JP5319524B2 - 架橋治療用組成物を製造するためのゼラチンおよび架橋剤の使用 - Google Patents

架橋治療用組成物を製造するためのゼラチンおよび架橋剤の使用 Download PDF

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Description

本発明は、ヒトまたは動物身体の標的領域において細胞マトリックスとして架橋ゼラチンゲルを形成する架橋治療用組成物を製造するためのゼラチンおよび架橋剤の革新的使用に関する。
特に本発明は、ヒトまたは動物における椎間板、軟骨、半月板、腱または骨に対する損傷を治療するためのこのような治療用組成物の使用に関する。
生体適合性、生分解性マトリックス材料は、医療の種々の分野で用いられる。生分解性材料が細胞マトリックスとして、即ち細胞の成長、増殖および/または分化を支持するマトリックスとして役立つ治療的適用は、その点で重要な役割を演じる。これらは、身体の標的領域における成長または再生促進機能を実施するために、マトリックス材料が、無細胞でそしておそらくは成長因子と協力して適用されるかまたは投与される適用、ならびにマトリックス材料がin vitroで細胞によりすでにコロニー形成されている適用を包含する。最後に言及された適用の場合、マトリックス材料の中または上の細胞の前培養がin vitroで実行され得るが、この場合、いわゆる組織移植片が形成され、これは次に治療されるべき身体の場所で用いられる。記述された方法の例は、生体材料および成長因子(例えば血小板成長因子またはBMP(骨形態形成タンパク質))を用いる骨欠損の治療、あるいは自系または同種異系軟骨細胞移植を用いる軟骨欠損の治療である。
特定の目的のために最も高頻度に用いられるマトリックス材料は、タンパク質または多糖、特にコラーゲン、ゼラチン、ヒアルロン酸、キトサンまたはアルギン酸塩を基礎にしたバイオポリマーである。これらの材料の適用の好ましい形態は、ゲルまたは海綿状構造であって、これは、それらの構造のため、細胞をできる限り均一に分布させる。可溶性ポリマー、例えばゼラチンの場合、これらは一般的に、生理学的条件下で寸法的に安定で、十分長い寿命を有するマトリックスを生じ得るべき架橋形態で用いられなければならない。架橋ゼラチンを基礎にしたこのような造形体は、例えばドイツ国特許出願DE 10 2004 024 635 A1に記載されている。
組織特異的細胞が適用可能であるさらなる適応症は、椎間板、特に髄核(ゼラチン状コア)への損傷またはその変性である。加齢に伴って増大する可能性を有して起こり得る髄核の組織の変性は、繊維輪(繊維環)におけるより高いストレスをもたらし、これは最終的にはそれを損傷させ、従って椎間板ヘルニアを引き起こす。
髄核の椎間板細胞は、それら自体を再生するための十分な能力を有さない。したがって生物学的椎間板再構築のプロセスは、上記の成行きを防止するために用いられる。この場合、椎間板細胞または間充織幹細胞はin vitroで培養され、次に患者の髄核に投与される。さらなる可能性は、そこで局所的に制限された効率を発現する生体材料を用いて椎間板に適切な成長および分化因子を投与し、したがって椎間板の再生に寄与することである。しかしながら繊維輪に対する有意の損傷と必然的に関連するため、成長因子と組合されあるいは髄核中に細胞によりコロニー形成される固体マトリックスを移植することは可能でない。
この理由のため、液体媒質、例えば栄養溶液等の中の細胞、成長因子または両方の組合せが椎間板中に注入される。しかしながら、注入経路は適切に閉鎖され得ず、したがって液体媒質中に懸濁される細胞および/または成長因子は、圧力がそれに加えられると直ぐに注入経路を介して再び椎間板から押出され得る、という点で問題がある。
したがって、身体の標的領域に投与され得るこれらのおよび類似の生物学的再生方法であって、患者が不合理に長い期間処置身体領域を固定されたままでなければないということなく、懸濁細胞および/または成長因子が身体の標的領域中に残存することが保証される方法のための治療用組成物が望ましい。
特定の問題を解決するために、標的領域における細胞マトリックスとして架橋ゼラチンゲルを形成する上記の型の架橋治療用組成物を製造するために、ゼラチンおよび架橋剤の使用であって、以下の:
i. ゼラチンおよび架橋剤が互いに混合されて架橋治療用組成物を形成し、これが次に標的領域に投与されるか;あるいは
ii. ゼラチンおよび架橋剤が別個の形態で提供され、そして標的領域に同時にまたは連続的に投与されて、架橋治療用組成物の形成を伴う
ことを包含する使用が、本発明に従って提示される。
本発明の基礎を形成する概念は、その水溶性により識別され、したがって、生分解マトリックス材料として、特に注射により、溶液の形態で投与され得る。可溶性ゼラチンは次に、標的領域でゼラチンゲルに変化し、これは、架橋剤の作用により、不溶性形態に、即ち架橋ゼラチンゲル変更されて、これが抗負荷細胞マトリックスを形成する。
本発明による治療用組成物は、ゼラチンおよび架橋剤のほかに、架橋ゼラチンゲルの形成に関与する如何なるさらなる構成成分も必要としない。しかしながら、これは、さらなる有益な作用をいくつかの場合に提供し得る他の構成成分の存在を排除しない。
ゼラチンゲルがマトリックスとして役立つ細胞は、治療用組成物と一緒に患者に投与される生きた細胞であり得る。しかしながらゼラチンゲルは、標的領域中に位置する自系細胞の内植のためのマトリックスとしても役立ち得るが、この場合、治療用組成物は、好ましくは成長および/または分化因子を含み、これがこれらの細胞またはそれらにより形成される組織の再生を促す。
上記の問題は、架橋ゼラチンゲルが、細胞、成長因子または細胞と成長因子の組合せが標的領域から実質的に押出されないようにする固体マトリックスを提供する本発明の治療用組成物により解決される。さらに、本発明による治療用組成物は、細胞が重力の結果として沈む液体媒質に反しての三次元領域中の活性物質および細胞の実質的に均一な分布を可能にし、安定化するゼラチンゲルの形成の結果としての利点を提供する。架橋化そしてその後の不溶性ゼラチンのさらなる利点は、それが標的組織中で適用成長因子および/または他の治療用活性物質を結合し、固定し、したがって、制御化および連続活性物質放出の意味において、作用の局所的に制限された発現を可能にする、という点である。椎間板から排出する細胞または活性物質により引き起こされ得る望ましくない副作用は、この結果として防止される。
この架橋ゼラチンゲルの利点、特に固体マトリックス中に三次元的に細胞および/または成長因子を包埋する可能性も、治療的適用の場合と同様に、in vitroでの細胞の培養に利用され得る。
したがって、本発明は、培養されるべき細胞と混合される、そして標的領域における細胞のin vitro培養のための細胞マトリックスとして架橋ゼラチンゲルを形成する架橋組成物を製造するためのゼラチンおよび架橋剤の使用であって、
i. ゼラチンおよび架橋剤が互いに混合されて架橋組成物を形成し、これが次に標的領域に投与されるか;あるいは
ii. ゼラチンおよび架橋剤が別個の形態で提供され、そして標的領域に同時にまたは連続的に投与されて、架橋組成物の形成を伴う
ことを包含する使用にも関する。
in vitro適用の場合、標的領域は、細胞の培養が実行され得る任意の型の適切な容器、特にペトリ皿、培養フラスコ、振盪フラスコ等を意味する、と理解される。細胞マトリックスとして役立つゼラチンゲルは、容器の基部を被覆する層を形成し得る、例えば容器の内側壁を完全にまたは部分的に裏打ちし得る。
