界)めっき法を使用することにより、フォトレジスト膜RP402の開口部RP402a内を埋め込むように金めっき膜113を形成する。
次に、図31に示されるように、フォトレジスト膜RP402を除去する。これにより、フォトレジスト膜RP402の下に位置していたUBM膜112が露出する。
その後、金めっき膜113をエッチングマスクとして、露出したUBM膜112(すなわち金めっき膜113で覆われていないUBM膜112)をエッチングにより除去することで、UBM膜112およびその上の金めっき膜113よりなるバンプ電極BP401が、パッドPD401上に形成されて、図28の構造が得られる。
図28に示される第4の比較例の半導体チップCP401では、パッドPD401の平坦な上面PD401a上にバンプ電極が形成されているので、バンプ電極BP401の上面を平坦にすることができる。更に、パッシベーション膜111は、パッドPD401に平面的に重ならないように形成されており、パッドPD401の上面PD401aはパッシベーション膜111で覆われていない。このため、パッシベーション膜111の上記クラック153,155を抑制または防止することができる。
しかしながら、図28に示される第4の比較例の半導体チップCP401では、次のような課題があることが、本発明者の検討により分かった。
上述のように、図31の構造が得られた後、金めっき膜113をエッチングマスクとしてUBM膜112をエッチングする。この際、UBM膜112のエッチング不足でパッシベーション膜111上にUBM膜112が残存すると、バンプ電極BP401間のショートを招く可能性があるため、UBM膜112はオーバーエッチング気味にエッチングする必要がある。このため、金めっき膜113で覆われていない領域のUBM膜112がエッチングにより除去されると、下地のパッドPD401の上面(すなわちアルミニウム膜110の上面)が露出され、これもエッチングされてしまう可能性がある。バンプ電極BP401で覆われていない領域のパッドPD401の上面(すなわちアルミニウム膜110の上面)がエッチングされると、断線不良、バンプはがれや耐湿性が低下するなど、半導体チップ(半導体装置)の信頼性が低下する可能性がある。半導体チップの信頼性向上のためには、UBM膜112のエッチング時に、パッド電極を構成するアルミニウム膜がエッチングされない構造とすることが必要である。
図32は、本実施の形態の半導体チップCP1をボンディングする場合の説明図であり、上記第1の比較例の図22に対応するものである。なお、図32には、上記保護膜14の形成を省略した場合が図示されているが、保護膜14を形成した場合も同様に考えることができる。また、図面の簡略化のために、図32では、絶縁膜6よりも下の構造とプラグ8の図示を省略している。
図32に示されるように、半導体チップCP1のバンプ電極BP1をチップ搭載用基板(基板、実装基板)の導体部であるリード(電極、端子)LD1に接続するが、この際、バンプ電極BP1に荷重(圧力)が印加される。すなわち、図32で矢印51で示される方向の荷重(圧力)が、リードLD1を介してバンプ電極BP1に印加される。バンプ電極BP1に荷重(圧力)が印加されると、バンプ電極BP1の下に位置するパッドPD1には、横方向に変形しようとする応力が発生する。すなわち、パッドPD1において、図32で矢印52で示される方向に変形しようとする応力が発生する。
上述したように、上記第1、第2および第3の比較例の半導体チップCP101,201,301では、パッド101を覆うようにパッシベーション膜111が形成されているため、バンプ電極に荷重が印加されることでパッドPD1に横方向の応力が発生すると、パッドPD101の上面端部(角部)154を基点としてパッシベーション膜111にクラック153が発生しやすい。また、パッドPD101上にパッシベーション膜111が乗り上げた構造であるため、バンプ電極に荷重が印加されると、バンプ電極とパッドPD101との間に挟まれたパッシベーション膜111にクラック155が発生する可能性がある。
それに対して、本実施の半導体チップ(半導体装置)CP1では、絶縁膜11は、絶縁膜6上に、パッドPD1に平面的に重ならないように形成されている。すなわち、パッドPD1の側面が絶縁膜11で覆われているが、パッドPD1の上面PD1aは、絶縁膜11で覆われていない。換言すれば、絶縁膜11は、角部(パッドPD1の上面端部54)を越えてパッドPD1の上面PD1a上に延在してはいない。このため、バンプBP1に荷重(圧力)が印加されることで、たとえパッドPD1において、図32で矢印52で示される方向に変形しようとする応力が発生したとしても、パッドPD1の応力を絶縁膜11の側面で受けることができ、パッドPD1の上面端部(角部)54は、絶縁膜11のクラックの基点にはなりにくいため、絶縁膜11にクラック(上記クラック153に相当するもの)が発生するのを抑制または防止することができる。また、本実施の形態では、パッドPD1の上面PD1a上に絶縁膜11が存在せず、パッドPD1とバンプ電極BP1との間に絶縁膜11は挟まれていないため、バンプBP1に荷重(圧力)が印加されても、絶縁膜11に上記クラック155に相当するものが発生するのを防止することができる。
