JP2001329183A - ゲル化性組成物 - Google Patents

ゲル化性組成物

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JP2001329183A JP2000154410A JP2000154410A JP2001329183A JP 2001329183 A JP2001329183 A JP 2001329183A JP 2000154410 A JP2000154410 A JP 2000154410A JP 2000154410 A JP2000154410 A JP 2000154410A JP 2001329183 A JP2001329183 A JP 2001329183A
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    • A61P7/00Drugs for disorders of the blood or the extracellular fluid
    • A61P7/04Antihaemorrhagics; Procoagulants; Haemostatic agents; Antifibrinolytic agents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 短期的な接着力と、長期的な接着力との良好
なバランスを実現可能なゲル化性組成物を提供する。 【解決手段】 高分子成分と、該高分子成分をゲル化さ
せるゲル化剤とを少なくとも含み、相対的に速いゲル化
Fと、相対的に遅いゲル化Sとの少なくとも2種類のゲ
ル化を示すゲル化性組成物。これらのゲル化Fの時間
(Tf)とゲル化Sの時間(Ts)との差は、約30分
以上であることが好ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、従来にない2種類
のゲル化特性を示すゲル化性組成物に関し、より詳しく
は、高分子成分と、該高分子成分をゲル化させるゲル化
剤とを少なくとも含み、相対的に速いゲル化Fと、相対
的に遅いゲル化Sとの少なくとも2種類のゲル化を示
し、且つ、これらのゲル化が所定の関係を満たすゲル化
性組成物に関する。本発明のゲル化性組成物は、例え
ば、互いのゲル化メカニズムが異なるゲル化成分(例え
ば、可逆的ゲル化を与えるゲル化成分Fと、不可逆的ゲ
ル化を与えるゲル化成分Sと)を組み合わせることによ
って、好適に達成される。
【0002】
【従来の技術】本発明のゲル化性組成物は短期的な接着
力と、長期的な接着力との良好なバランスが要求される
分野に特に制限なく適用可能であるが、ここでは先ず、
物理的ゲル化と、化学的ゲル化とを組み合わせた態様に
おける本発明のゲル化性組成物(特に、ハイドロゲル化
性組成物)に関連する背景技術について述べる。
【0003】従来から開発されてきたハイドロゲルは、
該ゲルを構成する基本となる架橋結合の種類によって二
種類に分類される。すなわち、その架橋が主に共有結合
によって形成される化学(的)ゲルと;その架橋が主
に、水素結合、静電結合、疎水結合、フアンデァワール
ス力等の物理的相互作用によって形成される物理(的)
ゲルである。
【0004】上記の物理結合のエネルギーは、通常は、
共有結合エネルギーよりも著しく小さいために、物理ゲ
ルの多くは温度や濃度の変化によりゾル状態とゲル状態
との間の相転移が容易に生じる傾向を有する。一方、化
学ゲルの場合には、共有結合による架橋エネルギーが大
きいため、一般的にこのタイプのゲルは非常に安定であ
り、温度や濃度の変化によるゾル状態への転移は殆ど生
じない傾向を有する。
【0005】物理ゲルのうち、温度変化によってゲル状
態とゾル状態の間の相転移を生じるタイプ(熱可逆性ハ
イドロゲル)の例としては、例えば、ゼラチン、寒天を
用いたゲルにおけるように、加熱によってゲル状態から
ゾル状態に転移するハイドロゲルが挙げられる。他方、
このようなハイドロゲルとは逆に、加熱によってゾル状
態からゲル状態に転移するハイドロゲルが存在する。前
者の熱可逆性ハイドロゲルの架橋は、通常は水素結合、
静電結合、フアンデァワールス力、微結晶形成力等によ
って形成されており、このタイプの架橋の結合力は温度
が上昇すると低下するために、これらのゲルは加熱によ
ってゲル状態からゾル状態に転移する。
【0006】他方、後者の熱可逆性ハイドロゲルの架橋
は、通常は疎水性結合によって形成されており、このタ
イプの疎水性結合力は温度が上昇すると増大するため、
このゲルは加熱によってゾル状態からゲル状態に転移す
る。このような熱可逆性ハイドロゲルの例としては、ポ
リ−N−イソプロピルアクリルアミド(PNIPAA
m)やポリプロピレンオキサイド(PPO)等の曇点を
有する高分子鎖とポリエチレンオキサイド(PEO)等
の親水性高分子鎖がブロック状、或いはグラフト状に結
合した熱可逆性ハイドロゲルが開発されている(例えば
特願平4−16114号、特願平5−18697号、特
願平7−187902号、特願平7−187903号等
を参照)。
【0007】ここに、上記の曇点を有する高分子鎖は曇
点温度より低い温度では水溶性であるが、曇点温度より
高い温度では疎水性(水不溶性)に変化するために、こ
のような高分子鎖は、曇点温度より高い温度では該高分
子鎖間の疎水結合による架橋構造が形成されてゲル化す
る。一方、曇点温度より低い温度では該高分子鎖間の疎
水結合が弱まるため、この高分子鎖は上記の架橋構造が
解消されてゾル状態となる現象(いわゆる昇温時ゲル化
型の熱可逆性ハイドロゲル現象)を示す。
【0008】上記したゲルのうち、共有結合からなる架
橋構造を有する化学ゲルの場合には、通常は、ゲル状態
の安定性は著しく良好であるが、周囲の条件(例えば、
生理的条件下;37〜39℃、pH7.3〜7.6)に
よっては、ゾルとゲル状態間の転移を生じさせること
は、通常は、非常に困難である。従って、ある程度の時
間の経過の後にゲル化させる用途(例えば、医療分野に
おける生体内接着剤)に化学ゲルを用いる場合には、共
有結合から成る架橋構造を形成する前のゾル状態で生体
内に投与し、生体内で化学反応を起こさせてゲル化させ
ることによって、注入部位に該ゲルを留置させることが
必須となる。
【0009】しかしながら、このような所定時間後にゲ
ル化させる用途(例えば、医療分野では、血管内塞栓
剤、止血剤、生体接着剤、癒着防止剤、創傷被覆剤、ド
ラッグデリバリー用基剤等)に従来の化学ゲルを使用し
た場合には、ゲル化過程の化学反応が速すぎて生体内へ
の投与途中でゲル化して投与が困難になる場合があり、
またはゲル化過程の化学反応が遅すぎて生体内に投与し
た部位に安定に留置させることが困難である場合もある
等の種々の問題があった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記
した従来技術の欠点を解消し、短期的な接着力と、長期
的な接着力との良好なバランスを実現可能なゲル化性組
成物を提供することにある。本発明の他の目的は、ゾル
状態で所定の位置への適用(例えば、生体内等への流体
存在下での適用)が容易であり、且つ該所定の位置で迅
速にゲル化するのみならず、長期間安定して適用位置に
留置することが可能なゲル化性組成物を提供することを
目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者は鋭意研究の結
果、速いゲル化に基づく架橋構造の存在が、遅いゲル化
を実質的に阻害しないゲル化成分の組合せを用いること
が、上記目的の達成のために極めて効果的なことを見出
した。本発明のゲル化性組成物は上記知見に基づくもの
であり、より詳しくは、高分子成分と、該高分子成分を
ゲル化させるゲル化剤とを少なくとも含むゲル化性組成
物であって;相対的に速いゲル化Fと、相対的に遅いゲ