培養されるべき細胞、そしておそらくは成長因子も、任意の実質的架橋が起こる前に、架橋組成物に付加される。細胞および溶解ゼラチンを含有する培養または栄養溶液が好ましくは調製され、これは、培養フラスコ、即ち標的領域中に入れられる前または後に架橋剤に付加される。この場合、in vivoでの治療的適用に重点を置いて以下でさらに詳細に記載される供給および投与の異なる方法も、in vitroでの細胞の培養において対応するやり方で用いられ得る。
固体培地上に細胞を植え付けるのと比較して、in vitroで細胞を培養するための本発明による方法は、細胞が、それらが先ず表面から培地中に移動しなければならないということなく、増殖に利用可能な三次元マトリックスを有する、という利点を有する。同時に、細胞は定住するのを防止されるが、これは、液体培地中での培養の場合、培養容器を絶えず振盪することによってのみ達成され得る。
ゼラチンおよび架橋剤の供給および投与の異なる変法が詳細に記載される前に、マトリックス材料としてのゼラチンの選択に起因する特定の利点が先ず略記されるべきである。
コラーゲンに対比して、ゼラチンは限定された且つ再現可能な組成物で、ならびに高純度で得られる。特にそれは、身体の防御反応を誘発し得る免疫原性テロペプチドを実際には含有しない。これに基づいて、ゼラチンは優れた組織および細胞適合性を有し、これはアルギン酸塩またはキトサンのような他の再吸収可能な生体材料により保証され得ない。
非架橋ゼラチンは身体温度(37℃)で可溶性であるが、それは、架橋することにより、すでに言及されているようにこれらの条件で不溶性であるゲル様形態、すなわち架橋ゼラチンゲルに変更され得る。このようなゼラチンゲルは、細胞の成長および分化のための細胞マトリックスとして役立ち得る。
同時に、架橋ゼラチンゲルは完全に再吸収可能であり、即ち一定期間後、それは身体中に残渣を伴わずに分解される。これは、適切な場合は、自系酵素により手助けされ得る加水分解である。
原則として、本発明の枠組み内の異なる起源のゼラチンを用いることが可能であり、この場合、ブタゼラチン、特にブタ皮膚からのゼラチンが選択される。これは高品質で利用可能であり、そして異なる医学的用途に関してすでに認可されている。
このほかに、他のゼラチン型、例えば魚ゼラチンの使用も、特定の利点を提供し得る。特に冷水魚から得られるゼラチンは相対的に低いゲル点により区別され、即ち(非架橋)魚ゼラチンの水溶液は、例えば同一濃度のブタ皮膚ゼラチンの溶液より低い温度で液体のままである。この事実は、溶解魚ゼラチンを室温でまたは冷却された場合でも提供されるようにさせて、これが、37℃までの高温での供給と比較して取扱いを簡単にする。
異なる紀源および/または異なる種類のゼラチン型またはゼラチン材料は、それぞれの適用に対してより良好に本発明による組成物の特性を適合するために、本発明によるゼラチンとして混合物中にも用いられ得る。
治療用組成物の生体適合性をさらに改善するためには、特に低含量の内毒素を有するゼラチンを用いるのが好ましい。内毒素は、生動物材料中に生じる微生物の代謝産物または断片である。
ゼラチンの内毒素含量は、国際単位/グラム(I.U./g)で特定され、そしてLAL検定により確定されるが、この実行は、European Pharmacopoeia(Ph. Eur. 4)の第4版に記載されている。
できるだけ低い内毒素の含量を保持するためには、ゼラチン製造の経過中にできるだけ早く微生物を破壊することが有益である。さらに適切な衛生学標準が、製造工程中に維持されるべきである。
したがってゼラチンの内毒素含量は、製造工程中の特定の測定により徹底的に低減され得る。これらの測定は、貯蔵時間を回避する新鮮な原料(例えばブタ皮膚)の使用を主に包含し、ゼラチン製造の開始直前の全製造プラントの注意深い清浄、そして必要な場合は製造プラント中のイオン交換器およびフィルター系の取替えを伴う。
本発明の枠組み内で用いられるゼラチンは、好ましくは、1200 I.U./gまたはそれ未満、さらに好ましくは200 I.U./gまたはそれ未満の内毒素含量を有する。最適には、内毒素含量は、各場合にLAL検定に従って確定した場合、50 I.U./gまたはそれ未満である。これと比較して、多数の市販のゼラチンは、20,000 I.U./g以上の内毒素含量を有する。
すでに言及されたように、コラーゲン含有原料から抽出により得られるゼラチンは、特に投与に適した温度、即ち37℃またはそれ未満で、溶液にされ得る水溶性物質である。椎間板の髄核中に、あるいは別の損傷組織、例えば軟骨または骨欠損中にゼラチン溶液が注入されるという点で、この溶解形態は投与のために特に有益である。投与後、即ち身体の標的領域において、ゼラチンをゼラチンゲルに転化するために、ゼラチンの架橋が本発明に従って起こる。
ゼラチンを、分子間および/または分子内連結により、37℃またはそれ未満の温度で不溶性であるゼラチンゲルに転化する異なる型の架橋剤が既知である。ゼラチン分子間のこれらの連結は、共有結合および複合体形成(例えばイオン的相互作用、水素架橋またはファンデルワールス力に基づく)の両方に関係し得る。
改質セルロース、特にヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)は、好ましくは、非共有的相互作用によりゼラチンにゲルを形成させる複合架橋剤として用いられる。
共有結合を形成するゼラチンと反応する化学的架橋剤も、本発明の枠組み内で用いられ得る。これらは、好ましくは、多機能性アルデヒド、イソシアネート、ハロゲン化物またはイミド、特にホルムアルデヒドに関する。しかしながら、化学的架橋剤を選択する場合、これが、例えばグルタルアルデヒドを用いる場合と同様に、身体に如何なる細胞傷害性作用を及ぼさない、ということが保証されるべきである(例えば特許文書DE 101 52 407 A1参照)。用いられるべき架橋剤の質および身体中のそれぞれの標的領域はともに、考え得る有害作用を査定する場合、考慮されるべきである。
したがって生理学的適合性の基本要件を用いて、酵素的架橋剤の適用が本発明で選択される。トランスグルタミナーゼの使用は、この場合特に好ましい。動物、植物および細菌において生じるこの酵素は、グルタミン残基のアミド結合の加水分解を、そして他のアミノ基とそこに生じる遊離アシル基の架橋を触媒する。したがってタンパク質、特にゼラチンの場合、トランスグルタミナーゼは主に、リシン残基のε-アミノ基とのグルタミン残基の連結、即ち分子間および分子内の両方の共有結合の形成を触媒する。天然酵素として、トランスグルタミナーゼは、それが適切な精製形態で用いられる限り、生理学的に安全であると認識される。
高品質および純度で利用可能である細菌起源のトランスグルタミナーゼの使用は、本発明の枠組み内で選択される。しかしながら特に組換え遺伝子発現により産生され得るヒトトランスグルタミナーゼも用いられ得る。
トランスグルタミナーゼは、好ましくは、支持材料上に固定化形態で用いられる。これは、より高い活性が同量の酵素を用いて得られるよう、組成物中の酵素分子のより均一な分布を可能にする。オリゴ糖は、トランスグルタミナーゼのための好ましい支持材料である。
本発明によれば、ゼラチンの架橋は身体の標的領域で生じる、即ちゼラチンおよび架橋剤は、架橋反応を進行させる条件下で、投与後、投与中または投与直前に、互いに単に接触するようになるべきである。これが生じることを保証するために、ゼラチンおよび架橋剤の供給および投与の異なる形態が考えられる。上記の基本的代替方法(i)および(ii)は、以下でさらに詳細に説明される。
