JP2004283371A - 医用材料 - Google Patents

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猛 小林
Hiroyuki Honda
裕之 本多
Akira Ito
彰 井藤
Atsunori Mase
敦則 間瀬
Yohei Takizawa
洋平 瀧澤
Masashige Shinkai
政重 新海
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Abstract

【課題】細胞培養用足場として良好な機能を発揮し、組織再生用の材料として好適な医用材料を提供する。
【解決手段】変性コラーゲンと、細胞接着性物質と、組織再生用細胞と、及びトランスグルタミナーゼとを含む溶液を調製した後、前記トランスグルタミナーゼの作用によってゲル化させることによって、変性コラーゲンのマトリックスに組織再生用細胞が包含された医用材料を得る。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は組織(例えば皮膚組織)の再生に利用できる医用材料、並びにその作製方法及び利用に関する。
【0002】
【従来の技術】
我が国においては、1998年の臓器移植法の制定により、脳死者の臓器を用いた移植医療が行われるようになった。しかしながら、移植待機者に対して臓器提供者が慢性的に不足している。このような状況の下、近年ティッシュエンジニアリングという技術が高い注目を集めている。ティッシュエンジニアリングは人工的に生体移植用の組織や臓器を作製(再生)する技術であり、再生医療の中核を成す技術である。ティッシュエンジニアリングにより再構築された培養皮膚、培養骨、培養軟骨などは既に臨床応用の段階にあり、その技術は様々な組織に応用されようとしている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ティッシュエンジニアリングでは、組織の再生又は機能回復を目的して、細胞とその足場としての天然又は人工のポリマーマトリックスとを組合わせた材料が利用されている(Langer, R. and Vacanty, J.P.:Sci. Am., 273, 130−133(1995)、Langer, R. and Vacanty, J.P.:Science, 260, 920−926(1993))。組織を体外で作製するためには生体内を模倣した培養環境が必要であり、特に細胞を培養するための足場(スキャホールド)が重要である。今後、立体的でより複雑な組織の再構築が目標となるだろうが、そのための有効な足場の開発が極めて重要である。そこで、本発明は細胞培養用足場として良好な機能を発揮し、組織再生用の材料として好適な医用材料を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
以上の目的を達成するために、本発明者らはまずマトリックス材料としてコラーゲンから生成されるゼラチン(変性コラーゲン)に注目し、組織の再生に有用な細胞を組込んだゼラチンのマトリックスを構築することを試みた。このようなマトリックスを得るためには、ゼラチン水溶液内に細胞を添加した後にゼラチンをゲル化する必要がある。細胞へ与えるダメージを考慮すれば、細胞の培養に適した温度条件下でゲル化させることが望ましいが、一旦溶解したゼラチンはこのような温度条件ではゲル化しない。そこで本発明者らは鋭意検討を行った結果、タンパク質架橋酵素であるトランスグルタミナーゼに着目し、これを用いてゼラチン分子を架橋することでゼラチンをゲル化することとした。トランスグルタミナーゼを用いることによって、その中に含有させた細胞に実質的なダメージを与えることなく、細胞を含んだマトリックスを構築することが可能となる。本発明者らは更に、ゼラチンゲル内での細胞の増殖を促進させるためには細胞接着因子を添加することが好ましいと考え、細胞接着因子の添加による効果を検討した。その結果、細胞接着因子であるフィブロネクチン、ビトロネクチンの添加によって、細胞の増殖が効果的に促進されることを確認できた。一方、臨床応用を前提とすれば、これらの細胞接着因子を利用する場合には抗原性の面からヒト由来のものを使用することが好ましいが、ヒト由来のものは高価であることは勿論のこと安定な供給も難しいと考えられることから、本発明者らはこれらに代わる物質の利用可能性について検討した。具体的には、細胞接着因子の機能領域と考えられているRGD配列に注目してフィブロネクチン等の代わりにRGD配列を有するペプチドを用いた場合の効果を検討した。その際、トランスグルタミナーゼの基質となる配列又は基質とならない配列を有する各ペプチドを用いて両者の効果を比較した。その結果、いずれのペプチドを添加した場合であっても細胞増殖効果の向上が観察されたが、トランスグルタミナーゼの基質となる配列を有するペプチドを用いた場合においては特にその効果が高く、フィブロネクチン等を添加した場合と同等の細胞増殖効果が認められた。
【0005】
以上の検討によって、細胞接着分子又はRGD配列を有するペプチドなどの細胞接着性物質を含み、トランスグルタミナーゼで架橋されたゼラチンゲルがその中に包含した細胞の培養用足場として良好に機能することが判明した。次に、実際の組織再生効果を検証するために、表皮組織の再生をモデル系として移植実験を行った結果、良好な表皮組織の再生が認められた。
本発明は以上の検討の結果得られた知見に基づきなされたものであって、以下の各構成を提供する。
[1] 変性コラーゲンと、
細胞接着性物質と、
組織再生用細胞と、を含み、
トランスグルタミナーゼの架橋作用によってゲル化されている医用材料。
[2] 変性コラーゲンと、
細胞接着性物質と、
組織再生用細胞と、
トランスグルタミナーゼと、を含む医用材料。
[3] 前記変性コラーゲンの濃度が約5重量%である、[1]又は[2]に記載の医用材料。
[4] 前記細胞接着性物質がRGD(Arg−Gly−Asp)配列を有するペプチドである、[1]〜[3]のいずれかに記載の医用材料。
[5] 前記ペプチドが、トランスグルタミナーゼの基質となるペプチドである、[4]に記載の医用材料。
[6] 前記組織再生用細胞が、再生目的の組織を構成する細胞の増殖ないし組織化を促進する作用を有する物質産生能を有する、[1]〜[5]のいずれかに記載の医用材料。
[7] 前記組織再生用細胞が繊維芽細胞である、[1]〜[5]のいずれかに記載の医用材料。
[8] 前記組織再生用細胞が、再生目的の組織を構成する細胞又は該細胞に分化し得る細胞である、[1]〜[5]のいずれかに記載の医用材料。
[9] 変性コラーゲンと、
細胞接着性物質と、を含み、
