JP5323602B2 - 車両の伝達部材配索構造 - Google Patents
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Description
近年の自動二輪車等の軽車両においては、ヘッドパイプ周辺にバッテリー等の部品を配置することが多く、ヘッドパイプ周辺の隙間にホース・ケーブル類を通すことが難しくなっている。特にフロントカバーとレッグシールドとを備える車両の場合には、ヘッドパイプ周辺の隙間が狭く、ホース・ケーブル類のレイアウトが難しい。一方、ヘッドパイプ周辺の隙間を広くするためにフロントカバー等を大型化するのは好ましくない。
この構成によれば、ヘッドパイプに、断面略U字状の板状のガイドであって、U字状の内部に伝達部材を収容するガイド部材を固定支持したので、ガイド部材により伝達部材の移動範囲を規制して必要以上に動き回るのを回避でき、伝達部材をコンパクトに配置できる。また、ガイド部材が、断面略U字状の板状のガイドに形成されるので、伝達部材をその長手方向に長い範囲でガイドすることができる。また、ガイド部材の成形が容易であり、かつ、伝達部材のガイド部材への収容作業も容易であり、組み付け性が向上する。
また、上記構成において、前記ガイド部材(120)は、前記ヘッドパイプ(3)に対してU字の開放側にオフセットして配置されるようにしてもよい。この構成によれば、ヘッドパイプに沿って車幅方向中央を通る伝達部材を、ヘッドパイプ側に位置するU字の閉じ側の近くを通すことができ、伝達部材を確実にガイドすることができる。
また、上記構成において、前記ガイド部材(120)のU字を形成する一対の壁部(121、122)および一対の壁部(121、122)を連結する連結壁部(123)のうち、前記一対の壁部(121、122)のいずれかには、U字の内側に向けて膨出する膨出部(122C)を備え、前記膨出部(122C)と前記ガイド部材(120)の連結壁部(123)との間に形成される凹部(122D)に、前記伝達部材(71、72、74、77)が配置されるようにしてもよい。この構成によれば、伝達部材の位置決めがし易くなる。
また、ガイド部材は、U字の開放側が車両側方に開口するように配置されるので、伝達部材の前方と後方への移動範囲を規制でき、ヘッドパイプ周辺の前後長を抑えることができる。
また、ガイド部材は、ヘッドパイプに対してU字の開放側にオフセットして配置されるので、ヘッドパイプに沿って車幅方向中央を通る伝達部材を確実にガイドすることができる。
また、ガイド部材の前方に隣接してバッテリーを配置したので、バッテリーをヘッドパイプに近づけて配置することができる。
また、ハンドルに備わる操作子からケーブルを介して伝達される操作力を油圧ブレーキ操作力に変換する回動レバーを備えるレバー機構と、油圧ブレーキ操作力をブレーキホースを介して油圧ブレーキに伝達するマスターシリンダーとを備えるマスターシリンダーユニットを備え、ガイド部材は、マスターシリンダーユニットから延びるブレーキホースを収容し、ガイド部材の膨出部の裏側は、レバー機構の回動軸部を収容する空間にしたので、ガイド部材とマスターシリンダーユニットとを近づけて配置でき、ヘッドパイプ周辺にコンパクトに配置することができる。
なお、以下の説明中、前後左右および上下といった方向は、車両の乗員から見た方向に従う。また、図中矢印Fは車体前方を、矢印Lは車体左方を、矢印Uは車体上方をそれぞれ示している。
図1は、本発明の実施形態に係る自動二輪車1の側面図である。
この自動二輪車1は、車体フレーム2に上下に揺動自在にパワーユニット9が支持されたスクータ型の軽車両であり、かつ、シート12の前方に略U字状に窪んだ空間(U字空間)、つまり、乗員(運転者)が乗降する際に足をまたぐ足またぎ空間を有する鞍乗り型車両である。
詳述すると、この自動二輪車1は、車体フレーム2と、車体フレーム2のヘッドパイプ3に回動自在に支持されて操舵系の一部を構成するステアリングステム4と、このステアリングステム4の下端に設けられたボトムブリッジ5に取り付けられた左右一対のフロントフォーク6と、ステアリングステム4の上端に連結された操舵用のハンドル7と、フロントフォーク6に回転自在に支持された前輪8と、車体フレーム2の後部に上下に揺動自在に支持されたパワーユニット9と、パワーユニット9の後端部に回転自在に支持された後輪10と、パワーユニット9と車体フレーム2との間に配設されたリヤクッション11と、車体フレーム2の略中央上部に支持されたシート12とを備えている。