本発明の変法(i)によれば、ゼラチンおよび架橋剤が混合されて架橋治療用組成物を形成し、そしてこれが標的領域に投与されるよう、組成物の適用が生じる。このような組成物は、好ましくは、溶液中に架橋剤およびゼラチンを含有する水溶液である。
この手順を用いて、両構成成分の均質分布が溶液中で生じる、ということが保証される。このような溶液はさらにまた、簡単なやり方で、特に、標的領域上への簡単な適用により、あるいは注入により投与され得る。しかしながらこのような溶液は一般的に、標的領域に到達する前に架橋反応が進みすぎるのを防止するために、そして溶液の粘度が例えば注入のために高すぎるのを防止するために、単に投与直前に産生されるべきである。しかしながらゼラチンおよび架橋剤の種類によって、しばらくの間、特に低温で、投与に有害な程度にすでに進行中の架橋反応を伴わずに、2つの構成成分を含有する溶液が貯蔵され得る、ということも可能である。
水溶液は、好ましくは、ゼラチンおよび架橋剤を、好ましくは凍結乾燥形態で含む固体混合物を溶解することにより生成される。この形態の供給は、トランスグルタミナーゼが架橋剤として用いられる場合は特に適している。
酵素反応が進行し得ないこの固体形態でのゼラチンおよび架橋剤の供給は、混合物が相対的に高い貯蔵安定性を有する、という利点を有する。同時に、処置医にとっては、彼/彼女は、適用されるべき細胞および/または他の活性物質をおそらくはすでに含有する液体媒質中に単一固体混合物を溶解する必要があるに過ぎないため、取扱いが簡単である。
固体混合物の溶解は、それぞれの標的領域における予定温度に基づいて、水溶液の投与の直前に、即ち特に前もって10分未満に、好ましくは5分未満に起こるべきである。
ゼラチンは凍結乾燥形態で存在するため、その溶解性はさらにまた、より低い温度で有意に改善される。これは、治療用組成物の多数の好ましい適用において、37℃より高い温度に感受性の細胞が同時に投与されるため、重要である。したがって固体混合物の溶解は、好ましくは37℃またはそれ未満の温度で起こる。これらの温度では、特に室温では、少なくとも主に非晶質形態で存在するため、凍結乾燥ゼラチンは容易に溶解できる。
ゼラチンゲルの形成速度、そしてさらにまたその強度に関して、ゼラチンの量に関連して用いられる架橋剤の量は、決定的重要性を有する。トランスグルタミナーゼが用いられる場合、0.6〜80単位のトランスグルタミナーゼ/ゼラチン1 g、さらに好ましくは5〜40単位/gが、上記混合物中に含入される。他の因子の中でもとりわけ、この比率の選択に起因するゲル形成の動態は、以下で詳細に考察される。
したがって、第一の変法(i)に関しては、本発明は、好ましくは凍結乾燥形態でゼラチンおよびトランスグルタミナーゼを含む固体混合物にも関する。
本発明の上記変法(ii)の場合、ゼラチンおよび架橋剤が別個の形態で提供され、そして同時にまたは連続的に適用されて、架橋治療用組成物を形成するよう、組成物の適用が生じる。この場合、2つの構成成分の混合は、以下に記載されるように、異なる時点で起こり得る。
供給の好ましい形態は、ゼラチンおよび架橋剤がともに別個の水溶液の形態で提供されるものである。これらは次に、処置医により混合され、すでに上記されたように、単一溶液の形態で投与される。この場合、混合は、投与前10分未満に、好ましくは5分未満に生じるべきである。
しかしながら架橋反応開始が早すぎる可能性をより確かに排除するために、ゼラチン溶液および架橋剤溶液が投与中または投与後にのみ互いに接触するようになり、投与前には接触しない場合が好ましい。これは、特に2つの(別個の)溶液の同時適用により達成され得る。
溶液を投与するために用いられる手段(例えば1つまたは複数の注入カニューレまたは他のアプリケーター)の種類によって、同時適用溶液の混合は、この場合、標的領域に達する前に、間に、または後に起こり得る。しかしながら、標的領域に到達する溶液の高均質性を保証し、したがって均一架橋ゼラチンゲルの形成を保証するために、できるだけ早く、即ち標的領域に達する前に、混合を実行することは有益である。
本発明の好ましい一実施形態では、ゼラチン溶液および架橋剤溶液の同時投与は、多室アプリケーター、例えば二重室注射器を用いて両溶液を注入することにより実行される。この場合、ゼラチン溶液および架橋剤溶液は、アプリケーターの別個の小室中に入れられて、例えば共通の注射カニューレにより、所望の標的領域、例えば髄核に(それまでに混合されて)投与される。したがって2つの溶液の混合は、投与中に、例えばカニューレ中に進入時に起こる。できるだけ徹底的な混合を達成するためには、多室アプリケーターが一混合素子を含む場合が好ましい。特にこれはカニューレの流路中の幾何学構造(固定ミキサー)であり、そこで、2つの溶液の十分な混合、特に渦巻き回転が起こる。
それゆえ、第二の変法(ii)に関しては、本発明は、水性ゼラチン溶液および水性架橋剤溶液を別個の小室中に含有する多室アプリケーターにも関する。
代替的には、水性ゼラチン溶液および水性架橋剤溶液を、一方を他方の後に標的領域に投与することも可能である。この場合、ゼラチンのみの架橋が標的領域で起こる、ということも保証される。
本発明のさらに好ましい一実施形態では、水性ゼラチン溶液は、固体形態での架橋剤と同様に提供される。この変法は、トランスグルタミナーゼのような酵素的架橋剤の場合に特に適しており、その質の保持は一般に、溶液でよりもこの形態においてより高い。酵素は、特に凍結乾燥粉末の形態で提供され、これは次に、投与前にゼラチン溶液に計量投与量で付加され、次に溶解される。
本発明による治療用組成物の多数の好ましい適用では(以下でさらに詳細に説明される)、生きている細胞の適用は同時に起こり、この場合、これらは好ましくは水性ゼラチン溶液中に含入される。これらの細胞の温度感受性のため、水性ゼラチン溶液の投与は37℃またはそれ未満で起こるのが好ましい。しかしながらゼラチン溶液の生成は、より高い温度、例えば60℃でも起こり得るが、この場合、細胞は次に、37℃またはそれ未満に冷却後に専ら付加される。次に溶液が室温でまたは冷却しながら貯蔵される場合、ゼラチンは、実際、ゲル化し、固化し得るが、しかし次に37℃に加熱することにより、投与直前に再び溶液に戻され得る。
投与されるゼラチン溶液の濃度は、好ましくは、組成物中のゼラチン濃度が5〜20重量%の量になるよう選択される。より低いゼラチン濃度は一般的に、容易に架橋される適切な強度を有するゼラチンゲルを生じないが、一方、20重量%より高い濃度は、いくつかの場合、細胞の活力度にとって好ましくない、ということが見出されている。
トランスグルタミナーゼが架橋剤として用いられる場合、トランスグルタミナーゼ溶液中のその量およびの濃度は、好ましくは、変法(i)に関連してすでに記載されているように、0.6〜80単位のトランスグルタミナーゼ/1 gのゼラチンが組成物を生じるように選択される。5〜40単位/gの比率がさらに好ましい。この場合、選択されるトランスグルタミナーゼ溶液の容積は一般的に、ゼラチン溶液のものより有意に低く、したがって後者はトランスグルタミナーゼ溶液と混合することにより有意に希釈されない。
架橋反応の速度ならびに形成されるゼラチンゲルの強度は、組成物中のゼラチン濃度に、そしてゼラチンおよび架橋剤間の比に大いによっている。これらのパラメーターは、さらなる因子の作用をつり合わせるために、上記の好ましい範囲内で変更され得る。
このような因子は、例えば用いられるゼラチンの種類、特にその粘度および平均分子量であり、そして架橋剤の種類、特にトランスグルタミナーゼの場合、その種類および起源である。