トランスグルタミナーゼの架橋作用によってゲル化された細胞培養用マトリックス。
[10] 以下のステップ(a)及び(b)を含む、医用材料の作製方法:
(a)変性コラーゲンと、細胞接着性物質と、組織再生用細胞と、及びトランスグルタミナーゼとを含む溶液を調製するステップ;及び
(b)前記トランスグルタミナーゼの作用によってゲル化させるステップ。
[11] さらに以下のステップ(c)を含む、ことを特徴とする[10]に記載の作製方法:
(c)ステップ(b)によって得られたゲルを、前記組織再生用細胞の増殖が可能な環境下に置いて該細胞を培養するステップ。
[12] [10]又は[11]の作製方法によって得られた医用材料。
[13] 以下のステップ(i)〜(iv)を含む、組織の再生方法:
(i)変性コラーゲンと、細胞接着性物質と、組織再生用細胞と、及びトランスグルタミナーゼを含む溶液を調製するステップ;
(ii)前記トランスグルタミナーゼを作用させてゲル化させるステップ;
(iii)ステップ(ii)によって得られたゲルを、前記組織再生用細胞の増殖が可能な環境下において該細胞を培養するステップ;
(iv)培養後のゲルを移植部に移植するステップ。
[14] 以下のステップ(I)及び(II)を含む、組織の再生方法:
(I) 変性コラーゲンと、細胞接着性物質と、組織再生用細胞と、及びトランスグルタミナーゼとを含む溶液を調製するステップ;
(II)前記溶液を移植部に移植するステップ。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明の第1の局面は医用材料に関し、その一態様は(1)変性コラーゲン(以下、「ゼラチン」ともいう)、(2)細胞接着性物質、及び(3)組織再生用細胞を含み、トランスグルタミナーゼ(以下、「TGase」ともいう)の架橋作用によってゲル化されていることを特徴とする。
「変性コラーゲン」(ゼラチン)はコラーゲンを酸やアルカリ、又は酵素によって処理することによって得られるタンパク質であり、水溶性であることを特徴とする。ゼラチンは比較的安価であって、食品や医薬品などの分野で広く利用されていることからも明らかなように、抗原性が低く安全な材料であるという利点を有する。
【0007】
本発明におけるゼラチンとしてはヒトコラーゲン由来のもの、ウシコラーゲン由来のもの、ブタコラーゲン由来のものなどを使用することができる。また、コラーゲンの処理(変性)方法も特に限定されるものではない。但し、コラーゲンの酸処理によって得られたゼラチンは抗原性が極めて低下すると考えられていることから、酸変性コラーゲンを用いることが特に好ましい。
ゼラチンは、ゲル化させた際に細胞の培養に適したマトリックスが形成されるようにその含有量(濃度)が調整される。本発明の医用材料の適用対象(即ち再生を目的とする組織)などによって、適切と考えられる濃度は変動し得るが、例えばゼラチンの濃度を約3重量%〜約7重量%(医用材料全体に対する含有量)、好ましくは約5重量%に設定することができる。
【0008】
「細胞接着性物質」とは細胞間の接着や細胞とゼラチンとの接着を介在し得る物質のことをいい、具体的には細胞接着分子、細胞接着性ペプチドをその例として挙げることができる。「細胞接着分子」とは細胞間の接着や細胞と基底膜間の接着を介在する分子であって、例えばフィブロネクチン、ビトロネクチン、ラミニン等を例示することができる。本発明ではこれらの細胞接着分子の代わりに細胞接着性ペプチドを用いてもよい。細胞接着性ペプチドの具体例としてはRGD(Arg−Gly−Asp)配列を有するペプチド(以下、「RGDペプチド」ともいう)を挙げることができる。細胞接着分子においてアミノ酸配列RGD(Arg−Gly−Asp)が接着作用に直接関与しているものと考えられていることから、この機能領域であるRGDを有するペプチドを用いた場合においても同様の効果が発揮されると考えられるからである。尚、後述の実施例で示すように、RGDペプチドを用いた場合において、フィブロネクチンなどを用いた場合と同様の細胞増殖効果が得らることが実証されている。
RGDペプチドは天然のものは勿論のこと、アミノ酸を材料として合成した合成ペプチドであってもよい。RGD配列を有する限り、そのアミノ酸構成、分子サイズなどは特に限定されない。但し、合成ペプチドを用いる場合には、合成時間、合成コスト等を考慮すれば低分子量のペプチドを採用することが好ましい。また、アミノ酸配列に関しては、RGD配列を有することに加えて、TGaseの基質となる配列を有していることが好ましい。即ち、TGaseによる架橋反応ではGln残基のγ−カルボキシル基とLys残基のε−アミノ基が作用してペプチド結合が形成され、これによっては架橋が行われることから、この架橋反応に関与するGln残基又はLys残基を有するペプチドを用いることが好ましい。このようなTGaseの基質となるペプチドの具体例としてはそのアミノ酸配列がRGDLLQ(Arg−Gly−Asp−Leu−Leu−Gln)を含むものを挙げることができる。
【0009】
「組織再生用細胞」とは、本発明の医用材料の適用対象(即ち本発明の医用材料によって再生することを意図された組織(以下、「再生目的の組織」ともいう)の再生に有用な細胞のことをいう。したがって本発明の「組織再生用細胞」には、再生目的の組織を構成する細胞(又は前駆細胞など当該細胞に分化し得る細胞)は勿論のこと、再生目的の組織を構成する細胞(又は前駆細胞など当該細胞に分化し得る細胞)の増殖ないし組織化を促進する作用を有する物質産生能を有する細胞が含まれる。尚、ここでの再生目的の組織を構成する細胞は、当該組織に特異的な細胞とタイプが同一であればよく、移植レシピエント自身の当該組織を構成する細胞(自家細胞)は勿論のこと、レシピエント以外に由来する細胞(同種細胞、異種細胞を含む)であってもよい。但し、免疫拒絶反応を考慮すれば自家細胞又は同種細胞が用いられることが好ましく、自家細胞が用いられることが更に好ましい。
【0010】
組織再生用細胞の具体例としては、繊維芽細胞、上皮細胞を挙げることができる。前者を用いれば、例えば結合組織(具体例としては皮膚を構成する真皮)の再生に利用できる医用材料を構築することができる。尚、後述の実施例で示されるように、繊維芽細胞を採用した医用材料は創傷被覆材として好適に利用でき、この場合には真皮組織の再生に加えて表皮組織の再生も期待できる。一方、上皮細胞を用いれば上皮組織(具体例としては皮膚を構成する表皮)の再生に利用できる医用材料を構築することができる。