ル化Sとの少なくとも2種類のゲル化を示すことを特徴
とするものである。
【0012】本発明によれば、更に高分子成分と、該高
分子成分をゲル化させるゲル化剤とを少なくとも含むゲ
ル化性組成物であって;相対的に速いゲル化Fと、相対
的に遅いゲル化Sとの少なくとも2種類のゲル化を示
し、且つ、該ゲル化Fとゲル化Sとが相互に実質的に阻
害されないことを特徴とするゲル化性組成物が提供され
る。
【0013】本発明によれば、更に高分子成分と、該高
分子成分をゲル化させるゲル化剤とを少なくとも含むゲ
ル化性組成物であって;相対的に速いゲル化Fと、相対
的に遅いゲル化Sとの少なくとも2種類のゲル化を示
し、且つ、該ゲル化FおよびSのメカニズムが異なるこ
とを特徴とするゲル化性組成物が提供される。
【0014】本発明によれば、更に高分子成分と、該高
分子成分をゲル化させるゲル化剤とを少なくとも含み、
可逆的で相対的に速いゲル化Fと、不可逆的で相対的に
遅いゲル化Sとの少なくとも2種類のゲル化を示すこと
を特徴とするゲル化性組成物が提供される。上記した構
成を有する本発明のゲル化性組成物においては、該組成
物を構成する相対的に速いゲル化を与えるゲル化成分F
に基づく架橋構造が、相対的に遅いゲル化を与えるゲル
化Sを実質的に阻害せず、また、ゲル化成分Sの存在
が、該ゲル化Fを実質的に阻害しないため、ゲル化成分
Fに基づく迅速なゲル化による瞬間的・短期的な接着力
と、ゲル化成分Sに基づく遅延したゲル化による持続的
・安定的な接着力との良好なバランスを実現することが
容易である。
【0015】本発明のゲル化性組成物において、上記し
たような「互いのゲル化を実質的に阻害しない」理由
は、本発明者の知見によれば、ゲル化成分Fの「速いゲ
ル化」により生じた架橋構造(ないし、該架橋構造を構
成する個々の「セル」内微少空間)中で、ゲル化成分S
が適度な時間の間、実質的な「液状」の状態を維持する
ことが可能であるため、ゲル化成分Fの架橋構造中にお
いても、(該架橋構造の存在に実質的に影響を受けず
に)ゲル化成分Sの「遅いゲル化」が可能であり、およ
び/又は、該ゲル化Fの際には共存する「遅いゲル化」
を与えるゲル化成分Sが実質的に液体ないし流体として
挙動するため、ゲル化成分Fの「速いゲル化」が、ゲル
化成分Sの存在に実質的に影響を受けないことにも基づ
くと推定される。
【0016】本発明者の知見によれば、ゲル化成分Sの
「遅いゲル化」の際には、ゲル化成分Fに基づ架橋構造
の存在が、むしろゲル化Sを外部環境(例えば、ゲル化
成分Sの「遅いゲル化」を妨げる可能性のある流体との
接触)から保護して、ゲル化成分Sの流出・欠損・変質
等を防ぎ、結果としてゲル化成分Sの順調なゲル化を促
進する機能を有するものと推定される。
【0017】これに対して、従来の物理ゲルまたは化学
ゲルを単独で用いた場合には、上記したような効果を得
ることは不可能である。例えば、前述した昇温時ゲル化
型の熱可逆性ハイドロゲルを用いた場合、該ゲルは低温
でゾル状態、高温でゲル状態であるため、加熱により損
傷を受け易い生体物質(タンパク質、細胞、組織/器官
等)を実質的にダメージを与えることなくゲル中に抱埋
することが可能であり、また、該ゲル中に抱埋した生体
物質を低温にすることによって、容易に且つダメージを
与えることなく該ゲル中から該生体物質を回収すること
が可能である。更に、このようなゲルはpH、塩の種類
と濃度等の生理的条件下で温度のみを生体の許容する範
囲内で変化させることだけで、迅速にゾル−ゲル間の転
移を起こすことができる。
【0018】しかしながら本発明者の検討によれば、該
昇温時ゲル化型の熱可逆性ハイドロゲルを流体と頻繁に
接触する箇所(例えば、体液に接触する生体内等の生理
的条件下)に用いた場合には、体温により形成されたゲ
ル状態が温度、濃度等の変化に対して非常に不安定であ
り、容易に可溶化してしまう現象が見出された。本発明
者の知見によれば、これは架橋構造を形成する疎水性結
合の結合エネルギーが数Kcal/molで、静電結
合、微結晶形成、共有結合のエネルギー等と比較して著
しく低いことに基づくと推定される。本発明者の実験に
よれば、該昇温時ゲル化型熱可逆性ハイドロゲルを本発
明の用途、例えば血管内塞栓剤、止血剤、生体接着剤、
癒着防止剤、創傷被覆剤、ドラッグデリバリー用基剤等
に使用した場合には、該ゲルは体温より低い温度のゾル
状態で生体内に投与が可能で、投与後に体温で直ちにゲ
ル化するために注入部位に該ゲルを留置することが可能
であったが、該ゲルの生体内の安定性は上記したように
良好ではなかった。
【0019】他方、共有結合からなる架橋構造を有する
化学ゲルの場合にはゲル状態の安定性は著しく良好であ
るものの、本発明者の実験によれば、ゾルとゲル状態間
の転移を、流体と頻繁に接触する箇所(例えば、体液に
接触する生体内等の生理的条件下)で生じさせることは
非常に困難であった。本発明者の実験によれば、上記し
た本発明の用途に単なる化学ゲルを用いて、共有結合か
ら成る架橋構造を形成する前のゾル状態で生体内に投与
し、生体内で化学反応を起こさせゲル化させることによ
って注入部位に該ゲルを留置させることを試みた場合、
流体と頻繁に接触する箇所(例えば血管内塞栓剤、止血
剤、生体接着剤、癒着防止剤、創傷被覆剤、ドラッグデ
リバリー用基剤等)ではゲル化過程の化学反応が速すぎ
て生体内への投与途中でゲル化して投与が困難になる
か、またはゲル化過程の化学反応が遅すぎて生体内に投
与した部位に安定に留置させることが困難であった。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、必要に応じて図面を参照し
つつ本発明を更に具体的に説明する。以下の記載におい
て量比を表す「部」および「%」は、特に断らない限り
質量基準とする。 (高分子とゲル化の組合せ)本発明のゲル化性組成物
は、高分子成分と、該高分子成分をゲル化させるゲル化
剤とを少なくとも含み、且つ、上記した「速いゲル化」
と「遅いゲル化」との少なくとも2種類のゲル化を示す
限り、該組成物を構成する高分子成分とゲル化剤との数
は特に制限されず、また、これら2種類のゲル化のメカ
ニズムも特に制限されない。本発明においては、上記成
分ないしゲル化の組合せとしては、例えば、以下のもの
が好適に使用可能である。
【0021】本発明のゲル化組成物は、相対的に速いゲ
ル化Fと、相対的に遅いゲル化Sとの少なくとも2種類
のゲル化を示すが、該ゲル化Fの時間(Tf)とゲル化
Sの時間(Ts)との差は約30分以上であることが好
ましく、更には2時間以上(特に6時間以上)であるこ
とが好ましい。 上記のうち、(1)の態様においては、例えば、上記1
種類の高分子成分の物理的ゲル化によって「速いゲル
化」を、同じ高分子成分の化学的ゲル化によって「遅い
ゲル化」を達成できる。
【0022】また、上記(2)の態様においては、例え
ば、上記1種類の高分子成分の第1の化学ゲル化によっ
て「速いゲル化」を、同じ高分子成分(ただしゲル化に
関与する官能基が異なる)の化学的ゲル化によって「遅
いゲル化」を達成できる。上記(3)の態様において
は、例えば、高分子成分Fの化学ゲル化によって「速い
ゲル化」を、他の高分子成分S(例えば、高分子成分F
と官能基が異なる)の化学的ゲル化によって「遅いゲル
化」を達成できる。
【0023】更に、上記(4)の態様においては、例え
ば、高分子成分F−ゲル化剤Fの組合せによって「速い
ゲル化」を、他の高分子成分S(例えば、高分子成分F
と官能基が異なる)−ゲル化剤Sの組合せによって「遅
いゲル化」を達成できる。本発明の組成物を構成する上
記高分子およびゲル化剤等の成分は、必要に応じて、種
々の溶媒に溶解ないし分散されていてもよい。この場合
の溶媒は特に制限されないが、動物(特にヒト)に適用
すべき態様においては、該溶媒は水性溶媒(すなわち、