架橋反応の動態および程度は、異なる身体的パラメーターにより記載され得る。これらを測定するために、治療的適用の場合にin vivoでそれが進行する場合のゼラチンゲルの形成は、対応するin vitro反応がその後に続く。この場合、架橋反応の開始は、ゼラチンおよび架橋剤が水溶液中で互いに接触するようになる時点によりそれぞれ限定される。
架橋ゼラチンゲルの形成速度は、いわゆるゲル点の明細により特に特性化される。この場合、ゲル点は、ゼラチンゲルの貯蔵係数G’および損失係数G”が同一サイズである架橋反応の開始後の時点と定義される(T. Metzger, Das Rheologie-Handbuch [The manual of rheology], Verlag Vincentz, 2000, pages 173 et seq.も参照)。
非架橋液体ゼラチン溶液では、G’は明らかにG”より低い。架橋反応の経過中、即ちゼラチン増加を伴って、貯蔵および損失計数はともに増大し、この場合G’はG”より強く増大する。したがって上記のゲル点は、グラフ中の2つの曲線の交点から確定され得るが、この場合、G’およびG”は時間に関してプロットされる。ゲル点は、ゲル強度(以下参照)が架橋反応の経過中に初めて測定され得る時間として経験的にも確定され得る。
本発明による使用に関しては、架橋ゼラチンゲルのゲル点が架橋反応の開始後5〜180分に、特に好ましくは架橋反応の開始後10〜60分に、最も好ましくは25分に到達される。上記の好ましい時間の詳細は、それぞれ、標的領域の予定温度に関連する、と理解される。より急速なゲル形成の場合、治療用組成物が非常に早期にその流動可能性を失う危険性があり、これは特に、投与のために利用可能な時間を処置医が十分に持てないようにし、あるいは組成物がそれぞれの標的領域で均一に分布されるよりはるかに前に進行するゲル形成を引き起こし得る。ゲル形成がゆっくりし過ぎると、即ちゲル点が遅すぎると、順次、患者のそれぞれの身体部分、例えば椎間板の再生の場合の脊柱は、不合理に長期間、固定されなければならないという欠点が生じる。
架橋ゼラチンゲルの機械的特性に関しては、これが、4 mmの浸透深度で12.7 mmの直径を有するプランジャで測定された場合に100 gまたはそれより大きいゲル強度を有するのが好ましい。これらの詳細は、12.7 mmの直径を有する円形プランジャを、その表面に直角にゼラチンゲルに押し付けることに関するが、この場合、プランジャはポリメチルメタクリレート製であり、そして研磨表面を有する(”Standardised Methods for the Testing of Edible Gelatine”, Gelatine Monograph, June 2005, GME参照)。ゲル強度100 gの場合、この重量に対応する力、即ち0.981 Nが、ゼラチンゲル中に4 mmの深さでプランジャを押し付ける必要がある。
用いられるゼラチンの粘度が他の因子のほかにゲル形成にも影響を及ぼす、ということはすでに言及されているが、この場合、一般的に粘度が高いほどゲル形成は速い。この情況では、ゼラチンの粘度は、60℃で水中のゼラチンの6.7重量%標準溶液の粘度である、と理解される。本発明の枠組み内で用いられるゼラチンの粘土は、好ましくは7 mPa・sまたはそれより大きい。
ゼラチンの粘度は、その起源に、ならびにそれぞれの製造方法によっており、そして特定の手段によりさらに影響を及ぼされ得る。
本発明の好ましい一実施形態では、減圧での熱前処理を予め受けたゼラチンが用いられる。このような前処理の結果として、ゼラチンの粘度は増大され得るが、この場合、この作用は主にゼラチン分子内の水の熱排除に起因する。
熱前処理は、80℃より低いと、観察される作用は相対的にほとんど顕著でなく、そして160℃より高いと、ゼラチンの望ましくない着色が起こり得るため、好ましくは80〜160℃の温度で実行される。90〜120℃の範囲の値が最も好ましい。
ゲル形成は、付加的に、ゼラチンの分子量によっている。この場合、不溶性ゼラチンゲルは、より低い分子量を有するゼラチンの場合よりも少数の架橋点で早くも得られるため、高平均分子量、特に140kDaまたはそれより大きい分子量を有するゼラチンの使用が好ましい。
用いられるゼラチンの目的のある選択または改質に対して代替的にまたは付加的には、本発明による治療用組成物の特性は、異なる粘度および/またはブルーム値を有する2またはそれより多くのゼラチンを一緒に混合することによっても影響を及ぼされ得る。例えばゲル形成の速度は、高粘度骨ゼラチンと低粘度魚ゼラチンとの異なる混合比の結果として、広範囲に亘って変更され得る。
本発明のさらに好ましい一実施形態では、部分架橋ゼラチンが治療用組成物の製造のために用いられ、即ち、ゼラチンは、本発明による投与の前に、一次(部分)架橋ステップをすでに経ている。上記のように、部分架橋ゼラチンは、架橋剤との混合物で、あるいはこれと同時にまたは連続的に投与され得るが、この場合、標的領域における架橋ゼラチンゲルの形成は次に、二次架橋ステップを引き起こす。
部分架橋ゼラチンを用いることにより、投与されるべきゼラチン溶液の粘度は有意に増大され得るが、これは上記の利点に関連する。さらに実質的により迅速なゲル形成もこの手段により達成され得るが、この場合、ゲル点は有意に5分未満で、特に2〜3秒の範囲で達成され得る。治療用組成物の投与のほぼ直後に起こる非常に急速なゲル形成は、ある種の用途においては有益であり得る。
部分架橋ゼラチンの溶液が高粘性ではあるがしかし適用条件で流動性を存続することを保証するために、部分架橋の程度は高すぎるべきでない。これは、部分架橋ゼラチンが産生される条件により、特にゼラチン濃度、架橋剤の量ならびに部分架橋反応の持続期間により制御され得る。用いられるゼラチンは、好ましくは、トランスグルタミナーゼを用いることにより部分架橋される。すでに言及された利点のほかに、トランスグルタミナーゼの使用は、特に熱変性または酸化剤、例えば過酸化水素により、限定反応時間後に酵素を非活性化することにより、部分架橋反応の可能性を提供する。
ゼラチンの部分架橋がトランスグルタミナーゼにより達成される場合には、架橋治療用組成物の投与を伴う場合より、ゼラチンに関して有意に低い量のトランスグルタミナーゼがこのために用いられ得る。ゼラチンは、好ましくは、10単位未満のトランスグルタミナーゼ/1 gのゼラチン、特に1〜3単位のトランスグルタミナーゼ/1 gのゼラチンを用いて部分架橋される。
上記のように、本発明による治療用組成物は、細胞の成長および/または分化を手助けする細胞マトリックスとしての、即ち固体マトリックスとしての架橋ゼラチンゲルの形成のために意図される。
本発明の好ましい実施形態では、治療用組成物は、生きている細胞、成長因子、または細胞と成長因子の組合せを含み、これらは特に、生物学的再生または再構築のための身体のそれぞれの標的領域に投与される。これらの適用のいくつかは、以下でさらに詳細に考察される。
本発明の好ましい一実施形態は、損傷椎間板の再生のための架橋治療用組成物を製造するためのゼラチンおよび架橋剤の使用に関する。
この場合、椎間板損傷は、椎間板の、特に髄核(ゼラチン状コア)または繊維輪(椎間板の保護繊維環)の領域における、組織の任意の変性またはその自然の機能に対する損傷を意味すると理解される。加齢に伴って、他の作用因子によって、椎間板のゼラチンコアにおけるおよび/または繊維輪における細胞の活力度の低減が生じ、これは次に、これらの細胞からの細胞外マトリックスの産生低減を生じるだけであるかまたはさらなる産生を全く生じない。しかしながらこの細胞外マトリックスは、多量の水を結合し得るため、弾性に関して、したがって椎間板の緩衝作用に関して決定的に重要である。すでに言及されたように、この変性の結果として、椎間板の機能の実質的損失は慢性疼痛を伴って起こり、あるいは椎間板ヘルニアは繊維輪の擦り切れまたは損傷の結果として起こり得る。