上記のように、本発明では再生目的の組織を構成する細胞に分化し得る細胞を用いることが可能である。このような細胞には、再生目的の組織を構成する細胞の前駆体(前駆細胞)は勿論のこと、これよりも更に分化が進んでいない細胞である幹細胞(例えば、胚性幹細胞(ES細胞)、胚性生殖細胞(EG細胞)、組織幹細胞(造血系幹細胞、間葉系幹細胞、神経系幹細胞、骨系幹細胞、軟骨系幹細胞、上皮系幹細胞、肝幹細胞)に分類される細胞が含まれる。
【0011】
本発明の医用材料は典型的には、上述した各成分の他に、細胞の培養に必要な培地成分、塩(緩衝液成分)を含む。また、移植した際に移植部における組織の再生を促す物質(成長因子)をさらに含有させてもよい。使用可能な成長因子としては例えば、繊維芽細胞増殖因子(FGF:酸性繊維芽細胞増殖因子(aFGF)、塩基性繊維芽細胞増殖因子(bFGF)、角質細胞増殖因子(KGF)など)、上皮細胞増殖因子(EGF)、神経成長因子(NGF)、トランスフォーミング増殖因子(TGF)、血小板由来増殖因子(PDGF)、血管内皮増殖因子(VEGF)、肝細胞増殖因子(HGF)、骨形成因子(BMP:BMP−2、BMP−3、BMP−7など)を例示することができる。これらの成長因子は、再生を目的とする組織の種類に応じて適宜選択して用いられる。具体的には例えば、表皮細胞の再生を目的とする場合には上皮細胞増殖因子を、また真皮の再生を目的とする場合には繊維芽細胞増殖因子をそれぞれ用いることができる。好ましいと考えれられる場合には、二種類以上の成長因子を併用してもよい。
【0012】
本発明の医用材料はトランスグルタミナーゼ(TGase)による架橋によってゲル化された状態にある。TGaseによる架橋反応は、細胞に熱ダメージを与えない体温付近の温度によって進行することから、本発明の医用材料に含有される細胞は増殖能を高度に維持することができる。また、その他の含有成分においても熱による変性等の惧れがなく、各成分の本来の機能が良好に発揮される。TGaseはタンパク質同士の架橋を触媒する酵素であって、その作用機序が明らかにされている。概説すれば、TGaseはタンパク質内のGln残基のγ−カルボキシル基とLys残基のε−アミノ基との間にペプチド結合を形成し、これによってタンパク質分子間を架橋する。TGaseは脊椎動物をはじめ、無脊椎動物、植物、微生物などに広く存在することが知られている。特に、微生物起源のTGaseは市販されており、本発明ではこれを好適に使用することができる。
【0013】
本発明の医用材料では、TGaseの架橋作用を利用し、且つその架橋作用を受ける細胞接着性物質を含むことによって、組込まれる細胞の生育に適した環境が形成されている。従って、移植した際、移植部において組織再生用細胞が長期にわたって生存(及び/又は増殖)し、良好な組織の再生を促すことができる。それ自身による組織の再生を期待できる細胞を組織再生用細胞として採用した場合には、当該細胞による直接的な組織の再生が生ずる。他方で移植部に存在する細胞に作用してその生育、増殖を促すことを期待できる細胞を採用した場合には、レシピエント自身の再生能力を長期的に高めることによる効果的な組織再生が達成される。
本発明の医用材料を適用できる組織の例としては、皮膚組織(又は真皮組織、表皮組織)、筋肉組織、骨組織、軟骨組織、歯周組織、脂肪組織、神経、血管などや、心臓、肝臓、膵臓、角膜、網膜などを挙げることができる。
【0014】
本発明の医用材料を支持体と一体的に構成することもできる。例えば、シート状の支持体を用い、この上にゼラチン等からなるゲルをシート状に形成する。支持体を用いることにより本発明の医用材料の取り扱いが容易となり、また移植部にあわせた形状の医用材料の提供が容易となる。更には、移植する際に移植部への確実な固着及び移植部での長期に亘る保持が容易となる。また、支持体が組織の再生を効率化する機能を有する場合には、支持体自体による再生促進効果も得られる。例えば、本発明の医用材料を創傷被覆材として用いる場合(即ち、損傷した皮膚の再生を図る場合)において、支持体として水分の蒸散を抑え、且つ通気性に優れる材料のシートを用いれば移植部が乾燥することを防止でき、効果的な治癒効果が得られる。
生体適合性に優れた材質からなる支持体を用いることが好ましい。また、移植後に支持体を除去しない場合(或は除去できない場合)においては、支持体が生体吸収性材料によって形成されいていることが好ましい。生体吸収性材料としては例えば、PGA(ポリグルコール酸、PLA(ポリ乳酸)、及びこれらの重合体や、コラーゲン、多糖類(キチン、アルギン酸など)、β−TCP等を挙げることができる。
【0015】
以上の本発明の一態様ではTGaseによってゲル化されたゲル状の医用材料が提供されるが、本発明の医用材料の別の態様はTGaseによるゲル化が行われる前の状態、即ち溶液状である。具体的には、変性コラーゲンと、細胞接着性物質と、組織再生用細胞と、及びTGaseとを含む医用材料である。この態様の医用材料では使用前(移植前)においては溶液状であって、使用後に移植部においてゲル化が進行する。溶液状であることから、例えばシリンジなどを用いて注入することによって移植部へ適用することが可能である。従って、深層部などへも比較的容易に移植することが可能な、より汎用性の高い医用材料となる。
尚、ここでの溶液状には、ある程度粘度の高い状態(ペースト状ないし粘土状など)も含まれる。粘度を調整することによって適用対象(再生目的の組織)に適した形態の医用材料とすることができる。粘度の調整には例えば、ポリ乳酸、ポリグリコール酸などの生体吸収性高分子材料や、ヒアルロン酸、アルギン酸などの多糖類、或はリン酸三カルシウム、炭酸カルシウムなどの生体吸収性無機材料などを用いることができる。
以上の本発明の医用材料は以下の方法(本発明の第2の局面)によって作製することができる。
【0016】
本発明の第2の局面は医用材料の作製方法に関し、以下の各ステップを含むことを特徴とする。尚、ここで使用される変性コラーゲン、細胞接着性物質、組織再生用細胞、及びTGaseについては、特に説明のない限り上記第1の局面におけるものと同様である。
ステップ(a):変性コラーゲンと、細胞接着性物質と、組織再生用細胞と、及びトランスグルタミナーゼとを含む溶液を調製するステップ。
ステップ(b):前記トランスグルタミナーゼの作用によってゲル化させるステップ。
ステップ(a)では、変性コラーゲン、細胞接着性物質等を含む溶液が調製される。各成分の添加順序は特に問わないが典型的には、まず変性コラーゲン溶液を調製し、続いて細胞接着性物質及び組織再生用細胞を添加し、最後にトランスグルタミナーゼ(TGase)を添加する。変性コラーゲン(ゼラチン)は、コラーゲンを含む原料から酸処理、アルカリ処理等の抽出の後、必要に応じて水洗、精製、濃縮、乾燥などの各工程を経ることによって得ることができる。市販の変性コラーゲンを入手できる場合にはこれを利用してもよい。乾燥状態(例えば粉体)の変性コラーゲンを使用する場合には例えば、常法に従い膨潤させた後、50℃〜60℃で保温して溶解することにより、変性コラーゲン溶液を調製することができる。