従って、絶縁膜11のクラックによって引き起こされ得るパッドPD1の剥離を防止でき、バンプ電極の接続強度を高めて、半導体チップCP1(半導体装置)の信頼性を向上させることができる。絶縁膜11にクラックが発生するのを抑制または防止できるため、半導体チップCP1の耐湿性を向上させ、半導体チップCP1(半導体装置)の信頼性を向上させることができる。
また、本実施の形態の半導体チップCP1では、バンプ電極BP1は、パッドPD1の上面PD1aと絶縁膜11の上面11aとで形成される平坦な面FS1上に形成されている。そして、バンプ電極BP1の下面が、パッドPD1の上面PD1a全面と絶縁膜11の上面11aの一部とに接するようにしている。バンプ電極BP1は平坦な面FS1上に形成されているため、バンプ電極BP1の下面(UBM膜12の下面)は平坦であり、それによって、バンプ電極BP1の上面BP1aを平坦とすることができる。本実施の形態では、バンプ電極BP1の上面BP1aを平坦面とすることで、半導体チップCP1のバンプ電極BP1とチップ搭載用基板のリード(上記リードLD1に対応するもの)との接続を安定させることができる。これにより、半導体チップCP1のバンプ電極BP1の接続信頼性を向上させることができる。
また、バンプ電極BP1の上面BP1aを平坦面としたことで、大きな荷重を印加しなくとも、半導体チップCP1のバンプ電極BP1とチップ搭載用基板のリード(上記リードLD1に対応するもの)とを接続することができるようになる。接続時にバンプ電極BP1に印加される荷重を抑制できるため、絶縁膜11にクラックが発生するのを、更に抑制することができる。
更に、本実施の形態では、バンプ電極BP1の下面BP1b(すなわちUBM膜12の下面)は、パッドPD1の上面PD1a全面(すなわちアルミニウム膜10の上面全面)と絶縁膜11の上面11aの一部とに接している。これは、バンプ電極BP1の下面BP1bが、パッドPD1の上面PD1aを平面的に内包しているためである。パッドPD1の上面PD1の全面上にバンプ電極BP1が存在するため、上記図17から上記図18にかけて行うUBM膜12のエッチング工程で、パッドPD1の上面(すなわちアルミニウム膜10の上面)がエッチングされるのを防止することができる。これにより、半導体チップCP1(半導体装置)の信頼性を向上させることができる。
(実施の形態2)
本実施の形態では、上記実施の形態1で説明した半導体チップCP1を用いた半導体装置(半導体パッケージ)PKG1およびその製造方法(製造工程)について、図面を参照して説明する。
図33は、本実施の形態の半導体装置PKG1の断面図(側面断面図)である。図34は、半導体装置PKG1で使用されているテープキャリア61の平面図(上面図)である。なお、図33の断面位置は、図34のB−B線の断面に相当するものである。
本実施の形態は、配線パターンが形成された絶縁フィルムからなるテープキャリア(フィルムキャリア、テープ基板、フィルム基板)に半導体チップCP1を実装(搭載)したTCP(Tape Carrier Package)形態の半導体装置に本発明を適用したものである。TCPは、例えば液晶表示装置のLCD(Liquid Crystal Display)パネルなどに実装されて使用される。
図33に示される本実施の形態の半導体装置(半導体パッケージ)PKG1は、TCPまたはTCP形態の半導体装置であり、半導体チップCP1をテープキャリア(フィルムキャリア、テープ基板、フィルム基板、フレキシブル配線基板、配線基板)61上に実装(搭載)した構造を有している。半導体チップCP1については、上記実施の形態1で詳細に説明したので、ここではその説明は省略する。また、テープキャリア61は、半導体チップCP1を搭載(実装)するための基板とみなすことができる。
テープキャリア61は、例えばポリイミドなどからなる絶縁性のベースフィルム(絶縁フィルム、絶縁性の基材層)62と、ベースフィルム62の表面上に、接着材層(図示せず)を介して形成(接着)された複数の配線(配線パターン、導体パターン)63とを有している。この複数の配線63は、ベースフィルム62(絶縁性の基材層)に接着材層を介して接着された導体層(のパターン)からなる。