生物学的椎間板再構築の場合、新規の細胞外マトリックスをそこで合成するために、椎間板の異なる構造中に細胞および/または成長因子を導入することにより、このような損傷症例に反対に作用するための試みがなされる。本発明によるゼラチンおよび架橋剤の使用はこれに特に適しているが、この実施形態では、標的領域が椎間板の髄核および/または繊維輪である。
この場合、本発明によれば、成長因子および/またはおそらくはin vivoで前培養された細胞は、ゼラチンおよび架橋剤と一緒に椎間板の標的領域に適用される。椎間板の異なる構造における初期液体組成物の分布後、架橋ゼラチンゲルがその投与後短期間以内に、即ち好ましくは2〜3分以内に生じる。このゲルは、細胞および/または成長因子が均一分布で椎間板中に固定されるが、一方、同時に、それは、架橋ゼラチンが繊維輪の層化構造および注入の進入点を接着し、したがって閉鎖するため、有意程度に再び椎間板から細胞および/または成長因子が押出されないようにする、ということを保証する。したがって患者は相対的に短期間、即ちゼラチンゲルが実質的に完了するまで(これは、例えば5〜180分以内に起こり得る)、固定されるかまたは休止しなければならないだけである。
治療用組成物の適用は、特にゼラチンおよび架橋剤を含有する水溶液の投与により、あるいは水性ゼラチン溶液および水性架橋剤溶液の同時投与ならびにこれらの混合により、実行され得る。
供給および投与のこれらのおよびさらなる変法は、すでに上記されている。両方の場合、投与は注入により最小侵襲的やり方で実行され得るが、この場合、多室注入装置は、好ましくは上記のような第二変法を実行するために用いられる。
この場合、適用されるべき細胞および/または成長因子は、好ましくはゼラチンおよび架橋剤を含有する水溶液中に、あるいは水性ゼラチン溶液中に含入される。
単一溶液の投与が生じる場合、成長因子および/または細胞の供給は、特に、適切な液体媒質中の溶液または細胞懸濁液の形態で生じ得る。本発明の好ましい一実施形態では、ゼラチンおよびトランスグルタミナーゼからなる固体混合物は次に、処置医によりこの溶液または細胞懸濁液中に溶解される。すでに記載されたように、ゼラチンは、37℃またはそれ未満の温度で可溶性であるよう、この場合に大部分は非晶質形態で存在する。
第二の場合、成長因子、細胞、または細胞と成長因子の組合せは、水性ゼラチン溶液で、そして理想的には、架橋剤溶液も充填されて、したがって成長因子および/または細胞の汚染の危険を最小限にする多室アプリケーター中で、すでに医者に利用されている。ゼラチンが貯蔵または輸送中にゲル化する場合、それは、投与直前に37℃までの温度に多室アプリケーターを加熱することにより、再び溶液に戻り得る。この実施形態では、処置医は制御条件(例えば画像処理の助けを借りて)で、所望の標的領域に注射カニューレを挿入し、そして予熱多室アプリケーターをここに連結するだけであるため、治療用組成物の適用は特に簡単である。
椎間板再構築の一部として用いられる細胞は、好ましくは椎間板細胞である。これらは軟骨細胞(chondrocyte)によく似ており、したがって軟骨細胞様細胞とも呼ばれる。しかしながら、間充織幹細胞も、これの代替物として用いられ得る。これらの細胞は骨髄から単離され、そして軟骨細胞または椎間板細胞の方向に分化する能力を有する。
用いられる細胞は自系起源のものであり、即ちそれらは患者それ自体から得られたし、同種異系起源のもの、即ちドナーからのものでもあり得た。
投与されるべき細胞を提供する場合、それぞれの型の細胞が組織から単離され、そしてin vitroで前培養されるような手順が有益である。本発明の枠組み内でさらにまた用いられ得る代替的可能性は、所望の細胞を含有する細砕組織を治療用組成物とともに投与することである。この方法は、in vitroでの細胞の培養と比較して、非常に迅速に且つ安価に実行され得る。特に、組織の一片が生検により患者またはドナーから採取され、そして機械的に、即ち滅菌メスまたは粉砕機を用いて細砕される。その結果生じる組織片は、投与後に生きている細胞が組織から架橋ゼラチンゲル、すなわち細胞マトリックスに移動するのを可能にするのに十分に小さい必要があり、そして好ましくは1 mm3より小さい必要がある。次に組織断片の懸濁液が好ましくは生成され(例えば生理学的緩衝溶液1 ml中に組織300〜500 mg)、これは次に、水性ゼラチン溶液またはゼラチンおよび架橋剤を含有する溶液と混合され得る。
標的領域では、即ち上記の症例における椎間板の髄核および/または繊維輪では、架橋ゼラチンゲルは、細胞の成長および/または分化を支持するマトリックスを形成する。ゼラチンゲルが一定期間後に分解されるかまたは再吸収され、したがって細胞により合成される細胞外マトリックスにより首尾よく置き換えられ得るという事実も、この場合に重要な役割を演じる。
細胞に関して考え得る最適条件を提供するためには、すでに示されているように、治療用組成物が成長因子または細胞のための保護および刺激作用を有する他の物質を含む場合が好ましい。椎間板再生の一部として、このような因子は、例えばTGF-βスーパーファミリー(形質転換成長因子β)、インスリン、グルコサミン、硫酸コンドロイチン、ヒアルロン酸、ならびに抗炎症活性物質(例えばIL‐1受容体アンタゴニスト)または抗生物質である。細胞の生存率、増殖および分化、ならびに標的領域における代謝環境は、このような因子により正の影響を及ぼされる。
概して、用いられる細胞の活力度に関して、それらを含有する水性溶液は生理学的条件を有し、即ち特に、適切なpH値およびイオン強度を有する、ということが保証されるべきである。例えば既知の緩衝液系、例えばPBS緩衝液またはハンクス緩衝液が用いられ得る。しかしながらこの場合、モル浸透圧濃度、即ち溶液の浸透圧的に活性な全濃度は、溶解ゼラチンにより増大される、ということが保証されなければならない。細胞に及ぼす負の作用を回避するために、これは、緩衝液系の他の構成成分の濃度の低減により補償されなければならない。
この情況では、本発明は椎間板損傷を再生するための方法にも関するが、この場合、当該方法は、標的領域に到達する前に、別々にまたは予め混合されて、ゼラチン、架橋剤、ならびに椎間板細胞および/または軟骨細胞および/または間充織幹細胞および/または成長因子を椎間板の髄核および/または繊維輪に投与することを包含する。
同様に、椎間板損傷と関連して記載されているように、本発明の治療用組成物は、半月板あるいは関節または非関節軟骨の領域にも適用され得る。これに基づいて、本発明は、損傷半月板または軟骨の再生のための架橋治療用組成物を製造するためのゼラチンおよび架橋剤の使用にも関する。
椎間板のほかに、軟骨組織は、非常に低い固有の再生能力も有する。したがって、損傷の場合、例えば外傷に起因する傷害関連軟骨病変の場合は離断性骨軟骨炎、あるいは限定変性軟骨損傷の場合は自系または同種異系軟骨細胞が欠損領域に導入されて、新規の細胞外マトリックスをそこに産生する(自系または同種異系軟骨細胞移植)。
これらの細胞の投与は、特に空間的により小さな欠損の場合、椎間板再生に関連してすでに記載されているように、本発明の治療用組成物の適用により達成され得るのが有益である。この場合に用いられる細胞は軟骨細胞および/または間充織幹細胞であり得るが、ここで、後者は軟骨細胞に向かって分化する能力を有する。