【0017】
変性コラーゲンの含有量(濃度)は使用目的(移植対象など)を考慮して設定することができ、例えば最終的に得られる医用材料において3重量%〜5重量%となるような含有量とする。
以上のようにして得られた変性コラーゲン溶液に、別途用意した細胞接着性物質、組織再生用細胞、及びTGaseが添加、混合される。細胞接着性物質として細胞接着分子を採用する場合には、生体から常法で調製したものや市販のものを利用することができる。一方、RGDペプチドを採用する場合には例えば、周知のペプチド合成方法(固相法等)により合成したものを利用することができる。細胞接着性物質の添加量は特に限定されないが、細胞接着分子を使用する場合には例えば最終濃度として4 x 10−15M以上、好ましくは2 x 10−14M以上、更に好ましくは1 x 10−13M以上とすることができる。濃度の上限は特に限定されない。細胞接着分子の添加量(最終濃度)の範囲として例えば4 x 10−15M 〜1 x 10−13Mを挙げることができる。一方、RGDペプチドを使用する場合には例えば最終濃度として4 x 10−9M以上、好ましくは2 x 10−8M以上、更に好ましくは1 x 10−7M以上とすることができる。この場合にも濃度の上限は特に限定されない。RGDペプチドの添加量(最終濃度)の範囲として例えば2 x 10−8M〜1 x 10−7Mを挙げることができる。尚、異なる種類の細胞接着性物質を組合わせて用いてもよい。この場合に、細胞接着分子とRGDペプチドを併用してもよい。
【0018】
組織再生用細胞の添加量も特に限定されない。組織再生用細胞の添加量は一般に、本発明によって得られる医用材料の使用態様、使用目的(適用対象の組織、使用する細胞の種類など)等によって異なるが、例えば最終的に得られる医用材料において1 x 10cells/ml〜1 x 1010cells/ml、好ましくは1 x 10cells/ml〜2 x 10cells/mlとなるように添加することができる。
TGaseは必要なゲル化が達成されるように、例えば酵素活性が0.5 U/ml以上、好ましくは1 U/ml〜2 U/mlとなるように添加する。
【0019】
以上のステップ(a)及び(b)を実施した結果得られた細胞含有ゲル(医用材料)をそのまま移植材料として用いることができる。即ち、当該ゲルを、再生を必要とする組織部位に移植して使用することができる。
一方で、以上のステップ(a)及び(b)を実施した後に、以下のステップ(c)を実施することができる。
(c)ステップ(b)によって得られたゲルを、前記組織再生用細胞の増殖が可能な環境下に置いて該細胞を培養するステップ。
このステップではステップ(b)によって得られたゲルが培養に供され、その中に包含された細胞が増殖する。これにより、組織の再生を促すことが可能な細胞を高密度に含有することとなり、組織の再生効果が一層高い医用材料となる。本発明者らの検討によれば上記ステップ(a)及び(b)の結果得られたゲルでは、組織再生用細胞がその増殖に好ましい状態にあり(即ち、細胞増殖に好ましい環境が形成される)、効率的な細胞増殖が行われる。
「組織再生用細胞の増殖が可能な環境」とは、当該細胞に対して必要な栄養素が供給され、また温度等の条件が細胞の成育に適したものである環境のことをいう。このような環境は一般に、使用する細胞の種類によって異なるが、繊維芽細胞を使用する場合を例に採れば培地としてFBS(ウシ胎仔血清)、非必須アミノ酸を含むMEM培地を使用し、約37℃、5% COの環境を例示することができる。
【0020】
本発明のさらに他の局面は組織の再生方法を提供し、以下のステップ(i)〜(iv)を含むことを特徴とする。
(i)変性コラーゲンと、細胞接着性物質と、組織再生用細胞と、及びトランスグルタミナーゼを含む溶液を調製するステップ;
(ii)前記トランスグルタミナーゼを作用させてゲル化させるステップ;
(iii)ステップ(ii)によって得られたゲルを、前記組織再生用細胞の増殖が可能な環境下において該細胞を培養するステップ;
(iv)培養後のゲルを移植部に移植するステップ。
【0021】
ここでのステップ(i)〜(iii)はそれぞれ上記第2の局面でのステップ(a)〜(c)と同一である。この局面ではこれらのステップを経た結果として得られたゲル(医用材料)が、その再生を目的とする組織又はその隣接部に移植される。尚、移植は、組織や臓器の移植術として通常行われている手順に準じて行えばよい。
本局面は他の態様として以下のステップ(I)及び(II)を含む組織の再生方法を提供する。
(I) 変性コラーゲンと、細胞接着性物質と、組織再生用細胞と、及びトランスグルタミナーゼとを含む溶液を調製するステップ。
(II)前記溶液を移植部に移植するステップ。
この態様ではステップ(I)によって得られた各成分を含む溶液がTGaseによるゲル化の工程を経ることなく移植に供される(ステップ(II))。このように移植された医用材料(溶液)は移植部においてTGaseが作用してゲル化することなる。TGaseの作用温度が体温付近であることからこのような適用態様が可能となる。本態様のように溶液状態で移植を行うこととすれば、例えばシリンジなどを用いた注入による移植が可能となり、極めて簡易、且つレシピエントに負担の少ない移植術となる。また、予め移植部の形状に成形した医用材料を用意する必要がなくなり、医用材料の調製が容易となることは勿論のこと汎用性の高い移植術を確立することができる。
【0022】
【実施例】
以下の実施例で使用する材料及び実験方法は次の通りである。
(1)トランスグルタミナーゼ(TGase)
Streptoverticillium mobaraense由来の精製TGase(EC2.3.2.13)を使用した。具体的にはアクィバTG−K(商品名、味の素株式会社)を用いた。使用にあたってはクリーンベンチ内にて滅菌済み薬さじを用いて必要量を量りとった。滅菌水を用いて、予め酵素活性がそれぞれ5、10、20units/mlの水溶液を準備した。
(2)細胞(組織再生用細胞)
細胞にはマウス繊維芽細胞株NIH/3T3を用いた。細胞の培養には、ウシ胎仔血清10%と非必須アミノ酸10mMを含むMEM培地(MEM 9.53g/l、炭酸水素ナトリウム2.2g/l、ペニシリンGカリウム70mg/l、ストレプトマイシン硫酸塩80mg/l、HEPES 5.96mg/l、ウシ胎仔血清100ml/l、非必須アミノ酸10ml/l)を用いた。この細胞を1.0 x 10cells/100mmφdish(Iwaki)で播種し、37℃、5% CO、95% airのCOインキュベータで培養した。