ベースフィルム62は、可撓性で軟らかく、折り曲げが可能である。ベースフィルム62の両サイドには、テープキャリア61を送るために使用されるスプロケットホール(図示せず)を形成することもできる。配線63の保護や絶縁のために、テープキャリア61の表面上に、配線63を覆うようにソルダレジスト層(図示せず)を形成することもできる。また、ベースフィルム62には、半導体チップCP1を搭載するための領域にデバイスホール(開口部)64が形成されている。各配線63の一方の端部であるインナリード部(導体部)63aは、デバイスホール64で空中に飛び出した状態で露出され、そこに半導体チップCP1のバンプ電極BP1が電気的に接続されている。
半導体チップCP1には複数のバンプ電極BP1が設けられ、デバイスホール64には複数のインナリード部63aが配置されており、各バンプ電極BP1が、それに対応するインナリード部63aにそれぞれ接続されている。
ここで、テープキャリア61に形成された配線63(導体パターン)のうち、半導体チップCP1のバンプ電極BP1に接続する部分を、インナリード部63aと呼ぶ。インナリード部63aは、半導体チップCP1を搭載する基板(ここではテープキャリア61)の導体部であり、半導体チップCP1のバンプ電極BP1を接続するための導体部とみなすことができる。
配線63のインナリード部63aと半導体チップCP1のバンプ電極BP1との接続部などが封止樹脂部65で覆われて保護されている。配線63の入力側のアウタリード部(外部接続用端子、インナリード部63aとは逆側の端部)66aおよび出力側のアウタリード部(外部接続用端子、インナリード部63aとは逆側の端部)66bは、ベースフィルム62に裏打ちされた状態で(ソルダレジスト層から)露出され、外部回路(例えばLCDパネル)などに接続するために使用される。
このように、本実施の形態の半導体装置PKG1は、バンプ電極BP1を有する半導体チップCP1と、半導体チップCP1を搭載する基板(ここではテープキャリア61)とを備え、半導体チップCP1を搭載する基板(ここではテープキャリア61)の導体部(ここではインナリード部63a)に半導体チップCP1のバンプ電極BP1が電気的に接続された半導体装置である。
次に、本実施の形態の半導体装置PKG1の製造工程について説明する。
図35、図38および図39は、本実施の形態の半導体装置PKG1の製造工程を示す断面図(要部断面図)である。図36および図37は、半導体チップCP1の切断工程を示す断面図(要部断面図)である。なお、図35、図38および図39の断面図には、上記図33にほぼ対応する位置の断面が示されている。
半導体装置PKG1を製造するには、まず、図35に示されるように、テープキャリア(フィルムキャリア、フレキシブル配線基板)61を準備する。テープキャリア61は、例えば次にようにして製造することができる。
まず、種々の孔(デバイスホール64を含む)が打ち抜きなどにより必要に応じて形成されたベースフィルム62の一方の主面上に、接着材層を形成(塗布)し、この接着材層を介してベースフィルム62に銅箔などの導電体層を貼り付けてから、この導電体層をエッチングなどによりパターニングする。パターニングされた導電体層により、テープキャリア61の配線63(インナリード部63aおよびアウタリード部66a,66bを含む)が形成される。その後、必要に応じて配線63の表面にめっき層を形成してから、ベースフィルム62の表面に配線63を部分的に覆い、インナリード部63aおよびアウタリード部66a,66bが露出するようにソルダレジスト層(図示せず)を形成する。このようにして、テープキャリア61を形成することができる。
また、半導体チップCP1を準備する。半導体チップCP1を準備するには、上記実施の形態1で図3〜図18を参照して説明したようにしてバンプ電極BP1形成工程まで行った後、必要に応じて半導体基板SW1の裏面研削を行ってから、図36に示されるように、半導体基板SW1の裏面(バンプBP1形成側の主面とは反対側の主面)をダイシングテープ68に貼り付ける。それから、図37に示されるように、半導体基板SW1を切断(ダイシング)して、各半導体チップCP1に分離する。各半導体チップCP1をダイシングテープ68からピックアップして、後述するテープキャリア61への半導体チップCP1の搭載工程を行うことができる。半導体チップCP1の準備工程は、テープキャリア61の準備工程よりも後に行っても、前に行っても、あるいは同時に行ってもよい。
半導体チップCP1を搭載するための基板であるテープキャリア61と、バンプ電極BP1を有する半導体チップCP1とを準備した後、図38に示されるように、テープキャリア61の所定の位置(デバイスホール64のインナリード部63a)に半導体チップCP1を搭載(ダイボンディング、インナリードボンディング)する。テープキャリア61に半導体チップCP1をボンディングする際には、配線63のインナリード部63aに、半導体チップCP1のバンプ電極BP1が、熱圧着または超音波ボンディングにより接合され、電気的に接続される。