水自体、または水を主成分とする混合溶媒)であること
が好ましい。 (ゲル化の態様)本発明のゲル化性組成物は、「速いゲ
ル化」と、「遅いゲル化」の良好なバランスが達成可能
であることが好ましい。速いゲル化反応は、ゲル化メカ
ニズムFによって、遅いゲル化反応はゲル化メカニズム
Sによって、それぞれ主に支配されることが好ましい。
これらのゲル化の好ましい態様は、以下の通りである。 (速いゲル化)本発明のゲル化性組成物C(ゲル化メカ
ニズムFと、ゲル化メカニズムSとを示す)が、その好
適な短期的接着力を発揮する点からは、該ゲル化性組成
物Cの速いゲル化時間(Tc)は、下記の「速いゲル
化」測定において、15分以内、更には10分以内、特
に5分以内であることが好ましい。
【0024】なお、上記ゲル化性組成物Cを構成する一
成分たる「ゲル化メカニズムF」を単独で用いた場合の
ゲル化時間(Tf)も、上記と同様の「速いゲル化」測
定において、15分以内、更には10分以内、特に5分
以内であることが好ましい。本発明においては、該ゲル
化Fが、ゲル化性組成物Cにおいて実質的に阻害されな
いことが好ましい。より具体的には、ゲル化性組成物C
のゲル化時間(Tc)と、「ゲル化メカニズムF」を単
独で用いた場合のゲル化時間(Tf)の比(Tc/T
f)は、3以下、更には2以下(特に1.5以下)であ
ることが好ましい。
【0025】上記したゲル化時間TfおよびTcは、い
ずれも「速いゲル化測定」の条件下で測定することが好
ましい。ここに、「速いゲル化測定」の条件とは、ゲル
化メカニズムFが物理的ゲル化に基づく場合には、その
ゾル−ゲル転移点より10℃ゲル化領域側に入った温度
(すなわち、ゾル−ゲル転移点より10℃高いまたは低
い温度)を言う。
【0026】他方、ゲル化メカニズムFが化学的ゲル化
に基づく場合には、「速いゲル化測定」の条件とは、そ
のゲル化が行われるべき部位の温度を言う。すなわち、
動物体内において使用する場合には、その動物の体温
(ヒトの場合には、約38℃)、特に適用場所が特定さ
れない場合には、室温(約25℃)を言う。 <速いゲル化の測定法> (ゲル化メカニズムFが物理的ゲル化に基づく場合)本
発明のゲル化性組成物Cを、上記物理的ゲル化Fのゾル
ーゲル転移温度よりも約10℃低い温度で所定の溶媒
(ハイドロゲルの場合には蒸留水)中に攪拌下に溶解
し、濃度が約15%のゲル化性組成物Cの水溶液を作製
する。
【0027】次いで、上記で得たゲル化性組成物Cの溶
液の約5mlを上記のゾル−ゲル転移温度よりも約10
℃低い温度で、内径が約12mmφのガラス製の試験管
中に注入した後、該試験管を温度が約38℃の恒温水槽
中に浸漬する。この浸漬後、該水溶液のゲル化するまで
の時間を測定する。このゲル化は、ゲル化性組成物C水
溶液を内蔵する試験管を上下逆転させた際に、該水溶液
が流動しなくなることによって確認することが出来る。
【0028】なお、ゲル化メカニズムFが化学的ゲル化
に基づく場合には、上記の速いゲル化は、ゲル化メカニ
ズムFとゲル化メカニズムSとを示すゲル化性組成物C
(濃度が約15%)を得た後、その約5mlを内径が約
12mmφのガラス製の試験管中に注入し、該試験管を
温度が約38℃の恒温水槽中に浸漬することによって測
定することが出来る。 (遅いゲル化の測定)本発明のゲル化性組成物C(ゲル
化メカニズムFとゲル化メカニズムSとを示す)が、そ
の好適な長期的な接着力を発揮する点からは、該ゲル化
性組成物Cの遅いゲル化時間(Td)が経過すると、下
記の「遅いゲル化」測定において、下記の「再ゾル化抑
制」性を示すことが好ましい。 <遅いゲル化測定方法> (ゲル化メカニズムFが物理的ゲル化に基づく場合)本
発明のゲル化性組成物Cを、その物理的ゲル化Fのゾル
−ゲル転移温度よりも約10℃低い温度で所定の溶媒
(ハイドロゲルの場合には蒸留水)中に攪拌下に溶解
し、濃度が約15%のゲル化性組成物Cの溶液を作製す
る。
【0029】次いで、上記で得たゲル化性組成物Cの溶
液、約10mlを内径が80mmφのプラスチック製シ
ャーレ中に注入した後、該シャーレを約38℃の保温庫
内に入れゲル化させた後、38℃の保温庫内で該ゲルを
内蔵するシャ一レ中に38℃の約40mlのpH8の生
理的食塩水を加える。この状態で、38℃の保温庫内で
約1時間、(好ましくは約5時間、より好ましくは約2
4時間)38℃の保温庫内で放置し、該生理的食塩水を
捨てる。このゲルを含むシャーレを約6℃の冷蔵庫内に
入れ、少なくとも1時間放置しても、ゲル化した本発明
のゲル化性組成物Cはゾル化しない。
【0030】なお、上記ゲル化性組成物Cを構成する一
成分たる「ゲル化メカニズムS」に基づくゲルも、上記
と同様の「遅いゲル化」の再ゾル化測定において、約6
℃の冷蔵庫内に入れ、少なくとも1時間放置しても、ゲ
ル化メカニズムSに基づくゲルはゾル化しない。なお、
ゲル化メカニズムFが化学的ゲル化に基づく場合には、
上記の速いゲル化において、上記と同様に「再ゾル化抑
制」性が認められる。 (ゲル化メカニズムS単独に基づくゲル化)ゲル化メカ
ニズムSを単独で用いた場合の単独でのゲル化時間(T
s)は、1時間以上、更には5時間以上、特に24時間
以上であることが好ましい。ここに「遅いゲル化測定」
の条件とは、ゲル化メカニズムSが化学的ゲル化に基づ
く場合には、そのゲル化が行われるべき部位の温度を言
う。すなわち、動物体内において使用する場合には、そ
の動物の体温(ヒトの場合には、約38℃)、特に適用
場所が特定されない場合には、室温(約25℃)を言
う。 (ゲル化物の生理食塩水中の減量)本発明のゲル化性組
成物Cが、その短期的な接着力と、長期的な接着力との
好適なバランスを発揮する点からは、相対的に遅いゲル
化を与えるゲル化メカニズムSが、相対的に速いゲル化
メカニズムFに基づく架橋の存在によって、実質的に阻
害されないことが好ましい。
【0031】より具体的には、本発明のゲル化性組成物
C(相対的に速いゲル化メカニズムFと、相対的に遅い
ゲル化を与えるゲル化メカニズムSとを示す)と、テス
ト用のゲル化性組成物D(ゲル化メカニズムFに対応す
る成分と、成分D1とを少なくとも含む;該成分D1
は、ゲル化メカニズムSに対応する成分から「遅いゲル
化」能力のみを実質的に除去したもの)との38℃の生
理食塩水中の減量挙動は、以下のようなものであること
が好ましい。なお、「成分D1」は、例えば、ゲル化メ
カニズムSに対応する成分から化学的架橋を与える成分
(例えば、架橋剤、酵素等の触媒等)を選択的に除去な
いし無能力化することにより得ることができる。
【0032】ゲル化性組成物Cとゲル化性組成物Dとの
減量率の比(Cr/Dr)は、0.4以下、更に0.2
以下(特に0.1以下)であることが好ましい。 <生理食塩水中の減量の測定>測定対象サンプル(ゲル
化性組成物CまたはD)約5gを精秤(測定装置:例え
ば電子秤、島津製作所社製、商品名EB−3200D;
質量=C1またはD1グラム)した後に、200メッシ
ュの金網(大きさ:3×3×3cm程度)中に入れ、約
200mlのビーカーに満たした生理的食塩水(食塩濃
度:0.9%)中につり下げる。37℃(温度誤差±1
℃以内)に設定した恒温槽内に該ビーカーを浸し、ビー
カーの内容物を磁気攪拌子で攪拌しつつ6時間放置す
る。放置後、金網中のサンプルを取り出し、ティッシュ
ペーパーで余剰の生理的食塩水を除いた後、該サンプル
質量(C2またはD2グラム)を測定する。下記の式に
より減量率CrまたはDrを計算する。
【0033】Cr=100×(C1−C2)/C1 Dr=100×(D1−D2)/D1 (ゲル化材料)上記した「速いゲル化」「遅いゲル化」
の条件を満たす限り、速いゲル化に対応する「ゲル化メ
カニズムF」と、遅いゲル化に対応する「ゲル化メカニ
ズムS」とは同一であってもよく、また異なっていても
よい。これら速度の異なる2種類のゲル化のバランスを