培養開始から2日後に0.125%トリプシンで処理してdishから剥がし、トリパンブルー色素排除法によりセルカウントした。そして15ml遠沈チューブに2.5 x 10cellsずつ分注し、遠心分離(1000rpm、5min)して上清を取り除いた(細胞ペレット)。
(3)ゼラチン水溶液
酸処理豚皮ゼラチンAP−150(新田ゼラチン株式会社)をクリーンベンチ内にて50ml遠沈チューブ(Iwaki)に量りとり、重量パーセントで10%となるように滅菌水を加え、密閉して30分間膨潤させた。その後、20分間50℃の恒温槽でゼラチンを溶解させた。溶解後、37℃、5% CO、95% airのCOインキュベータ内に静置し、温度を37℃に維持した。
(4)濃縮培地溶液
上記(2)に示した細胞培養用培地の10倍濃度の溶液を調製した。但し、ウシ胎仔血清、炭酸水素ナトリウム、及びHEPESは除いた。調製後の溶液をDISMIC−25 Mixed Cellulose Ester(ADVANTEC)を用いてフィルター滅菌した。一方、炭酸水素ナトリウムとHEPESを、上記に示した培地(10倍濃縮培地)に対応する濃度で調製した後、DISMIC−25 Mixed Cellulose Ester(ADVANTEC)を用いてフィルター滅菌して再構成用緩衝液とした。
(5)細胞包含ゼラチンゲル作製法(図1)
(3)に記載した10%ゼラチン水溶液を最終濃度(重量パーセント)で3%、5%、又は7%となるように量りとり、これらにそれぞれ(4)の濃縮培地溶液と再構成用緩衝液を各80μl、(1)のTGase溶液を80μl(最終的に0.5、1、2unitsとなるようにした)添加した後、滅菌水で800μlにフィルアップした。最後にフィルター滅菌済みの1M NaOH水溶液を用いてpHを7.4に調節した。
このように調製したゼラチン溶液を200μlとり、(2)で用意した細胞のペレットに加えてよくピペッティングして細胞を懸濁させた。懸濁液を、前日に用意しておいた24well plate(IWAKI)(各wellの表面を細胞を含まないゼラチンゲル((2)に示した培地成分を含む、pH7.4)でコーティングしておいたもの)に20μl/wellで播種した後、10 x 10mm四方の蒸気滅菌済みテフロン(登録商標)グラスシート(名古屋三立製作所(有))を上からかぶせ、37℃、5% CO、95% airのCOインキュベータ内に静置してゲル化させた。
ゲル化した後、グラスシートを剥がし、ウシ胎仔血清10%と非必須アミノ酸10mMを含むMEM培地を500μl/well加えた後、37℃、5% CO、95% airのCOインキュベータで培養した。
(6)生細胞の確認、及び生細胞数の評価
生細胞数の評価は包含培養から2、4、7日後にCell Counting Kit−8(DOJINDO)を用いてセルカウントした。MTT(DOJINDO)を用いて生細胞を染色することによって、ゲル内に包含された生細胞の確認を行った。
(7)細胞接着分子
ヒト血漿から精製したビトロネクチン(旭テクノグラス株式会社)を0.5mg/mlの濃度となるように調製してフィルター滅菌したものと、ヒト血漿から精製したフィブロネクチン(旭テクノグラス株式会社)を0.5mg/mlの濃度となるように調製してフィルター滅菌したものを使用した。
(8)RGD配列を有するペプチド(細胞接着性ペプチド)
TGaseの基質となるように設計し、合成したペプチド(サワディー・テクノロジー(株))を使用した。ネガティブ・コントロール用にTGaseの基質とならないように設計し、合成したペプチドを用意した。各合成ペプチドの配列を図2に示す。
(9)支持体
ゼラチンゲルを生体内(皮下)に移植する際の支持体として、シリコーン膜にナイロンネットを貼付した創傷被覆材であるBiobrane(商品名、BERTEK PHARMACEUTICALS INC.)を用いた。
(10)被移植動物
ミュータント系マウスCrj:CD−1(ICR)−nu/nu(日本チャールス・リバー(株))のメス6周齢を用いた。
(11)皮下への移植方法
移植片をPBSにて3回洗浄した後、被移植動物の背中の皮下に移植した。
【0023】
<実施例1> ゼラチンゲル包含培養の最適条件の検討
トランスグルタミナーゼゲル化法を用いたゼラチンゲルでのマウス繊維芽細胞の包含培養の最適条件を決定するために、ゼラチン濃度及びTGase酵素活性の異なる試験区を設定し(ゼラチン濃度:3、5、7%、TGase酵素活性:0.5、1、2unit)、ゲル化の状態を比較した(ゲル作製法は(5)に記載した通りとした)。
その結果、TGaseの酵素活性が0.5unitの群ではゼラチン濃度が7%の場合であってもゲル化しなかった。また、TGaseの酵素活性が1unit、2unitにおいてもゼラチン濃度が3%の場合にはゲル化しなかった。ゲル化した各試験群における3T3細胞の増殖曲線を図3に示す。最も良好な増殖を示したものは、ゼラチン5%、TGase 1unitの条件であった。この条件はゲル化が認められた条件の中で最もゼラチン、TGaseともに濃度が低い条件であることから、他の条件に比較してゲル強度が低いものと推測される。この比較的低いゲル強度によって、細胞がゲル内で増殖するための空間の確保が容易となり、細胞増殖が促されたものと考えられる。
【0024】
<実施例2> ゼラチンゲル包含培養における生細胞の確認
トランスグルタミナーゼゲル化法を用いたゼラチンゲル包含培養において、包含したマウス繊維芽細胞3T3がゲル内で生存していることを確認するために、生細胞をMTTで染色した。その結果、ゲル内で細胞が接着・伸長し、生存している様子が観察された。
【0025】
<実施例3> 細胞接着分子組込み型ゼラチンゲルを用いた包含培養
次に、ゲル内における細胞接着率の向上及びそれに伴う増殖率向上を目指して、ゲル内に細胞接着分子を組込んだ場合の効果を検討した。この試験においては、ゼラチンゲルを作製する際に、TGaseとともに、(7)に示す接着分子(ビトロネクチン又はフィブロネクチン)の溶液を所定濃度(最終モル濃度で4 x 10−15M、2 x 10−14M又は1 x 10−13M)となるように混合した。その他は(5)の方法に従って細胞包含ゼラチンゲルを作製した(図4)。ビトロネクチン、フィブロネクチンのいずれを用いた場合においても、濃度依存的な細胞増殖率の向上が認められた(図5)。7日間の培養によって、フィブロネクチンを1 x 10−13M添加する条件では添加しない条件に比較して約2.2倍、ビトロネクチンを1 x 10−13M添加する条件では添加しない条件に比較して約2.4倍もの生細胞数の増加が確認された。