インナリード部63aに半導体チップCP1のバンプ電極BP1を熱圧着する場合には、熱および荷重を加えて、半導体チップCP1のバンプ電極BP1をテープキャリア61のインナリード部63aに接続する。また、インナリード部63aに半導体チップCP1のバンプ電極BP1を超音波ボンディングする場合には、熱および荷重と更に超音波振動(超音波)も加えて、半導体チップCP1のバンプ電極BP1をテープキャリア61のインナリード部63aに接続する。
このようにして、半導体チップCP1をテープキャリア61(半導体チップCP1を搭載するための基板)に搭載し、半導体チップCP1のバンプ電極BP1をテープキャリア61のインナリード部63a(導体部)に電気的に接続することができる。
次に、図39に示されるように、封止樹脂部65を形成する。封止樹脂部65は、例えば熱硬化性樹脂材料などの樹脂材料などからなり、フィラーなどを含むこともできる。封止樹脂部65は、ポッティング法あるいは金型を用いた成型法などを用いて形成することができる。テープキャリア61のインナリード63aと半導体チップCP1のバンプ電極BP1の接続部などが封止樹脂部65で覆われて保護される。封止樹脂部65により、テープキャリア61と半導体チップCP1の接続が強固になり、インナリード部63aと半導体チップCP1のバンプ電極BP1との電気的接続の信頼性が向上する。その後、必要に応じてマーキングや検査工程などが行われた後、テープキャリア61を所定の位置で切断して、各個片の半導体装置PKG1(TCP形態の半導体装置)に分割(分離)する。このようにして、上記図33の半導体装置PKG1が製造される。
本実施の形態では、半導体チップCP1のバンプ電極BP1をテープキャリア61のインナリード63aに接続するが、この際、上記図32を参照して説明したように、バンプ電極BP1に荷重が印加される。なお、本実施の形態では、テープキャリア61のインナリード63aが、上記図32のリードLD1に対応する。このバンプ電極への荷重の印加により、上記図22を参照して説明したように、半導体チップのパッシベーション膜に上記クラック153,155が発生する可能性がある。
しかしながら、本実施の形態では、上記実施の形態1の半導体チップCP1を用いているため、バンプ電極BP1に荷重が印加されても、上記実施の形態1で説明したように、半導体チップCP1の絶縁膜11にクラックが発生するのを抑制または防止することができる。このため、半導体チップCP1のバンプ電極BP1をテープキャリア61のインナリード63aに接続する際に、半導体チップCP1の絶縁膜11(パッシベーション膜)にクラックが発生するのを防止でき、半導体チップCP1およびそれを搭載した半導体装置PKG1の信頼性を向上させることができる。
また、半導体チップCP1においては、バンプ電極BP1の上面(すなわちインナリード63aとの接続面)を平坦にしているので、半導体チップCP1のバンプ電極BP1をテープキャリア61のインナリード63aに接続した際に、半導体チップCP1のバンプ電極BP1とテープキャリア61のインナリード63aとの接続を安定させることができる。このため、半導体チップCP1のバンプ電極BP1とテープキャリア61のインナリード63aとの接続信頼性を向上させることができ、半導体チップCP1およびそれを搭載した半導体装置PKG1の信頼性を向上させることができる。
また、インナリード部63aに半導体チップのバンプ電極を接続する際に、熱および荷重を印加する場合(熱圧着の場合)に比べて、更に超音波振動も印加する場合(超音波ボンディング)の方が、パッシベーション膜の上記クラック153,155が超音波振動によって促進され、発生しやすくなる。本実施の形態では、上記実施の形態1で説明したような構造の半導体チップCP1を用いることで、インナリード部63aに半導体チップCP1のバンプ電極BP1を接続する際に、熱および荷重だけでなく、更に超音波振動が印加された場合であっても、半導体チップCP1の絶縁膜11にクラックが発生するのを抑制または防止することができる。このため、本実施の形態は、インナリード部63aに半導体チップCP1のバンプ電極BP1を接続する際に、超音波振動(超音波)も印加する場合に適用すれば、その効果は極めて大きい。
(実施の形態3)
本実施の形態では、上記実施の形態1で説明した半導体チップCP1を用いた他の形態の半導体装置(半導体パッケージ)PKG2およびその製造方法(製造工程)について、図面を参照して説明する。
図40は、本実施の形態の半導体装置PKG2の断面図(側面断面図)である。
本実施の形態は、配線パターンが形成された絶縁フィルムからなるテープ基板(テープキャリア、フィルムキャリア、フィルム基板)に半導体チップCP1を実装(搭載)したCOF(Chip On Film)形態の半導体装置に本発明を適用したものである。