左右一対のサイドフレーム22の中間部から後部間には、前後に長い収納ボックス16が設けられる。この収納ボックス16の前部は、サイドフレーム22間に配設された前側クロスパイプ25にプレート部材26を介して取り付けられ、収納ボックス16の後部は、門形フレーム27を介してサイドフレーム22の後部に取り付けられる。
サイドフレーム22の後部には、後部ステー28を介してグラブレール29が支持され、このグラブレール29は、シート12の左右を後方に延びてその後部にリヤキャリア30が一体に形成され、このリヤキャリア30にリヤ収納ボックス31が取り付けられる。なお、前側クロスパイプ25、プレート部材26、門形フレーム27および後部ステー28は、車体フレーム2を構成する部材である。
エンジン32の上方には、キャブレター(気化器とも言う)35を介してエアクリーナユニット36が接続され、エンジン32の下方には、車両後方に延びる排気管37が接続され、この排気管37は後輪10の右方に延出し、その後端にマフラー38が接続される。
また、ハンドル7には、ハンドル7周辺の部品を覆うと共にヘッドライト46が取り付けられたハンドルカバー47が取り付けられる。また、フロントフォーク6には、前輪8を覆うフロントフェンダ48が取り付けられ、リヤカバー45には、後輪10を覆うリヤフェンダ49が取り付けられる。
図2に示すように、ハンドル7の両端には、運転者が把持する左右一対のグリップ61R、61Lが設けられる。右側のグリップ61Rは、スロットル操作を行うためのスロットルグリップであり、このスロットルグリップ61Rには、ワイヤー式ケーブルで構成されたスロットルケーブル71の一端部が連結される。
このスロットルケーブル71は、ヘッドパイプ3の前方を下方に延びた後に車体後方へ引き回されて車体後下部のキャブレター35(図1参照)に連結される。ここで、スロットルケーブル71は、インナーケーブルの周囲をアウターケーブルで覆ったケーブル構造のワイヤー式ケーブルであり、以降に説明する他のワイヤー式ケーブルについても同構造である。
前輪用ブレーキレバー65Rには、油圧ホースで形成された単一のブレーキホース(第1ブレーキホース)72の一端部が、右クランプ部63Rに設けられたマスターシリンダー66を介して連結され、このマスターシリンダー66によりブレーキレバー65Rの操作力が油圧ブレーキ操作力としてブレーキホース72に伝達される。このブレーキホース72は、ヘッドパイプ3の略前方を下方に延びて前輪8の左側に配設された前輪ブレーキBF(図1参照)に連結され、該油圧ブレーキ操作力で前輪ブレーキBFを作動させる。なお、このマスターシリンダー66は、ブレーキオイルを貯留するリザーブタンク66Aが一体式である。
この連動ブレーキレバー65Lには、ワイヤー式ケーブルで構成された連動ブレーキケーブル73の一端部が連結され、この連動ブレーキケーブル73は、ヘッドパイプ3の略前方を下方に延び、ヘッドパイプ3側方(前輪ブレーキBF側である左側)に支持された前後連動用のマスターシリンダーユニット(図3参照)80に連結される。
前輪ブレーキBFは、前輪8と一体に回転するブレーキディスクBF1と、ブレーキディスクBF1を制動するブレーキキャリパBF2とを備え、本車両では、ブレーキディスクBF1およびブレーキキャリパBF2が前輪6の左側に配設され、ブレーキキャリパBF2に、上記ブレーキホース72、74が連結される。
一方、連動ブレーキレバー65Lが操作された場合には、マスターシリンダーユニット80によりレバー操作力を油圧ブレーキ操作力と機械式ブレーキ操作力とに変換し、油圧ブレーキ操作力で前輪ブレーキBFを作動させると共に、機械式ブレーキ操作力で後輪ブレーキBRを作動させる。
なお、連動ブレーキケーブル73とハーネス79については、第2クランパーC2にはクランプされていない。連動ブレーキケーブル73は、第1クランパーC1の箇所からマスターシリンダーユニット80に向かって延びて該ユニット80に接続され、ハーネス79は、第1クランパーC1よりも下方では他のクランパー(図2中、符号Cで示すクリップクランパー等)にクランプされてヘッドパイプ3に沿って下方に延在する。