【0026】
<実施例4> 細胞接着性合成ペプチドの効果
実施例3で示したように、細胞接着分子を直接ゼラチンゲルに組込ませることによって細胞増殖率を向上することができた。しかしながら、臨床応用を考慮した場合、ヒト由来の接着分子を使用することには、作製コストが非常に高い点、大量に入手することが困難である点などの問題が伴う。そこで、ヒト由来の細胞接着分子よりも安価に供給できる、細胞接着性を備えた合成ペプチドを使用することを考えた。
ビトロネクチンやフィブロネクチンの細胞接着部位の一つはアミノ酸配列RGDであって、この配列が細胞膜上のインテグリンと結合することが明らかとなっている。このRGD配列を有することに加えてTGaseの基質となるように、N末端にRGDトリペプチドを有し、かつC末端にグルタミンを有する合成ペプチドを用いた(図2)。このような配列のペプチドはTGaseの作用を受けて架橋構造を形成することで、細胞の足場として好ましいゲルマトリックスの形成に貢献するものと考えられる。この合成ペプチドを実施例3における細胞接着分子に代えて添加し(最終モル濃度で4 x 10−9M、2 x 10−8M又は1 x 10−7M)、培養実験を行った。培養後に細胞包含ゼラチンゲル内の生細胞数をカウントし、グラフにまとめた(図6)。添加濃度依存的に細胞増殖率が向上し、7日間の培養によって1 x 10−7M添加した条件では添加しない条件よりも約2.2倍の生細胞数となった。
一方、細胞接着性は有するがTGaseの基質とならないように設計した合成ペプチドを添加して培養を行った場合(ネガティブ・コントロール)には、RGD配列の作用と思われる細胞増殖率の向上が認められるものの、その程度はTGaseの基質となる合成ペプチドを用いた場合に比較して明らかに低い。この結果から、RGD配列に加えてTGaseの基質となる配列を有するペプチドを使用することによって、細胞増殖率を効果的に高めることができることが確認された。
【0027】
<実施例5> 包含培養した細胞の生体内における生存確認
実施例4によって合成ペプチドRGDLLQを添加したゼラチンゲルでの包含培養によって、より多くの生細胞数を得ることが確認された。そこで実際の治療を想定し、ゼラチンゲル包含培養した細胞が移植後に生体内で生存することができることを確認するために以下の実験を行った。
実施例4と同様の手順で、ゼラチン水溶液にTGase及び合成ペプチドRGDLLQ(最終モル濃度で1 x 10−7M)を添加し、滅菌水によるフィルアップ及びpH調整を経て得られた溶液を200μlとり、(2)で用意した細胞のペレットに加えてよくピペッティングして細胞を懸濁させた。懸濁液を、前日に用意しておいたBiobrane(Biobraneを10 x 10mm四方に切り取り、蒸気滅菌し、その後ナイロンネット側を上にして6well plate(IWAKI)の各ウェルに入れ、そしてナイロンネット側の表面を、細胞を含まず且つ合成ペプチドを含むゼラチンゲル((2)に示した培地成分を含む、pH7.4)でコーティングすることによって調製したもの)上に20μl/wellで播種した後、10 x 10mm四方の蒸気滅菌済みテフロン(登録商標)グラスシート(名古屋三立製作所(有))を上からかぶせ、37℃、5% CO、95% airのCOインキュベータ内に静置してゲル化させた。
ゲル化した後、グラスシートを剥がし、ウシ胎仔血清10%と非必須アミノ酸10mMを含むMEM培地を500μl/well加えた後、37℃、5% CO、95% airのCOインキュベータで7日間培養した(図7)。
このようにして得られた移植材料(支持体と細胞包含ゼラチンゲルからなる構造体)を(10)に示した方法でマウスに移植した。移植後5日目に移植片を採取し、PBSで洗浄した後、MTT(DOJINDO)を用いて生細胞を染色して細胞の生存状態を評価した(図8)。その結果、染色性が認められた。即ち、移植したゲル内に包含された細胞が生体内のコンディションで生存できることが確認された。尚、細胞を包含しないゲルを移植した場合には(ネガティブ・コントロール)染色性が認められなかった。
【0028】
<実施例6> マウス皮膚欠損モデルでの治癒効果
実際にマウスの背中に皮膚欠損部位をつくり、そこへトランスグルタミナーゼゲル化法で細胞を包含させたゼラチンゲルを移植し、その治癒効果を調べた。
まず、実施例5と同様の手順で移植材料(合成ペプチドRGDLLQ、繊維芽細胞3T3を包含するゼラチンゲル)を調製した。一方、(10)のマウスの背中において外科用剪刀を用いて5 x 5mm四方の皮膚を切除し、皮膚欠損を形成した。そこへ6 x 6mm四方に整形した移植材料をPBSで3回洗浄した後に被せ、9箇所をBEAR SURGICAL SUTURES(BEAR)を用いて縫合・固定した。更にその上から透明なフィルムドレッシング材であるバイオクルーシブ(ジョンソン・アンド・ジョンソン(株))を貼り付け、これも同様に9箇所をBEAR SURGICAL SUTURES(商品名、BEAR)を用いて縫合・固定した。これは、移植部がマウスの動きによって変形するのを防ぐため、及び雑菌の混入を防止するために行った。最後にこれらの上から不織布粘着性包帯であるメッシュポアテープ(商品名、NICHIBAN)で圧迫包帯した。包帯の固定にはポアテープ(商品名、G&Gco)を用いた(図9)。尚、比較実験を行うために、以下の各移植片(a〜e)を用意して上記と同様の方法で移植した。
(a)ゼラチンゲルのみ(3T3細胞を含まない。Biobraneを支持体に使用。)
(b)Biobraneのみ
(c)Biobrane+3T3細胞
(d)コラーゲンスポンジ
(e)コラーゲンスポンジ+3T3細胞(Biobraneとコラーゲンスポンジに、3T3細胞を2.5 x 10cells/cmで播種し、ウシ胎仔血清10%と非必須アミノ酸10mMを含むMEM培地を加えて37℃、5% CO、95% airのCOインキュベータで7日間培養したもの)
【0029】
移植から1週間後、又は2週間後にマウスを屠殺し、移植部の皮膚を採取した。これをPBSで洗浄した後、10%ホルマリン液を用いて固定した。このサンプルをHE(ヘマトキシリン−エオシン)染色に供した(図10)。
移植から1週間後のバイオプシーのHE染色像を用いて、肉芽組織の創傷面の被覆率と再生表皮細胞の被覆率をそれぞれ測定した。いずれの移植片を使用したマウスにおいても肉芽組織の形成が認められ、その被覆率も全て100%であった。一方、表皮細胞については細胞包含ゼラチンゲルを用いた群において、5匹中2匹で完全に創傷面を再生表皮細胞が被覆していた(図11)。支持体に用いたBiobraneや、これに繊維芽細胞を組込ませたもの、又は繊維芽細胞を包含させていないゼラチンゲルを使用した群では創傷面を完全に被覆できたものは皆無であった。また、従来頻用されているコラーゲンスポンジや、これに繊維芽細胞を培養したものについても、再生表皮細胞が完全に創傷面を被覆できたものは無かった。