図40に示される本実施の形態の半導体装置(半導体パッケージ)PKG2は、COF形態の半導体装置であり、半導体チップCP1をテープ基板(テープキャリア、フィルムキャリア、フィルム基板、フレキシブル配線基板、配線基板)71上に実装(搭載)した構造を有している。半導体チップCP1については、上記実施の形態1で詳細に説明したので、ここではその説明は省略する。また、テープ基板71は、半導体チップCP1を搭載(実装)するための基板とみなすことができる。
テープ基板71は、例えばポリイミドなどからなる絶縁性のベースフィルム(絶縁フィルム、絶縁性の基材層)72と、ベースフィルム72の表面上に、接着材層(図示せず)を介して形成(接着)された複数の配線(配線パターン、導体パターン)73とを有している。この複数の配線73は、ベースフィルム72(絶縁性の基材層)に接着材層を介して接着された導体層(のパターン)からなる。
ベースフィルム72は、可撓性で軟らかく、折り曲げが可能である。ベースフィルム72の両サイドには、テープ基板71を送るために使用されるスプロケットホール(図示せず)を形成することもできる。配線73の保護や絶縁のために、テープ基板71の表面上に、配線73を覆うようにソルダレジスト層(図示せず)を形成することもできる。インナリード部(導体部)73aは、このソルダレジスト層から露出されている。
ここで、テープ基板71に形成された配線73(導体パターン)のうち、半導体チップCP1のバンプ電極BP1に接続する部分を、インナリード部73aと呼ぶ。インナリード部73aは、半導体チップCP1を搭載する基板(ここではテープ基板71)の導体部であり、半導体チップCP1のバンプ電極BP1を接続するための導体部とみなすことができる。
上記実施の形態2では、ベースフィルム62の半導体チップCP1を搭載するための領域に上記デバイスホール64を形成し、デバイスホール64に飛び出した状態のインナリード部63aに半導体チップCP1のバンプ電極BP1を接続していた。それに対して、本実施の形態では、ベースフィルム72の半導体チップCP1を搭載するための領域にデバイスホール(上記デバイスホール64に相当するもの)を形成せずに、インナリード部73aがベースフィルム72により裏打ちされた状態(インナリード部73aが接着材層を介してベースフィルム72上に形成された状態)とし、このインナリード部73aに半導体チップCP1のバンプ電極BP1を接続している。
半導体チップCP1には複数のバンプ電極BP1が設けられ、テープ基板71には複数のインナリード部73aが配置されており、各バンプ電極BP1が、それに対応するインナリード部73aにそれぞれ接続されている。
半導体チップCP1の表面(バンプBP1形成側の主面)とテープ基板71の上面(半導体チップCP1搭載側の主面)との間にはアンダーフィル樹脂(封止樹脂部)75が充填されている。アンダーフィル樹脂75によって、テープ基板71のインナリード部73aと半導体チップCP1のバンプ電極BP1との接続部が覆われて保護される。
また、上記アウタリード部66a,66bと同様のアウタリード部が、テープ基板71の配線73によって形成されている。
このように、本実施の形態の半導体装置PKG2は、バンプ電極BP1を有する半導体チップCP1と、半導体チップCP1を搭載する基板(ここではテープ基板71)とを備え、半導体チップCP1を搭載する基板(ここではテープ基板71)の導体部(ここではインナリード部73a)に半導体チップCP1のバンプ電極BP1が電気的に接続された半導体装置である。
次に、本実施の形態の半導体装置PKG2の製造工程について説明する。
半導体装置PKG2を製造するには、まず、図41に示されるように、テープ基板71を準備する。テープ基板71は、デバイスホール64を形成しないこと以外は、上記テープキャリア61とほぼ同様にして製造することができる。
また、上記実施の形態2と同様にして半導体チップCP1を準備する。半導体チップCP1の準備工程は、テープ基板71の準備工程よりも後に行っても、前に行っても、あるいは同時に行ってもよい。
半導体チップCP1を搭載するための基板であるテープ基板71と、バンプ電極BP1を有する半導体チップCP1とを準備した後、図42に示されるように、テープ基板71の所定の位置(インナリード部73a)に半導体チップCP1を搭載(ダイボンディング、インナリードボンディング)する。テープ基板71に半導体チップCP1をボンディングする際には、インナリード部73aに、半導体チップCP1のバンプ電極BP1が、熱圧着または超音波ボンディングにより接合され、電気的に接続される。