マスターシリンダーユニット80は、図3および図4に示すように、車幅方向の寸法が短く前後および上下に延びる縦長の箱形状を有し、ヘッドパイプ3にステー81(図4参照)を介して支持される。なお、このステー81は、ヘッドパイプ3に上下一対のボルト82で固定される。
この場合、マスターシリンダーユニット80は、ヘッドパイプ3の上部位置(より具体的にはメインフレーム21が連結される部分よりも上方位置)であって、ヘッドパイプ3に対して車幅方向で前輪ブレーキBFと同じ側(本構成では左側)に支持される。このため、図3に示すように、マスターシリンダーユニット80は側面視でヘッドパイプ3に重なるように配置されてヘッドパイプ3の前後に張り出さず、フロントカバー41とレッグシールド42との間のスペースに容易にレイアウトし易くなっている。
図3および図4に示すように、マスターシリンダーユニット80の上部には、連動ブレーキケーブル73が接続される位置よりも車幅方向内側(ヘッドパイプ3側)に、前輪側ブレーキホース連結部85が設けられている。
この前輪側ブレーキホース連結部85には、油圧ホースである連動用ブレーキホース74の一端部が連結され、この連動用ブレーキホース74は、図3に示すように、マスターシリンダーユニット80とヘッドパイプ3との間の隙間を通って下方に延び、その下端が前輪8の左側に配設された前輪ブレーキBF(図1参照)に連結される。
マスターシリンダーユニット80の前下部からは、ワイヤー式ケーブルである後輪ブレーキケーブル75が下方に延びている。この後輪ブレーキケーブル75は、ヘッドパイプ3側方(左方)を下方に延びた後に車体後方へ引き回されて車体後部に配置された後輪ブレーキBRに連結される。
また、このマスターシリンダーユニット80は、ブレーキオイルを貯留するリザーブタンク86が別体式である。図4に示すように、リザーブタンク86は、ヘッドパイプ3に固定支持されたステー81から車両左上方向に延出する延出部材83の先端に支持され、これにより、マスターシリンダーユニット80の上方に配置される。また、このリザーブタンク86とマスターシリンダーユニット80との間は、油圧ホースであるブレーキホース76で連結される。
ヘッドパイプ3近傍にリザーブタンク86やチョークノブ87を配置した構成では、これらを含むヘッドパイプ3周辺の部品の背面側がレッグシールド42(図4参照)で覆われることになる。
本車両1のレッグシールド42には、リザーブタンク86の残量を確認するための窓部42A(図4参照)が設けられると共に、このレッグシールド42からチョークノブ87が背面側(足またぎ空間側)に突出して設けられる。このため、レッグシールド42が邪魔になることなく、リザーブタンク86の残量確認やチョークノブ87の操作が可能になっている。なお、リザーブタンク86は少なくともタンク部86Aが透明樹脂で形成されて残量が外部から視認可能に形成される。また、窓部42Aは、レッグシールド42の一部を切り欠いただけの開口部、或いは、この開口部を透明部材で塞いだ構成とされる。
ここで、図5は、ヘッドパイプ3周辺を上方から見た図であり、図6は、図5からバッテリー55、電装部品およびホース・ケーブル類等を除いた図であり、図7は、図6を車体右側から見た図である。
バッテリー55は、図5に示すように、ヘッドパイプ3前方で車幅方向中央位置に配置される。すなわち、バッテリー55は、金属製のバッテリートレー94(図6、図7参照)を介してヘッドパイプ3に支持されており、このバッテリートレー94は、ヘッドパイプ3に設けられた上下一対のトレー支持用ステー91、92(図7参照)に複数本(本例では3本)のボルト93で固定されている。
第2プレート96は、第3プレート97(底板)上に配置されたバッテリー55の前後左右を囲う枠形状を有し、バッテリー55の前後左右を位置決めする。この第2プレート96の前部には、その上端が車体前側に屈曲した第4プレート99が連結され、この第4プレート99には、図7に示すように、バッテリー55の上面を押さえる押さえ部材100がボルト101で取り付けられる。これによって、バッテリー55がバッテリートレー94に固定される。