容易に達成可能な点からは、ゲル化メカニズムは異なっ
ている方が好ましい。この場合、速いゲル化の迅速性
と、遅いゲル化の安定性のバランスの点からは、「ゲル
化メカニズムF」は物理的ゲル化、「ゲル化メカニズム
S」は化学的ゲル化であることが好ましい。また、「ゲ
ル化メカニズムF」は可逆的ゲル化、「ゲル化メカニズ
ムS」は不可逆的ゲル化であることが好ましい。 (ゲル化成分Fの好ましい態様)上述したように、本発
明の「ゲル化メカニズムF」に対応するゲル化成分F
は、物理的ゲル化および/又は可逆的ゲル化する材料で
あることが好ましい。ゲル化成分Fは、昇温時ゲル化型
熱可逆性ハイドロゲル形成性であることが、更に好まし
い。この場合、昇温時ゲル化型熱可逆性ハイドロゲル形
成は、その架橋が疎水性結合によって形成される物理ゲ
ルであることが好ましい。
【0034】ゲル化成分Fは、その水溶液がゾル−ゲル
転移温度を有し、該転移温度より低い温度で可逆的にゾ
ル状態を示すハイドロゲル形成性の高分子を含むことが
好ましい。このようなハイドロゲル形成性の高分子の具
体例としては、例えば、ポリプロピレンオキサイドとポ
リエチレンオキサイドとのブロック共重合体等に代表さ
れるポリアルキレンオキサイドブロック共重合体;メチ
ルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等のエー
テル化セルロース、キトサン誘導体(K.R.Holme.et
al. Macromolecules 、24,3828(1991))
等が知られている。ポリアルキレンオキサイドブロック
共重合体として、ポリプロピレンオキサイドの両端にポ
リエチレンオキサイドが結合したプルロニック(Pluron
ic)F−127(商品名、BASF Wyandotte Chemicals C
o.製)ゲルが開発されている。
【0035】このプルロニックF−127の高濃度水溶
液は、約20℃以上でハイドロゲルとなり、これより低
い温度で水溶液となることが知られている。しかしなが
ら、この材料の場合は約20wt%以上の高濃度でしか
ゲル状態にはならず、また約20wt%以上の高濃度で
ゲル化温度より高い温度に保持しても、さらに水を加え
るとゲルが溶解してしまう。また、プルロニックF−1
27は分子量が比較的小さく、約20wt%以上の高濃
度のゲル状態で非常に高い浸透圧を示すと同時に細胞膜
を容易に透過するので、細胞、微生物に悪影響を及ぼす
可能性がある。
【0036】一方、メチルセルロース、ヒドロキシプロ
ピルセルロース等に代表されるエーテル化セルロースの
場合は、ゾル−ゲル転移温度が高く約45℃以上である
(N.Sarkar, J. Appl. Polym. Science,24,107
3,1979)。従って、このようなエーテル化セルロ
ースの場合には体温(約38℃)でゲル化し難いため、
通常は、本発明の用途には適用が困難である。上記した
ように、その水溶液がゾルーゲル転移点を有し、且つ該
転移温度より低い温度で可逆的にゾル状態を示す従来の
ハイドロゲル形成性の高分子を単独で用いた場合の問題
点は、1)ゾルーゲル転移温度より高い温度で一旦ゲル
化しても、さらに水を添加するとゲルが溶解してしまう
こと、2)ゾルーゲル転移温度が体温(約38℃)より
も高く、体内ではゾル状態であること、3)ゲル化させ
るためには、水溶液の高分子濃度を非常に高くする必要
があること、等である。
【0037】本発明者らの検討によれば、曇点を有する
複数の高分子鎖と親水性の高分子鎖ブロックとが結合し
てなり、その水溶液がゾルーゲル転移温度を有し、且
つ、ゾルーゲル転移温度より低い温度で可逆的にゾル状
態を示す高分子が、上記ゲル化成分Fを形成するハイド
ロゲル形成性の高分子として特に好適に使用可能である
ことが判明した。 (複数の曇点を有する高分子鎖)曇点を有する高分子鎖
としては、水に対する溶解度温度係数が負を示す高分子
であることが好ましく、より具体的には、ポリプロピレ
ンオキサイド、プロピレンオキサイドと他のアルキレン
オキサイドとの共重合体、ポリN−置換アクリルアミド
誘導体、ポリN−置換メタアクリルアミド誘導体、N−
置換アクリルアミド誘導体とN−置換メタアクリルアミ
ド誘導体との共重合体、ポリビニルメチルエーテル、ポ
リビニルアルコール部分酢化物からなる群より選ばれる
高分子が好ましく用いられる。上記の高分子(曇点を有
する高分子鎖)の曇点が4℃より高く40℃以下である
ことが、本発明に用いるゲル化成分F(曇点を有する複
数の高分子鎖と親水性の高分子鎖が結合した化合物)の
ゾル−ゲル転移温度を4℃より高く40℃以下とする点
から好ましい。
【0038】ここで曇点の測定は、例えば、上記の高分
子(曇点を有する高分子鎖)の約1wt%の水溶液を冷
却して透明な均一溶液とした後、除々に昇温(昇温速度
約1℃/min)して、該溶液がはじめて白濁する点を
曇点とすることによって行うことが可能である。本発明
に使用可能なポリN−置換アクリルアミド誘導体、ポリ
N−置換メタアクリルアミド誘導体の具体的な例を以下
に列挙する。
【0039】ポリ−N−アクロイルピペリジン;ポリ−
N−n−プロピルメタアクリルアミド;ポリ−N−イソ
プロピルアクリルアミド;ポリ−N,N−ジエチルアク
リルアミド;ポリ−N−イソプロピルメタアクリルアミ
ド;ポリ−N−シクロプロピルアクリルアミド;ポリ−
N−アクリロイルピロリジン;ポリ−N,N−エチルメ
チルアクリルアミド;ポリ−N−シクロプロピルメタア
クリルアミド;ポリ−N−エチルアクリルアミド。
【0040】上記の高分子は単独重合体(ホモポリマ
ー)であっても、上記重合体を構成する単量体と他の単
量体との共重合体であってもよい。このような共重合体
を構成する他の単量体としては、親水性単量体、疎水性
単量体のいずれも用いることができる。一般的には、親
水性単量体と共重合すると生成物の曇点は上昇し、疎水
性単量体と共重合すると生成物の曇点は下降する。従っ
て、これらの共重合すべき単量体を選択することによっ
ても、所望の曇点(例えば、4℃より高く40℃以下の
曇点)を有する高分子を得ることができる。
【0041】上記親水性単量体としては、N−ビニルピ
ロリドン、ビニルピリジン、アクリルアミド、メタアク
リルアミド、N−メチルアクリルアミド、ヒドロキシエ
チルメタアクリレート、ヒドロキシエチルアクリレー
ト、ヒドロキシメチルメタアクリレート、ヒドロキシメ
チルアクリレート、酸性基を有するアクリル酸、メタア
クリル酸およびそれらの塩、ビニルスルホン酸、スチレ
ンスルホン酸等、並びに塩基性基を有するN,N−ジメ
チルアミノエチルメタクリレート、N,N−ジエチルア
ミノエチルメタクリート、N,N−ジメチルアミノプロ
ピルアクリルアミドおよびそれらの塩等が挙げられる
が、これらに限定されるものではない。
【0042】一方、上記疎水性単量体としては、エチル
アクリレート、メチルメタクリレート、グリシジルメタ
クリレート等のアクリレート誘導体およびメタクリレー
ト誘導体、N−n−ブチルメタアクリルアミド等のN−
置換アルキルメタアクリルアミド誘導体、塩化ビニル、
アクリロニトリル、スチレン、酢酸ビニル等が挙げられ
るが、これらに限定されるものではない。 (親水性の高分子鎖)一方、上記した曇点を有する高分
子鎖と結合すべき親水性の高分子鎖としては、具体的に
は、コラーゲン、ゼラチン、カゼイン、アルブミン、メ
チルセルロース、デキストラン、ポリエチレンオキサイ
ド、ポリビニルアルコール、ポリN−ビニルピロリド
ン、ポリビニルピリジン、ポリアクリルアミド、ポリメ
タアクリルアミド、ポリN−メチルアクリルアミド、ポ
リヒドロキシメチルアクリレート、ポリアクリル酸、ポ
リメタクリル酸、ポリビニルスルホン酸、ポリスチレン
スルホン酸およびそれらの塩;ポリN,N−ジメチルア
ミノエチルメタクリレート、ポリN,N−ジエチルアミ
ノエチルメタクリレート、ポリN,N−ジメチルアミノ