インナリード部73aに半導体チップCP1のバンプ電極BP1を熱圧着する場合には、熱および荷重を加えて、半導体チップCP1のバンプ電極BP1をテープ基板71のインナリード部73aに接続する。また、インナリード部73aに半導体チップCP1のバンプ電極BP1を超音波ボンディングする場合には、熱および荷重と更に超音波振動(超音波)も加えて、半導体チップCP1のバンプ電極BP1をテープ基板71のインナリード部73aに接続する。
このようにして、半導体チップCP1をテープ基板71(半導体チップCP1を搭載するための基板)に搭載し、半導体チップCP1のバンプ電極BP1をテープ基板71のインナリード部73a(導体部)に電気的に接続することができる。
次に、図43に示されるように、アンダーフィル樹脂75を形成する。アンダーフィル樹脂75は、例えば熱硬化性樹脂材料などの樹脂材料などからなり、フィラーなどを含むこともできる。アンダーフィル樹脂75は、半導体チップCP1の表面(バンプBP1形成側の主面)とテープ基板71の上面(半導体チップCP1搭載側の主面)との間に樹脂材料を充填し、これを硬化することで形成することができる。テープ基板71のインナリード部73aと半導体チップCP1のバンプ電極BP1の接続部がアンダーフィル樹脂75で覆われて保護される。アンダーフィル樹脂75により、テープ基板71と半導体チップCP1の接続が強固になり、インナリード部73aと半導体チップCP1のバンプ電極BP1との電気的接続の信頼性が向上する。その後、必要に応じてマーキングや検査工程などが行われた後、テープ基板71を所定の位置で切断して、各個片の半導体装置PKG2に分割(分離)する。このようにして、上記図40の半導体装置PKG2が製造される。
本実施の形態では、半導体チップCP1のバンプ電極BP1をテープ基板71のインナリード部73aに接続するが、この際、上記図32を参照して説明したように、バンプ電極BP1に荷重が印加される。なお、本実施の形態では、テープ基板71のインナリード部73aが、上記図32のリードLD1に対応する。このバンプ電極への荷重の印加により、上記図22を参照して説明したように、半導体チップのパッシベーション膜に上記クラック153,155が発生する可能性がある。
しかしながら、本実施の形態では、上記実施の形態1の半導体チップCP1を用いているため、バンプ電極BP1に荷重が印加されても、上記実施の形態1で説明したように、半導体チップCP1の絶縁膜11にクラックが発生するのを抑制または防止することができる。このため、半導体チップCP1のバンプ電極BP1をテープ基板71のインナリード部73aに接続する際に、半導体チップCP1の絶縁膜11(パッシベーション膜)にクラックが発生するのを防止でき、半導体チップCP1およびそれを搭載した半導体装置PKG2の信頼性を向上させることができる。
また、半導体チップCP1においては、バンプ電極BP1の上面(すなわちインナリード部73aとの接続面)を平坦にしているので、半導体チップCP1のバンプ電極BP1をテープ基板71のインナリード部73aに接続した際に、半導体チップCP1のバンプ電極BP1とテープ基板71のインナリード部73aとの接続を安定させることができる。このため、半導体チップCP1のバンプ電極BP1とテープ基板71のインナリード部73aとの接続信頼性を向上させることができ、半導体チップCP1およびそれを搭載した半導体装置PKG2の信頼性を向上させることができる。
また、上記実施の形態2では、デバイスホール64に飛び出した状態のインナリード部63aに半導体チップCP1のバンプ電極BP1を接続するため、直接インナリード部63aにボンディングツールを押し当てることができる。それに対して、本実施の形態では、インナリード部73aがベースフィルム72により裏打ちされた状態(インナリード部73aがベースフィルム72上に形成された状態)であるため、直接インナリード部63aにボンディングツールを押し当てることができない(ベースフィルム72が介在してしまう)。このため、上記実施の形態2に比べて、本実施の形態の方が、インナリードボンディング時に加える荷重を大きくする必要があるため、半導体チップCP1のバンプ電極BP1に印加される荷重も大きくなる。バンプ電極に印加される荷重が大きいほど、上記クラック153,155は発生しやすくなる。本実施の形態では、半導体チップCP1のバンプ電極BP1に荷重が印加されても、上記実施の形態1で説明したように、半導体チップCP1の絶縁膜11にクラックが発生するのを抑制または防止することができる。このため、本実施の形態のように、ベースフィルム72により裏打ちされたインナリード部73aに半導体チップのバンプ電極を接続する場合に、上記実施の形態1のような半導体チップCP1を適用すれば、その効果は極めて大きい。