【0030】
一方、移植から2週間後に採取したバイオプシーのHE染色像を用いて、再建された真皮組織の厚みを計測した。計測結果をまとめたグラフを図12に示す。細胞包含ゼラチンゲルを用いた群では、真皮層の厚みが平均して620μmあった。これは他の移植片を移植したものに比較して明らかに厚く、比較対照の中で最もよかったもの(コラーゲンスポンジ+3T3)でも平均して360μmであった。正常な皮膚組織の厚みが200μmであることを考慮すれば、細胞包含ゼラチンゲルを用いることによって極めて良好な肉芽組織の形成が行われたものといえる。
【0031】
以上の結果と、上記の再生表皮の被覆率の結果とを合わせて考察すれば、細胞包含ゼラチンゲルでは、他の移植片に比べて、包含させた繊維芽細胞の産出・放出する生理活性物質の効果によって早期に表皮細胞が創傷面を被覆することができたと考えられる。更に、この再生してきた表皮細胞から産出・放出された生理活性物質によって真皮層(肉芽組織)の形成が促進されたために、移植から2週間後において肉芽組織の厚みが、他の移植片を用いた場合と大きく相違したものと考えられる。
一方、コラーゲンスポンジやBiobraneに繊維芽細胞を培養した群との間で相違が生じたことは、移植する際の細胞数の違いが原因であると推察される。移植片を用意する際に繊維芽細胞の播種数を揃えたが、移植前の7日間の培養によって細胞包含ゼラチンゲル内の細胞数は他の移植片よりも多かった。このことから、細胞包含ゼラチンゲルを使用した場合には、移植部において生理活性物質がより多く産生・放出されて創傷治癒が促進され、他の移植片を使用した場合との間に大きな治癒効果の違いが生じたものと考えられる。
【0032】
以上の実施例によって、細胞接着分子(又は細胞接着性ペプチド)を組込んだゼラチンゲルが、その中に包含させる細胞の増殖を促進することが示された。この新規なマトリックスは繊維芽細胞を包含させることで創傷被覆材として有効に機能する。また、細胞がその中で増殖するために好ましい環境が作られることから、繊維芽細胞に限られず、様々な細胞の足場材料として用いることができる。即ち、本発明によって提供される医用材料(細胞包含ゼラチンゲル)は組織工学の分野で広く利用することができるものであって、具体的には例えば皮膚組織、骨組織、軟骨組織などの再生に利用され得る。
【0033】
現在のところ、ポリ乳酸、ポリグルコール酸、及びこれらの重合体などの脂肪族ポリマーが医用用途において広く使用されている(Hariis, L.D., Kim, B.S., and Mooney, D.J.:J. Biomed. Mater. Res., 42, 396−402(1998)、Thomson, R.C. et al.:Biomaterials, 20, 2007−2018(1999))。創傷治療の際には、これらのポリマーをメッシュ状にして用いることが一般的である。ヒト真皮繊維芽細胞は表皮の再生を促進する拡散性因子(即ち、サイトカイン)を分泌することによって表皮化を促進することが報告されている(Conlomb, B., Lebretom, C., and Dubertret, L.:J. Invest. Dermatol., 92, 122−125(1989)、Yaeger, P.C., Stiles, C.D., and Rollins, B.J.:J. Cell Physiol., 149, 110−116(1991))。このことから、本発明で提供される細胞包含ゼラチンゲルマトリックス内ではそれに包含される生繊維芽細胞によって、従来使用されるポリマーメッシュに比較して顕著な表皮の再生が促されると考えられる。
【0034】
ティッシュエンジニアリングにおける細胞用足場としてはPLGAなどが広く使用されている。しかしながら、これらのポリマーを使用する場合には移植片を移植するための十分なスペースが得られるように切開術を施す必要がある。本発明によって提供される医用材料では、その粘度を調節すれば注入によっても移植が可能である。このような移植術によればレシピエントの負担が大幅に軽減される。
【0035】
多くの研究者によって、ポリエチレングリコール(Hern, D.L. and Hubbell, J.A.:J. Biomed. Master. Res., 39, 266−276(1998))やフィブリン(Schense, J.C. et al.:Nat. Biotechnol., 18, 415−419(2000))などのハイドロゲル内に接着性ペプチドを組込むことによって細胞接着性が向上することが報告されている。本発明ではその一態様としてゼラチン内に細胞接着性ペプチドを組込むことが行われる。ゼラチンを使用することの利点は、ゼラチンが、皮膚、骨、軟骨、腱、靭帯などの哺乳類組織における細胞外マトリックスの主要成分であるコラーゲンに由来するということである。さらにこのように天然物由来であるが故に生体適合性に優れ、例えばポリエチレングリコールのような合成ポリマーを使用したときに生ずる、炎症や拒絶反応などの副作用(Lee, K.Y. and Mooney, D.J.:Chem. Rev., 101, 1869−1879(2001))が極めて少ないと考えられる。
【0036】
TGaseファミリーは様々な細胞種で発現されており、またいくつかの細胞外マトリックスプロテインの架橋反応を担っている。Bownessらは創傷治癒部においてTGase活性が認められることを報告しており(Bowness, J.M., Tarr, A.H., and Wong, T.:Biochim. Biophys. Acta, 967, 234−240(1988))、またInadaらはTGase I遺伝子が皮膚損傷の修復促進に必須であることを報告している(Inada, R. et al.:Am. J. Pathol., 157, 1875−1882(2000))。これらの報告は、TGaseによって架橋されたゼラチンゲルが創傷治癒用のバイオマテリアルとして有用であることを示唆するものである。
【0037】