プロピルアクリルアミドおよびそれらの塩等が挙げられ
る。
【0043】曇点を有する高分子鎖と上記の親水性の高
分子鎖とを結合する方法は特に制限されないが、例えば
上記いずれかの高分子鎖中に重合性官能基(例えばアク
リロイル基)を導入し、他方の高分子鎖を与える単量体
を共重合させることによって行うことができる。また、
曇点を有する高分子鎖と上記の親水性の高分子鎖との結
合物は、曇点を有する高分子鎖を与える単量体と、親水
性の高分子鎖を与える単量体との高分子鎖共重合によっ
て得ることも可能である。また、曇点を有する高分子鎖
と親水性の高分子鎖との結合は、予め両者に反応活性な
官能基(例えば水酸基、アミノ基、カルボキシル基、イ
ソシアネート基等)を導入し、両者を化学反応により結
合させることによって行うこともできる。この際、親水
性の高分子鎖中には通常、反応活性な官能基を複数導入
する。
【0044】また、曇点を有するポリプロピレンオキサ
イドと親水性の高分子鎖との結合は、例えば、アニオン
重合またはカチオン重合で、プロピレンオキサイドと
「他の親水性高分子鎖」を構成するモノマー(例えばエ
チレンオキサイド)とを繰り返し逐次重合させること
で、ポリプロピレンオキサイドと「親水性高分子鎖」
(例えばポリエチレンオキサイド)が結合した高分子鎖
共重合体を得ることができる。このようなブロック共重
合体は、ポリプロピレンオキサイドの末端に重合性基
(例えばアクリロイル基)を導入後、親水性の高分子鎖
を構成するモノマーを共重合させることによっても得る
ことができる。更には、親水性の高分子鎖中に、ポリプ
ロピレンオキサイド末端の官能基(例えば水酸基)と結
合反応し得る官能基を導入し、両者を反応させることに
よっても、本発明に用いるゲル化成分Fを得ることがで
きる。
【0045】また、ポリプロピレングリコールの両端に
ポリエチレングリコールが結合した、プルロニックF−
127(商品名、旭電化工業(株)製)等のハイドロゲ
ル形成性の材料を連結させることによっても、本発明に
用いるゲル化成分Fを得ることができる。曇点を有する
高分子鎖を有する態様における本発明のゲル化成分F
は、曇点より低い温度においては、分子内に存在する上
記「曇点を有する高分子鎖」が親水性の高分子鎖ととも
に水溶性であるので、完全に水に溶解し、ゾル状態を示
す。しかし、この高分子の水溶液の温度を上記曇点より
高い温度に加温すると、分子内に存在する「曇点を有す
る高分子鎖」が疎水性となり、疎水的相互作用によっ
て、別個の分子間で会合する。一方、親水性の高分子鎖
は、この時(曇点より高い温度に加温された際)でも水
溶性であるので、本発明のゲル化成分Fは水中におい
て、曇点を有する高分子鎖間の疎水性会合部を架橋点と
した三次元網目構造を持つハイドロゲルを形成する。こ
のハイドロゲルの温度を再び、分子内に存在する「曇点
を有する高分子鎖」の曇点より低い温度に冷却すると、
該曇点を有する高分子鎖が水溶性となり、疎水性会合に
よる架橋点が解放され、ハイドロゲル構造が消失して、
本発明の高分子は、再び完全な水溶液となる。
【0046】このように、本発明のゲル化成分Fのゾル
ーゲル転移は、例えば、分子内に存在する曇点を有する
高分子鎖の該曇点における可逆的な親水性、疎水性の変
化に基づくものであることができ、温度変化に対応し
て、実質的に完全な可逆性を有する。本発明者らの知見
によれば、本発明に用いるゲル化成分Fをそのゾルーゲ
ル転移温度より高い温度でゲル化させた後に更に多量
(体積比で、ゲルの0.1〜100倍程度)の水を加え
ても、該ゲルは溶解することはない。このような本発明
に用いる高分子の性質は、該高分子内に曇点を有する高
分子鎖が2個以上(複数個)存在することによって達成
される。 (ゲル化成分S)本発明のゲル化性組成物Cを構成する
ゲル化成分Fおよびゲル化成分Sのゲル化メカニズムが
異なる場合、前述したように、「ゲル化メカニズムS」
は化学的ゲル化であることが好ましい。また、この「ゲ
ル化メカニズムS」は不可逆的ゲル化であることが好ま
しい。なお、前述したように、ゲル化成分Fと、ゲル化
成分Sとを構成する高分子成分自体は同一であってもよ
く、また異なっていてもよい。 (ゲル化成分Sの好ましい態様)上述したように、本発
明においてゲル化成分Sは、化学的ゲル化および/又は
不可逆的ゲル化する材料であることが好ましい。上記し
た「遅いゲル化」の条件を満たす限り、このゲル化成分
Sのゲル化メカニズムは特に制限されない。動物(ヒト
を含む)の体内で使用される態様においては、ゲル化成
分Sが比較的低温(例えば、40℃以下)で、および/
又は水分が存在する条件下でもゲル化が可能なゲル形成
性の高分子を含むことが好ましい。
【0047】動物(特にヒト)の体内で使用される態様
においては、その短期的・長期的な安全性・毒性の問題
をも考慮すると、ゲル化成分Sは、ゲル形成性の高分子
と、該高分子をゲル化させる触媒(好ましくは酵素)と
を少なくとも含むことが好ましい。この場合、上記した
ゲル化温度、水分条件、および安全性・毒性の問題を総
合的に考慮すると、ゲル形成性の高分子としては、タン
パク質、糖タンパク質、ポリペプチド等の生体高分子
(および/又はその誘導体)を用いることが好ましい。
このような高分子基質は、該基質と特異的に反応し、該
高分子基質をゲル化させる触媒(生体触媒たる酵素をも
含む)との組合せで好適に使用可能である。この態様に
おけるゲル化成分Sのゲル化反応は、化学反応、特に酵
素反応によるもので架橋は共有結合によって形成される
化学ゲルに属することが好ましい。
【0048】本発明において好適に使用可能な高分子基
質と、触媒(例えば酵素)との組合せは、上記した「遅
いゲル化」の条件を満たす限り特に制限されないが、特
に安全性の面を重視した場合には、以下に述べるような
高分子基質−酵素の組合せが特に好適に使用可能であ
る。 (トランスグルタミナーゼによる架橋反応)トランスグ
ルタミナーゼ(TGase)は高等動物、魚介類、微生
物中に広く分布していてタンパク質、ポリペプタイド中
のグルタミン(Gln)残基のγ−カルボキシアミド基
のアシル転移反応を触媒する酵素である。アシル受容体
としてタンパク質、ポリペプタイド中のリジン(Ly
s)残基のε−アミノ基が作用すると分子内及び分子間
にε(γ−glutamyl)lysine(G−Lと略す)の架橋結
合、即ちペプチド結合が形成され、タンパク質間が架橋
されゲル化する。最も典型的な例としては、トロンビン
の作用で生じたフィブリンをG−L架橋し血栓の安定性
を著しく向上させる酵素、血漿トランスグルタミナーゼ
(XIII 因子)があげられる。
【0049】又、皮膚の角質細胞内には表皮トランスグ
ルタミナーゼが多量に存在していてケラチン分子間にG
−L架橋を形成することにより不溶で且つ強靭な角質層
を形成する役割を果している。又、近年では微生物が生
産するトランスグルタミナーゼ(MTGase)が安価
に且つ大量に生産され、タンパク質食品のゲル化に工業
的に使用されている。
【0050】TGase、MTGaseと特異的に反応
する高分子基質としては、グルタミン残基とリジン残基
を有するタンパク質、糖タンパク質及びポリペプタイド
等が上げられ、本発明で好適に使用可能な高分子基質と
しては、例えばコラーゲン、ゼラチン、ミオシン、フィ
ブリノーゲン、フィブリン、カゼイン、ケラチン、γ−
グロブリン、ラミニン、フィブロネクチン、繊維芽細胞
成長因子(FGF)、上皮細胞成長因子(EGF)、血
管内皮細胞成長因子(VEGF)等が挙げられる。従っ
て、本発明のゲル化成分Sの好適な一例は、上記の高分
子基質とTGase或いはMTGaseとの混合物とを
含む。
【0051】一方、本発明のゲル化成分Fの構成成分で
ある高分子鎖(この場合には親水性)が、グルタミン残
基とリジン残基を有しているコラーゲン、ゼラチン、カ