また、インナリード部73aに半導体チップのバンプ電極を接続する際に、熱および荷重を印加する場合(熱圧着の場合)に比べて、更に超音波振動も印加する場合(超音波ボンディング)の方が、パッシベーション膜の上記クラック153,155が超音波振動によって促進され、発生しやすくなる。本実施の形態では、上記実施の形態1で説明したような構造の半導体チップCP1を用いることで、インナリード部73aに半導体チップCP1のバンプ電極BP1を接続する際に、熱および荷重だけでなく、更に超音波振動が印加された場合であっても、半導体チップCP1の絶縁膜11にクラックが発生するのを抑制または防止することができる。このため、本実施の形態は、インナリード部73aに半導体チップCP1のバンプ電極BP1を接続する際に、超音波振動(超音波)も印加する場合に適用すれば、その効果は極めて大きい。
(実施の形態4)
本実施の形態では、上記実施の形態1で説明した半導体チップCP1を用いた更に他の形態の半導体装置(電子装置、半導体パッケージ)PKG3およびその製造方法(製造工程)について、図面を参照して説明する。
図44は、本実施の形態の半導体装置PKG3の断面図(側面断面図)である。
本実施の形態は、ガラス基板に半導体チップCP1を実装(搭載)したCOG(Chip On Glass)形態の半導体装置に本発明を適用したものである。
図44に示される本実施の形態の半導体装置PKG3は、COG形態の半導体装置であり、半導体チップCP1をガラス基板81上に実装(搭載)した構造を有している。半導体チップCP1については、上記実施の形態1で詳細に説明したので、ここではその説明は省略する。また、ガラス基板81は、半導体チップCP1を搭載(実装)するための基板とみなすことができる。
図44に示されるように、ガラス基板81にはガラス基板82が搭載されており、これによりLCDの表示部が形成されている。そして、LCDの表示部の近傍のガラス基板81上には、半導体チップCP1が搭載(実装)されている。本実施の形態では、半導体チップCP1は、LCDドライバとして機能する半導体チップである。半導体チップCP1のバンプ電極BP1とガラス基板81上に形成された端子(電極、導体部)81a(ITO電極)とは異方性導電フィルム(ACF:Anisotropic Conductive Film)83aを介して接続されている。
端子81aは、半導体チップCP1を搭載する基板(ここではガラス基板81)の導体部であり、半導体チップCP1のバンプ電極BP1を接続(電気的に接続)するための導体部とみなすことができる。また、フレキシブル配線基板(フレキシブルプリント基板)84が、ガラス基板81上に形成された端子(電極)81b(ITO電極)に、異方性導電フィルム83bを介して接続されている。
ガラス基板81上に搭載された半導体チップCH1の複数のバンプ電極BP1のうち、出力用のバンプ電極は、異方性導電フィルム83a、端子81aおよび端子81aに接続された導体パターンを介して、LCDの表示部に電気的に接続されている。また、ガラス基板81上に搭載された半導体チップCH1の複数のバンプ電極BP1のうち、入力用のバンプ電極は、異方性導電フィルム83a,83b、端子81a,81bおよび端子81a,81b間を接続する導体パターンを介して、フレキシブル配線基板84に電気的に接続されている。
このように、本実施の形態の半導体装置PKG3は、バンプ電極BP1を有する半導体チップCP1と、半導体チップCP1を搭載する基板(ここではガラス基板81)とを備え、半導体チップCP1を搭載する基板(ここではガラス基板81)の導体部(ここでは端子81a)に半導体チップCP1のバンプ電極BP1が電気的に接続された半導体装置または電子装置である。
次に、本実施の形態の半導体装置(電子装置)PKG3の製造工程について説明する。
半導体装置PKG3を製造するには、図45に示されるように、半導体チップCP1を搭載するための基板であるガラス基板81を準備する。このガラス基板81にはガラス基板82が搭載されており、これによりLCDの表示部が形成される。
次に、図46に示されるように、ガラス基板81上に異方性導電フィルム83aを貼り付ける。異方性導電フィルム83aは、ガラス基板81の上面において、半導体チップCP1搭載予定領域に配置される。このため、異方性導電フィルム83aは、端子81aを覆うように、ガラス基板81上に配置される。
次に、半導体チップCP1とガラス基板81に形成されている端子81aとの位置合わせをして、半導体チップCP1を異方性導電フィルム83a上に搭載(仮圧着)する。これにより、半導体チップCP1は、異方性導電フィルム83aを介してガラス基板81上に配置される。
次に、図47に示されるように、半導体チップCP1のバンプ電極BP1とガラス基板81の端子81aとを異方性導電フィルム83aを介して接続する。具体的には、次のようにしてバンプ電極BP1と端子81aとが接続される。