なお、このバッテリートレー94には、ホーン57を支持するためのステー108やメーターケーブル78をクランプするクランパー109等も設けられている。
本構成では、上述したように、上記第1〜第3クランパーC1〜C3等によってホース・ケーブル類がステアリングステム4、ヘッドパイプ3およびボトムブリッジ5にクランプされている。しかしながら、このように複数箇所でクランプをしても、ハンドル7の操舵(回動)やフロントフォーク6の上下動に伴ってヘッドパイプ3近傍でホース・ケーブル類が動いてしまうため、ホース・ケーブル同士を確実に離間させると共に、ホース・ケーブル類と車体側に固定されて動かない部品類(バッテリー55、フロントウインカ56、ホーン57等)とを確実に離間させることが望まれる。
図9(A)(B)(C)は、ガイド部材120の上面図、左側面図および前面図を各々示している。また、図10は、ガイド部材120を周辺構成と共に右側から見た図であり、図11は後側から見た図であり、図12は上側から見た図である。
ガイド部材120は、前後に間隔を空けて対向配置される一対の壁部を構成する前壁部121および後壁部122と、前壁部121および後壁部122の側縁を連結する連結壁部を構成する側壁部123とを備え、これらを合成樹脂で一体成形して形成されている。
すなわち、図6に示すように、ガイド部材120は、側壁部123をヘッドパイプ3側に近接させ、U字状の開放側を車幅方向外側(左側)に向けた姿勢で車体側に固定支持され、上面視でヘッドパイプ3側方側(左側)であって、バッテリートレー94後方、かつ、マスターシリンダーユニット80(図5参照)前方に形成されたスペースに収まるように配置される。
この空間Sには、前輪ブレーキBFにつながる2本のブレーキホース72、74が左右に間隔を空けて収容される(図5参照)。このため、ハンドル7の操舵(前輪8の転舵)やフロントフォーク6の上下動に伴って2本のブレーキホース72、74が動いても、その動く範囲は空間S内に限定され、ブレーキホース72、74を、ヘッドパイプ3、バッテリートレー94およびマスターシリンダーユニット80等から離してガイドすることができる。
一方、ブレーキホース72、74の車幅方向外側への移動は、空間Sが該方向に広く形成されるので、許容される。このU字状のガイド部材120の開放側には、その近くに周辺部品が存在しないので、ブレーキホース72、74がある程度、開放側に動いても周辺部品との距離は確保できる。また、ブレーキホース72、74を収容するガイド部材120の一側が開放するので、ブレーキホース72、74の取り付けや取り外しの作業が容易である。
図3に示すように、前壁部121は、このガイド部材120を車体側に取り付けた状態で、バッテリートレー94との連結部である第1締結部121A近傍部分から下方が傾斜壁部121Bに形成されており、この傾斜壁部121Bは、その傾斜角度が下方に行くに従って水平角度に近づく湾曲壁形状を有し、その下端121B1が、側面視で第3クランパーC3の上方位置、若しくは第3クランパーC3の上方で第3クランパーC3よりも前側に位置する。
また、後壁部122は、マスターシリンダーユニット80よりも下方が傾斜壁部122Bに形成されており、この傾斜壁部122Bは、その傾斜角度が下方に行くに従って水平角度に近づく湾曲壁形状を有し、その下端122B1が、側面視で第3クランパーC3よりも後方であって、メインフレーム21に重なり、かつ、メインフレーム21の後面21A(図3参照)近傍に位置する。
本構成では、上述したように、ガイド部材120の前壁部121および後壁部122を下方に行くに従って前後に拡がる末広がり形状(ラッパ状)に形成したので(図3参照)、ガイド部材120の剛性が向上すると共に、ブレーキホース72、74のクランプ位置に近いほどガイド部材120内の空間Sが広くなり、該ブレーキホース72、74の揺動スペースを十分に確保することができる。
従って、ヘッドパイプ3、バッテリートレー94、かつ、マスターシリンダーユニット80に囲まれる狭いスペース内に、前輪ブレーキBFにつながるブレーキホース72、74を、その揺動スペースを確保しつつコンパクトに配索することができる。