ゼイン、アルブミン等のタンパク質とを含む場合には、
TGase、MTGaseによってゲル化成分Fが化学
ゲルを形成し本発明のゲル化成分Sの役割を果たす。し
たがって、このような場合には、ゲル化成分F(高分子
Pを含む)と、ゲル化成分S(高分子Pと、ゲル化触媒
Cat を含む)とが共通の高分子Pを構成成分として含む
こととなる。 (スルフィドリールオキシターゼによる架橋反応)スル
フィドリールオキシターゼ(S−S架橋酵素)はチオー
ル基を有するタンパク質、糖タンパク質、ポリペプタイ
ド等の高分子基質、例えばコラーゲン、ゼラチン、ミオ
シン、フィブリノーゲン、フィブリン、カゼイン、ケラ
チン、アルブミン、γ−グロブリン、ラミニン、フィブ
ロネクチン、インスリン等と特異的に反応して、分子
内、或いは分子間にジスルフィド結合を形成してゲル化
させる。したがって、このような場合には、ゲル化成分
Sは上記の高分子基質と、スルフィドリールオキシダー
ゼとの混合物を含む。
【0052】一方、本発明のゲル化成分Fの構成成分で
ある親水性の高分子鎖がチオール基を有するコラーゲ
ン、ゼラチン、カゼイン、アルブミン等のタンパク質と
を含む場合には、S−S架橋酵素によってゲル化成分F
が化学ゲルを形成し本発明のゲル化成分Sの役割を果た
す。したがって、このような場合には、ゲル化成分F
(高分子Pを含む)と、ゲル化成分S(高分子Pと、ゲ
ル化触媒Cat を含む)とが共通の高分子Pを構成成分と
して含むこととなる。 (トロンビンによる架橋反応)血液凝固系タンパクのセ
リンプロテアーゼであるトロンビンは生理的条件下(約
38℃、pH7近辺)で、フィブリノーゲンをフィブリ
ンに転換して、不溶化、ゲル化させる。したがって、こ
のような場合には、ゲル化成分Sは上記の高分子基質
と、トロンビンとの混合物を含む。 (ゲル化反応)本発明のゲル化成分Fとしての昇温時ゲ
ル化型の熱可逆性ハイドロゲルが疎水性結合によって形
成される物理ゲルである態様においては、通常は、その
疎水性結合力は温度変化に最も大きく影響されるが、p
H、塩濃度の変化から受ける影響は小さい。従って体温
(約38℃)より低いゾル−ゲル転移温度を有する上記
ゲル形成性高分子の水溶液は、そのゾル−ゲル転移温度
より低い温度ではゾル状態で、生体内の所望の部位に容
易に注入でき、体温、即ち該ゾル−ゲル転移温度より高
い温度で直ちにゲル化し該部位に安定に留置が可能であ
る。しかしながら、前述したように、該ゲルの場合には
架橋構造が結合力が弱い疎水結合で形成されている為、
若干の温度変化、濃度変化により架橋構造が不安定にな
ること、及び機械的強度が低いこと等のために、ゲル化
成分F単独では長期間、該部位に安定に留置することが
困難である。
【0053】他方、本発明におけるゲル化成分Sが、タ
ンパク質、糖タンパク質、ポリペプタイド等の高分子基
質と、該高分子基質と特異的に反応する酵素との混合系
であって、共有結合による架橋構造を形成可能な化学ゲ
ルである態様においては、該化学ゲルのゲル化反応は酵
素反応であるため、濃度、pH、塩の種類・濃度が生理
的条件(例えば濃度が約38℃、pHが中性領域、塩の
種類・濃度が生理食塩水、或いはリンゲル液と同等度)
の範囲内で反応が進行し、ゲルが形成される。
【0054】従って、濃度、pH、塩の種類・濃度等が
非生理的条件下ではゲル化成分Sの水溶液のゲル化反応
が進行せずにゾル状態であり、生体内の所望の部位に容
易に注入でき、該部位で温度、pH、塩の種類・濃度等
が徐々に生理的条件に変化することに伴ってゲル化成分
Sのゲル化反応が進行する。該ゲル化反応速度は、「速
い」ゲル化成分Fのゲル化反応速度に比較して著しく遅
い為に、ゲル化成分Sのみを生体内の部位に安定に留置
することは非常に困難である。ゲル化成分Sのゲル化反
応を促進する為に該組成物(II)の水溶液を生理的条件
下で生体内に注入する場合には、該水溶液の調製中に、
或いは生体内への注入中にゲル化反応が進行してしま
い、生体内の所望の部位に注入することが著しく困難に
なる。即ち、ゲル化成分Sのみを用いた場合では、ゲル
化反応の速度を最適に制御することが著しく困難であ
る。しかしながら、ゲル化成分Sの架橋構造は共有結合
によって形成されているため温度、濃度等の外的因子の
変化に対する安定性及び機械的強度に優れている為に所
望の部位に長期間、安定に留置することが可能である。
【0055】上記したゲル化成分Fとゲル化成分Sのそ
れぞれ単独でのゲル化反応の問題点を解決するために、
本発明に於てはゲル化成分Fとゲル化成分Sとを組み合
わせてゲル化性組成物Cを構成している。即ち、本発明
のゲル化性組成物Cを生体に適用する態様においては、
例えば、該ゲル化性組成物Cの水溶液(ゾル状態)を温
度、pH、塩の種類・濃度等が非生理的条件下で且つ、
ゲル化成分Fのゾル−ゲル転移温度より低い温度で調製
し、生体内に注入すると体温により該ゲル化性組成物C
の温度が該ゾル−ゲル転移温度より高い温度になり、先
ずゲル化成分Fがゲル化することによりゲル化性組成物
Cがゲル化する。次いで該ゲル中の温度、pH、塩の種
類・濃度が生理的条件に近づくにしたがって、ゲル化成
分Sの酵素反応が進行して、ゲル化成分Sの化学ゲルが
形成されて本発明のゲル化性組成物Cにより安定化され
たゲルが形成される。
【0056】化学ゲル化反応としてトランスグルタミナ
ーゼ、スルフィドリールオキシダーゼ等による架橋反応
を利用する場合には、本発明のゲル化性組成物Cの水溶
液(ゾル状態)を体温(約38℃)よりも著しく低い温
度(ゲル化成分Fのゾル−ゲル転移温度より低い温度の
温度)で調製し、生体内へ投与することが好ましい。生
体内で該組成物の温度が体温に近づくと、酵素反応が進
行して本発明のゲル化性組成物Cの安定化に寄与する。
【0057】化学ゲル化反応としてトロンビンによる架
橋反応を利用する場合には、調製時、或いは体内への注
入時には上記したように温度を体温よりも充分下げる
か、或いはpHを5以下或いは10以上にすることによ
って、フィブリノーゲンのトロンビンによる架橋反応の
進行を抑制できる。生体内で該組成物の温度、或いはp
Hが生理的条件に徐々に変化するとフィブリノーゲンが
架橋フィブリンに変化して、本発明のゲル化性組成物C
の安定化に寄与する。 (他の成分)上述したように、本発明のゲル化性組成物
は、高分子成分と、該高分子成分をゲル化させるゲル化
剤とを少なくとも含むが、必要に応じて、他の成分を含
んでいてもよい。このような成分の種類、数、含有量等
は、上記組成物の速いゲル化Fと、相対的に遅いゲル化
Sとのバランスを実質的に阻害しない限り、特に制限さ
れない。
【0058】このような「他の成分」としては、例え
ば、薬剤、生理活性物質、および/又は細胞が挙げられ
る。上記薬剤の好適な例としては、例えば、抗癌剤、抗
菌剤、抗凝固剤等が挙げられる。このように本発明のゲ
ル化性組成物に薬剤を含有させた場合、該薬剤の作用
(抗癌性、抗菌性、抗凝固性等)に対応する効果を得る
ことができる。
【0059】上記生理活性物質の好適な例としては、例
えば、FGF,EGF,VEGF等が挙げられる。この
ように本発明のゲル化性組成物に生理活性物質を含有さ
せた場合、治癒促進性等の効果を得ることができる。上
記細胞の好適な例としては、例えば、骨髄細胞、繊維芽
細胞、血管内皮細胞等が挙げられる。このように本発明
のゲル化性組成物に細胞を含有させた場合、治癒促進性
等の効果を得ることができる。
【0060】以下、実施例により本発明を更に具体的に
説明する。
【0061】
【実施例】実施例1 ポリプロピレンオキサイド−ポリエチレンオキサイド共
重合体(プロピレンオキサイド/エチレンオキサイド平
均重合度が約60/180、旭電化工業(株)製:プル
ロニックF−127)10gを乾燥クロロホルム30m
lに溶解し、五酸化リン共存下、ヘキサメチレンジイソ
シアネート0.13gを加え、沸点還流下に6時間反応