異方性導電フィルム83aは、熱硬化性樹脂に導電性を持つ微細な金属粒子(導電性粒子)を混ぜ合わせ、膜状に成型したフィルムである。この金属粒子(導電性粒子)は、例えば、主に内側からニッケル層と金めっき層が形成され、最も外側に絶縁層を重ねた直径3μm〜5μmの球体から構成されている。この状態で、半導体チップCP1をガラス基板81に実装する際、異方性導電フィルム83aは、ガラス基板81の端子81aと半導体チップCP1のバンプ電極BP1の間に挟みこまれる。そして、ヒータなどで熱をかけながら半導体チップCP1を加圧する(半導体チップCP1をガラス基板81側に押し付ける)と、異方性導電フィルム83aにおいて、バンプ電極BP1にあたる部位にだけ圧力(荷重)がかかる。この圧力により、異方性導電フィルム83a内に分散している金属粒子(導電性粒子)が接触しながら重なり、金属粒子が互いに押し付けられる。この結果、バンプ電極BP1と端子81aとの間において、金属粒子(導電性粒子)によって異方性導電フィルム83aに導電経路が形成される。圧力がかからなかった異方性導電フィルム83aの部位にある金属粒子は、金属粒子の表面に形成されている絶縁層を保持しているため、横に並ぶバンプ電極BP1間の絶縁性は保持される。このため、バンプ電極BP1間の間隔が狭くても、短絡を起こさずに、半導体チップCP1をガラス基板81に実装することができる。
このようにして、半導体チップCP1をガラス基板81(半導体チップCP1を搭載するための基板)に搭載し、半導体チップCP1のバンプ電極BP1をガラス基板81の端子81a(導体部)に電気的に接続することができる。
次に、上記図44に示されるように、ガラス基板81とフレキシブル配線基板84を異方性導電フィルム83bによって接続する。
図48は、LCD(液晶表示装置91)の全体構成を示した説明図である。図48に示されるように、ガラス基板上にLCDの表示部92が形成されており、この表示部92に画像が表示される。表示部92の近傍のガラス基板上にはLCDドライバとしての半導体チップCP1が搭載されている。半導体チップCP1の近傍にはフレキシブル配線基板84が搭載されており、フレキシブル配線基板84とLCDの表示部92の間にドライバである半導体チップCP1が搭載されている。このようにして、半導体チップCP1をガラス基板上に搭載することができる。以上のようにして、液晶表示装置91にLCDドライバとしての半導体チップCP1を実装することができる。
本実施の形態では、半導体チップCP1のバンプ電極BP1をガラス基板81の端子81aに異方性導電フィルム83aを介して接続するが、この際、バンプ電極BP1に荷重(圧力)が印加される。このバンプ電極への荷重(圧力)の印加により、上記図22を参照して説明したように、半導体チップのパッシベーション膜に上記クラック153,155が発生する可能性がある。
しかしながら、本実施の形態では、上記実施の形態1の半導体チップCP1を用いているため、バンプ電極BP1に荷重が印加されても、上記実施の形態1で説明したように、半導体チップCP1の絶縁膜11にクラックが発生するのを抑制または防止することができる。このため、半導体チップCP1のバンプ電極BP1をガラス基板81の端子81aに異方性導電フィルム83aを介して接続する際に、半導体チップCP1の絶縁膜11(パッシベーション膜)にクラックが発生するのを防止でき、半導体チップCP1およびそれを搭載した半導体装置PKG3の信頼性を向上させることができる。
また、上記第1〜第3の比較例の半導体チップCP101,CP201,CP301のようにバンプ電極BP101の上面に段差(窪み)があると、異方性導電フィルム83aが含有している金属粒子(導電性粒子)により形成される導電経路が安定しづらい。それに対して、本実施の形態で使用した半導体チップCP1は、バンプ電極BP1の上面(すなわち異方性導電フィルム83aを介して端子81aに対向する面)が平坦である。このため、バンプ電極BP1の上面からなる平坦面と端子81aの上面からなる平坦面との間に、異方性導電フィルム83aが含有している金属粒子(導電性粒子)によって導電経路が形成されることになる。平坦面の間に、異方性導電フィルム83aが含有している金属粒子(導電性粒子)によって導電経路が形成されるので、バンプ電極BP1と端子81aとの間の導電経路が安定し、半導体チップCP1のバンプ電極BP1とガラス基板81の端子81aとの間の接続信頼性(異方性導電フィルム83aを介した接続信頼性)を向上させることができる。従って、半導体チップCP1およびそれを搭載した半導体装置PKG3の信頼性を向上させることができる。
以上、本発明者によってなされた発明をその実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。