一般に、細胞用足場として使用されるポリマー材料は、細胞を内包するために多孔性でなければならない。Kangらはティッシュエンジニアリングに使用される多孔性ゼラチン足場の調製法を報告している(Kang, H.W. et al.:Biomaterials, 20, 1339−1344(1999))。彼らの方法では架橋反応、膨張させた後の凍結、及び凍結乾燥が必要となる。これに対して本発明の方法では、実質的にTGaseによる架橋反応のみによってゼラチンマトリックスが形成され、細胞はマトリックス形成後ではなくマトリックス形成前の溶液の状態において添加される。本発明の方法で作製された細胞を包含したゼラチンゲルでは、おそらく包含した細胞が増殖する際に当該細胞が分泌する酵素(コラゲナーゼ)によってマトリックスが溶解されるものと考えられる。また、本発明の方法で作製されるゼラチンゲルは、実施例で示されるように、移植後7日目においても十分な機械強度を保持しており、移植材料として要求される強度を備えるものである。
【0038】
この発明は、上記発明の実施の形態及び実施例の説明に何ら限定されるものではない。特許請求の範囲の記載を逸脱せず、当業者が容易に想到できる範囲で種々の変形態様もこの発明に含まれる。
【0039】
【発明の効果】
本発明では、トランスグルタミナーゼの架橋作用によって、細胞がその増殖に好ましいマトリックス構造内に内包された医用材料が提供される。本発明の医用材料では内包する細胞の効率的な増殖が期待できる。これによって、本発明の医用材料を移植した際には移植部における良好な組織再生が図られる。一方、本発明の医用材料は簡易な方法によって調製され、また様々な細胞を包含したものとして構成され得る。従って、ティッシュエンジニアリングの分野において広く利用することができ、その利用価値は極めて高い。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は細胞包含ゼラチンゲルを用いた培養実験のフローチャートである。
【図2】図2は細胞接着性ペプチドの配列を示す図である。上段のペプチドはトランスグルタミナーゼ(TGase)の基質となる。他方、下段のペプチドはTGaseの基質とならない。
【図3】図3は細胞包含ゼラチンゲルを用いた培養実験の結果を示すグラフ(3T3細胞の増殖曲線)である。独立した3回の実験結果の平均値±標準偏差(SD)を示した。白抜きの丸はゼラチンが5wt%でTgaseが1unit/ml、黒塗りの丸はゼラチンが7wt%でTgaseが1unit/ml、白抜きの三角はゼラチンが5wt%でTgaseが2unit/ml、黒塗りの三角はゼラチンが7wt%でTgaseが2unit/mlである。
【図4】図4は細胞接着分子組込み型細胞包含ゼラチンゲルを用いた培養実験のフローチャートである。
【図5】図5は細胞接着分子組込み型細胞包含ゼラチンゲルを用いた培養実験の結果を示すグラフである。上段のグラフは細胞接着分子としてビトロネクチンを用いた場合の実験結果であり、下段のグラフは細胞接着分子としてフィブロネクチンを用いた場合の実験結果である。独立した3回の実験結果の平均値±標準偏差(SD)を示した。各グラフにおいて、黒塗りの四角は細胞接着分子の添加量が1 x 10−13M、黒塗りの三角は細胞接着分子の添加量が 2 x 10−14M、黒塗りの丸は細胞接着分子の添加量が 4 x 10−15Mである。また、白抜きの丸はコントロール(細胞接着分子を添加せず)である。
【図6】図6は細胞接着性ペプチド分子組込み型細胞包含ゼラチンゲルを用いた培養実験の結果を示すグラフである。上段のグラフは細胞接着性ペプチドとして、TGaseの基質となるRGDLLQを用いた場合の実験結果であり、下段のグラフは細胞接着性ペプチドとして、TGaseの基質とならないRGDLLGを用いた場合の実験結果である。独立した3回の実験結果の平均値±標準偏差(SD)を示した。各グラフにおいて、黒塗りの四角は細胞接着性ペプチドの添加量が1 x 10−7M、黒塗りの三角は細胞接着性ペプチドの添加量が 2 x 10−8M、黒塗りの丸は細胞接着性ペプチドの添加量が 4 x 10−9Mである。また、白抜きの丸はコントロール(細胞接着性ペプチドを添加せず)である。
【図7】図7は細胞包含ゼラチンゲルの作製フローチャートである。
【図8】図8は細胞包含ゼラチンゲルを用いた移植実験(細胞生存確認試験)のフローチャートである。
【図9】図9は細胞包含ゼラチンゲルを用いた移植実験(皮膚欠損マウスでの治癒効果の確認試験)のフローチャートである。
【図10】図10は細胞包含ゼラチンゲルを用いた移植実験(皮膚欠損マウスでの治癒効果の確認試験)におけるバイオプシーの採取及びHE染色のフローチャートである。
【図11】図11は移植1週間後の表皮細胞の被覆率を示すグラフである。
【図12】図12は移植2週間後の真皮組織の厚みを示すグラフである。

Claims (12)

  1. 変性コラーゲンと、
    細胞接着性物質と、
    組織再生用細胞と、を含み、
    トランスグルタミナーゼの架橋作用によってゲル化されている医用材料。
  2. 変性コラーゲンと、
    細胞接着性物質と、
    組織再生用細胞と、
    トランスグルタミナーゼと、を含む医用材料。
  3. 前記変性コラーゲンの濃度が約5重量%である、請求項1又は2に記載の医用材料。
  4. 前記細胞接着性物質がRGD(Arg−Gly−Asp)配列を有するペプチドである、請求項1〜3のいずれかに記載の医用材料。
  5. 前記ペプチドが、トランスグルタミナーゼの基質となるペプチドである、請求項4に記載の医用材料。
  6. 前記組織再生用細胞が、再生目的の組織を構成する細胞の増殖ないし組織化を促進する作用を有する物質産生能を有する、請求項1〜5のいずれかに記載の医用材料。
  7. 前記組織再生用細胞が繊維芽細胞である、請求項1〜5のいずれかに記載の医用材料。
  8. 前記組織再生用細胞が、再生目的の組織を構成する細胞又は該細胞に分化し得る細胞である、請求項1〜5のいずれかに記載の医用材料。
  9. 変性コラーゲンと、
    細胞接着性物質と、を含み、
    トランスグルタミナーゼの架橋作用によってゲル化された細胞培養用マトリックス。
  10. 以下のステップ(a)及び(b)を含む、医用材料の作製方法: (a)変性コラーゲンと、細胞接着性物質と、組織再生用細胞と、及びトランスグルタミナーゼとを含む溶液を調製するステップ;及び
    (b)前記トランスグルタミナーゼの作用によってゲル化させるステップ。
  11. さらに以下のステップ(c)を含む、ことを特徴とする請求項10に記載の作製方法:
    (c)ステップ(b)によって得られたゲルを、前記組織再生用細胞の増殖が可能な環境下に置いて該細胞を培養するステップ。
  12. 請求項10又は11の作製方法によって得られた医用材料。
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