させた。溶媒を減圧留去後、残さを蒸留水に溶解し、分
画分子量3万の限外濾過を行い、高分子量重合体と低分
子量重合体を分画した。得られた水溶液を凍結して、F
−127高重合体及びF−127低重合体を得た。
【0062】上記により得たF−127高重合体(TG
P−1)を4℃、8質量%の濃度で蒸留水に溶解した。
この水溶液をゆるやかに加温していくと、21℃から徐
々に粘度が上昇し、約27℃で固化してハイドロゲルと
なった。このハイドロゲルを冷却すると、21℃で水溶
液に戻った。この変化は、可逆的に繰り返し観測され
た。一方、上記F−127低重合体を、8質量%の濃度
で蒸留水に溶解したものは、60℃以上に加熱しても全
くゲル化しなかった。
【0063】別に、成牛の骨から得たアルカリ処理ゼラ
チン(新田ゼラチン社製)の10%水溶液を作製し、そ
の水溶液中に上記で得たF−127高重合体(TGP−
1)を約10%の濃度になるように、TGP−1のゾル
−ゲル転移温度より低い温度の約10℃で撹拌下に溶解
した。次いで該水溶液中にトランスグルタミナーゼ(M
TGase)を酵素濃度として約20単位/mlになる
ように約10℃で撹拌下に溶解し、本発明のゲル化性組
成物Cの水溶液(I)を作製した。
【0064】約5mlの該ゲル化性組成物C水溶液
(I)を約10℃で内径が約12mmφのガラス製の試
験管中に注入した後、該試験管を温度が約38℃の恒温
水槽中に浸漬すると該水溶液(I)は直ちに(該水溶液
の温度がTGP−1のゾル−ゲル温度より高い温度に上
昇すると)ゲル化した。該水溶液のゲル化は該水溶液を
内蔵する試験管を上下逆転させた時に該水溶液が流動し
なくなることによって確認した。水溶液(I)を内蔵し
た試験管を約38℃の恒温水槽中に浸漬した時点から約
30分後にゲル化した水溶液(I)を内蔵する試験管を
TGP−1のゾル−ゲル転移温度より低い温度、約10
℃の恒温水槽中に浸漬すると直ちに(該水溶液の温度が
TGP−1のゾル−ゲル転移温度より低い温度に下降す
ると)ゾル化した。
【0065】一方、ゲル化した該水溶液(I)を内蔵し
た試験管を約38℃の恒温水槽中に浸漬した後、約6時
間後に該試験管をTGP−1のゾル−ゲル転移温度より
低い温度、約10℃の恒温水槽中に浸漬してもゲル化し
た水溶液(I)のゾル化は認められなかった。以上のこ
とから、本発明のゲル化性組成物C(I)の水溶液は、
ゲル化成分F(TGP−1)のゾル−ゲル転移温度より
低い温度ではゾル化して溶液状態であって生体内に容易
に投与が可能であり、生体内に投与されるとTGP−1
が直ちにゲル化し投与部位に留置することが可能であっ
た。加えて、該ゲル化性組成物C(I)は、体温(約3
8℃)でゲル化成分SのゼラチンがMTGaseの酵素
反応により徐々にゲル化することによって、本発明のゲ
ル化性組成物C(I)の安定性が著しく向上した。実施例2 実施例1と同様の方法でアルカリ処理ゼラチンの10%
水溶液を作製し、該水溶液中に実施例1で合成したF−
127高重合体(TGP−1)を約10%になるよう
に、TGP−1のゾル−ゲル転移温度より低い温度の約
10℃で撹拌下に溶解した。次いで該水溶液中にスルフ
ィドリールオキシダーゼを酵素濃度として約10単位/
mlになるように約10℃で撹拌下に溶解し本発明のゲ
ル化性組成物Cの水溶液(II)を作製した。
【0066】約5mlの該水溶液(II)を約10℃で内
径が約12mmのガラス製の試験管に注入した後、該試
験管を温度が約38℃の恒温水槽中に浸漬すると、該水
溶液(II)は直ちに(該水溶液の温度がTGP−1のゾ
ル−ゲル転移温度より高い温度に上昇すると)ゲル化し
た。該水溶液のゲル化は該水溶液を内蔵する試験管を上
下逆転させた時に該水溶液が流動しなくなることによっ
て確認した。水溶液(II)を内蔵した試験管を約38℃
の恒温水槽中に浸漬した時点から約1時間以内では、ゲ
ル化した水溶液(II)を内蔵する試験管をTGP−1の
ゾル−ゲル転移温度より低い温度、約10℃の恒温水槽
中に浸漬すると直ちに(該水溶液の温度がTGP−1の
ゾル−ゲル転移温度より低い温度に下降すると)ゾル化
した。
【0067】一方、ゲル化した該水溶液(II)を内蔵し
た試験管を約38℃の恒温水槽中に浸漬した後、約10
時間後に該試験管をTGP−1のゾル−ゲル転移温度よ
り低い温度、約10℃の恒温水槽中に浸漬してもゲル化
した水溶液(II)のゾル化は認められなかった。以上の
ことから、本発明のゲル化性組成物C(II)の水溶液は
ゲル化成分F(TGP−1)のゾル−ゲル転移温度より
低い温度ではゾル化して溶液状態であって生体内に容易
に投与が可能であり、生体内に投与されるとTGP−1
が直ちにゲル化し、投与部位に留置することが可能であ
った。加えて、該組成物C(II)は、体温(約38℃)
でゲル化成分Sのゼラチンがスルフィドリールオキシダ
ーゼの酵素反応によって徐々にゲル化することにより、
本発明のゲル化性組成物C(II)の安定性が著しく向上
した。実施例3 ウシフィブリノーゲン(和光純薬社製)をpHを約5に
調製した生理的食塩水中に濃度が約20g/lになるよ
うに溶解した後、実施例1で合成したF−127高重合
体(TGP−1)を約10%の濃度になるように、TG
P−1のゾル−ゲル転移温度より低い温度の約10℃で
撹拌下に溶解した。次いで該水溶液中にウシトロンビン
を濃度が約1.0単位/mlになるように10℃で溶解
し本発明のゲル化性組成物Cの水溶液(III )を作製し
た。約10mlの該水溶液(III)を約10℃で内径が
80mmφのプラスチック製シャーレ中に注入した後、
該シャーレを約38℃の保温庫内に入れると該水溶液
(III )は直ちに(該水溶液の温度がTGP−1のゾル
−ゲル温度より高い温度に上昇すると)ゲル化した。3
8℃の保温庫内に留置し、ゲル化した水溶液(III )を
内蔵するシャーレを約6℃の冷蔵庫内に入れると直ちに
水溶液(III )はゾル化した。
【0068】一方、38℃の保温庫内でゲル化した水溶
液(III )上に約40mlのpH8の生理的食塩水を加
え、38℃の保温庫内で1時間放置した後、該生理的食
塩水を捨てた後、該シャーレを約6℃の冷蔵庫内に入れ
てもゲル化した水溶液(III)のゾル化は認められなか
った。以上のことから、本発明のゲル化性組成物C(II
I )の水溶液はゲル化成分F(TGP−1)のゾル−ゲ
ル転移温度より低い温度で且つ該水溶液のpHが約5で
はゾル状態であり、生体内に容易が可能であって、生体
内に投与されるとTGP−1が直ちにゲル化し投与する
部位に留置することが可能であった。加えて、該ゲル化
物が体温(約38℃)に且つ生体内のpHに近づくとト
ロンビンがフィブリノーゲンをフィブリンに転換させ、
本発明のゲル化性組成物C(III )の安定性が著しく向
上した。
【0069】
【発明の効果】上述したように本発明によれば、高分子
成分と、該高分子成分をゲル化させるゲル化剤とを少な
くとも含むゲル化性組成物であって;相対的に速いゲル
化Fと、相対的に遅いゲル化Sとの少なくとも2種類の
ゲル化を示すことを特徴とするゲル化性組成物が提供さ
れる。
【0070】本発明によれば、更に高分子成分と、該高
分子成分をゲル化させるゲル化剤とを少なくとも含むゲ
ル化性組成物であって;相対的に速いゲル化Fと、相対
的に遅いゲル化Sとの少なくとも2種類のゲル化を示
し、且つ、該ゲル化Fとゲル化Sとが相互に実質的に阻
害されないことを特徴とするゲル化性組成物が提供され
る。
【0071】本発明によれば、更に高分子成分と、該高
分子成分をゲル化させるゲル化剤とを少なくとも含むゲ
ル化性組成物であって;相対的に速いゲル化Fと、相対
的に遅いゲル化Sとの少なくとも2種類のゲル化を示
し、且つ、該ゲル化FおよびSのメカニズムが異なるこ
とを特徴とするゲル化性組成物が提供される。
【0072】本発明によれば、更に高分子成分と、該高
分子成分をゲル化させるゲル化剤とを少なくとも含み、