チョークケーブル77は、ガイド部材120の前壁部121に収容され、より具体的には、図9(A)〜(C)に示すように、前壁部121の開放側の側端部には、上下一対の屈曲板部121C、121Dが一体に形成されており、上側の屈曲板部121Cが、チョークケーブル77を車幅方向外側および前後から押さえる押さえ部として機能し、下側の屈曲板部121Dが、チョークケーブル77を車幅方向内側および前方から上下方向に渡って広く押さえる縦板状の押さえ部として機能する。
すなわち、図3、図10および図11に示すように、ガイド部材120は、上下方向に延びる一対の屈曲板部121C、121Dによって、前壁部121の開口側の側端部に沿ってチョークケーブル77を支持する。
また、図3に示すように、チョークケーブル77をガイド部材120の前壁部121の側端部に沿わせて支持するので、チョークノブ87からガイド部材120の支持位置までの距離を長く確保でき、チョークケーブル77の曲率半径を大きくすることができると共に、ブレーキホース72、74と車幅方向に間隔を空けて効率的に配置できる。
なお、ガイド部材120の前壁部121の上端部121Eは、前側に屈曲した屈曲形状に形成される。前壁部121の上端部121Eを屈曲することにより前壁部121上部の強度を向上することができ、ガイド部材120の剛性向上に寄与する。また、前壁部121の側端部に設けられる屈曲板部121C、121Dも、ガイド部材120の剛性向上に寄与する。
また、側壁部123には、膨出部122Cの側方に膨出部122Cを成形するための型抜き用の開口部123Bが設けられ、スロットルケーブル71が配索された様子を外部から容易に確認することができる。
この場合、図3に示すように、スロットルケーブル71は、ガイド部材120の後壁部122(傾斜壁部122Bを含む)に沿って配置されるので、後下方に延びるメインフレーム21に沿わせて配置しやすくなる。
連動ブレーキケーブル73は、レバー機構141の一部を構成するイコライザー(イコライザーレバーとも言う)141Aの中央部に連結されており、連動ブレーキケーブル73が牽引されると、イコライザー141Aが一端部141A1を基準に回動し、この回動によりイコライザー141Aの他端部141A2が、この他端部141A2に連結された後輪ブレーキケーブル75を牽引し、このケーブル75の牽引力により後輪ブレーキBRが作動する。なお、図中、符号143は、イコライザー141Aを連動ブレーキケーブル73の牽引方向の逆方向に付勢する弾性部材である。
本構成では、ガイド部材120に、マスターシリンダーユニット80から突出する回動軸部80Aを収容する膨出部122Cを設けたので、ガイド部材120をマスターシリンダーユニット80に近づけて配置でき、ガイド部材120をヘッドパイプ3周辺にコンパクトに配置できる。
さらに、ガイド部材120の一対の壁部を構成する前壁部121および後壁部122が、下方に行くに従って前後に拡がる形状を有するので、ガイド部材120の下方ほどホース・ケーブル類の前後移動範囲を広くできる。このため、前輪8側に連結されるホース・ケーブル類(ブレーキホース72、連動用ブレーキホース74)の揺動スペースを十分に確保することができる。
また、ガイド部材120は、ヘッドパイプ3に対してU字の開放側にオフセットして配置されるので、ヘッドパイプ3に沿って車幅方向中央を通るホース・ケーブル類を、ヘッドパイプ3側に位置するU字の閉じ側の近くを通すことができ、ホース・ケーブル類を確実にガイドできる。
また、ガイド部材120の一部を構成する後壁部122が、U字の内部空間Sに向けて膨出する膨出部122C(図11参照)を備え、この膨出部122Cと側壁部123との間に形成される凹部122D(図9(A)、図12参照)に、ホース・ケーブル類の一つであるスロットルケーブル71を配置するので、スロットルケーブル71の位置決めがし易く、ガイド部材120に収容される他のホース・ケーブル類と離間させて配置できる。