本発明のさらなる好ましい一実施形態は、運動メカニズムの異なる解剖学的位置における骨または腱欠損を再生するための架橋治療用組成物を製造するためのゼラチンおよび架橋剤の使用に関する。これらの適応量に関して、架橋剤はさらにまた、成長因子、分化因子および/または細胞とともに、ならびにその他の再生促進または抗生物質とともに、最小侵襲的または開放的なやり方で(例えば骨自己移植片または同種異系移植片、セラミックまたは他の抗負荷材料と組合せて)、当該欠損に適用され得る。
本発明のこれらのならびにさらなる利点を、図面を参照しながら以下の実施例に基づいてさらに詳細に説明する。
本発明による架橋ゼラチンゲルのゲル強度および粘着性が反応時間によって異なる粘度を有するゼラチンに関してプロットされるグラフである。 本発明による架橋ゼラチンゲルのゲル強度および粘着性が反応時間によって異なる粘度を有するゼラチンに関してプロットされるグラフである。 本発明による架橋ゼラチンゲルのゲル強度および粘着性が反応時間によって異なる粘度を有するゼラチンに関してプロットされるグラフである。 本発明による架橋ゼラチンゲルのゲル強度および粘着性が反応時間によって異なる粘度を有するゼラチンに関してプロットされるグラフである。 本発明による架橋ゼラチンゲルのゲル強度および粘着性が反応時間によって異なる粘度を有するゼラチンに関してプロットされるグラフである。 図2は、そこに包埋された軟骨細胞を有する本発明による架橋ゼラチンゲルの光学顕微鏡像。
実施例1:トランスグルタミナーゼによるゼラチンの架橋:ゼラチンの粘度の作用
本発明による治療用組成物の医学的適用のためのモデル系として、酵素架橋剤トランスグルタミナーゼによるゼラチンの架橋をin vitroで実行し、架橋ゼラチンゲルの形成の動態を確定する。
トランスグルタミナーゼストック溶液の生成
ヒトケラチノサイトからの組換えトランスグルタミナーゼをこの実施例、ならびに下記の実施例のために用いた。
室温で蒸留水中に対応する量の酵素を溶解することにより、30単位/mlの濃度を有するトランスグルタミナーゼのストック溶液を生成した。溶液を濾過により滅菌し、液体窒素を用いて各々1.5 mlで一部ずつ凍結して、約-18℃で貯蔵した。代替的には、一部を+4℃で貯蔵し得る。
減圧でのゼラチンの熱前処理
トランスグルタミナーゼによる架橋のために、異なる粘度を有するブタ皮膚ゼラチンを、以下の表1に従って用いた。この場合の粘度の明細は、60℃でのゼラチンの6.7重量%水溶液の粘度に関する。
Figure 0005319524
高粘度ゼラチンCおよびDを、低粘度のゼラチンの熱前処理によりそれぞれ生成した。この場合、ゼラチンCはゼラチンBの熱前処理により得て、そしてゼラチンDは6.41 mPa・sの粘度を有するさらなるブタ皮膚ゼラチンの熱前処理により得た。
粉砕形態の約700 gのゼラチンがそれぞれ、回転蒸発器により105℃で4時間、約14 mbarの真空下で保持されるよう、減圧でのゼラチンの熱前処理を実行した。次にゼラチンを閉鎖容器中で一晩冷却させた。
架橋反応の遂行
4つのゼラチンA、B、CおよびDの各々に関して、30容量%のPBS緩衝液(pH7.2)および70容量%の蒸留水を含む混合物中にゼラチンの10重量%溶液を生成した。このために、ゼラチンを60℃で溶解し、その結果生じた均質溶液の温度を37℃に調節した。
治療的適用に広く用いられる条件にできるだけ近づくために、37℃の一定温度で架橋反応のすべてを実行した。各バッチに関して、10重量%ゼラチン溶液5 mlを、直径3 cmの円筒形容器中に入れ、その温度を、アルミニウムブロックにより37℃に調節した。0.3 mlのトランスグルタミナーゼストック溶液(30単位/ml)および0.9 mlの蒸留水(各々37℃に予熱)を付加し、その結果生じた反応混合物を直ちに十分に混合することにより、架橋反応を開始させた。これは、ゼラチンに比して18単位/gの酵素量に対応する。
反応時間の一関数としてのゲル強度の確定
架橋反応の経過中、反応混合物のゲル強度および粘着性を、タイプZwick BZ 2.5/TN1S(メーカー:Zwick GmbH & Co. KG, Ulm)の力/距離測定装置により、50秒の間隔で確定した。
各測定サイクルで、即ち50秒毎に、12.7 mmの直径を有する円形プランジャを、それに直角に反応混合物の表面中に4 mmの深さで押し込むかまたは押し付けて、これに必要な力を測定する。次に研磨ポリメチルメタクリレート表面を有するプランジャを再び上方に引く。架橋ゼラチンゲルがすでに存在する場合、これはその除去中にプランジャに接着する。ゼラチンゲルが分離する程度に上方にプランジャを引張るために必要な力も測定する。
ゼラチンA、B、CおよびDを有する4つのバッチに関して反応時間(0時間で架橋反応の開始)の一関数として測定される力を、図1A〜1Dにプロットする。正の力値は、プランジャを押すのに必要な力、すなわちゲル強度を示す(981 mNは100 gのゲル強度に対応する)。負の力値は、ゼラチンゲルの粘着性、即ちゼラチンゲルが分離するまでプランジャを除去するのに必要とされる力を示す。
反応の初期段階中、ゲル強度および粘着性はともに実質的にゼロであり、即ち流動可能溶液が存在する。医学的適用において、これは、混合物が身体の標的領域に投与され得る期間に対応する。ゼロと顕著に異なるゲル強度が測定され得る最も早い時点が、ゲル点である。この時点で、貯蔵係数G’および損失係数G“は同じ大きさである。
バッチA〜Dの異なるゲル点を以下の表2に列挙するが、この場合、値はそれぞれ3つの実験から平均する。
Figure 0005319524
ゲル点は用いられるゼラチンの粘度と、即ち同量の架橋剤と相関し、そしてゲル形成は、低粘度のものより、高粘度のゼラチンにおいて実質的により急速に起こる、ということは明白である。得られるゲル強度も、図1A〜1Dから明らかなように、出発材料によっている:25分後、いくつかの場合には明らかに100 gより大きいゲル強度がゼラチンB、CおよびDの場合に達成されたが、一方、最低粘度を有するゼラチンAの場合、単に約40 gが到達された。
実施例2:トランスグルタミナーゼによるゼラチンの架橋:ゼラチン濃度の作用
この実施例では、実施例1からの熱前処理ゼラチンCを、異なるゼラチン濃度で、トランスグルタミナーゼで架橋した。反応混合物の調製およびゲル強度の測定を、実施例1に記載したように実行した。
用いられるゼラチン溶液の濃度、反応混合物の組成およびゲル強度測定から生じるゲル点を、以下の表3に示す。
Figure 0005319524
結果は、ゲル形成がゼラチン濃度の増大により促進され得る、ということを示す。この傾向は実行される試験において疑いなく明白であるが、しかしより高いゼラチン濃度の場合、架橋剤の量はゼラチンに関してわずかに低かった。
本発明による組成物の医学的適用において、この情況では、いくつかの環境において約20重量%を超える値へのゼラチン濃度の増大は、ゼラチン溶液中に提供される細胞の活力度に負の影響を及ぼし得る、ということが考慮されなければならない。
実施例3:トランスグルタミナーゼによるゼラチンの架橋:架橋剤の量の作用
この実施例では、実施例1からの熱前処理ゼラチンを異なる量のトランスグルタミナーゼで架橋した。
ゼラチンCの5重量%溶液を、実施例1に記載したように生成した。各バッチに関して、この溶液5.9 mlを37℃に予熱し、架橋反応を開始するために、以下の表4に明記した量のトランスグルタミナーゼストック溶液(30単位/ml、37℃に加熱)と混合した。ゲル強度測定によるゲル点の確定は、実施例に記載したように生じた。
Figure 0005319524