可逆的で相対的に速いゲル化Fと、不可逆的で相対的に
遅いゲル化Sとの少なくとも2種類のゲル化を示すこと
を特徴とするゲル化性組成物が提供される。本発明のゲ
ル化性組成物は、短期的な接着力(例えば、瞬間接着剤
的な接着力)と、長期的な接着力(例えば、遅延性の耐
久性ある接着力)との良好なバランスを容易に実現でき
るため、これらのバランスが要求される分野(例えば、
流体・液体中における接着、流体移送管の補修等)に特
に制限なく適用可能である。
【0073】本発明のゲル化性組成物を例えば医療分野
に適用した場合には、該ゲル化性組成物は、例えば、水
溶液(ゾル)状態で生体内に注入して迅速にゲル化さ
せ、該注入部位に滞留させることが可能である。この場
合、該ゲル化性組成物を生体内で徐々にゲル化させるこ
とによって、その機械的強度を向上させ生体内での安定
性を著しく向上させることが可能となる。したがって、
この場合には、いわば安定性を兼ね備えた生体内「瞬間
接着剤」(例えば、血管内塞栓剤、止血剤、生体接着
剤、癒着防止剤、創傷被覆剤、ドラッグデリバリー用基
剤等)として広く好適に利用可能である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C12N 9/96 A61L 25/00 Z Fターム(参考) 4B050 CC07 DD01 DD11 HH02 JJ10 KK18 LL01 4C081 AC04 AC16 CD111 CD18 CD23 4J002 AB01W AD01X AD02X AD033 BC12W BE02W BE04W BG07W BG13W BJ00W CH02W FD143 FD203 GB00

Claims (23)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 高分子成分と、該高分子成分をゲル化さ
    せるゲル化剤とを少なくとも含むゲル化性組成物であっ
    て;相対的に速いゲル化Fと、相対的に遅いゲル化Sと
    の少なくとも2種類のゲル化を示すことを特徴とするゲ
    ル化性組成物。
  2. 【請求項2】 高分子成分と、該高分子成分をゲル化さ
    せるゲル化剤とを少なくとも含むゲル化性組成物であっ
    て;相対的に速いゲル化Fと、相対的に遅いゲル化Sと
    の少なくとも2種類のゲル化を示し、且つ、該ゲル化F
    とゲル化Sとが相互に実質的に阻害されないことを特徴
    とするゲル化性組成物。
  3. 【請求項3】 高分子成分と、該高分子成分をゲル化さ
    せるゲル化剤とを少なくとも含むゲル化性組成物であっ
    て;相対的に速いゲル化Fと、相対的に遅いゲル化Sと
    の少なくとも2種類のゲル化を示し、且つ、該ゲル化F
    およびSのメカニズムが異なることを特徴とするゲル化
    性組成物。
  4. 【請求項4】 高分子成分と、該高分子成分をゲル化さ
    せるゲル化剤とを少なくとも含み、可逆的で相対的に速
    いゲル化Fと、不可逆的で相対的に遅いゲル化Sとの少
    なくとも2種類のゲル化を示すことを特徴とするゲル化
    性組成物。
  5. 【請求項5】 前記ゲル化Fおよびゲル化Sのいずれか
    一方が物理的ゲル化に基づき、他方が化学的ゲル化に基
    づく請求項1〜4のいずれかに記載のゲル化性組成物。
  6. 【請求項6】 前記ゲル化Fが物理的ゲル化に基づき、
    前記ゲル化Sが化学的ゲル化に基づく請求項5記載のゲ
    ル化性組成物。
  7. 【請求項7】 前記ゲル化Fおよびゲル化Sに対応する
    成分のゲル化前の状態が、いずれも高分子溶液または分
    散液である請求項1〜6のいずれかに記載のゲル化性組
    成物。
  8. 【請求項8】 前記ゲル化Fに対応する成分が、低温で
    ゾル状態、高温でゲル化する熱可逆的なゾル−ゲル転移
    温度を有する高分子要素(I)の水溶液であり、前記ゲ
    ル化Sに対応する成分が生理的条件下(37〜39℃、
    pH7.3〜7.6)でゲルを形成する高分子要素(I
    I)の水溶液である請求項1〜7のいずれかに記載のゲ
    ル化性組成物。
  9. 【請求項9】 前記ゲル化Fを与える高分子要素(I)
    が、曇天を有する高分子鎖と、親水性の高分子鎖とを含
    む請求項8に記載のゲル化性組成物。
  10. 【請求項10】 前記ゲル化成分Fを与える高分子
    (I)が、複数の曇天を有する高分子鎖と、親水性の高
    分子鎖とを含む請求項9に記載のゲル化性組成物。
  11. 【請求項11】 前記ゲル化Fを与える高分子要素
    (I)のゾル−ゲル転移温度が、4℃以上40℃以下の
    範囲にある請求項8〜10のいずれかに記載のゲル化性
    組成物。
  12. 【請求項12】 前記ゲル化Fを与える高分子要素
    (I)のゾル−ゲル転移温度より低い温度の水溶液(ゾ
    ル)が、約38℃で迅速にゲル化する請求項8〜11の
    いずれかに記載のゲル化性組成物。
  13. 【請求項13】 前記ゲル化Sを与える高分子要素(I
    I)が、高分子基質と、該高分子基質と特異的に反応し
    てゲル化させる触媒とを少なくとも含む請求項8〜12
    のいずれかに記載のゲル化性組成物。
  14. 【請求項14】 前記ゲル化Sを与える高分子要素(I
    I)が、タンパク質、糖タンパク質、および/又はポリ
    ペプタイドを含む請求項8〜13のいずれかに記載のゲ
    ル化性組成物。
  15. 【請求項15】 前記ゲル化Sを与える高分子要素(I
    I)が、前記触媒として酵素を含む請求項13または1
    4に記載のゲル化性組成物。
  16. 【請求項16】 前記ゲル化Sを与える高分子基質がグ
    ルタミン残基およびリジン残基を有し、前記酵素がトラ
    ンスグルタミナーゼから成る請求項15に記載のゲル化
    性組成物。
  17. 【請求項17】 前記ゲル化Sを与える高分子基質がチ
    オール基を有し、前記酵素がスルフィドリールオキシダ
    ーゼ(S−S架橋酵素)から成る請求項15に記載のゲ
    ル化性組成物。
  18. 【請求項18】 前記ゲル化Sを与える高分子基質が凝
    固系タンパク質からなり、前記酵素がセリンプロテアー
    ゼから成る請求項15に記載のゲル化性組成物。
  19. 【請求項19】 前記ゲル化Sを与える高分子基質がフ
    ィブリノーゲンからなり、前記酵素がトロンビンから成
    る請求項15に記載のゲル化性組成物。
  20. 【請求項20】 前記ゲル化Sを与える高分子要素(I
    I)が非生理的条件下でゲルを形成しないが、生理的条
    件下でゲルを形成する請求項8〜19のいずれかに記載
    のゲル化性組成物。
  21. 【請求項21】 前記ゲル化Sを与える高分子要素(I
    I)の水溶液を非生理的条件下で水溶液(ゾル)の状態
    で生体内に注入した際に、該組成物が生理的条件下で徐
    々にゲル化する請求項20に記載のゲル化性組成物。
  22. 【請求項22】 前記ゲル化Fを与える高分子要素
    (I)のゾル−ゲル転移温度より低い温度の温度で且つ
    非生理的条件下の水溶液(ゾル)状態で生体内に注入し
    た際に、該高分子要素(I)が迅速にゲル化し、前記ゲ
    ル化Sを与える高分子要素(II)が生理的条件下に徐々
    にゲル化する請求項8〜21のいずれかに記載のゲル化
    性組成物。
  23. 【請求項23】 更に、薬剤、生理活性物質、および/
    又は細胞を含有する請求項1〜22のいずれかに記載の
    ゲル化性組成物。
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