また、ハンドル7に備わる連動ブレーキレバー65Lから連動ブレーキケーブル73を介して伝達される操作力を油圧ブレーキ操作力に変換する回動レバー141A〜141Cを有するレバー機構141と、油圧ブレーキ操作力を連動用ブレーキホース74を介して油圧ブレーキに伝達するマスターシリンダー142とを備えるマスターシリンダーユニット80を備え、ガイド部材120は、マスターシリンダーユニット80から延びる連動用ブレーキホース74を収容し、ガイド部材120の膨出部122Cの裏側を、レバー機構141の回動軸部80Aを収容する空間としたので(図11、図12参照)、ガイド部材120とマスターシリンダーユニット80とを近づけて配置でき、ヘッドパイプ3周辺にコンパクトに配置することができる。
例えば、前輪ブレーキBFが前輪8の右側に配設された場合は、ガイド部材120を、U字の開放側を車体右側に向けてヘッドパイプ3に固定支持し、このガイド部材120によって前輪ブレーキBFにつながるブレーキホース72、74をガイドすることが好ましい。
また、上記実施形態では、図1に示したスクータ型車両に本発明の伝達部材配索構造を適用する場合について説明したが、これに限らず、それ以外の車両、例えば、スクータ型車両以外の自動二輪車、フロントカバーやレッグシールドを備えない自動二輪車等の車両に本発明を適用してもよい。
2 車体フレーム
3 ヘッドパイプ
7 ハンドル
9 パワーユニット
40 車体カバー
55 バッテリー
65R 前輪用ブレーキレバー(前輪用ブレーキ操作子)
65L 連動ブレーキレバー(連動ブレーキ操作子)
71 スロットルケーブル(伝達部材)
72 ブレーキホース(伝達部材)
74 連動用ブレーキホース(伝達部材)
77 チョークケーブル(伝達部材)
80 マスターシリンダーユニット
80A 回動軸部
120 ガイド部材
121 前壁部
122 後壁部
122C 膨出部
122D 凹部
123 側壁部(連結壁部)
141 レバー機構
142 マスターシリンダー
BF 前輪ブレーキ
BR 後輪ブレーキ
Claims (5)
- 車体フレーム(2)の前部に配置され、操舵系を回動可能に支持するヘッドパイプ(3)と、ヘッドパイプ(3)の上方位置で回動自在に支持されるハンドル(7)と、ハンドル(7)からヘッドパイプ(3)の前方または側方を下方に延びる可撓性を有する伝達部材(71、72、74、77)とを備える車両の伝達部材配索構造において、
前記ヘッドパイプ(3)に、側方に開放する断面略U字状の板状のガイドであって、U字状の内部に前記伝達部材(71、72、74、77)を移動自在に収容するガイド部材(120)を固定支持し、
前記ガイド部材(120)の一対の壁部を構成する前壁部(121)および後壁部(122)が、下方に行くに従って前後に拡がる形状を有することを特徴とする車両の伝達部材配索構造。 - 前記ガイド部材(120)は、前記ヘッドパイプ(3)に対してU字の開放側にオフセットして配置されることを特徴とする請求項1に記載の車両の伝達部材配索構造。
- 前記ガイド部材(120)の前方に隣接してバッテリー(55)を配置したことを特徴とする請求項1又は2に記載の車両の伝達部材配索構造。
- 前記ガイド部材(120)のU字を形成する一対の壁部(121、122)および一対の壁部(121、122)を連結する連結壁部(123)のうち、前記一対の壁部(121、122)のいずれかには、U字の内側に向けて膨出する膨出部(122C)を備え、前記膨出部(122C)と前記ガイド部材(120)の連結壁部(123)との間に形成される凹部(122D)に、前記伝達部材(71、72、74、77)が配置されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の車両の伝達部材配索構造。
- 前記ハンドル(7)に備わる操作子(65L)からケーブル(73)を介して伝達される操作力を油圧ブレーキ操作力に変換する回動レバー(141A〜141C)を備えるレバー機構(141)と、前記油圧ブレーキ操作力をブレーキホース(74)を介して油圧ブレーキに伝達するマスターシリンダー(142)とを備えるマスターシリンダーユニット(80)を備え、
前記ガイド部材(120)は、前記マスターシリンダーユニット(142)から延びる前記ブレーキホース(74)を収容し、前記ガイド部材(120)の前記膨出部(122C)の裏側は、前記レバー機構(141)の回動軸部(80A)を収容する空間であることを特徴とする請求項4に記載の車両の伝達部材配索構造。
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