表4に明記した値から分かるように、架橋ゼラチンゲルの生成速度は、架橋剤(この場合、トランスグルタミナーゼ)の濃度によっても影響を及ぼされ得る。予測どおり、架橋剤の量が多いほど、ゲル形成は速い。
実施例4:細胞培地中のトランスグルタミナーゼによるゼラチンの架橋
この実施例では、実施例1からのゼラチンCを、異なる濃度で、細胞の培養に特に十分に適した緩衝溶液中の異なる量のトランスグルタミナーゼを用いて架橋した。このために、80容量%の細胞培地DMEM/F12(ダルベッコ変法イーグル培地、Bio Whittaker)および20容量%のFB血清(ウシ胎仔血清、PAA Laboratories)の混合物中で、水性ゼラチン溶液を生成した。別の状況では、架橋反応およびゲル強度の測定を、表5にそれぞれ明示した比率で、実施例1に記載したように実行した。
Figure 0005319524
結果は、生きている細胞の培養および適用のために適している細胞培地における問題を伴わずに、トランスグルタミナーゼによるゼラチンの架橋も実行し得る、ということを示す。前記実施例の場合と同様に、得られるゲル形成速度およびゲル強度は、ゼラチンおよび架橋剤濃度の選択により広範囲に亘って変更され得る、ということもここでは明らかである。
実施例5:トランスグルタミナーゼによる非ゲル化ゼラチンの架橋
この実施例では、標準部ルーム試験の条件下でゲル化しないゼラチンを用いた。魚皮膚から得られるこのゼラチンは、以下のように特性化される:
ゲル強度: 0 gブルーム
粘度(6.7重量%、60℃) 2.1 mPa・s
伝導度: 115 μS
分子量(GPC): 70,840 Da
実施例1に記載した手順に従って、魚ゼラチンを、異なる濃度で、異なる量のトランスグルタミナーゼと混合した。それぞれの比率、ゲル点およびゲル強度は、以下の表6から明らかである。
Figure 0005319524
低粘度魚ゼラチンを用いても架橋ゼラチンゲルを生成し得るが、この場合、予測どおり、高粘度ゼラチンと比較して、非常にゆっくり且つより低いゲル強度で起こされるゲル形成が全体的に達成された。しかしながらバッチ5-3および5-4が示すように、高ゼラチン濃度および高量の架橋剤を用いることにより、高粘度ゼラチンで得られる値に匹敵する値が、ここでも容易に得られる。
非ゲル化魚ゼラチンを用いる場合の特有の利点は、ゼラチン溶液が室温で液体のままであり、そして結果として治療用組成物の供給および取扱いが簡単にされる、という点である。
異なるゼラチン型の、例えば魚ゼラチンと畜牛骨ゼラチンまたはブタ皮膚ゼラチンとの混合物の使用は、架橋治療用組成物のゲル点およびゲル強度に影響を及ぼすさらなる可能性(ゼラチンおよび架橋剤濃度の変動のほかに)を提供する。
実施例6:トランスグルタミナーゼによるゼラチンの架橋:部分架橋ゼラチンの使用
この実施例では、ゼラチンを先ず部分(一次)架橋ステップに付して、ゲル溶液の初期粘度を増大し、実(この場合は二次)架橋ステップにおける有意に速いゲル形成を得た。
ブルーム値250 gおよび粘度6.6 mPa・s(60℃で6.7重量%)を有するブタ骨から作製されるゼラチンを、部分架橋ゼラチンの製造のための出発材料として役立てた。先ず室温で45分間ゼラチンを膨潤させて、次にそれを60℃で1時間溶解することにより、蒸留水中のこのゼラチンの10重量%溶液を調製した。次に溶液の温度を50℃Cに調節して、1.5単位のトランスグルタミナーゼ/ゼラチン1 gの量が存在するよう、対応量のトランスグルタミナーゼストック溶液(30単位/ml)を付加した。部分架橋を実行するために、溶液を撹拌しながら50℃に2時間保持した。
架橋反応を停止するために、溶液を80℃に加熱することによりトランスグルタミナーゼを熱不活性化し、次に溶液を氷浴中で直ちに冷却し、皿に注ぎ入れて、ゲル化させた。得られたゼラチンゲルを切り刻んで、20℃で10%の相対空気湿度で乾燥し、次に粉砕した。このようにして得られた部分架橋ゼラチンを、P2として以下で言及する。
わずかに高度の架橋を有するさらなる部分架橋ゼラチンを上記と同様に製造したが、但し、部分架橋反応を3時間実行した。このゼラチンを、以下ではP3として言及する。
初期ゼラチンP0ならびに部分架橋ゼラチンP2およびP3の60℃および37℃でのブルーム値および粘度を、以下の表7に示す。
Figure 0005319524
部分架橋の結果、60℃でのゼラチンの粘度は、非架橋ゼラチン(P0)と比較して、約1.5倍(P2)または約2.5倍(P3)増大され得た。粘度における増大の作用は、37℃で、即ち治療用組成物の好ましい適用温度で、より有意である。この際、粘度は、約2.5倍または約7倍増大した。
トランスグルタミナーゼによる架橋反応をゼラチンP0、P2およびP3を用いて実行し、そして実施例1に記載したように、反応時間の一関数としてゲル強度および粘着性を確定した。各場合、出発点は10重量%ゼラチン溶液5 mlで、これに1.2 mlのトランスグルタミナーゼストック溶液(30単位/ml)を付加した。これは、72単位/ゼラチン1 gの酵素量に対応する。
測定結果を、以下の表8に列挙する。
Figure 0005319524
架橋ゼラチンゲルのゲル点がゼラチンの部分架橋の結果として実質的により速く到達され得る、ということは明らかである。特に注目すべきは、ゼラチンP3を用いて達成された結果、即ちゼラチンとトランスグルタミナーゼを混合後5秒未満以内のほぼ直ちのゲル形成である。
図1Eでは、ゼラチンP3を有するバッチに関する反応時間の一関数として、測定力を表す(実施例1に記載したように実行して測定)。混合のほぼ直後に生じるゲル化にかかわらず、ゲル強度および接着力は連続的に増大し、そしてゲル点後のしばらくの間のみそれらの最大に到達する、ということが図から明らかである。この作用は、本発明の適用のために非常に有益であり、そして結果的に、治療用組成物は適用後一定期間の間依然として可塑的に変形され得るし、標的領域の構造に適合され得る。
実施例7:ゼラチンおよびトランスグルタミナーゼの凍結乾燥固体混合物の製造および溶解挙動
本実施例は、6単位のトランスグルタミナーゼ/ゼラチン1 gを含有する固体混合物の製造を記載する。
実施例1からのゼラチンA(290 gブルーム値を有するブタ皮膚ゼラチン)75 gを、425 gの蒸留水中で膨潤させて、60℃で溶解した。溶液を45℃に冷却させて、15 mlのトランスグルタミナーゼストック溶液(30 U/ml、実施例1参照)と混合し、十分に混ぜ合わせた。2つの凍結乾燥トレーを液体窒素で冷却し、ゼラチンおよびトランスグルタミナーゼを含有する溶液をそこに撒き散らして、液体窒素を用いて凍結させた。凍結溶液を、Lyovac GT2凍結乾燥設備(メーカー:AMSCO Finn-Aqua GmbH, Hurth)中で2日間凍結乾燥した。
得られた凍結乾燥固体混合物を、液体窒素で絶えず冷却しながら乳鉢中で微粉末に粉砕し、次に真空乾燥した。粉末は高吸湿性であるため、それを、約4℃で密閉貯蔵した。
同一比率で上記の手順を反復することにより、しかしゼラチンAの代わりに冷水溶性インスタントゼラチンを用いることにより、さらなる固体混合物を製造した。このインスタントゼラチンは、その溶解性を改良するための割合の低分子ゼラチン加水分解物を含有する。
このようにして生成された固体混合物の溶解行動を、以下のように検査した:各場合に50 mgの固体混合物を閉鎖可能管中で計量し、37℃に予熱されたPBS緩衝液(pH7.2)950 μlと混合した。管を試験管撹拌器を用いて振盪し、固体混合物の可視的溶解までの時間を確定した。
ゼラチンAから生成された混合物は2.7分後に溶解され、インスタントゼラチンから生成される混合物が溶解したのはたった2分後であった。
本実施例は、凍結乾燥ゼラチンが水溶液中で37℃で溶解され得る、ということを示す。これは、凍結乾燥工程の結果としてゼラチンがおおむね非晶質形態で存在する、という事実に起因する。溶解速度は、インスタントゼラチンを用いることにより、さらに改良され得る。
ゼラチンおよび架橋剤のこのような凍結乾燥固体混合物は、本発明の枠組み内で有益に用いられ得る。混合物は、室温で提供されるかまたは冷却され、次に、処置医により37℃またはそれ未満で、投与されるべき細胞をおそらくは含有する水溶液中で溶解され得る。
実施例8:トランスグルタミナーゼにより架橋されるゼラチンゲル中のブタ軟骨細胞の包埋
この実施例では、架橋ゼラチンゲル中のブタ軟骨細胞の活力度を、数日間に亘って検査した。
この場合、約17重量%のゼラチン濃度および16単位のトランスグルタミナーゼ/ゼラチン1 gの量を選択した。
35容量%のハンクス緩衝液および75容量%の蒸留水の混合物中に60℃でゼラチンを溶解することにより、実施例1からのゼラチンの20重量%溶液を生成した。ゼラチンの結果として増大される溶液のモル浸透圧濃度を少なくとも部分的に補償するために、水によるハンクス緩衝液の希釈を実行した。
200 μlのゼラチン溶液を37℃に予熱し、10 μlの細胞懸濁液(約10,000個のブタ軟骨細胞を含有する)と、ならびに21.3 μlのトランスグルタミナーゼストック溶液(30 U/ml)とも混合した。混合物をカバープレート上にピペット分取して、37℃でインキュベーター中で10分間インキュベートしたが、この場合、細胞を含有する架橋ゼラチンゲル(細胞マトリックス)を形成がされた。これを細胞培養の3 ml層で被覆し、37℃でさらにインキュベートした。
架橋ゼラチンゲル(細胞マトリックス)は、少なくとも数日間、これらの条件下で安定したままであり、即ち、それは実質的にその外形を保持した。これは、本発明による治療用組成物がそこに包埋される安定三次元マトリックスとして役立ち得る、ということを示す。
ヨウ化プロピジウムで架橋ゼラチンゲルを染色することにより、細胞の活力度を確定した。この染色を用いると、細胞は、赤色着色により蛍光顕微鏡下で可視的になる。3、5または7日後の試験で、非常に小さい、実質的に定数の死細胞が各場合に存在する、ということが実証された。
図2は、3日のインキュベーション期間後のそこに包埋された軟骨細胞20を有するヨウ化プロピジウムで処理した架橋ゼラチンゲル10の細胞マトリックスの光学顕微鏡像を示す。画像の下右縁上のバー30は、100 μmの長さに相当する。蛍光顕微鏡下で赤色に見える死細胞を矢印で示す。ゼラチンゲル中の細胞の優勢な割合は3日後も依然として肝要である、ということは図において疑いなく明らかである。
この結果は、本発明による組成物から形成されるゼラチンゲルが哺乳類細胞の細胞成長を手助けするマトリックスとして作用し得る、ということを示す。
実施例9:トランスグルタミナーゼにより架橋されるゼラチンゲル中のヒト軟骨細胞の包埋
この実施例では、ヒト軟骨細胞の成長行動に及ぼす架橋ゼラチンゲルの作用を検査した。この場合、一定濃度の架橋剤トランスグルタミナーゼを用いて、異なるゼラチン濃度を試験した。
5つのバッチの各々に関して、以下の表9によるそれぞれの濃度を有する実施例1からのゼラチンAの溶液250 μlを用いた。48ウエル細胞培養プレートのウエル中で250,000個のヒト軟骨細胞を各溶液に植え付けて、40℃の温度でトランスグルタミナーゼストック溶液(30 U/ml)12.5 μlと混合し、そして37℃で1週間インキュベートした。比較のために、バッチ9-4にはトランスグルタミナーゼを付加せず、そしてバッチ9-5中には、ゼラチン溶液の代わりに緩衝液を用いた。結果を表9に示す。
Figure 0005319524
37℃で1週間インキュベーション後、細胞を顕微鏡観察した。細胞コロニー形成結果として、細胞密度および細胞の形態を査定し、1〜6のスケールにより評価したが、この場合、1は非常に良好な細胞適合性を示し、そして6は架橋ゼラチンゲルの細胞不適合性を示す。
3.0重量%のゼラチン濃度(バッチ9-3)で、最良結果を得た。細胞は丸みを有し、小型で、そしてほとんど如何なる空胞形成も有さなかった。4.3または12.5重量%(バッチ9-2および9-1)への濃度の増大は、マトリックス中の細胞密度の低減を生じる傾向、そして空胞の拡大への傾向を有した。
比較試験で用いた非架橋ゼラチン溶液(バッチ9-4)は、同様に、軟骨細胞に認知可能的に有害でなかったが、しかし顕著な繊維芽細胞様形態を生じた。ゼラチンを伴わないトランスグルタミナーゼの存在(バッチ9-5)は、細胞の実質的空胞形成を生じた。
この試験は、ヒトに冠する好ましい成長および生存条件は、ゼラチン濃度の適切な選択により達成され得る、ということを示す。

Claims (15)

  1. 椎間板又は半月板損傷を治療するための架橋治療用組成物を製造するためのゼラチン及びトランスグルタミナーゼの使用であって、該組成物は、ヒトは動物身体の標的領域における細胞マトリックスとしての架橋ゼラチンゲルを形成し、
    (i)ゼラチン及びトランスグルタミナーゼが互いに混合されて架橋治療用組成物を形成し、これが次に標的領域に投与されるか;
    (ii)ゼラチン及びトランスグルタミナーゼが別個の形態で提供され、そして標的領域に同時には連続的に投与されて、架橋治療用組成物の形成を伴う、ここで、標的領域は、椎間板の髄核及び/又は繊維輪あるいは半月板であり、該組成物は、椎間板細胞、軟骨細胞、及び/又は間充織幹細胞を含む、
    前記使用。
  2. ゼラチンが魚ゼラチンである、請求項1に記載の使用。
  3. (i)に記載の組成物は、トランスグルタミナーゼ及びゼラチンを溶液中に含有する水溶液である、請求項1又は2に記載の使用。
  4. 前記水溶液は、凍結乾燥形態のゼラチン及びトランスグルタミナーゼを含む固体混合物を溶解することにより製造される、請求項に記載の使用。
  5. ゼラチンが少なくとも主として非晶質形態で存在する請求項に記載の使用。
  6. トランスグルタミナーゼが0.6〜80単位/ゼラチン1gの量で固体混合物中に含まれる、請求項4又は5に記載の使用。
  7. トランスグルタミナーゼが5〜40単位/ゼラチン1gの量で固体混合物中に含まれる、請求項に記載の使用。
  8. (ii)に記載の提供が水性ゼラチン溶液別個のトランスグルタミナーゼ溶液の形態で行われる、請求項1又は2に記載の使用。
  9. ゼラチン溶液とトランスグルタミナーゼの同時投与が多室アプリケーターによる注射により行われる、請求項に記載の使用。
  10. (ii)に記載の提供が水性ゼラチン溶液固体形態のトランスグルタミナーゼの形態で行われる、請求項1又は2に記載の使用。
  11. 前記組成物中のゼラチン濃度が5〜20重量%である、請求項1〜10のいずれか1項に記載の使用。
  12. 細胞マトリックスを形成する架橋ゼラチンゲルが4 mmの浸透深度で12.7 mmの直径を有するプランジャで測定された100 gはそれより大きいゲル強度を有する請求項1〜11のいずれか1項に記載の使用。
  13. (i)又は(ii)に記載の混合及び/又は投与の前にゼラチンが部分架橋される請求項1〜12のいずれか1項に記載の使用。
  14. ゼラチンがトランスグルタミナーゼを用いて部分架橋される請求項13に記載の使用。
  15. 前記組成物が成長因子、分化因子、抗炎症物質、及び/又は抗生物質を含む請求項1〜14のいずれか1項に記載の使用。
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